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G7は戦争扇動首脳会議で広島原爆の記憶を汚した。

<記事原文 寺島先生推薦>
G7 Desecrates Hiroshima A-Bomb Memory With Warmongering Summit
出典:Strategic Culture  2023年5月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月25日


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 G7は、戦争の恐ろしさと邪悪さの象徴である広島で、事実上の戦争首脳会議を開催した。

 アメリカ主導の「グループ・オブ・セブン」の陰謀集団は、この週末、日本の広島市でますます意味のなくなっている祭りを開催した。戦争を煽る指導者たちが、アメリカ帝国主義の究極の野蛮さを象徴する場所で、厳粛さを装うことは、その偽善と冒涜において吐き気がするほどだ。これらの詐欺師たちの明白な無自覚さと恥知らずさは、彼らの特権的な歴史的な仮面劇が終焉に向かっていることの確かな兆候だ。

 アメリカ大統領のジョー・バイデンは、自国の崩壊する経済や彼の家族の腐敗に関するスキャンダルから一時離れて、日本で開催されたG7首脳会議に出席した。彼と席を同じくしたのは、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダのいわゆる指導者たちと、開催国の首相である岸田文雄だ。これら追従者たちに加わったのは、欧州連合の首席腹話術人形であるウルズラ・フォン・デア・ライエンと、ウクライナのコメディアン出身で武器商人となったいわゆる「大統領」、ウォロディミル・ゼレンスキーだった。

 式典は、皮肉と偽善に満ちた「献花」から始まった。その場所は広島平和記念公園であり、その中心には1945年のアメリカによる原爆投下によって生じた象徴的な幽霊のような廃墟、原爆ドームがある。この神聖な場所に集まった指導者たち自身が、世界を別の大災害へと犯罪的に突き進めているのと同じ人間なのだ。

 バイデン大統領と彼の仲間たちは、「平和」と「核軍縮」といった空虚な話はさっさとやめ、G7サミットをロシアと中国に対する、より敵対的な呼びかけをする場にした。モスクワに対する経済戦争(制裁)のさらなる計画がなされた。モスクワは、いつものようにウクライナに対して「いわれのない攻撃」をした、と中傷の対象となったためだ。米国とNATOの友好諸国はウクライナで作り出した火薬庫への武器供与の約束をした。中国やラテンアメリカ、そしてアフリカの国々から提案されている国際的な外交努力を高飛車に退ける姿勢も見られた。

 アメリカ主導のG7顧問団は、彼らの憎悪の催しを、中国に対するさらなる敵対心を煽る場とし、北京は核兵器を増強し、世界を脅かしていると非難した。

 要するに、グループ・オブ・セブンは、戦争の恐怖と邪悪さを象徴する広島で、事実上の戦争首脳会議を開催したのだ。

 78年前の1945年8月6日の朝、午前8時15分、アメリカ空軍のエノラ・ゲイB-29爆撃機が市内に原子爆弾を投下した。その結果、市民を中心に14万人の死者が出た。多くの人々が即座に焼死し、他の人々は恐ろしい火傷や放射能中毒によって亡くなった。3日後には長崎にも第二の爆弾が投下された。

 歴史は、そのような大量破壊兵器を使用する軍事的な必要性は存在しなかったことを示している。アメリカの公式の理由は、太平洋戦争の終結を早めるというものであったが、今では明白な嘘と見なすことができる。これらの爆弾は、アメリカによって戦時同盟国であるソビエト連邦に特に向けられた国家テロの一環として意図的に使用された。これらの異常な虐殺的犯罪は、冷戦の始まりを決定づけたと言えるだろう。この恐ろしい境界設定は、それによって米国主導の西側帝国主義体制が戦後の世界を支配するためだった。

 同じ悲惨で犯罪的な冷戦の考え方は、アメリカの支配者や彼らの西側の取り巻きたちの間に今も続いている。ワシントンは、自らと同様に共犯関係にある西側の従属する国々と共に、だれも認めない覇権的な野望を維持するために戦争と紛争が必要なのだ。野蛮な権力構造は、「敵」と「脅威」と指定した「思想・意識体系的な投影」によってのみ維持され、それによって本来受け入れがたい野蛮さと戦争扇動が正当化される。ソビエト連邦が「敵」であり、それから「イスラム過激派テロリスト」となり、今ではロシアと中国になっている。

 思想・意識体系的な投影は、アメリカとその西側の同盟国を慈悲深く、平和を愛し、民主的で法を守る存在として自己陶酔的な姿で描き出す。これは、まるで信じられないほどのグローバルなgaslighting(心理的操作)であり、現実の逆転だ。これは主に、西側の企業報道機関/宣伝扇動体制を通じた大量のディスインフォメーション(情報操作)によって可能になっている。幸いなことに、その茶番も徐々に化けの皮がはがれつつある。

 今週、敬愛すべきブラウン大学のCost of War計画による調査では、過去20年間の米国主導の戦争による死者数を450万人と推定した。第二次世界大戦終結以来、米国の侵略戦争による死者数の推定は、合計で2000万~3000万人に達している。歴史上いかなる国もこの米国の破壊力に近づいた国はない。それなのに、笑ってしまうが、米国は「自由世界の指導者」、「ルールに基づく秩序を守る民主主義の担い手」などと自称しているのだ。

 アメリカは、企業資本主義経済を支えるために戦争、紛争、大量殺戮、さらには絶滅の脅威にまでその中毒症状を呈し、巨大な帝国主義的な暴走国家に堕落している。蓄積された31兆ドルの国債は、その慢性的な病状と瀕死のドルを物語っている。

 とはいえ、ワシントンの思想・意識体系的な自負心は、協力的な企業報道機関/宣伝扇動体系によって維持され、広まっている。そしてロシアや中国など他の国々を国際平和への「脅威」として描くという愚かな大胆さも持っているのだ。

 ウクライナの戦争は少なくとも9年以上の準備期間を経ている。NATOのジェンス・ストルテンベルグ事務総長ですら、2014年のCIA支援によるキエフでのクーデター以来、ロシアに対する戦争の準備が行われていることを恥ずかしげもなく認めている。この戦争は、アメリカの支配者とその西側の取り巻きたちの精神異常的論理を鮮明に示している。イギリスは戦争の激化を引き起こすためのアンクル・サムの右腕として浮上し、最新のロシアへの挑発行為としてクリミアを攻撃可能な長距離のストーム・シャドウ巡航ミサイルを供給した。既に、これらのイギリスの兵器によってロシアの市民が被害を受けている。これは、クリミア戦争(1853-1856)におけるイギリスの「軽旅団の突撃」の殺戮狂乱の第二章のようだ。イギリスの首相リシ・スナクも多様性など眼中にない軽蔑に値する人物だ。彼やバイデン、ショルツ、トルドー、マクロン、メローニ、フォン・デア・ライエンのような愚か者たちは、戦争犯罪の告発を受けるべきだ。

 アメリカの覇権的な野望によって強制される戦争の容赦のない論理は、世界を再び世界大戦の瀬戸際に追いやっている。以前の2つの世界大戦を引き起こした帝国主義的傾向が再び高まりつつある。

 広島は、戦争、特にアメリカ主導の戦争の忌まわしい記念だ。アメリカの大統領や西側の支配者層の下僕たちが、原子爆弾による大量虐殺の被害者に敬意を表しながら、同時にロシアと中国に対する攻撃の強化を計画しているという事実は、本当に憂慮すべきだ。

 傲慢なアメリカの支配者たちは、広島と長崎について謝罪したことなど一度もない。むしろ、彼らは正義を主張し続けている。バイデンは週末にさらなる侮辱を加え、日本がアメリカの「核の傘」による「保護」を受けると宣言した際に、中国の拡大主義を理由にした。これは、中国を軍事基地、ミサイルシステム、海軍の火力、核兵器を搭載可能な爆撃機で囲み込んでいる国の指導者が述べたものだ。日本の卑屈な首相、岸田文雄は、こともあろうに、バイデンに感謝し、アメリカが世界の平和のための力であると宣言した。

 いずれにせよ、G7の世界的な重要性は下落している。それは過去のアメリカ帝国主義の名残だ。この「富裕層の会合」はかつて世界経済の半分を支配していたが、現在は30%以下に減少し続けている。中国、ロシア、グローバルサウス、BRICS、ASEAN、ALBA、EEA、SCOなど、新興の多極化する世界は、アメリカ帝国が衰えつつあることと、ドルの支配力が急速に衰退していることの証明になっている。G7は、世界経済や開発を助けるというふりすらしない。G7は崩壊しつつある覇権的体制による絶望的な戦争扇動を発する戦争手段になってしまった。

 西側の報道機関/宣伝扇動の童話の世界だけが、広島でのこのような茶番を取り上げることができている。しかし、世界の他の地域にとっては、この茶番はまったく胸くそ悪いものとして映っている。
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日本は武器輸出禁止の緩和を模索している

<記事原文 寺島先生推薦>
Japan seeking to ease weapons export ban
出典:RT 2023年4月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月10日


岸田文雄首相は先月キエフを訪問し、ウクライナとの「揺るぎない連帯」を表明した。


実弾演習で弾薬を発射する陸上自衛隊の10式戦車。© AFP / Tomohiro Ohsumi


 共同通信社の報道によると、日本の連立与党は火曜日(4月25日)、日本の厳しい武器輸出規制の見直しに関する第一回目の協議を行ったという。

 岸田文雄首相率いる自由民主党は、東京が世界の安全保障分野でより大きな役割を果たすことを望んでいる。ウクライナ紛争の中、自由民主党は防衛装備品や技術の海外移転に関する規制を緩和しようとしている。

 第二次世界大戦の敗戦後に制定された憲法では、外国への武器供与は、日本との共同開発または生産した場合に限られる。

 しかし、自民党と連立与党を組む公明党は、日本の武器が国際市場に出回ることは平和主義の方針に反し、世界各地の紛争を激化させると主張して、この変更案に抵抗している。



関連記事:日本のインフレ率、40年ぶりの高水準に加速

 小野寺五典氏(元防衛大臣、現自民党安全保障調査会会長)は、東京で会談した際、「今回の話し合いで、防衛装備移転に関する問題の具体的な方向性が示されることを期待している」と述べた。

 公明党の佐藤茂樹代表は協議の中で、「戦後日本が歩んできた平和国家としての道筋」を崩してはならないとする公明党の姿勢を改めて強調した(共同通信より引用)。

 協議は難航し、自民党と公明党は、5月上旬のゴールデンウィーク明けに2回目の会合を開くことで合意した。

 キエフとモスクワの紛争勃発から1年間、日本はウクライナに防弾チョッキやヘルメットなどの防護具を供給してきた。また、東京はキエフ政権に60億ドル以上の資金援助を行い、ロシアに制裁を課した。しかし、日本国憲法は、多くの欧米諸国が行ってきたような武器・弾薬の送付を禁じている。

 先月、キエフを電撃訪問した際、岸田氏はウラジミール・ゼレンスキー大統領に、日本のウクライナに対する「揺るぎない連帯」を保証した。また、両国が二国間関係を「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げすることに合意したと述べた。

 今月初め、韓国のユン・ソクヨル大統領はロイター通信とのインタビューで、紛争が激化した場合、ソウルがウクライナに武器を送り始めるかもしれないと述べた。現在、ロシア安全保障理事会の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ元大統領は、そうなれば、モスクワが北朝鮮に最新鋭の武器を供給する可能性があると警告した。

関連記事: 韓国、ウクライナを武装させる可能性があるとの主張を否定(メディア)

 その直後、ロイターの報道によると、韓国の無名の高官が、ユンは「仮定の話」であり、ソウルはモスクワとの関係を危うくするつもりはないと主張している。

日本のインフレ、過去40年間で最高の加速

<記事原文 寺島先生推薦>
Japan’s inflation accelerates past four-decade high
Consumer prices have been on the rise since late 2022
消費者物価は2022年後半から上昇傾向にある。
出典:RT 2023年4月23日 
<寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月8日

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© Getty Images / Taiyou Nomachi


 日本の消費者は、3月、この40年間で最大の物価上昇に見舞われ、特に食料品と電気料金の上昇が深刻であったことが、政府のデータから明らかになった。

 生鮮食品は除き、エネルギーコストを含む3月のコア消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.1%増と急伸した。この数値は前月と変わらず、1月の4.2%から大きく低下した。これは主に、政府が家庭の光熱費負担を和らげるために補助金を出したことによる。

 食品とエネルギーの両方を指数から除いたインフレ率は、2月の3.5%から3月には3.8%となった。日本銀行(BOJ)の目標である2%を10ヶ月連続で大きく上回った。

 電気料金を含むエネルギー価格全体が12.8%跳ね上がったというデータもある。

 インフレ率の上昇ペースは、中東の石油危機による燃料費の高騰に悩まされた1981年以降で最も速い。

 「食品価格の上昇は、少なくとも6月頃まで続くと予想される」との総務省担当者の話は、Japan News*が引用している。
* 読売新聞の英文オンライン・ニュース

 シンクタンクみずほリサーチ&テクノロジーズによると、コアCPIは今後数ヶ月間、前年比3%前後の上昇が続くという。実質賃金がプラスに転じるのは2023年度後半になると予測した。

日本の実質賃金が9年ぶりの速度で減少(データより)
 
 来週(4月第5週)、初の政策決定会合を開く日銀の植田和男新総裁は、企業による賃上げを促進するため、インフレ率の上昇が持続可能になり、供給圧力ではなく強い需要によってもたらされたという証拠が増えるまで、金融政策を超緩和状態に保つと宣言している。

 世界的な商品価格の高騰は、日本企業を圧迫し、日本企業はコスト高の負担を消費者に転嫁している。

経済&金融についての更なる情報:RTのビジネス・サイト

日本には新しい防空壕が必要―与党議員

<記事原文 寺島先生推薦>

Japan needs new bomb shelters – ruling party MP

The nation can no longer take peace for granted, Keiji Furuya has said

日本ではもはや平和は当たり前とは言えない、と古屋圭司氏は述べた。

出典:RT

2023年4月5日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月21日

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2017年、日本・原にある核避難所。© Duddhika Weerasinghe / Getty Images


 日本は早ければ来年度にも防空壕の普及を促進する法案を可決する可能性があると、与党・自民党の古屋氏が述べた。

 「日本は77年間戦争に巻き込まれていないが、それ以来当たり前だと思ってきたことはもはや通用しない」と、国家公安委員会の元委員長で、この法案を求める国会議員団の共同代表である古屋氏は、火曜日(4月4日)に掲載されたブルームバーグ・ニュースとの聞き取り取材で語った。「世界は大きく変化した」と古谷氏は説明する。

 共同通信によると、日本で防空壕として指定されている場所のうち、地下にあるのはわずか4%だという。

 古屋氏によると、シェルター設置計画をまとめた法案は、早ければ来年度にも成立する可能性があるという。この構想は、東京と北京、そして北京と日本の同盟国である米国との間の緊張が高まる中で生まれた。


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関連記事:米国、アジアの同盟国と北朝鮮の「対抗措置」を計画中


 昨年、日本は、中国軍が台湾周辺で行った演習で発射した弾道ミサイル数発が、日本の排他的経済水域内の海域に落下したと主張し、中国に外交的抗議を行った。それに対して、中国外務省は、演習は国際法に則って実施されたものだと述べた。

 北朝鮮は2022年にミサイル発射実験を大幅に強化し、一部の発射物が日本領土の近くに着弾した。平壌は、この実験は米韓合同訓練に対応したものだと主張している。

 日本の国会議員は2月、新たな安全保障上の課題を理由に、過去最高額となる500億ドルの防衛予算を承認した。また、政府は国家安全保障戦略を改定し、敵の攻撃を先制することを目的とした「敵基地攻撃能力」の獲得をこの戦略に盛り込んだ。

 1月の会談後、日米両政府は軍事演習を増やし、防衛協力を強化することを約束した。東京とワシントンは、水陸両用攻撃や対潜水艦戦に焦点を当てた演習を含む、海上および地上での演習を定期的に実施している。

新世界大戦の準備:「ナチス‐日本」枢軸の再構築

<記事原文 寺島先生推薦>

The Preparation of a New World War: Reconstituting the Nazi-Nippon Axis

筆者:シエリー・メイサン(Thierry Meyssan)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2023年3月28日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月15日

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日本の岸田首相、キエフに支援を申し出る


 米国は、欧州連合(EU)の同盟国に対し、第三次世界大戦に備えるよう促している。「トゥキュディデスの罠」*から勝者として抜け出したいのであれば、戦うしかない。ただし、この騒ぎが、南米、アフリカ、そしてアジアの多くの国家が「中立」を宣言する中で、同盟国を「味方につける」ための演出に過ぎないのでなければ、の話だ。同時に、軍靴の音が日本の軍国主義者をかき立て、ウクライナの「過激な民族主義者」のように、復活している。
*古代アテナイの歴史家トゥキュディデスにちなむ言葉で、従来の覇権国家と台頭する新興国家が、戦争が不可避な状態にまで衝突する現象を指す。アメリカ合衆国の政治学者グレアム・アリソンが作った造語。( ウィキペディア)

 多極化世界の提唱者たちの伸長に直面し、「アメリカ帝国主義」の擁護者たちは、ぐずぐずした反応はしていない。ここでは、ヨーロッパ共同市場の軍事構造への転換と、第二次世界大戦中の枢軸国の改革という2つの作戦を分析する。枢軸国の改革という側面では、新たな役者を登場させる:日本である。


欧州連合の変化

 1949年、アメリカとイギリスは北大西洋条約機構(NATO)を創設した。その中には、カナダや西ヨーロッパで解放した国も含まれていた。彼らにとっては、自国を守ることではなく、ソ連への攻撃を準備することが問題だった。ソ連は、ワルシャワ条約を作ることで対抗した。

 1950年、朝鮮戦争が始まったとき、アメリカは紛争をドイツ民主共和国(通称「東ドイツ」)にまで拡大することを計画した。そのためには、フランス、ベルギー、そしてルクセンブルクの反対を押し切って、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)を再軍備しなければならなかった。そこで、欧州防衛共同体(EDC)の設立を提案したが、ゴーリスト*やフランス共産主義者の抵抗に遭い、失敗に終わった。
*「偉大なフランスの栄光」を追求したド=ゴール大統領の路線(ゴーリスム)の信奉者。(デジタル大辞泉)

 同時に、マーシャル・プランで西ヨーロッパの再建を支援した。この計画には、ヨーロッパ共同市場の建設など、多くの秘密条項が含まれていた。ワシントンは、西ヨーロッパを経済的に支配し、共産主義の影響やソビエト帝国主義から政治的に保護することを望んでいた。欧州経済共同体(後の欧州連合)は、米国印の民間的側面であり、その軍事的側面はNATOである。欧州委員会は、欧州連合の首脳の政権ではなく、首脳と大西洋同盟との接点である。軍備や建築だけでなく、装備品、衣服、そして食料などに関するヨーロッパの基準は、最初はルクセンブルク、次にベルギーで、NATOの各部門によって確立される。それらは欧州委員会に伝達され、今日、欧州議会で承認を受ける。

 1989年、ソビエト連邦が崩壊しつつある中、フランスのミッテラン大統領とドイツのコール首相は、西ヨーロッパをアメリカの支配から解放し、ワシントンに対抗できるようにすることを考えた。この条約の交渉は、ドイツの四分割占領の終結(1990年9月12日)、両ドイツの統一(1990年10月3日)、そしてワルシャワ条約の解消(1991年7月1日)と同時に行われた。ワシントンは、自分たちの軍事的支配を認める限りにおいて、マーストリヒト条約を受け入れた。西ヨーロッパ諸国はこの原則を受け入れた。

 しかし、ワシントンはミッテランとコールの二人に不信感を抱き、最後の最後で、欧州連合にワルシャワ条約の旧加盟国すべて、さらには旧ソ連から生まれた新しい独立国家を含めることを要求した。これらの国々は、マーストリヒト交渉団の志を共有することはなかった。むしろ、彼らを疑っていた。彼らは、ドイツとロシアの影響から自らを解放したいと考えていた。彼らは、自国の防衛を「アメリカの傘」に頼った。

 2003年、ワシントンはスペインのEU議長国(社会主義者フェリペ・ゴンサレス)およびハビエル・ソラナ共通外交・安全保障政策上級代表を利用して、ブッシュ米大統領の国家安全保障戦略に倣った「欧州安全保障戦略」を採択させた。フェデリカ・モゲリーニ上級代表は、2016年にこの文書を改訂した。

 2022年、ウクライナ戦争の際、アメリカは朝鮮戦争の時のように、再びロシア(ソ連の後継国)に対するドイツの再軍備の必要性を感じていた。そこで彼らは、今度は慎重にEUを変容させている。フランス人のエマニュエル・マクロン大統領の任期中に、彼らは「戦略的コンパス」を提案した。これが採択されたのは、ロシアのウクライナ介入からわずか1カ月後だった。EU加盟国は、協力するために集まったのか、それとも統合するために集まったのか(ヘンリー・キッシンジャーが言うところの「建設的曖昧さ」)、いまだ正確に把握できていないため、一層唖然とすることになった。

 2023年3月、現欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表のジョゼップ・ボレルが、第1回「安全保障と防衛に関するロバート・シューマン・フォーラム」を主催した。EU加盟国から多数の防衛・外務大臣が参加している。親米派の非EU欧州諸国のほか、アンゴラ、ガーナ、モザンビーク、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、ソマリア、エジプト、チリ、ペルー、グルジア、インドネシア、そして日本など多くの国が閣僚級に名を連ねた。NATOに加え、ASEAN、湾岸協力会議、アフリカ連合も参加した。とりわけ、アラブ連盟は事務総長を派遣している。



 このフォーラムの明確な目的は、「多国間主義とルールに基づく国際秩序」を守ることであり、「国際法に基づく多極化世界」という、ロシアと中国の事業計画を否定する巧妙な方法である。

 COVID-19の流行によって、EUは条約が予見していなかった健康分野での権限をすでに自らに課している。私はCOVID-19流行当初、健康な人を閉じ込めるという措置は歴史上前例がないことを説明した。それは、ギリアド・サイエンシズの前代表で元国防長官のドナルド・ラムズフェルドの要請で、CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)の責任者となり、それゆえにこの措置を世界中で始めたリチャード・ハチェット博士が考案したものである[1]。2005年に発表された彼の機密報告(残念ながら、この報告書が引き起こした反応からしか(その内容は)わからない)によると、健康な一般市民を自宅に閉じ込めることで、①移転可能な仕事を特定し、②欧米の消費財産業を閉鎖し、そして③労働力を防衛産業に集中させることになっていた。我々はまだそこまでわかっていなかったが、条約が予見していなかった公衆衛生の権限を、いかなる憤慨も起こさずに掌握したEUは、今、その条文を解釈して軍事的に強大になろうとしている。

 先週、シューマン・フォーラムで、ジョゼップ・ボレルが「戦略コンパス」の実施に関する最初の報告書を発表した。この構想は、協力というより統合の精神で、情報機関を含む各国の軍隊を結集することを調整するものである。エマニュエル・マクロンの計画は、シャルル・ド・ゴールやフランス共産主義者の計画を葬り去ることになる。「防衛のヨーロッパ」は、EU加盟国の作戦部隊を欧州連合軍最高司令官(SACEUR)(現在は米国のクリストファー・G・カボリ将軍)の権限下に置くだけでなく、従来は各国の議会が担当していたすべての資金調達の決定、さらには加盟国の行政機関が担当していた軍備や組織に関する決定も管理することを目指すスローガンであるように見える。このように、EUは誰が指揮するのかわからないまま、共通の軍隊を組織している。


「ナチス‐日本」枢軸の再構築

 第二次世界大戦というと、ヨーロッパでは1939年と1945年を思い起こす。これは絶対に間違っている。戦争は1931年、日本の将軍が満州で中国兵を攻撃したことから始まった。これは軍国主義派による、日本の文民権力への最初の越権行為であり、数ヵ月後には文民であった首相が軍人のグループによって暗殺され、その動きは増幅された。数年後、日本は軍国主義的で拡張主義的な大国へと変貌を遂げた。この戦争は、1945年の赤軍による満州の解放では終わらなかった。実際、アメリカは日本のソ連への降伏を阻み、降伏が自国の将兵の前でしか行われないようにするため、2発の原爆を使用した。1946年まで戦い続けたのは、それまで太平洋であまり戦っていなかったアメリカに対して、多くの日本人が降伏を拒んだからだ。第二次世界大戦は1931年から1946年まで続いた。このような日付の間違いをするのは、ローマ・ベルリン・東京枢軸(「三国同盟」)で初めて世界規模になったからだ。実際は、ハンガリー、スロバキア、ブルガリア、そしてルーマニアがその後すぐに参加している。

 枢軸の基盤は、加盟国のバラバラな利益ではなく、彼らのカルトの強さであった。今日、それを刷新するとすれば、このカルトを共有する国々を団結させる必要がある。

 1946年、アメリカが日本を占領したとき、まず考えたのは、日本から軍国主義的な要素をすべて粛清することだった。しかし、朝鮮戦争が勃発すると、アメリカは日本を共産主義との戦いに利用することを決めた。進行中の裁判を終わらせ、5万5千人の高官たちを復帰させた。そして、ヨーロッパのマーシャル・プランに相当するドッジ・プランを実施した。この政策転換の幸運な受益者の一人が池田勇人で、彼は首相に就任し、日本の経済を回復させた。彼はCIAの助けを借りて、自由民主党を設立した。この党から、安倍晋三首相(2012~20年)と後継者の岸田文雄氏(2020~)が誕生したのである。

 岸田は、ウクライナを電撃訪問した。戦後初めてこの国を訪問したアジアの首脳である。彼はブチャの集団墓地を訪れ、「ロシアの虐待」の犠牲者の家族に哀悼の意を表明した。多くのアナリスト達は、この訪問を日本で開催されるG7サミットの準備と解釈している。事態がそれ以上進行しなければ、の話だが。

 岸田文雄とヴォロディミル・ゼレンスキーは最終コミュニケで、「欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障の不可分性」と「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調している。彼らにとっては、ウクライナをロシアから守るだけでなく、日本を中国から守ることも重要な課題である。このコミュニケ(共同声明)は、ウクライナの「統合ナショナリスト」[2]であるナチスの後継者と、昭和ナショナリズムの後継者との新たな同盟の基礎を築いたものである。今日のウクライナは、世界で唯一、人種差別を明文化した憲法を持つ国家である。1996年に採択され、2020年に改訂されたこの憲法は、第16条で 「ウクライナ人の遺伝的遺産の保存は国家の責任である」と述べている。ウクライナのナチス首相、ヤロスラフ・ステツコの未亡人が書いた条文だ。

 これに対して、日本国憲法は第9条で戦争を放棄している。しかし、安倍晋三と岸田文雄はこの条項を廃止する闘いを始めた。とりわけ、第9条があるから、致死的な防衛装備の移送はできないので、岸田はキエフに約71億ドルの人道的・財政的支援を申し出た。非致死的な軍備に関しては、今週、3000万ドル相当の備蓄品の出荷を発表することしかできなかった。

 この日本の再軍事化は、すでにウクライナを支持して方向転換したワシントンによって支持されている。ラーム・エマニュエル駐日米国大使は、「岸田首相は、ウクライナの人々を守り、国連憲章に謳われた普遍的価値を促進するために、歴史的な訪問をしている。約900キロメートル離れたモスクワでは、別の、より極悪な連携が形作られている」(プーチン-習主席会談に言及)とツイートした。

 中国外務省の王維彬報道官は逆に、岸田首相の外遊について「日本が、反対に、事態の緩和を求めることを期待する」と述べた。ロシア側は、戦略爆撃機2機を日本海上空に約7時間にわたって派遣した。

翻訳は、ロジェ・ラガセ(Roger Lagassé)

NOTES:
注:
This article is a follow-up to : “The Middle East is breaking free of the West,” March 14, 2023.
この論考は、“The Middle East is breaking free of the West,” (2023年3月14日)の続編である。
[1] “Covid-19 and The Red Dawn Emails”, by Thierry Meyssan, Translation Roger Lagassé, Voltaire Network, 28 April 2020.
[2] “Who are the Ukrainian integral nationalists ?”, by Thierry Meyssan, Translation Roger Lagassé, Voltaire Network, 15 November 2022

安倍晋三はなぜ暗殺されたのか: そこには「欧州合衆国」と国際連盟樹立を目指す構想がある

<記事原文 寺島先生推薦>

Why Shinzo Abe Was Assassinated: Towards a ‘United States of Europe’ and a League of Nations

筆者:シンシア・チャン(Cynthia Chung)

出典:the Saker ブログ

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2023年02月06日

<翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月12日

 本稿の前編である拙稿「日本は米国の<アジアへの軸足>の犠牲になって、自らの首を絞めるつもりなのか」で既に述べたように、日本は世界経済にとって時限爆弾となったのである。

 これは日本にとって予期せぬ結果ではなく、三極委員会*の政策展望(ただし、この三極委員会に限ったことではないが)として過去50年来、仕組まれていたことである。実際、国際連盟の構想は、第一次世界大戦を始めた人々が望む項目のひとつに載せてきたものである。彼らは、世界が地域化され、帝国に奉仕する一つの世界政府を受け入れることを期待していた。イタリアやドイツに見られた「国家社会主義」的なファシズムの台頭を通じて、国際連盟という構想を再び実現しようとしていたのが世界恐慌を画策した勢力だったのである(この構想の実現は、経済危機がなければ不可能だった)。そして、そのような構想を世界に強引に導入しようとする絶望的な試みのために、第二次世界大戦が始まったのである(詳しくは、こちらこちらを参照)。
* 三極委員会は、国際社会における日本・北米・欧州の協同を促進する為に設立された非営利の政策協議組織である。世界各国から著名な政治家、官僚、財界人、学者、メディア企業取締役などが参加する。 発足時の名称は「日米欧三極委員会」。


 このような構想を実現するために、民主主義者を自称する人々は、しばしばファシストを自称する人々と同居することになったのである。

 汎ヨーロッパ主義の父であるリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵(たまたま親ファシストでもあった)は、1943年の自伝『汎ヨーロッパのための十字軍』の中でこう書いている:

「反ファシストたちはヒトラーを憎んでいた...しかし彼らは...ヒトラーの成功への道を切り開いた。反ファシストたちは、ヒトラーの最強の敵であったムッソリーニを、1933年と1934年の間にヒトラーの最強の味方に変えることに成功したのだから。私は、イタリアとスペインの反ファシストたちの、冷酷な政敵に対する勇敢でごく自然な戦いを責めるつもりはない。しかし、私は民主的な政治家、特にフランスの政治家を非難する。彼らは、ムッソリーニがヒトラーの同盟者となる前から、ムッソリーニをヒトラーの盟友として遇していたのだ。」

 カレルギーや、同様の血統を持つ多くの「エリート」によれば、ファシストによる汎ヨーロッパ支配が起こることは必然であり、カレルギーはこの「必然」に対する反ファシストや民主主義者の抵抗を明確に軽んじていることを表明した。カレルギーからすれば、ファシズムへの移行に対する反ファシストや民主主義者のより「平和的」な抵抗のために、ファシズムが暴力的な力で押しつけられなければならない状況を作り出してしまったというのである。これらの国々が単に「民主的」な条件でファシズムを受け入れていれば避けられたかもしれない悲劇であったとカレルギーは見ている。

 リヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵は、もう一つの自伝『ある思想が世界を征服する』の中でこう書いている:

プロパガンダのための集団催眠術の使用は、危機的状況にあるときに最も成功する。当時、中流階級の家庭はプロレタリアート(賃金労働者階級)に、労働者階級の家庭は仕事がない状態にまで落ち込んでいた。第三帝国は、取り残された人々、社会的地位を失った人々、そして無意味になった自身の存在に新しい基盤を求める根無し草の人々の最後の希望となった...。

