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米国は「100名以上」のロシア市民を不当に投獄している―在米ロシア大使

<記事原文 寺島先生推薦>
US holding ‘more than 100’ Russian citizens in jail – ambassador
Most of the charges are politically motivated, Anatoly Antonov has said
容疑のほとんどは政治的な動機によるものであると、アナトリー・アントノフは述べている。
出典:RT 2023年4月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月13日



資料写真:中米ロシア大使アナトリー・アントノフ© Mark Wilson / Getty Images


 アナトリー・アントノフ駐米ロシア大使は、現在100人以上のロシア人がアメリカの刑務所や拘置所に収容されていることを明らかにした。この発言は、水曜日(4月26日)に外交任務の一環として、ニューヨークで収監されている2人のロシア人を訪問した後になされたもの。

 アントノフは記者団に対し、「アメリカの牢獄に入れられた同胞の訪問は、今後も必ず続けていく。一部の報告によると、実際には100人以上いる 」と述べた。

 アントノフは、2人のロシア人、アナトリー・レグコディモフとドミトリー・ウクレンスキーを訪問するため、ワシントンDCからニューヨークのブルックリンに移動していた。彼は記者団に対し、ロシア人が米国で受ける罪のほとんどは政治的な動機によるものであると述べた。

 「ロシア人であれば、例えばイタリア人、フランス人、イギリス人よりも長い刑期を受けることになる、ということを何度も聞いた」とアントノフは語った。

 レゴディモフは、香港で暗号通貨取引所「Bitzlato」を運営していた際に、米国の銀行法に従わなかったとして1月に起訴された。彼は中国に居住していたが、フロリダ州マイアミにしばらく住んでいたとされ、米国はこれを法的管轄権を主張するのに十分とみなした。



関連記事:米国、フリージャーナリストへの「創造的な解決策」を検討中(WSJ紙)


 連邦検察によると、レグコディモフは「Bitzlatoが様々な犯罪活動に使用され、その結果生じた資金の安全な避難場所だと認識されるがままにしていた」、そして「マネーロンダリング防止要件を含む米国規制の防護措置を満たさなかった」、とのこと。有罪判決を受けた場合、最大5年の禁固刑に処される。

 ウクライナスキーはタイでのマネーロンダリングで訴えられた。彼は無罪を主張したが、2019年に10年の刑を言い渡された。仮釈放される見込みだが、タイ当局は2022年6月、逆に彼を米国に引き渡した。ウクライナスキーはアメリカに行ったことすらないと主張しているが、アメリカ当局は、彼がアメリカ市民の口座から30万ドル以上を盗んだと主張している。

 今週初め、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、現在米国の刑務所に「60人以上」のロシア人がおり、その多くは「疑わしい」容疑で、また数人は米国当局によって第三国から「拉致」されたものであると述べた。彼は、でっち上げの罪で米国に収監されたロシアの銃権活動家、マリア・ブティナの事例を持ち出した。

 ブティナは「ロシアゲート」ヒステリーの真っ只中に逮捕され、未登録の外国人工作員として行動しようとしていた罪で起訴された。彼女は18カ月以上収監され、その後連邦刑務所で過ごし、2019年10月にロシアに強制送還された。


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米国ドローンが、ロシア近辺を飛行する必要はない

<記事原文 寺島先生推薦>

US drones have no business near Russia – ambassador

出典:RT

2023年3月15日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月3日

アナトリー・アントノフ(露駐米大使)は、米国も自国の沖合にロシアの無人飛行機を飛ばせたくないだろう、と語った


資料写真: 米国税関・国境警備局のドローンパイロットが、米国とメキシコの国境上空でMQ-9リーパーを飛行させている(2022年11月4日撮影)© John Moore / Getty Images

 ワシントンの国務省に呼び出されたアナトリー・アントノフ大使は、3月14日(火)にアメリカの無人機が黒海に墜落した事件を、モスクワは挑発行為とみなしていると述べた。

 アントノフは、欧州・ユーラシア問題担当国務次官補のカレン・ドンフリードと会談し、次官補はドローンの損失を招いた「安全でなく専門的でない迎撃」に対して抗議した。

 アントノフは会談後、記者団に「我々はこの事件を挑発だと考えている」と述べた。彼はドンフリードに、米国の無人機、飛行機、そして船はロシアの国境にあんなに近づく必要はないと話したという。

