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世界最大の興行権: オリンピックで誰が儲けるのか

Business News

RT 2018年2月9日

トービー・メルビル/ロイター

第23回冬期オリンピックが韓国の平昌で開かれている。これをローマ人(彼ら自身古代オリンピックの大ファンだった)が「誰のためになるか」または「誰が儲けるのか」と糺した視点から見てみよう。
もっと明確に言えば、誰のお金でオリンピックが回っているのかということだ。
現在世界でIOCほどおいしいお金儲けマシーンはない。ドル箱となる名称権やシンボル権を売って。しかしまず一般に考えられている思い違いを検討しよう。

一般通念:
IOCは、やや国連と似ている。つまりIOCは、それぞれの参加国、つまり各国オリンピック委員会によって支払われる料金によって成り立っている。

真実:
IOCは本質的にスイスにある非営利の私的機関である。IOCは自分のことを次のように誇らしげに言う。
   ...全く私的財源による組織として、IOCの商業的協賛事業は、オリンピッ
   ク開催やオリンピックのあらゆる組織運営上で貴重なものである。

一般通念:
IOCとオリンピック主催者は、オリンピックの準備費用や開催費用を分担する。


(開会式の花火、平昌オリンピックスタジアム フィル・ノーブル/ロイター)

真実:
オリンピックは世界最大の興行権である。応募都市は、大会に必要なものがすでに準備できていることをIOCに認めさせなければならない。つまり、すべての関連費用をもつことだ。必要とされるのは、ただIOCの自由裁量なのだ。それと引き替えに、成功した入札者はオリンピック競技を招致する権利が得られる。経費のうまい汁は、いつも各国組織委員会が負担されることになる。競技施設、選手や役員の宿泊、輸送手段、競技期間の食事など、などが含まれるが、それだけではない。
IOCが生む唯一最大の費用は、競技のテレビ放映権でもたれる。

一般通念:
きっと利益は、オリンピック主催者とIOCによって分割される。

真実:
違います。IOCが試合に関連した販売権をほとんどもっていて管理している。現場のオリンピック施設やチケット販売からの収入は分割される。しかしそれらは主要な収入源からすれば小さいのです。販売権からの主な利益は、いつもIOCに直接行きます。

一般通念:
主要な収入源でいえば、競技は主に超国家企業によって引き受けられる。その超国家企業の宣伝を競技場のポスターやテレビで絶えず見ることになるのですね。

真実:
yesでありnoでもある。IOCと連携し、商品にオリンピック競技場の特許権を表示する権利を持つために、オリンピック協賛権(TOP)プログラムを買わなければなりません。現在ほとんどアメリカを本拠とする13の大企業が、「IOCに競技場のために支払っています」。それらはその特権のために年間数億ドルを支払います。

(キム・ホンジ/ロイター)

しかしTOP(オリンピック協賛権)プログラムは、重要なのですが、IOCにとって資金源としては2番目なのです。TOPからのお金はすべてIOCの金庫に直接入りますが、大会主催者はそれには無関係であると述べましたが。
...だからもしチケット販売が収入源の小さなものであるなら、また強力なコカコーラ、P&G、Visaからのお金でさえ、IOCの主要財政源と比較すれば小さなものであるとすれば・・・どうでしょう。誰がIOCの狩猟財政スポンサーなのでしょう。
答えは簡単です。NBCユニバーサルです。そのアメリカのメディア複合企業がIOCにオリンピック競技の全収入のなんと40%あまりを出しているのです。それは単純な数学です。ニューヨークに本部を置く企業が、IOCにアメリカ市場のテレビ放映権として2014年から2020年まで4回のオリンピックに43.8億ドル支払ったのです。もちろん2018年の平昌オリンピックを含めて。もしくは1回平均11億ドル(契約は夏季、冬季オリンピックの区別はありません)を支払ったのです。アメリカ人がローザンヌに進んで送っているお金の額にびっくりしている人々にとって、もう一つさらに印象的な数字があります。2014年早々、NBCとIOCは、2032年までの次の6回のオリンピックに77.5億ドル、もしくはそれぞれの大会に13億ドル支払う契約を延長したのです。NBCがそんな巨大な投資の見返りをどうやって受けるのだろうか(テレビ市場支払われた最高額)。しかし事実は、アメリカ人はオリンピック運動の巨大な「株主」なのです。それは「支配株」と呼ばれるかもしれない。

(オリンピック組織委員会)

しかしそれだけではありません。IOCはヨーロッパの放送局と個別に交渉することにうんざりし、ヨーロッパ全体をひとまとめにして放映権を売り出すことに決めました。ヨーロッパ人は交渉してみましたが失敗して、IOCの好みを満たすことになりました。放映権はもう一つのアメリカ基盤の巨大メディア、ディスカバリー・コミュニケーションズに行ってしまいました。その取引はIOCにとってNBCのように甘い汁ではありませんが、決して不満足な数字でもありませんでした。メリーランド基盤の企業が2018年から2024年の4回のオリンピックに13億ポンド(現在のレートで約16億米ドル、もしくは1種目ごとに4000万ドル)支払いました。
ディスカバリーは当時、ヨーロッパの放送局各社に少しずつ放映権を再販売し始めました。それはヨーロッパ放送局各社をさんざん苦労させました。しかし再び、それは別の話なのです。世界の他社は、NBCやディスカバリーと比べて、ずっと少ないお金を支払っている。それは公的には公表されていませんが。いろいろな概算が示されている。アメリカやヨーロッパ以外のIOCの二つの最大のもうけ口は、日本と中国のテレビ放映権で、オリンピック放映権所有者に2億5千万ドルと各「オリンピックの4年」ごとに1億2千5百万ドル支払っている。概してIOC収入の最近の内訳は次のようになる。
・73%の放映権
・18%のオリンピック協賛(TOP)プログ ラム販売権
・5%の他の収入
・4%の他の権利

