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ヨーロッパを魅了し続ける中国の「一帯一路」だが、テクノクラートたちは悲鳴を上げている

<記事原文 寺島先生推薦>
China’s Belt and Road Continues to Win Over Europe While Technocrats Scream and Howl
出典:Strategic Culture 2021年4月20日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月6日


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 新しい開発モデルは、中央および東ユーラシアの国々、そしてギリシャとイタリアにもますます支持されており、絶望的な目で大西洋横断システムを見つめている世界中の市民に新たな希望をもたらしている。中国の李克強首相は、4月10日にクロアチアで完成した2.5キロメートルの中国製ペルジェサック橋の第1段階の竣工を祝い、クロアチアのアンドレイ・プレンコビッチ首相とともに祝賀式典に出席した。この式典は、特筆すべき勝利となった。なぜなら翌日には重要な16+1国家首脳会議が開催され、ギリシャが中国と協力を希望する中央および東欧諸国の新たな連合の最新メンバーとして加盟したからだ。この4月12日に開催された首脳会議で、ギリシャのアレクシス・ツィプラス首相は、「これは世界や地域の発展にとって非常に重要な瞬間であり」「我々は危機を乗り越え、地域および世界の新たな協力モデルを見つけなければならない」と述べた。

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 もちろん、ギリシャのこの同盟(現在は17+1 CEECと改名)への参加は、地理的な範囲を西に広げ、特にギリシャのピレウス港が中国とヨーロッパを結ぶ陸-海高速ルートの中心に位置し、一帯一路構想(BRI)における戦略的な東西貿易のヨーロッパへの玄関口であるため、非常に重要だ。国の存続は中国の一帯一路構想に頼ることだということをギリシャは痛いほどわかっている。なぜなら、緊縮政策、民営化、そして救済策といったEUの計画は、若者の雇用崩壊、犯罪率の急増、そして自殺という形で、死と絶望しかもたらしていないからだ。また、以下のことは誰にもわかる。つまり、ギリシャの参加は、イタリアが3月26日、イタリアが一帯一路構想に参加した直後であり、4月末に北京で行われる第2回一帯一路サミット(すでに一帯一路構想とMOU基本合意を締結した126以上の国と、数千の国際企業が参加する予定)の前触れになっていることを、だ。

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 17+1サミットの前に、クロアチアと中国の間で10件の追加の一帯一路関連協定が締結された。これには、鉄道路線の近代化(特にザグレブからアドリア海のリエカ港まで)、ファーウェイ社とクロアチアのテレコム社との通信協力、そして主要な港湾、道路、港湾、教育および文化の協力が含まれている。

 ツィプラスが的確に指摘したように、一帯一路構想は単なる西側の覇権に対抗するためのもう一つのインフラ建設計画ではなく、むしろ「相互の発展と長期的な考え方に基づく地域および世界の協力の新しいモデル」だ。これはフランクリン・ルーズベルトの死後とそれに続く英米闇国家の権力掌握以来、西側で見られなかった原則に基づいている。

 中国が2018年5月にロシア主導のユーラシア経済連合と経済・貿易協力協定を正式に締結した事実は非常に重要だ。この協定により、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、そしてキルギスの5つの加盟国が一帯一路に直接組み込まれた。中国は既にユーラシア経済連合(EEU)において、一帯一路に関連する168のプロジェクトを含む実体経済に980億ドルを投資している。

 新しい開発のモデルは、中央および東ユーラシアの国々、そしてギリシャとイタリアにますます支持されており、絶望的な目で大西洋横断システムを見つめている世界中の市民に新たな希望をもたらしている。大西洋横断システムはただ従順さを要求するだけであり、非効率なルールによる緊縮政策、ハイパーインフレを引き起こす銀行業務の実践、そして実体経済への長期的な投資の不在しかない。したがって、この新たな枠組みに対する過去数日間のBRIへのテクノクラート(技術官僚)たちの反対の動きは、既に失敗しているシステムを救おうとする愚かな試みとしか見なされていない。

