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シリコンバレーの「ワーキング・ホームレス」は車で眠る --- ハイテクの大物たちが王者のごとく暮らしているとき  

Silicon Valley 'working homeless' sleep in cars as tech titans live like kings

Published time: 8 Nov, 2017 14:39

記事原文
https://www.rt.com/usa/409230-silicon-valley-working-homeless/



1 カリフォルニア州の太平洋岸に位置する、この目映いばかりの先端技術の聖地(メツカ)、そこは世界最富裕の資産家や大企業のいくつかの発祥の地なのだが、その周辺にますます増える‘ワーキングホームレス’の数は、アメリカンドリームの悲しき脚注(裏面の説明)として役立っている。

2 これは、なんらかの理由で経済から転落して、現在、路上で生活しているアメリカ人たちの話ではない。これは働き者のアメリカ人たちの話である。彼らは職に就いていて、しかも時には同時に2つも3つも職を掛け持ちをしているが、それでもまだ必要最小限の家賃を払う余裕がないのだ。これらの人々がアメリカ人のまったく新しい下位文化(サブカルチャー)を浮かび上がらせる存在となってきている。ほんの数十年前には聞いたことがないもので、‘ワーキングホームレス’というものだ。  

サッド・バレー(悲しみの盆地)? 
 
3 ここ数年続いているホームレス問題は、シリコンバレー(半導体の盆地)からまず第一に連想されるものではない。シリコンバレーは先進的研究・開発の中心地のひとつとして世界的な地位を享受しているからだ。

4 アップル、アルファベット(グーグル)、ヒューレットパッカード、オラクルのような、『フォーブス100』誌の企業のうち数十社を抱えているシリコンバレーは、米国全体の投機的資本投資の3分の1を占めている。
 
5 またカリフォルニア州の、よく知られたリベラル(あるいは左派的)な傾向を考えると、少し奇異な感じがするかも知れないが、シリコンバレーのテクノロジー関連株は、共和党のドナルド・トランプがホワイトハウスに入って以来ずっと記録を破り続けている。
 
6 だとすれば、小売業で働く人、教師、保守作業員、配管工などの多くの類似のサービス産業労働者たちの、この悲惨な現象をどのように説明すればよいのか。つまり、彼らは家賃を払う給料が充分にないため、駐車場で車やRV車から出て、戸外で寝泊まりしているのだ。とりわけ、アメリカの中でも現金の海で泳いでいるような地域において。
 
7 “サンノゼの地下鉄エリアの家賃の中央値は、月3500ドルだ。しかし賃金の中央値は、飲食サービス部門で時給12ドル、医療支援業務では時給19ドルだ。それは住宅費をまかなうことすらできない額だ。”とAP通信は、その問題をとりあげた最近の暴露記事で報じた。

8 その記事はエレン・タラ・ジェイムズペニー(54歳)の胸の痛むような話を詳しく報じた。彼女はサンノゼ州立大学で教えており、4クラスの英語授業をもち、年収は28000ドルだ。しかし2つ学位を取得した後、現在143000ドルの学生ローン負債を抱えている。 
 
9 “彼女は試験を採点し、授業の準備をする。愛車ボルボの中で。夜になると、彼女は運転席を後ろに反らし、眠る準備をする。そばに2匹の犬のうちの一匹のハンクをおいて。夫のジムは、車で寝るには背が高すぎるので、野外のテントつきの簡易ベッドで眠る。もう一匹の犬バディと共に。
 
10 人口8万人の都市マウンテンビューには、300以上の車が都市の至る所に散在し、個人や家族のための狭苦しい住居地としての役割を果たしている。しかし、ますます増えるホームレスの流入に対処するために、市当局者がますます圧力を受けるようになるにつれ、援助資源は限界点にまで達しつつある。
 
11 市の公式ウェブサイトによれば、“マウンテンビューのホームレスは倍近くになった。2013年の139人から、2015年には276人に”。これらの数は2017年には郡全体でさらに上昇した。マウントビューでは、416人のホームレスがおり、2015年から見ると 51パーセント増である。”
 
12 その間、すぐ近くのパロアルトの当局者たちは、市の道路沿いに停められたRV車に72時間制限を課すよう強要された。住民からの苦情が多いからだ。
 
貧乏人のせいか?
 