次の大会のIOC全体収入は(低く見積もっても)20億ドルと見積もられた。それはIOC幹部が近くのスイス銀行の金庫に入れることになるのだろうか。もちろん違う。大部分のお金は貧困な国々のスポーツ発展やユース・オリンピックのような儲からない競技開催のために援助される。しかしIOCはその文書の中で控えめに述べている。「収入の10%そこそこは機構維持のために使われる」。しかしそれは決して少額ではない。
さらに重要なのは、最近、高額入札者に売られるこれら主要な収入源増大を、IOCが明らかに隠していることだ。入札者が誰であり、入札者がどこから来ているかを。結局それは企業活動と類似し始めている。その中で主要投資家は、運営「もしくはその他」へのさらなる要求を増大させている。「国際オリンピック活動」とはそんなものなのだ。

<記事原文>
https://www.rt.com/business/418322-olympic-games-money-profits/

<新見コメント>--------------------------------
オリンピックがスポンサーの意向で歪められている報道をどきどき見る。

例えばフィギュアスケートが午前中に開催され、転倒する選手がたくさん出たとか、ジャンプで日にちをまたいで競技が行われたとか。
    東アジアの昼間は、フィギュア人気の高い米国の夜にあたり、
    深夜は欧州の夕方になる。最近の五輪はIOCが掲げる「アス
    リートファースト(選手第一)」ではなく、巨額のテレビ放映権
    料を支出する欧米の視聴者を意識した「顧客第一」と言うの
    が実態だ。     (毎日新聞 クローズアップ2018)
https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20180227/ddm/035/050/024000c

これらすべてがアメリカのゴールデンタイムにリアルに放映できるためにあるとは驚きだ。スポンサーの意向だけが優先され、競技するものはそのためにどんな悪条件でも競技しなければならないということだ。

2020年の東京オリンピックも真夏の一番競技環境の悪いときに実施されるという。そして競技時間もスポンサーの意向が反映され、選手にとって無理な日程が組まれるのだろうか。グローバル企業は、株入主のため利益を最大限にすることを飽くなく追求し、それによって犠牲になる庶民のことは視野に入らないようだ。出資比率40%余りのNBCは筆頭株主にあたり、その意向は絶対的であることをこの文章は示している。

もう一つオリンピックの果たす役割がある。日本では北朝鮮核・ミサイル問題が、国内問題(森友・加計など)を国民の視線からそらしたように、オリンピックが国民の目をナショナリズムに向ける役割を果たしていることだ。安倍晋三がかくもオリンピックに熱を上げるのは、国民の目線を国内矛盾からそらすのに大きな役割を果たすからだ。

かつてナチスドイツが第一次世界大戦の敗戦の苦しみの中で徐々に勢力を伸ばし、1936年ベルリンオリンピックでは、国内矛盾から目をそらせ、国民の意識高揚を謀ろうとしたことは有名です。アテネからの聖火リレーが始まったのもこのベルリンオリンピックからだということです。

観戦型スポーツの果たす役割を、私たちは注視しておかなければならない。チョムスキー『チョムスキーの「教育論」』(「観戦型スポーツ」の役割)から見てみよう。
     <スポーツが社会の脱政治的な人々に果たす役割>
     だったら何が残っているのでしょうか。そうです、唯一残って
    いるのがスポーツなのです。そこで、あなたは多くの知識・思考・
    自信をスポーツにつぎ込むのです。そしてそれが、社会におい
    て概して多数の人々が果たす基本的機能のひとつでもあると考
    えます。つまり、本当に重要なことに関係しないように、人々を
    遠ざけるのがスポーツの役割なのです。(p.378)

      「観るスポーツ」が持つ別の役立つ機能がまだ他にもあります。
    一つは、それらは「ショービニズム(好戦的盲目的愛国主義)」を
    築き上げる素晴らしい方法になることです。このような完全に非
    理性的な忠誠心を、まだ小さな頃から育て上げ、それを見事に
    他の分野に移行させるのです。(p.378)

        しかし肝心なのは次の点です。何か意味のない共同体に対す
    る非理性的忠誠心というこの感覚は、権力への従属訓練、すな
    わち「ショービニズム」のための訓練なのです。 (p.379)

      権威主義的態度に対して、実際、これ以上に根本から貢献す
    るものを想像するのは困難です。多くの知能を総動員し、かつ
    人々の関心を他の重要事から遠ざけるという事実を考えると、
    なおさらです。      (p.379)                    

チョムスキーはスポーツの他にも「メロドラマも他の領域で同じ役割を果たしています」と書いています。これらが戦時の危機的状況で使われるばかりか,日常的にも人々の関心を引きつけ、「本当に重要なことに関係しないように」しているのです。ここにもメディアによる民衆の意識操作の典型があることを忘れてはならない。

だから私たちは、超国家企業による横暴な振る舞いに気づくと共に、政権やメディアによる意識操作にも注意しておかねばならない。

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北朝鮮と核戦争の危機:朝鮮半島の非軍事化

和平合意を目指して
 
            ミシェル・チョスドフスキー
            グローバル・リサーチ2018.2.22
 
この文章は、マイケル・チョスドフスキー教授が韓国国民会議で発表したものを書き起こしです。2018年2月21日、韓国ソウル(写真左)