 「ニューヨークやサンフランシスコの近くにこのようなドローンが現れたら、アメリカのメディアやペンタゴンはどのような反応を示すか想像できますか?」と彼は尋ねた。



関連記事:黒海でのドローン事件について分かっていること


 アントノフは、ドンフリードとの会談を「建設的」と評し、双方が懸念を共有していると述べた。また、東欧の現状を踏まえ、米国とロシアは「極めて慎重に」行動する必要がある、と付け加えた。また、モスクワは米国と対立することなく、「実務的な関係」を求めているとドンフリードに語った。

 米軍によると、ロシアのSu-27迎撃機2機が火曜日の朝、MQ-9リーパーに危険なほど接近して飛行し、ドローンに燃料をこぼし、ある時点でプロペラを損傷させ、UAVを墜落させた。無人偵察機は国際海域で平和的な監視任務についていた、と米軍は語っている。

 これに対し、ロシア国防省は、米国ドローンは過激な操縦を実行した後に失速し、 迎撃機は「米国ドローンに接触していない」 と述べた。



関連記事:ロシアは黒海でのドローン墜落事件について声明を発表


 アントノフは、このドローンが複数のミサイルや爆弾を搭載できる機種であることを指摘していた。MQ-9は、MQ-1プレデター(無人偵察機)の「ハンターキラー」の亜種として開発された。

 米国は1年以上前からロシア国境付近で無人機や偵察機を飛ばし、武器、弾薬、資金とともにウクライナ政府に諜報活動や標的情報を提供しているが、自らは紛争の当事者ではないこと主張している。

 正確な位置は、どちらの政府からも提供されていない。ロシアのメディアは、ドローンの最後の位置はクリミアのセバストポリ港の南西約60キロと伝えている。

ノルド・ストリーム爆破は国家レベルの仕業(プーチン)

<記事原文 寺島先生推薦>

Nord Stream blasts staged by a state-level actor – Putin

出典:RT

2023年3月4日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月3日

ロシア大統領は、攻撃の背後に「親ウクライナ派」のグループがいたとする西側メディアの報道をこき下ろした


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AFP©スエーデン沿岸警備隊

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」に対する攻撃が、「親ウクライナ派活動家」によって行われた可能性があるという最近の主張を「ナンセンス」だと断じた。プーチン大統領は2月28日(火)、ロシアのブリヤート共和国の首都ウランウデにある航空機工場を訪問した際に、このように発言した。

 「これは全くのナンセンスだと思う。このような種類の、このような威力の、このような深さの爆発は、専門家によってのみ実行され、特定の技術を保有する国家全体の力によって支援されたものだ」とプーチンは記者団に語った。

 バルト海の海底にあるパイプラインの爆破の背後に、影で暗躍する「親ウクライナ派」がいた可能性を示唆する報道が、先週なされた。ニューヨーク・タイムズ紙は匿名の情報源を引用し、この作戦に「アメリカやイギリスの国民は関与していない」と述べている。
 
 これとは別に、ドイツの複数の報道機関が、爆破事件を調査している同国の捜査当局が、攻撃に使われたとされるヨットを発見したと報じた。ヨットはポーランドに拠点を置く企業のものだが、「明らかに2人のウクライナ人の所有物」としている。


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関連記事: ノルド・ストリーム爆発に「関連」するヨットを発見(シュピーゲル誌)

 
 このヨットの報道は、アメリカのベテランジャーナリストであるシーモア・ハーシュが、アメリカのバイデン大統領政権がノルウェーからの援助を受けてパイプラインへの攻撃を演出したとする爆弾的な調査を行った直後に発表された。

 彼の情報源によると、爆薬は昨年6月、NATOの演習を装って米海軍のダイバーによって仕掛けられ、9月に遠隔操作で爆発させたという。ホワイトハウスは、ピューリッツァー賞受賞ジャーナリストであるハーシュによるこの主張を、「全くの虚偽であり、完全なフィクションである」とし、すぐに否定した。

ならず者超大国のテロ戦争。誰が得するのか?

<記事原文 寺島先生推薦>

The War of Terror of a Rogue Superpower:Cui Bono?"