 ヒトラー運動の経済的背景は、ヒトラーの2つの革命が、ドイツの2つの大きな経済危機、すなわち1923年のインフレと1930年代初頭の不況、そしてその失業者の波と重なったことを思い起こせば明らかである。その間の6年間は、ドイツにとって比較的豊かな時期であったが、ヒトラー運動はほとんど存在しなかった。(強調は筆者)とある。

 汎ヨーロッパ主義の父であり、EUの精神的父であるリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵は、オーストリアやイタリアのファシズム、さらにはカトリックのファシズムをよく語っていたため、彼の上記の引用は不気味さを増している。カレルギーは、ドイツに2度の極端な経済危機がなければ、ヒトラーの台頭はあり得なかったと認めている。問題は、これらの危機が有機的に発生したものなのか、それともむしろ計画されたものなのか、ということである。

 カレルギーは、1954年の自伝『思想が世界を征服する』の中で、「ヒトラーの人気が、主にベルサイユ条約に反対する狂信的な闘いにあったことは間違いない」と書いている。

 カレルギーが歩んできた政治的な系譜を見ると、マックス・ウォーバーグ、ルイ・ロスチャイルド男爵、ハーバート・フーバー、フランク・ケロッグ国務長官、オーウェン・D・ヤング、バーナード・バルーク、ウォルター・リップマン、ハウス大佐、タスカ・ブリス将軍、ハミルトン・フィッシュ・アームストロング、トマス・ラモント、ヒューズ判事といった人々が、ヒトラー台頭の疑問を解くヒントになっている。これらの人物はすべて、カレルギーが自伝の中で、アメリカにおける彼の支持基盤として直接名前を挙げている。彼らはカレルギーが提唱する汎ヨーロッパ主義、別名「ヨーロッパ合衆国」を断固として支持し、国際連盟構想の強固な支持者であり、パリ講和会議(1919-1920)の設計者であった。その講和会議によるヴェルサイユ条約が、ドイツに極度の経済危機の第一波をもたらしたのである(この話の詳細については、こちらをご覧ください)。

 前回の論文、「日本は米国の<アジア基軸>の犠牲になって、自らの首を絞めることを望んでいるのか?」では、三極委員会の究極の目的は、極端な構造改革を推し進めるために経済危機を引き起こすことであったと論じた。

 金融専門家で歴史家のアレックス・クレイナーはこう書いている

「三極委員会は1973年7月、デビッド・ロックフェラー、ズビグニュー・ブレジンスキー、アラン・グリーンスパンやポール・ボルカーを含むアメリカ・ヨーロッパ・日本の、銀行家・公務員・学者のグループによって共同設立されました。この会議は、今日の西側帝国の3ブロック構造を構成する国家間の緊密な協力を促進するために設立されたものでした。その“緊密な協力”は、不死身の大英帝国の執事たちによって策定された帝国の「3ブロック構造計画」のまさに基礎となることを意図したものでした。」

 その編成は、英国の対米工作機関である外交問題評議会(CFR)(別名:英国王室御用達のシンクタンクである王立国際問題研究所の後継組織)によって組織されることになる。

 1978年11月9日、三極委員会のメンバーであるポール・ボルカー(1979年から1987年まで連邦準備制度理事会議長)は、イギリスのウォリック大学での講演でこう断言した。 「世界経済の統制された崩壊が、1980年代の本当の目的である」。これは、ミルトン・フリードマンの「ショック療法」を形成してきたイデオロギーでもある。

 1975年、CFR(外交問題評議会)は「1980年代プロジェクト」と題する世界政策の公開研究を開始した。そのテーマは、世界経済の「管理下での崩壊」であり、その政策が世界の大多数の人々にもたらす飢餓、社会的混乱、死を隠そうともしなかった。

 これはまさに日本が経験してきたことであり、経済学者リチャード・ヴェルナーが著書『円の王子たち』で実証したものだ。なお、この著書の同名のドキュメンタリー映画も制作された。日本経済は、経済危機を引き起こし、極端な構造改革の必要性を正当化するために、捏造されたバブルを経験させられたのである。

 次に、アメリカ、タイガー・エコノミー*、ヨーロッパも同じように経済危機が作り出され、それが今日の世界にとって何を意味するのか、ヨーロッパが「ヨーロッパ連合」モデルを採用した結果どうなったのか、国際連盟の一国政府モデルと主権国家からなる多極的枠組みはどう違うのかを簡単に説明する。最後に、なぜ安倍晋三が暗殺されたのかについて言及し、本論を締めくくる。
* 東南アジアで急成長しているいくつかの経済を表すために一般的に使用される用語。 アジアのトラ経済圏には通常、シンガポール、香港、韓国、台湾が含まれる。


植民地主義2.0―タイガー・エコノミーのアジア経済危機

 1990年代、大恐慌以来の深刻な不況に見舞われたのは、日本だけではない。1997年、東南アジアのタイガー・エコノミー諸国の通貨は、米ドルとの固定為替レートを維持することができなくなった。1年以内に60~80%も暴落したのだ。

 この暴落の原因は、1993年までさかのぼる。この年、韓国、タイ、インドネシアといったアジアのタイガー・エコノミー圏は、積極的な資本勘定の規制緩和と国際銀行機能の整備を行い、企業や銀行が戦後初めて海外から自由に借入できるようにした。実際には、この経済圏が海外から資金を借りる必要性はなかった。国内投資に必要なお金は、すべて国内で作ることができたからだ。

 『円の王子たち』のドキュメンタリーはこう述べている:

 「資本移動の自由化に対する圧力は、外から来たものである。1990年代初頭から、IMF、世界貿易機関、米国財務省は、国内企業が海外から借金をすることを認めるよう、これらの国々に働きかけていたのだ。新古典派経済学では、自由市場と自由な資本移動が経済成長を促進することが証明されている、と彼らは主張した。

 資本勘定が規制緩和されると、中央銀行は、国内企業が海外から借り入れを行うための抗しがたい誘因を生み出すことに着手した。それは、国内通貨での借り入れを米ドルでの借り入れよりも高くすることだった。

 中央銀行は公の場で、米ドルとの固定為替レートを維持することを強調し、借り手が自国通貨での返済額が当初の借り入れ額を上回ることを心配する必要がないようにした。銀行は貸し出しを増やすよう命じられた。しかし、生産性の高い企業には海外からの借り入れの奨励金が与えられていたため、経済の生産部門からの融資需要は少なくなっていた。そのため、銀行はリスクの高い借り手への融資を増やさざるを得なくなった。

 中央銀行が自国通貨を米ドルに固定することに合意していたため、輸入は減少し始めた。競争力は低下したが、国際収支は統計上、輸出としてカウントされる外債があるため、経常収支は維持された。投機筋がタイ・バーツ、韓国ウォン、インドネシア・ルピーを売り始めたとき、それぞれの中央銀行は外貨準備のほとんどを使い果たすまでペッグ制*を維持しようと無駄な試みをした。このため、外国人金融機関は、割高な為替レートで資金を引き出す機会を十分に得ることができた。
 * 自国の通貨と、米ドルなど特定の通貨との為替レートを、一定に保つ制度。貿易規模が小さく、輸出競争力のある産業をもたない国等が、多く採用をしている。

 中央銀行は、各国が外貨準備を使い果たせば、デフォルト(債務不履行)を避けるためにIMFに助けを求めなければならないことを知っていた。なぜなら、このような場合のIMFの要求は、過去30年間同じであったからである。つまり、中央銀行を独立させること、(そして、IMFの命令に従わせること)である。

 7月16日、タイの財務大臣は、日本に救済を要請するため、飛行機で東京へ向かった。当時の日本の外貨準備高は2,130億ドルで、IMFの総資本を上回っていた。日本は喜んで支援しようとしていたが、ワシントンは、この日本からの働きかけを止めた。なぜなら、アジア危機の解決には、IMFを通じたワシントンからの支援が必要だったからである。

 2カ月にわたる投機的な攻撃の後、タイ政府はバーツを変動相場制にした。

 IMFは、タイ、インドネシア、韓国の経済危機に対して、現在までに約1200億ドルの支援を約束している。危機的状況にある国々に到着すると、IMFのチームはすぐに中央銀行内にオフィスを構え、そこから降伏条件ともいうべきことを指示した。IMFは、中央銀行や銀行の信用創造の抑制、大規模な法改正、金利の急上昇など、一連の政策を要求した。金利が上昇すると、リスクの高い借り手は貸し倒れを起こすようになった。

 大量の不良債権を抱えたタイ、韓国、インドネシアの銀行システムは、事実上破綻した。健全な企業も信用収縮に苦しむようになった。企業倒産は急増した。失業率は1930年代以降で最も高いレベルにまで上昇した。

 IMFは、自分たちの政策がどのような結果をもたらすか、よく知っていた。韓国の場合、金利が5%ポイント上昇した場合、どれだけの韓国企業が倒産するかという、詳細だが非公開の研究結果まで準備されていた。IMFの韓国との最初の合意は、まさに5%ポイントの金利上昇を要求したのである。

 リチャード・ヴェルナーはインタビューでこう述べている

 「IMFの政策は、明らかにアジア諸国の景気回復を目的としたものではありません。IMFの政策は、アジア諸国の景気回復を目指すものではなく、アジア諸国の経済、政治、社会システムを変えるという、まったく異なる課題を追求するものです。実際、IMFの取引は、韓国やタイのような関係国のリフレ[通貨再膨張政策]を妨げているのです。」

 インタビュアー:「興味深いですね。つまり、それが危機を悪化させ、IMFには隠された意図があると言いたいのですね?」

 リチャード・ヴェルナーはこう答えた。「IMFは、アジア諸国に対して、外国資本が銀行から土地まで何でも買えるように法律を改正するようはっきりと要求しているからです。実際、IMFの取引によれば、銀行システムの資本増強は外国の資金を使うことによってのみ可能です。そのために外国の資金は必要ないのです。つまり、アジアを外国の利益のために開放することが目的なのです。」

 IMFは、経営難に陥った銀行を救済するのではなく、閉鎖して不良資産として安く売却することを要求し、多くの場合、米国の大手投資銀行に売却された。ほとんどの場合、IMFの指示した「趣意書」には、銀行を外国人投資家に売却しなければならないと明示されていた。

 アジアでは、経営不振に陥った金融機関を存続させるために、政府が組織的に救済することは許されないことだった。しかし、その1年後、アメリカで同じような危機が発生したとき、同じ金融機関が異なる対応をした。

 『円の王子たち』のドキュメンタリーはこう語る。

 「コネチカット州のヘッジファンド、ロングターム・キャピタルマネジメントは、富裕層の個人投資家と機関投資家のみを顧客としていたが、50億ドルの顧客資金をレバレッジ*することでその25倍以上の資金を動かし、世界の銀行から1000億ドル以上を借り入れていた。この会社が出した損失がこの会社に資金を貸し出した銀行を弱体化させ、米国の金融システムと経済を危うくする全般的な銀行危機の可能性が生じたとき、FRBはカルテル的な救済策をとり、ウォール街や国際銀行に資金を提供させて、デフォルト(債務不履行)を回避するように仕向けた。
* 預けた資金(証拠金)を担保とし、その何倍もの金額の取引ができる仕組みのこと

 米国は、自国内で同じルールを実施するつもりもないのに、なぜ自由市場の名の下に外国にそれを要求するのだろうか。

 日本やアジアの危機の例は、経済的所有権の再分配を促進し、法的、構造的、政治的変化を実施するために、危機がいかに操作されるかを示している。

 アジアの銀行が救済されることを禁じられたのは、これらのアジア経済に対する外国人による買収が行われるようにするためであった。IMFが帝国の植民地的狙いを保証している今、誰がかつてのイギリスの東インド会社のような力を必要としたでしょうか。


IMFと三極委員会の「それほど隠されていない」予定計画

 IMFは明らかに西洋の銀行によるアジアの乗っ取りを目標に掲げているが、この勢力圏内に位置していたヨーロッパやアメリカの人々にとっての「狙い」は何だったのだろうか。彼らは帝国の略奪から利益を得る運命にあったのだろうか?

 これに対する短い答えは、もう明らかだろうが、「ノー」である。

 アメリカやヨーロッパで引き起こされた危機は、ごく小さな集団に権力を集中させるためのものであり、これらの地域にたまたま住んでいた人々、つまり統治される人々のためでなかったことは明らかである。

 ヨーロッパは特に、「ヨーロッパ合衆国」という視点に固執したために、自分自身を苦しめることになった。ユーロ圏の国々は自国通貨を持つ権利を放棄し、中央銀行の中でも最も強力で秘密主義的な欧州中央銀行(ECB)にその権限を委ねてしまった。

 このような体制の下では、ヨーロッパのどの国も自国の経済を管理することはできず、ECBが決定することに完全にさらされてしまう。

 リチャード・ヴェルナーはこう言っている。 「ECBは金利よりも信用創造*に力を入れなければなりません。ECBは過去の失敗から学ぶべきことがたくさんあります。なぜなら、基本的に信用創造を十分に注意深く観察していなかったと思うからです。スペインやアイルランドでは、ECBの監視下で大規模な信用拡大**が行われましたが、ユーロ圏では金利はもちろん同じですが、信用創造の循環量は大きく異なります。ユーロ圏全体の金利は同一ですが、2002年にECBはブンデスバンク(ドイツの中央銀行)に対して、史上最大だった信用創造量を減らすように指示し、逆にアイルランドの中央銀行には、明日がないかのように(信用創造を増やすことで)お金をたくさん刷れと指示しました。何が起きたと思いますか? 金利は同じです。成長も同じだったでしょうか? いいえ、ドイツでは不況、アイルランドでは好景気になりました。その違いは何だったのでしょう? 信用創造の規模です。」
* 信用銀行が預金を利用した貸し出しを繰り返すことによって、銀行全体として、最初に受け入れた預金額の何倍もの預金通貨をつくりだすこと。
** 信用拡大とは、市場に資金が十分に供給され、銀行が積極的に貸し出しを行える状態。


 2004年からECBの監視下で、アイルランド、ギリシャ、ポルトガル、スペインの銀行信用は年率20%以上増加し、不動産価格は急騰した。銀行の信用が落ちると、不動産価格は暴落し、開発業者は倒産し、アイルランド、ポルトガル、スペイン、ギリシャの銀行システムは債務超過に陥った。

 『円の王子たち』のドキュメンタリーはこう指摘する。

 「ECBはバブルを防ぐことができたし、その後の銀行危機や経済危機を終わらせることもできたはずだ。しかし、ECBは、財政と予算の権限を各国からEUに移譲するなどの大きな政治的譲歩がなされるまでは、それを拒否した。

 スペインでもギリシャでも、若者の失業率は50%に達し、多くの若者が海外に就職することを余儀なくされている。ECBの意思決定機関の審議は秘密である。例えば、民主的な議論や討論を通じてECBに影響を与えようとすることは、マーストリヒト条約によって禁じられているのである。

 ECBは国際的な組織であり、いかなる国の司法権の法律よりも上位に位置し、その外にある。上級職員は外交官パスポートを所持しており、欧州中央銀行内のファイルや文書は、いかなる警察や検察官によっても捜索や押収を受けることができない。

 欧州委員会は、選挙で選ばれたわけでもない組織であり、統一国家のような装飾を施した「欧州合衆国」を建設することを目的としているため、個々の政府や欧州の民主的な議会の影響力を弱めることに関心がある。マーストリヒト条約で根拠とされた中央銀行の独立性の根拠は、欧州委員会自身が依頼したたった1つの研究だけに由来していることが判明した」。


「ヨーロッパ合衆国」のファシスト的ルーツ

 1930年2月15日、チャーチルはサタデー・イブニング紙に「ヨーロッパ合衆国」と題する記事を掲載し、次のように書いている[1]。

 「汎ヨーロッパの思想の復活は、クーデンホーフ=カレルギー伯爵の考えとほぼ一致している。国際連盟は、米国がその広大かつ増大する利益を考慮して、軽率にも参加しなかったが、形式的にはともかく、事実上、主としてヨーロッパの機関とならざるを得なかった。クーデンホーフ=カレルギー伯爵は、ヨーロッパの力、利益、感情を1本の枝に集中させることを提案し、それが成長すれば幹そのものになり、明らかに優位性を獲得することになると述べた。ヨーロッパがどれほど強大か、しかしそれが分裂していた場合を考えてみてほしい!そしてすでにほぼ事実となっているように、ロシアをアジアに後退させればよいと、カレルギー伯爵は提案する。カレルギー伯爵の計画では除外されている大英帝国が、自らの世界進出の理想を実現するとしても、ヨーロッパの集団は、統合されたり、連邦化または部分的に連邦化されたり、ヨーロッパ大陸として我々はひとつであるという自己認識がなされれば、アフリカとアジアに所有地や植民地を有していることから、英国とは比較にならない有機体を構成するだろう」。(強調は筆者)。

 リヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵の『ある思想が世界を征服する』には、こう書かれている:

「驚いたことに、ヨーロッパ人の意識は十字軍の時に初めて現れたのだと知った。ローマ帝国が崩壊した後、十字軍はヨーロッパの連帯を最も強力に広報するものであった。そして、1834年、マッツィーニ*は、国家主義と民主主義を基礎とした新しい統一ヨーロッパを建設するために、既存のすべての革命運動を調整するための運動、ヤング・ヨーロッパ**を設立した」。(強調は筆者)
* ジュゼッペ・マッツィーニ 、(1805年~1872年)は、イタリアの政治家、ジャーナリスト、イタリア統一運動(リソルジメント)の活動家であり、イタリア革命運動の先頭に立っていた。彼の努力は、9世紀まで存在していたいくつかの別々の州(多くは外国勢力によって支配されていた)の代わりに、独立した統一されたイタリアをもたらすのに役立った。
** 1834年にイタリアの思想家ジュゼッペ・マッツィーニが創始した政治結社。カルボナリ(19世紀に伊・仏で興った革命的秘密結社)を通じての国際運動に限界を感じていたマッツィーニは、新たな汎ヨーロッパ的視野を持つ共和主義団体を作る必要性を感じていた。これにイタリア本国は無論、ドイツ・ポーランド・スイスなどの知識人が呼応し、1834年に「青年ヨーロッパ党」が結成された。


 興味深いことに、カレルギーは、自身が「国家主義と民主主義を基礎とする統一ヨーロッパ」に向けた最も近代的な組織者であると考えたジュゼッペ・マッツィーニは、イタリアにおけるファシズムの先駆者であると考えられていた、ともしている。カレルギーは次のように書いている[2]。

 「当時(イタリア)のファシズムは、まだ議会主義や民主主義と決別していなかった。イタリアの新政府は連立政権であり、立憲君主制の原則を尊重し、それに新たな活力と権威を与えようとしたに過ぎなかった。イタリア新政府は、若者の英雄的本能、犠牲の精神、理想主義に訴えかけるものであった。宗教的価値の尊重と古代ローマの輝かしい伝統の回復に努めた。そして、イタリア新政府は、マッツィーニをファシズムの先駆者として称えたのである」というものである(強調は筆者)。

 十字軍という主題は、カレルギーが汎ヨーロッパを構想する上で中心的なものとなり、汎ヨーロッパのための旗に十字軍のシンボルを取り入れたほどであった。

 1943年の自伝の中で、カレルギーは汎ヨーロッパの十字軍という主題について、さらに次のように説明している[3]。

 「私は、この運動のシンボルとして、黄金の太陽に赤い十字架を重ねたものを選んだ。赤十字は、中世の十字軍の旗であり、ヨーロッパの超国家的な兄弟愛の象徴として最も古くから知られているようだ。また、近年では、国際的な救援活動の象徴としても認知されている。太陽は、世界を照らすというヨーロッパ文化の功績を表すために選ばれた。ヘレニズムとキリスト教、キリストの十字架とアポロンの太陽は、ヨーロッパ文明の永遠の柱として並んでいる(強調は筆者)」とある。

 この「ヨーロッパ合衆国」というカレルギーの「汎ヨーロッパ」構想は、巧妙かつ不誠実な言葉遊びであった。アメリカはもともと、大英帝国に従順な13の植民地という形で存在していた。しかし、アメリカは大英帝国からの独立を目指し、国家としての主権を確立したとき、建国の父たちはハミルトン銀行を中心に新共和国を統一した。この政治経済の革新は、返済不可能な債務を連邦政府の信用制度に転換し、地域の産業成長に有利な連邦保護主義を制定し、銀行を一般福祉向上への投資を中心に方向付けた。

 こうして、アメリカ合衆国は、1つの通貨と国立銀行を形成し、貿易を促進することで、新しく誕生した国家の経済主権を維持することができた。

 このハミルトン流の経済組織は、ドイツの経済学者フリードリッヒ・リストの「国民政治経済システム」に影響を与え、ツォルフェライン(関税同盟)につながった。当時のドイツもアメリカのように地域ごとに分かれており(この時点までドイツは国家ではなかった)、ツォルフェラインによってドイツは歴史上初めて主権国家としての地位を確立し始めることになったのだ。フリードリッヒ・リストは、ハミルトン主義の経済体系に直接言及し、ドイツに創造性を与えた。この体系は、中華民国の父である孫文の「人民の三原則」にも影響を与え、リンカーン/ヘンリー・C・キャリーの経済計画に直接言及したもので、それ自体はアレキサンダー・ハミルトンの経済原則を引き継いでいた。これはまた、明治維新で始まった産業成長計画を組織するために、日本にいるアメリカの親リンカーン経済学者という形で復活したのである。

 このハミルトン流の経済組織の流れが、多極化の枠組みが続けている、主権を持つ国民国家の防衛と成長に受け継がれているのである。そうだ、地域協力は必要だ。鉄道のような大きなインフラ計画では、多数の国が関わるので地域協力が必要である。しかし、地域協力と国際連盟の構想とを混同してはいけないし、実際に政治的、経済的に提案されているものを見れば、両者の違いはすぐにわかるはずだ。近い将来、このテーマについてより直接的に論じる論文を書くつもりだが、今のところ、この点についてさらに詳しい内容はこちらを参照していただきたい。

 国際連盟、汎ヨーロッパ、ヨーロッパ合衆国などの構想の場合、それはまったく逆だった。それは、主権を持つ国民国家の枠組みから権力を奪い、帝国体制に従属する国家へと変貌させることだった。つまり、「ヨーロッパ合衆国」という言い方は、元来のアメリカの13の植民地に対して不誠実で誤解を招く表現であった。なぜなら、ヨーロッパ諸国は、国家の経済的主権をさらに促進するのではなく、主権を取り除き、欧州連合(中央集権的政治力)と欧州中央銀行(中央集権的経済力)、NATO(中央集権的軍事力)による中央集権に従うことを期待されたからである。欧州のどの国も、このような締め付けの中で、政治的、経済的、軍事的な運命を掌握することはできないだろう。

 国際連盟の構想が引き継がれるためには、主権を持つ国民国家は解体されなければならないだろう。この話については、拙著『黒い太陽*が沈まない帝国』を参照されたい。
*黒い太陽は、12個の放射状のジークルーネ(ᛋ)あるいは3つの重ね合わせた鉤十字(卐)で構成された、秘教的シンボルの一つである。

 1990年代以降、黒い太陽のシンボルは、ネオファシスト、ネオナチ[4]、極右、白人国粋主義者に広く使われている。

 アメリカやヨーロッパの経済危機が教えてくれたのは、ごく少数者に力を与えるために、かつては主権国家だった経済が乗っ取られ中央集権化され、一般市民の権利や福祉がますます軽視されるようになり、納税者がそのツケを払わされることになるということである。


安倍晋三はなぜ暗殺されたのか

 安倍晋三元首相は、2022年7月8日に暗殺された。暗殺された時点で日本の首相の座には(2006年から2007年、2012年から2020年9月16日まで在任)いなかったが、日本の歴史上最も長く首相を務め、日本の政策形成に大きな影響力を与え続けた。

 安倍首相が暗殺されたというニュースは、世界中で両極端から非常に強い感情で受け止められた。ある人は彼の死に慄き、彼が日本のために行ったことをほとんど聖人のように称賛した。また逆に、日本の帝国時代の暗黒面を復活させようとしたり、第二次世界大戦中の日本のファシストへの賛辞を公の場で表明したことから、いいことは何もなかった考え、大喜びして彼の死を祝う者もいた。このニュースがまだ新鮮で、混乱が頂点に達していたとき、安倍首相の死を画策したのは中国であると非難する者さえ多数いた。

 確かに安倍首相は、日本を帝国主義的な帝国に戻すという非常に危険で破壊的な使命を担っていた。彼は、日本政府の危険な民営化を推し進め、富裕層と中流市民の間の格差を拡大させた腐敗した当事者だったのだ。しかし、彼の死を絶対的な勝利として祝うのも、あまりに単純な話である。安倍首相の暗殺から7カ月が経過した今、日本は平和的で東側の友好国との対話が可能になったのではなく、むしろ好戦的で、ますます戦争に熱狂する西側の要求に協力する姿勢を強めていることがよくわかる。また、安倍首相が生きていたころはまだ進んでいたロシアや中国との経済的・政治的な協力関係も大きく断ち切られてしまった。

 安倍首相が暗殺されたのは、ペロシが台湾に曲芸のような訪問を行う数週間前だったことも興味深い。ペロシの挑発は軍事的対決には至らなかったが、その意図がなかったとは言い切れないし、中国と米国の軍事的対決という点では、まったく違った展開になったかもしれない。

 読者は、2014年に日本が憲法を改正、あるいは「解釈変更」して、自衛隊に大きな権限を与え、同盟国が宣戦布告された場合、自衛隊に「他の同盟国を守る」ことができるようにしたことを思い出してほしい。もちろん、アメリカはこの動きを全面的に支持した。

 この日本国憲法の「解釈変更」によって、日本は事実上NATOに加盟することになった。

 2022年12月、日本は新たな国家安全保障戦略を発表した。この新戦略では、防衛費を倍増させる。日本はまた、米国のトマホーク巡航ミサイルの購入や独自の兵器システムの開発など、反撃能力への投資も計画している。

 日本が帝国としての「栄光」の時代に戻るという安倍首相の壮大な構想こそが、国際連盟の構想にとって問題であった。つまり、安倍首相は日本を属国として売り渡すつもりはなかったが、それこそが欧米の絶対命令が日本に本質的に求めていたものだった。この欧米の指示の下で、日本は経済的に崩壊して絶望に沈み、軍国主義と過激さを増し、日本文明の破滅につながる中国やロシアとの戦争に神風を吹かせるという運命を受け入れるよう命じられていた。安倍首相は、そのような日本の厳しい未来像に沿うつもりはなかったようだ。

 エマニュエル・パストリッチは「安倍晋三大公の暗殺」と題する洞察に満ちた論文を書いている。[この論文は「グローバリストがルビコンを渡った時:安倍晋三の暗殺」という題名でもある]。

 パストリッチは、「(安倍は)...射殺されたとき、すでに日本の歴史上最も長く首相を務め、3度目の首相就任を計画していた」と書いている。

 言うまでもなく、世界経済フォーラム(WEF)の背後にいる権力者は、たとえグローバリストらが描く予定計画に適合していても、国民国家の中で抵抗を組織することを可能にする、安倍のような国家指導者を望んでいない。

...ロシアの場合、安倍首相は2019年、ロシアとの関係を正常化し、北方領土(ロシア語でクリル諸島)に関する紛争を解決するための複雑な平和条約を交渉することに成功した。ワシントンが東京への制裁圧力を強めても、日本企業のエネルギー契約を確保し、ロシアに投資機会を見出すことができたのだ。

 ジャーナリストの田中宇(さかい)は、ロシア政府が他の日本政府代表の入国を禁止した後も、安倍はロシアへの入国を禁止されなかったと指摘している。

 安倍は中国とも真剣に関わり、長期的な制度的関係を固め、第15回協議(2019年4月9日~12日)で突破口を開いた自由貿易協定交渉を推進した。安倍は中国の有力政治家とすぐに接触でき、その反中的な暴言を吐くことはあっても、彼らから信頼でき、予測できる者と思われていた。

 安倍の暗殺に至る経緯を引き起こしたと思われる決定的な出来事は、マドリードでのNATO首脳会議(6月28~30日)であった。

 そのNATO首脳会議は、裏の隠れた勢力が新しい世界秩序の法則を打ち立てた瞬間だった。NATOは、ヨーロッパを守るための同盟を越えて、世界経済フォーラムや世界中の億万長者、銀行家たちと協力して、かつてのイギリス東インド会社のように機能する「世界軍隊」として、説明責任を果たさない軍事大国に進化する道を急ぎつつある。

 NATO首脳会議に日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの首脳を招待するという決定は、このNATOの変革の重要な部分であった。

 この4カ国は、情報共有(ハイテク多国籍企業に外注)、先端兵器システムの使用(ロッキード・マーチンなどの多国籍企業の職員が管理しなければならない)、合同演習(抑圧的な意思決定過程の前例を作る)、その他国家内の指揮系統を弱める「協調」構想など、安全保障における前例のない規模の統合に加わるために招待された。

 7月1日に岸田が東京に戻ったとき、最初に会談を持った1人に安倍元首相がいたことは間違いないだろう。岸田は、バイデン政権が日本に要求してきた無理難題を安倍に説明した。

 ところで、ホワイトハウスは今や、ビクトリア・ヌーランド(政治担当国務次官)ら、ブッシュ一族に鍛えられたグローバリストの道具と化している。

 日本に出された要求は、日本にとって自殺行為的なものであった。日本はロシアに対する経済制裁を強化し、ロシアとの戦争の可能性に備え、さらに中国との戦争に備えなければならなかった。日本の軍事、情報、外交機能は、NATO周辺の饗宴に集う新興の民間業者の集団に移管されることになっていた。

 安倍首相が死の直前の1週間に何をしたかはわからない。おそらく、ワシントンD.C.、北京、モスクワ、そしてエルサレム、ベルリン、ロンドンにあるすべての繋がりを駆使して、高度な政治的駆け引きに乗り出し、日本が裏口から中国やロシアとのデタント(緊張緩和)を模索しながら、バイデンに全面的に協力しているという印象を世界に与えるような多層的な対応策を考えていたのだろう」。

 正直に言おう、この時点でホットメス*はむしろ誰の目にも明らかなはずだ。IMF、NATO、世界経済フォーラムの悲惨な政策を推進する立場にある人々は、司令部ではない。たったの2ヶ月弱で首相の座を降りた英国のリズ・トラス元首相が、ロシア領とウクライナ領の区別もつかず、ロストフやボロネジをロシア領とは認めないと答えて恥をかいたのは、ほとんど毎日のように起きている例のひとつに過ぎない。このような非常識な政策が最適なのは、まさにこの理由からで、彼らは自分たちが最終的にどのような結果をもたらすのか理解していない。彼らは全く無知であり、したがって、切り取られた厚紙として使い捨てにされるのである。
* ホット・メス(hot mess)は、魅力的でありながらも、目を見張るような成功を収めていない人物や物のことを指す。

 本当に起こっているのは、この対立の先に生き残れる国家はひとつもないということだ。

 西側諸国が東側諸国と対立するという話ではない。すべての国家を破滅させ、一つの帝国を形成すること、あるいは、この言葉を好むなら、一つの世界政府を形成することである。繰り返すが、これは第一次世界大戦以来、ごく少数の勢力の夢であった国際連盟の構想なのである。

 この構想の主旨は、西洋の民主主義や自由主義、西洋の価値観のことではない。帝国体制の復活を目指すものであるし、これまでもずっとそうであったのだ。この構想のせいで、第一次世界大戦が引き起こされ、第二次世界大戦も引き起こされ、この先起こるであろう第三次世界大戦もそうなのだ。

 興味深いことに、私たちは、ドイツと日本が、地球を再び本格的な世界大戦に突入させる準備の整った罠の横に位置しているのを再び目にすることになる。そして、ドイツと日本という2つの国の運命はどうなるのだろうか。ドイツと日本は、からくり人形に過ぎない「指導者」たちが、第二次世界大戦中に愚かにも誤った考えをしてしまったように、世界を火の海にしても何とか生き残る「特権階級」集団の中に自分たちが含まれていると愚かにも考えている。彼らは、自分たちが受け入れられたいと切に願う「特権階級」集団にとって、自分たちの国民や文明がいかに消耗品であるかを改めて思い知ることになるだろう。

 安倍首相が暗殺されて以来、確かなことが一つある。日本は、再び歴史の間違った側に立つ危険に繋がる、非常に危険な道をますます急速に進んでいる。問題は、ドイツと日本が同じ過ちを2度犯すほど愚かなのか、ということである。


1.クーデンホーフ=カレルギー、リチャード(1943)『汎ヨーロッパのための十字軍』: Autobiography of a Man and a Movement. G.P. Putnam's Sons, New York, pg. 198-200.
2.クーデンホーフ=カレルギー, リチャード. (1943) Crusade for Pan-Europe: Autobiography of a Man and a Movement. G.P. Putnam's Sons, New York, pg. 78.
3.クーデンホーフ=カレルギー, リチャード. (1954) An Idea Conquers the World. Purcell & Sons Ltd., Great Britain, pg. 98.