13 彼らの現在の苦境は、こうした悪戦苦闘している個々人のせいにしたいという誘惑にも駆られる。そもそも、、大金持ち連中の荒い金使いが急激なインフレを起こさせていない所へ、車に荷物を積んで移動しさえすればよいではないか。そういった物言いにもいくらかの真実があるようにも思われる。だが問題はそれほど簡単ではない。問題はシリコンバレーから遙かに遠くなってしまうからだ。
 
14 ホームレスは今やアメリカでは珍しくないのだが、とくにカリフォルニア州では顕著だ。米国住宅都市開発省によって最近発表されたばかりの研究では、ホームレス率のトップ10都市のうち4つはカリフォルニア州だった(ロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコ、サンノゼ)。ただし首位はニューヨーク市だ。
 
15 急上昇している株式市場と息を飲むほど高額の役員報酬という楽天的なニュースの影に隠れているのは、ホームレスの急上昇だ。そしてそれは西海岸沿いの多くの州政府に非常事態を宣言させるまでになっている。そういう宣言は、通常は自然災害のために取っておかれるものなのだが。
 
16 “空前のホームレス危機が西海岸を揺るがしつづけている。そして、その犠牲者たちはその地域を特徴づけている成功そのものによって置き去りにされているのだ。急上昇する住宅費、どん底の空室率、そして怒濤の経済は誰一人待ってはくれない”と、ワシントンポスト紙は報じた。
 
17 太平洋岸の北から南に至るまで、すべての州政府は解決策を求め苦闘している。
 
18 “わが市は経済的には失業率はゼロ。それにもかかわらず数千人のホームレスの人々がいます。彼らは実際に働いています。ただ住宅費を支払う余裕がないだけです。”シアトル市の市会議員マイク・オブライアンはそうワシントンポスト紙に語った。“これらの人々は行く場所がないのです。我々が新しい駐車場を開いても、すぐいっぱいになってしまいます。”
 
19 その物語をますます悲劇的にしているのは、裕福な人々がそれなしでは生活できない骨の折れる仕事、つまり配管工事・教育・配膳・掃除をこなしている人々の多くが、富へ突進する経済の背後で取り残されつつあるという事実なのだ。
 
20 “これは失業の危機ではないのです。ふつうは失業が貧困につながるのですが、このシリコンバレーは違うのです。”と、コミュニティ・サービス・エイジェンシー(マウンテンビューに本拠地を置く非営利団体)の執行責任者、トム・マイアースはAP通信に語った。“だって、人々は働いているんですからね。”
                 (翻訳:寺島美紀子)

<新見コメント>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この記事を昨年12月「国際教育総合文化研究所」の研修会で紹介されて衝撃を受けました。しかもこの記事を寺島美紀子先生は大学の授業で扱っておられ、その指導方法も紹介されました。英語の勉強は辞書引きだという通念を打ち壊すように、語句のヒントが英文の下にたっぷり与えられている。そして煩瑣な文法指導の代わりに、動詞に○、連結詞に□、修飾語句は[ ]でくくりながら英文を理解させる。こんな素晴らしい英語の授業は他にどこにあるだろうかと感心させられました。

記事の内容としても現代アメリカの真の矛盾をえぐり出していて、深く追求するに値する記事です。アメリカが格差社会であり、社会保障制度も先進国では著しく劣っていて、自己責任の社会であることはよく知られています。医療においても、教育においても矛盾が噴出し、膨大な貧困層を生み出しています。