筆者:ペペ・エスコバー(Pepe Escobar)

出典:Strategic Culture

2023年2月10日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年3月17日

大手山下訳 137 画像


 グローバル・サウスから見れば、ハーシュ報告書が刷り込んだのは、血のように赤い巨大な文字で書かれた、テロ支援国家としての「ならず者大国」である。

 脳がある人なら誰でも、帝国がそれをやったことはわかっていた。さて、シーモア・ハーシュの爆弾報告書は、ノルド・ストリーム 1とノルド・ストリーム2がどのように攻撃されたかを詳述するだけでなく、毒をまき散らすシュトラウス流*の新自由主義保守派の3人組サリバン、ブリンケン、ヌーランドからテレプロンプター読みの大統領の名前を挙げることさえしている。
*レオ・シュトラウス。ドイツ出身で主にアメリカで活躍した哲学者。彼の思想は現代アメリカ政治、特にネオコンと呼ばれている人に影響を与え、ブッシュ政権の運営の拠り所のひとつと見る向きもある。(ウィキペディア)

 ハーシュ報告書の白眉は、最終的な責任を直接ホワイトハウスに向けていることだ。CIAは、その役割から言って、その責任を逃れられるように描かれている。この報告書全体を、生け贄(にえ)のでっち上げと読むこともできる。すぐにでも馬脚を現しそうな、いい加減な身代わりだ。研究施設の車庫にあった例の機密文書、虚空を延々と見つめる視線、理解不能なつぶやきの数々、そしてもちろん、ウクライナとその周辺で何年にもわたって回転木馬のように繰り返されてきたバイデン一家の腐敗についての説明に関しては、ハーシュは全く手をつけていない。

 ハーシュ報告書は、トルコとシリアで発生した大地震の直後に、偶然掲載された。それだけで、それ自体、調査報道としては地震なみだ。断層をまたぎ、無数の野外の亀裂を明らかにし、 瓦礫の中に埋もれ、喘(あえ)ぐような真実の塊を明らかにした。

 しかし、話はそれだけなのだろうか? ハーシュ報告書は、最初から最後まで、(その説得力を)持ちこたえるのだろうか。イエスでもあり、ノーでもある。まず、第一に、なぜ今なのか? これはリークであり、もともとハーシュの重要な情報源である闇政府の内部関係者の一人から得た情報である。この21世紀版「ディープ・スロート*」であるハーシュは、闇政府の毒性に驚愕しているかもしれないが、同時に、自分が何を言ってもたいしたことにはならないこともわかっている。
*ウォーターゲート事件の際、内部告発者となったマーク・ウェイトFBI副長官を指す言葉

 臆病なベルリンは、この計画の肝心な部分をずっと無視してきたため、キーキー声すら出せないだろう。結局、環境問題をことさらに騒ぎ立てる輩が有頂天になった。なぜなら、このテロ攻撃は、時代を中世に戻すかのような彼らの唱える脱工業化計画を、完璧に前進させるものになったからだ。それと並行したおまけとしては、他のすべてのヨーロッパの家臣たちに、主人の声に従わなければ、自分たちも同じような運命が待ち受けている事実を思い知らせたことが挙げられる。

 ハーシュ報告書は、ノルウェーをテロに重要な共犯者として仕立て上げている。驚くにはあたらない。(ノルウェー出身である)NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長(オーウェルの「平和は戦争」を地で行く人物)は、たぶん半世紀にわたりCIAのスパイとなっている。オスロにはもちろん、この取引に参加するオスロなりの動機があった。それは、(ロシアからのエネルギーを失い)途方に暮れるヨーロッパの顧客に、自国の予備エネルギーを売り込んで、臨時収入を懐に入れることだ。

 彼の報告書でちょっと気になるのは、ノルウェーには、アメリカ海軍と違って、まだP-8ポセイドンの運用機がない、と書かれている点だ。当時でもはっきりしていた、アメリカのP-8はアメリカからボーンホルム島へ空中給油をしながら往復していたという事実があるからだ。

 ハーシュ(いやむしろ彼の重要な情報提供者と言うべきか)は、MI6*をこの話から完全に消し去っている。ロシアの情報機関であるSVR(ロシア対外情報庁)は、ポーランドと、当時のMI6にしっかり焦点を合わせていた。この主張の正しさを裏付ける事実は、ハーシュの報告書によれば、「バイデン」の背後にいる組織が計画、情報提供、そして後方支援を行っていたのに、最後の行為(この場合、ソノブイでC4爆薬を爆発させること)は家臣であるノルウェーによって行われたかもしれないとしている、という点だ。
*英国の諜報機関

