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米国はワグナー部隊クーデター計画を事前に知っていた―NYT紙

<記事原文 寺島先生推薦>
US knew of Wagner coup plans in advance – NYT
Washington kept silent because it “had little interest” in helping Russia out, the report says
NYTの記事によると、ワシントンはロシアを助けることに「ほとんど興味がなかったため」黙っていた。
出典:RT  2023年6月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月14日


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ロストフ・ナ・ドヌで警備に当たるワグナー部隊。2023年6月24日© Roman ROMOKHOV / AFP


 米情報機関は、エヴゲニー・プリゴジンがロシア政府に対する大規模な行動を計画していることに強い疑いを持っていた、それはワグナー部隊の指導者(プリゴジン)が自身の部隊にモスクワ進軍を命じる数日前のことだった、とNYT紙が複数の情報源を引用し、土曜日(6月24日)、報じた。

 NYTがインタービューした匿名の米国高官の話によると、ジョー・バイデン米大統領政権と軍の指導者は、ワグナー部隊の動きについては、水曜日(6月21日)には説明を受けている。さらなる詳細が入手されると、議会の一部の指導者が出席した狭い範囲の説明会が木曜日(6月22日)に行われたと同紙は報じている。

 状況は金曜日(6月23日)の夜になって初めて緊迫した。その時、プリゴジンは露国防省がワグナー部隊キャンプに対して、ミサイル攻撃(死者が出た)を行ったと非難し、報復を誓った。露国防省はこの主張を否定し、「挑発情報」を発信した彼を非難した。

 その後の数時間で、ワグナー部隊はロシア南部の都市、ロストフ・ナ・ドヌの軍事施設を占拠した。そして、プリゴジンは彼の部隊が「正義のための行進」を始め、モスクワに到達する計画であると発表した。


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関連記事:クレムリン、ワグナーとの契約の詳細を明かす


 土曜日(6月24日)に、ワグナー部隊のボス(プリゴジン)は「身の安全」と引き換えに進軍を停止し、彼の部隊を撤退させることに同意した。これはベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介した取引の一環だ。

 NYTの情報源によれば、蜂起の前、ワシントンの関係者はロシアのプーチン大統領に迫り来る脅威について警告することをまったく急がなかった。なぜなら、モスクワが彼らをクーデターの首謀者と非難する可能性があったためだ。さらに、ウクライナ紛争やロシアと西側の対立の中で、米国はプーチンを支援することに「ほとんど興味がなかった」とこのNYTの記事は書いている。

 それでも、この記事によれば、米国高官たちはプリゴジンとモスクワの間の紛争の可能性に懸念を抱いていた。ロシアが混乱に陥ることで、相当な核のリスクが生じる可能性を心配していたのだ。

 CNNもこのNYTの記事と軌を一にして、土曜日(6月24日)に以下の主張をした。米国高官たちは、プリゴジンがロシア軍に対する挑戦を「かなりの期間にわたって」計画しているとの強い思いを抱いていた、と。 しかし、彼の最終目標が何かは分かっていなかった。

 CNNによると、西側高官たちは、プリゴジンが武器や弾薬の蓄積を含む準備をしていることを事前に知っていた。しかし、そのCNNは「全てが、あれよあれよという間の出来事であった」と指摘し、ワグナー部隊の指導者(プリゴジン)がロシア軍に対する脅威を実行する意図が本気であるかどうかは言い難いと述べている。

 ワグナー部隊の蜂起がまだ全開状態であった土曜日(6月24日)、ロシア外務省は西側に対して警告を発し、混乱を利用して「ロシア嫌悪の目標を達成しようとする試み」は無駄であると述べた。一方、元ロシア大統領ドミトリー・メドベージェフは、核大国内部でのクーデターは壊滅的な結果をもたらし、モスクワはこれを絶対に許さないと述べた。
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ロシアに対する新しい代理組織を打ち立てようと米国はジョージアでの騒乱に火付け

<記事原文 寺島先生推薦>

US Sparks Turmoil in Georgia to Open New Front Against Russia

筆者:ブライアン・バーレティック(Brian Berletic)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2023年3月10日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年3月17日




 これはただの偶然ではない。ワシントン当局がウクライナで対ロシア代理戦争を仕掛けているときに、ロシア周辺部に位置する問題が多く発生するいつものところで事件が起こっていることについてだ。コーカサス地方に位置するジョージア(グルジア)で、抗議運動が始まったのだ。その抗議の標的は現ジョージア政権であり、抗議の目的は透明性を維持しようとする法案の成立を阻止するためだった。その法案は、米国と欧州諸国からの干渉を明らかにし、そのような干渉に対応するためのものだったのだが、まさに今回の抗議活動はその干渉を表す一例となるものだった。

 BBCが出した記事「ジョージアの抗議運動:抗議者たちが議会に突入するのを警察が阻止」にはこうある:警察は放水砲と催涙ガスを使って、抗議活動の2日目にトビリシにあるジョージア国会議事堂前に集まっていた抗議者たちに攻撃を加えた。群衆たちは、問題の多いロシア型の法律の成立に怒っていた。この法律が通れば、活動資金のうち外国からの支援を2割以上受けている非政府組織や報道機関は、「外国の工作組織」と見なされることになるからだ。

 さらに記事は続く:ロシアにある同様の法律は、報道の自由を厳しく制限し、市民社会を抑圧するために使われてきた。「我が国の政府はロシアの影響下にあると考えています。それは我が国の将来にとってよくないことです」とこの抗議活動に参加している多くの学生の中の一人であるリジーさんは語っている。

 しかし、ひとつ明らかな事実がある。それは、BBCが西側支援によるジョージアでの反政府組織活動を指して「市民社会」という言葉を使ってきたのはソ連崩壊以後だという事実だ。西側の支援する反政府組織が「ロシアの影響」を非難しているのは、皮肉だ。というのも、そのような反政府組織自体、米国や欧州の影響を受けて生まれた組織なのだから。そしてこの抗議活動者たちが特に妨害しようとしているのは、米国や英国やEU当局からの不当な影響から自国を守ろうというジョージア政府の取り組みにあるというのも、皮肉な話だ。

 BBCはジョージア政府がこの法律を成立させようとしていることに対して疑問の声を発そうとしている。しかしこの法律の目的は、ジョージア国内の報道機関や政界における外国資本の流れを明らかにすることにある。