1.序論
 
「炎と怒り」はドナルド・トランプによって考え出されたものではない。それはアメリカ軍事ドクトリンに深く埋め込まれた概念だ。それは第二次世界大戦終結以来、アメリカの軍事介入を特徴づけてきた。
 
ホワイトハウスでトランプと彼の先任者トルーマンを区別するものはトランプの政治的話し方だ。
 
しかし私たちは危険な岐路に立っている。外交政策の計算間違いは想像もつかないことを引き起こす。「誤り」はしばしば世界史を崩壊させるものであることを覚えておいてほしい。
 
トランプ政権によって編み出された、核兵器が「平和の道具」だということは作り話にすぎないことは言うまでもなく、アメリカ外交政策の狂気は、想像もつかないことへと導く。中枢の政策決定者は自分のプロパガンダを信じ込んでいる。
 
北朝鮮に対する核兵器の先制攻撃は、第三次世界大戦を引き起こす可能性がある。
 
1月の終わり頃だったか、トランプ大統領は南北相互の対話を認めただけでなく、平壌との直接対話をする決意を述べた。2・3週間後にこの和平構築の言辞は、新たな北朝鮮への軍事的脅威をしゃべりまくることに置き換えられた。

        
戦略的な観点から見れば、アメリカは南北対話を実現させないことに必死だ。アメリカ・メディアによる報道によれば、最近の展開ではトランプ政権内の強力な軍・情報部部門は、冬期オリンピック期間またはその直後に北朝鮮への先制攻撃を迫っていると言われている。
 
その作戦は、ワシントンによって「鼻血」攻撃と名付けられ、北朝鮮のミサイル施設に対して通常兵器か小規模の戦術核兵器攻撃から構成されている。
 
     核兵器が直ちに使われなかったとしても、韓国だけの死者は、
      初日だけで数万人とみられている。そして直ちに中国やロシア
      のような核武装した国を巻き込む戦いとなる。
 
      しかしそんな無謀で野蛮な行動は、ホワイトハウスや安保・
      情報機関の高官によって、しっかり討議され、 準備されてい
      ることだ。計画の過激な性格は軍・外交政策トップグループ内
      でよく知られていて、恐怖や反対を引き起こしている。(ピーター
      ・シンプソン「トランプは北朝鮮に”鼻血”攻撃を考慮する」
       wsws.org, February 6, 2018)
 
「鼻血」とは軍事概念で、戦術核兵器やミニ核兵器は「市民には害がない」、つまり最小限の付随的被害だという考えに基づいている。
 
一方、冬季オリンピックでは朝鮮国内の対話や交渉過程があり、アメリカは交渉をボイコットしている。問題なのは、アメリカ主導の平和に対する戦争だ。
 
2.「さらに使用可能な平和構築」の核爆弾、ミニ核兵器
 
トランプの2018年核兵器構想は、北朝鮮に対する核兵器使用の決意が明確である。最初の先制核兵器攻撃ドクトリンは、2001年ブッシュ政権下で編み出されたが(2002年上院で採択されたNPR2001)、2008NPRは1.2兆ドルの核兵器計画と結びついている。そして「さらに使用可能な」小さな核兵器に焦点を当て、核保有国や非保有国に対する最初の攻撃での使用を目的としている。                    
B61-12戦術核爆弾
「さらに使用可能な」核兵器とはいわゆるミニ核兵器(B61-11, B61-12)に属し、通常の3分の1の爆発力だが、広島原爆の12倍にもなる。これらの「さらに使用可能な」核兵器、つまり核弾頭が付いたバンカー・バスター爆弾は、周囲の市民には害を及ぼさないと言われている。ペンタゴンとは違って、「専門家の意見」によれば爆発は地下で起きるからという。
オリンピックに引き続いて、大規模な米韓合同演習が構想されていることは述べておかなければならない。
 
真に危険なのは、特に米軍情報機関内で押し進められるいわゆる「鼻血」作戦という圧力を考えると、これらの合同演習が実際の戦争に発展しうることである。
 
2018NPRに含まれる朝鮮半島の非核化への試みは、アメリカの煙幕に過ぎない。アメリカは過去67年間、核兵器で朝鮮半島を脅し続けてきたのだ。NPRで構想された朝鮮半島の非核化は、朝鮮人民民主共和国だけに向けられたもので、アメリカの核増強は無関係なのだ。
 
述べておかなければならないことは、北朝鮮が国連総会決議L.41に賛成した唯一の核兵器所有国であったことである。その決議は、「核兵器を禁止し、その全面的除去に向けての合法的な拘束力」として、会議を招集することになっている。
 
さらに使用可能な「平和を創造」するバンカー・バスターというミニ核兵器は、「鼻血」作戦の下で、北朝鮮やイランに向けて考えられている。
 
アメリカの軍・情報機関からの脅威が北朝鮮に向けられているにもかかわらず、現在の状況下では、ペンタゴンは非核保有国に対してもミニ核兵器を選択する可能性がある。
 
歴史的にアメリカは、主要軍事作戦において、同盟国を身代わりにしてきた。軍事的にもアメリカは北朝鮮に対して単独で行動することはないだろう。この点で問題にもなっていることは、米韓合同司令部(CFC)である。それは全韓国軍は文在寅大統領の管轄下ではなく、ペンタゴンの指揮下に置かれているからだ。
 