 問題は、ソノブイ*がアメリカのP-8によって落とされた可能性があることだ。そして、ノルド・ストリーム2の 関連箇所うちの1つがなぜ無傷のままだったのかの説明は何もない。
*潜水艦を捜索するために航空機から海面に投下される器材

 ハーシュの仕事のやり方は伝説的である。私は1990年代半ばから米国、NATO諸国から、ユーラシア大陸全域を取材してきた。そういう外国特派員としての私の立場からすると、彼が匿名の情報源をどのように使い、どのように広範な接触リストにアクセスし―そしてそれを保護し―ているかは、簡単に理解できる。この仕事には記者と情報源、双方の信頼関係が必要となる。そういう意味で、彼の実績は、他の追随を許さない。

 しかし、もちろんひとつの可能性は残されている。もし彼が弄ばれているとしたら? これは、真の情報を隠すための思わせぶりな暴露話に過ぎないのだろうか? 結局のところ、彼の報告書の内容は、詳細な事実に基づく情報と尻切れトンボのような中途半端な情報の間で揺れ動き、その特徴は、関係者の動きを証明する膨大な文書と最新情報を持った多くの人々がふんだんに引用されているところにある。そのため、事実よりも大げさに伝えられている部分も存在している。この報告書において、CIAはことをなすことに対して常に躊躇いの姿勢を示している様子が描かれており、そこがこの記事の信憑性について疑念が生じる理由になっている。このような作戦における海底での作業に取りかかる理想の組織は、米国海軍ではなく、CIA特別活動部であることが周知の事実であるということを考えれば、特にそう思える。


ロシアはどうする?

 ほぼ間違いなく、全世界がいま今考えているのは、ロシアがどう出るか、だ。

 現在の状況を示すチェス盤を見渡すと、クレムリンとロシア連邦安全保障会議の視野に入るのは、①メルケル首相が、ミンスク2は単なる策略だったと告白したこと、②ノルド・ストリームに対する帝国の攻撃(彼らはその概要は掴んでいるだろうが、ハーシュの情報源が提供した内部の詳細までは知らないかもしれない)、③イスラエルのベネット前首相が、英米が昨年のイスタンブールで進行中だったウクライナ和平プロセスをどのように破壊したかについての詳細、だ。

 だから、(露)外務省がアメリカとの核交渉の際に、見せかけの善意を提案されても、「正統性がない、その時期ではない、そしておこがましい」とはっきり言うのも無理はないだろう。

 同省は、意図的に、そしてやや不気味な感じで、重要な問題について非常に曖昧にした。重要な問題とは、アメリカの後ろ盾でキエフが仕掛けてきた「原子力施設を対象とした」攻撃のことだ。これらの攻撃は、「軍事技術および情報諜報」の側面を含んでいた可能性がある。

 グローバル・サウスから見れば、ハーシュ報告書が印象づけているのは、血のように赤い巨大な文字で、テロの国家支援者としての「ならず者大国」である。(この間の一連の動きは)バルト海海底における、国際法の、そしてさらには帝国の安っぽい模造品である「規則に基づく国際秩序」の儀式的埋葬だ。

 闇の政府のどの派閥が、ハーシュを利用してその意図を推し進めたかを完全に特定するには、しばらく時間がかかるだろう。もちろん、ハーシュにはそれがわかっている 。しかし、それだからといって、彼が爆弾記事発表に費やした研究(3ヶ月かけた労作)を止めるわけにはいかなかっただろう。米国の主流メディアは、彼の記事を抑え込みし、検閲し、貶(おとし)め、そして無視するためにあらゆることをするだろう。しかし、重要なのは、グローバル・サウス全体で、この報告書はすでに野火のように広がっていることだ。

 一方、ラブロフ外相は、メドベージェフ(ロシア連邦安全保障会議副議長)と同様に、米国がロシアに対して「完全なハイブリッド戦争状態になり」、両核保有国が今や直接対決の道を歩んでいることを糾弾して、冷静さを制御する電源プラグを完全に抜いてしまった。そして、ワシントンがロシアの「戦略的敗北」を目標に掲げ、二国間関係を火の玉にしている以上、もう「平常業務通り」はありえないのである。