 BBCの記事にはこうある:ジョージアの政党与党「ジョージアの夢」のイラクリ・コバヒデ幹事長は、この法律の草案がロシアの抑圧的な法律と類似しているという批評に対して、それは誤解であるとした。「この法律の最終目的は、扇動を排除し、国民に対してNGOからの資金提供に透明性を持たせることにあります」と同氏は述べている。

 しかし、「透明性を求める国際協会(Transparency International)」のジョージアの事務局長をつとめるエカ・ギガウリ氏が我がBBCに語ったところによると、すでにジョージアにおいては、NGOは10の法律に縛られており、既に財務省はNGOの会計や資金などの情報を完全に掌握できているとのことだった。

 まず「透明性を求める国際協会」という名前がついているこの組織が、外国からの資金という、表に出すことが少し憚れるような事柄に対してさらなる透明性を要求するというこの法律に反対していることの奇妙さが議論されるべきことである。そこでこの「透明性を求める国際協会」自体にどんな資金が流れ込んでいるのかを見てみると、この協会には米国国務省、欧州委員会、英国外務省から資金が流れていることがわかる。この事実から明らかになるのは、この組織が西側の外交政策の目的を前進させるためのものであることだ。実際の透明性などはそれよりも後回しにされるのだ。

 BBCが自身の主張を強化するために、抗議活動者たちが戦っているのはEUに加盟するという彼らの「未来」のためであるという主張を引用しているが、BBCが描いているのは、米国が支援したウクライナを標的にした2014年の政権転覆工作の第2弾にすぎない。この2014年の政権転覆工作が、ロシアが介入した現在進行中の紛争の引き金となったのだ。しかしそれだけではなく、BBCの報道は米国が以前行ったジョージアに対する介入の第2弾につながるものだ。


歴史は繰り返す

 2003年に遡るのだが、米国はすでにジョージアでの政権転覆工作に資金を出していた。

 ロンドンのガーディアン紙は、2004年に以下のような記事を出している。「キエフでの紛争の裏に米国の影」。ガーディアン紙がこの記事で取り上げていたのは、米国がいわゆるオレンジ革命時にウクライナに介入していたことだけではなく、セルビア・ジョージア両国に干渉していたという事実だった。

 記事にはこうある:この作戦は、米国が用意したものだ。西側の色がつけられて、大量生産の考えのもと、よく考え抜かれた作戦だった。具体的には、4カ国を対象に4年間かけて行われたもので、不正選挙を工作し、気に入らない政権を転覆させようとする作戦だった。

 米国政府から資金を得て組織され、米国の助言家、世論調査員、外交官、米国2大政党、米国の非政府組織を利用したこの計画が始めに実行されたのは、2000年の欧州ベルグラードであり、スロボダン・ミロシェヴィッチを選挙で敗北させた。
 
 その際、ユーゴスラビアの米国大使だったリチャード・マイルズが大きな役目を果たした。そして昨年までジョージアの米国大使を務めていたマイルズが、ジョージアでも同じ手を使ったのだ。つまり、ミヘイル・サアカシュヴィリ(2003年のバラ革命後に大統領に就任)に、エドゥアルド・シェワルナゼ(2003年までの大統領*)を失脚させる手口を教えたのだ。
*1985年から1990年までソビエト連邦の外務大臣を務め、1995年から2003年までグルジア大統領を務めた。(ウィキペディア)

 2003年以降、米国はジョージアに武器を投入し、ジョージア軍に訓練を施してきた。2008年には、ジョージアはロシアを攻撃したが、この代理戦争は短期間で失敗に終わった。この攻撃のため、多くの点において、ロシア当局が2014年以降ウクライナに対して国家安全上の懸念を感じることに正当性をあたえることになった。

 西側各国政府や報道機関の多くが、2008年の紛争を「ロシアによる侵略行為」であると描こうとしているが、2009年、ロイター通信は、「ジョージアがロシアとの戦争を開始。その裏でEUが支援しているとの報道」という記事を出している:「調査団の見解では、この戦争の引き金を引いたのはジョージア側だとしている。ジョージアが、2008年8月7日から8日にかけての夜に、重砲で(南オセチアの)ツヒンヴァリ市を砲撃したのだ」とこの件の調査団長であるスイスの外交官ハイジ・タリアヴィーニ氏は述べている。

 さらに記事にはこうある:…わかったことは、ミヘイル・サアカシュヴィリ大統領政権下にある米国の同盟国ジョージアの関与が決定的であるという点だ。同大統領の政治的立場にさらなる悪影響をもたらすと思われる。

 このミヘイル・サアカシュヴィリこそが、ガーディアン紙が2004年に出した記事の中で、「米国政府により組織された」政治的な介入を受けたのちに権力の座についたと報じた人物なのだ。


再びジョージアでの代理戦争:米国はロシアに対抗するための新たな代理組織を求めている

 トビリシで抗議活動に参加している多くの人々の考えとはちがうだろうが、これらの抗議活動の目的は、実は米国当局が求めているロシアに対抗できる二つ目の代理組織をうちたてることにある。それにより、敗色の色が濃くなっているウクライナでの代理戦争の状況を改善しようというのだ。

 これはただの空想ではない。ジョージアを利用して、まさにこの目的を達成しようという計画が、2019年のランド研究所の論文にはっきりと書かれているのだ。その論文の題名は「ロシアを疲弊させる」だ。

 ロシアを疲労困憊させるための手段の例として、「ウクライナに殺人兵器を供給し」、「南コーカサス地方の緊張を利用する」ことが挙げられていた。

 この論文はこう詳述している:米国がジョージアやアゼルバイジャンにNATOとの関係を強めるよう進めれば、おそらくロシアは南オセチアやアルメニア、アブハジア、ロシア南部の軍の強化に力をいれるだろう。

 南オセチアやアルメニア、アブハジア、ロシア南部の戦力を強化すれば、ロシアがウクライナへの兵力を減らすことになる状況を米国当局は望んでいたのだ。

 さらにこの論文にはこうある:ジョージアは長らくNATO加盟を求めてきた。同国は北大西洋協力会議(NACC)に1992年に加盟したが、これは独立直後のことであり、さらに1994年にはNACCの平和のためのパートナーシップ組織にも加盟した。理論上は、NATOはジョージアの加盟に向けて動いていたのだが、2008年のロシア・ジョージア間の戦争により、加盟に向けた努力は永久に保留されることになった。しかしジョージアは、NATOに加盟するという野望を捨てておらず、地中海やコソボ、アフガニスタンなどでのNATOの軍事行動に参加してきた。欧州諸国が反対することで、ジョージアのNATO加盟が承認されないのであれば、米国がジョージアとの間の二国間協定をうちたてることも可能だ。