韓国の戦争拒否は明確でなければならない。米韓合同司令部(CFC)の廃止は決定的に重要だ。韓国軍の参加がなければアメリカが単独で行動する可能性は著しく減少する。
 
3.外交チャンネルの崩壊
 
50年前、1962年10月のキューバ・ミサイル危機を思い起こそう。
 
1962年10月と今日の違いは、両方の指導者、つまりケネディとフルシチョフが核戦争の危険性を正確に意識していたことだ。
 
反対にトランプ大統領は、核戦争の危険に関して誤った情報が与えられている。彼は大量の市民虐殺を避けようともしない。「我々は北朝鮮を全面的に破壊するしか選択肢はないだろう」と言って、金正恩を「自殺任務」をする「ロケットマン」だと責め立てている。
 
1962年10月ミサイル危機と今日の現状を区別するもの:     
    ・今日のドナルド・トランプ大統領は核戦争の結果についてぼん
     やりした考えしかもっていない。
    ・核兵器ドクトリンは冷戦時代には全く違っていた。ワシントンも
     モスクワも相互確証 破壊の現実を理解していた。今日、戦
     術核兵器は3分の1の破壊力であるが、広島原 爆の6倍の威力
     がある。ペンタゴンによればそれは地下で爆発するから、市民
     には無害と分類されている。
    ・外交ルートは崩壊している。
    ・1.2兆ドルの核兵器計画は最初オバマ政権で始まり、現在進行
     中である。トランプはこの極悪非道な計画に追加資金を割り当
     てた。
    ・今日の熱核兵器は広島原爆より100倍以上強力で破壊力があ
     る。アメリカもロシアも 双方が数千の核兵器を配備している。
 
肯定的な面ではオリンピックを機に、南北朝鮮が建設的な対話に入ったことである。さらに、文在寅大統領はまた中国の習近平主席やロシアのウラジミール・プーチン大統領と有意義な討論に入ったことである。韓国へのTHAADミサイル配備は、北朝鮮よりむしろ主に中国に対して使用する意図がある。
 
4.朝鮮民主主義人民共和国は、アメリカにとって安全保障上の脅威なのか
 
ほとんどのアメリカ人が知らないこと、そして世界平和に対して朝鮮民主主義人民共和国の「脅威」と言われるものを判断するとき、特に何が重要なのかは、北朝鮮が1950年代にアメリカ主導の爆撃の結果、住民の30%を失ったということだ。米軍筋によると、集中爆撃の3分の1の期間で北朝鮮人口の20%が殺されたと言われている。
 
    北朝鮮の78都市と数千の村々を破壊し、おびただしい数の
    市民を殺した後、カーティス・ルメイ将軍は述べた。「3年かそこ
    らの期間で、我々は人口の20%を殺した」と。
 
北朝鮮のどの家族も朝鮮戦争の過程で大事は人を亡くした。
 
アメリカは北朝鮮人口の30%を殺したことを一度も謝罪しなかった。アメリカ外交政策の主目的は、アメリカ主導の戦争の犠牲者を悪魔化することにあった。
 
戦後補償はなかった。
 
朝鮮人に対するアメリカ戦争犯罪の問題は、国際社会で一度も論じられなかった。
 
朝鮮戦争の残虐行為の手口は、ベトナム人民に対するアメリカの戦争を用意することとなった。
 
半世紀以上にわたって、ワシントンは北朝鮮の政治的孤立化に寄与してきた。さらに平壌に対するアメリカの経済制裁は、北朝鮮経済の不安定化を狙っていた。
 
プロパガンダが中心的役割を担ってきた。米軍侵略の語られざる犠牲者北朝鮮は、失敗した好戦国家とか「ならず者国家」とか「テロ支援国家」とか「世界平和への脅威」と言われている。アメリカと西ヨーロッパでは、これらの定型化した非難はメディア合意となり、あえて疑問視する者はいない。
 
嘘が真実となる。北朝鮮は脅威として喧伝される。アメリカは侵略者ではなく犠牲者だと。
 
5.歴史的文脈:核戦争では、だれが侵略者なのか
 
米軍資料で確認されたのは、中華人民共和国も朝鮮民主主義人民共和国も、67年間核戦争で脅かされてきた。
 
1950年、中華人民共和国によって派遣された中国義勇軍は、アメリカの侵略に対して北朝鮮をしっかり支えた。
 
中国の朝鮮民主主義共和国との連帯行動は、1949年10月1日の中華人民共和国が成立してわずか2・3カ月後に行われた。
 
ハリー・トルーマン大統領は、中国と北朝鮮に対して核兵器使用を考えていた。特に北朝鮮軍と共に戦うために派遣された中国人民義勇軍(VPA)をあきらめさせる手段として。[Chinese Volunteer People’s Army, 中國人民志願軍; Zh?ngguó Rénmín Zhìyuàn J?n]
 
重要なのは、北朝鮮に向けられた米軍の行動は、中華人民共和国やソ連に対する広い意味での冷戦軍事計画の一部であった。その目的は究極的に社会主義を葬り去り、破壊することだった。
 
1945年9月15日の秘密文書による「ペンタゴンは主要都市に同時に核攻撃をして、ソ連を吹き飛ばすことをもくろんでいた」ことは述べておかねばならない。
 
ソ連の全主要都市は、66の「戦略」目標に含まれていた。下の表は、各都市の1マイル四方[約1.6km2]の地域と、その住民を絶滅させ、殺すために必要とされる原子爆弾の数を示している。
 