 ロシアの「反応」は、ハーシュ報告書以前から、全く別の次元になっていた。広範囲にわたって脱ドル化が進み、EAEU*からBRICSさらにそれ以外の地域に広がっている。さらに貿易相手は完全に方向転換して、ユーラシアやグローバル・サウスなどの地域が対象となっている。ロシアは、さらなる安定のための確固たる条件を確立しつつあり、避けられないその時、つまりNATOに正面から対処する時を予見している。
*ユーラシア経済連合

 軍事的対応として、戦場でロシアが、戦略的にまるで曖昧なアメリカ/NATOの代理軍(ウクライナ)をさらに粉砕していることは、はっきりとした事実だ。もちろん、ノルド・ストリームのテロ攻撃事件の後始末の付け方は常に背後に潜んでいる。(ロシアは)反撃するだろう。しかし、その時間、方法、場所はロシアが選択する。

民間の戦争請負業者の競合:米国がロシアのワグネル社を気にする理由

<記事原文 寺島先生推薦>

Private military competition: Why the US is so worried about Russia’s Wagner
Having used private contractors like Blackwater for decades, Washington is now 'concerned' about the new household-name PMC

ワシントンは数十年にわたりブラックウォーター社のような民間の戦争請負業者を利用してきたが、今や、よく知られるようになった新しい名前の業者を「懸念」している。

筆者:レイチェル・マースデン(Rachel Marsden)
     コラムニスト、政治戦略家。フランス語と英語で独自に制作したトークショーの司会者でもある。

2023年1月27日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月20日

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ルガンスク人民共和国にて、ロシアの民間軍事会社ワグネル集団の軍人が撮影。© Viktor Antonyuk / Sputnik


 民間企業を通じて他国の問題に干渉することは、長い間、米国の影響力行使の定番となっている。今、ワシントンはロシアが同じことをしていると非難しようとしているが、それは突然に悪いことになったようだ。

 最初にスタートを切れば必ず勝てるというわけではない。例えば、BlackBerry の携帯端末がどこにでもあって、iPhoneなんてほとんど聞いたことがなかった頃を覚えている人はいるだろうか。アメリカは何十年にもわたり、さまざまな偽装企業を通じて軍事・諜報活動を外部委託してきた結果、民間軍事・警備請負業者の BlackBerry、つまり Blackwater を作り上げた。そして今や、彼らは新しいiPhoneに相当するロシアのワグネル集団に夢中で、POLITICOが入手した外電によれば、ワシントンはウクライナ、シリア、アフリカ全域、セルビアでの彼らの活動(未確認の作戦を含む)を追跡している。

 報告書に引用されている「政権高官」によると、「アメリカ政府は、ワグネルが主権国家の内政にどの程度まで干渉し、人権を侵害し、鉱物資源を奪っているのかを懸念している」のだという。ワシントンが鉱物資源(これは開発途上国がいくらかの自由と民主主義のために米国の標的にされる主な根本的理由であることが多いのだが)をめぐって開発途上国の主権に新たな懸念を抱いているということはさておくとしても、ワグネル集団の存在が米国と同盟国の秘密活動の標的として既に知られている場所に集中しているように見えることを、彼らは無視できないのだろう。

 例えば、昨年、マリは、ワグネル集団を新たな相棒として選んでいるが、それはフランス軍を追い出した後だった。フランス軍はその国の治安を確保するのに苦労し、数年のうちに2度の政権転覆工作が起こるほどだった。また、ワグネル集団がセルビアに進出する可能性は、現在広く議論されている。この民間軍事会社はベオグラードの「文化センター」に拠点を置いているとされているが、当初テレグラムの投稿を情報源としたこの主張は、ワグネルの代表エフゲニー・プリゴジンとセルビア大統領アレクサンダル・ヴチッチの両方によって否定されている。また、ヴチッチ大統領は、最近ソーシャルメディアに現れたセルビア語のワグネル募集広告を批判していた。


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関連記事:米国のブラックウォーター傭兵がバグダッドで民間人を大量殺戮してから15年、民間軍事請負業者にとって何か変化があったのだろうか?