 もちろん、そうなるかどうかは、ジョージアが米国の従属政権により統治されていることが条件となる。さらに今回の抗議活動自体が、ロシアの国境付近を不安定化させ、結局はロシアに圧力をかける(ウクライナへの兵力を減らす)、という同じ目的を果たすことにもなる必要があるのだ。

 BBCが最近出した記事によれば、ジョージアでの抗議活動者たちは自分たちの利益のために戦っているとのことだが、ランド研究所の論文に書かれている内容は、米国がロシア対策としてジョージアを利用してきたやり口がどれだけ酷いかについてだった。

 その論文にはこうある:2008年8月、分離主義者たちとの和平交渉が決裂したのち、ジョージアは南オセチアと飛び地領アブハジアに軽い戦争を仕掛けた。この両地域は、ジョージア国内の親露の半独立地域だった。この戦争の結果は、ジョージアにとってはひどいものだった。すぐにロシアが介入して、結局この両地域を占領し、短期間ではあるがジョージア国内の他地域も占領した。ジョージアは2008年8月14日に停戦に合意したが、それはロシアが介入したわずか8日後のことだった。ただしロシア軍は南オセチアとアブハジアに駐留し続けており、両地域はそれ以後独立を宣言している。

 この論文がさらに警告していたのは、ジョージア当局がNATO加盟に固執すれば、「ロシアは再び介入してくるだろう」という点だった。

 米国の外交政策に国と国民と政府が取り込まれ、完全な自滅への道を歩んでいるウクライナと同様に、米国はロシアの辺境地域にある国々の国土に火を放ち、炎を燃え上がらせようとしている。そしてその目的は、「ロシアを疲弊させる」ことだ。このことは、米国の政策論文の題名にはっきりと書かれている。ジョージアもその中の一国なのだ。

 この点に加えて、米国が支援している抗議活動者たちが「ロシアの影響」について不満を表明しているのに、外国からの資金に透明性を持たせようとする法律に激しく反対しているという事実から再度わかることは、「西側的価値観」とされるものが、ただの煙幕にすぎず、その裏には米国とその同盟諸国が自国の外交政策の目的を前進させようという魂胆が見えるということだ。そのような魂胆は、国際法に反するものであり、国際法に則ったものではない。



– 米国が支援する反対勢力で組織されているジョージアでの抗議活動 (実際米国や英国の旗を振っている)の意図は、外国勢力に対する透明性を広げるという法案を妨害することだ。しかし、この法案の目的は外国からの干渉を減らすことにある。

– 米国は2003年に、ジョージア政府の政権転覆に成功していることを、ロンドンのガーディアン紙が報じている

– ジョージアがロシアを攻撃したのは、米国が2008年までにジョージアに武器をふんだんに供給して軍に訓練を施したのちであったと、EUの調査団は報告している。

–米国がジョージアの抗議活動を扇動している目的は、再度ロシアを「疲弊させる」ため であると、ランド研究所の2019年の論文「ロシアを疲弊させる」に詳述されている.

– 米国は他の国々にも圧力をかけ、外国の干渉から自国を保護しようとする法律の成立を妨害しようとしていることは、先日タイでもあった。


引用文献

BBC – 「ジョージアの抗議活動。警察が議会に入ろうとする抗議活動者を抑えている」 (2023): https://www.bbc.com/news/world-europe…

Transparency International – 「私たちの支援者」 https://www.transparency.org/en/the-o…

CNN – 「ジョージア政府が提案した「外国からの干渉」排除法案が、抗議者の怒りを買う」(2023): https://edition.cnn.com/2023/03/09/eu…

Guardian – 「キエフでの騒動に米国の影」(2004): https://www.theguardian.com/world/200…

Reuters – 「ジョージアがロシアとの戦争を開始。EUが支援しているとの報道」 (2009): https://www.reuters.com/article/us-ge…

RAND Corporation –「ロシアを疲弊させる」 (2019): https://www.rand.org/pubs/research_re…


西側のロシアと中国への物言い―危険なまでに単細胞

<記事原文 寺島先生推薦>

The West's Dangerously Simple-Minded Narrative About Russia and China

西側のロシアと中国への物言い―危険なまでに単純な思考

筆者:ジェフリー・サックス(JEFFREY D. SACHS)

出典:Commondreams

2022年8月23日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年9月28日


2022年2月4日、北京で行われた会談でポーズをとるロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席(写真:時事通信フォト)。(Photo: Alexei Druzhinin/Sputnik/AFP via Getty Images)


 中国とロシアに対する過度な恐怖は、事実操作を通して、西側諸国の国民に売り込まれている。

 核の破局に世界が瀕しているのは、西側の政治指導者たちが、激化する世界紛争の原因について率直な意見を述べていないことが少なからず原因となっている。西側は高貴であり、ロシアと中国は邪悪であるという西側の執拗な物言いは、単純な思考で、極めて危険である。 それは世論を操作しようとするものであり、非常に現実的で差し迫った外交に対処するためのものではない。

ヨーロッパは、NATOの非拡大とミンスク第2協定の実施が、このひどいウクライナ戦争を回避することができたという事実を反省すべきだ。
NATOの非拡大とミンスク第2協定の実施があれば、ウクライナでのこのひどい戦争は避けられたはずだ。

 西側の物言いの本質は、米国の国家安全保障戦略に組み込まれている。米国の核となる考え方は、中国とロシアは「米国の安全と繁栄を侵食しようとする」不倶戴天の敵であるというものである。米国によれば、中国とロシアは「経済の自由度と公平性を低下させ、軍備を増強し、情報やデータを支配して自国社会を抑圧し、影響力を拡大しようと決意している」のである。

 皮肉なことに、1980年以降、アメリカは少なくとも15回、海外で戦争をしている(アフガニスタン、イラク、リビア、パナマ、セルビア、シリア、イエメンなど)。一方、中国は0回。ロシアは旧ソ連邦の国境を越えて1回(シリア)だけである。アメリカは85カ国に軍事基地を持ち、中国は3カ国、ロシアは旧ソ連諸国以外では1カ国(シリア)しか持っていない。

