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帝国の征服への道: 和平と軍縮協定


By Prof. James Petras

グローバル・リサーチ 2018年5月1日


はじめに

近年、アメリカ帝国戦略は独立国家を打倒し、政権転覆する経費削減をはかっている。

その手段と方法は、かなり単刀直入だ。
   1)敵対国を悪者として描く世界的プロパガンダ・キャンペーン。
   2)ヨーロッパと地域の同盟諸国(イギリス、フランス、サウジアラビア
      とイスラエル)の支援・協力を得る。
   3)“反政府派”、やら‘民主派’と呼ばれる現地人と外国人傭兵の
     徴募、雇用契約、訓練と武器供与。
   4)国内の社会的緊張や政権の政治的不安定を引き起こすための
     経済制裁。
   5)和解交渉の提案。
   6)経済制裁を止める約束、外交的承認や平和的共存と引き替え
     の戦略的兵器の変更を含む非互恵的譲歩を要求する交渉。
   
戦略的目標は、
   ・打倒し、占領し、政権転覆を実現する。
   ・更にその後の軍事的、政治的介入を容易にするめの武装解除だ。
   ・そして経済資源の略奪と、軍事基地の確保、
   ・アメリカ帝国との国際的提携や、
   ・更に近隣諸国や自立した敵対国家征服のため、
    その軍事的踏み台となる‘従属政権’の押しつけだ。

このモデルを、近年と現在、アメリカが様々な地域において戦術的・戦略的に帝国を構築している例に当てはめてみたい。特に、北アフリカ (リビア)、中東 (イラク、パレスチナ、シリアとイラン)、アジア(北朝鮮)と中南米(コロンビアのFARC)に焦点を当ててみる。

ケース 1: リビア

アメリカは、地方部族や君主主義武装テロリストを使ったり、国際的経済制裁によって、人気のあるムアンマル・カダフィのリビア政府を打倒しようと数十年試みてきたが、その取り組みに失敗した後、交渉と和解の政策を提案した。
      
(リビア反政府派とヒラリー・クリントン)

アメリカは経済制裁を終わらせる交渉を始め、カダフィが軍を解体し、長距離弾道ミサイルや他の効果的な抑止力を含めリビアの戦略的兵器を放棄するのと引き換えに、外交的承認や‘国際社会’への受け入れを申し出た。アメリカは、トリポリを狙って常時準備が出来ている軍事基地を縮小しなかった。

2003年、カダフィはジョージ・W・ブッシュ政権との協定に調印した。大型のアメリカ・リビア石油協定や、外交的合意が調印された。アメリカの安全保障顧問コンドリーザ・ライスが、平和と友好のシンボルとして、カダフィを訪問した。それもアメリカ軍の支援が、武装したアメリカの子分連中に注ぎこまれるときにである。

2011年2月、オバマ大統領とヒラリー・クリントン国務長官が率いるアメリカが、EU同盟諸国(フランス、イギリス . . .)と共に、リビアのインフラ 、港湾、交通のセンター、石油施設、病院や学校を爆撃した。そしてアメリカとEUが支援するテロリスト連中が主要都市の支配権を掌握し、カダフィ大佐を捕らえ、拷問し、殺害した。200万人以上の移民労働者がヨーロッパや中東へ逃亡したり、中央アフリカへの帰還を強いられた。

ケース 2: イラク

サダム・フセイン統治下のイラクは、イランを攻撃し、侵略するためにワシントンから武器援助を受けた(1980~88)。この事実上の合意によって、民族主義イラクと帝国主義ワシントンとの協力が、両者共通の政策的狙いを反映するものだとイラク指導者が思い込むようになった。続いて起こるクウェートとの領土紛争でバグダッドは、、自分たちがアメリカによる暗黙の支持を得ていると信じた。しかしサダムがクウェートに侵略した際、アメリカはイラクを爆撃し、荒廃させ、侵略し、占領し、分割した(1990~91)。

アメリカは、クルド人によるイラク北部の領土占領を支援し、飛行禁止空域を課した。後に、ウィリアム・クリントン大統領は、何度か爆撃攻撃を行ったが、サダム・フセインを排除することはできなかった。

G. W. ブッシュ大統領の下で、アメリカは、全面戦争をしかけ、侵略し、占領し、数十万人のイラク人を殺害し、イラク丸ごと疎外した。アメリカは、現代的非宗教国家やその重要な機関を組織的に解体し、シーア派とスンナ派イラク人の間の最も残虐な宗教的、民族的戦争を誘発した。

1980年代、イラクは民族主義の隣国イランに対して、ワシントンに協力しようとしたが、イラクは侵略され、国が破壊されることになった。サダム・フセインを含む何千人もの非宗教的指導者や、非宗教的、科学関係の知識人が殺害され、イラクは帝国の無力な属国へと変身させられることとなった。