グローバリストたちはルビコン川を渡ってしまった:安倍晋三暗殺の真実

<記事原文 寺島先生推薦>

When the Globalists Crossed the Rubicon: The Assassination of Shinzo Abe

筆者:エマニュエル・パストリッチ(Emanuel Pastreich)

出典:Global Research

2022年7月23日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月6日




 7月8日は、日本の古都の蒸し暑い一日だった。日本の政界において最も力を持っていた人物である安倍晋三が、自由民主党の選挙候補の応援演説を近鉄奈良駅の前で行っていた。そのとき突然、大きな騒音が起こり、奇妙な煙が立ち上った。

 この件に対する反応は信じられないものだった。尋常でない数の群衆が集まっていたのに、かばおうと走りよる人も、怖がって地面に伏せる人も誰もいなかった。

 安倍元首相の護衛は、なぜか演説中に元首相から離れたところにいたのだが、無表情のままで、元首相を守ったり、安全なところに搬送する素振りも見せなかった。

 その数秒後、安倍元首相は身をかがめ、地面に倒れ込み、意識を失って横たわった。いつもの青ジャケット、白シャツには、血がついていた。常に付けている北朝鮮による拉致被害者への連帯の印であるバッジも見えた。おそらく即死したと見られていた。
そのときになってはじめて、護衛らが容疑者である山上徹也を取り抑えた。同容疑者は安倍元首相の後ろに立っていた。山上容疑者と護衛との格闘はテレビ視聴者のために用意された演出的な踊りのようで、プロの手による取り抑え方には見えなかった。

 山上容疑者は即座に報道機関により、元海上自衛隊員の41歳で、安倍元首相に個人的な恨みを持っている人物だと特定された。

 山上容疑者は躊躇なく警察に全てを話した。同容疑者は現場から逃げ出そうともせず、護衛に取り抑えられた時も、子ども騙しの自家製銃を手にしたままだった。

 安倍元首相が歩道に横たわった後でさえ、誰一人として避難しようと逃げる人はいなかったし、辺りを見回して、銃弾がどこから発射されたかを見抜こうとする人も誰もいなかった。まるで魔法にかけられたように、皆がこれで襲撃が終わったことを悟っているようだった。

 その後喜劇が展開された。安倍元首相をリムジンに乗せて連れ出そうとはせずに、安倍元首相の周りに立っていた人々がやったことと言えば、通行人に呼びかけて、医師がいないかを尋ねることだった。

 報道機関は即座にこの攻撃は「単独の狙撃手による犯行」であるという結論を受け入れ、山上容疑者がいかに統一教会と関係があったかについての話を面白おかしく報じていた。この宗教は預言者的呪術師である川瀬カヨを開祖とするものである。さらに報道機関は、山上容疑者が安倍元首相を非難する理由や、この宗教団体と交流があったのは誰かや、山上容疑者の母親の問題が原因だったことなどを報じ立てた。

 統一教会には、文鮮明尊師が設立した世界基督教統一神霊協会の信奉者がおり、ミシェル・ペン記者が飛びついた結論では、安倍元首相殺害につながる陰謀は、安倍元首相が世界基督教統一心霊協会とのつながりの結果であるとしていた。

 主流報道機関はこのようなおとぎ話のような説を受け入れていたが、日本の警察や保安機関は、別の解釈を否定することはできなかった。北川高嗣さんというブロガーが7月10日に投稿した内容から示唆されたことは、安倍元首相は前から撃たれたのであって、山上容疑者が立っていた後ろからではないという事実だった。そしてその銃弾は、駅前広場の向かい側の片側、あるいは両側にある高層ビルの屋上から間違いなく発射されたことを示唆していた。

北川高嗣さんの投稿




 銃弾がどこを通ったかについての北川さんによる分析は、どの報道機関による報道よりも科学的だった。これらの報道の主張で説明されていなかったことは、安倍元首相は1発だけ撃たれたとされていたのに、その夜の担当医の発表では2発の銃弾があったとされたことについての理由だった。

 一人の男性が不格好な自家製銃を手に、5メートル以上離れた群衆の中から安倍元首相に銃弾を2発食らわせる可能性は低い。テレビ番組の司会者小園浩己さんは、銃の専門家であるが、「スッキリ」という番組(7月12日放送分)で、そんな離れ業を行うことは信じられないと語っていた。

動画を注意深く見てみれば、複数の銃弾が、近くのビルの屋上から消音器付きのライフルから発射されていたことが確認できる。


世界に対する趣意 

 安倍晋三のような人物、つまり日本で最も重要な政治家であり、日本の政治家や官僚らが列をなして、現在の地政学上の危機から生み出されたこれまでに前例のない状況に際して意見を求められるような人物が、厳重な身辺警護が行われずに射殺されたということはありえないことだ

 おそらく、家でテレビを見ている人々には、この事件の趣意が伝わらなかったであろうが、日本の他の政治家たちには水晶のごとくはっきりと伝わったことだろう。その点に関して、ボリス・ジョンソンにとっても、この趣意の意味はしっかりと伝わった。ジョンソンが権力の座から追われたのは、安倍元首相が射殺されたのとほとんど同時期だったからだ。さらには、エマニュエル・マクロンにとっても、そうだ。マクロンも突然米国のウーバー社との密約に関わったという醜聞を告発され、大統領職からの追放要求に直面させられたのだ。それは7月11日のことだった。これまで何ヶ月もの間に行われた大規模な反政府運動でも、マクロンの失職は成し遂げられなかったのだが。

 この趣意は、安倍元首相に白シャツ一面に真っ赤な血のインクで書かれていたのだ。グローバリストたちが提唱する体制を受け入れ、COVID-19に関する政策を推進するだけでは、身の安全は保障されないということだ。たとえG7諸国の指導者であっても。

 いまのところ安倍元首相が、最高位の被害者である。加害者は、世界中の国民国家の統治権を食い荒らす隠れたガンだ。つまり組織的な病気だ。この病気が、国民政府から決定権を奪い、民間業社の網の中にその決定権を移行させようとしている。その網の中にいるのは、イスラエルのテルアビブやロンドンや米国のレストンにあるスーパーコンピューターを有する銀行、民間株式団体、雇われ諜報機関などだ。さらには世界経済フォーラムやNATOや世界銀行など凄い組織に雇われた政策考案者たちもだ。



 第四次産業革命は、ただの口実だった。その真の目的は、各国の中央政府が全ての情報の出し入れを管理下に置くことにあった。フェイスブックやアマゾン、グーグル、SAP(欧州最大のソフトウェア開発会社)などが、効率の名のもとにその管理に携わっている。

 J. P. モルガンの発言どおり、「全てのものには理由が二種類ある。ひとつは良い理由で、もうひとつは本音の理由だ」である。

 安倍元首相の暗殺により、これらの巨大技術関連業者の親玉がルビコン川を渡ってしまい、国家権力の頂点に君臨するものであっても、命令に従わなければ、生命の危機から免れる特権を剥奪されることが証明されたのだ。


日本についての問題点

 日本は、アジアで唯一「西側」陣営に与している先進国だとされており、特権的な組織であるG7の一員となり、諜報共有計画との提携(加入もありえる)を結ぶ資格も与えられている。その計画とは、ファイブ・アイズだ。

 しかし、日本は期待や要求に逆らい続けてきた。それは、ワシントン政権内部やウォール街に巣食う世界を股に掛ける諸金融業者や政策立案者らからの期待や要求だ。そして彼らの目的は新世界秩序の樹立だ。

 アジアでは韓国が、「日本ほど同盟国としての役割を果たしていない」としてワシントン政権から常にお叱りを受ける国だったのだが、実は国防総省や世界経済全体を抱き込むことに忙殺されている超富裕層は、日本は信頼できないという疑念を募らせているのだ。

 世界銀行やゴールドマン・サックス銀行やハーバード大学のベルファー科学国際問題センターが、グローバリスト養成機関として、「先進国」から、もっとも優れ、もっとも頭の良い人材を集めている。

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 豪、仏、独、ノルウェー・伊の優秀な人材が、ワシントンやロンドン、ジュネーブにある政策立案研究所や大学で、流暢な英語の話し方を身につけ、しばらく時間を過ごし、その後銀行や政府機関や研究機関での安定した職を得て、よい報酬をもらい、「エコノミスト」誌に書かれている常識や金銭への愛やものの見方を福音書のごとく自分たちの中に取り込んでいる。

 しかし日本は、発展してた独自の銀行体系を持ち、発展した技術を駆使できるため工作機械の面においては、ドイツの唯一無二の好敵手になれるほどであり、
洗練された教育体制のおかげで、多くのノーベル賞受賞者を生み出しているにもかかわらず、「先進」国であるために必要とされるこの型にはまるような指導者層を生み出せていない。

 日本の優秀な人材のほとんどは海外留学をしないため、日本の洗練された知識層は、海外の学界や報道記事から入ってくる情報に頼っていない。

 他の国々とは違い、日本人は洗練された雑誌論文でも全て日本語で記して、日本の専門家たちの論しか引用していない。実際のところ、植物学や細胞生物学の分野においては、日本は世界で通用する水準の複数の学術誌が日本語だけで書かれている。

 同様に、日本の国内経済は洗練されたものであるが、多国籍諸企業が簡単に乗っ取れない。もちろんその努力はしているのだが。

 この10年間で生じた大規模な富の集中により、超富裕層は目に見えないつながりを構築して、秘密裏に世界政府の樹立を目指せるようになった。 それをもっとも分かりやすく体現しているのが、世界経済フォーラムの青年世界指導者養成計画であり、シュワルツマン・スカラーズ計画*だ。この目論見の中で台頭しつつある人々が、各国の政府や産業や研究機関に入り込むことで、グローバリストたちが描く企みが邪魔されることなく前進している。
*米国最大手の投資ファンド・ブラックストーンの創業者であるスティーブン・シュワルツマン氏が約100億円の私費を投じ、2016年設立時点で各界からの300億円近い寄付金を加えて中国清華大学に設立した1年間の全額奨学制の国際関係学修士プログラム(ウィキペディアより)

 世界を統治しようとするこのずるいやり方からすれば、日本のことは奇異に思われてきた。さらに、英語を上手に話せる日本人や、ハーバード大学で学んだ日本人が、必ずしも日本社会において出世街道を歩んでいる訳ではないという事実もある。

 日本の外交や経済には厳格な自立性が見られる。そのことが幾分、COVID-19騒ぎの中、ダボス会議の連中にとって心配の種だったのだ。

 安倍政権(後続の岸田政権もだが)は世界経済フォーラムや世界保健機関からの指令にしたがい、ワクチンや社会的距離をとる政策を受け入れていたが、日本政府は、市民生活に押しつけがましく介入することは他のほとんどの国と比して少なく、各機関にワクチン接種を強制させることもあまり成功していなかった。

 QRコードを利用してワクチン未接種の人々へのサービスを阻害することも、他の「先進国」と比べて、日本では制限された導入に留まっていた。

 さらに、日本政府は求められていたデジタル化という企みについても、完全な導入には後ろ向きだった。そのため、多国籍テック巨大諸企業は、他の地域でできているような管理を日本では成し遂げられていない。日本のデジタル化が遅れていることで、ワシントンD.C.にあるウィルソン・センターは、牧島かれんデジタル大臣(デジタル省は世界の金融界からの圧力を受けて2021年9月に立ち上げられた)を呼び出し、同大臣は日本がなぜデジタル化が遅れているかの説明をさせられることになった(7月13日)。

 日本人がますます実感できていることは、デジタル化を導入することや、政府や大学の機能を多国籍テック巨大諸企業に完全に外部委託することや、情報を民営化することに抵抗することが、日本の利益にならないという事実だ。

 日本の政府機関は、古い慣習にもとづき日本語が使われており、書面による記録もいまだ日本語によるものを利用している。さらに、いまだに日本人は本を読み、韓国人や中国人のようには、AIに夢中になっていない。

 日本が見せるこのような抵抗は、1867年の明治維新にまでさかのぼることができる。日本が打ち立ててきた政治体制においては、西側の概念が日本語に翻訳され、日本の概念と組み合わされ、複雑な国内議論が交わされてきた。明治時代に確立した政治体制が、今も大きく生き残っているのだ。つまり、現在採用されている統治形式は、日本や過去の中国から取られた前近代的な主義を基盤にして、19世紀のプロイセンやイングランドの政治体制から取り込まれたものだ。

 その結果、日本の統治形式には封建的な趣向が残っている。具体的には、各省の大臣が官僚らの職務領域を監督し、官僚らは自省の予算を注意深く守り、自分たちの内部指揮系統を維持するという形が取られているのだ。


安倍元首相についての問題点

 安倍晋三は、この時代で最も洗練された政治家の一人であり、米国や他の国際的機関とは常に目に見える形で交渉をしながらも、日本がグローバリストたちの指揮下に置かれないように細心の注意を払っていた。
安倍元首相は帝国としての矜持を持てるくらい日本を再興するという夢を抱いており、明治天皇の生まれ変わりになろうと考えていた。

 安倍元首相がジョンソンやマクロンと異なる点は、TVに出演することに関心がなかったことだ。というのも、安倍元首相は日本内部で意思決定経路を牛耳れる立場にあったからだ。

 安倍元首相の執政を讃える必要はない。そうしようとしている勢力はあるのだが。安倍元首相は、腐敗した売国奴であり、政府を私物化し、教育を空洞化させるという危うい橋も渡っていたし、中流階級から富裕層への大規模な資産の移動も支援してきた人物だったからだ。

 安倍元首相は日本会議という極右団体を使って、超国家主義的な企みを推進し、過去の日本の帝国主義が持っていたもっとも攻撃的な面を賞賛したりもしてきた。このような行為は実に嘆かわしい行為だった。安倍元首相は、どれだけ愚かしくとも、防衛費の拡大を断固として支持してきたし、米国からのどんな無理難題も喜んで支援していた。

 そうとはいえ、岸信介首相の孫であり、安倍晋太郎外相の息子として、安倍晋三は幼い頃から抜け目のない政治家という姿を見せてきた。安倍晋三は幅広い政治的手腕を使うことにおいては独創的であり、その手腕により自身の企画を前進させ、世界中の民間企業や各国政府の首脳陣の門を容易く叩くことができた。そんなことができる政治家はアジアには存在しなかった。

 私は個人的に安倍元首相と2度面会したことがあるが、そのとき受けた印象をはっきりと覚えている。安倍元首相がどれほど冷酷な政策を推進しているとしても、聴衆に対しては、純粋さと明快さが伝わるのだった。日本語でいうところの「素直さ」だ。そこが彼の魅力だった。安倍元首相の振る舞いからは、受容性や開放感が伝わり、支持者の忠誠心を刺激するものであり、逆に彼の政策に敵対する勢力からすれば恐ろしい力だった。

 総じて言えば、安倍元首相は洗練された政治家であり、自由民主党内においても、国際社会においても、両側の勢力ともうまくやっていける力がある、気遣いと善意のある指導者であるといって良かった。

 このことから、安倍元首相の民族国家主義的な考え方に反対する人々も、彼を支持することを厭わなかっのだ。さらにこれらの人々の考えでは、日本が国際政治において指導的役割を再び担えることを可能にする唯一の人物であるとしていた。

 日本の外交官や軍人らは日本が独自の視点をもっていないことにいらいらし続けていた。これらの外交官や軍人らはその理由を、日本には巨大な権力を有する資格が十分あるにもかかわらず、日本を取り仕切っているのが、そろいもそろって東大卒のさえない人々だからと考えていた。つまり、テストで点は取るのは得意だが、危険を冒そうとはしない人々だ。
 
 日本は、プーチンや習近平とまではいかなくとも、マクロンやジョンソン並の指導者さえ生み出せずにいるのだ。

 安倍元首相は指導者になりたがっており、コネと才能と無慈悲さを持っていた。その能力は国際社会で一躍を担うのに必要な力だ。安倍元首相は日本の歴史上最長の首相在位期間をつとめていて、首相の3期目もめざしていたが、退陣した。

 ただ、言うまでもないことだが、世界経済フォーラムの背後にいる権力者たちは、安倍元首相のような国家指導者を求めていない。たとえそのような指導者が、権力者たちが求めているグローバルな企みに従おうとしていても、だ。というのも、安倍元首相のような指導者は、自国内での抵抗勢力を組織する力を持っているからだ。


どこでまちがったのだろうか?

 安倍元首相は、伝統的な政治手腕を駆使して、この10年間日本に突きつけられてきた解決不可能な問題をやりくりすることができていた。それは、中国やロシアとの経済的結びつきを強めながらも、米国やイスラエル、NATO同盟諸国と歩調を合わせて政治的安全保障的結合を保つという方法だった。日本にとって不可能だったことは、米国と米国の同盟諸国との関係を密にしながら、中国やロシアとの友好関係を維持することだった。だが、安倍元首相はそれをほとんどやりとげたのだった。

 安倍元首相は注意深く、また冷静さを保った。使える手腕とコネを全て駆使して、日本が独自の立場に立てるよう段取りをつけたのだ。その過程において、安倍元首相が洗練された外交手腕を託したのは、戦略考察にあたっていた外務省の谷内正太郎であり、谷内の力により、日本が国際社会において日の当たる場所に居続けられることが確証された。

 安倍元首相と谷内は、賛否両論あるが効果的でもある地政学上の戦略を駆使して、西と東、両側とのつながりを作り、秘密外交を幅広く展開し、粘り強い交渉を重ねながら、世界の覇権争いに日本を参戦させようとしていた。

 他方、安倍元首相はオバマやトランプに対しては、日本は、韓国や豪州、インドなどの国々よりも米国を支援する姿勢を示していた。安倍元首相は、国内からの激しい非難に耐えしのぼうとしていた。安倍元首相は、米国の対東アジア計画に沿うための軍備の再強化を推進しようとしていたからだ。

 ワシントン政権には、自分はいかにも親米であるという印象を強く印象づけ、武器を購入することでその姿勢を確実なものにしながらも、安倍元首相は中国とロシアに対しても、最高位段階でのやり取りを行っていたのだ。これは、簡単にできることではない。各政府への洗練された政治運動をワシントン当局内部や中国やロシア当局内で展開していたのだ。

 ロシアの場合、安倍元首相は2019年にロシアとの平和条約締結に向けた困難な交渉を成功させ、両国関係の正常化と北方領土(ロシア語ではクリル諸島)問題の解決が目指された。さらに安倍元首相は、日本企業とのエネルギー契約を確定させ、ロシア国内で投資する機会を見出すことに成功していた。それは米国政府が日本に対してロシアに対する制裁を強めるよう圧力をかけていた時でさえ、そうだった。

 田中宇(さかい)という記者の記載によると、ロシア政府が日本政府のほかの全ての政治家のロシア入りを禁止した後でさえも、安倍元首相だけは例外だったという。

 安倍元首相は中国からも、重要人物であると目されていて、長期にわたる組織的なつながりを固め、第15回自由貿易協定交渉会合(2019年4月9日~12日)においては、打開策が提示された。安倍元首相には中国の指導者層にすぐにつながる経路があり、中国の指導者層からは、信頼がおけ、想定内の言動をとる人物であると見なされていた。安倍元首相は、激しい反中的なものの言い方をする人物であったにもかかわらず、そうであった。

 安倍元首相の暗殺に繋がる過程の決定的な引き金となったのは、マドリードでのNATO首脳会議(6月28日~30日)だろう。

 このNATO首脳会議というのは、舞台裏で暗躍する勢力が新世界秩序に向けての法を敷いた瞬間だった。
NATOは急速に欧州を守る同盟を超えて、必要以上の軍事力をもつ、 世界経済フォーラムや世界中の億万長者や銀行家らのために働く組織と化している。つまり、「世界のための軍」となり、時代は異なるが、英国の東インド会社と同じ様な機能を果たしているのだ。

 NATO首脳会議に日本、韓国、豪州、ニュージーランドの指導者を招いたことが、NATOの変節の重要な部分だった。

 これらの4カ国が招かれたのは、安全保障面で前例のない規模で参画させるためだった。具体的には、情報の共有 (巨大なテック産業への外部委託)、発展した武器体系(その武器の管理をするのは、きっと多国籍企業であるロッキード・マーティン社の社員だ)、合同軍事演習(その演習が、抑圧的な意思決定過程の前例とされることになろう) 、その他の「協力」体制への参画だ。そしてこのような参画により、これら4カ国の国内の命令系統は弱体化されることになるのだ。

 岸田首相が7月1日に東京に戻った時に最初に面会したのは、まちがいなく安倍元首相だっただろう。岸田首相は安倍元首相に、バイデン政権が日本に要求した無理難題について説明したはずだ。

 なお、今のホワイトハウスは、完全にグローバリストの手先と化しており、ビクトリア・ヌーランド(国務次官(政治担当)として)やブッシュ一族に鍛えられた人々により牛耳られている。

 日本に課された要求というのは、本質的には日本の自殺を意味した。その要求を飲めば、日本はロシアへの経済制裁を強化し、起こりうるロシアとの戦争の備えをし、さらには中国との戦争の準備をしなければならなくなることが予想された。そして、日本の軍や諜報機関や外交機関の果たすべき機能が、NATOの周りでご馳走を求めて群がる契約を受けた民間諸会社という新興勢力に移行されることになると考えられた。

 安倍元首相が、死の1週間前に何をしたのかは分からない。一番考えられるのは、洗練された政治手法を駆使して、ワシントンDCや北京やモスクワにいる関係者全てに手を回したということだ。さらにはエルサレムやベルリン、ロンドンにも手を回し、世界各国からの多層的な反応を得ることで、世界に対して、日本は常にバイデン政権の支援者であるという印象づけをしようとしていたのだろう。 同時に裏から手を回して、中国やロシアとの緊張緩和をもはかっていたことだろう。

 この反応がまずかったのは、他の国々はロシアと断絶させられていたのに、このような洗練された手腕を見せた日本が、世界の準行政機関的な働きを示した唯一の主要国だった点だ。

 安倍元首相の死との密接な関連が思い浮かぶのは、朴 元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長の死だ。この人物は、2020年7月9日に行方不明になったが、この日は安倍元首相の暗殺のちょうど2年前のことだった。朴元市長は、ソウル市議会が出したCovid-19に対する社会的距離確保対策案を棄却しようとしていた。 この対策は、韓国の中央政府から課されているものだった。朴元市長の遺体は翌日発見されたが、 死因はすぐに自殺で、同僚によるセクハラの告発で気分が滅入っていたことが理由だとされた。


今すべきことは?

 現在の危険な状況を過小評価すべきではない。田中宇記者の推測の通り、米国は、日本国民が国家指導者に一番望むことを粉砕したという事実と、グローバリストたちの望みは、この先ずっと日本の総理大臣の座につくのは、ワシントン政権や、姿は見せないが人々から搾取している寄生虫のような勢力に依存する弱腰の人物であるという事実に気がつく日本人の数が増えていけば、日米関係は完全に断絶され、両国間での政治的あるいは軍事的衝突に発展する可能性があるからだ。

 考えさせられる点は、ワシントンD.C.における知日派で最高位の地位にある人物であるマイケル・グリーンが、グリーンの所属機関であるCSIS(戦略国際問題研究所)のホームページで掲載された、安倍元首相の死に際して追悼文を書いた最初の人物ではなかったという事実だ。

 グリーンは、ブッシュ政権下の国家安全保障委員会の委員や、CSISでアジア部門ヘンリー・A.キッシンジャーのもと、CSISのアジア問題担当部長をつとめた古参であり、著書に『優位への道:安倍晋三政権下での日本の総合的戦略』がある。グリーンは、安倍元首相との関係が近く、おそらく米国民の中でもっとも親しい間柄だっただろう。

 安倍元首相に対する追悼文の草案を書いたのは、クリストファー・ジョンストーン(CSISの日本議長で元CIA職員)だった。この首をひねるような選択から示唆されることは、この暗殺が非常に微妙な問題であるため、グリーンは本能的に、最初の執筆者となることを回避し、自ら執筆するのではなく、他の人が職務上の行為として書くよう仕向けたのではないか、ということだ。

 ワシントンや東京やそれ以外の世界各地在住の責任ある立場にある知識人や市民たちがこの怪しげな暗殺事件に対して唯一取れる実行可能な対応は、国際的な科学捜査を要求することだ。
その過程には痛みが伴う可能性があるが、そうすることにより私たちは、自国政府が目に見えない勢力により抑え込まれている現実を直視することができるだろう。

 しかし、舞台の裏にいる真の陰謀団を特定しない限り、我々の行く末は、非難の矛先が各国政府の首脳陣に向けられたり、世界の国同士が戦争を始めざるを得ない状況になりかねない。その目的は、真犯人である世界を股にかける金融業界の罪をみえなくすることだ。

 日本政府が軍部により支配権を奪われた最後の事件は、ある意味、1932年5月15日の犬養毅首相暗殺事件や1936年2月26日の斎藤実(まこと)暗殺事件だといえる。ただし、国際社会という舞台から見れば、安倍元首相暗殺との関連をより強く感じさせる事件と言えば、1914年6月28日のオーストリア・ハンガリー帝国のフランツ・フェルディナント大公暗殺事件だろう。
この事件は、ロスチャイルドやウォーバーグ財閥などの諸銀行が利益を得るために世界経済を統合しようとした魂胆から引き起こされたものだ。それが、第一次世界大戦へと繋がってしまった。

*

エマニュエル・パストリッチはアジア協会の協会長をつとめた経歴がある。この協会は、ワシントンD.C.、ソウル、東京、ハノイに事務所を持つ政策研究所だ。さらにパストリッチは、未来における都市環境協会の代表をつとめている。パストリッチは2020年2月に、米国大統領の無党派候補者に立候補した。パストリッチは、当グローバル・リサーチに定期的に執筆している。

日本は、子どものおもちゃのロシアへの輸出を禁止

<記事原文 寺島先生推薦>

Japan bans exports of kids’ toys to Russia

この制限策の意図は、「ロシアの産業の基礎の強化」の妨害にある

出典:RT

2023年3日31日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月6日



ポケモンのピカチュウのぬいぐるみ© James Matsumoto / SOPA Images / LightRocket via Getty Images


 日本は金曜日(3月30日)、ロシアに対する新たな制限措置を導入し、輸出禁止項目商品の一覧に子どものおもちゃを加えた。

 日本の通産省から、「ロシアの産業の基礎の強化に繋がる商品」についての貿易に関する制限の見直しを行ったという公式声明が金曜日に出された。

 更新された品目一覧には、鉄鋼、アルミ、建設機械、電気装置、航法用無線設備、航空機、宇宙船が加えられた。さらにこの一覧に、子ども用の商品も加えられた。具体的には、玩具、縮尺模型、パズル、車輪のついたもの(自転車やベビーカー)などだ。

 「200年以上にわたる制裁の歴史の中で、子ども用品に制裁がかけられたことはありません」とロシア国立研究大学経済高等学院の世界の経済・世界の政治学部アンドレイ・スズダルツェフ氏はテレグラム上に投稿した。さらに「これは明らかに、日本がロシアの子どもたちに宣戦布告を行ったということです」とも付け加えた。

 独立系ニュース機関であるBNNの記事によると、「輸出禁止品目におもちゃ、特に、人気のあるポケモンの営業販売権を加えたことは、日本がロシアに様々な方策を弄して圧力をかけようとする意思があることをはっきりと示している。文化的にも経済的にも重要な消費財を標的にすることも含めてだ」という。

 この禁輸策は4月7日から発効となる。



関連記事:日本はロシア産石油に上限価格を設定



 日本が先日禁止したのは、今年初旬に課された制裁を拡大するものであった。今年初旬の制裁は、軍事目的に使用することができる品目や軍民両用物品や特定の商品や半導体にかけられたものだった。

 ロシアによるウクライナでの軍事作戦の開始以来、日本は、ロシアの指導者たちや銀行や企業に制裁を課し、ロシアを貿易最恵国から外した。日本政府は50人以上の起業家と900人以上の個人を要注意人物扱いとした。さらに日本当局は、ロシアの諸銀行の資産と40近い数の企業や組織の資産を凍結した。

 これに対してロシア政府は、日本をいわゆる「非友好国」のひとつとみなし、数十人の日本の政治家や報道機関の代表らのロシア訪問を禁じた。それ以外の措置として、ロシアは1991年からの取り決めを廃止し、日本国民のビザ無しの千島列島訪問を禁止し、第二次世界大戦を正式に終結させる日本との話し合いの中断を決めたが、その理由は、日本側の「明らかに非友好的な態度」にあるとした。両国が第二次世界大戦後、正式な平和条約を結べていないのは、千島列島の最南端にある四島の領有に関する議論があるからだ。日本側はこの四島を、「北方領土」と称している。

日本は、米国の「アジア基軸」に追従して自らの首を絞めるのか?

<記事原文 寺島先生推薦>

Is Japan Willing to Cut Its Own Throat in Sacrifice to the U.S. Pivot to Asia?