 ジョー・バイデン大統領はこの物言いをさらに前に進め、現代における最大の課題は独裁国家であるこの2国との競争であると宣言した。中国とロシアは「国力を増強、世界に影響力を輸出・拡大、そして今日の課題に対処するより効率的な方法として、自分たちの抑圧的な政策と諸策を正当化している。」 米国の安全保障戦略は、米国大統領のだれ一人構築したことはない。大幅な自律的活動を許された、秘密の壁の向こうで活動している、米国の安全保障機構が構築したものなのである。

 中国とロシアに対する過剰なまでの恐怖は、事実操作を通して西側諸国の国民に売り込まれている。一世代前のジョージ・W・ブッシュ・ジュニアは、アメリカの最大の脅威はイスラム原理主義だという考えを国民に売り込んだ。しかし、アフガニスタンやシリアなどでアメリカの戦争を戦う聖戦士を生み出し、資金を供給し、配備したのがサウジアラビアや他の国々と協力しているCIAだということには触れないままである。

 あるいは、1980年のソ連のアフガニスタン侵攻。これは西側メディアによって、いわれのない背信行為と描かれた。 しかし数年後、私たちはソ連の侵攻の前に、実はCIAがソ連の侵攻を誘発するために行った作戦があったことを知ったのである。シリアに関しても同じような誤報があった。 欧米の報道機関は、2015年に始まったシリアのバッシャール・アル・アサド(Bashar al-Assad)へのプーチンの軍事支援に対する非難で満ちているが、米国が2011年からアル・アサド打倒を支援し、ロシアが到着する何年も前にアサド打倒のための大規模作戦(ティンバー・シカモア)にCIAが資金提供していたことには触れていない。

 また最近では、ナンシー・ペロシ米下院議長が中国の警告にもかかわらず無謀にも台湾に飛んだとき、G7の外相はペロシの挑発を批判しなかったが、G7の閣僚は揃ってペロシの訪台に対する中国の「過剰反応」を厳しく批判した。

 ウクライナ戦争は、ロシア帝国の再興を目指すプーチンのいわれのない攻撃であるというのが、西側の物言いである。 しかし、本当の歴史は、西側がゴルバチョフ大統領に「NATOは東側には拡大しない」と約束したことに始まり、以下4つの波によるNATO勢力拡大があるのだ:
① 1999年に中欧3カ国を組み込み、
② 2004年に黒海やバルト諸国を含む7カ国を組み込み、
③ 2008年にウクライナとグルジアへの勢力拡大に関与し、
④ 2022年に中国を狙うためにアジア太平洋地域の4カ国をNATOに招き入れた。

 また、西側メディアは、①2014年のウクライナの親ロシア派大統領ヴィクトール・ヤヌコヴィッチ(Viktor Yanukovych)政権転覆における米国の役割、②ミンスク第2協定の保証人であるフランスとドイツ政府がウクライナに約束の履行を迫らなかったこと、③戦争に向けたトランプ政権とバイデン政権の間にウクライナに送った米国の膨大な武器、さらには④NATO軍のウクライナへの拡大に関してプーチンとの交渉が米国により拒否されていること、に言及しない。

 もちろん、NATOは、それは純粋に防衛的なものであり、プーチンは何も恐れることはないはずだと言う。 言い換えれば、プーチンは、①アフガニスタンとシリアにおけるCIAの作戦、②1999年のNATOによるセルビア爆撃、③2011年のNATOによるモハンマル・カダフィの打倒、④15年にわたるNATOのアフガニスタン占領、⑤プーチン失脚を求めるバイデンの「失言」(もちろん、まったく失言ではない)、⑥ウクライナにおける米国の戦争目的はロシアの弱体化であると述べたロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官の発言、などは無視すればいい、ということだ。

 これらの核にあるものは、中国とロシアを封じ込め、あるいは打ち負かすために世界中に軍事同盟を増強し、世界の覇権国家であり続けようとするアメリカの企てである。これは危険で、妄想的で、時代遅れの考えである。米国は世界人口のわずか4.2%であり、現在では世界のGDPのわずか16%(国際価格で測定)である。 実際、G7のGDPの合計はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のそれを下回り、人口はG7が世界のわずか6%であるのに対し、BRICSは41%である。

 世界の支配者になる、という空想的自己宣言をしている国はただ一つ、米国である。米国は、そろそろ真の安全保障の源泉を認識すべきなのだ。それは国内の社会的結束と世界との責任ある協力であり、覇権という幻想なんかではない。このようにその外交政策を見直すことで、米国とその同盟国は、中国やロシアとの戦争を回避し、世界を無数の環境、エネルギー、食糧、社会危機に目を向けさせることを可能にするだろう。

 とりわけ、崖っぷちの危険にある現在、欧州の指導者たちは欧州安全の真の源泉を追求すべきなのだ。それは米国の覇権ではなく、ウクライナを含むすべての欧州諸国の正当な安全保障上の利益を尊重する欧州の安全保障体制であり、黒海へのNATO拡大に抵抗し続けているロシアもまたその一員なのである。欧州は、NATOの非拡大とミンスク第2協定の実施が、ウクライナにおけるこのひどい戦争を回避していたであろうという事実を反省すべきである。現段階では、軍事的なエスカレーションではなく、外交こそが欧州と世界の安全保障への真の道である。





ジェフリー・D・サックスは、コロンビア大学の教授および持続可能な開発センター所長である。そこの地球研究所所長を2002年から2016年まで務めた。また、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワークの会長、国連ブロードバンド開発委員会の委員も務める。これまで3人の国連事務総長の顧問を務め、現在はアントニオ・グテーレス事務総長のもとでSDGs支援者(advocate)を務めている。著書に『新しい外交政策―米国の自国例外主義を越えて(A New Foreign Policy: Beyond American Exceptionalism)』 (2020年)がある。その他の著書は以下の通り。『新しいアメリカ経済の構築―賢く、公正で、続けられる(Building the New American Economy: Smart, Fair, and Sustainable)』(2017年)、潘基文氏との共著『持続可能な発展(The Age of Sustainable Development)』(2015年)などがある。

1945年8月のソ連をターゲットにした核戦争計画

1945年8月のソ連をターゲットにした核戦争計画
<記事原文 寺島先生推薦>
Targeting the USSR in August 1945


アレックス・ウェラーシュタイン教授、ミシェル・チョスドフスキー教授著

グローバルリサーチ、2022年3月13日

制限付きデータ 2012年4月27日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年3月24日


はじめに

 本稿は2012年4月に発表されたもので、米ソの「特別な関係」に焦点を当てたものである。ウクライナで起きている出来事と最も関連性の高いものである。

 第二次世界大戦中、米ソは同盟国であったが、アレックス・ウェラーシュタイン教授は、1945年8月に「戦争が正式に終わる前に」行われた米国の対ソ連「戦争準備」の記録を残している。