ケース 3: シリア

シリアのバッシャール・アサド大統領は、カダフィやフセインとは違い、アメリカのレバノン侵攻や、少数派キリスト教徒と親欧米反政府派への支援に妥協しながらも、ワシントンの申し入れから一定程度の独立を維持した。

2017年8月9日、北シリア、シリア民主軍卒業式の女性訓練生。(出典:Sgt. Mitchell Ryan for US Army)

2011年、アメリカは暗黙の合意を破り、手先である地方のイスラム主義者が蜂起するのに兵器提供と財政支援を行った。そして連中は地方の大部分と、ダマスカスの半分を含め主要都市の支配権を掌握した。幸いにも、アサドは、ロシア、イラン、レバノンのヒズボラ戦士の支援を得ることができた。その後の7年間、テロリストはアメリカ、EU、イスラエル、サウジアラビア、トルコからの膨大な軍事・財政・兵站支援にもかかわらず、打ち破られ、退却を強いられた。

(さらに読む)James Petras「和平合意か政治的降伏か。ラテンアメリカ、中東、ウクライナ」
https://www.globalresearch.ca/peace-accords-or-political-surrender-latin-america-the-middle-east-ukraine/5581993?utm_campaign=magnet&utm_source=article_page&utm_medium=related_articles

シリアは生き延び、国の大半を奪還した。リビアとイラクは失敗したが、シリアは戦略的同盟国との軍事同盟を形成することができ、国内武装反抗勢力を無力化することに成功した。

ケース 4: FARC (コロンビア革命軍)

FARCは、1960年代初期に主として農民軍として編成され、主として地方で、200人から約30,000人の戦士へと成長し、何百万人もの支持者を得るまでになった。主要都市の外部では、事実上、二重権力体制であった。

FARCは、コロンビアの少数独裁政権との和平合意交渉を何度か試みた。1970年代末の暫定合意で、FARCの一部が武器を放棄し、愛国同盟という政党を形成して、選挙に参加した。選挙で多少議席を得た後、少数独裁者は突然合意を破り、テロ作戦を開始し、5,000人の党活動家と、数人の大統領・議員候補者や議員を暗殺した。そしてFARCは武装闘争に戻った。

それに続く1980年~81年の交渉中、寡頭独裁政権は交渉を絶ち、FARC代表者達の暗殺を狙って会談場所を急襲したが、代表者達は無事逮捕を免れた。再三の交渉失敗にもかかわらず、2016年FARCは、元国防相フアン・マヌエル・サントス大統領のコロンビア政権と‘和平交渉’に入ることに合意した。しかしサントス大統領は2001年~2010年、地方や都市スラムでの殲滅作戦で軍隊を率いていた過去がある。FARC内部で大きな政治的変化が起きていたのだ。それまでの十年間で、FARCの歴史的指導者たちが殺害されたり、死亡したりして新世代に置き換えられていた。新世代は、突発事件に備えて兵器を維持しながら、公正な‘和平合意’を確保するという経験にも熱意にも欠けていた。信用できない寡頭独裁政権は再三交渉を妨害し、いわゆる‘和平合意’を取り消してきたからだ。

やみくもに平和を追求する余り、FARCは革命軍を解体し、武装解除することに同意した。FARCは、土地改革を含む社会-経済改革に対する支配力を確保し損ねた。FARCは、治安維持を、地主や7つのアメリカ軍事基地や麻薬暗殺部隊とつながる政権の軍隊に任せてしまった。

‘和平合意’はFARCを破壊した。武装解除するやいなや、政権は合意を取り消した。何十人ものFARC戦闘員が暗殺されたり、逃亡を強いられたりした。少数独裁者が、追い立てられた農民の土地や天然資源や公的資金の完全支配を維持し、エリート層が選挙を支配した。FARC指導部や活動家は投獄され、死の恫喝を受け、公営、民営の敵対的マスコミ宣伝による絶え間ない集中攻撃にさらされた。

FARCの悲惨な和平合意は、内部分裂、離反、孤立化を招いた。2017年末、FARCは崩壊した。各派は我が道を行った。一部は縮小したゲリラ集団に再度加わった。闘争を放棄し、仕事を求めた人々もいた。政権に協力したり、コカ栽培者になったりする人々もいた。

少数独裁者とアメリカは、40年の軍事戦争で成し遂げれなかったFARCの降伏と打倒を、交渉によって実現したのだ。

ケース 5: イラン: 核合意

2016年、イランは、七つの調印国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシア、欧州連合)との和平合意に署名した。合意は、イランが、民生用と軍用のどちらも使用可能な濃縮ウラン製造能力を制限し、 国外搬出するよう規定していた。イランは欧米による核施設査察を認め、テヘランが完全に遵守していることが認められた。

それと引き替えに、アメリカと協力諸国が経済制裁とイラン資産凍結を停止し、貿易・金融・投資への制限を停止することに同意した。

イランは完全に遵守した。ウラン濃縮施設は製造を停止し、残っていた在庫は国外に搬出された。査察では、イラン施設への完全なアクセスが認められた。

対照的に、オバマ政権は完全に遵守したわけではない。一部の経済制裁は解除されたが、他の制裁は強化され、イランの金融市場へのアクセスは巧妙に制限された。これは明らかな合意違反だ。それでもイランは、自分たちの合意内容を守りつづけた。