筆者:シンシア・チャン(Cynthia Chung)

出典:Strategic Culture

2023年2月3日

<翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年3月4日

日本経済


日本経済に、ごく近い将来に待ち受けているものが何か、それを知るには、予言者や(占いの)水晶玉はいらない。日本は世界経済にとっての時限爆弾になっているのである。中国経済がこの先に終末を迎えるであろうという、いわゆる「専門家」による予言が10年近く続いており、この予言は経済分析というよりは希望的観測に近くなっている。

 この中国経済に関するメディアの轟音の中で聞こえないかもしれないが、日本経済には、そのごく近い将来に何が待ち受けているかを語るために預言者や(占いの)水晶玉は必要ない。つまり、日本が世界経済にとっての時限爆弾になっているということである。

 以下は日経アジア*の10月の報道だ。日本で「円安ドル高が進行し、1ドルが150円を超えるという32年ぶりの安値になったのは、日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)の政策格差が拡大していることを受けてのことだ。・・・ 日銀は経済を支えるために金融超緩和策を続けているが、FRBはインフレに対処するために利上げを繰り返してきた。」
*日本経済新聞国際版。マルチデバイスメディア。

 「FRBのタカ派的な金融政策は、根強いインフレ予測に伴って、基準となる米国10年債の利回りを4%まで上昇させた。一方、日本銀行は10年もの国債利回りをゼロ近辺で維持し続けている。日本銀行は2日連続で国債買い入れオペを実施し、決められた範囲と目されている-0.25%から0.25%内に利回りを収めた。」

 「イールドギャップ(利回り差)が投資家に円ではなくドルでの投資を促し、日本の通貨に強い下落圧力を及ぼしている。」 (強調は筆者)

 これに対し、日本銀行(BOJ)は、「超低金利の金融政策」を維持することを決定し、黒田東彦総裁は、 「経済の下振れリスクを強調し、円安を容認する姿勢を示し」た。11月中旬には、インフレと円安が日本を襲い、日本経済が4半期ぶりに縮小したと報じられた。そして、「日本は極端な円高に苦しんだ歴史がある」と黒田は付け加え、たくましすぎる通貨よりも過度な円安の方が負担は軽いと述べた。

 11月中旬になると、日経アジアは 「日本銀行の超緩和政策でインフレ率が40年ぶりの高水準に迫っており」、10月の食品価格は前年比3.6%増と目標の2%を大きく上回ったと報じた。日銀の黒田総裁は、「日銀は金融緩和政策を持続させる意向だが、その目的は日本経済をしっかりと支え、それによって物価安定の目標である2%を持続的かつ安定的に達成することであり、その目的には賃上げも含まれている」と回答した。

 1月中旬までに日本は、2022年の年間貿易赤字が1550億米ドルとなり、過去最低を更新したと発表した。

グラフ


 これは日本経済にとって突然の結果ではなく、12年間かけてゆっくりと焦げ付いてきたものである。アレックス・クライナー(Alex Krainer)は次のように書いている。「その後12年間、これまで以上に大規模なQE(量的金融緩和政策)が数回行われたが、不均衡は悪化するばかりで、昨年2月には、日銀は「(ユーロを守るためには、)あらゆる措置を取る用意がある(all-that-it-takes)と語っていた元欧州中央銀行総裁のイタリアのマリオ・ドラギよろしく、日本国債を無制限に購入することを約束せざるを得なくなった。しかし同時に、日銀は国内の借入コストを膨らませないために10年もの国債の金利を0.25%に抑えた。 ... さて、暴走した政府債務をやりくりするために通貨を無限に生み出し、金利を市場レベル以下に抑えたら、確実に通貨は吹き飛ぶ。」

 この日本経済の展開と無関係ではないのが、この11月に東京で開催された「日米欧三極委員会」の50周年記念会議である。
三極委員会は、1973年のウォーターゲート事件と石油危機を契機に設立された。「民主主義の危機」に対処し、より「安定した」国際秩序と地域間の「協力」関係を形成するために、政治システムの再構築を呼びかけるという建前で結成されたのであった。

 アレックス・クライナーはこう書いている

 「委員会は1973年7月にデービッド・ロックフェラー、ズビグニュー・ブレジンスキー、アラン・グリーンスパン、ポール・ボルカーを含むアメリカやヨーロッパ、日本の、銀行家、公務員、学者のグループによって共同設立された。これは、今日の西側帝国の3ブロック構造を構成する国家間の緊密な協力を促進するために設立されたものである。その“緊密な協力”は、かつて繁栄していた大英帝国の手のものたちが策定した帝国の“3ブロック計画”のまさに基礎となるものであった。」

 その設立は、アメリカにおけるイギリスの手先である外交問題評議会(別名:イギリス王室の主要なシンクタンクである王立国際問題研究所を母体とする組織)によって組織されることになる。

 プロジェクト・デモクラシーは、1975年5月31日に京都で開催された三極委員会の会議「民主主義国家の統治能力に関する特別委員会」に端を発するものである。この事業は、三極委員会のズビグニュー・ブレジンスキー理事、ジェームス・シュレジンジャー(元CIA長官)、サミュエル・P・ハンティントンによって差配されていた。

 このプロジェクトは、「終わりの始まり」を告げるものであり、「社会の管理的な崩壊」を誘発するための「政策」、あるいはより適切な言い方をすればそのための「基本的な考え方(イデオロギイ)」を導入するものだった。

 しかし、この三極委員会の一部の参加者は、米国、西ヨーロッパ、日本による地域再編のための同盟(国際連盟のようなもの)の目的が、彼らが単純に考えていたものとは違うこと、つまり、競合する国々の経済の崩壊だけでなく、自分たちの国の経済(の崩壊)も含まれるということに気付き始めているようだ。

 つまり、競合する国々の経済だけでなく、自分たちの国の経済も含めて崩壊させるということ、そして最終的には、すべての人が新しい世界帝国のトップに跪き、従属することが期待されるのである。今回の三極委員会の出席者の一人は、「世界の重要な出来事はすべて三極委員会によって事前に決定されていると言う人もいる」と冗談を言い、ベテラン出席者の笑いを誘っていた。しかし、「我々は、誰がその決定過程に入っていて、その人たちが何を言っているかは分からない」とも語っていた。

 興味深いことに、日経アジア社から3名の記者が招待され、三極委員会50周年記念の会合に初めて報道陣の立ち入りが許可された。会議は、ラーム・エマヌエル駐日米国大使のスピーチから始まった。タイトルは、「民主主義 対 独裁主義: あなたは2022年を民主主義の成功の転換点として見ることになる」というものだった。

 興味深いことに、アジア諸国の代表者たちは、あまりよい印象をもたなかったようだ。

日経アジアは報じた「...報道関係者は、アジアと組織のその他の勢力の間に生じているかもしれない軋轢を強調するために招待されたのだ。『アジア、特に中国に対する米国の政策は、狭量で頑なな精神を持っていると感じている。私達はアメリカの人々にアジアには様々な見方があることを分かって欲しい」 と三極委員会の代表理事である池田祐久氏は述べた。池田氏は次期アジア太平洋グループ局長に指名され、来春に就任する予定である。

 ...アジア太平洋グループからは、今、新たな空気が生まれつつある。適切な舵取りをしなければ、米中対立は世界を危険な対立に導くかもしれない。」(強調は筆者)

 ラーム・エマヌエル駐日米国大使が、民主主義は 「ずさん」で 「厄介」だが、「民主的プロセスの制度や、米国・NATO・欧州諸国の政治的安定は保たれている」 と述べたことが引用された。

 しかし、エマヌエルの親米、親NATO、反中国という姿勢に異を唱える出席者も少なくなかった。「大使は何を言っているのだ」 と、日本の元官僚は非公式に語った。「中国を巻き込まなければならない。もしどちらかを選べと言われたら、東南アジアの国々は中国を選ぶだろう。重要なのは、無理に選ばせないことだ」と語った。

 日本の元財務官僚は、「今回の会議に中国の参加が全くないのを見ると、非常に恥ずかしいし、残念に思う」と述べた。フィリピンからのベテランの参加者も「アジア最大の国の参加なしにアジアを語る意味はない」と同意し、世界を2つの陣営に分けることに懸念を表明した。「2頭のゾウが戦えば、アリが踏みつぶされる。そして、私たちはそれを実感している。2頭のゾウが死ぬまで戦うと、私たちは皆死んでしまう。そして、問題は、何のために戦うのか?ということである。」(強調は筆者)

 韓国のある教授は、質疑応答の時間にエマヌエルに対し、米国の対中外交におけるゼロサム思考*について、アジアでは懸念があると述べた。「我々は、志を同じくしない国々を説得し、巻き込むために、何らかの実現可能な戦略を練らなければならない」 と。
*一方が利益を得たならば、もう一方は同じだけの損をし、全体としてはプラスマイナスゼロになることをいう。


 日経アジアはまた以下のように報じている。「ワシントンが提唱する自由主義的な国際秩序が、第二次世界大戦後に形成された本来の自由主義的な秩序といかに異なるかを指摘する参加者もいた。米国が主導した本来の秩序は、民主主義圏の多国間機関と自由貿易に基づく多面的で広範な国際システムを求めていた」と韓国の学者が述べている。「北朝鮮の核兵器に関する6者協議は、そのような本来の秩序の一例であり、米国、中国、ロシアがテーブルについたと、その学者は述べている。」(強調は筆者)

 日経アジアは、三極委員会のベテランである元フィリピン閣僚が、ポーランドでのミサイル爆発について、「この1週間で、我々は核紛争へと舵を切った」と述べたことを最後に紹介している。なおこのミサイル爆発は、当初ロシア製のミサイルだと考えられていたが、ウクライナの対空ミサイルがNATO加盟国領内に、「誤って」着弾したものである可能性の方が高いことが後にわかっている。「そしてその方向へと舵が切られたのは、我々年長者がゼロサムゲームのような馬鹿げたゲームに興じているからだ。自分たちの未来はこれでいいのか? 皆が崖に追いやられているのに、強硬な姿勢を取って、ゼロサムゲームのせいでこの星が消滅の危機にあることに気づいていない。こんな未来予想図を誰が望むというのか? 気候変動の話どころではないのだ」 とこのベテランの参加者は語っている。

 「民主主義の危機」に対する日本の 「ショック療法」

 三極委員会は非政府組織であり、そのメンバーには世界各地の選挙で選ばれた者、選ばれていない者が含まれ、皮肉にも最も非民主的な方法で選ばれたそんな人々が集まって、「民主主義の危機」に対処する方法を議論している。つまりこの委員会は、国民が誰を政治家に選んだかなど考慮しない、メンバーの「利益」を守るための組織である。

 1978年11月9日、三極委員会のメンバーであるポール・ボルカー(1979年から1987年まで連邦準備制度理事会議長)は、イギリスのウォーリック大学での講演で次のように断言することになる。「世界経済の統制された崩壊は、1980年代の正当な目的である」。これは、ミルトン・フリードマンの「ショック療法」を形づくった基本的考え方(イデオロギー)でもある。ジミー・カーター政権の頃には、政府の大部分が三極委員会のメンバーによって運営されていた。

 1975年、外交問題評議会(CFR)は「1980年代の事業」と題する世界政策の公開研究を開始した。そのテーマは、世界経済の「制御された崩壊」であり、その政策が世界のほとんどの人々にもたらす飢餓、社会的混乱、死を隠そうとしもなかった。

 その内容は、世界の金融・経済システムの全面的な見直しが必要であり、エネルギー、信用供与、食糧などの主要部門は、単一の世界政府の管理下に置かれるというものであった。この再編成の目的は、主権国家を廃することである(国際連盟モデルを使用)。

 このショック療法は、リチャード・ヴェルナーの著書を基にしたドキュメンタリー映画『円の王子たち(Princes of Yen)』で紹介されているように、過去40年間に日本経済に起こったことであり、まさに実証的なものである。ヴェルナーが示すように、日本経済は外国からの干渉を受ける前は世界でもトップクラスの経済実績を誇っていたにもかかわらず、大規模な構造改革を推進するために、80年代と90年代を通じて意図的に複数の経済危機を経験させられたのだ。

 ヴェルナーの言葉通り、危機を創造する最善の方法はバブルを作り出すことであり、そうすれば誰もそれを止めることはできない。

 この事がいかに重要であるかを理解するためには、40年以上にわたって日本経済に起こったことを簡単に振り返ってみる必要がある。

 「自由貿易」という祭壇の上で日本が神々に捧げたもの

 1980年代、日本は米国に次ぐ世界第2位の経済大国であり、米国を含む欧米向けの消費者向け技術製品の製造では指導者的存在であった。日本は自動化装置や製造工程への投資により、米国よりも早く、安く、品質も優れた製品を生産することができた。

 その一例が、メモリーチップ*のDRAM**市場における日米両国間の競争である。1985年、アメリカのコンピューター市場が不況に陥り、インテル社も10年来で最大の落ち込みを経験していた。1985年の不況は、需要の問題であり、競争の問題ではなかったにもかかわらず、アメリカのある方面から、日本は「略奪的」「不公正」な貿易慣行を行っていると批判されるようになった。
*データー保存のための集積回路
**「ディーラム」。 PCなどに使われる半導体の記憶装置


 そこで、自由市場主義を標榜するレーガン大統領は、1986年春、経済産業省との間で「日米半導体協定」を強行した。

 この協定の条件は、日本市場におけるアメリカの半導体シェアを5年後に20〜30%に引き上げること、すべての日本企業がアメリカ市場への「ダンピング(投げ売り)」をやめること、そしてアメリカ側は、これらすべてを実施するための別の監視機関を求めることであった。

 当然のことながら、日本企業はこの条件を拒否し、経済産業省も日本企業に、この条件を強制する術を持たなかった。

 レーガン大統領はこれに対し、1987年4月に3億ドル相当の日本製品に100%の関税を課した。日米半導体協定は、1985年のプラザ合意による円高と相まって、米国のメモリー・チップ市場に追い風となった。(米国が日本の半導体市場に干渉した経緯は、こちらを参照。)

 1985年、日本、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカの5カ国で締結された「プラザ合意」。この協定は、アメリカの輸出競争力を高めるために、日本円とドイツマルクに対して米ドルを切り下げたものである。いかにも「自由市場」である。(ドゴールとアデナウアーが欧州通貨体制を作ろうとしたが、英米に妨害された話はこちらを参照。)プラザ合意から2年間で、ドルは円に対して51%も価値を失った。日本は、自国の商品に関税をかけられ、アメリカ市場から締め出されるのを避けるために、プラザ合意に参加したのである。

グラフ 2つ目


 円高は、日本の製造業を不況に陥れた。これを受けて、日銀は金融緩和を行い、金利を引き下げた。この安い金利は、生産にむけた努力に使われるはずであった。しかし、そのお金は株式や不動産、資産運用に使われた。このとき、日本の不動産と株式の価格はピークに達した。

 1985年から1989年にかけて、日本の株式価格は240%、地価は245%上昇した。80年代の終わりには、東京の中心部にある皇居の周りの庭園の価値は、カリフォルニア州全体と同じくらいになった。

 日本はアメリカの26分の1の面積しかないのに、土地の価値はその4倍もあった。東京23区のうち、千代田区の時価総額はカナダ全土を上回った。

 資産や株価がどんどん上がり、伝統的な製造業も株式相場の誘惑に抗えなかった。そのため、金融部門や財務部門を充実させ、自らも投機に手を染めるようになった。日産自動車など多くの大手メーカーは、自動車を製造するよりも投機的な投資で多くの利益を得るようになった。

 ドキュメンタリー映画『円の王子たち(Princes of Yen)』はこう説明している。「日本経済の好景気は、生産性の高さと上昇に原因があると多くの人が信じていた。だが実際には、1980年代の日本の輝かしい業績は、経営手法とはほとんど関係がない。窓口指導*は、信用を制限し誘導するために使われたのではなく、巨大なバブルを生み出すために使われた。銀行に貸し出しを大幅に増やさせたのは日銀だったのだ。日銀は、銀行が融資枠を満たすためには、非生産的な融資を拡大するしかないことを知っていたのだ」。
* 日本銀行が取引先金融機関の貸出しを,景気動向などそのときどきの金融情勢に応じて適正な規模にとどめるため,貸出し増加の枠を指示し,それを守らせるように指導すること。(コトバンク)

 1986年から1989年にかけて、福井俊彦は日本銀行の総務局長を務め、後に第29代日銀総裁に就任するが、総務局長は、窓口指導枠を担当する部署である。

 福井は、 ある記者から 「借入金がどんどん拡大しているが、銀行融資の蛇口を閉めるつもりはないのか?」と聞かれたとき、記者の質問に対してこう答えた。「金融緩和の一貫した政策が続いているので、銀行融資の量的統制は自己矛盾を引き起こすことになる。従って、量的引き締めは考えていない。経済の構造調整がかなり長期にわたって行われている中で、国際的な不均衡に対処している。それを支えるのが金融政策であり、金融緩和をできるだけ長く続ける責任がある。したがって、銀行融資が拡大するのは当然である。」

 日本では、民間の土地資産総額は1969年の14.2兆円から、1989年には2000兆円まで増加した。

 ドキュメンタリー映画『円の王子(Princes of Yen)』が伝えている。「1989年、第26代日銀総裁に就任した最初の記者会見で、三重野康は『これまでの金融緩和政策が地価上昇問題を引き起こしたので、今後は不動産関連の融資を制限する」と発言した』。三重野は、貧富の差を拡大させた原因であるこの愚かな金融政策に歯止めをかけた英雄として、マスコミでもてはやされた。しかし、三重野はバブル期の(日銀の)副総裁であり、バブルを作り出した張本人でもあった。

 突然、土地や資産価格が上がらなくなる。1990年だけで株式市場は32%下落した。そして、1991年7月、窓口指導が廃止された。銀行は、99兆円のバブル融資の大半が不調に終わることを知り、恐怖のあまり、投機筋への融資を止めるだけでなく、それ以外の人への融資も制限した。500万人以上の日本人が職を失い、他に職が見つからなくなった。20歳から44歳までの男性の死因の第1位は自殺であった。

 1990年から2003年の間に、21万2千社が倒産した。同期間に株式市場は80%下落した。大都市の地価は最大で84%下落した。一方、日本銀行の三重野総裁は、『この不況のおかげで、誰もが経済改革の必要性を意識するようになった』 と述べた。」

 1992年から2002年にかけて、146兆円規模の景気対策が10回行われた。政府支出によって内需を拡大し、その後、外需も拡大するという考え方であった。10年間、政府はこの方法を実行し、政府債務を歴史的なレベルまで増加させた。

 リチャード・ヴェルナーは「政府は右手で支出して経済に資金を投入したが、資金調達は債券市場を通じて行われたため、左手で同じ資金を経済から取り出していた」と述べている。「購買力の総量は増えず、だから政府の支出は影響を与えることができなかった」 。

 2011年には、日本の政府債務はGDPの230%に達し、世界一となる。財務省は万策尽きた。(日銀の怠慢が明らかであるにもかかわらず)評論家は、財務省に責任があるとする見方や、不況の原因は日本の経済体制にあるとする声に耳を傾けるようになった。

 日本では、当局と日銀は、ほぼその20年後に欧米列強がそうしたように、納税者がそのツケを払うべきであると主張した。しかし、納税者は銀行問題の責任を負っていない。したがって、そうした政策はモラルハザード*を引き起こした(ここで言うモラルハザードの意味は、経済主体がその危険の費用を全て負担しないために、危険にさらされる恐れが増大する状況のことである)。
*「倫理観が危ういこと」。倫理観の欠如や道徳的な節度がないこと。

 ドキュメンタリー映画『円の王子(Princes of Yen)』によると、塩川正十郎財務相は日本銀行に、デフレを食い止める、あるいは少なくともデフレと闘う手助けをしてほしいと頼んだという。ところが、日本銀行は、大蔵大臣や総理大臣が、景気を刺激して長い不況を終わらせるためにもっとお金を作れという政府の要請を一貫して無視し続けた。時には、日銀は経済界に流通するお金の量を積極的に減らし、それが不況を悪化させたことさえあった。日銀の主張は、いつも同じ結論、つまり日本の経済構造に原因があるというものであった。 

 また、あらゆる年代層の日本の経済学者が米国に派遣され、米国式経済学の博士号やMBA(経営学修士)を取得したことも特筆すべき点である。新古典派経済学は、株主と中央銀行が支配する完全な自由市場という一種類の経済システムしか想定していないため、多くの日本の経済学者はすぐに米国の経済学者の主張を繰り返すようになった。

 1990年代後半になると、日本経済は崖っぷちに立たされた。この時期に日米交渉の「交渉人」を務めたアイラ・シャピロは、「生命保険・損害保険の大企業と大蔵官僚の凝り固まった利益を克服するためには、まずは規制緩和が必要だ」と 述べている

 シャピロの連邦主義協会の経歴ページには、「北米自由貿易協定(NAFTA)や、多国間ウルグアイ・ラウンドの交渉と立法承認において中心的役割を担った。ウルグアイ・ランドは、世界貿易機関(WTO)と現在の貿易ルールを作り出した」 と記されている

 この日米協議は、米国が決めた期限までに合意に達する必要があった。もし、期限を過ぎても合意が得られない場合、米国は貿易制裁を科すと脅していた。

 リチャード・ヴェルナーは、シャピロの要求が日本側にどのような結果をもたらすかを 明らかにした。不動産の証券化は推進されているが、有意義な証券化を行うためには規制緩和が必要であり、規制緩和を行うためには大蔵省の権限を縮小しなければならない。そのためには大蔵省の力を削ぐ必要があり、そうすると大蔵省の管轄下にあった日銀が力を持つことになる。

 1990年代半ば以降、政府は大蔵省の権力構造の大部分を解体し始めた。一方、日本銀行は、その影響力を大きく拡大した。日銀は大蔵省から切り離され、ほぼ独立した存在となった。

 三重野康は、1994年に日銀総裁を退任した直後から、各種団体や利益団体で講演を行うなど、活動を開始した。日銀法を改正してほしい、と陳情した。大蔵省が日銀を間違った政策に走らせたということを、さりげなく指摘するのである 。このような問題を将来起こさないためには、日銀に完全な法的独立性を持たせる必要がある。

 1998年、金融政策は新たに独立した日本銀行の手に委ねられた。

 2001年初頭、新しいタイプの政治家が政権を握った。小泉純一郎が日本の首相になったのである。その人気と政策から、彼はしばしばマーガレット・サッチャーやロナルド・レーガンと比較される。彼のメッセージは、「構造改革なくして景気回復なし」である。

 ドキュメンタリー映画『円の王子(Princes of Yen)』はこう言った。2001年、日本では毎日のようにテレビで「構造改革なくして経済成長なし」というメッセージが流されていた。日本は米国型の市場経済に移行しつつあり、それは経済の中心が銀行から株式市場に移りつつあることも意味していた。預金者の資金を銀行からリスクの高い株式市場へと誘導するため、改革派は銀行預金の保証を取りやめる一方、株式投資に対する税制優遇措置を講じた。

 米国型の株主資本主義が浸透するにつれ、失業率は大幅に上昇し、所得と貧富の格差が拡大し、自殺や暴力犯罪も増加した。そして2002年、日銀は銀行のバランスシート(総資産)を悪化させる努力を強化し、銀行に債務者の差し押さえをさせた。竹中平蔵(新金融担当大臣)は、債務者の差し押さえを増やす日銀の計画を支持した。東京の有名な経済学者、森永卓郎は、日銀に刺激されて作った竹中の提案は多くのこれまでの国内の受益者ではなく、不良資産の買い取りにおいて主に米国のハゲタカ・ファンドが利益を得ることになると力説している。 福井俊彦が破綻処理案への支持を表明したとき、福井はウォール街の投資会社ゴールドマン・サックスの顧問であり、世界最大のハゲタカ・ファンドの運用者の一人であった。

 リチャード・ヴェルナーはこう 発言している。「福井俊彦(第29代日銀総裁)、その師匠の三重野(第26代日銀総裁)、その師匠の前川春男(第24代日銀総裁)、お察しの通り、この本に書かれている「円の王子様」たちです。彼らは80年代から90年代にかけて、『金融政策の目的は何か? それは経済構造を変えることだ』と公言してきた。では、どうすればいいのか?それには危機が必要です。経済構造を変えるために危機を作ったのです」。

 日銀の窓口指導枠を担当する部署は、銀行局と呼ばれていた。1986年から1989年まで、そのトップにいたのが福井俊彦である。つまり、福井はバブルを直接的に作り出したのである。福井は日銀総裁になった時、「高度成長モデルを壊しながら、新しい時代に合ったモデルを作っていく」と言っていた

 リチャード・ヴェルナーはこう述べた。「彼らはあらゆる面で成功した。彼らの目標のリストを見ると、大蔵省を破壊し、解体し、独立した監督機関を持ち、日銀法を改正して日銀自体の独立性を確保し、製造業からサービス業への移行、開放、規制緩和、自由化、民営化など、経済の深い構造変化を実現する。」とある。

[第2部では、タイガー・エコノミーのアジア危機、アメリカの2008年の経済崩壊、欧州債務危機の原因は何か、また、今日の世界経済と地政学的状況を形成する安倍晋三の暗殺との関連性について議論します。
 著者の連絡先は、https://cynthiachung.substack.com.]。

米国の監視の下で、日本は軍国主義に舵を切る

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Under the US Watch, Japan Sets Sail for Militarization

筆者:サルマン・ラフィ・シェイク(Salman Rafi Sheikh)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2023年1月3日

<記事翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年1月20日

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 日本は12月16日、日本の防衛力と攻撃力を大幅に向上させることを目的とした新しい防衛戦略を発表した。これは、日本が「平和主義」国家となった第二次世界大戦以降、間違いなく最大の防衛力強化策である。新しい文書が示すように、日本は今、「平和主義」を捨て、日本の力を、そして日本の国益を守るために、日本国外で対応できる軍事力をより積極的に追求しようとしている。もはや、自衛のためだけではないのだ。簡単に言えば、日本の標的は太平洋全体とそれを取り巻くインド洋地域である。文書は、日本が 「最低限の自衛措置として、相手の領土で効果的な反撃を行う」 ことを可能にするためであることを明らかにしている。日本の指導者である岸田文雄が「歴史の転換点」と呼んだこの変化は、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、中期防衛計画の3つの文書で示されている。

 これらの文書に示された詳細によると、日本は反撃能力と長距離極超音速兵器の開発に約370億米ドルを費やすことになる。また、米国製のトマホークミサイルを購入する予定である。そしてサイバー戦能力に70億ドル、宇宙能力の開発にも同額を投じる。全体として、日本は5年間で3,160億ドルを軍事費に費やすことになる。この支出によって、いわゆる「平和主義」の日本は、アメリカ、中国に次いで世界第3位の軍事費支出国になる。詳細が示すように、日本が攻撃された場合、あるいは友好国(台湾)への攻撃が日本の生存を脅かす場合、そして、その攻撃を撃退する適切な手段がない場合、そして武力行使が最小限にとどめられる限り、東京はこれらの武力行使に頼ることになる。

 この新戦略は、長距離ミサイル攻撃能力を獲得することに重点を置いている。「長距離」となると、日本が視野に入れるターゲットが明確になる。つまり、中国、ロシア、北朝鮮が標的に入る。岸田首相は、これが「我々が直面する様々な安全保障上の課題に対する答え」であると語った。

 ウクライナで進行中のロシアの特殊軍事作戦や台湾をめぐる緊張と非常に密接に結びついているが、これらの課題は自然なものでも解決できないものでもない。これらの課題はワシントン自身が、太平洋の同盟国である日本を刷新することで、世界の主導権を強化する方法として、日本に持ち込んできたものである。

 ここでのロシア・中国と米国の関連性は明白である。日本の戦略文書は、「ロシアのウクライナ侵攻」を国際法違反と呼び、中国がもたらす「戦略的挑戦」を「日本がこれまで直面した中で最大のもの」とみなしている。これらの変更は、第二次世界大戦後、いわゆる「平和主義」憲法を日本に押し付けた国であるアメリカによって、極めて迅速に支持されたのである。

 ラーム・エマニュエル駐日米国大使は声明で、「首相は、インド太平洋における安全保障提供国としての日本の役割について、明確な戦略的発言をしている」と述べ、「首相は、日本のdeterrence(抑止力)の『d』を大文字の『D』に付け替えた」と付け加えた。「我々は、日本の最新の戦略文書が発表されたことを歓迎する...これは、<国際ルールに基づく秩序>と<自由で開かれたインド太平洋>を維持するための日本の確固たる貢献姿勢を反映している」 とロイド・オースティン米国防長官は述べ、「我々は、反撃能力を含む地域の抑止力強化の新たな能力を獲得するという日本の決定を支持する」 とも付け加えている。

 このような、日本の軍事的野心、取得しようとする兵器システムの種類、そしてこの変化に対するアメリカの支持が意味しているのは、日本が第二次世界大戦の連合国側にしっかりと位置づけられているという事実だ。

 日本が、かつて自国に核兵器を落とした国の軍事的協力者となっていることや、その米国と同盟して、第二次世界大戦中に日本が(部分的に)占領していた国(中国)と相対している状況を考えれば、これは本当に大きな出来事である。

日本は本当に脅かされているのか?