 そしてその後、何が起こったのか。

 1945年9月15日に陸軍省が発表した、ソ連の主要都市に原爆を投下するという極悪非道な計画の策定(機密解除)である。

 この秘密文書(機密解除済み)によると、「国防総省は、主要都市部に向けた協調的な核攻撃でソ連を吹き飛ばすことを想定していた。」

 

 ソ連のすべての主要都市は、66の「戦略的」標的のリストに含まれていた。皮肉なことに、この計画は冷戦勃発前に陸軍省から発表されたものである。

 

 
 1945年9月15日作戦の全資料はこちらからご覧いただけます。

動画で見る 「ソ連を地図上から消し去る」米国の対ソ核攻撃計画

ミシェル・チョスドフスキー、グローバルリサーチ、2022年3月13日号



1945年8月のソ連をターゲットにした

アレックス・ウェラーシュタイン教授
 
 第二次世界大戦中の米英同盟が特別な関係だとすれば、米ソ同盟は何だったのだろうか。

 特に問題のある関係なのか?

 カウンセリングが必要な関係なのか?

 極度の危機の中で築かれ、後になって大ざっぱなものに思えた関係なのか?(もちろん、大ざっぱな関係と簡単に略すことができる。)妻は、これをショットガンマリッジ(妊娠によるやむを得ない結婚)と呼んではどうかと言っている。

 奇妙な関係という意味では、特別な関係も当てはまるかもしれない。第二次世界大戦が正式に終わる前の1945年8月30日までに、米軍の一部(どの部局かはわからないが、陸軍航空隊が有力)はすでに時間をかけてソ連の原爆の良い標的のリストを作成していた...さらにソ連の地図に核搭載爆撃機の航続距離を重ね合わせて、「第一」「第二」優先標的をマークしていた1。


 片方の同盟国がもう片方の同盟国を核攻撃することを明確に計画している戦争同盟が、他にどれだけあるだろうか。おそらく、それほど多くはないだろう。

 この驚くべき地図はグローブズ将軍のファイルにあり、1945年9月にカーティス・ルメイの考えたアメリカが持つべき原爆の数の見積もりの一部として彼に送られたものである。それについては別の機会にお話しするとして、ヒントは、グローブズ将軍でさえ多すぎると考えたほどでした。おっと。

 これらの「暗黒」計画の大部分はB-29(ファットマンやリトルボーイを運んだのと同じ爆撃機)であり、ソ連周辺のあらゆる種類の「同盟」基地(現在所有しているものもあれば、「踏み台になりうる」とされたものもある)から出て行く(スタバンゲル、ブレーメン、フォッジア、クレタ、ダーラン、ラホール、沖縄、シムシル、アダック、ノームなど)。これは、軍事的な観点から冷戦世界を素早く概念化するのに面白い方法だ。

 非常に大きな空白の区画はB-36のためのものだが、これはまだ存在していなかった。B-36は1949年まで実戦配備されなかったが、戦時中はすでに計画段階に入っていた。実際に納入されたB-36は、ここで推定されたものよりもやや長い航続距離(Wikipediaを信じるなら、合計で6000マイルほど)だった。

 目標都市はちょっとわかりにくいが(今度NARAに行ったらオリジナルの地図を持ってきてもらおう)、「最優先」の都市はモスクワ、スヴェルドロフスク、オムスク、ノボシビルスク、スターリンスク、チェリャビンスク、マニトゴルスク、カザン、モロトフ、ゴーリキだ。レニングラードは「第二優先」目標に挙げられているようで、これは驚きだが、マイクロフィルムが読みにくいだけかもしれない。文字通り、ソ連邦の上位都市(人口、産業、戦争関連度に基づいて)をリストアップし、それらを原爆の標的にしているのである。

 スターリンは偏執狂的な男だという評判は十分にある。しかし、昔から言われているように、偏執狂だからといって、彼らがあなたを狙っていないとは限らないのだ


Alex Wellerstein 科学・核兵器史研究者、スティーブンス工科大学教授。2011年に始まったNUKEMAP.This blogの生みの親でもある。詳しくは@wellersteinをフォローしてください。

備考

1. 引用。"A Strategic Chart of Certain Russian and Manchurian Urban Areas [Project No. 2532]", (30 August 1945), Correspondence ("Top Secret") of the Manhattan Engineer District, 1942-1946, microfilm publication M1109 (Washington, DC: National Archives and Records Administration, 1980), Roll 1, Target 4, Folder 3, "Stockpile, Storage, and Military Characteristics. "あるロシアと満州国の都市地域の戦略チャート".私が持っていたマイクロフィルムの画像は、上下2コマになっていたので、それをフォトショップで貼り合わせました。このとき、紙の折り目などの関係で、下の画像が上の画像と全く揃わないため、Photoshopの「パペットワープ」ツールを使って、変な方向に少し歪ませる必要がありました。このように、ほんの少しですが、コンテンツに影響を与えるような加工が施されている。

制限付きデータ制限付きデータ

米国における核機密の歴史

 

アレックス・ウェラースタイン著

ISBN: 9780226020419

1930年代後半の起源から冷戦後の現在に至るまで、米国の核機密の完全な歴史を初めて明らかにする。

 アメリカの原爆は秘密の中で生まれた。科学者がその可能性を最初に思いついた瞬間から、広島と長崎への原爆投下、そしてその後も、核に関する情報や、このような強力な兵器を可能にした新しく発見された科学的事実の拡散をコントロールしようとする努力がなされてきたのである。原爆が要求していると思われる科学的秘密の徹底は、新しく、異常で、ほとんど前例のないことであった。それは、アメリカの科学とアメリカの民主主義にとって異質なものであり、その両方と相容れない可能性があった。当初から、この秘密主義は論議を呼び、常に争点となっていた。原爆は、単に科学を戦争に応用したのではなく、科学教育、インフラ、国際協力に何十年もかけて投資した結果であった。もし、秘密主義が常態化したら、科学はどのように生き残るのだろうか。