モスクワ、レニングラード、タシケント、キエフ、ハリコフ、オデッサを含む各都市を破壊するために6個の原爆が使われることになっていた。
 
「ソ連を地図から消し去る」ために、全部で204個の爆弾が必要とされると、ペンタゴンは見積もっていた。核攻撃の目標は66の主要都市からなっていた。
 
この悪魔的軍事計画の概要は、1945年9月に発表された。広島、長崎原爆(1945年8月6日、9日)のほんの一ヶ月後であり、冷戦開始(1947年)の2年前である。
 
6.北朝鮮に適用された「広島ドクトリン」

朝鮮に関する米核兵器ドクトリンは、1945年8月の広島長崎原爆に続いて打ち立てられた。原爆は主に市民に向けられていた。

「広島ドクトリン」の下での核攻撃の戦略目的は、百万人もの死者を出す「大量の死傷者を生み出す」ことであった。その目的は軍事征服の手段として国家全体を恐怖に陥れることであった。ハリー・トルーマン大統領の言葉では:
 
    「最初の原爆は広島の軍事基地に落とされたことに世界は
    注目するだろう。それは我々が最初の攻撃で(できるだけ)
    市民の死者を避けようとしたからです。」(1945年8月9日、
    ハリー・トルーマン大統領の国民へのラジオ演説)
 
    [注:最初の原爆は1945年8月6日広島に落とされた。二番目
    は8月9日、トルーマンのラジオ演説と同じ日、長崎に落とさ
    れた]

アメリカ政治の長い狂気の歴史では、アメリカの人間性への犯罪に人道的な顔を与えるように仕向けられてきた。1945年8月9日の同じラジオ演説でトルーマン(写真右)は締めくくった。核兵器使用に関して、神は我々の側にある。そして、

 
    「神はそれ[核兵器]を使うように我々を導く。神の道と、神の目的
    に沿って。」
 
トルーマンによれば、神は我々と共にあり、爆弾を使うかどうか、いつ使うかを神が決めるという。
 
    それ[核兵器]が敵でなく、我々にもたらされたことを神に感謝す
    る。そしてそれ[核兵器]を神の道と神の目的に沿って我々が使え
    るように導き給え。」(強調あり)
 
広島から始まるトルーマン・ドクトリンによって、アメリカの核兵器を韓国のために用意することとなった。朝鮮戦争終結からわずか2・3年後、アメリカは韓国に核弾頭配備を開始した。議政府(ウィジヨンブ)と安養邑(アニャンニ)への配備は1956年には構想されていた。
 
アメリカの韓国への核弾頭配備決定は、1953年の休戦協定13条に明らかに違反していたことは述べておかなければならない。休戦協定は、戦争当事国が韓国に新たな兵器を持ち込むことを禁止していた。
 
実際の核兵器配備は朝鮮戦争終結後4年半後の1958年1月に始まった。公式にはアメリカの韓国への核兵器配備は、33年間続いた。その配備は北朝鮮と共に、中国、ソ連にも向けられていた。

 
   
7.韓国の核兵器計画
 
アメリカの韓国核弾頭配備と同時に、かつそれと連携して韓国は1970年代初頭に自身の核兵器開発計画を開始した。
 
公式の話では、アメリカはソウルに核兵器計画を断念させ、「核分裂物質を生み出す前に、1975年4月核不拡散条約に調印するように」圧力をかけたということだ。(ダニエル・ピンクストン「韓国の核実験」CNS Research Story, 2004年9月9日、http://cns.miis.edu.)
 
韓国の核兵器開発は、アメリカの監督下で1970年代初頭に始まり、北朝鮮を脅すためにアメリカの核兵器配備の一部として進められた。
 
欧米は一致して北朝鮮の核開発を非難したが、韓国の核兵器開発計画は一度も問題にされなかった。そして韓国は非申告核兵器保有国と指定されることもなかった。
 
さらに、この計画は公式には1978年に終わったが、アメリカは核兵器使用の韓国軍訓練と共に、科学的専門知識導入を促進した。覚えておいてほしいことは、米韓合同司令部(CFC)の下で、韓国のすべての部隊は、米軍司令官に指導された合同司令部(CFC)の指揮権下にある。これは韓国軍によって設立されたすべての軍事施設は事実上、合同施設であることを意味している。
 
8.北朝鮮に対するアメリカ大陸と戦略潜水艦からの核攻撃計画
 
公式声明によれば、アメリカは1991年に韓国から核兵器を撤去したということだ。
 
この韓国からの撤去は、どうみても北朝鮮に向けられたアメリカの核戦争の脅威を修正するものではなかった。それはアメリカの核兵器配備に関する軍事戦略の変更と関連している。北朝鮮の主要部は、韓国軍事施設からではなく、米国本土と米国戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)から核弾頭で狙われていたということだ。 
 
9.現在の二重基準
 
北朝鮮が核脅威だと言われるが、非核保有国(ベルギー、オランダ、ドイツ、イタリア、トルコ)は国家管理の下、アメリカ製のB61-11戦術核兵器を持っている。
 
これら5カ国は非申告の核兵器保有国である。
 
トランプの「炎と怒り」はオランダやベルギーに向けられていない。それらの国は国家管理下で40個の核兵器を保有している。欧米安全保障への脅威と広められた北朝鮮の核兵器は10個であることと比較してみよ。


朝鮮民主主義人民共和国は、米軍侵略の暗黙の犠牲者であるのだが、一貫して好戦的国家、アメリカ本土への脅威、世界平和への脅威として描かれてきた。これらの定式化した非難はメディア合意の一部となってきた。
 