ドナルド・トランプの当選でアメリカは、「それは、これまでで最悪の合意だ」と言って、合意を否定した。そしてイスラエルのB・ ネタニヤフ首相の軍事的狙いに従って、完全な経済制裁復活とイランの国防全般の解体と、イランが中東においてアメリカ・イスラエル・サウジアラビアの命令に服従することを要求した。

言い換えれば、トランプ大統領は、ヨーロッパとアジアの全ての主要諸国の反対を押しのけて、イスラエルの要求に沿って、イランを孤立化させ、武装解除し、攻撃し、テヘランに傀儡政権を押しつけるために、合意を放棄したのだ。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、イランの新たな軍事的譲歩を確保するため、トランプの要求の一部を盛り込むよう合意を‘修正’(原文通り)しようとしていた。つまりイランが(1)地域の同盟者(シリア、イラク、イエメン、パレスチナ、レバノンのヒズボラ、イスラム教大衆運動)との同盟を放棄すること、(2) 大陸間弾道ミサイル防衛システムの解体、廃止すること、(3) アメリカ(イスラエル)による、全ての軍事基地と科学施設の監視と査察の受け入れである。

マクロン大統領の姿勢は、‘合意’の形式だけ‘維持’して、中身を破壊するというものだった。彼はトランプと目標を共有していたが、既存合意の‘修正’に基づく段階的な手法を狙ったのだ。一方トランプはイスラエル方式を選んで、もしイランが譲歩を拒否し、ワシントンの要求を拒んだら、軍事攻撃をするというあからさまな威嚇であり、真っ向からの合意全体の拒絶だ。

ケース 6: パレスチナ

アメリカは、イスラエルとパレスチナ間の和平合意を仲介するふりをした。その和平合意は、1967年以前の領土的、歴史的権利に基づく双方が合意した二国解決に則っとって、イスラエルがパレスチナを認め、入植を止めるというものだった。しかし和平調停を狙うクリントン大統領下のアメリカは、入植に喝采し、更にイスラエルの現在と将来のありとあらゆる違反を支持するに至っている。600,000人以上のイスラエル人入植者が土地を占領し、何万人ものパレスチナ人を追放した。イスラエルは年中ヨルダン川西岸を侵略し 何万人ものパレスチナ人を暗殺し、投獄してきた。イスラエルはエルサレムを完全支配している。イスラエルによる段階的民族浄化とパレスチナのユダヤ化を、アメリカは是認し、武器を供与し、財政支援してきた。

ケース 7: 北朝鮮

アメリカは最近、北朝鮮の金正恩が提唱した交渉による合意を支持すると述べている。平壌は、恒久的平和条約交渉のために核計画と実験を停止すると申し出ている。その中には半島の非核化と、韓国内のアメリカ軍部隊維持も含まれている。

(THAADに反対する韓国の人々)

トランプ大統領は、交渉を‘支持する’戦略を推進している。しかし一方では、経済制裁を強化し、韓国内での継続中の軍事演習を行いながら、交渉の準備段階でアメリカは何ら互恵的譲歩をしていない。そしてトランプは、もし北朝鮮が、武装解除し、軍事行動を停止するというワシントンの主張に従わなければ、交渉は止めると公然と威嚇している。

言い換えれば、トランプ大統領は、イラク・リビア・FARCへの侵略と軍事征服と破壊をもたらしたアメリカの政策に、北朝鮮を従わせたいのだ。

ワシントンの朝鮮平和協定交渉は、最近、破棄されたテヘランとの‘核合意’と同じ道をたどるだろう。テヘランの片務的武装解除と、それに続く合意破棄だ。

この全てのケース・スタディーが実証している通り、アメリカのような帝国建設者にとって交渉というのは、独立国家を弱体化させ、攻撃するために、武装解除させる戦術的陽動作戦なのだ。

結論

我々の研究で、ワシントンが帝国構築を強化するために‘交渉’と‘和平プロセス’を戦術的兵器として、どのように利用しているのかを明らかにした。敵対国の武装解除と軍事行動停止によって、政権転覆のような戦略目標を容易にするのだ。

帝国建設者が不誠実な敵だと分かっていても、和平プロセスや交渉を拒否すべきだということではない。そうすれば、ワシントンにプロパガンダ兵器を与えてしまうからである。そうではなく、帝国に敵対する国は下記指針に従うのが良い。

交渉は、一方的、特に非互恵的な兵器計画の縮小ではなく、相互の譲歩によるものにするべきだ。

交渉は、決して武装解除と軍事行動停止であってはならない。それは脆弱性を増し、突然の攻撃を可能にしてしまう。交渉では、帝国の違反や、特に軍事的・経済的同意の突然の破棄に対して、高い代償を課すことができる自国の能力を維持すべきなのだ。帝国の違反者は、人的・国家的代償が高くつき、政治的に不人気な場合に侵略をためらうのだ。