 本書は、著者の努力により初めて政府によって公開された記録を含む膨大な機密解除ファイルを用いて、原爆の最初の囁きから冷戦の緊張が高まる中、そして21世紀初頭までの米国の核機密保護体制の複雑な変遷をたどっている。高邁な理想主義と醜く恐ろしい権力との間の葛藤の上に築かれた、豊かで広大な、アメリカらしい物語である。

 

カザフスタンは北大西洋条約機構(NATO)の新しいフロンティアか? クーデター未遂か? ―「カラー革命」の歴史と分析


カザフスタンは北大西洋条約機構(NATO)の新しいフロンティアか? クーデター未遂か?
―「カラー革命」の歴史と分析

<記事原文 寺島先生推薦>
Kazakhstan: NATO’s New Frontier? Attempted Coup? History and Analysis of “Color Revolutions”

ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)著

グローバルリサーチ、2022年1月12日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2022年1月21日


 カザフスタンの暴動で思い出されるのは、これもエネルギー価格の上昇から始まったアルメニア(2015年9月)の暴動と、親ロシア大統領ミハイル・サーカシヴィリを政権から追い出そうとする野党の試みであったジョージア(2009年4月)の暴動です。さらに2014年のウクライナの暴動のことも少し頭に浮かびます。当時ウクライナでは、ヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領がEUとの連合協定のためにヨーロッパとの交渉を持つよう迫られていました。そしてマイダン暴動は、おそらく、その背後に他の誰か、つまりNATOがいました。ウクライナ人の大多数は、これらの進行中の交渉とその背景については何も知りませんでした。だから、暴動はもっと深いところで計画されたものであり、EUとの交渉とは何の関係もないものでした。EUとヤヌコビッチの協議が中断されたのは、ヤヌコビッチがロシアから「もっといい取引」を持ち込まれたときでした。

 

 そのような状況下で、2014年2月21日に大混乱が発生し、マイダンの虐殺が起こったのです。その激しい破壊は、その集会の目的とは不釣り合いでした。欧米が雇った傭兵が、無慈悲な殺害の背後にいました。マイダンの虐殺で、約18人の警官を含む約130人が殺害されました。そのことが明らかになったとき、この暴動が欧米によって引き起こされたもう一つの「カラー革命」であると判明しました。そしてこのような欧米によるカラー革命には、常に、背後にNATOが控えているのです。NATOの目標は、ウクライナに一つまたは複数の基地を設置することでした。そのような基地はモスクワに近ければ近いほどいいのです。

 ちなみに、ヨーロッパと新しいロシアの間の1991年の合意は、(ベルリンの)東に新しいNATO基地は作らないと規定していましたが、欧米によってその規定は決して守られることはありませんでした。プーチン大統領が「赤い線(越えてはならない一線)」を引いているのはそのためです。

 おそらく、最近の歴史の中で最初のそのようなカラー革命の一つは、2000年の初めのセルビアでの革命でしょう。その革命が起こる前は、セルビアの若者が"スロボ[スロボダン・ミロシェビッチ], セルビアを救え! スロボはセルビアを救う!”と叫んでいました。その年の後半、親ミロシェビッチだったそのセルビアの若者たちのグループに外国から援助や訓練を受けた「改革志向」の若者のグループが潜入し、大多数のセルビア人に敬愛されていたミロシェビッチ大統領は2000年10月に倒されました。彼はすぐにハーグのICC(国際刑事裁判所)刑務所に送られ、彼は、彼が犯していない最大の反逆罪と人道に対する罪で裁判をうけることになりました。

 ミロシェビッチのために彼の弁護士は、欧米がこのカラー革命の背後にいたことを示すしっかりした証拠を集めていました。そして欧米の最終目的は実は、旧ユーゴスラビアの総解体であるという証拠も手にしていました。これらの文書が裁判所(この場合は国際刑事裁判所)の知るところになっていたならば、この事件は一国に対する近代史上最大規模の干渉と破壊の一つとして、当時クリントン大統領らによる欧米の犯罪に、ぬぐい去れない光を当てることになっていたでしょう。だから、ミロシェビッチは「無力化」されなければならなかったのです。2006年3月11日、彼は刑務所の独房で死亡しているのが見つかりました。2001年6月以来、彼は自殺をしないよう絶えず監視されていたという事実にもかかわらずです。

 さて、これらはアルメニア、ジョージア、セルビアの話ですが、カザフスタンの話に戻ると、これ以前のいわゆるカラー革命と多くの点で似ています。NATOは、ロシアが設置した厳しい「レッドライン(越えてはならない一線)」のせいで、モスクワに向かって進撃することはずっと失敗に終わっています。それは、ウクライナでも、それよりも前のベラルーシでも上手くいきませんでした。そしていま南部国境のカザフスタンにおいて同じような試みが行われているのです。

 これは明らかにクーデター未遂であり、もはや単なるガス価格引き上げに対する抗議ではありません。それは欧米によって工作されたものです。以下の、ケヴォルク・アルファシアン(Kevork Almassian)とマーカス・パパドプロス(Marcus Papadopoulos)博士のカザフスタン危機に関する対談動画(2022年1月6日の46分間の動画)を参照ください。



 この新しいクーデターの試みが成功する見込みはありません。欧米のためのあふれるプロパガンダがあるだけです。

 プーチン大統領は、これらの旧ソ連共和国がNATOの西側の権力基盤に入ることを決して許しません。これらの旧ソ連共和国の人口の90%以上がロシア圏にとどまりたいと考えていることはよく知られているからです。

 セルビア、アルメニア、ジョージア、ベラルーシ、そして現在カザフスタンで繰り返される抗議行動のパターンは、ロシアを不安定化させるための欧米・NATOの圧力であることを明らかに示しています。欧米・NATOの望みは、第二次世界大戦以来変わっていませんが、 「西側の影響下」にロシアを持って来ること、つまりロシアを隷属化することなのです。これらの諸国の暴動のいくつかは、大規模なエネルギー価格の引き上げを理由に起こされた暴動でしたが、それはNATO指導下の欧米の傭兵による激しい暴力的な干渉の口実に使われたに過ぎませんでした。

 決して忘れてはいけないのは、このような暴動の背後にある勢力基盤がNATOであることです。そしてNATOの最終的狙いは、NATOが政権転覆しようとしている一国あるいは複数の国にNATO基地を置くことです。しかし、欧米は、それほど賢くないようです。これら旧ソ連共和国のどの国もロシアを裏切らないことを知るべきです。キエフは例外でした。第二次世界大戦以来、キエフはナチスの拠点であったため、キエフで起こったことは他の地域には当てはまりません。