核戦争への脅威は北朝鮮からではなく、アメリカとその同盟国からである。
 
北朝鮮に対するこれらの潜在的侵略の継続的脅威や行動は、中国やロシアに向けられ、アメリカの東アジア軍事計画の一部として理解されるべきでもある。多くの点で地政学的観点から、アメリカは北朝鮮を緩衝装置と考えている。究極的目標は韓国軍の支援の下、ロシアや中国を脅かすことである(合同司令部の下で)。言うまでもないが、南北朝鮮の再統一は北東アジアにおけるアメリカの覇権を弱体化させるだろう。
 
さらに、ワシントンの意図は、中国とASEAN諸国を分断させるため、東南アジアと極東の軍事衝突を長引かせることだ。ほとんどそれらの国々は西欧植民地主義やアメリカの軍事侵略の犠牲者である。人道に対する大規模な犯罪がベトナム、カンボジア、朝鮮、フィリピン、インドネシアに対して行われた。皮肉にもこれらの国々は、いまやアメリカの軍事同盟国である。
 
世界的安全保障の脅威となるのが北朝鮮ではなく、アメリカだということに、アメリカや西欧諸国の人々が気づくようになったことは重要だ。
 
10.南北双方の和平合意に向けて
 
1953年休戦協定
 
1953年休戦協定の裏に隠されていることは、戦争当事国の一つアメリカが、たえず北朝鮮に対して戦争をすると脅してきたことである。
 
アメリカは、休戦協定違反を数え切れなほど行ってきた。朝鮮はいまだ戦時体制のままである。何気なく欧米メディアや国際社会で無視されてきたのは、アメリカが半世紀以上にわたって、北朝鮮を狙った核兵器を積極的に配備してきたことである。ごく最近、アメリカは広い意味で中国やロシアに向けたいわゆるTHAADミサイルを配備した。
 
アメリカは未だ北朝鮮と戦争状態にある。1953年7月に調印された休戦協定は、法的には戦争当事国(アメリカ、北朝鮮、中国義勇軍)の間の「一時的停戦」を意味しているので、廃棄されねばならない。
 
アメリカは休戦協定に違反しただけでなく、一貫して平壌との和平交渉に入るのを拒否してきた。それは韓国の軍事プレゼンスを維持し、韓国と北朝鮮の正常化や協力関係を握りつぶすためであった。この段階で、解決は北と南がアメリカの和平交渉拒否に対抗して、二国間和平条約交渉をすることである。
 
再統一を促す南北和平条約を達成する道では、米韓合同司令部(CFC)とOPCON(作戦指揮権)の廃棄が必要とされる。
 
2014年朴槿恵大統領政府は、OPCON(作戦指揮権)協定を「2020年代半ばまで」延長することに合意した。このことの意味は、「衝突の際には」韓国軍は韓国大統領や韓国司令官でなく、ペンタゴンに指名された米国司令官の命令下に置かれるということだ。現在、アメリカはその指揮下に60万人の韓国軍を有している。(つまり在韓米軍司令部(USFK)は、米韓合同司令部(CFC)でもあるのだ。)
 
韓国の国家主権は米韓合同司令部(CFC)機構と同様、OPCON合意の撤廃なしには当然達成され得ないことは言うまでもない。そしてこれは文在寅大統領政権が構想すべきことであるCFC機構の撤廃は和平と再統一に不可欠である。
 
思い起こせば、1978年二国間朝鮮共和国、つまり米軍合同司令部(CFC)が朴正煕将軍(軍事独裁者であり、弾劾された朴槿恵大統領の父)の下で作られた。実質的にこれは1950年に取り決められたいわゆる国連司令部と合同軍機構に関する名称変更であった。李承晩政権の間に、すべての韓国軍はマッカーサー司令官の指令下に置かれていた。
 
「朝鮮戦争以来ずっと、アメリカの四つ星が、戦時に韓国軍と米軍の双方を「作戦司令」(OPCON)するということに同盟国は合意した・・・。」1978年より前にこれは国連司令部を通じて達成された。そのとき以来、それはCFC[米韓合同司令部機構]となった。(Brooking Institute)
 
さらに再交渉されたOPCON(2014年)の下で米軍司令部は、1953年の休戦協定が和平協定に置き換えられない限り、十分有効とされている。
 
もし休戦協定の調印国の一つが和平協定調印を拒否するならば、考えるべきことは南北二国間の包括的和平協定を作ることである。それは事実上、1953年休戦協定を無効にすることになる。
 
求められるべきことは、アメリカと北朝鮮の「戦争状態」(休戦合意の下で)が、協力と交流を伴った包括的南北二国間和平協定の調印によって、ある意味で棚上げされ、撤廃されることである。
 
このソウルと平壌の広範囲にわたる合意は、朝鮮半島の平和を推し進めるだろう。1953年の休戦協定調印国間の和平合意が失敗したとしても。
 
この二国間協約の法的合意はきわめて重要である。この二国間の和解は、結局ワシントンの拒否を回避することになるだろう。それは朝鮮半島の平和の基礎を外国の介入なしで打ち立てるだろう。つまりワシントンが条件をつけて指令することなしで。それは同時に韓国からの米軍の撤退とOPCON合意の撤廃を求めることになる。
 
さらに述べておくべきことは、OPCON合意の下での韓国の軍事化は、新たな軍事基地の開発を含み、主に中国やロシアを脅かす軍事的発射台として朝鮮半島を使うことも意図されていることである。OPCONの下での「戦争の場合」に、全韓国軍は中国やロシアに対して米軍指令の下で動員されることになる。
 