 日米両国は、日本が安全保障上の大きな課題に直面していると主張している。しかし、誰が日本を脅かしているのだろうか。中国の主要な政治問題は、台湾に対するアメリカとの関係である。それは、東京自体には関係ない。しかし、東京は台湾をめぐる米中の緊張が高まっていることを、自国の利益に対する脅威と捉えている。尖閣諸島の領有権問題を除けば、日中関係には明白な緊張はない。この緊張は、中国を抑止するために日本の強力な軍事的対応を必要とするような、軍事的な火種になる恐れのない紛争に対するものである。

 「それなのに、なぜ日本は軍国主義に走るのか?」が重要な問いだ。その答えは、日本の外交・軍事政策を形成する力を有する米国を考慮に入れて説明されなければならない。そして米国がそのような力を持てている要因には、直接的なものと間接的なものの両方がある。

 直接的な要因としては、第二次世界大戦以降、アメリカは日本にとって覇権国であったことがあげられる。そして間接的な要因としては、米国が台湾問題に絡めて中国との緊張関係を作り出すことで、この地域に大きな安全保障問題を作り出していることがあげられる。そのため、この地域の国々が、米国から地政学的な圧力を感じさせられ、それに対応させられているのだ。

 同じようなことは、ロシアにも言える。ロシアの特殊軍事作戦は、NATOの拡張主義的な政策に対する反応である。このことはヨーロッパでもよく認識されており、フランスの指導者はすでに、ウクライナ危機を交渉によって終結させるために、ロシアの安全保障上の利益を考慮するよう呼びかけている。NATOが関与する紛争は、少なくとも直接的には日本とは関係がない。にもかかわらず、大平洋地域の問題にNATOの首を突っ込ませたのは米国の仕業だ。米国は、(ロシアが行ったとされた)ポーランドへのミサイル攻撃を受け、バリ島でNATOおよびG7の緊急首脳会議を開いたのだ。その緊急首脳会議は、インドネシアで開催されていたG20サミットにあわせて開催されたものだった。

 NATOがその管轄をはるかに超えた地域で活動するようになったことで、ヨーロッパでの紛争を世界的なものにしようという意図が明らかになった。これによって、現在の日本の軍事化を推進する重要な要因も説明できるし、この過程には、日本自身よりも米国の足跡の方がはるかに強く目に映る。

米国の圧力下での日本の再軍備 反戦運動への警鐘

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Japan Rearms Under Washington’s Pressure - Global ResearchGlobal Research - Centre for Research on Globalization

筆者:サラ・フラウンダーズ

出典:グローバル・リサーチ 

2023年1月2日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年1月9日



 12月16日、日本の岸田文雄首相が新たな防衛戦略を発表し、その実現のために2027年までに軍事費を倍増させたことは、過去数十年で最大の防衛上の変化であり、反戦運動への警鐘である。

 この決定には、公然と攻撃型兵器を取得し、拡大した軍隊のために軍の指揮系統を再構築することが含まれている。12月23日、この予算案は岸田内閣によって承認された。

 日本の危険な軍拡に対しては、国際的な警鐘を鳴らすべきである。この大規模な軍拡は、アメリカ帝国主義の強い圧力に基づいて行われている。それは、中国を脅し、包囲し、アジア太平洋における米国の支配を再び確立しようとする「アジアへの軸足」の次の段階である。

 果てしない米国の戦争に反対する運動は、この不吉な脅威に対して、資料を準備し、大衆の注意を喚起することを始めなければならない。

 軍事費倍増計画は、今後5年間で日本の防衛費に3150億ドルを追加し、日本の軍隊を米国、中国に次いで世界第3位の軍隊にするものである。防衛費は国内総生産の2%まで増加し、米国がNATOの同盟国に対して設定している目標に匹敵することになる。日本の経済規模は世界第3位である。

 日本政府は、ロッキード・マーチン社のトマホークミサイルと統合空対地ミサイル(JASSM)を最大500基購入し、海軍の艦艇と戦闘機をさらに調達し、サイバー戦能力を高め、極超音速誘導弾を独自に製造し、他の兵器とともに新型戦闘機を独自に製造する計画である。この計画は、ミサイル防衛だけに頼るのではなく、「反撃」能力も取り入れるように変化している。

 国家安全保障戦略(NSS)、防衛戦略(NDS)、防衛力整備計画(DBP)という3つの安全保障上の重要文書は、戦後の日本軍への制約を一掃するものである。

第9条 軍事再軍備に反対する階級闘争

 第二次世界大戦で日本軍を破った米占領軍は、日本に「平和主義」憲法を押し付けたが、この数十年間、米国の戦略家は、日本政府に積極的に再軍備をし、特に米国製兵器の購入し、アジア太平洋地域を支配する米国の努力の目下の協力者として行動するよう圧力をかけてきた。

 押し付けられた日本国憲法第9条は、日本が陸軍、海軍、空軍を維持することを禁じている。これを回避するために、1952年以来、「日本の自衛隊」(JSDF)は、警察と監獄制度の法的な延長として扱われてきた。米国の占領軍は、自衛隊を、労働者運動から資本主義の財産関係を守る必須の抑圧手段と考えていた。

 積極的な軍拡の決定は、平和主義であるはずの日本国憲法に公然と違反している。

 憲法9条を「再解釈」するための努力は、日本国内で継続的な政治闘争となっている。日本が軍事力を保持することを明確に禁止している9条を守るために、何十万人もの大規模な集会が何度も行われてきた。日本の軍隊と改憲に対する広範な反対は、労働組合と共産主義・社会主義運動によって結集された労働者たちによるものである。

 この運動がすべての人々に指摘していることは、1930年代と1940年代の戦時軍国主義政権がいかに残忍な弾圧を行い、日本を第二次世界大戦に導いたかということだ。国民がその苦い経験から知っていることは、歴史的な日本の植民地主義に根ざしたこれらの極右翼勢力が、彼らの権利と彼らが獲得した社会的利益に対する真の脅威であることだ。

 現在の防衛予算の倍増は、増税によって賄われる。莫大な軍事予算は、必然的にこの国の限られた社会支出の厳しい削減を意味する。

 1950年代からほぼ継続的に政権を担ってきた自民党は、右翼的で軍事力保持に賛成で、アメリカ帝国主義と同盟を結び、特に中国と朝鮮に対抗している。彼らは、自衛隊の憲法上、法律上の制限をなくすよう働きかけている。
 
 2022年7月8日、日本の選挙のわずか2日前に、引退した安倍晋三総裁が暗殺され、自民党に追加票がもたらされた。自民党は、軍事計画を積極的に進めるために必要な、国会の3分の2の絶対多数の議席を獲得することができたのである。

中国を標的に

 日本の軍拡は、中国、北朝鮮、ロシアを狙ったワシントンの侵略行為に合致する。米国の戦略家の目標は、日本、韓国、オーストラリアとの同盟を、欧州で米国主導のNATO同盟を利用するのと同じように利用することである。

 NATOの加盟国が倍増したことと、NATOがロシアを標的にすること、ウクライナでの戦争につながった。この戦争では、米国政府はロシアに対して何千もの新たな制裁を課し、米国は欧州連合のロシアとの互恵的貿易を断ち切った。

 中国は、輸出入ともに日本にとって最大の貿易相手国である。以前の国家戦略文書では、日本は中国と「互恵的な戦略的相互関係」を模索しているとされていた。ところが突然、日本の戦略家は中国を「日本の平和と安全を確保するための最大の戦略的課題」と位置づけ始めた。(米国平和研究所、12月19日付)

 日本はロシアとガス、石油、自動車、機械の貿易を拡大していた。以前、日本の2013年12月17日の国家安全保障戦略文書では、「ロシアとの結びつきと協力の強化 」が謳われていた。今、日本はロシアを 「強い安全保障上の懸念 」と考えている。(米国平和研究所、12月19日付)

 日米同盟は現在、日本の安全保障政策の「基礎」と定義されている。(ジャパンタイムズ、 12月17日付)

日本の軍国主義台頭に対する米国の称賛

 米国メディアは、日本の新しい安全保障戦略文書を 「大胆で歴史的な一歩」と賞賛した。ジェイク・サリバン米国家安全保障顧問は、防衛費引き上げを 「日米同盟を強化し、近代化する 」と賞賛した。アントニー・ブリンケン米国務長官は、日本を「不可欠なパートナー」と呼び、変更された安全保障文書が 「インド太平洋地域と世界中でルールに基づく秩序を守る」能力を再形成することに喝采を浴びせた。(引用、ホワイトハウス政府機関、12月16日付)

 軍事的脅威と経済制裁を土台としたこの急激な政策転換の直接的な受益者は、米国の企業権力である。

 フォーリン・アフェアーズ誌は、この発表を「深遠なる変革」と呼び、次のように述べている。「新しい国家安全保障戦略は、しかし、素晴らしい変化を示している。... 政府は、何十年も議論され、いつも阻止されてきた政策を実行に移している。これまでは......日本の新しい国家安全保障戦略は賞賛されるべきである」。 (フォーリン・アフェアーズ、12月23日付)

米国は協力者を必要としている

 ドイツ、イタリア、日本の敗戦国資本家階級に対する米国の政策は、驚くほど似通っていた。第二次世界大戦末期、これらのファシスト政権を支持した産業界のリーダーの多くは、日本、ドイツ、イタリアで静かに保護され、社会復帰させた。東ヨーロッパで労働者の支配[社会主義政権]から逃れたファシスト協力者も同様の扱いを受けた。

 米国とその後のNATOは、西ヨーロッパで勃興する労働者運動や東ヨーロッパでの社会主義建設に対抗して、社会復帰させたファシストたちを利用したのである。敗戦国である枢軸国に積極的に進出していた米国企業は、自分たちの投資がストライキの波から保護されるという保険を必要としていた。

 1950年までに、米国は朝鮮半島で戦争状態になり、韓国で米軍を使う一方で、日本では資本主義の財産関係の「平和維持と自衛」のために軍隊を必要とした。この時期、ドイツ、イタリア、日本が再軍備を開始した。

沖縄への影響

 琉球列島と呼ばれる150の島々、その中で最大の島は日本本土から400マイル離れた沖縄であり、現実には日本の植民地である。人口は174万人で、日本政府の統治と米軍基地による占領に苦しんでいる。沖縄は地理的に日本列島よりも台湾に近い。

 沖縄の陸上部隊の整備と強化は、新しい国家安全保障戦略(NSS)の一部である。日本の南西に連なる他の島々も、さらに軍事化されることになる。


沖縄は琉球諸島の中で最大の島である。(出典:ワーカーズワールド)

 将来の電子戦、サイバー戦、地上・海上・航空部隊の共同作戦のために、これらの島にある日本の第15旅団の水準を上げることは、明らかに台湾海峡に介入する計画の表れである。

 近年、日本は南西諸島の奄美大島、沖縄本島、宮古島に対艦・防空ミサイルを配備し、台湾に最も近い石垣島にはミサイル基地を設置している。

(参考資料)石垣市議会が「長射程ミサイル配備認めず」意見書を国に提出「真っ当な動き」「丸腰じゃ一瞬で占領される」SNSで渦巻く賛否(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース

 日本には5万人以上の米軍が駐留しており、現在、どの国よりも大きな米軍占領軍となっている。米軍の半数以上が沖縄に駐留している。

 沖縄の住民、先住民族である琉球人は、日常生活の中に常に米軍が存在することに何十年にもわたって抗議してきた。沖縄県には現在31の米軍施設があり、沖縄は日本の領土の0.6%にすぎないが、日本にあるすべての米軍基地の74%の面積を占めている。

北朝鮮の脅威を隠れ蓑に

 日本はこれまで、北朝鮮が脅威であると主張することで、再軍備を正当化してきた。しかし、退役した海上自衛隊の武井智久長官は、日本が準備してきた主な標的は中国であり、「北朝鮮の脅威を隠れ蓑にして」いるとメディアに語った。(AP通信, 12月17日付)

 日本と韓国は、アメリカの指揮の下、定期的に朝鮮民主主義人民共和国を威嚇する共同軍事訓練を行っている。韓国での大規模なデモや、[日米韓の軍事訓練の]標的である北朝鮮からのミサイル発射は、これらの軍事的挑発に呼応して出てきたものだ。

 自衛を主張しながら、戦争の計画と準備というこの皮肉な告白は、ドイツのアンゲラ・メルケル前首相の12月8日の告白と似ている。メルケルは、2014年のミンスク協定の調印がロシアとの平和条約を目的としたものではなかったと告白している。メルケルは、NATOは最初から戦争を望んでいたが、ウクライナの軍事的準備の時間が必要であったと述べた。(ディー・ツァイト紙インタビュー、12月7日付)

(参考資料1)前独首相メルケル、ミンスク和平協定での欺瞞を認める。その意図は何か。 - 寺島メソッド翻訳NEWS (fc2.com)
(参考資料2)メルケルが示した西側の二枚舌 - 寺島メソッド翻訳NEWS (fc2.com)


 ロシアを弱体化させ、分裂させるために、ロシアをウクライナに侵攻するよう煽り立てた米国は、次に台湾を中国の軍事的泥沼に陥れようとしている。バイデン政権は、台湾が米国から最新兵器を購入し、台湾との外交関係を強化するよう促している。

 日本の再軍備に対するアメリカの圧力の脅威の高まりについて、ファクトシート[概況報告書]、トーキングポイント、ビデオ、ウェビナーを通して政治的関心を集める努力の一環として、「日本の憲法改正:危険なシグナル」と題した短いビデオが国際行動センターのウェブサイトに掲載された。(tinyurl.com/mwjdt8rm)

 このビデオは中国で作られたもので、米国も参加している。日本、米国、同盟国の軍国主義の高まりに立ち向かうには、多くの国の人々が協力する必要がある。


サラ・フラウンダーズは、1960年代から進歩的な反戦組織で活動する米国の政治ライターです。彼女は、労働者世界党の事務局のメンバーであり、国際行動センターの主要な指導者です。サラの連絡先は、flounders.sara16@gmail.com。
彼女は、Global Researchに定期的に寄稿しています。

日本の軍国主義化は「安全保障上の脅威」―ロシアによると、日本が北海道に超音速ミサイルを配備する計画は「深刻な挑戦」である

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Japan's militarisation a 'security threat' – Russia —

出典:RT 

2023年1月3日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年1月4日


太平洋艦隊のバスティオン沿岸複合施設によるオニキス巡航ミサイルのテスト。© Sputnik / ロシア連邦国防省


 ロシアのアンドレイ・ルデンコ外務副大臣は、極東ロシアの島々の近くにある日本の軍備増強による脅威を阻止する用意があると述べた。

 この発言は、日本の放送局であるNHKが12月下旬に、日本が超音速ミサイルを北海道に配備する計画を立てていると防衛省が述べたことを受けたものである。北海道は千島列島に隣接していて、その南部を日本は自分たちの「北方領土」と主張している。この時、モスクワはこの動きを非難した。

(参考)防衛省「高速滑空弾」部隊新設へ 九州と北海道に配備を検討 | NHK | 自衛隊

 ルデンコ氏は、火曜日のタス通信とのインタビューで、「日本の活動は、我が国とアジア太平洋全域の安全保障に対する重大な挑戦だと考えている」と述べた。

 「もしこのような行為が続くなら、ロシアが直面する軍事的脅威を阻止するために、我々は適切な報復措置を取らざるを得ないだろう」と外交官は付け加え、日本の「急激な軍事化」と「前例のない」軍事予算の増加を非難している。


 ファイル写真:2022年11月19日、AP経由の韓国国防部合同空域で韓国のF-35戦闘機に護衛された2機の©米国のB-1B爆撃機とF-35戦闘機

 2017年、当時の安倍晋三首相は、第二次世界大戦直後に米国の援助で採択された平和主義憲法を改正する計画を発表した。この憲法は日本が常備軍を維持することを禁じているが、日本には強大な自衛隊が存在する。安倍首相は当時、憲法改正によって自衛隊の地位が「明確に」なると述べていた。

 先月、日本政府は2023年度の防衛予算案として過去最高の510億ドルを承認した。日本はまた、国家安全保障戦略を改定し、「敵基地攻撃能力」の獲得を可能にした。

 岸田文雄首相は12月、中国や北朝鮮の脅威を引き合いに出し、「既存のミサイル防衛網だけではミサイルの脅威に完全に対処することが難しくなっている」と述べた。

 日本は、昨年2月に開始されたモスクワのウクライナへの軍事攻撃を受けて、多くの欧米諸国とともにロシアに制裁を課した。また、キエフに防弾チョッキやヘルメットなどの軍事物資を送った。

 ロシアはその後、「前例のない反ロシアキャンペーン」を展開したとして、岸田氏を含む日本の高官数名をブラックリストに載せている。

日本の保険会社、ロシア海域の船舶保険停止へ---危ぶまれる日本への石油、天然ガスの供給

<記事原文 寺島先生推薦>

Japanese firms to halt ship insurance for Russian waters – media
The decision could impact Tokyo’s oil and gas imports

日本企業、ロシア海域の船舶保険停止へ(日本での報道)
この決定は、東京の石油・ガス輸入に影響を与える可能性がある。

出典:RT

2022年12月24日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年12月31日



© Getty Images / Boris Fedorenko / EyeEm

 日本経済新聞は金曜日(12月23日)、匿名の情報源を引用して、日本企業3社がロシア海域での船舶の戦争被害に対する保険サービスの提供を停止すると報じた。

 この決定は、モスクワが2月に開始したウクライナでの軍事作戦に関連する危険性を引き受けることを再保険会社が拒否したことに起因すると言われている。

 東京海上日動火災保険、損保ジャパン保険、三井住友海上火災保険は、紛争地域から数千キロ離れた極東ロシア海域を含むロシア海域での戦争被害への補償提供を停止する計画を船主に通知し始めたとされる。この措置は1月1日に発効する。

 現在、船主は、ウクライナやロシアの海域を航行する前に、追加の戦争損害保険に加入することが義務付けられている。保険提供者には支払いや保険料の条件を再確認するために事前に通知しなければならない。来年からは、船主は日本企業3社からその選択肢(船舶戦争保険)を受けることができなくなる。


関連記事:ロシア、主要な石油事業を買収へ

 同紙によると、ロシアの「サハリン2」事業などからの液化天然ガスの日本の輸入は、この決定によって補償が確保できなくなり、影響を受ける可能性があるという。

 9月、ウクライナ関連の制裁措置の一環として、ロシアの海上石油の輸出に価格上限を設けることで七カ国が合意した。12月上旬には、G7諸国、欧州連合(EU)、オーストラリアが1バレルあたり60ドルで合意している。この決定により、基準値を超えて購入した原油を輸送する場合、船舶への海上保険などのサービスが禁止されることになった。これに対し、モスクワは価格上限を定めた契約による石油販売の禁止を約束した。

 東京は、価格制限をロシアのエネルギー収入を減らす有効な手段だとして支持している。一方、ソデコ社経由で「サハリン1」事業に参加している伊藤忠商事の岡藤正広代表は、11月に「日本はロシアからの石油・ガス輸入なしでは生きていけない」と発言した。

 日本企業は反ロシア制裁後も「サハリン1」「サハリン2」の天然ガス事業への参加を維持する方針を示し、プーチン大統領はこれまで米石油大手エクソンモービルが管理していた同事業を国内企業に移管する指示を出していた。

経済・金融に関するその他の記事は、RTのビジネス専門報道部門をご覧ください。

「親ナチ」のドイツと日本が国連安全保障常任理事国になることはない

<記事原文 寺島先生推薦>

Pro-Nazi’ Germany and Japan Have No Place at the UNSC

出典:INTERNATIONALIST 360°

2022年12月27日
 
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年12月30日



 オレグ・ステパノフ大使がスプートニク通信社に語った。「ドイツと日本が、国連安全保障理事国になることは永遠にない」

 毎年、国連総会では、ナチスやネオナチやその他の関連行為に関する英雄化に反対する決議草案を審議している。毎年恒例のことで、とくに驚きはない。しかし今年の投票で、実に心が痛むようなことが起こった。それは、歴史上の真実を保全することを誰がどのように凝視するのかという点から見て、特にそうだ。最後の世界大戦後に、国連を中心とする世界秩序が形成されたこととも繋がることだからだ。

 ドイツと日本が、初めてこの決議に反対の意を表明したのだ。この両国は、第二次大戦を始め、最終的には敗れた、枢軸国側の主要二カ国の末裔だ。もう何十年間も、両国は暗黒の過去から脱却したがっていた。この両国は、世界全体に、自分たちが犯した戦争犯罪や人類に対する犯罪行為を忘れさせることを望んできた。しかし今、両国は本性をあらわしたのだ。

 このような冒涜的行為を行えば、ナチス・ドイツや日本の軍国主義により被害を受けた人々の記憶を害することになる。この行為は国連憲章にも反する。この両国が世界組織である国連に加盟する際に遵守するよう求められた義務規定があったからだ。その規定とは 国連の目的や主義を遵守することであり 、国連憲章のすべての条項に合致するよう厳しい監査を受けることも織り込み済みだった。

 この件に関する問題は以下の通りだ。「(ロシアが1990年ドイツ統合を認めた)西ドイツがどれほど真摯に、世界大戦の責任について反省の念を持っていたか」という点だ。日本が反省を求められている点については言うまでもない。日本はまだ侵略行為や恐ろしい残虐行為を行った罪を認めておらず、第二次世界大戦の結末を完全に受け入れようとしたがっていないだけではなく、毎年、東京の靖国神社に政府として公式参拝を行い、戦争犯罪者たちの霊を慰めることさえしている。

 両国のこのような行為が、米国の許可のもとで行われたことは確実だ。 米国はこの両国を何層にも渡って密かに支配しており、それが今もまだ続いているのだから。ワシントン(さらにはオタワの現世代の政治がたちも同じだが)で必須事項となっているのは、米国がかつては反ヒトラー連合の一翼を担っていた事実を忘れることだ。新しい地政学において果たすべき使命のために、このような記憶が消されようとしていて、それに伴い、 必死になって歴史を歪曲し、偽証しようとしているのだ。これらの行為は、国連憲章に掲げられている第二次世界大戦の結末や国連憲章やニュルンベルク裁判所の判決や極東国際軍事裁判の判決に疑念を呈することになるのだ。西側の覇権を維持するため ロシアを消滅させようというこれらの諸国の欲求が、倫理や道徳を凌駕しようとしている現れだと言える。

 いずれにせよ、ドイツと日本(及び第二次世界大戦で悪の側に立って戦っていた他の国々)が、2022年12月15日の第77回国連総会の投票において、明確に親ナチの立場を示し、国連憲章の本文から「敵諸国」という文句を消すことについて議論する可能性を妨げたのだ。そして最終的には、ドイツと日本が常任安全保障理事国に立候補することで、国連を再建するという見通しも絶たれてしまったのだ。ドイツや日本、さらにもっと視点を広げて、欧州や世界のナチや軍国主義を根絶やしにする仕事は、まだ完遂されていないのだ。

日本は極超音速仕様の軍備計画を立案

<記事原文 寺島先生推薦>

Japan devises hypersonic plan – media

Tokyo hopes to upgrade air defense weapons and even develop its own hypersonic missile by 2030

日本は極超音速計画を立案
日本政府は対空防衛武器を改良し、2030年までに自国製の極超音速ミサイルの開発さえ行う構え

出典:RT

2022年11月8日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年11月22日



軍事演習中に発射を行っている日本の03式中距離陸対空ミサイル発射機©日本陸軍自衛隊 

 日本は現行の地対空ミサイルの再設計を行い、極超音速武器に対応できるよう計画を立てている、と共同通信社が11月8日(月)のニュースで伝え、この動きは日本当局の「反撃能力」の強化をこの10年で成し遂げようとしているより広範な戦略の一部ではないか、と報じている。

 日本の自衛隊は、03式中距離ミサイルの改良を完了し、2029年までに新型の武器の大量生産ができるよう望んでいる、と共同通信は、匿名の「この件に詳しい情報筋」からの情報として報じた。

 この再整備は、日本の「包括的な対空及びミサイル防衛」を改善しようとする努力の一環であり、
今年の末までに改訂版が発表されることになっている国家安全保障戦略の中で概述されるだろう、とこの情報筋は付け加えている。


関連記事:Japan looking to buy US Tomahawk missiles – media

 三菱重工の設計・製造による、03式中距離地対空誘導弾は、陸上自衛隊に2003年に配備されたが、現在の射程距離はおよそ50キロ(31マイル)だ。しかし、極超音速武器は、音速の5倍以上の速度で飛行し、しかも不規則な弾道を描くため、03式や、同等の対空防衛体系では、そのような武器を追跡し、無力化することは困難になってきている。その情報筋が共同通信に伝えたところによると、03式は、「極超音速武器の飛行経路を予測し、レーダーでそれらの武器を検出するだけでなく、追跡もできるよう改良」されるとのことだ。ただし、そのような改良で果たして新技術に対応できるかは定かではない、とその情報筋は付け加えている。


関連記事:Japan unveils massive spending package

 9月の日本の浜田靖一防衛大臣と米国のロイド・オースティン国防長官間の会談後に、両陣営は極超音速武器についての研究を共に進めていくと発表した。それは米国側がまだ自前の極超音速武器の開発ができていない中でのことだ。

 米国同様、日本もこの極超音速武器の開発に着手し始めているようで、日経新聞の先週(11月第1週)の報道によると、日本当局は2030年までに極超音速武器の配置を求めているという。日経新聞の報道によれば、 間もなく発表される国家安全保障戦略には、日本の「抑止」能力の強化に向けた3つの主要施策が記載され、その中には、米国から米国製トマホーク巡航ミサイルなどの「実戦済み」兵器を入手することや、日本が自前で持っている武器を改良することや、新たな極超音速武器を開発にすることが、記載されることになるという。

刀を抜く:日本は中国に対決する準備をしているのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Drawing the sword: Is Japan getting ready to move against China?

Relations with Beijing are crucial for regional trade, but is Tokyo ready to put it all on the line over Taiwan and Washington’s favor?

(刀を抜く:日本は中国に対決する準備をしているのか?

北京との関係は地域貿易にとって極めて重要だが、東京は、台湾やワシントンに味方して、すべてを賭ける準備をしているのだろうか? )

出典:RT

筆者:ティムール・フォメンコ(Timur Fomenko)  政治評論家

2022年8月24日

<記事飜訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2022年9月12日


ファイル写真: 2016年5月20日、日本の古屋圭司衆議院議員、台湾の蔡英文総統。©ウィキペディア

 最近の報道によると、日本政府は中国に向けた1000発以上の弾道ミサイルの配置を検討しており、この動きは東京と北京の間の緊張を大きくエスカレートさせることになるという。

 地域の安定に対する脅威や日本国憲法が課す制限を考えると、これが実現するかどうかは不明だが、この時点で、日中間の地政学的対決が新たな現実となっていることは否定しようがないだろう。

 日中両国は経済的には大きく統合されていても、心の底では宿敵であり、両国の地政学的な野望は全面的な衝突の危機を深めているのである。

 中国の台頭は、かつてアジアで支配的だった日本の地位を脅かし、特に係争中の領土は、北京が奪還に成功すれば、東京に対して戦略的に王手をかけることになる。東シナ海や釣魚島・尖閣諸島の問題もそうだが、最大かつ最も緊急な火種は、実は最近話題の台湾島である。

 日本は今、台湾の自治権の継続が台湾の生存に不可欠であることを公にしている。なぜか?台湾が中国本土と統一されれば、北京が日本の南西部周辺の海洋支配を獲得することになるからだ。

 その結果、日本は台湾に対する支援の賭け金を増やしている。今回の一連の議員訪台の前後にも、日本からも国会議員団が訪台している。先日暗殺された安倍晋三は、現在の日本の修正主義的な外交政策の立役者であり、台湾の限りない支持者であり、自らも台湾を訪問する予定であった。


関連記事:もはや除け者ではないのか?ロシアと中国が北朝鮮を「正常化」し、米国にアジアの頭痛の種を残す可能性がある。

 同様に、かつて日本の植民地支配下にあり、中国から併合された台湾も、親日感情を大きく高めている。安倍首相が殺害された後、同国が示した国民の弔意の大きさは、それを如実に物語っている。

 そして、日本国憲法の制約はあるが、中国が台湾を侵略した場合、日本が実際に軍事的に台湾を防衛するのではないかという憶測が広がっている。

 1976年の日中国交回復の主要条件であった「一つの中国」政策にもかかわらず、日本が台湾を失うわけにはいかないことは明らかだ。

 このため、東京は時間との戦いになっている。防衛費を増やし、中国の軍事力の増大に対抗するために、現行の平和志向の憲法に抜け穴を見つけようとしているのだ。

 そうすることで、中国を封じ込めようと協調している他の「クワッド」グループ[日米豪印]メンバーから、特に米国とオーストラリアからの支援を得ることができる。
 インドもまた、重要なパートナーである。ニューデリーは、係争中の国境をめぐる中国との緊張を悪化させないために、台湾問題から距離を置いているが、それでも日本を、北京を視野に入れた長期的な戦略パートナーとして見ている。

 日本はまた、韓国をこのゲームに引き込もうとしており、この動きは米国によって後押しされている。右派の尹錫悅(ユン・ソギュル)新大統領は、北朝鮮問題では日本との協力に前向きだが、対中超タカ派姿勢を見せるという期待は実際には霧散し、前任者[文在寅]の慎重姿勢を引き継いでいる。ナンシー・ペロシの悪名高い台湾訪問の後、韓国大統領はペロシとの面会を避けたが、日本はペロシの訪問を全面的に歓迎した。


関連記事:ペロシ訪中は中国への警鐘となる。米国に宥和的では決してうまくいかない

 日本は間違いなく、アジアでナンバーワンの、そして最も米国支援に前向きな国である。

 しかし、それにもかかわらず、北京とは隣国であり、重要な貿易・投資パートナーである関係を揺るがすことには限界がある。歴史的な敵対関係にもかかわらず、両者のビジネス上の結びつきは非常に深い。中国経済への攻撃は、日本にとっても大きな痛手となる。特に自動車、電子機器、その他の消費財の輸出に関しては、日本も中国市場を失うわけにはいかない。

 中国政府は、気まぐれに反日感情を煽り、大規模なボイコットや財産の破壊にまで発展させることがある。しかし、このような抗議行動は、2012年に尖閣諸島をめぐって発生したのが最後である。

 このように、日本はアメリカの後ろ盾がありながらも、ある意味、微妙な立場にあることを思い知らされる。中国の経済力はとうに日本を凌駕し、軍事力の拡張はとどまるところを知らない。

 中国の民族主義コメンテーターである胡志人(元『環球時報』編集長)は、「日本が1000発のミサイルを中国に向けるなら、中国は5000発を打ち返し、日本国内の米軍基地を標的にするだろう」と断言した。

 しかし、それでも中日関係は友好的であるべきだと言う。このような経路で敵対することを、何が何でも中国が選択するわけがない。

 ここで疑問が生じる。日本は台湾を守りながら、中国を全体としてかわすことができるのか。一筋縄ではいかないからこそ、日中関係は一方で、長年のライバル意識と歴史的怨恨の間で、そして他方で、抑制と相互依存の間で揺れ動き続けるのだろう。


バイデンのアジア訪問の目的は米国の対中国代理戦争を日韓に戦わせること

<記事原文 寺島先生推薦>

Biden’s “Harakiri Diplomacy” in East Asia: War Drums Getting Louder. Threatening Korea and China with the Support of Japan
Diplomacy of a Falling Empire
(バイデンによる東アジア「ハラキリ外交」。軍靴の音が大きくなっている。日本からの支持を受けて、北朝鮮と中国への脅威が強められている。
これは堕落しつつある帝国の外交政策だ。)

著者:ジョセフ・H・チョン(Joseph H. Chung)教授

原典:Global Research

2022年6月12日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年7月8日

 
 
序論

 東アジアは米国で最も熟練した人物の外交手腕を目撃できる機会があった。その人物とは米国ジョー・バイデン大統領だ。バイデンは5月20日から24日までの5日間韓国と日本で過ごしていた。



 世界が目にすることを期待していたのは、米国の利益だけを追い求めることのない真に熟練した外交手腕だった。相手諸国の利益、特に日本と韓国の利益を促進するような外交手腕を見たがっていたのだ。しかし、多くの人を落胆させることになったのだが、バイデンは米国政府のおなじみの外交政策を繰り返すだけに終わっってしまった。具体的には戦争亡者であるCIAや国家安全保障会議や国務省が決める外交政策だ。

 実際バイデンが戦争に向かう寒い風と共に東アジアを訪問した理由は、米国政府のために戦ってくれる戦士たちを探しに来たのだった。

 この文書においては、バイデンの東アジア訪問の2つの展開を取り上げる。ひとつは東アジア地域間の安全保障面での緊張の高まりであり、もうひとつは中国との代理戦争を起こすという依頼を受け入れてくれる国々を募ることだ。


バイデンの対北朝鮮戦略と日米韓三国軍事同盟

 東アジア地域の安全保障面での緊張が高まった理由は、バイデンが以下の件に関わる決定をくだしたからだった。ひとつは米国による対北朝鮮戦略についてであり、もうひとつは日米韓の三国軍事同盟についてであり、さらには台湾・中国間で有事が起きた際の米軍の介入の宣告についてだ。

 バイデンの対北朝鮮政策には何の新味もなかった。たたこの先の南北間の緊張を高めることにしかならない2つの動きを見せただけだった。そして、その動きのせいで軍事衝突を引き起こすかもしれない。



 一つ目の動きは、バイデンが保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新政権の要求を受け、韓国軍の攻撃力の増強を受け入れ、戦略的軍事資産の配置を約束したことだ。戦略的軍事資産とは例えば戦略的核兵器のことだ。

 二つ目の動きは、バイデンが米国政府の口癖である核兵器についての発言を繰り返したことだ。 「金正恩
 総書記が北朝鮮を非核化するのであれば、米国は北朝鮮と平和的な関係を求める!」これは口先だけであって、本音は以下の通りだ。「我々は朝鮮半島に平和を打ち立てる気はない」

 バイデンによるこれら2つの宣告により、北朝鮮はさらに警戒心を強めることになった。北朝鮮は、尹錫悦が北朝鮮に先制攻撃を行う意図を宣告していたことに苦慮していたからだ。

 現在事実上の日米韓三国軍事同盟が成立しているということは、日韓間に軍事同盟が結ばれているということになる。韓米間の軍事関係はただの軍事同盟以上のものだ。というのも戦時には米国が韓国軍に命令を出せる立場にあるからだ。実際、韓国軍は米軍の一部に組み込まれている。それは米国がOPCON (作戦統制。韓国が関わる戦争においては米国が韓国軍に命令を出せる権利のこと)を有しているからだ。

 日韓間の軍事同盟について懸念されることは、日本軍が朝鮮半島に足を踏み入れる可能性が生まれることだ。両朝鮮人にとってそのような可能性が生じることは悪夢だからだ。というのも、日本には再度アジア、特に朝鮮半島を支配したいという野望が今でもあることを両朝鮮人は分かっているからだ。 特に北朝鮮にとっては、日韓の軍事同盟が、日本軍が北朝鮮への攻撃に参戦する可能性に繋がることを恐れているのだ。


2022年2月の韓国での選挙

 既に北朝鮮は暴力的な反応を見せている。最近北朝鮮は13発のミサイルを発射している。うち4発は同時にいくつかの標的を攻撃できる能力を示すものだった。これらのミサイルは、短距離及び中距離ミサイルで、日本と韓国に警告を発するための発射だった。

 尹が大統領に選ばれたということは、反北朝鮮で親日である韓国保守派が、戦争亡者である米国の支配者層や、明治時代の栄光を再興しようとしている日本の野望と結びついたことを明らかに示しており、このことは北朝鮮の警戒を強めさせるのに十分だった。

 そのような状況下において、北朝鮮は世界の「東西武力戦争」において露中側に与することを決めた可能性がある。そうなれば南北統一はもはやありえなくなる。韓国はなくなってしまうだろう。尹大統領は朝鮮民族にとって最悪の反逆者の汚名を受け続けるだろう。


バイデンによる無謀な台中外交

 さらに恐ろしいことは、バイデンが、台中間で戦争が生じれば米国が介入すると宣告したことだ。これはまさに中国に対する内政干渉だ。世界は、米国が1つの中国政策を三度の共同声明(1972年、1979年、1982年)と台湾関係法(1979年)で認めたことを知っている。実際バイデンもほんの数か月前には1つの中国政策を認めていた。



 しかし、米国政府はもう何十年間にもわたって、米国在台湾協会(AIT)を通じて、一つの中国政策に反する行為をとってきた。1982年に中国と結んだ合意(ドナルド・レーガンの6つの保証)に応じて、米国政府が台湾に供給できるのは、「防衛用の武器」のみとされてきた。しかし、今供給されている武器は本当に防衛用の武器なのだろうか?ここ何十年間も、米国政府は台湾に何十億ドル分もの武器をつぎ込んでいる。トランプは毎年台湾に40億米ドルを与えていた。そんな武器がすべて防衛のためだけだなどという話が信じられるだろうか?