 カザフスタンの暴動は、当初は一地域で起こったかなり平和的な暴動でした。その後、暴力的な集団が、「外部」から導入されました。その集団はよく訓練され、人を殺害するためのほとんど準軍事的抗議者の形をとっていました。それが、未遂の「カラー革命」として知られるようになったのです。

 カザフスタンでは、18人の警官を含む死者数が30人をはるかに上回り、そのうち少なくとも2人が首を切られ、数百人が負傷しました。カザフスタンのトカエフ大統領によると、憲法秩序は先週の金曜日、1月7日に大部分回復しましたが、混乱は続き、4000人近くが逮捕されました。極端な暴力集団が政府建物を乗っ取り、それらを焼き払いました。空港は占領されました。暴力の激しさは、ガス価格の引き上げ抗議行動には不釣り合いでした。明らかに他の動機が関わっています。

 1900万人のカザフ国民の大半は、ガス価格の上昇のための街頭行動には参加していません。大多数は農村部に住んでおり、暴力を避けています。

 これらの最新のカザフスタンの暴動は、NATOがウクライナで失敗して以来繰り返している、ロシアを不安定化させる卑劣なNATOアプローチとも言うことができます。言い換えれば、ウクライナに対するロシアの立場を損なうためです。

 週末、中国の習近平国家主席はカザフスタンのトカエフ大統領に電話し、米国の干渉をほのめかし、中国がロシアを支持していることをトカエフに保証しました。彼はまた、カザフスタンへの直接支援を約束しています。「習近平はカザフスタン大統領トカエフに電話して、米国の干渉をほのめかし、ロシアを支持し、支援を誓う」という記事を参照ください。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は金曜日、集団安全保障条約機構(CSTO)の加盟国と会談を行いました。アルメニア、ベラルーシ、キルギス、ロシア、タジキスタンの平和維持部隊が先週初めにカザフスタンに配備されました。トカエフ大統領は、CSTO部隊が地元の治安部隊を支援するために「期間限定」でとどまると語りました。

 ロシア国防省は後に、CSTO軍も重要な施設と主要インフラの保護を任務としており、「戦闘」活動に参加すべきではないことを明らかにしました。典型的に優柔不断で偽善的な回し者であるEUはまた、抗議側と政府軍の両方に暴力を控えるよう求め、いくつかの国との危機の解決するために自分たちが支援する用意があることを申し出ました。

 はい、そのとおりです。暴力を控えるよう両当事者に呼びかけたのです。暴力的な集団はNATO加盟国によって送り込まれたのは明白なのに、です。そのNATOのほとんどはヨーロッパ諸国です。このことによって、もう一度、ヨーロッパの信頼はがた落ちです。こんな呼びかけは、主にヨーロッパ市民をなだめるためだけのものです。親欧米プロパガンダをたっぷり浴びた無知な欧米人をなだめるためだけのものなのです。

 わからないのは、なぜ、ロシアとカザフスタン政府の特務機関が、ウクライナに「レッド・ライン」を引いた後にも関わらず、この種の「カラー革命」を予見できなかったのかということです。西側がベラルーシでクーデターの試みに失敗した後だったのになぜでしょう?西側メディアによって核の第三次世界大戦のシナリオが絶えず喧伝されたウクライナの騒動が、カザフスタンのような他の脆弱な攻撃地域からプーチン大統領の注意をそらしたからでしょうか?そして、おそらくベラルーシもプーチン大統領の注意からそれていたのでしょうか?ベラルーシ動静は、今は静かです。しかし、外から見れば、それは一時的な落ち着きのように見えます。そして、ウクライナの混乱の終結はほど遠いです。

 ロシアが先制攻撃的な対応を取るのではなく、事象の後追いをしている限り、プーチンは守勢的な窮地に追い込まれるかもしれません。プーチンは、事前に対策を講じるのではなく、ことが起こった後対応する、という戦略を採っていますが、それでは状況は常に不利な方に動いており、この戦略を考え直す必要があるのではないでしょうか。

 先制攻撃的な奇策にはどんな作戦があるか想像してみてください。例えば、ロシアがメキシコに軍事基地を設置するのはどうでしょう?不可能ではないでしょう?そんなことが実現できるくらいメキシコと友好的な関係を結ぶ力も、地位もロシアにはあります。そうなれば状況は逆転します。世界の地政学に異なる回転軸を与えることになるでしょう。メキシコのロペス・オブラドール大統領との会談を開始して、この作戦を試してみてはいかがでしょうか?

  1990年代から欧米・NATOの意図は、カザフスタンを旧ソ連圏や、今日のロシアの勢力圏から切り離すことでした。これまでのところ、先ほど指摘した理由のために、うまくいってはいません。カザフスタンは、輸出量の3割、輸入量の6割を中露に依存しています。今日、カザフスタンはユーラシア同盟に加盟しています。この同盟は事実上の統合国家であり、緊密な連携関係を保っています。

 ロシア国民とカザフスタン国民はウクライナから学びました。カシムジョマルト・ケメレビチ・トカエフ( Қасым-Жомарт Кемелұлы Тоқаев)大統領がロシアに支援を要請するのに長い時間はかかりませんでした。さらにプーチン大統領が集団安全保障条約機構(CSTO – ユーラシア安全保障機関)を通じて対応するのに時間はかかりませんでした。CSTOのメンバーはロシア(事実上の指導者)、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンです。

 ロシア軍の第1陣はすでにアルマトゥイに到着し、状況をコントロールするのに役立っています。CSTO部隊に加えて、ロシアは武装勢力に対抗するために空軍部隊を派遣しています。おそらく、ロシアの意図は、もう一つのキエフにならないようにすることでしょう。キエフの暴動の際、ビクトリア・ヌーランド米外相補佐官が、「ヨーロッパなど糞食らえ!」と言い放ったのは、米国がこのクーデターを準備するために過去数年間にすでに1000万ドルを費やしていたからでした。

 カザフスタンで見られている勢力は、ガス価格の上昇をめぐる抗議行動が始まったときのような、平和的な抗議者ではなく、非常によく訓練され武装した勢力です。平和的な抗議者だったら、政府の建物や空港を乗っ取ることはせず、警察官を撃って殺さないことは明らかです。これは明らかに外国の介入です。

 CSTO部隊が暴力を止めることができるのか、それともロシア軍を派遣する必要があるのか、そして新しい「レッド・ライン」をモスクワが描く必要があるのかが、時がたつにつれて分かるでしょう。