さらにワシントンは最終的に北朝鮮を孤立化させるために、南北朝鮮間だけでなく、北朝鮮と中国間の政治的分断を作り出そうとしている。
痛烈な皮肉として、韓国の米軍施設(済州島を含む)は、軍事包囲網の一部として中国を脅かすために使われている。言うまでもないことだが、広範な東アジア地域と同様、朝鮮半島の永久平和は南北二国間協定で決められたように、OPCONと同様休戦協定も撤廃し、米軍の韓国撤退を追求する必要がある。
 
重要なのは南北二国間の和平会談が文在寅大統領の主導で、外国の参加や介入なしに行われることである。これらの会談は北朝鮮に向けられた経済制裁の撤廃と同様に全米軍の撤退に取り組まなければならない。                        
 

米軍駐留の排除と28,500人の占領軍の撤退は、南北二国間平和条約の必要不可欠な要求事項であるべきだ。
 
11.再統一と今後のロードマップ:あるのはただ一つの統一朝鮮国家だ
 
あるのはただ一つの統一朝鮮国家である。ワシントンは再統一に反対するが、それは統一した朝鮮国家は東アジアにおける米国の覇権を弱めるからである。
 
それは日本も弱体化させる。この点で米国と日本の二国間関係を検討することも重要だ。日本は元植民地権力で、再統一計画に反対するように仕向けられているからだ。
 
再統一は力強い朝鮮国家と地域の力(進んだ科学技術力をもった)を生み出すだろう。それは国家主権を行使し、ワシントンの介入なしで近隣諸国と貿易関係を打ち立てるだろう。
 
この点で述べておかねばならないことは、アメリカの外交政策と軍事計画は、すでに韓国に米占領軍維持を予定した「再統一」のシナリオを打ち立てていることである。同様にワシントンによって構想されていることは「外国投資家」が北朝鮮経済に侵入し、略奪することを可能にする枠組みである。
 
ワシントンの目的は、再統一過程を邪魔することである。Plan Bはアメリカが朝鮮再統一の条件を課すことである。2000年に発表された再統一後のシナリオで、米軍の数(現在28,500人)は増加され、米軍の駐留は北朝鮮にまで拡大されることをほのめかしていた。
 
再統一された朝鮮では、米駐留軍の軍事計画は、北朝鮮のいわゆる安定化作戦を実施することになっている。
 
朝鮮統一は、半島における米駐留軍の削減や、朝鮮における米軍の基本姿勢の転換を求め、そしてその転換は本当にアメリカの任務の変化をもたらすかもしれない。しかしそれは技術的現実の変化であり、アメリカの任務の終わりではない。さらに再統一後の現実的シナリオでは、米軍は北朝鮮の安定化作戦に何らかの役割をもつ可能性がある。朝鮮における再統一後の米駐留軍の正確な規模や編成を予測することは時期尚早だが、朝鮮における米駐留軍がより大きな、長期間にわたる戦略的目的に奉仕することを認識しておくことは早すぎることではない。現在半島における米駐留軍のいかなる減少も賢明ではない。もしあるとすれば、ミサイル攻撃に対する防衛能力の点で、また特に北朝鮮の大量破壊兵器能力の影響を制限するために、米駐留軍の増強を必要としている。やがて、又は再統一に伴って、これらの部隊の構成は変化するし、人的資源レベルは変動するだろう。しかしアジアのこの地域でのアメリカの存在は継続するべきだ。36(PNAC,新世紀のためのアメリカの国防、戦略、軍隊、資源、p.18 強調あり)