 ある意味、米国政府による矛盾の多い台湾政策が台湾にとって理解できるものになっている理由は、米国が中国国境のすぐ近くに空母を配置し、中国の安全保障を脅かしていることにあると言える。

 米国が台湾を失えば、東アジア地域における米国の利得は深刻な損害を受けるだろうと言われている。こんな帝国の振る舞いは最低の振る舞いだ。主権国家である他国を軍備させて自国の利益を得ようと主張する国などありえるだろうか?

 ただし中国にとってみれば、米国が台湾を完全武装させているという状況は耐えられない脅威だ。つまり米国政府は中国との紛争を挑発しているのだ。

 中国の人民解放軍に台湾を攻撃するようけしかけることにより、米国政府は、中国がそのような攻撃を正当化できる条件のうちのひとつを意図的に破壊しているのだ。中国政府が台湾に出兵することが許される条件は以下の五項目だ。

 § 台湾が独立を宣言する
 § 台湾国内の内部騒乱が起こる
 § 台湾軍が他国と軍事同盟を結ぶ
 § 台湾が大量破壊兵器(WMD)を所持する。例えば戦略的核兵器など。
 § 1992年に中台間で確認された一つの中国(九二共識)を逸脱する

 米国政府は日本に依頼してこれらの5項目のうちのひとつを崩れさせることは可能だ。台湾の独立宣言をしなくても可能だ。最も容易な方法は、台湾に戦略的核兵器などの大量破壊兵器を送ることだ。あるいは台湾内部で騒乱を起こさせたり、日台間で軍事同盟を結ぶ手もある。



 日本は喜んで米国政府からのこのような要求に応じるだろう。というのも、中国打倒が安倍晋三元首相の率いる日本会議の夢だからだ。米国の支援を得て中国を倒し、再びアジアの支配者になることを夢見ているのだ。世界の支配者にはなれないとしても。

 従って明らかに、バイデンは東アジアで軍靴の足音を高めることに成功したのだ。


代理戦争の戦士募集

 日韓二国間軍事同盟が目指すものは代理戦争の戦士を集めることだ。先に指摘した通り、米国政府が北朝鮮への攻撃を決意したなら、米国政府の覇権のためと、日本による再度の朝鮮併合のために、日韓両国軍が参戦する可能性は高い。 バイデンにとってより重要なことは、米国が支援する台湾・中国間の戦争に加わる戦士たちを募集することだ。韓国軍も日本軍も米国政府のために射撃を行なうことが期待されている。しかし米国政府がその戦いに参戦しないことはありえる。ただ武器の供給を増やすだけで。そう今のウクライナ・ロシア戦争と同じ構図だ。

 東アジアにおいて米国政府が主導するこの危険な安全保障条件での動きには、ひとつの難しい側面がある。それは「ハラキリ」政策だ。この政策は、尹大統領が率いる親日保守派の韓国政府が安全保障戦略として採用しているものだ。韓国が対北朝鮮戦争に参戦しても、韓国側はなんの利点も得られない。ただ韓国人が何百万人も亡くなったり、韓国経済が崩壊する可能性が生まれるだけだ。さらに北朝鮮とのこの戦争に日本が参戦すれば、朝鮮半島の地に日本軍が永久に駐留することになりかねない。これにより1910年の日本による韓国併合という惨劇が再び繰り返されないとも限らないのだ。

 親日保守派の韓国人はこの歴史を支持するだろう。彼らの先祖か1910年にそうしたように。このことは奇妙に聞こえるかもしれない。しかし忘れてはいけない事実がある。親日韓国人の中枢は、韓国を植民地支配していた日本政府に協力していた韓国側の支配者層の子孫なのだ。加えて、自分の富を守るため日本には帰らず、名前を韓国名に変えて自分たちの出生を隠した人々の子孫もいる。はっきり言えば、この親日派は韓国人と言うよりも日本人と言った方が正しいのだ

 さらに韓国軍が台中戦争に参戦となれば、中国からの貿易による報復に苦しまなければならない状況を作り出しかねないし、中国軍から直接韓国の地に軍事攻撃を受ける可能性まで出てくる。

 韓国製品の輸出先の4分の1は中国である。ソウル近郊にたった一機のTHAADミサイルを配置したというだけで、韓国は高い賠償を支払う羽目になった。中国からの観光客収入を失い、中国で「韓国製品不買」運動が起こり、中国国内の韓国企業が閉鎖されるなどの報復措置を受けたのだ。そんな損失に対して米国が補償してくれる訳がない。

 韓国にとって米中覇権争いの中を生き残る唯一の賢明な選択は中立を保ち、米中両国と良好な関係を維持することだ。これが文在寅(ムン・ジェイン)の取った手法だった。だが尹大統領はムン・ジェインの功績をふいにしてしまった。これは悲劇だ。本当に。
 
 文在寅下のリベラル政権は両超大国と良好な関係をうまく維持することができていた。経済力で世界10位、軍事力で世界6位の力を持つ韓国なら中国政府や米国政府に対して韓国が優位となる取引が可能なのに。

 さて日本の方だが、安倍晋三元首相が率いる帝国主義的保守派は、中台戦争において日本が外国人軍として参戦することは大歓迎だろう。安倍晋三や仲間たちにとっては、中台戦争は神からの授かりものになりうる。安倍勢力が1945年以前の大日本帝国の力と栄光を取り戻そうという野望を持っていることを思い出して欲しい。安倍らの勢力は1945年の日本の無条件降伏を受け入れていない。つまり東京裁判の判決を受け入れていない。安倍らの勢力には日本が世界支配者であるという幻想がある。この野望の実現のためには中国を打倒しなければならない。中国を打倒するためにはいわゆる自衛隊ではない、正規軍を持つことが必要だ。そのためには1948年施行の平和憲法を改憲しなければならない。特にその中の議論のタネになることの多い9条を、だ。

 しかし安倍の野望の実現には、バイデンの支援がいる。

 バイデンは日本がヒロシマ・ナガサキへの原爆投下のことを忘れていないという危険に気づいている。米国民は、真珠湾での大虐殺の記憶を有している。バイデンは力を持ちすぎている日本の姿を見たくないと思うのは十分想定内のことだ。


だが、バイデンが「中国をたおす」には日本の軍事力が必要

 バイデンが中台戦争が発生した場合には軍事介入を行うと宣告した意図には、米国の代理戦争を戦ってくれる日本の軍隊を召集することにあった。韓国軍についても同じことだ。

 バイデンにとっては、日本の軍隊は中国と戦う外国軍として最善の軍隊だ。中国に尖閣(釣魚)諸島や台湾に出兵させるのに、日本は戦争に繋がる偽旗事件を起こしてくれそうだからだ。実際、偽旗事件を起こすのは日本のお手のものだ。

 1931年に満州で起こった満鉄事変は日本の満州侵略の先駆けとなったし、1937年の北京の盧溝橋事件が日中戦争の本格的な全面戦争の火花になったのだ。これらは日本軍の手による偽旗事件だった。

 端的に言えば、バイデンは東アジア地域の2カ国の軍隊を中台戦争という米国の代理戦争が勃発した際の外国軍として召集することに成功したのだ。


バイデンとインド太平洋経済枠組み(IPEF)

 日韓二国の軍事力召集に加えて、バイデンはもうひとつの中国封じ込め機関の創造に成功した。それは13カ国からなるインド太平洋経済枠組み(IPEF)だ。
 加盟国はASEANの7カ国(シンガポール・インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、ブルネイ)と米、印、日、韓、豪、ニュージーランドだ。



2022年5月23日、繁栄に向けたインド太平洋経済枠組み会議での、日本の岸田文雄首相(左)、ジョー・バイデン大統領、インドのナレンドラ・モディ首相(写真を提供してくれたAP通信のエバン・ヴッチ氏に感謝)


 この新しい機関の目的は中国の封じ込めだ。IPEFは当該地域における四分野に力を入れることになる。それは、供給網の再編成、再生可能エネルギー、不正取引の禁止、不正との戦いだ。しかしこの機関の究極的役割は中国の封じ込めであり、中国との商品や知識や業務などの交換の制限を強めるためのものだ。その中でも特に、技術の交換の制限が求められている。  

 韓国の貿易や国際政治の専門家たちのほとんどの主張では、IPEFは韓国に惨事をもたらすだろうとのことだ。それは中国側から報復を受ける可能性があるからだ。

 日本はIPEFの一員に加わることができて喜んでいるようだ。というのも、この機関において、韓国の応援を得ることができて、主導的役割を担える機会を得ることになるからだ。サムスンとビュンデ自動車から米国に270米国ドルの投資の確約が取れたことはバイデンにとっては大きな土産になった。さらにこの投資により電気自動車業界と半導体業界での米国の競争力は強化されるだろう。これらの動きも米国による中国封じ込め政策の一端となろう。

  インド太平洋経済枠組み会議(IPEF)は実際のところ付加的な中国封じ込め政策であり、反中国戦略の効果を高めるためのものだ。というのもこれまでのところ、今まで繰り出してきた封じ込め政策は効果 が出ていないからだ。

 オバマ政権時代から、米国政府はいくつかの戦略を繰り出して、中国の封じ込めをはかってきた。しかしどの戦略も期待されていたような結果を得ることはできなかった。南シナ海での米海軍の軍事演習は中国沿岸部の軍事強化を引き起こしただけに終わった。


環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)

 TPPが行き詰まったのは、TPPには2つの相容れない目的があったからだ。ひとつは、その名の通りの貿易の促進で、もうひとつは中国の封じ込めだった。
目的が当該地域間の貿易の促進であるならば、中国が入っていないとおかしい。目的が中国封じ込めなら、中国は報復し、加盟諸国の中国との貿易は減少するだろう。


 その結果生じる中国との貿易がなくなる損失は、TPP加盟諸国との貿易の促進で得られる利益よりも大きくなるだろう。従って加盟諸国にとってはこれは負け試合なのだ。米国政府がその赤字を補填してくれるのならば話は別だが。

 問われるべきことは、米国政府がそんな損失補填できる余裕があるかどうかだ。だからこそトランプはTPPから手を引いたのだ。

 TPPは、今はCPTPPやTPP-11 (11カ国が加盟する環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、加盟国は豪、ブルネイ、加、チリ、日、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム)という名前に変わったが、この協定はただの貿易協定以上のもののようだ。日本が主導しているのだから、この貿易協定は中国封じ込めの武器となりうる。というのも日本にはアジアの支配者になりたいという野望が残存しているのだから。


「オーストラリア、イギリス、アメリカ」という特別な構成者からなるAUKUS(オーカス)軍事同盟

 オーカスが軍事同盟として効果があるのかについてはまだ見極められていない。豪州の新首相は豪中関係について同盟国と異なる見解を持っている可能性がある。豪州のペニー・ウォン(Penny Wong)新外相は親中派として知られているし、ウォン外相の上司のアンソニー・アルバニーズ(Anthony Albanese)豪州新首相は、対中政策は穏健な立場を取ることを提案している。


Source: Financial Express


日米豪印戦略対話(Quad)

 Quadに効果が持てるかどうかは対中戦争が起きた際インドがどんな対応を見せるかにかかっている。インドはいくつかの多国間協定に加わっている。具体的にはBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国)、SOC(上海協力機構)、RCEP(地域的な包括的経済連携協定) だ。これらの協定においてインドは中国との良好な関係を維持している。



5月24日に東京で開催されたQuadの会合でのインドのナレンドラ・モディ首相、米国のジョー・バイデン大統領・日本の岸田文雄首相、豪州のアンソニー・アルバニーズ首相


 インドは米国政府が長期間においてインドの安全を保障してくれるとは思っていない。インドはオーカスの加入からはじかれたことに落胆している。インドは中国からの報復を恐れている。これら全ての理由から、インドがQUADに加入していることの強みは、日本が加入していることの強みほどはないようである。
IPEFはバイデンが考えた中国封じ込め作戦だ。IPEFはTPPの代わりになるのであり、貿易志向の協定と見せかけて実はその隠れた目的には中国の破壊がある。従って、TPPの時の矛盾と同じ矛盾が生じている。貿易が目的であれ、中国の封じ込めが目的であれ、成功の可能性は薄い。念頭においていただきたいことは、IPEFの全ての加盟国は貿易や投資において中国に深く依存しているという事実だ。


全速力で加速するインフレ。米国における経済と社会の危機

 しかし実は世界覇権を目指す米国にとって最も深刻な躓きは米国国内の問題が悪化していることだ。インフレが全速力で拡大している。そのため路上での殺人事件、社会基盤の崩壊、飢えに苦しむ人々の増加、野宿者や仕事がない人々でごった返す街中、ふくれあがる医療費のせいで何百万もの人々が治療を受けられなくなっている状況、収入格差の激しい不平等のせいで飢えに苦しむ児童・生徒数の増大。これらすべては、パクス・アメリカーナ(米国による平和な世界)が没落している兆候だ。




米国が優先的に取り組むべきことは、内政問題の解決のようだ。

 優れた外交手腕を持つバイデンが今回のアジア訪問で大きな収穫を得たと評価する人々もいるかもしれないが、私はそんな賞賛には同調しない。

 私の考えでは、バイデンが示した外交政策というのは、「没落しつつある帝国による外交政策」だ。

 世界を支配するには3つの方法がある。経済による支配、考え方による支配、軍事力による支配だ。ただし、軍事力による支配は経済力による支配や、考え方による支配の支えなしでは無力だ。



米国の世界的「ハラキリ」政策は、没落しつつある帝国の外交政策だ


 米国の経済力による世界支配は弱化している、それは敵諸国に終わることのない経済戦争をしかけているからだ。さらに、米国による考え方をもとにした支配も、米国が真意を履き違えた民主主義を展開しているため、影をひそめつつある。残されているのは軍事力による支配だけだ。

 バイデンは強力な経済力による支配と、考え方による支配による支えなしで軍事力による支配を再興しようとしている。これは没落しつつある帝国が見せる症状だ。

 おそらくバイデンが示している外交政策は、崩壊しつつある帝国を軍事力でなんとか再建しようとしている努力をさしているのだろう。しかしバイデンが軍事力による支配を追い求めようとしても、結局は世界の人類の自殺を招き、帝国は恥ずべき終焉を迎えるだけだろう。

サンライズ(日出ずる)国ならぬ、サンクションライズ(制裁を出す)国、日本

サンライズ(日出ずる)国ならぬ、サンクションライズ(制裁を出す)国、日本
<記事原文 寺島先生推薦>

Japan, a Land of the Rising Sanctions

Journal NEO 2022年3月16日

ウラジミール・ダニロフ(Vladimir Danilov)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年3月31日



 日本は、「ライジング・サン(日出ずる国)」という美称で呼ばれてきた国だが、最近ではそのように呼ばれる国からはますます遠ざかっているようだ。現政権のまずい政策のため、今や日本は「ライジング・サンクション(制裁を出す国)」に変わってしまった。

 つい最近までは、安倍晋三元首相のもと、日露関係は常に良好で、温和でさえあった。安倍とロシアのウラジミール・プーチン大統領間の定期的な取り組みや、個人的なつながりのおかげで、2か国間の貿易や事業協力は促進され、それらが日本にとってのある種の「安全網」になっていた。米国政府からは常に「嫌ロシア」化に向かうよう圧力をかけられていたし、日本国内の極右からは「北方領土問題について戦え」という圧力もかけられている中でも。こんな芸当のような話し合いが持てるかどうかはその人が特異な政治家であることが条件だ。そして安倍はまちがいなくそんな政治家だった。安倍は米国政府の言いなりの普通の首相ではなかった。普通の首相なら、「米国という兄貴を喜ばせる」ためには何だってしてきた。たとえそれが大きな会議で渡された、たった一枚の紙きれに書かれていたとしても。

 明らかに、日本は第二次世界大戦後、自主性を奪われ、米国の従属国に成り下がっている。この75年間以上、米国の占領下で多くの試練に苦しめられてきた。geishaのように何千もの米軍兵のおつきの役をさせられてきた。その米軍兵が大暴れして、日本の人々に対してたびたび罪を犯すのも日常茶飯事だ。その悪名高い米軍は第二次大戦末から日本に駐在し続けている。米軍施設の7割以上が沖縄に集中している。3万人程度の米軍兵士が沖縄に駐留しており、家族まで入れると数万人に上る。統計によれば、日本に駐留する米国民は1972年以降5千件以上の犯罪を犯している。米軍兵士が罪に問われないこともしばしばあった。日本国民は定期的にデモ行進をして米軍基地の解体を要求しているが、日本の政治家たちは国民からのそのような要求に十分応えようとはせず、国連などの国際機関においては「米国を怒らせないよう」に卑屈な態度をとる方を選んでいる。

 しかし米国に対してこのような立場をとっていたにもかかわらず、いまや伝説的だともされている安倍晋三は自分の政策指針を追求し、何よりロシアとの「特別な関係」を維持することに成功していた。安倍の外交政策の肝要は、急激に成長していた中国を米国とともに遮ることに加えて、ロシアと友好関係を結ぶことにあった。両国が、友好関係というよりは、親善関係ともよぶべき関係を築き上げることで、共通の問題の解決に共同して取り組むことが可能になる。安倍はウラジミール・プーチンと本当に個人的な関係を築くことに力を入れ、安倍はプーチンを友と呼び、その友との会談を30回ほど持った。この関係のおかげで、2014年、米国政府からの圧力はあったものの日本政府はロシアに対して柔和で最小限の制裁だけを課した。マスコミはこのことを「礼儀正しい」と報じ、世間からは、いやいやながら仕方なく制裁を行っている、という認識を持たれていた。

 安倍が日本国内で恐ろしく高い支持率を得ていたことを背景に、安倍の力で、両国が都合よい妥協案(例えば領土問題を抱えている千島列島において経済協力活動を行うなど)に同意するのではないか、そうなれば真に新しい両国関係が生まれるのではないかという期待が高まっていた。

 安倍がプーチンとの相互理解に重きを置いていたのは、そうすることで南シナ海の勢力拮抗を確実にできると考えたからだ。南シナ海は、日本が主敵、あるいは不倶戴天の敵と見なしている中国が長年進出しようとひそかに企んでいる地域だ。

 日本は何世紀もの間も武士道という道徳上高貴な精神文化をいつくしんできた国だ。その武士道の精神をもって、日本はずっと世界の他の国々とは一線を画す国であり続けてきた。しかしその日本の安倍後の新政権が決めたのは、安倍が取ってきた政策方針を根本から変換し、米国政府に今まで以上に擦り寄ることだった。すでに1月21日の時点で、米国のジョー・バイデン大統領と日本の岸田文雄首相との会談の結論は、ロシアがウクライナに対する「侵略」を始めた際は、日本が米国とともに新たな主導権を持ち、太平洋地域におけるロシアに対する制裁執行役を第二戦線として担うことであった。

 そして毎日新聞の報道によると、元自衛官50人を含む約70名のボランティアがウクライナに赴き、キエフのナチ権力のために戦うそうだ。さらに共同通信の報道によると、鈴木俊一財務相が、「日本政府はウクライナの状況に対するロシアへの制裁として、VTB銀行を含むロシアの4行の資産を凍結する」と発表したとのことだ。その後日本政府は、ロシアの49社の企業や団体に輸出制裁措置を課し、さらに20名のロシア人にも制裁を加えるとした。その中にはウクライナの非ナチ化と非武装化に対してロシア軍が取った作戦に関係したとされる会社員や、国家役員や、著名なロシアの人々も含まれている。

 明らかに米国政府に触発されて日本政府がナチが権力を握るウクライナ政府を支持していることに対して、東京のロシア大使館がテレグラム上で日本について以下のような投稿を行ったことは驚くべきことではない。「ここ100年で日本がナチ政権に協力するのはこれで2回目になる」と。一度目がヒトラーのナチス・ドイツのことであり、二度目は今のウクライナ政権のことだ。

 これと同時に、日本政府はロシアに対して領土問題についての主張を強めている。それをよく表しているのが、岸田文雄首相が3月7日の国会討論において、北方4島の領土問題については、日本「固有の領土」であると主張したことだ。「不幸にも、日本は西側諸国の主流の主張に流されて、なんの不平も言わずただ言われたことに従っています。日本は今やっていることが、どれだけ自国を破壊に招く行為なのかがわかっていないようです」と3月9日スプートニクラジオでマリア・ザハロワ(Мария Захарова)ロシア連邦外務省報道官は、ロシア政府に対して日本政府が領土問題に関して主張したことについて発言していた。

 しかし日本の産業界は、日本政府や米国政府の対ロシア政策には異を唱えている。西側諸国の諸企業はロシアから引き上げると発表し、蘭英のシェル社はサハリンー2計画からの撤退を表明している事実もあるが、日本の三井物産と三菱商事はこの計画から撤退しない方が得策であると考えている。日経新聞の報道によれば、日本の経済産業省の高官の一人が提出した文書によると、拙速な撤退は危険であり、このチャンスを中国の手に渡してしまうことになる、としていた。サハリンー2計画はロシアでの初めての天然ガス計画であり、ロシアのガスプロム社が5割、シェル社が27.5%。三井物産が12.5%。三菱商事が10%をそれぞれ保有している。日経新聞の報道によれば、日本のこの2社の考えでは、何が起こっても、サハリンー2計画の稼働は続くと考えられるため、もしこの2社がサハリンー2計画から撤退してしまえば、日本の消費者は天然ガス市場での支払いが20憶ドル余計にかかってしまうことになる、としている。




日本は自発的な国家戦略を米国に引き渡してしまったのだろうか?

日本は戦略的自発性を米国に引き渡してしまったのだろうか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Japan’s Surrender of Its Strategic Autonomy to the US?
アンドリュー・コリュブコ(Andrew Korybko)
Global Research 2022年3月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年3月26日


 日本と同様、インド、特にイスラエルは米国の軍事戦略における密接な同盟国だが、日本だけが、何の見返りを得ることもなく自国の自発的な世界戦略を放棄している。つまりインドとイスラエルは真の独立国であり、自国自身の戦略を立てることができている一方で、日本は国際関係において客体的存在として見られており、独立した主体的な存在とは見られていない。

 数年前に日本を見ていた人々は慎重ではあったが楽観視していて、日露が未締結であった第2次世界大戦後の平和条約をついに結ぶのではないかと考えていた。それは安倍晋三元首相がいわゆる「北方領土問題」についての解決に積極的に取り組んでいたからだ。(「北方領土問題」については、日本のとらえ方とは違い、ロシアは「第2次大戦後に千島列島の南部は合法的にロシアに編入されたため問題は存在しない」という立場を取っている)。しかし日露関係が改善するかもしれないという期待は今や消え去ってしまった。それは日本が、米国が主導する西側の対ロシア制裁路線に乗っかり、ロシアに対して経済的・金融的・個人的な制裁を課すことに決めたからだ。

 庇護者である米国からの要求に対して日本が従順であるということは、日本は永遠に米国の「不沈空母」的存在であり続けるであろうということだ。日本が自発的な戦略を柔軟に持てるようになるという期待はできないということだ。日本が自発性を持つことは世界の多くの人々が望んでいることなのだが。日本には新冷戦における巨大両勢力の間を取り持つ役割を果たせる可能性があるのに、残念なことだ。他方、日本と共にQuad(米・豪・日・印4カ国の枠組)の一員であるインドは対照的に、両勢力に対して中立の立場を表明している。しかし日本政府が選んだ道は、日本の自発的な戦略を投げ捨て、米国に追随することだった。何の見返りも得ることなく、だ。

 今起こっているのは、米国が主導する西側諸国が世界において「勢力圏」を構成しようとしていることだ。そしてその勢力圏を北米諸国、カリブ海諸国、ラテンアメリカ諸国、欧州全体、アジア・太平洋地域の数カ国(豪、日、韓、シンガポールなど)にまで伸ばそうとしている。これらの国々は先日ロシアから、「非友好諸国ならびに非友好地域」に指定された。つまりロシア政府はこれらの国々や地域を、米国の「勢力圏」内にあると確認したということだ。この潮流は筆者が以前書いた記事の通り、世界はどんどん分断に向かっているということだ。

 米国が英国を欧州における「不沈空母」化することに成功したのと同様に、米国は日本をアジアにおける「不沈空母」にしたのだ。さらに、アングロ・アメリカ連合(AAA) が西ユーラシアの分断と支配に向けて精力的に動き、ロシアと欧州の関係に深いくさびを入れようと企てている中で、アメリカ・日本連合(AJA)により、アジアで地政学的経済上重要な国々と、露中との関係を分断させようという動きが活発化している。そして最終的には近い将来、米国がユーラシア両側のこの連合を結合させようという戦略だ。

 日本が本質的に果たしている機能は、AUKUS(豪・英・米)反中国軍事・核兵器同盟の事実上の第4国的役割だ。このAUKUSは昨年9月に発表されたものだったがこれは想定外の出来事だった。日本政府はこの新しく作られた同盟には気分を害していた。というのもこの同盟によりQuadが果たすべき中国を「抑え込む」軍事戦略的役割が軽んじられることになる可能性があったからだ。この同盟の決定はおそらく米国政府が、「インドは中国抑え込み作戦には積極的に参加してこないであろう」という見通しをもったからだろう。米印関係は2020年夏以降微妙なものになっている。外交政策の決定権を米国に自発的に委ねている日本の望みは、国際社会において米国と繋がっておくことだ。

 日本のこの期待は間違っている。というのも、日本政府がやったことは、米国政府の「従属国」に甘んじることだけだったからだ。米国と対等な関係にある英国政府のようには、日本政府は米国から決して見なされていない。英国も「ユーラシアを分割して統治する」ため、日本と同様大事な役割をユーラシアの向こう側で担っているのではあるが。さらに日本は、以前交わしていたロシアと連携する事業の契約が不履行になってしまった。それはロシアがウクライナ侵攻前に、対中関係において地政学的なバランスを取るために、資源が豊富な極東地域への投資を増やすことをインドと共に行うという事業だった。

 この筋書きはもはや実施不可能となった。というのも米国が主導する西側が、単極的世界を求める動きの一つとして、ロシアに対して尋常ならぬ攻撃を加えているからだ。それを受けてロシアはウクライナに対して特別軍事行動を開始し、この侵攻によりロシアの世界戦略が完全に変化し、ロシア政府はこれまでにないほど中国への依存度を高めることになった。この状況下で、ロシアは中国に依存することが最も重要な圧力弁となったのだ。ロシアはこれ以降も中国に必要以上に依存しないよう先手を打とうと、他国との関係を深めようとするだろうが、その対象はインドやイランやパキスタンなどロシアが信頼の置ける相手と見なした国々だけであり、「ロシアは非友好国である」と公的に表明した日本のような国々は相手にされないだろう。

 日本がイスラエルのように実質的に中立の立場を取っていたらどうなっただろうか?イスラエルは、象徴ではあるが法的には意味のない国連総会ではロシアに反対する決議に賛成票を投じたが、ユーラシアの巨大国ロシアに対して制裁を行うことには応じていない。日本もイスラエルと同じように、今回のウクライナ紛争において調整役という立場を取ることもできただろう。実際、イスラエルのベネット(Bennet)首相は先週(3月第1週)調整役を積極的に引き受けようと動いていた。日本もそうしておれば、日本の戦略的自発性を最も印象的な形で示せる機会になったであろうし、日本の企業群が、ロシアが行っている資源豊富な極東地域への投資事業における優先権を得られたかもしれなかった。その役目は今やインドに取られてしまいそうだ。

 インドや特にイスラエルは、米国の軍事戦略の重要な同盟国であることは日本と同じだ。しかし日本は、自国の戦略的自発性を米国に差し出してしまっている。しかもそのことに対する米国からの見返りも期待できないのは言うまでもない。つまりインドやイスラエルは真の独立国として自前の広大な戦略を打ち立てることができているが、日本は国際関係において客体的存在のままだ。つまり独立した主権国家にはなれていないのだ。米国の「不沈空母」的機能しか果たせない国であり続ければ、日本は客体的存在のままであり、独自に広大な世界戦略など持てない国のままだ。

*

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This article was originally published on OneWorld.

Andrew Korybko is an American Moscow-based political analyst specializing in the relationship between the US strategy in Afro-Eurasia, China’s One Belt One Road global vision of New Silk Road connectivity, and Hybrid Warfare.

He is a regular contributor to Global Research.

Featured image is from OneWorld

「外国軍」が係争中の島への侵略をした場合の訓練を実施(日本)


「外国軍」が係争中の島への侵略をした場合の訓練を実施

日本のメディアは、中国が領有権を主張する島々への「外国からの侵略」を撃退することに焦点を当てた先月の軍事訓練の詳細を明らかに

<記事原文>
Japan holds drills in case ‘foreign forces’ invade disputed islands

Japanese media has revealed details about last month’s military drills that focused on repelling a ‘foreign invasion’ of disputed islands claimed by China.
 