1.国連人権委員会の報告(2014年)でホームレスの数をみても、トップ25都市の内、アメリカの都市は11都市も入っています。
世界各国(都市)のホームレス人口数ランキングTOP25
(全人口に占める割合)
   1.マニラ              4.21%
  2.ローマ              2.05%
  3.ロスアンジェルス      1.49%
   4.シアトル           1.44%
  5.アテネ              1.38%
  6.サンフランシスコ      1.21%
  7.ワシントン          1.14%
  8.ニューヨーク         0.72%
  9.サンディエゴ(カリフォルニア州) 0.67%
  10ボルモチア(メリーランド州)   0.66%
  11ブタペスト(ハンガリー)      0.58%
  12ブエノスアイレス          0.51%
  13ブリン(アイルランド)        0.45%
  14ジャカルタ             0.29%
  15タンパ(フロリダ州)       0.27%
  16モスクワ              0.26%
  17メキシコ              0.25%
  18シカゴ              0.21%
  19ムンバイ(インド)          0.20%
  20インディアナポリス(インディアナ州)0.15%
  21デンバー(コロラド州)     0.15%
  22サンパウロ              0.08%
  23リスボン               0.06%
  24リオデジャネイロ           0.04%
  25東京                   0.03%
         (順番を%順に並べ替えみました。)
http://blog.livedoor.jp/loveai0221/archives/38031964.html

2.ホームレスの次に出てきたのが「ワーキング・プア」という言葉です。働きながらも貧困状態を抜け出れない人々です。これは内橋克人がNHK特集でドキュメントをしていて話題になりました。では日本の場合、ワーキングプアどのくらいいるのでしょうか。

   ワーキングプアの実態 https://chiikihyaku.jp/articles/column/931

   戸室教授によると、1992年から2012年までのワーキングプア率は、
   1992年: 4.0%
   1997年: 4.2%
   2002年: 6.9%
    2007年: 6.7%
    2012年: 9.7%
   と推移しています。2012年には働いている人がいる世帯のうち10分の1近く
   がワーキングプアという結果になりました。この20年の間にその数は大幅に
   増えていることがわかります。特に、1997年から2002年の間と、2007年から
   2012年の間に急激に増えています。

   この2つの時期に急激な増加が進んだ要因としては、次のことが考えられま
   す。まず1つ目の1997年から2002年にかけては、構造改革に伴って労働環
   境が激変しました。政府・企業の主導によって労働市場の規制緩和や自由
   化が進められ、日本型のいわゆる終身雇用が急速に減少し、パートや契約
   社員といった非正規雇用が急増した時期にあたります。

   2つ目の2007年から2012年にかけては、2008年のリーマンショック、2011
   年の東日本大震災と大きなできごとが相次ぎ、職を失う人が大量に出
   ました。これらの結果、正規の雇用が減り非正規の雇用が大幅に増加
   して収入の格差が拡大していきました。

このように日本も新自由主義経済の影響を受けて格差が大きくなってきました。資料は2012年までですが、現在(2018年)ではさらにワーキングプアは拡大していると考えられます。

3.次にワーキング・プアの日米比較した資料として次のサイトが参考になります。
   ワーキングプアとは、基本的に「年収200万以下」で生活している人のことを言い
   ます。

   ワーキングプアについては、現在の日本では1100万人程度いるといわれてい
   て、日本人の10人に1人がワーキングプアだと言うことです。

   アメリカの場合、日本よりさらに酷く「2人に1人」がワーキングプアだと言われ
   ています。その数はざっと「1億5千万人」で、日本の全人口より多い人数です。

   アメリカでは仕事をしたくても仕事がない。仕事が見つかっても給料が安い。
   給料が高い仕事は、医療やITなどの頭脳労働しかない。それ以外の仕事=
   ワーキングプアとなってしまうのが今のアメリカの実態です。
      http://semiritaia.net/workingpoor-zixtutai/

4.ところが今度は「ワーキング・ホームレス」です。彼らはちゃんとした仕事に就いています。給料も普通にあります。それでも家賃が高すぎて、住む家が見つからないということです。アメリカの中間層がどんどん貧困に追いやられている現状を知らせてくれる貴重な記事です。