帝国に対峙する諸国は、孤立したままであってはならない。軍事的同盟国を確保すべきだ。シリアの場合が明らかだ。アサドは、ロシア、イラン、ヒズボラとの連合を構築し、それがアメリカ、EU、イスラエル、トルコ、サウジアラビアが支援するテロリスト‘反政府派’に効果的に反撃した。

イランは、核能力を廃棄することには合意したが、イスラエルやアメリカによる奇襲攻撃に報復できるICBM計画は維持している。イスラエルは、自分たちのためにアメリカが中東戦争のコスト負担を求めるのはほぼ確実だ。

北朝鮮はアメリカに対して、既に一方的な非互恵的譲歩をし、韓国に対してより小規模に譲歩をしている。もし北朝鮮が同盟国(中国とロシアのような )を確保することができずに、核抑止力を止めてしまえば、更なる譲歩への圧力を招いてしまう。

経済制裁解除に返礼するのは良いが、戦略的軍事防衛を危うくすることであってはならない。

基本原則は、互恵主義と戦略的防衛と戦術的経済的柔軟性だ。指針となる考え方は、永久の同盟は存在せず、あるのは永久の権益だけだということだ。欧米帝国主義の高尚な‘価値観’への見当違いな信頼や、帝国権益に関する現実的でない認識は、自立した指導者たちにとって致命的であり、国民にとっては破滅的なものになりかねない。それはイラク、リビア、パレスチナの場合で明らかであり、またシリアでは致命的に近かったようにだ。最新の例はイランの場合だ。アメリカは、2016年に和平合意に署名し、2017年に破棄した。

北朝鮮はイランの経験から学ぶべきなのだ。

協定を破棄する帝国の時間軸は色々だ。リビアは、アメリカとの武装解除協定に、2003年に署名し、ワシントンは、2011年にリビアを爆撃した。

どの場合も、原則は同じだ。紙片の契約に従って帝国権力が権益を放棄した歴史的な例は存在しない。帝国は、他に選択肢が無い場合にのみ協定を守るのだ。

記事原文のurl:https://www.globalresearch.ca/imperial-road-to-conquest-peace-and-disarmament-agreements/5638573

(翻訳:新見 明)
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<ジェームズ・ペトラス>
ニューヨーク・ビンガムトン大学社会学名誉教授。多くの専門誌だけでなく、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、ネーション、ニュー・レフト・レヴュー、ル・モンド・ディプロマティクといった非専門誌にも精力的に執筆し、その鋭い米国社会批判で知られる。インターネット上でも広く紹介され、自身の公式ウェブサイトも持つ。アメリカ社会学会功労賞、2002年度ロバート・ケニー最優秀書籍賞受賞
『「帝国アメリカ」の真の支配者は誰か 金融支配階級が進める民営化・搾取・格差・貧困』よりhttp://www.hmv.co.jp/artist_%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B9_200000000095264/

James Petras教授は、グローバルリサーチ・センターの研究員でもある。

<新見コメント>ーーーーーーーーーーーーーーーー

この翻訳は「マスコミに載らない海外記事」にすでに掲載されていたものですが、今の北朝鮮情勢を考える上で貴重な記事なので、翻訳し直してブログに載せました。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-d851.html

つまり和平交渉が非互恵的なものであれば、武装解除されたリビアのように、合意のあと政権転覆され、国家そのものが破壊されてしまう。そのような和平合意を政権転覆の手段とするアメリカの戦略を具体的に説いています。リビア、イラク、シリア、FARC(コロンビア革命軍)、イランの核合意、パレスチナ、北朝鮮を例にそれぞれ解説しています。

だから北朝鮮の和平合意も互恵的な譲歩によるものであるべきであり、リビア方式のように核を全面放棄してから、制裁解除するのでは、アメリカの意に従わない国家の体制転覆計画にはまってしまい、東アジアの平和はやってこないことになります。

また北朝鮮が中国との連携を強化していることは、シリアで体制転覆を免れた大きな理由がロシア、イラン、ヒズボラなどの同盟があったように、体制転覆を防ぐ大きな力となるということです。

一方、失敗した例としてリビアとともにFARC(コロンビア革命軍)などがあげられていますが、和平合意を結び、武装解除した後、国や組織を解体された例として記憶にとどめておく必要があります。

現在の6月の米朝会談をめぐって錯綜していますが、これもリビア方式をとるかとらないかを巡っての米政権内の対立と考えるべきでしょう。北朝鮮情勢を正確に理解するためにも、この記事で書かれた歴史的経過を踏まえておくことが必要です。
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朝鮮半島、再統一の時がやって来た