RT (WORLD NEWS)     2021年12月27日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年12月30日
 

2021年11月27日、東京・朝霞駐屯地で撮影された自衛隊員。© AFP / 太田潔/POOL/AFP通信

 日本の自衛隊、海上保安庁、警察が参加した2日間の軍事演習は、11月下旬に人里離れた無人島で実施されました。共同通信が日本政府筋の話を引用して伝えたところによると、この島が選ばれたのは、日中間の長年の争点である尖閣諸島に風景が酷似しているためだといいます。日本政府は尖閣諸島で軍事演習を行わないことを決定し、代わりに別の場所を選択しました。

 今回の訓練は、東シナ海の係争中の島々を「外国軍」が占拠しているという前提で行われたとされます。しかし、東京の政府関係者は、そのような「侵略」を実行する可能性があるとして、中国や他の特定の国を名指しすることはやめています。


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Japan & US agree emergency military plan for Taiwan – media

 日本当局が明らかにしたところによると、今回の訓練はヘリコプターやボートからの上陸作戦を特徴とし、約400人が参加しました。訓練の主な目的は、日本の軍隊と治安部隊の様々な部分の間での相互運用性を向上させることでした。

 尖閣諸島は台湾の北東に位置し、北京は14世紀にこの無人島を最初に発見し、所有したと主張しています。中国本土では釣魚島と呼ばれ、19世紀末に日本のものになりました。 

 中国の沿岸警備隊は過去数年にわたり何度も釣魚島のすぐ近くまで来ており、日本はこれを意図的な挑発行為と見ています。

 

広島と長崎への原爆投下の悪魔的な本性

広島と長崎への原爆投下の悪魔的な本性

<記事原文 寺島先生推薦>

The Satanic Nature of the Atomic Bombings of Hiroshima and Nagasaki


Global Research

エドワード・カーティン(Edward Curtin)

2021年8月6日

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年12月20日




 広島・長崎への原爆投下から76年目を迎えました。このエドワード・カーティンの記事は、2018年にグローバルリサーチが発表したものです。

 「エイハブは永遠にエイハブだよ。 この全ての行為は不変的に決定されている。 この大海原が広がる何億年も前に、お前と私によってリハーサルが行われている。 愚か者め! 私は運命の副官だ。私は 命令に基づいて行動しているのだ。」 - ハーマン・メルヴィル『白鯨』

 最大の悪は、今ではディケンズが好んで描いたようなあの薄汚い「犯罪の巣窟」では行われていない。….最大の悪が着想され、命ぜられる(動議が提出され、賛成意見が出され、可決され、議事録が作成される)のは、清潔で、カーペットが敷かれ、暖かく、明るいオフィスで、白いカラーをつけ、爪もきちんと切られ、頬には無精ひげなど生やしていない、自分からは声を張り上げる必要のない物静かな男たちによってだ。- C.S.ルイス(Lewis)、著者序文、1962年、『ねじまきの手紙』より

 アメリカの歴史は、正確には「悪魔の憑依の物語」(どんな風に理解しようと自由だ)としか言いようがない。たぶん 根本「悪」と言えば十分なのだろう。 つまり、アメリカの植民者たちは、最初から大規模な殺戮を行っていた。なぜなら、彼らは自分たちが神に祝福され、神に導かれた、選ばれた人間だと考えていたからだ。その使命は後に「自明の宿命説」*と呼ばれるようになった。 この神聖な使命を妨げるものは何もない。それを達成するためには、何百万人もの罪のない人々を奴隷にし、殺す必要があるという今日まで続いている考え方も含まれていた。 アメリカの神が命じた帝国の行進の邪魔になる「他者」は、常に犠牲にされてきた。これには、嘘と偽旗作戦に基づいて行われたすべての戦争が含まれる。これは秘密でもなんでもない。もっともほとんどのアメリカ人は、たとえ自覚しているにしても、「悪いリンゴ」が行った一連の異常な出来事と見なしたがる。 あるいは何か過去の出来事として。 

自明の宿ち命説」*・・・(19世紀アメリカの)入植者には、西部を開拓して領土を拡張する使命が与えられていると、当時広く信じられていた。(英辞郎)

 アメリカの最高の作家や予言者たちはこの真実を私たちに告げてきた。ソロー、トウェイン、ウィリアム・ジェームズ、MLK(Martin Luther King Jr)、ダニエル・ベリガン神父など、だ。私たちの国アメリカは罪のない人々を殺す国だ。私たちには良心がない。 私たちは残忍だ。 私たちは邪悪な勢力の手の内にある。

 イギリスの作家D・H・ロレンスは1923年に、そのことを完璧に言ってのけている。

 「アメリカ人の魂は硬質で、他を寄せつけず、禁欲的。そして人殺し。その殻が溶解したことはまだ一度もない。」

 今もそうだ。


 1945年8月6日と9日、米国は広島と長崎の原爆で20-30万人の罪のない日本の民間人を殺した。彼らは意図的にそれを行ったのである。 それは忌むべき国家テロ行為だった。使用した兵器の性質上、前例のないものであった。が、大量殺戮について言えば、この程度のものは前例がないわけではない。広島と長崎への原爆投下に先立って行われたアメリカの日本都市へのテロ爆撃---悪名高いカーチス・ルメイ(Curtis LeMay)少将(上の写真)が主導---も、意図的に日本の民間人を狙い、何十万人もの民間人を殺害した。
 
 ピカソの「ゲルニカ」の隣に、火炎弾で破壊された東京を描いたアメリカ人画家の絵はないのだろうか。ゲルニカでの死者数は800から1,600人と推定されている。 東京は一都市で10万人以上が、クラスター爆弾やナパーム弾で焼き殺された。 これらの殺害はすべて意図的なものであった。繰り返すが、意図的なものである。 それは根本悪ではないか? 悪魔的? 日本でこのような爆撃を免れたのは、5つの都市だけである。

 広島・長崎への原爆投下は意図的なホロコーストであった。戦争を終結させるためではない。歴史的記録が十分に示しているように、アメリカは日本の住民にしたことを、ソ連にもできるというメッセージを送るためであった。 トルーマン大統領は、1945年5月の日本の降伏の意思を受け入れがたいものにした。彼と国務長官ジェームズ・バーンズは、ソ連にメッセージを送るために2つの原爆を--バーンズの言葉を借りれば「結果を示すためにできるだけ早く」--使いたかったのである。 だから、「良い戦争」は、太平洋で終結した。「良い人」は日本の民間人に焦点を定め、何十万人も殺した。それ以来、日本人はずっと悪者扱いされているのである。  ロシア恐怖症は、何も今始まったことではない。

READ MORE: Denying the Demonic

 悪魔が常にもうひとつの顔を持つ。

 団塊の世代に属する多くの人は、「原爆とともに育った」と言いたがる。 彼らは幸運だ。彼らは成長した。恐怖を経験した。机の下に隠れて、原爆のことを懐かしんだ。 認識票の記憶があるだろうか? あの1950年代と1960年代はどうだろう? あの恐怖映画のことは?



広島への原爆投下後の三菱製鋼所工場(爆心地から約1.1㎞内の街並み。
歩道で治療を待つ負傷した民間人(写真: パブリックドメイン)


 1945年8月6日と9日に私たちの国アメリカが落とした原爆で亡くなった広島と長崎の子どもたちは、大人になることがなかった。 彼らは隠れることができなかった。 ただ沈んでいった。正確には、私たちが彼らを沈み込ませたのだ。あるいは、何十年も苦痛に燻(くすぶ)されたままにされ、そして死んだ。さらに言わせてもらえば、アメリカ人の命を救うために原爆は必要だったというのは嘘だ。何かと言えば、「アメリカ人の命」を口にする。まるでこの国の所有者たちが実際にアメリカ人の命を気にかけているかのようだ。いいだろうか、優しい心と純真な精神を持った人間にとって、その言葉は魔法の呪文になってしまう。 まったくやりきれない!

 Fat Man(広島に投下された原爆), Little Boy(長崎に投下された原爆)--- この2つの言葉は、1950年代に育ち、自国の悪魔的な本質について少年少女のように無邪気に考えている今やでっぷりと太ったアメリカ人に、この年月、どんな響き方をしているのか。自分たちは無実--- 結構!昔は昔、今は違う、というわけだ。

 「わがアメリカは、善良な国であるがゆえに、偉大だ」とはヒラリー・クリントンの言葉だ。

 リビア人たちはその証人になれる。 私たちは例外的で、特別な存在なのだ。 次の選挙では「かぼちゃ頭彫刻予想」*を覆し、アメリカに「基本的価値観」を取り戻すことになるだろう。

「かぼちゃ頭彫刻予想」*・・・プロのかぼちゃ彫刻師のマイク・ヴァラドー(Mike Valladao)があるテレビ番組で、オバマの頭部をかぼちゃで彫り上げ、オバマの地滑り的大統領当選を予想した。

https://www.ocregister.com/2008/10/26/obama-wins-pumpkin-election-by-a-landslide/


 皮肉な見方と思われるかもしれない。 しかし、真の悪を理解することは、子供の遊びではない。 幻想を必要とする多くのアメリカ人には理解できないようだが、 悪は実在する。 アメリカの歴史の野蛮さを理解するには、その悪魔的な本質を見ないわけにはゆかない。 この期に及んで、自分たちは神に祝福された善良な人間であるという妄想に取り付かれている私たちを、他のやり方でどうやって救済するのだろうか。

 しかし、平均的なアメリカ人は無邪気に振る舞っている。 自分を奮い立たせ、次の選挙でアメリカは正しい道に「復帰」するのだと考えようとしている。 もちろん、正しい道など、どこにも存在したことはない。「強い」が「正しい」のであるなら、話は別だ。アメリカの支配者たちはいつもそんなことをしてきたのではあるが。今日、トランプは多くの人々から異常な存在と見られている。 彼をそんな風に見るのはお門違いだ。彼はマーク・トウェインの短編小説からそのまま出てきたような人物だ。彼はヴォードヴィル(寄席芸人)だ。彼はメルヴィルの小説通りの『詐欺師』だ。 彼は私たちなのだ。彼から目が離せないような人たちは、もしアメリカを所有し、動かしている人間たちが彼の退場を望んだら、彼は一瞬で退場してしまうと考えたことはないのだろうか。 彼はツイートする、それも馬鹿げた内容のツイートを送信しても平気だ。延々とメッセージを送り、翌日には矛盾した内容になっていることもある。しかし彼が超富裕層を守り、イスラエルの支配を受け入れ、CIA・軍産複合体に世界規模の殺戮と国庫の略奪を許す限り、彼は国民を楽しませ興奮させること---疑似討論で彼らを熱狂させることが許されるだろう。 そして、それを、より娯楽性のあるものにするために、彼は「まともな」野党民主党に反対されるだろう。彼らの意図は、「暗殺者の微笑み」のように穏やかだ。(訳注:つまり、本心とはかけ離れた病的な、仮面的な、微笑み)

 過去のアメリカ大統領(「誰かの命令に従うだけ」の、船首に取り付けられた木彫の飾り物のような「傀儡」大統領)を、できる限り過去にさかのぼって振り返ってみよう。小説『白鯨』に出てくるエイハブ(Ahab)船長は、似てはいるが、誰かの命令ではなく自分の抑えきれない欲望のまま「邪悪な」巨大白鯨を殺そうとした。で、何が見えてくるだろう? 見えてくるのは、禍々しい権力に支配された卑屈な人殺し。磨き上げられた顔をしたハイエナたち。安っぽい厚紙の仮面。 ひとつ例外があった。一人の大統領は良心に従う勇気を持ち、大統領職が持つ主任殺人者の役割である「悪魔との協定」(悪事)を拒否した。その結果、彼、JFKは公衆の面前で頭を吹き飛ばされたのである。 悪の帝国は血を流すことで繁栄し、悪魔的なメッセージをいろいろ流布することによってその意志を執行する。 抵抗すれば、街路に血が流れ、線路に血が流れ、あなたの顔に血がつくだろう。

 それでも、ケネディ大統領の証言、つまり冷たい戦士から平和の使徒への転身は、この暗い時代に一筋の希望の光を与え続けている。ジェームズ・ダグラス(James Douglass)が『JFK and the Unspeakable』という名著で語っているように、ケネディ大統領は1962年5月、完全な軍縮を求めてホワイト・ハウスの外でデモを行っていたクエーカー教徒のグループとの会談に同意する。 彼らはケネディに軍縮へ進むよう促した。 ケネディは彼らの立場に同情的であった。 彼は、トップダウンで簡単にできればいいのだが、と言った。しかし国防総省などから、決してそうはしないようにと圧力を受けているとも言った。彼はソ連との「平和競争」を促す演説はしていたのだが。クエーカー教徒には、「それには国民のみなさんからの声が上がってくる必要があります」と言った。 クエーカー教徒によると、JFKは彼らの指摘に熱心に耳を傾け、帰る前に笑顔でこう言ったという:
 「みなさんは贖罪を信じているのでしょう?」

 やがてケネディは、世界が滅亡の危機に瀕したキューバ・ミサイル危機で根底から揺さぶられ、狂気の軍事顧問と「諜報部」顧問が核戦争を起こすように促したのである。 それから間もなく、彼は彼らの激しい反対にもかかわらず、トップダウンで平和への鋭い舵を切った。翌年、この劇的な舵は、彼の殉教につながった。 そして、彼はそうなることを知っていた。 そうなることを知っていたのだ。

 だから、希望はすべて失われてはいるわけではない。 JFKのような偉大な魂が私たちを鼓舞している。その後に続く偉大な魂があちらこちらで光を放っている。しかし、未来を変える希望を持つ糸口としては、まず悪魔のような過去(そして現在)との対決が必要であり、その意味するところを考えると身震いするような恐ろしいほど暗い真実に降りていく必要がある。 偽りの無邪気さは捨てなければならない。 ルイスによって書かれた(Carl Jung) は、『無意識の心理学について』の中で、このことを次のような言葉で述べている:

 人間は人間に対する影の部分もある、と言われるとぎくりとする。それはほんのちょっとした弱点や欠点だけではない。はっきりと陽画として表に出る悪魔のようなダイナミズムもある。人間が個人として、このことを知ることはまずない。人間は、個人として、どんな状況であっても自分を超え出ることは信じられないのだ。しかし、これらの、単独では無害な生き物が、塊になると、そこには荒れ狂う怪物が出現する。そして、各個人はこの怪物の体の中の一つの小さな細胞に過ぎないので、良くも悪くも、その血まみれの立ち回りに巻き込まれ、最大限にそれを支援する役回りさえ果たすことになる。ひょっとしたらこんなゾッとするようなこともあるかもしれない、という疑いを心の奥底で抱きながら、人間は人間性の影の部分に目をつぶる。原罪という有益な教義に目を固く閉じて抵抗しようとする。原罪という考え方の正しさは、どう考えても疑いようがないものだ。そう、人間は自分が身に染みて分かっている葛藤さえ認めたがらない。

 これほど多くの罪のない人々を故意に殺戮する人間を、どう表現したらいいのだろう。 アメリカの歴史は、今日に至るまでそのような例で溢れている。 イラク、アフガニスタン、リビア、シリア、などなど。--- 数え上げればきりがない。 国を所有し、運営する男女によって行われる野蛮な戦争は、普通の人々の魂を買い、悪魔との協定に参加させ、彼らの継続的な邪悪な行為を黙認させようとするものだ。 このような怪物のような悪は、1945年8月6日と9日ほど明白になったことはない。

  広島と長崎への原爆投下によって世界に放たれた悪について深く考えなければ、私たちは逃げ場のない生き地獄に迷い込むことになる。 そして、私たちは代償を払うことになる。 報復の女神ネメシスは常に報復を要求する。 私たちは、罪のない人たちを子どもの遊びのように殺す人たちによる支配を次第に受け入れ、どうせ真実には耐えられないと、無邪気で良い子のふりをしてきた。 「実際、地獄への最も安全な道は、なだらかな道だ。傾斜がなだらかで、足元が軟弱だ。急な曲がり角も、里程標も、道しるべ、もない」と悪魔のスクリューテープ*(Screwtape)は、甥で修行中の悪魔であるワームウッド*(Wormwood)に、語っている。 それは私たちが歩んできた道だ。

スクリューテープ*・・・『悪魔の手紙』とその続編の短編小説 『悪魔の手紙』に架空の悪魔として登場する。どちらもキリスト教の作家C.S.ルイスによって書かれた『スクリューテープ』は、ジェームズ・フォーサイスによる手紙の舞台版のタイトルでもある。 (ウィキペディア)

  自分の邪悪さを他人に投影しようとしても長くは続かない  私たちは自分の影を取り戻し、他人への投影を取りやめなければならない。 世界の運命は、まさにそれにかかっている。

*

Edward Curtin is a writer whose work has appeared widely. He is a frequent contributor to Global Research. He teaches sociology at Massachusetts College of Liberal Arts. His website is http://edwardcurtin.com/.

The original source of this article is Global Research

Copyright © Edward Curtin, Global Research, 2021

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2021年の選挙で日本の政治はどうなるか?

2021年の選挙で日本の政治はどうなるか?

<記事原文 寺島先生推薦>

The Prospect of Political Change in Japan – Elections 2021

Asia-Pacific Research

2021年10月15日

ギャバン・マコーマック(Gavan McCormack)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年11月5日



要約:2021年後半の日本は、9月の自民党総裁選(事実上の首相選出)と10月の衆議院議員選挙という2つの重要な選挙に直面する。本稿では、総裁選で勝利し、10月31日の衆院選で戦いに挑む岸田文雄が変化をもたらすことはほとんどない、との論を立てる。岸田文雄政権には、2012年から2021年までの安倍政権や菅政権と同じ主要人物が含まれており、米国主導の反中政策を継続する可能性が高い。また、米国だけでなく、英国、フランス、オーストラリア、さらにはドイツを含む主要国の軍艦を東シナ海に呼び寄せて、大幅な軍拡と多国籍軍事演習を行うことが特徴である。本稿では、現在の傾向を考察し、大きな変化は望めないとしながらも、長年続いた自民党支配の秩序を揺るがす可能性のある市民主導の挑戦に注目している。

*

オリンピック・パラリンピック、COVIDパンデミック、そして政治

 2021年後半、日本ではオリンピック・パラリンピックのてんやわんやとCOVIDパンデミックの激動の後、9月29日に自民党総裁選、10月31日に衆議院議員選挙という2つの選挙が行われる。どちらの選挙においても、安倍晋三(2012-2020年)と菅義偉(2020-2021年)という2人の首相が、オリンピック・パラリンピックとパンデミックへの対応で国をまったくけん引できなかったという事実が、何らかの形で反映されることになる。支配層は、オリンピックという壮大な祭典が世界を平和と復興(2011年の福島の地震、津波、原子力発電所のメルトダウンから、そして2020-21年のCOVIDパンデミックから)の時代に導き、自民党が選挙で勝利し、「平和」条項(第9条)を削除した憲法改正への道を切り開くと考えていた。しかし、ことはそのようには運ばなかった。

 2013年に日本が国際社会に対して、福島の問題は「アンダーコントロール」状態にあると断言してから8年後、日本はオリンピック・パラリンピックが完全に「安全・安心」なモードで行われるのだと、きっぱり言い切った。しかし、オリンピックがピークを迎えた2021年夏には、2013年の祝賀ムードと2021年の「自宅待機」「三密を避けること」と間の食い違いが明らかになった。菅総理の支持率は、2020年9月の約70%から2021年8月には30%を下回った。高みに立ち、国民の批判や要求を受け付けない菅は、2020年8月に引き継いだスキャンダル、欺瞞、そして腐敗が毒ガスのようにもうもうと立ちこめていた状態を、任期中着実に悪化させたのである。

 国政選挙が近づいてくると、彼の立場は危うくなった。自民党総裁選では、「COVID対策に専念したい」という理由で不出馬を表明したが、誰も信じなかった。他ならぬ政府が行った世論調査(1)でも、選挙があれば与党自民党は議席を失い政権を失う可能性があるとの報告があった。8月に行われた横浜市長選挙では、無所属の政権批判者が首相の側近に18万票(12%の差)という異例の大差をつけて勝利した。菅が自民党総裁選、つまり首相選に立候補しないことを表明したのは、自民党からの圧力に屈したからである。彼は自民党のお荷物となり、事実上クビになったのである。

 しかし、人が変わってもそれは政策の変更を意味するものではなかった。2021年9月に行われた菅総理の後継者選挙では、4人の候補者全員が、安倍・菅政権の基本方針の継続を掲げていた。そのような考えでは、アメリカにとって日本は相変わらず従属的な奉仕をする国になる。大浦湾(沖縄県辺野古)に海兵隊の基地を建設するなどの大規模プロジェクトは、地元の反対、その費用が嵩むこと、この地域の地質や地震に弱いことなどにお構いなく、絶対的な優先順位を持っている。ワシントンの指示があり、軍事優先、反中国の姿勢に疑義を挟む余地はない。

1.選挙

 菅義偉が安倍晋三の後を継いで首相になった2020年9月、私は多くのコメンテーターとともに、安倍旧体制が国家運営のハンドルをしっかり握っているので、変化はほとんどないだろうと予想した(2)。菅はこの1年の在任に別れを告げたので、その判断に誤りがないことははっきりした。9月29日、100万人の保守派自民党党員の中から党総裁に選ばれた岸田文雄は、菅総理に代わって首相指名を受けた。自民党は新仏教主義の公明党とともに国会で多数を占めているので、おおよそ国民100人のうち1人がたまたま自民党に所属している国民が党首を選ぶことは、新しい首相を選ぶことでもあるのだ。そして、岸田はほぼ即座に総選挙実施を求めた。


 
 10月31日に予定されている選挙で、自民党は健闘するだろう。いつもそうなのだ。5月の時事通信世論調査によれば、有権者の自民党支持者は32.2%。不支持の44.6%よりもはるかに少ない。しかし自民党の集票マシンは半世紀以上の成功によって磨かれた強大な力があるので、それで十分だろう(3)。それに人口の半分近くが投票に行かないこともある(4)。全人口で見れば、ごく少数派にすぎない自民党党員が総裁選と31日の総選挙で今後数年間、たぶんそれ以上の期間、日本の針路を決めることになる。

 2020年の菅は人気があった。しかし元外務・防衛大臣で、2012年以降の安倍晋三政権の中心人物である岸田は新たな方向性を示すことも、国民の人気を博すことないだろう。党首選に先立つ数週間の世論調査では、岸田の支持率は13%と18.5%にとどまり、本命の河野太郎(それぞれ43%と48.6%)を大きく下回っていた(5)。河野は、ソーシャルメディア上で明確な発言をする人物であり、ジョージタウン大学を卒業して英語も堪能であったが、党内の古参の支持者、特に安倍陣営の支持を得られなかった(6)。河野は、安部/菅在任中の、犯罪につながる可能性のある行為の正式調査を公開で行う意向をほのめかした。それで彼の当選の目はなくなった。しかし、逆説的でより長期的な視野からみた結果として、(岸田が首相であった方が)10月の衆議院選挙で反自民党勢力が勢力を得て、安倍・菅政権(現在は安倍・菅・岸田政権)を打倒できる可能性は高まるだろう。河野が当選していればそんなわけにゆかなかっただろう。

 9月と10月の選挙について、今の私は、自分の考えがまとまらない:日本の半世紀以上にわたる事実上の一党独裁体制は終焉を迎えようとしているのだろうか?日本の国家は、1951年のサンフランシスコ条約とそれと同時に締結された安保条約が基礎となって成り立っている。それ以来、自衛隊や自民党などの長期的な米国支配の装置を設置・管理するために、CIAをはじめとする米国機関が積極的に介入してきた。1954年に設立された「自衛隊」は、それからの数十年間で、世界で最も強力な軍隊の一つ(おそらくナンバー5)に成長した(7)。しかし、サンフランシスコで確立された米国は保護者、日本は非武装・被保護という関係は、特に安倍・菅政権(2012年~2021年)の下で、日本の軍事力が米国主導の条約・同盟軍に増強・統合される相互同盟へと着実に変容し、「自衛」の解釈はますます緩くなっている。

 ワシントンは何十年もの間、日本に「正常化」のプロセスを求めてきた。安倍政権下の日本は、2014年に9条の新解釈を採用し、集団的自衛権の行使が必要な場合(つまり、日本の最も重要な同盟国である米国からの要請があった場合)には、自衛隊を動員することができるとした。これは、日本の憲法を空洞化して、平和主義の第9条という現在の障害(日米の立案者たちは長い間そう見てきた)を克服し、日本を「普通の」国、すなわち将来の「有志連合」に戦力を動員することができる総合的な軍事・総合大国に変えることに等しい。

 2015年、安倍政権はこの新解釈に基づいて安全保障関連法案を導入した。安部政権にとってたいへん決まりの悪い事態となったのは、その年の6月、政府から国会に招致された3人の著名な専門家が揃って「違憲」と証言したことだ。憲法学者たちが圧倒的に違憲だと言ったにもかかわらず、この法律は採択され、将来の紛争状況における日本軍の行動を規定することになった。

 2020年の安倍政権の最後の取り組みとして、「攻撃が差し迫っている場合」に敵のミサイル基地を攻撃できる兵器の取得に向けた動きを開始することが挙げられている(8)。このような先制攻撃の正当化ほど、憲法第9条にとんでもなく反するものはないだろう。

 ドナルド・トランプとジョー・バイデンの下で、米国は日本に対し、米国の完全なパートナーとなり、米国、日本、インド、オーストラリアという中国を封じ込めて対峙する「クワッドQuad」の要となることを求めている。2015年の安保法制のような法改正は、日本が立憲平和国家、市民民主主義国家から国家安全保障国家への転換を進める役割を果たしている。総勢24万7千人の自衛隊は、米国の軍隊の延長線上にあり、日本が訓練し、組織し、費用を負担しているが、米国の指示の下、主に米国の目的のために活動している。自衛隊が独立して行動することは考えられない。

 日本にとって、米国との同盟関係は国策の最上位に位置する。その下で、安倍政権(2012年~2020年)と菅政権(2020年~2021年)は、戦争演習、基地建設、米軍機・イージス駆逐艦・ミサイル・対ミサイルシステムの購入を最大限に進めてきた。2013年の国家安全保障会議の設置に続き、秘密保護法(2013年)、安全保障関連法(2015年)、共謀罪(2017年)、ドローン規制法(2021年)、土地利用規制法(2021年)などに関する法律を次々と採択した。この最後の2021年6月に採択された「土地利用規制法」という土地管理法は、戦前の日本の土地管理システムと並べて論じる人もいる。この法律では、主要な施設(軍事基地、原子力発電所、主要な通信基地)の周辺に、監視・統制のための「観測地域」を指定することになっている。特に沖縄の人々は、反基地運動を締め付け、管理するために、自分たちがこの法案の主要なターゲットになるのではないかと疑っている。
 
 米国の日本批判は、日本が基本的に十分な支出をしていないというものであるが、日本の大量の武器購入(米国が日本に頼れる領域)によって、その声は小さくなっている。(最近では、約230億ドルでF-35Bを105機購入し、日本の航空自衛隊における同機の数は147機になった)。日本に駐留する米軍は、米国の指揮下にある日米統合部隊として、日本の部隊と一緒に行動することが多くなっている。

2.軍事演習

 現在、世界的な有志連合が形成されており、米国のリーダーシップの下、中国の動きを現状のままに止め、米国の世界的な覇権をいかなる挑戦からも守るという決意で団結している。東アジアでの軍事演習のテンポが加速している。2021年1月から5月の間だけでも、日本の海上自衛隊は23回、ほぼ週1回のペースで多国間の演習に参加している(9)。過去1年間に亘る大規模演習は次の通り:

 大規模な東アジア軍事演習、2020-2021
</strong>
a)「鋭利な刃」作戦21(10)


2020年10月26日から11月5日

9,000名の米海軍/空軍/陸軍/海兵隊の軍人と37,000人の自衛隊員。沖縄海域。

b)「ラ・ペルーズ(La Perouse)21」作戦

2021年4月
日本、フランス、アメリカ、オーストリア、インド
東インド洋(ベンガル湾)
 
 フランスの原子力空母シャルル・ド・ゴール(3万8千トン、261メートルの滑走路)をはじめ、原子力攻撃型潜水艦エメラルド、水陸両用ヘリ空母トネール、ステルス・フリゲート艦スルクーフなどが参加:フランスがインド太平洋地域において、7千人の兵員、15隻の軍艦、38機の航空機を含む強力な軍事的駐留を常態的に維持していることを示している(11)。

c)「アーク21」作戦

 日本、フランス、アメリカ、オーストラリア
 2021年5月11日から17日、「島嶼回復」
「鹿児島沖」

d )「オリエント・シールド21」作戦

 2021年6月7日から7月11日
 米陸軍、陸上自衛隊(3,000人の隊員)
 「相互運用性を強化し、多領域および領域間共通作戦行動を検査し、改良するために」日本全国にある複数の基地で実施。

e)「タリスマン・セイバー作戦21」

 2021年6月25日から8月7日
 クイーンズランド(オーストラリア)のショールウォーター湾を中心、そして珊瑚海近辺
 米海兵隊(総勢8,000人)、陸上自衛隊(総勢8,000人)、英国海軍、オーストラリア陸軍(同時に韓国、カナダ、ニュージーランドから少数部隊)

 多国籍演習ではないが、それと同等のインパクトがあったのが、英国最大かつ最高級の軍艦である航空母艦クイーン・エリザベスの来日だ。

f)「クイーン・エリザベス」

 英国航空母艦クイーン・エリザベス(56,000トン、全長280メートル)
 2021年9月と10月に、米国の駆逐艦とオランダのフリゲート艦を伴い、米国空軍のF-35B統合型攻撃用戦闘機を搭載して、9月に日本を訪問し、「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取り組みの一環として」米国、オランダ、カナダ、日本の軍艦と隣接する海域で共同演習を行い、大きな反響を呼んだ。日本の岸信夫防衛大臣は、「中国の軍事力と影響力が増大する中、欧州諸国がインド太平洋地域に関与することは、平和と安定の鍵となる」と歓迎した。2021年10月2日と3日にも、沖縄南西海域で行われた多国間演習に、空母4隻(HMクイーン・エリザベス、USSロナルド・レーガン、USSカール・ヴィンソン)と海上自衛隊の護衛艦「いせ」、さらにカナダ、ニュージーランド、オランダの軍艦13隻からなる強大な部隊で参加した(12)。

g)バイエルン(ブランデブルグ級ドイツフリゲート艦)
 最近の様々な演習で「スエズの東」に進出(あるいは復帰)する英仏の海軍部隊が参加したのに続き、ドイツも「アジア太平洋戦略」を宣言し、2021年11月に行われる海上自衛隊の東シナ海演習にフリゲート艦「バイエルン」(3,600トンと控えめ)を派遣することになっている(13)。

  軍艦が東シナ海を軍事演習で出入りする際には、偶然にせよ意図的にせよ、衝突の可能性が生じる。最も極端なシナリオでは、人が住めない(無人の)小さな尖閣諸島(釣魚島)の領有権に対する日本と中国の対立した主張が引き金になる可能性もある。世界の「大国」(米国、英国、日本、フランス、そして反対側に中国)が、尖閣の風化した岩に相反する主張を押し付け、そのために地域と世界の平和を危険にさらすことは、想像を絶するものである。

3.隙間を埋める-国境に軍隊を配置

 日本は、沖縄を中心とした東シナ海の既存基地の改修・強化に多額の費用を投じる一方で、防衛の「隙間」を埋めることにも注力しており、九州と台湾の間にある一連の島々を軍事化して、軍用・民間を問わず中国の船舶の太平洋への出入りを、場合によっては、阻止しようとしている。

 中国を脅威と見なすようになったのは、2009年から2011年の民主党政権からである。2010年12月に閣議決定された「防衛計画大綱」では、中国の軍事的近代化を「日本を取り巻く安全保障環境」の一部と位置づけ、従来の「基礎的な防衛力」の概念に代わる「動的な防衛力」の概要を示した。

 2011年8月、民主党政権は、中国に対する「抑止力の窓」を閉じるために、自衛隊の部隊を配備する決定を発表した。2012年末には、南西諸島の防衛が「最優先」とされた。2012年12月からの安倍首相と菅首相の下で、自民党はこの姿勢をさらに強化した。

 このような中国の「脅威」に対する考え方は、間違いなく日本でも強まっており、それに伴って、外務省や最近の政府の中には、このような「脅威」には、重要な、できれば圧倒的な対抗力を持って中国と対峙し、アメリカをそのような措置に結びつけるためにあらゆる手段を講じるしかないという考えがある。しかし、このような考え方が、日本政府内部で一般的というわけではない。中国の軍事力だけでなく、中国の存在と世界的な経済大国としての台頭に反対するという米国の政策の過激さは、おそらく日本では広く共有されているわけではない。日中両国は歴史的、地理的に結びついており、その結びつきを絶つような行為は想像を絶するほど悲惨なものになるため、何とかして折り合いをつけなければならないと主張する人が多い。安倍政権下の2020年初頭に予定されていた習近平の日本訪問は、COVIDのために無期限延期となった。習近平訪日は、岸田にとって首相就任以前から優先順位が高い事案だった。

 日本が中国の成長に深い懸念を抱いていることは疑いない。1991年に日本の4分の1だった中国のGDPは、2001年には日本を超え、2018年には3倍になった(14)。著名な民間の識者である寺島実郎氏は、日本の政策論議にリアリズムを注入することを呼びかけ、2020年時点の米中貿易額(5590億ドル)は、日米貿易額(1830億ドル)の3倍以上であると指摘している(15)。また、1994年に世界のGDPの17.9%を占めていた日本は、2020年には相対的に見て6%にまで縮小しているのに対し、中国は2016年頃にはすでに18%を超え、(OECDによれば)2030年代には27%に達する可能性があるとしている(16)。時計の針は簡単には戻らない。寺島は、この軌道を抑制し、中国を地域や世界のシステムから「切り離す」ための同盟システムの設計は不適切であり、不毛なものになるか悲惨な結果になる可能性が高いと見ている。このような現実主義が東京の政策決定者たちに浸透するかどうかは、まだわからない。