 驚くべきことでもあり、悲しむべきことでもあるのは、ヨーロッパ各国が何も手出ししていないことです。このままでは、NATO軍がヨーロッパの領土を破壊してしまうことになるでしょう。ロシアがNATO軍の攻撃に干渉すればそうなってしまいます。NATOが戦争ゲームをけしかけ、それが「熱戦」に変わってしまう状況を作ってしまうのは、ヨーロッパ各国のノータリンの指導者(ママ)のせいだけなのです。ヨーロッパの領土での三度目の熱戦が繰り広げられることになってしまいます。

 欧州連合(EU)が作られた所以はそこだったのです。EUは、選挙で選出されていない女性ウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen:元ドイツ国防大臣)によって率いられていますが、より重要であまり知られていないことなのですが、彼女は世界経済フォーラムの理事会のメンバーなのです。我々は、欧州連合(EU)に命令をする人を知っています。そしてEU加盟国の悪質な独裁的指導者(ママ)のほとんどは、ヨーロッパ諸国の主権を剥奪している、クラウス・シュワブの「ヤング・グローバル・リーダーズ」の特別コース出身の学者たちです。このような状況は、世界中で最もコロナ専制的な国家の指導者たちに対しても当てはまります。

 彼らを栄えさせてはいけません。

 カザフスタンの話に戻りましょう。単離されず、特定されていないウイルスで西洋人を怖がらせている同じ人々が、ロシアと中国を背後で破壊しています。

 もし彼らがカザフスタンで成功したならば、彼らはロシアをかなり弱めることができるでしょうし、次のステップはおそらく、NATOがウクライナでモスクワの「レッド・ライン」を無視し、ウクライナを武装させることであり、最終目的はウクライナをNATO加盟国にすることでしょう。

 しかしそうなる可能性は低いでしょう。というのもそんな事態になれば、プーチンはドンバス地域からウクライナに侵入することを躊躇せず、ロシアの利益を守ろうとするでしょうから。NATOと米国は、ロシアの最新の防衛システムに対して勝機がないことを知っています。NATOや米軍は、100年あまりの間で、ヨーロッパを3度消滅させることになる行為をとるでしょうか?

 カザフスタン、ウクライナ、ベラルーシのための戦いは、重要な戦略的チェスゲームです。間違いなく、ロシアはそれに勝利します。しかし、ヨーロッパにとって、そしてユーラシアは、どんな犠牲が払われなければならなくなるのでしょうか。西側が課すCOVIDの制限が厳しければ厳しいほど、ヨーロッパの主権を維持または取り戻すための代価は高くなります。

目撃者が語るカザフスタン動乱の真実。「この社会不安は何者かの扇動によるものだ」。

目撃者が語るカザフスタン動乱の真実。「この社会不安は何者かの扇動によるものだ」。

<記事原文>

Kazakhstan: Eyewitnesses Say Unrest Is Being Coordinated

サイト・フリーウエストメディアの記事より

グローバルリサーチ、2022年1月09日

フリーウエストメディア2022年1月7日


<記事翻訳寺島メソッド翻訳グループ>2022年1月18日



 アルマトゥイの暴動はプロ集団によって長期間にわたり計画されたものであったと、YouTubeで放送されたソロビエフ・ライブ・チャンネルの生放送で、ウズベキスタンのジャーナリストであるウズルベク・エルガシェフ地域の専門家が報告しました。

 彼は、200万人都市アルマトゥイの住民たちと電話で会話したことに触れ、「(住民たちによると)暴動や略奪に関わった人々はアルマトゥイの住人ではなく、またSUV車に乗った迷彩服を着た人々が暴動を統率していた、とのことです」と語りました。

 普通の群衆なら、あんなによく組織だって、迅速な行動ができないはずだ、と彼は強調しました。「警察により押収された物品を見れば、誰かが統率していたことは明らかです。そして群衆はたまたまそこにいた人々ではなかったのです。あの暴動は、指示に基づいたものだったのです。」

 この暴動に関わったものたちは、少なくとも6ヶ月かけて準備を行っていた、と彼は付け加えました。

 今回のカザフスタンの抗議行動は、ウクライナのマイダンで起こった「蜂起」と同じような形態です。マイダンの「蜂起」は、LPG価格の高騰に対する「自発的な」抗議を装ったものでした。今回のカザフスタンでの抗議行動は、わずか数日で全国規模に広がりました。暴力的なデモ隊が、次々と政府庁舎を占領し、軍と警察部隊全体を武装解除しました。

関連記事:同じ恐怖が、違った年にも 



 2020年6月、カシム・ジョマート・トカエフ(Kassym-Jomart Tokayev)大統領は、暗号通貨マイニングを合法化するための新しいデジタルコードと、銀行による暗号通貨口座の提供開始を承認しました。

(訳注:暗号通貨・マイニングとは、暗号通貨による取引に関わる情報をチェックしたり承認したりする行為のこと。その行為の報償として、マイナー(採掘者)には暗号資産が付与される)

 カザフスタンは、仮想通貨・マイニングでの使用電力で、世界第3位です。(訳注:暗号通貨マイニングには大量の電力消費が必要となる)。暗号通貨の最大の生産国であった中国が暗号通貨の使用を禁止した後、世界中の多くの暗号通貨マイナーがカザフスタンのサーバーに切り替えました。中国最大のマイナーの一人であるBITマイニングは、320のサーバーを持つカザフスタンに拠点を移し、カザフスタンは少なくとも20の暗号ファームを持つ国になりました。

 今回の動乱が起こる前、カザフスタンは世界の暗号通貨・マイニングで米国に次ぐ2位になり、カザフスタンの世界のビットコイン・マイニング占有率が、昨年6月の8.8%から18.1%に増加していました。

 ロシア、中国、米国ではkWhあたり9~11セントかかる石炭発電電力が、カザフスタンでは平均5セントで提供されています。しかし、今回のカザフスタンの暴動により、世界のビットコインの計算能力の12%が消滅させられることとなりました。

 ロシア主導の軍事同盟である集団安全保障条約機構(CSTO)は、カザフスタンに平和維持部隊を派遣すると発表しました。同部隊は今アルマトゥイに派遣されていますが、反乱を終わらせるのには数日かかることになるでしょう。ロシアの軍隊が入ったため、ことはワシントンではなくモスクワに有利に働くでしょう。



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