ジョン・ワイト
RT Op-Ed(ロシア・トゥデイ論説)
2018年4月27日

ジョン・ワイトは、『インデペンデント』『モーニング・スター』『ハフィントン・ポスト』『カウンター・パンチ』『ロンドン・プログレッシブ・ジャーナル』『フォーリン・ポリシー・ジャーナル』などの世界中の新聞やウエッブサイトで記事を書いている。RTとBBCラジオのレギュラー解説者でもある。現在、アラブの春における西側諸国の役割を調べた本に取り組んでいる。彼のことはTwitter @JohnWight1でフォローできる。



南北朝鮮指導者の歴史的会談で確認されたことは、朝鮮半島の平和的再統一を視野に入れる時がやって来たことだ。

実際のところ、金正恩と文在寅の二人の朝鮮指導者の会談は、世界史的に重要な出来事だ。朝鮮半島では数十年の敵対が続いた後、この苦悩にさいなまれた国においては、平和が長続きせず、戦争となる可能性がずっと高かった。

また朝鮮半島で現在進行している緊張緩和の急展開は、世界をびっくりさせた、というのが正直なところだろう。私たちは疑いなく、わずか数カ月のうちに、はるばる長い旅をやってのけた。そんな時、米国大統領ドナルド・トランプといえば、2018年の始めにツイッターで北朝鮮を脅迫していたのだ。

では、何がこの急激な変化をもたらしたのだろうか。以前にはなかったどんな要因があるのだろうか。朝鮮半島危機にブレーキをかけることになった要因は何であったのか。朝鮮半島情勢は、大惨事に向かって突進している列車やトラックに似ていたのだ。

(さらに読む)
「戦争のない新しい時代:二つの朝鮮が完全な非核化に同意する」
https://www.rt.com/news/425279-koreas-peace-denuclearization-talks/


ここでは、2017年5月の韓国大統領に文在寅が選出された意義を見落とすことができない。これは、彼の前任者である朴槿恵が政治的スキャンダルで失脚し、弾劾された後のことだった。元学生活動家で人権弁護士である文在寅は、「時来たりならば、その人来たらん」という格言を体現したように現れた。

重要なことは、文在寅の外交政策の中心課題は、南北朝鮮の平和的再統一を信念としていることだ。平和的再統一が文在寅の目標なのだ。もしそれが実現するならば、世界核兵器終末戦争の危険に曝された苦悩と対立の時代に、終焉を告げることにになるだろう。

一方、金正恩は、グロテスクな戯画の眼鏡を通して、屈服することを拒否する指導者と、西側では見られてきた。それにもかかわらず、彼は平和と和解への真摯な取り組みを示した。その平和と和解への真摯な取り組みは、その地域での苦しみの遺産を深く理解することと繋がっている。そして、その平和と和解への真摯な取り組みを阻害してきたのは、米国主導の西側帝国主義諸国による数十年にわたる窒息させるような圧力だった。

重要なことは、経済的な封鎖や制裁、そして差し迫った戦争と核による滅亡の脅威によって締め付けられながら、社会が繁栄し発展することは、不可能であるということを、西側のイデオローグたちが知らなかったり、無視を決め込んでいることである。それは、首ねっこを押さえつけながら、正しく呼吸していないことを咎めるようなものだ。

北朝鮮の一般的な描写は、自ら意図的に世界から孤立している国というものである。その国では2500万の人々が、考えることのないロボットにされ、生まれた時からカルト信者のように「親愛なる指導者」に服従し、「親愛なる指導者」をあがめるよう、言語に絶する残酷な制度の下で強制されてきたというものだ。それは、ジョージ・オーウェルの有名な小説『1984』の中で描かれている国や社会に似た世界であり、独裁的、全体主義的暗黒の世界で、広大な獄舎であるというものだ。

しかし、これが北朝鮮事情のすべてなのだろうか。さらに、それは事情の一部ですらあると言えるのだろうか。もしそれが事情のすべて、またはその一部でさえないのならば、北朝鮮の事情は一体どうなっているのか。

記者であり小説家でもあるアンドレ・ヴェルチェクは、国際平和派遣団の1人として、北朝鮮を訪問したことのある人物だ。ホワイトハウスによる北朝鮮への核による威嚇の絶頂期に、ヴェルチェクは、ドナルド・トランプへの公開書簡の中で書いている。

「北朝鮮の人々は、愚かなロボットのように見え、愚かなロボットのように振る舞っていることになっている。北朝鮮の人々は、すべての基本的感情や個性がなく、物事をしっかり見ず、痛みと思いやりと愛を感じることができないことになっている。」

「あなたは真実と現実を見たくないのだ。そして、あなたは他の人たちにも、盲目であることを望んでいるのだ。」

「たとえあなたが北朝鮮全体を粉々に爆破しても、実際には多くを見ることはできず、ほとんど何もわからないだろう。戦艦と潜水艦から発射される自分たちのミサイル、空母から離陸する自分たちの航空機、そして強力な爆発を映し出すコンピューター・グラフィックスの画像を見るだけだろう。そこには痛みもなければ、リアリティもなく、激しい苦痛もないだろう。あなたやあなた方の一般市民には何も分からないだろう」。