マウンテンビューのホームレスは、2013年139人、2015年276人、2017年416人と増加の一途をたどっています。市が対策を立てても追いつかない状況だと書かれています。しかも失業率はゼロなのに。繁栄の陰で配管工、教師、飲食業、清掃員など骨の折れる仕事が忘れ去られているということです。(本文ではニューヨークがトップだと書かれていますが、コメント1の表では0.72%で全米の5位となっています。これはコメント1の表が2014年版でその後増加したか、統計の取り方が違っているかどちらかです。)

大統領選挙で、社会主義を標榜したサンダースが人気を博し、ラストベルト地帯を背景にしたトランプが当選する背景がここにあります。しかしワーキング・ホームレスへの対応は追いつかない。「市はその対策で破産状態だ」とも書かれています。

大企業の繁栄がトリクル・ダウンするというなら、市の財政をもっと援助すべきなのですが、大企業ばかり優遇する税制では日本もアメリカと同様に同じ運命をたどらざるをえないだろう。 
 
 参考サイト:ブログ「百々峰」http://tacktaka.blog.fc2.com/
        同じ記事の翻訳と貴重な関連資料が紹介されています。
 参考資料 堤未果『(株)貧困大国アメリカ』
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国連安保理の不名誉な日: 制裁決議は北朝鮮を荒廃させ、人道危機を誘発する

 
2017年12月22日安保理決議2397:安保理は北朝鮮にゲシュタポ式の制裁を科す。制裁は北朝鮮の人々を絶滅させるという警告にもかかわらず。
 
Carla Stea
 
グルーバル・リサーチ2017.6.12.28
 


 
以前の北朝鮮への制裁が、北朝鮮人民を荒廃させる人道危機を、特に最も傷つきやすい人々に対して引き起こしているという数多くの証言を無視して、また人々に破滅的影響をもたらすという警告にもかかわらず、12月22日、国連安保理事会は厳しく非人道的な新たな制裁決議を可決した。それはヒトラーのニュールンベルグ法(訳注1)にも比較されるに違いない。
   (訳注1)ニュルンベルク法は、1935年9月15日に国家社会主義ドイツ労働者党(以下ナチ党)政権下の    ドイツにおいて制定された2つの法律「ドイツ人の血と名誉を守るための法律」と「帝国市民法」の総称である。ユダヤ人から公民権を奪い取った法律として悪名高い。<ウィキペディア>  

賛成投票をした安保理外交官たちは、以前の北朝鮮制裁が与えた人道的苦悩に対して全く無知をさらけだし、そして新たな制裁への賛成投票が人道的苦悩を必然的にもたらすことにも全く無関心であることは、典型的な背信行為である。
 
これらの制裁は、北朝鮮の社会主義経済システムを崩壊させるために、北朝鮮を挑発することが狙いである。しかしなぜ中国とロシアがこれらの制裁に拒否権を発動しなかったかという究極的な問題が残されている。二つの国はこの破局を阻止する力を持っているのに。どんな「調整」がなされたのか。アメリカ・ジャガーノート(訳注2)はロシアと中国の近視眼的屈服を引き出すのに成功した。それはユーラシア大陸を完全に不安定化させ、アメリカの永久的軍事配備を可能にし、おそらく核戦争をも引き起こしかねない。確かにロシアが思い起こさねばならないのは、ゴルバチョフが、ソ連がドイツの再統合に合意する見返りとして、アメリカ国務長官ジェイムズ・ベーカーによって保証されたことだ。
 
つまり「NATOはベルリンの東に1インチたりとも拡大しない」と。
   (訳注2)インド神話:Vishnuの第八化身であるクリシュナ(Krishna)に対する呼び名、あるいは抵抗不可能なもの  