 
ワシントンの意図は全く明白である。それは和平プロセスを妨害することにある。
 
さらに理解されるべきは、北朝鮮に対するアメリカ主導の戦争は全朝鮮国民を飲み込むということである。
 
ワシントンは韓国を防衛すると主張するが、アメリカが支援する戦争は北朝鮮にも韓国にも向けられている。
 
それは1945年9月以来、事実上米軍占領下にある韓国をも脅かしている。
 
我々は極悪非道な軍事計画を論じている。アメリカは合同軍事司令部(CFC)の下で、北朝鮮に向けて韓国軍を動員することを求めている。
 
もし戦争が行われたら、アメリカ司令部の下で韓国軍は、朝鮮人民の再統一計画に反対するために使われるであろう。だから米韓合同司令部(CFC)の廃棄は重要なのだ。
 
朝鮮半島の地理を考えれば、北朝鮮に対して核兵器を使用すれば、必然的に韓国も飲み込まれるだろう。この事実は米軍作戦立案者にも知られているし、理解もされている。
 
強調されねばならないことは、アメリカが朝鮮国民に戦争をすると威嚇する限り、アメリカと韓国は同盟国ではあり得ないということだ。
 
「真の同盟」とは外国の侵入や侵略に対して南北朝鮮が対話を通して一つになり、再統一することである。
 
アメリカは全朝鮮国民に対して戦争状態にある。それは平和に対する戦争である。そしてこれが求めるものは次のことだ。
 
韓国と北朝鮮の二者協議の進展は2018年1月9日に始まった。1953年の休戦協定を無効にして、二国間の「和平条約」の条件を設定する仮合意の調印が狙いである。
 
代わりにこの合意は米軍駐留の排除や28,500人の米軍の撤退過程をも設定する。
 
さらに二国間平和交渉に従って、米軍指令下にある韓国軍の米韓OPCON合意は撤廃されるだろう。それ故、全韓国軍は韓国司令部の下に置かれるだろう。
 
二国間協議は、現在進行中であるが、韓国と北朝鮮間のさらなる経済、技術、文化、教育の協力を進展させることも行われるべきだ。
 
OPCONの下、背後でアメリカが操ることなしに、戦争の脅威は対話に置き換えられるだろう。それ故、最初の優先事項はOPCONとCFCを破棄することになる。
 
言うまでもないが、南北朝鮮の統一は、北東アジアにおけるアメリカ覇権を弱めるだろう。
 
それはまた、北東アジアにおける貿易や開発の点で重要な意味を持つだろう。
 
8千万人の統一した朝鮮国民は南北の科学、技術能力を統合し、必ずや強力で自律した主権地域経済力と貿易国家形成へと導くだろう。
 
分断された朝鮮はアメリカの地政学的、経済的利益に奉仕するだけだ。
 
オリンピックの二国間対話は平和の舞台を設定した。
 
いま韓国で展開されていることは、両朝鮮国家の対話が公然と受け入れられたことだ。
 
さらに世論は、ますます気づくようになるだろう。V.ブルックス司令官の合同司令部(CFC)の下、米韓合同軍によって行われるどのような行動も、全朝鮮国民に対する攻撃となるだろう。
 
 
韓国軍は、朝鮮人や朝鮮国家に敵対するために動員されない。意識的キャンペーンも韓国軍隊内で開始されるべきだ。「戦うことを拒否せよ」、そしてドナルド・トランプに任命された「米軍司令官の命令に従うな」。韓国軍司令官の指揮権が求められるべきだ。
 
二国間交渉と同様、オリンピックはついに合同司令部(CFC)を排除する機会を与えてくれた。
 
必要とされていることは、合同司令部から一方的に韓国軍を撤退させるという政府の決定を支持する大衆行動である。つまりCFCの一方的廃棄である。(それは2025年まで延長されている。後に弾劾されることになった朴槿恵大統領によってワシントンの命令で調印された。)
 
目的は平和を達成させるため文在寅大統領を韓国軍の司令官に復権させることだ。
 
このことは、もしアメリカがまだ北朝鮮攻撃を望んだら,韓国軍に頼ることができないということだ。歴史的にアメリカは、汚い仕事をするのにいつも同盟国に頼ってきた。
 
アメリカは南北対話を妨害するために、合同軍司令部(CFC)には手をつけずに、最大限のことをすると私は思う。
 
しかし、これがどう展開するか予測することは難しい。我々は著しく「予測できない」アメリカの政治家と軍事計画立案者を論じているからだ。
 
ミシェル・チョスドフスキー演説原稿。2018年2月21日、韓国ソウル
          (翻訳:新見明) 

(記事原文) https://www.globalresearch.ca/north-korea-and-the-dangers-of-nuclear-war-the-demilitarization-of-the-korean-peninsula-towards-a-peace-agreement/5628390 >

<新見コメント>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マイケル・チョスドフスキー「北朝鮮と核戦争の危機:朝鮮半島の非軍事化 和平合意を目指して」を「寺島メソッド翻訳NEWS」にアップしました。

前回のチョスドフスキーの「朝鮮の人々に対する米国の戦争:米国戦争犯罪の歴史的記録」では、朝鮮半島の第二次世界大戦後の歴史的経過をたどりながら、北朝鮮が核を含めた軍事的圧力と経済制裁で苦しんでいるだけでなく、韓国もアメリカの軍事占領と経済的収奪(アジア危機等)に苦しんでいるという独自の論理展開を読むことができました。

今回の文章は、平昌オリンピックを機に南北宥和政策が電撃的に進み、今後南北朝鮮の和平会談が実現する状況で書かれました。朝鮮半島が融和への道を歩み始めたとき、どう考えなければいけないかを、チョスドフスキーが考察してくれています。

まず、南北和平合意を結ぶことによって、米韓合同司令部(CFC)を無効化すること。アメリカなしでも南北二国間で和平合意を達成すれば、アメリカが軍事侵攻を進めても、韓国軍は協力しないという強力な武器になる。それは米軍司令官に握られた韓国軍の指揮権を無効にしていく過程である。それが韓国の主権の回復にもつながるということだ。

南北和平協定が結ばれれば、停戦協定は自ずと解消される。そしてアメリカの覇権は弱体化する。また経済、文化、科学技術の交流によってより強い朝鮮半島の統一国家を目指すことができと述べています。

しかしアメリカは南北和平合意を許すだろうか。アメリカは独自の統一計画(Plan B)をもっていて、北朝鮮に軍事的、経済的浸透をはかろうとしている。そのとき文在寅政権は米韓合同司令部(CFC)を無効化して、侵略に荷担しないという選択がとれるかどうかが鍵になる。

最近、「対話」を主張していたティラーソン国務長官が更迭され、ネオコンでキリスト教原理主義者(カルト)のマイク・ポンピオCIA長官が後任の国務長官になった。マイケル・フリン国家安全保障補佐官とティラーソン国務長官の更迭は、アメリカの「闇の国家」(dark states)がトランプ政権を乗っ取ったということだ。それによってアメリカが北朝鮮との対話ムードをぶち壊しかねない動きが心配される。

一方、日本はアメリカの尻馬に乗って「圧力と制裁」ばかりを繰り返してきたが、アメリカが米朝対話を考慮するようになると、日朝会談を模索すると言い出した。宗主国の様子をうかがって、自分の主張をころころ変える様は、まったく原則どころか、品性もなにもない宗主国傀儡政権であることを証明した。

そんなとき、このチョスドフスキーの記事は、今後の朝鮮情勢を考える上で貴重な見解である。