今まで、北朝鮮が西側諸国との約束に背を向けてきた国であり社会であったとしても、いったい誰が北朝鮮の人たちを責められるのか。数十年に及ぶ日本の植民地主義と帝国主義によって残された大きな傷、それに続く米国とその同盟国との朝鮮戦争(1950-1953年)で巨大な破壊を被り、それらの大きな傷跡を考えると、誰が北朝鮮の人たちを責められようか。

そして現在、経済制裁や、北朝鮮に向けられた何千ものミサイル、さらに韓国の多くの駐留米軍、沿岸をパトロールする核武装した米海軍戦闘集団のことが考慮されていない。

そのような事態は、アメリカ帝国主義の目的と性質に資するものであるのかもしれないが、それは朝鮮の人々にとっての平和と再統一への願いに反するものであり、彼らの利益と将来にとっては有害なものである。

進歩の敵というのは、民主主義や人権についてもったいぶった話をしながら、その一方で次々と国々を荒廃させている人たちだ。そういう事実に世界が、度も何度も目覚めて気づく時にはじめて、混乱と紛争よりも平和と安定が行き渡るだろう。

金正恩と文在寅の歴史的首脳会談は、私たちに希望を持たせてくれた。その希望とは、朝鮮半島だけでなく世界全体が、戦争の惨禍をかなぐり捨て、その代わりに平和を大切にする準備がようやくできたということだ。

そのような平和こそ、我々が長年待ち望んだことだ。
(翻訳:岩間龍男、新見明)
[記事原文]https://www.rt.com/op-ed/425320-north-south-korea-reunification/


<新見コメント>--------------------------------------
ピョンチャン冬季オリンピックを機に、電撃的な南北融和が図られました。私もその意義を知らせるために英文記事を読んでいたのですが、ちょうどそのとき岩間さんがジョン・ライトの記事を翻訳してくださいました。そして私も翻訳に参加して仕上げることができました。

国内では安倍政権の「対話のための対話では意味がない」などという、無神経な発言が報道されています。そうでなくても進歩的といわれてきた「筆洗(中日春秋)2018.2.13朝刊」でさえ、「化けたぬき」にたとえて北の宥和政策を否定的に報道しているのです。

チョスドフスキーが書いているように「33年間、最大で950近くの核兵器に脅され、しかも経済制裁で苦しめられてきた」*北朝鮮の苦境があるのに、一方的に北朝鮮を悪者にするばかりで、アメリカを非難する声は聞こえてきません。それでは東アジアや日本の平和は訪れるはずがありません。私たちはメディアによるこのゆがんだ理解を糺していくためにも、このような記事を読む必要があると思います。
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-35.html
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アメリカ反戦運動の伝統はいずこに?

原題(America's self-satisfied 'Me Generation' has abandoned the anti-war movement)
RT Home/ Op-ed /
2018..4..2

ロバート・ブリッジはアメリカの作家・ジャーナリストで、2013年に出版された『アメリカ帝国の暗黒』の著者。robertvbridge@yahoo.com


(多くのベトナム帰還兵が戦争に反対してここ国会議事堂の周りを行進する。ベトナム戦争に反対する1週間に及ぶデモの一部として`Bettmann/ Getty Imges)

かつての戦争で、アメリカ人は、海外の軍事行動に反対する大規模な抗議運動を繰り広げた。それはベトナム戦争を終結させる役割を果たした。ところが今日では、異議申し立ての精神はアメリカ国民から消え失せ、もっぱら個人的な問題に取り込まれている。

2018年最初の数ヶ月は、アメリカの抗議運動が健在であることを示した。1月、何百万人という女性達が、ハリウッド仕込みの「ミー・トゥ運動」に刺激され、街頭に繰り出した。それはトランプ政権初年度のホワイトハウス騒動や、女性性差別への不満を表明するためであった。

3月、更なる抗議運動がアメリカを揺るがした。フロリダのパークランド高校で銃乱射事件が起こり17名の死者を出した。そしてそれへの抗議とさらに厳格な銃規制を求めて、何千人もの人々がワシントンに集結した。アメリカでは気が重くなるほど頻繁に銃乱射が起こっていることを踏まえると、そういった運動に疑義を唱えるのは正しくないだろう。しかし、罪もないアメリカ人が、どこか狂った人間によって射殺される光景がどんなに悲劇的に見えようと、それはアメリカ国外で殺されている死者の多さとは比べものにならない。しかもそれはアメリカの軍事侵略の直接的な結果として起こっていることであるし、大半はアメリカの違法性が明白なのだ。

(さらに読む)「何千人という人々が、命のための銃規制集会・行進で街頭に出る。写真とビデオ」)https://www.rt.com/usa/422220-gun-march-for-our-lives-/

それで、イラク、リビヤ、今はシリアで、違法な体制転覆作戦が、罪のない人たちの命を組織的に奪っていた時、抗議運動はどこにあったのだろう?