いまロシアはNATO基地によって包囲されている。ゴルバチョフはだまされやすかったのか、それとも当てにならなかったのか。ロシア人はしきりに騙されたと思っている。
 
安保理の常任5カ国は、彼ら自体が核拡散防止条約第6条に全面的に違反している。第6条は核兵器の軍事施設を取り除くことを求めている。ところが彼らは「核兵器」の性能を向上するために数兆ドルを投入している。NPT(核拡散防止条約)第6条(訳注3)は、信義に基づいて核兵器廃絶条約をとりまとめることを求めている。この国連条約は今年採択された。しかしロシアと中国は無視し、アメリカ、イギリス、フランスは悪意に満ちたキャンペーンをして反対した。アメリカはNPT第2条にも違反している。彼ら自身NPTに違反しているのに、安保理5カ国永久メンバーは、NPTのメンバーでさえない北朝鮮を非難する権利は絶対ない。
   (訳注3)核兵器国については、核兵器の他国への譲渡を禁止し(第1条)、核軍縮のために「誠実に核軍縮交渉を行う義務」が規定されている(第6条)。しかしアメリカ、ソ連は核開発競争により「誠実に核軍縮交渉を行う義務」の実行どころか核兵器保有数を大幅に増加させた。 

国連安保理決議2397は、安定した進歩的な独立国(イラク、リビア、そして今は北朝鮮)を破壊するという国連の伝統を運命づけられている。
 
国連決議2397の採択前に、国連人権委員会は明らかにした。北朝鮮にすでに科された厳しい制裁が、絶対必要とされる人道援助の配布を妨害している。その結果、人口の70%、1800万人の北朝鮮人が過酷な食糧不足に苦しんでいる。また国際銀行取引を妨害しているこの制裁は、国連現地活動を阻害し、食料、医薬品その他の人道援助の配布を妨げていると。
 
AFP(フランス通信社)によれば、
 
「『支援グループは、北朝鮮向け物資の税関通過に障害が生じている。補給物資の調達や輸送確保にも困っているし、4月以来
160%も急上昇した食料品価格も同様に支障をきしている』と、国連事務次長ミロスラフ・ジェンカは語った」とある。
 
12月9日、NBC(ナショナル放送会社:米国3大放送会社の一つ)のニュース報道では、
 
「専門家によれば、トランプ政権の主な北朝鮮戦略は、北の核プログラムを抑制することはほとんどできないし、飢饉を引き起こすだけだと言う。ホワイトハウスは中国に対して、朝鮮人2500万人への石油供給を止めるように強く迫っている・・・多くの分析家は、そのような動きは北の核やミサイル計画に対してごくわずかな影響しか与えず、逆に農業部門に打撃を与え、大量飢饉にいたる可能性がある」という。
 
ノーティラス安全・持続可能性研究所上級顧問のデイビット・フォン・ヒッペル博士は、石油禁輸の結末は人道的レベルで破滅的な影響があると警告した。
 
「石油停止は、市民が入手できる国内産食料の量を劇的に減少させるだろう・・・北朝鮮の耕地はもっぱら農地である。彼らはトラクター、灌漑用ポンプ、冷蔵庫、そして収穫して腐らないように食物を輸送するトラックに頼っている・・・9月(国連決議2375)で科された現在の制裁レベルでさえ、北朝鮮の穀倉地帯を貧困に陥れるだろう。」
 
10月25日、北朝鮮の人権に関する国連特別報告者トーマス・クインタナは述べた。
 
「私が受けた報告は次のように警告していた。制裁は化学療法を受けるがん患者を妨げる・・・車いすや障害者のための必須用品がいま制限されている・・・人道援助に取り組む人々は多くの必要物資を入手したり、国際的送金をするのがますます困難になっている」と。
 
クインタナがピョンヤンから戻ると、国連の事務次長(政治担当)ジェフリー・フェルトマンは述べた。
 
「私が懸念していることは、北朝鮮のための支援計画が減少していることだった。計画は30%の資金しかない。国連が人道支援計画を行うのに大きな影響が出ている。私は全面的な資金不足を心配していた・・・現場で救命備品を配る国連の能力に影響する。」
 
この人道的災害は偶然でも同時発生でもない。彼らは北朝鮮の人々にさらに致命的な制裁を加えるというこの情報は、12月22日以前に安保理の15人のすべてのメンバーには公にわかっていたはずだ。安保理はこれらの犯罪の共犯者である。彼らが無責任に制裁は人道的例外措置があると自慢していても、これら「人道的例外措置」が驚くほど実施できていないことをどのように説明できるのだろう。またこれら犯罪的かつ致命的な制裁の悲劇的犠牲者が大多数の北朝鮮人民であるという事実をどう説明するのか。
 