 安倍首相と菅首相は、奄美、宮古、石垣、与那国の各島に複数の自衛隊のミサイル部隊と沿岸監視部隊を追加し、さらに鹿児島市から南に約110キロ離れた西之表市の馬毛島に全く新しい総合的な自衛隊基地を計画するなど、「中国の脅威」シナリオに沿った変化のペースは、この10年間で大幅に加速した。

東シナ海における島基地

 馬毛島、8.5平方km、無人島、日本の3つのサービスの部隊(150~200人)が駐留する予定で、米空母艦載機の戦闘機のFCLP(field carrier landing practice艦載機着陸訓練)も実施される。しかし、2019年に国が民間所有者から島を購入し、その軍事的開発(2本の滑走路、港、弾薬庫、給油・整備施設)の計画を発表したものの、地元の反対は強い。西之表市は2017年に反基地派の市長を選出し、2021年に同市長を再選した。2021年後半の時点で、東京都と西之表市の睨み合いは未解決のまま続いている。

 奄美大島、306平方kms、人口73,000人、550人の陸上自衛隊員で地対艦ミサイル、迎撃ミサイル。2019年3月配置

 宮古島、204平方km、人口46,000人、700-800人の陸上自衛隊で対空/地対艦ミサイルそして迎撃ミサイル。2019年3月配置

 石垣島、229平方km、人口48,000人、500-600人の人員で対空/地対艦ミサイル部隊、2019年より構築中
 
 与那国島、28平方km、人口約2,000人、陸上自衛隊員160人の監視部隊をキャンプ与那国に2016年3月に配置

 その過程で、自衛隊は国防軍というよりも、アメリカ主導の世界的な反中国連合の構成要素となり、小さな島々に駐留する安全保障とミサイル部隊は、沖縄本島に集中している米軍、特に嘉手納の米空軍と普天間の海兵隊を補完することになる。もし日中戦争が勃発した場合、これらの島々の周辺の東シナ海で起こる可能性が高く、日本は中国の第一次防衛ラインの中に中国軍を封じ込めるように行動するだろう。もちろん、それは戦争行為である。

4.カブールショック

 2021年8月、世界は、ありとあらゆる武器で武装した巨大な多国籍連合を率いる世界的超大国が、AK-47で武装した宗教的狂信者のぼろぼろの集団にカブールから追い出される光景に目を奪われた。アメリカが支配しているグローバルシステムの中で、アメリカが多大な投資をしてきた国家から無念にも追われることがあるとすれば、どの国家もアメリカの安全保障を完全に信頼することはできないだろう。世界に向けたカブールからのメッセージがあるとすれば、それは次のようなものだろう:「アメリカの属国たち、警戒せよ!」

 アメリカがカブールから撤退したことによる衝撃が続く一方で、ワシントン、ロンドン、キャンベラで同時に発表された、アメリカやイギリスの原子力潜水艦の技術(将来的には2040年から2060年の間の不確定な時期に実際の潜水艦)をオーストラリアに移転するというAUKUS協定からは、別の種類の衝撃が広がった(17)。この新たなアングロサクソン連合の発表は、日本にとって苦い錠剤であったに違いない。というのも、オーストラリアが準核保有国として一段高い位置にあり、ワシントンに近いという、2段階の政治的恩顧主義秩序の構造を意味するからである。安倍首相とその関係者の頭の中には、「オーストラリアが原子力潜水艦を持てるのに、なぜ日本は持てないのか」という疑問があったに違いない。

 岸田は、2012年12月に始まり、2020年から2021年まで菅政権で継続した安倍政権の第3期を率いることになった。安倍首相とその側近である麻生太郎元副総理、甘利明自民党幹事長のいわゆる「トリプルA」を中心に、安倍首相の弟である岸信夫が防衛庁長官に、安部の弟子である極右の高市早苗が政調会長に就任している。

 安倍晋三は1993年に初めて国会議員になって以来、30年近くにわたって国家の舵取りをしてきた。安倍晋三は、1993年に国会議員になって以来、30年間にわたって国家の舵取りをしてきた。政府のトップではないときでも、彼の意思は「忖度」(anticipatory compliance, the mentality of underlings who hasten to carry out the will of their superiors even before it has been expressed)の原則に基づいて事実上の命令として扱われてきた。1993年からは岸田文雄、1996年からは菅義偉がその忠実な子分である。新内閣の議席の約半分が新人で占められているため、「トリプルA」を中心とする一握りの大物の政策的影響力が特に大きくなることが予想される。

5.十月の見通し

 10月4日、岸田が予想通り10月31日の総選挙の実施を決定したとき、岸田政権の支持率は49%で、1年前に菅政権が誕生したときよりも約30ポイント低かった。しかし、それは必ずしも自民党の対立候補への支持を高めるものではなかった。軍国主義は、本格的な軍国主義に伴う社会現象を伴わずに、ほとんど気づかれずに進んでゆく。政府に対する日本の国民意識は「不満」であり、政府に「戦争への突入」を望んでいるわけではない。様々な世論調査によると、野党の支持率の合計は10%から20%程度になると言われており、野党が政府を樹立するためには、選挙期間中に相当な数の不満分子を集めなければならない。

 日本が世界に示す顔に安倍(現在は安倍-菅-岸田)の印が張り付いている間は、平和、持続可能性、正義、平等といった人類が直面する重要かつ普遍的な問題に敏感な声は、世界的な言論の場ではほとんど聞かれない。彼らが率いている日本は、何十年もの間、日本の歴史(近隣諸国に対する犯罪を含む)についてのナショナリスト的な威勢の良さ、天皇を中心とした国家の儀式へのこだわり、そしてワシントンへの隷属が混在していることが目立っている。今の世界の流れは、(日本と世界にとって)、より暗く、より右翼的で、より危険な方向に向かっていて、民主主義や、平和志向や、市民が中心となる社会の建設などの方向とは、ますます相容れない方向に向かっているようで、これまでの米国主導で動いてきた歴史上最も強くその傾向が見られている。

 しかし、自民党が主導する、日本をどうするのかという基本的方式や優先事項に対する反発はもちろん存在し、安倍政権が憲法上の平和主義から逸脱していることへの不安を背景に拡大している。1990年代と2009年には、地方自治体や国政による下からの改革の重要な取り組みが行われてきたが、米国に対する従属的な奉仕を不動のものとしている国政によって、常に妨害されてきた。2021年の選挙に向けて、「平和と立憲主義のための市民連合」(通称「市民連合」)は、「命を大切にする政治への転換」の一環として理念を策定し、2021年9月8日に主要野党(立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組)の党首によって合意された(18)。この合意文書に、日本の「米国の言いなり国家」としての地位や米国との関係については明確に言及されていないが、立憲主義への回帰と平和志向の地域的・世界的役割の採用を求めることを通じて、その暗黙のメッセージは明確であった(19)。

 「市民連合」は現在、平和や憲法に関する問題で野党の統一戦線を張り、複数の問題について最近の政府の政治的、場合によっては刑事的責任を追及するために結集している。専門家たちは、2017年の選挙で野党がこのような統一戦線に基づいて組織されていたら、43議席ではなく106議席で自民党・公明党の候補者を打ち負かすことができただろうと指摘している(20)。次の選挙(10月31日)では、立憲主義者が団結すれば、政府の大物議員を脅かすこともできるだろう(21)。

 10月の選挙で自民党旧体制の岸田が勝利すれば、軍事費は大幅に増加することが予想される。選挙が発表されるやいなや、自民党は、防衛費を現在のGDPの約1%の水準から2倍以上に引き上げることを含む政策公約を発表した(22)。東アジアと西太平洋海域における反中国連合のアメリカ軍に融合される事態の継続が予想される。ワシントンに煽られて、日本はさらに戦争への準備を進めるだろう。寺島が提唱するようなリアリズムは、岸田政権では聞き入れられないだろう。

  あるいは、可能性は低いが、10月末に立憲民主党の連立政権が勝利し、枝野幸男氏が首相に就任した場合(まったく可能性がないわけではない)には、戦争に向かう現在の勢いは止められ、別の、真に代替可能な未来への窓が開かれるかもしれない。しかし、このような政府は、これまで一般的に取られてきた(対米従属的な)立場を乗り越えるような政策を策定する際に、その本気度を即座に試されることになるだろう。沖縄の大浦湾にある辺野古での海兵隊の建設作業の中断と中止を発表するだろうか?南西諸島の軍事化を中止・撤回するだろうか?米国および他の東アジア諸国の政府に対して、現在の紛争への勢いを逆転させ、サンフランシスコ講和条約後の地域的な軍縮と協力の枠組みを共に交渉するよう呼びかけるだろうか?

*

Gavan McCormack is emeritus professor of Australian National University, Fellow of the Australian Academy of the Humanities, and author of many works on modern East Asian history. He has often been translated into Japanese, Korean, and Chinese. His most recent book was The State of the Japanese State, London, Paul Norbury, 2019.

 

参考文献

(1)「自民党に衝撃の調査結果!衆議院60議席減でまさかの過半数割れ」日刊ゲンダイ。2021年8月25日

(2)“Japan’s new leader, Suga Yoshihide, will maintain the old regime,” Jacobin, September 2020

(3)時事世論調査「内閣支持32.2%。発足以来最低」。2021年5月14日

(4)The voting rate in the October 2017 Lower House election was 53.68, and in the Upper House election in July 2019 48.8 per cent.

(5)Mainichi shinbun poll of 19 September and Kyodo poll of 17-18 September. 

(6)For a perceptive comment on this election see Jake Adelstein, “’Reluctant’ Kishida to become Japan’s next leader,” Asia Times, September 29, 2021.

(7)Following US, Russia, China, and India, and surpassing France, UK, Germany etc. Global Firepower, “2021 Global Military Strength,” March 2021.

(8)Motoko Rich, “Japan’s been proudly pacifist for 75 years. A missile proposal changes that,” New York Times, 16 August 2020.

(9)As noted in the SDF journal Asagumo, and reported by military affairs critic Maeda Toshio, “Higashi Ajia INF joyaku to iu reariti,” Sekai, September 2021, pp. 148-157, at p. 151.

(10)US Pacific Fleet, Public Affairs, “Sword 21 embraces US-Japan exchange,” 6 November 2020. 

(11)Martine Bulard, “Is an Asian NATO imminent?” Le Monde Diplomatique, June 2021.

(12)Alex Wilson, “Three aircraft carriers train together near Okinawa as China ramps up pressure on Taiwan,” Stars and Stripes, 4 October 2021.

(13)「独艦艇、11月の日本寄港と共同訓練」。産経新聞。2021年6月5日

(14)寺島実郎「脳力のレッスン192、中国の巨大化・強権化を正視する日本の覚悟」

『世界』2018年4月号、pp. 42-47の p. 42.

(15)寺島実郎「本質を見誤ると日本は米中関係に翻弄、経済安保論を単純な「中国封じ込め」に歪めるな」。『東京経済』。2021年6月22日

(16)OECD, “The long view: Scenarios for the world economy to 2060.” 

(17)Brian Toohey, “Australia’s nuclear submarine deal won’t make us any safer,” Pearls and Irritations, 13 October 2021.

(18)Well-known civil activist scholars, including Hosei University political scientist Yamaguchi Jiro and military affairs critic Maeda Tetsuo, play important roles in this constitutionalist front.

(19)「衆議院総選挙における野党共通政策の提言」。2021年9月8日

(20)池上彰・山口二郎「野党共闘への壁と選挙協力の限界とは」。『AERA』。2021年,10月18

(21)野上忠興。「自公を追い詰める逆転勝利。“64選挙区”野党4党は共闘加速、政策協定合意で“受け皿”に」。『日刊ゲンダイ』。2021年9月9日

(22)「防衛費、GDP比2%以上も念頭。自民が政権公約。力での対抗重視」


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2011年3月11日 福島:戦争のない核戦争:
 世界的核拡散の隠された危機

March 11, 2011: Fukushima: A Nuclear War without a War: The Unspoken Crisis of Worldwide Nuclear Radiation
 
ミシェル・チョスドフスキー教授
 
グローバル・リサーチ 2019年3月10日
 
(翻訳: 新見明 2019年3月29日)
 
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/fukushima-nuclear-war-worldwide-nuclear-radiation-2/28870
 

2011年3月11日、8年前の福島第一事故
 
私達は、「想像を絶する」放射能レベルの報告に焦点を当てて、福島の悲劇をこのI-Bookで報告している。福島はメディアの隠蔽と歪曲の対象であった。ヘレン・カルディコット博士の言葉では、「プルトニウム1gの100万分の1をもし吸い込んだら、ガンを引き起こすことができる」と言う。
 
2011年3月の福島の災害では、16,000人が死んだ。そして約165,000人が福島地域の家を避難しなければならなかった。
 
日本のメディアも欧米メディアも、放射能の影響を過小評価する傾向がある。放射能は日本の北部の広範な地域に拡散した。食物連鎖への汚染は言うまでもなく、安部政権は、不用意に「風評被害」を指摘している。
 
さらに、高度に汚染された水を太平洋に捨てることは、世界的な放射能汚染の引き金を引く可能性がある。
 
東電(TEPCO)が隠蔽に関わったことは十分証明されている。そして日本政府も同様だ。
 
もとは2012年1月に発表されたミシェル・チョスドフスキーのこの研究は、放射能の世界的広がりについて、いま明らかにされていることを確認している。
 
読者への注: 将来参照するためにこのページをブックマークしておいてください。
 
どうかさらにグローバル・リサーチのI-Bookをさらに読み進めてください。そしてフェイスブックに投稿してください。
 
2012年1月初出、I-Bookの導入部は、ミシェル・チョスドフスキーの2015年のベストセラーの1章として入れられています。『戦争の世界化、アメリカの人道に対する長い戦争』グローバル・リサーチ、2015年、モントリオール
*    *    *

 
グローバル・リサーチ、オンライン双方向読み物シリーズ
  福島:戦争なき核戦争
  世界的放射能汚染の秘められた危機
  ミシェル・チョスドフスキー(編集)
  I-Book No.3 2012年1月25日

 
 
グローバル・リサーチのオンライン双方向I-Book読み物は、グローバル・リサーチの特区集記事やビデオを集めてまとめられました。広範なテーマや題材に関して討論や分析をしています。
 
この双方向オンラインI-Bookで、福島原発事故やその影響に関する重要な記事や報告やビデオ資料をまとめて読者に提供します。
 
オンライン双方向I-Book読み物シリーズを調べるには、ここをクリックする。
  https://www.globalresearch.ca/global-research-i-books
 
はじめに
 
世界は重要な岐路に立っている。日本の福島の災害は、真っ先に世界的な放射能汚染の危険性をもたらした。
 
日本の危機は「戦争のない核戦争」と言われた。著名な小説家村上春樹の言葉にはこうある。
 
   「今度は誰も我々に爆弾を落とさなかった。・・・我々がお膳立てをして、我々自
    身の手で犯罪を犯した。」
 
放射能汚染は、地球全体の生命を脅かすのに、庶民の最大の関心事である地域の犯罪とかハリウッド有名人のタブロイド紙ゴシップ記事と比べると、新聞の1面記事扱いではない。
 
福島第一の事故の長期的影響がまだ十分評価されていないのに、1986年ウクライナのチェルノブイリ事故の影響の方がさらに重大であると考えている。チェルノブイリはほぼ100万人の死者がでた(New Bookの結論では、チェルノブイリの死者総数は98万5千人で、ほとんどガンが原因である。2010年9月10日、マシュー・ペニー&マーク・セルデン「チェルノブイリと比較して福島第一原発事故の重大性」グローバル・リサーチ2011年5月25日)
 
その上、すべての目が福島第一原発に釘づけになっているとき、日本や世界の報道は、東電福島第一原発の2番目の大惨事の重大性をしっかり認識しなかった。
 
日本、アメリカ、西欧の怪しげな政治的合意は、福島の危機は制御されているということだ。
 
しかし現実は違っている。3号機はプルトニウムを、量は確認されていないが、放出していた。ヘレン・カルディコット博士によると、「プルトニウム1グラムの100万分の1を吸い込んだら、ガンになる」と言われている。
 
2011年5月の世論調査で、日本人の80%以上が核危機に関する政府の情報を信じていないことがわかった。(引用:シェアウッド・ロス、福島、日本の2番目の核惨事、グローバル・リサーチ2011年11月10日)
 
日本の衝撃
 
日本政府は「原発事故の重大性は、・・・1986年チェルノブイリ事故と同等なものである」ことを認めざるを得なかった。しかし厳しい皮肉として、この日本当局による暗黙の承認は、世界的放射能拡散と汚染過程におけるさらに大きな惨事の隠蔽の一部であることがわかった。
 
   「チェルノブイリが前例のない巨大な大災害であったが、それは一つの
    原子炉だけで起こったことであり、急速にメルトダウンしたのであった。
   一旦冷却されたなら、それは10万人の労働者によって建設されたコン
   クリートの石棺で覆うことができた。しかし、福島には驚くなかれ4400ト
   ンの燃料棒があったのだ。福島はチェルノブイリの放射能源の総量を
   きわめて小さく見せるものだ。」(日本におけるきわめて高濃度放射能
   レベル:大学研究員の公式データ、グローバル・リサーチ、2011年4月
   11日)

 
2011年3月、津波の後の福島
 
高濃度の汚染水を太平洋に捨てることは、世界的放射能汚染を誘発する可能性がある。放射性元素は日本の食物連鎖で発見されただけでなく、放射能の雨水がカリフォルニアでも記録された。
 
    福島周辺の海や大気中に放出された危険な放射性元素は様々な
    食物連鎖の各段階で蓄積されている(例えば、藻、甲殻類、小魚、
    大きな魚、そして人間へ。または、土壌、草、牛肉や牛乳、そして
    人間へ)。体内に入ると、これらの元素は、内部被曝と呼ばれ、甲
    状腺、肝臓、骨、脳のような特別な器官に入る。そして絶えず、ア
    ルファ線、ベータ線、ガンマ線で少量の細胞を照射する。そして年
    月がたってしばしばガンを引き起こす。(ヘレン・カルディコット、
    Fukushima: Nuclear Apologists Play Shoot the Messenger on
    Radiation, The Age 2011年4月26日)
 
北アメリカ西海岸への放射能の広がりが、思いがけず認められたのに、初期の報道(APとロイター)は「外交筋によると、微量の放射性分子がカリフォルニアに届いた。しかし人体への影響はない」とだけ述べた。
 
   「報道によると、匿名の情報源が、国連の包括的核禁止条約機構による
    測定機関のネットワークからの情報を得ることができた。
 
    ・・・アメリカ合衆国原子力規制委員会の委員長グレゴリー・ヤッコは、木
   曜日(3月17日)ホワイト・ハウスに次のように話した。ここアメリカやアメリ
   カ領土のどこも危険な放射能レベルを観測していない、と専門家は見てい
   る。」


(放射能降下地図)
 
 
(世界的汚染)
 

(典型的な風の軌跡)
  放射能の拡散、2011年3月
 
一般健康災害、経済的影響
 
広まっているのは、よく組織されたカモフラージュである。日本の一般健康災害である水質、農地、食物連鎖の汚染は、経済的、社会的影響は言うまでもなく、十分認められておらず、また日本当局による包括的、有効な方法で取り組まれてもいない。
 
国民国家としての日本は破壊された。その国土と領海は汚染されている。国の一部は居住不可能である。高濃度の放射能が東京首都圏で記録された。そこには3,900万人[2010年]が住んでいる(3,400万人[2010年]のカナダの人口より上回る)。食物連鎖は日本中で汚染されているという指摘がある。
 
   法定許容量を超える放射性セシウムが、静岡市の工場で作られるお茶
   から検出された。そこは福島第一原発から300キロ以上も離れている。
   静岡県は日本で最も有名なお茶の生産地である。
 
    東京のお茶卸売業者は、静岡市から運び込まれたお茶から高レベルの
    放射能が検出されたと静岡県に報告した。県は工場にお茶の出荷を控
    えるように命令した。福島第一原発事故の後、お茶の葉や焙煎したお茶
    から高濃度の放射能が、東京周辺で広範囲にわたって発見された。
    (注5:さらに多くの会社が福島から300キロ以上離れた地域で許容量を
    超える放射能を検出する、2011年6月15日)
 
日本の産業、製造業基盤は打ちのめされた。日本はもはや主要な産業国家ではない。国の輸出は急激に低下した。東京の政府は、1980年以来始めて貿易赤字を報じた。
 
商業メディアが、産業活動における停電やエネルギー不足の影響を一方的に書き立てているが、国のインフラや産業基盤の放射能汚染というさらに主要な問題は、「科学的タブー」である(つまり、工場、機械、設備、建物、道路などの放射能)。2012年の報告では建築業で使われる建築資材(日本中の道路や住宅建設)の放射能汚染が指摘されている。(参照:福島:日本の住宅や道路の放射能、放射の汚染の建築資材が200以上の建築業者に売られる、2012年1月)
 
経産省による「隠蔽報告」、「東日本大震災による経済的影響と復興の現段階」と題する報告には、既成事実としての「経済回復」が示されている。それはもちろん放射能の問題を避けている。労働力や産業基盤への放射能の影響は述べられていない。東京-福島第一間の距離は約230キロ(約144マイル)であり、東京の放射能レベルは香港やニューヨークよりも低い(経産省「東日本大震災の影響と復興の現状」p.15)。この声明は、確証的な証拠も挙げず、明らかに東京における民間放射線調査とも矛盾する(下図参照)。最近、綜合警備株式会社は、商売として「東京や他の4つの周辺県で、家庭を対象にした放射線測定サービスを開始した」。
 
放射能レベルを測定した「市民マップ」は、北日本の広範な地域にわたる複雑な山地地形を反映し、風向きの変化による放射能分布を示している。東京は地図下方の中央にある。

 
SOURCE: Science Magazine
 
    「放射能は毎時0.1マイクロシーベルト以上から青色である。赤色はその
    約50倍で、毎時5.0マイクロシーベルトの民間放射線基準である。子ど
    もは大人より一層影響を受けやすいので、これらの結果は汚染地域の
    幼い子ども達の親にとって大きな懸念材料である。」
 
根本的な問題は、「日本製」の広範な工業製品や部品(ハイテク部品、機械、電子機器、自動車など)が、海外に輸出されていて、汚染されているかどうかということである。もしそのような場合には、東南アジアの産業基盤は、日本の部品や産業技術への依存度が高く、影響を受けているだろう。国際貿易への影響の可能性は計り知れない。この点で1月、ロシア当局は、ロシアで販売用の日本の汚染された自動車や自動車部品をウラジオストックで差し押さえた。言うまでもなく、グローバルな競争環境におけるこの種の出来事は、既に危機に陥っている日本の自動車産業の消滅につながる可能性がある。
 
ほとんど自動車産業が日本の中央部にあるのに、いわき市の日産エンジン工場は福島第一原発から42キロの位置にある。日産の労働者は影響を受けているだろうか。エンジン工場は汚染されているのだろうか。工場は、政府の「避難地域」から約10キロから20キロ圏内にある。避難地域からは約20万人が避難した。(下図参照)
 
核エネルギーと核戦争
 
日本の危機はまた、核エネルギーと核戦争の暗黙の関係を明らかにした。
 

 
原発は民間経済活動ではない。それはいわゆる防衛業者によって支配されている核兵器産業の付属物である。原発と核兵器の背後にある強力な企業利益は重なっている。
 
日本で大災害の真っ最中、「原子力産業と政府機関は、日本の民間原子力発電所に隠された原子爆弾研究施設が発見されないように躍起になっていた。」1(参照:島津陽一「福島原子力発電所内の秘密の兵器計画」グローバル・リサーチ2011年4月12日)
 
注目すべきなのは、メディアも政府も放射能被害に無頓着なのは、核兵器の使用と同様、原発産業と関係していることだ。どちらの場合も、衝撃的な放射能の健康被害が何気なく否定されていることだ。広島原爆の6倍もの爆発力をもった戦術核兵器が、ペンタゴンでは「周辺住民には安全なもの」として言われている。
 
政治的レベルでは、米・NATO・イスラエルが、イランを攻撃する可能性とその影響に関して、いかなる懸念も表明されていない。そこで「市民には安全」な戦術核兵器を非核保有国に向けて使用するのだ。
 
そのような行動は「想像を絶する」結果を生むだろう。中東や中央アジアの広大な地域での核兵器ホロコーストである。しかし核兵器の悪夢は、核兵器が使用されなくても起こるだろう。通常兵器を使ってイランの核施設を爆撃すれば、膨大な死の灰を伴った、もう一つの福島型大惨事を起こすことになる。(詳細はミシェル・チョスドフスキー『第三次世界大戦のシナリオ、核戦争の危機』グローバル・リサーチ、モントリオール2011年)
 
福島に関するオンライン双方向I-Book読み物、「戦争なき核戦争」
 
政府の隠蔽やメディアの偽情報の観点からすると、このオンライン双方向読み物の記事とビデオ報告の内容はより広い人々に伝わらなかった。(下の内容を参照)
 
この福島オンライン双方向読み物には、分析的、科学的記事やビデオレポートが、短いニュース報道や確証されたデータとともに入っている。
 
第一部は、福島原発事故に焦点を当てている。どのように起こったのか。
第二部は、日本における衝撃的な健康、社会的影響についてである。
第三部は、「隠された核大惨事」、つまり日本政府と企業メディアによる隠蔽を中心に扱う。
第四部は、世界的放射能汚染の問題に焦点をあてる。
第五部は、世界的原発産業における福島事故の意味を検討する。
 
絶えざるメディア偽情報に直面して、このグルーバル・リサーチのオンラインI-Bookは世界的放射能汚染に関して、メディアの空隙を埋め、人々の関心を高めることを意図している。また政府や原子力産業やメディアの共謀にも注目している。
 
我々は読者にその言葉を広げてもらいたい。
 
我々は、この福島に関する双方向読み物を生徒達が利用できるように、大学や高校の先生に紹介している。
 
ミシェル・チョスドフスキー2012年1月25日

日本は福島の汚染土壌を公園や緑化地域にリサイクルする

Japan ponders recycling Fukushima soil for public parks & green areas

RT World News 2017年3月28日

(翻訳: 新見明 2019年1月3日)

<記事原文>(寺島先生推薦)
https://www.rt.com/news/382515-japan-recycling-fukushima-soil/


労働者が汚染された土壌を含む黒いビニール袋を動かす。福島県、福島第一原発近く© Toru Hanai © Reuters

日本の福島県から出た汚染土は、「緑化地域」造成用の埋め立てに使われる可能性がある、と政府審議会は提案したが、除染土から出た残留放射能を恐れる市民は反発した。

環境省審議会は月曜日に、2011年福島第一原発のメルトダウンで汚染された土壌を、公共用地埋め立て用の一部として、再利用することを提案した。

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批評家は、日本が原発を容認する「もう一つの悲劇」だと警告する。


その提案で環境審議会は「公園」という語をあからさまに使うのを避け、その代わり人々の怒りを明らかに避けるために「緑化空間」と言った、と毎日新聞は伝えた。

新聞社の調査によれば、環境省は「公園とは緑化空間を含む」ことを明らかにした。

環境省はまた、新しい公園のために汚染土を除染してリサイクルすることに加えて、そのようなリサイクルモデルに対して人々の信頼が得られるように新たな組織をつくる必要があると強調した。

直ちに起こった人々の懸念を沈めるために、審議会は除染された土壌は住宅地域から離れたところで使われ、去年承認された政府ガイドラインに適合させるため、食物の生育に適した異なった土壌で覆われるだろうと述べた。

去年6月、環境相は国道や防潮堤のような公共事業に、5000ベクレルから8000ベクレル/kgまでの放射性セシウムの汚染土壌を再利用することを決めた。

これらのガイドラインの下で、今や公園での利用にも拡大され、汚染土壌はきれいな土やコンクリートや他の物質で覆われるだろう。

政府は当時の発言では、そのような埋め立ては、建設が完了した後、1年で0.01mSv以下の被爆ですむので、近隣の住民に危害を及ぼすことはないだろうということだ。

福島第原発は2011年3月、全電源が停止し、続いて原子炉冷却装置が機能しなくなった。地震と津波が施設を破壊し、放射能をまき散らし、16万人が避難させられた。6つの原子炉のうち3つがメルトダウンし、福島原発は1986年チェルノブイリ事故以来最悪の惨事となった。

<BuzzfeedNewsより、訳者の画像追加>
https://www.buzzfeed.com/jp/kensukeseya/311graph6


仮置場や、学校などの除染現場でどれほど保管されているのか。それを示した地図を見ると、北は岩手県、南は千葉県や埼玉県にも広がっている。
Kensuke Seya / BuzzFeed

沖縄における米軍基地縮小に向けてーNYTimes社説

Opinion
Toward a Smaller American Footprint on Okinawa
.
日本の島の新たな知事は、米軍が撤退することを望んでいる。今やワシントンと東京が妥協案を見いだすときだ。

ニューヨークタイムズ社説

2018年10月1日

(翻訳:新見明 2018年10月9日)
<記事原文>https://www.nytimes.com/2018/10/01/opinion/okinawa-military-bases.html#commentsContainer


I沖縄県庁は8月、米軍施設建設の埋め立て作業許可を取り消した。(読売新聞、AP経由)

日本は長年、人口密地の古い米軍基地を移転させて、大きな米海兵隊基地を新たに海岸に建設することに、沖縄が同意するよう努力してきた。日本政府は、島にディズニーリゾート建設を支援するという‘ニンジン’を与えようとしてきた。一方で、彼らは鞭も与えようとした。基地に対する地域の抵抗を抑えるために訴訟を起こし、新基地に賛成する候補者を支援した。しかし沖縄は何度も何度も、基地はいらないと答えた。沖縄は明確に米軍負担を相応以上に負担してきていると思っている。

玉城デニーが知事に選ばれたとき、彼のメッセージは特に明瞭に響き渡った。島での他のほとんどの選挙同様、この選挙は少なくとも米軍基地に関する国民投票の面があった。玉城氏は基地反対連合を代表していて、基地賛成の彼の対立候補は、与党自由民主党の全面的支援を受けていた。特に今回の選択で注目されたのは、58歳の玉城氏が、日本人の母と米軍海兵隊の父の子であることだ。その父は彼が生まれる前に沖縄を去った。


玉城デニー氏、中央右。先週、沖縄の支援者と共に

安倍晋三首相に迫られた決断は、最高裁で玉城氏が司法の場に訴える『反対』を全て退けるか、(もっと前にやるべきだったが)沖縄の正当な不満を受け入れ、負担を軽減する、あまり面倒でない方法を探すことだ。

ほとんどの日本人は、中国が力を誇示しているので、日米同盟を支持している。問題は、日本で最も貧しい県に、あまりにも不均衡な負担を強いていることである。沖縄は第二次世界大戦末期の三ヶ月ほどできわめて血まみれの激戦が行われた場所である。いまなお、33の米軍施設があり、在日米軍5万人の半分が沖縄に配備されている。軍事装置と軍隊の集中は、騒音、汚染、致命的な事故、暴行の歴史をもたらした。その最もひどい悲劇は、1995年に12歳の少女が3人の軍人によって強姦されたことである。

この事件があって、アメリカと日本は宜野湾市の中心部に広がる大きな海兵隊空軍基地をよりへんぴな地域に移転させ、いくらかの部隊をグァムとハワイに配置換えすることに同意した。しかし、まだ何も進んでいない。地元の抵抗が新基地建設を阻止した。とても自然豊かな辺野古湾に滑走路を建設することが環境を破壊するからである。

米軍の主張は、沖縄の兵站や陸空軍を日本の他の地域に散在させることは、東シナ海において即応能力を低下させることになるという。しかし、米軍が日本やその地域にもたらす安全保障は、日本の最も貧しい県の市民に、不公平で望まれない、しばしば危険な負担を負わせるという犠牲なしには成り立たない。安倍首相と米軍司令官は、公平な解決を見つけるように共に協力すべきである。

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