オバマが血にまみれの大統領職の末期に、膨大な量の弾薬を多くの国々、それもすべてイスラム世界に投下していた時に、「ワシントン行進」はどこにあったのだろう?

「オバマ大統領職最後の年に、アメリカは26,172発の爆弾を7カ国に投下した。その大半の24,287発はイラクとシリアに投下された」と、外交問題評議会のミカ・ゼンコーは書いている。

どれだけ多くの罪もない人々(男性、女性そして子ども達)が、傲慢な好戦的態度によって暴力的に、幼くして命を失うことになったのか、私たちとしては知るよしもないし、アメリカ国民の多くは、指導者たちにその疑問をぶつけることもなかった。

外国で外国人が膨大な死と破壊を被っているのに、非常に多くのアメリカ人が無関心であることは、どんなに反戦意識があるのだとうわべをとり繕っても意味がない。民主党も共和党もいろいろな意図や目的を標榜しながら、こと戦争となると本質的に考え方に相違はない(要するに戦争は完全に肯定的な出来事だと見なされる。ただし、アメリカ人の死人の数が少ない限りにおいてだが)。実際、「リベラル」も共和党内諸派閥もこの「一匹狼」のドナルド・トランプを見下している。その理由というのも、トランプ氏は自分の個人的な資産があり、外部からの寄付(つまり賄賂)を使わず大統領選挙費用を賄えたため、海外での様々な軍事的関わりに終止符を打ち、軍産複合体への膨大な血にまみれた金の流入を奪われると恐れたからだ。

(さらに読む)「アフガニスタンの蜂起が増大し、トランプは完全にネオコンに屈服した」https://www.rt.com/op-ed/400658-afghanistan-surge-trump-us/


この言い方に疑いを挟むのであれば、トランプ氏がトマホークミサイル攻撃をシリアのシャイラート空軍基地に2017年4月7日に行ったあと、リベラルなメディアが突如むかつくほど豹変してトランプの最高の友人になった流れをじっくり考えたらいい。

CNNと言えばトランプ大統領にとって最悪のテレビ局であるが、そのCNNテレビ局の政治解説者ファリード・ザカリアが、主権国家に対するあの違法なミサイル発射の噴射を見て、夢中になっていたのだ。

「ドナルド・トランプが本当にアメリカ合衆国大統領になったのはやっと昨夜のことだ。ほんとうにすばらしい瞬間だったと思う」とザカリアは、主戦論者としての自分にブレーキをかけることも忘れて、夢中になっていた。

MSNBCのアンカーマンであるブライアン・ウィリアムズも負けじとばかり、軍部に精一杯の声援を送りながら、実際このミサイル攻撃の映像を「美しい」と大声で言い放ったのだ。

「私たちが目にしている昨夜のこの美しい映像は、東地中海に浮かぶ二隻の米海軍軍艦の甲板からのものだ。あの偉大だったレオナルド・コーエンの言葉を引用したい気持ちに駆られる。彼の言葉はこうです。『わが国の武器の美しさが私の導き手だ』。そしてそれはすさまじい威力を持った武器が、敵の空域に向かい短距離飛行している美しい映像なのだ」とブライアン・ウィリアムズは言った。

この病的独白の最後になって初めてウィリアム氏はやっと次の問いかけをした。「どこを狙ったのだ?」と。えー!たぶん学校だったか、病院なのかだろう。明らかにこの好戦派ジャーナリストにとってそんな疑問は二の次だったのだ。この「美しさ」からはほど遠い、醜いこと極まりない形容矛盾は、いつも私の心から離れない。

「美しい」ミサイル発射が行われるたびに、こういった追従報道や分析があふれているのだから、アメリカの反戦運動がどこにも見られないことは驚くにあたらないことなのか。

本当に比較してみたくなるのは、今日の無気力、無関心状態と、あのざわめくベトナム戦争時代だ。当時は街頭も、さらに重要なのは大学も、政権に対する歴史的対決の光景が見られた。その抗議運動の山場は1970年5月4日だった。ケント州立大学の学生達が反戦集会の最中に、オハイオ州州兵の発砲を受けたのだ。この混乱の中で4人の学生が死亡、9人が負傷した。ついには全米で何百という大学がこの運動に参加し、暴力的、非暴力的抗議運動が400万人以上の学生達を巻き込んで展開されたのだ。


(「ミ・ライ大虐殺:その日、米軍は村人を虐殺し、それを隠蔽しようとした<生ビデオ>」a.rt.com/918y 9:48 PM-Mar 18,2018)

あの熱烈な反戦の精神は、アメリカ国内の高等教育機関でよく見られたが、現在の大学の悲しい現状と比較してみよう。今日、学生達は実際に暴力的な抗議活動として登場している。誰か問題の講演者が、自分達が気に入らない話をしに大学に来る時は常にそうだ。今日の大学では健全な論議や議論に対して、このような毛嫌いが広がっている。そんな現実を前にすると、大学が反戦意識の源泉になることを想像することなどほぼ不可能に近い。