罪深い答えが明らかになったのは、イラク制裁の場合で、「人道援助」失敗に関する調査である。それはもう一つの人道的大惨事であり、 50万人以上のイラクの子供たちが飢餓によって死んだのだ。調査ジャーナリスト、ジョイ・ゴードンの『冷ややかな戦争:大量破壊兵器としての経済制裁』(2002年ハーパーから出版)という素晴らしい仕事の中で、ゴードン女史は述べている。
 
「イラクの死亡数のニュースは詳しく実証されてきた(とりわけ国連によって)。ところがメディアでは余り報道されなかった。しかし見えなくされたものは、どのように、そして誰によってそんなおびただしい死亡者数がずっと容認されてきたかという資料である・・・。しかし私がすぐわかったことは、私の質問に答えうる国連のすべての記録は公の調査から隠されてきたということだ。言うまでもないことだが国連はイラク計画に関する公的資料がないのだ。手に入れることができないものは、アメリカの政策が人道的かつ安全性判断をどのように決定するかを示す資料だ・・・イラク制裁の計画は、国連内部で多くの機関が関わっている・・・これらの機関は計画に対する不満がどのように進行しているかを公に議論されないように注意してきた・・・過去 3年にわたる外交官との調査インタビューを通して、イラク制裁行政に関する国連秘密重要資料の多くを私は手に入れた。私はこれらの資料を匿名を条件に手に入れた。彼らが示したものは、アメリカが、その国に入る人道物資を意図的に最小限にするために過去10年間積極的に取り組んできたということだ。そして膨大な人間的苦痛を前にしてもそうしてきた。子供の死亡率の大きな増加や広範囲に広がった伝染病などの苦痛である・・・余り知られていないのは、サダム・フセイン政府が1991年の湾岸戦争前に健康、教育、社会保障政策に過去20年間大きく資源を投入してきたことだ。イラクは無償教育、十分な電力、現代化された農業、そしてたくましい中産階級が育って急速に発展した国であった。」
 
これら北朝鮮制裁への人道的例外措置を怠ったことにうっかり言及した外交官は、ジョイ・ゴードンによって掘り起こされハーパーズから出版された事実に通じていた。それは。そしてこれらの外交官は「人道援助」失敗の本当の原因に気づいている。この失敗は、意図的で計画的な無垢の北朝鮮人殺害であり、殺害がこれらの制裁の目的であるが、制裁は実際には核開発計画になんら影響を及ぼさない。どの文明化された責任ある組織でも、これらの制裁を行う人たちは、計画的殺人犯として告発されるだろう。
 
北朝鮮は侵略者ではない。彼らは残忍な日本植民地主義との闘いに成功した。そして1949年アメリカの傀儡・李承晩軍によるゲリラ攻撃(北を攻撃するため38度線を侵犯した)から自らを守るべく挑発された。それは1950年~1953年の朝鮮戦争を引き起こした挑発であった。今日アメリカ、韓国、日本は絶えざる軍事的脅威によって北朝鮮の生存を危うくしている。
 
1950年~1953年のアメリカ主導の北朝鮮攻撃で3~4百万人以上の北朝鮮人が絨毯爆撃やナパーム弾や細菌兵器や他の大量破壊兵器によって虐殺された。これらの数字は、アメリカのカーチス・ルメイ将軍や北朝鮮人の大虐殺に関わってきた多くの者によって確認された。そして100年以上前にトルコによる100万人のアルメニア人が虐殺された(訳注4)記憶のトラウマが、未だ今日のアルメニア人の生活の中でうずいているように、また70年前ヒトラーによるユダヤ人600万人のジェノサイドが今日のユダヤ人には忘れられないように、アメリカに指揮された国連軍による300万人以上の北朝鮮人虐殺を、北朝鮮は決して忘れることはできない。だから北朝鮮政府はこの繰り返される恐怖から北朝鮮を守る決意をしている。そして最後に残る社会主義国を完全に破壊しようとするもう一つの試みに対してアメリカを思いとどまらせる唯一の武器は核兵器であり、それはアメリカが再度の攻撃を思いとどまらせるものであるかもしれない。
    (訳注4)アルメニア人虐殺 :19世紀から20世紀初頭に、オスマン帝国の少数民族であった
          アルメニア人の多くが強制移住、虐殺などにより死亡した事件