 もしこれらの主張が将来的に真実であると判明したならば、セルビアは、モスクワとその第一の同盟国であるベオグラードを標的とした西側支援の政権交代の温床になるのを防ぐのを助けるために誰かを雇うことを考えていたように思える。そして、ウクライナにおける西側の民間軍事請負業者の存在は確立されており、紛争が始まった当初から仕事の依頼が舞い込んできたと伝えられている。「募集:多言語を操る元兵士で、ウクライナに潜入し、1日最大2,000ドルとボーナスという高額な報酬で、深刻化する紛争から家族を救う手助けをしてくれる人」と書かれている。このように秘密裏に安全保障の役割を果たすだけでなく、戦争の霧に覆われた中で、戦闘的作戦に向けたちょっとした「先の見えない使命」*が魅力的でないと考えるためには、人はかなり世間知らずでなくてはならないだろう。
* mission creep本来は米軍事用語で任務を遂行する上で目標設定が明確でなく当初対象としていた範囲を拡大したり、いつ終わるか見通しが立たないまま人や物の投入を続けていかなくてはならなくなった政策を意味し批判的に使われる言葉(英辞郎 on the web)


 現代の防衛請負の青写真を作ったのは米国政府である。自動車用ミラー発明者エドガー・プリンスの息子、エリック・プリンスがブラックウォーター社を設立した。彼の父は、当時、共和党の最高献金者の一人であり、元国防長官(後に副大統領)ディック・チェイニーの友人でもあった。この会社は後に米国政府の対テロ世界戦争中にイラクとアフガニスタンのために有利な無入札警備契約を獲得することになった。同社は、CIAや国防総省の高官や幹部のための老人ホームのような存在になり、彼らは同社に転職して、高額の報酬を手にするようになった。2007年にイラクのニスール広場でブラックウォーター社の社員が発砲して14人の市民を殺害する事件を起こしたりして、同社はカウボーイ的な評判を得ることとなったが、その後の米政権下では米国の民間警備モデルとして繁栄してきた。

 ブラックウォーター社は、米国政府がもっともらしい否認の理由をつけて長い間委託していた秘密工作を明るみに出した。ニューヨーク・タイムズ紙に訓練し、カナダの特殊部隊を2年間訓練し、ニューヨーク・タイムズ紙が「アルカイダ幹部の追跡と暗殺の秘密計画」と表現したように、CIAと直接に関わって仕事をしていた。紛争地域でアメリカ人を保護するための、どちらかといえば善良に見えるアメリカ政府の公式契約にもかかわらず、CIAによって援助プログラムを通して資金提供されている他の組織と同じように、ワシントンの防衛、情報、外交政策の利益の直接的延長として機能していたのである。

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関連記事:ロシア国防省、「無私の」ワグネル戦士を賞賛


 2010年に遡るこのようなプログラムでは、USAID(米国国際開発庁)の資金で民間請負業者が雇われ、スンスネオ(ZunZuneo)というTwitterのようなソーシャルメディアネットワークの構築を通じてキューバで影響力作戦を実行した。この計画は、「議論の余地のない内容」を通じて無防備なキューバ人を引き込み、最終的に暴徒を内乱に導くというものだった。

 冷戦の最中、CIAは報道家でフェミニスト活動家のグロリア・スタイネムの活動に資金を提供した。彼女が仕事をした「独立調査局」は、国際青年フェスティバルを組織する偽装団体で、その目的は、ソ連の革命主義に代わる魅力的な選択肢を提示し、世界中の若者に影響を与えることであった。

 航空会社のエア・アメリカは、世界各地でアメリカの軍事・情報活動に重要な支援を提供したことで悪名高い存在である。1974年に解散するまで、CIAと国防総省の秘密の隠れ蓑として、ベトナム戦争から失敗したピッグス湾のキューバ侵攻まで活動した。

 このように、世に出た例は氷山の一角に過ぎない。

 米国とその同盟国にとってワグネル集団の本当の問題は、欧米の同業者と競合し、欧米の行動計画から逸脱した顧客の利益を保護する役割を果たしかねないことである。もしアメリカ政府が今そのことを問題にしているなら、そもそもそのような事態を引き起こしたのは自分たちであることを思い出すとよいだろう。

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