同時に無気力感も広がっている。2003年のアメリカ軍が主導したイラク攻撃の直後は特にそうだった。大規模な戦争反対抗議行動があったにもかかわらず、人々は本当に何の変化も起こせず無力感に陥った。

トム・エンゲルハードの言葉:「欠けているのは、政府と繋がっているという感覚であり、『私たちの政府』、言い換えれば国民が第一、という感覚だ。その代わり、国家安全保障や戦争製造システムについては自分達の手の届かないところにあると思って、底知れない悲観主義と不信感が蔓延している。なのに、自分が変えられないものに抗議行動を起こすなんて考えられるのだろか?」

(さらに読む)「全米ライフル協会か千年至福か。ベトナム戦争スタイルの抗議が議会 にもっと訴えるかも」https://www.rt.com/op-ed/400658-afghanistan-surge-trump-us/


否定しようもないことだが、こういった冒険的な軍事行動に大半の者が無関心でいるのは、戦争が今までにない性質を帯びてきたことに原因がありえる。例えば、ベトナム戦争時代、戦闘の大半は地上戦だった。ジャングルでも行われた。そして今日よりはるかに多くのアメリカ軍兵士が死んだ。同時に徴兵があり、何千人もの新兵が国民から徴用される恐れがあった。言い換えれば、多くのアメリカ人が本当の脅威や本当の理由を持ってベトナム戦争に抗議したのだ。ベトナム人と同様、自分達の命も危機にさらされていたからだ。

この悲劇は皮肉としか言いようがないのだが、今日数多くのマスコミやソーシャルメディアが身近にあるので、入手できる情報量は以前よりも増えている。だが、明らかになってきているのは情報アクセス能力はあっても、「権力者」が自分達の行動の責任を問われる可能性が出てきても、必ずしも正しい情報へのアクセスは実現しないのだ。実際、今日大半の人々、特に若者は情報過多になっていて、軍隊が海外で何をしているかについて関心を持つことはほとんどないようだ。結局、フェイスブックの投稿チェック、自撮り、ツイート発信などで手一杯になる。そして、なんだかんだ言っても戦争は外国の人たちに起こっていること、おそらく一部のテロリストがやっていることであり、おそらく彼らは彼らにふさわしい報いを受けることになるのだ、と。結局、アメリカは「特別な国」であり、帝国主義者の意図で罪もない人たちを攻撃することなど絶対ない、とでも思っているのかい?
                   (翻訳:大手山茂、新見明)

<記事原文>
https://www.rt.com/op-ed/422967-anti-war-protest-us-vietnam/

<新見コメント> ーーーーーーーーーーー
この記事は寺島隆吉先生が推薦してくださり、それを大手山が翻訳し、私が修正していきました。この記事を私が最初読んだとき、その重要性があまりわからなかったのですが、翻訳を繰り返していくうちに、著者の意図がじわりじわりと伝わってきました。

まずトランプが選挙公約でイスラム諸国での戦争を止め、ロシアとも協調していくとした理由が、トランプが自分の資金で選挙運動ができ、軍産複合体の資金に頼る必要がなかったからだというのは納得できる説明でした。逆にヒラリー・クリントンがネオコン・軍産複合体にべったりなのは、彼らの資金源が軍産複合体であるからということがはっきりします。

次に本記事の主題であるなぜ反戦運動が起こらないかということです。アメリカではベトナム戦争時代は徴兵制で自分たちも死の危険性に直面していたこと、そして戦場は地上戦が中心で遙かに多くの死者が出ていた。今はミサイル攻撃などで死者の顔が写らないようにしている。そして徴兵制でなく志願制だった。豊かであれば誰も人殺しなどしに行きたくない。だから経済格差を必要としているのだろう。そして多くはme-generationとして私事にかまけている。これでどうして反戦運動が起こりえようか、と筆者の痛切な嘆きが聞こえてきます。

これは日本でも同じだ。敗戦の戦争体験が生きていたころは、日米安保反対闘争(国の自立への闘い)、ベトナム反戦運動などが盛んに行われていた。ところが戦争体験が薄れてくる頃、嫌韓・嫌朝鮮・嫌中国の勢いが増し、集団的自衛権容認のように戦争への拒否感が薄れてきている。若者の方が改憲に賛成する者が多いのは、アメリカのme-generationの登場と同じ現象だ。

アメリカでシリア・ミサイル攻撃に追従報道が多いように、日本の報道も欧米報道の受け売りで、真実を伝えていない。北朝鮮情報もシリア情報もフェイク・ニュースであふれている。今こそ正しい情報を発信して、正確な判断ができるようにする必要がある。この翻訳サイトもその一助となる取り組みにをしていかねばならない。
               
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