 
それ故、もう一つの虐殺手段である安保理決議2397は、人道的に破滅的な結果をもたらすとの警告にもかかわらず、北朝鮮への石油供給の90%を無慈悲にも停止するのだ。国連決議が求めることは、海外で働く15万人の北朝鮮人が追放され、24ヶ月以内に失職させられ、北朝鮮の貧困をさらに悪化させることだ。国連決議2397は、その他に共和国の経済分野にとって決定的な個人に対する多数の旅行禁止と共に、15人の経済分野の要員や貿易代表のさらなる渡航禁止を含んでいる。
 
韓大成(ハン テ ソン)大使はジュネーブの軍縮会議で次のように述べた。
 
「制裁の目的が、我が国の体制転覆をすることであることは明らかである。アメリカとその追随国家によって主張されているような兵器開発を妨げることでなく、国を分断し抑圧することによって、人道的な災害を意図的にもたらすことである。」
 
12月7日に韓国は、金正恩殺害の「斬首計画」のためドローンやグレネード・マシーンガン(自動擲弾銃)購入でほぼ10億ドルを費やす、と報道された。もちろんこれは犯罪的殺人であるのみならず、国際法違反である。12月10日ロイター通信の報道では、日本とアメリカと韓国はさらに追加の軍事演習を行う予定だという。その前の週に行われた12月4日の大規模な米韓軍事演習に続いてすぐにだ。これは北朝鮮人民や政府の生存への絶え間ない軍事的脅威であり、我慢ならない挑発だ。12月17日、韓国と米軍は北朝鮮進入合同軍事計画を、表面的には大量破壊兵器を廃棄させるためと言って実施した。この「勇者の攻撃」軍事演習は、38度線近くのソウルの北、スタンレー基地で行われた。韓国地域軍アメリカ司令官ビンセント・ブルックスとトーマス・バンダル中将も「雄者の攻撃」軍事演習に参加していた。
 
11月28日までに北朝鮮政府は、ほぼ3ヶ月間なんら核やミサイルのテストをしなかった。すべての安保理決議で求められたこの安定した雰囲気で平和的な交渉を試みる代わりに、逆にアメリカは一連の執念深い軍事訓練をして、北朝鮮に対する軍事的脅威をエスカレートさせた。それ故、米国務長官レックス・ティラーソンが12月15日、北朝鮮は交渉する権利を「勝ち取ら」ねばならないと表明したことはまったく不合理なことである。北朝鮮はほぼ3ヶ月前からどんなテストも停止させてきた。ところが平和交渉を打ち立てる機会をつかむどころか、アメリカは攻撃的に軍事的脅威を増加させたのだ。
 
北朝鮮外務省は、トランプ米国大統領の国家安全保障戦略をこう呼んだ。
 
「我が国を抑圧しようとして、朝鮮半島全体をアメリカ覇権の前線基地に変えようとするごく最近のアメリカ政策であると。トランプは全世界を従属させようとしている」と。
 
国連安保理決議2397は、北朝鮮経済にとって致命的なものとなるだろう。それは大多数の人々を破滅させるが、兵器開発にはほとんど何んの影響もない。
 
最後に12月4日、国連総会は「新しいタイプの大量破壊兵器の開発や製造そして大量破壊兵器の新しい組織網を禁止」する決議を採択した(軍縮会議報告)。北朝鮮は決議を支持して「賛成」投票をした。ところがアメリカは賛成せず「反対」投票をした。また「軍備縮小・不拡散地域における多国間主義の促進」に関して北朝鮮は決議を支持して「賛成」投票をしたが、アメリカは支持せず「反対」投票をした。どちらの国が世界平和にとって脅威であるかは明らかである。それは北朝鮮ではない。
 
今日、ニューヨークは凍るほど寒い。もしアメリカに90%の石油削減が科されたら、おびただしい数の市民が凍え死ぬだろう。北朝鮮の冬はさらに寒い。国連決議2397は北朝鮮人民に耐えがたい死を宣告するだろう。皮肉なことに12月22日は国連の「ホロコースト記念日」である。恥ずべきことに12月22日国連安保理は、21世紀のホロコーストを北朝鮮の人々に科す投票をしたのだ。国連決議2397の可決で、国連安保理はバーバリズムやテロの道具と化したのだ。
 
Carla Steaは、ニューヨーク国連本部のグローバル・リサーチの通信員
 
画像はゾビエンTVより
 
この記事の元原稿はグローバル・リサーチによる。
 
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/day-of-infamy-for-the-un-security-council-triggering-a-devastating-humanitarian-crisis-in-north-korea/5624185                    
 
<新見コメント>-------------------------------------------
Carla Stea「国連安保理の不名誉な日」を翻訳しました。
これまで北朝鮮のミサイル、核実験を期にアメリカを中心として北朝鮮制裁、軍事的圧力が強化されてきました。しかしそれは1994年の米・朝和平合意を反故にされ、「悪の枢軸」指定を受けた北朝鮮が国家の生き残りをかけて、ミサイル、核実験に踏み切ってきた過程であることを追ってきました。
 
しかし今回は安保理決議2397による経済制裁が、どのように北朝鮮人民を苦しめるかを扱った論文です。石油の90%を遮断され、「人口の70%1800万人が過酷な食糧不足に苦しんでいる。国連による銀行取引停止は、国連現地支援活動をも阻害し、食料、医薬品その他の人道援助の配布を妨げている」と国連人権委員会は明らかにしている。
 
このような制裁が無実の住民を苦しめる例は、イラク戦争時の制裁を対比させることによって一層その惨状が明らかにされている。「50万に以上のイラクの子供たちが飢餓によって死んだのだ」と。「サダム・フセイン政府が1991年の湾岸戦争前に健康、教育、社会保障政策に過去20年間大きく資源を投入してきたことだ。イラクは無償教育、十分な電力、現代化された農業、そしてたくましい中産階級が育って急速に発展した国であった」のにである。
 
もう一つこの記事では書かれていないが、現在の経済制裁の典型例として、サウジアラビアによるイェメン攻撃と制裁を挙げておく必要がある。
   イエメン・ミサイルは、サウジアラビアで誰一人殺害していないが、アメリカ製
   の爆弾とミサイルで、サウジアラビアが何万人ものイエメン一般市民を殺害
   していることを、ヘイリー(国連大使)は、指摘するのを怠った。イエメンを経済
   封鎖して、極めて大規模な飢饉を引き起こしているのは、サウジアラビアだ。最
   近、サウジアラビアは封鎖を解除したと主張しているが、米国国際開発庁すら、
   経済封鎖が変わった兆しは皆無だと言っている。イエメンでは毎日何百人もの
   人々が食料や単純な医薬品の欠如で亡くなっている。
     Moon of Alabama「ヘイリー大使、イエメン・ミサイルの証拠を挙げる説明
     に失敗、サウジアラビア戦争犯罪を無視」2017年12月19日 (火)「マスコミ
     に載らない海外記事」より
      http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/post-a098.html
 
このように戦争が起きているところでも、いまだ戦争になっていないところでも、経済制裁がいかに一般市民を死に至らしめていることを忘れてはならない。この安保理決議に対して防波堤となるべき中国、ロシアまで賛成してしまったことは、事態の一層の悪化が懸念される。
 
そして制裁は、戦争に至らないための手段という考えが間違っていることがわかった。実弾は飛んでいないが、死に至らしめる舞台裏の戦争はどんどん進められているのだ。だからこそ、圧力によるのではなく、外交による解決が早急に求められているのだ。 http://blog-imgs-118.fc2.com/t/m/m/tmmethod/20180114104921a80.htm