テクノクラートたちは、自分たちの新世界無秩序を防衛している

 BRIおよびその表看板になっている新しいウィンウィンの運営システムに対する最近の2つの対抗作戦については言及する価値がある。まず、4月11日に発表されたアメリカの海外民間投資公社(OPIC)、カナダの金融開発機構(FinDev Canada)、および欧州連合の15か国との三国同盟の形成が挙げられる。もう一つの対抗作戦は、数日前のG7会合でカナダ‐ドイツ‐フランス‐日本によって形成された「多国間主義のための同盟」だ。

 OPICの社長代行兼CEOであるデイビッド・ボヒギアン(中央)が、FinDev Canadaの最高経営責任者であるポール・ラモンターニュ(右)および欧州開発金融機関(EDFI)の議長であるナンノ・クライテルプ(左)との間で覚書に署名した。

 OPICは1971年に設立されたが、それをBRIに対する転覆力として活用しようとする狙いは2018年7月30日に確立された。つまり、その日、日本とオーストラリアとの間で三国同盟が形成され、太平洋地域のインフラに資金を提供することが正式に決定されたのだ。さらに、2019年4月11日には、カナダのポール・ラモンターニュ(FinDev Canadaの責任者)、EDFI(欧州開発金融機関)のナンノ・クライテルプ、そしてOPICのデイビッド・ボヒギアン社長が新たな合意に署名し、並行したインフラの資金調達メカニズムを創設した。中国に向けられた記者発表では、この同盟は「参加者間の取引、運営、および政策に関する協力を強化することになり、持続不能な国家主導モデル(中国)に対する堅固な代替手段を提供することを最優先している」と述べられている。

 この署名の際、ボヒギアンは「私たちは開発金融がどのように機能すべきかの例を世界に示そうとしています」と述べ、明らかに中国の「無能」な開発金融の概念を攻撃したが、そうすることで中国の投資手法が8億人以上の貧困から直接救った事実を無視することになった。ボヒギアンが明らかに望んでいたのは、50年間のIMF-世界銀行の支配によって広まった膨大な借金奴隷制と混乱を世界が目をつぶってくれることだった。IMF-世界銀行の支配は、国家の実質的な成長を何ひとつ生み出してはいなかったのだ。アメリカのBUILD法は、OPICへの米国政府の資金を1年間で290億ドルから600億ドルに増加させたが、開発のための真剣な統合設計は提示されず、せいぜい笑いのネタになっただけだった。

 BRI(一帯一路)に対する反対活動として他に言及されているのは、ドイツ・フランス・日本・カナダの「多国間主義連合」だ。カナダの外相であるクリスティア・フリーランドはフランスでの記者会見で、「カナダは正式にドイツ・フランス連合に加わり、さまざまな世界の独裁者や専制主義者による国際的な世界秩序の破壊から世界を救おうとしています」と述べた。フリーランドはここでトランプの名前は挙げなかったが、フランスのカナダ大使であるカリン・リスパルはより率直に、「トランプ氏は多国間主義を重視しない傾向にあります」と述べた。彼はCOP21からの離脱やWTO、国連、そしてNATOへの批判を引用し、カリン・リスパルは、さらに「トランプ氏が多国間主義に賛成でないからと言って、私たち(カナダ、フランス、ドイツ、そして他の多くの国々)がまだしっかりした信念を持っていないということではありません」と続けた。

 この「多国間主義連合」が具体的に何であるのか、の答えはまだ出されていない。実際の政策が示されていないからだ。煙幕を取り去ってみれば、それはただの烏合の衆であり、プーチン、習近平、トランプなど「悪い人々」に向かって喚き散らしているだけのことしかやっていないように思う。彼らはグリーン・ニューディールやテクノクラート独裁の下で集団自殺を望まない人々に対して喚き散らしているのだ。

 ドイツからの4月10日のウェブキャストで、シラー研究所の会長であるヘルガ・ツェップ=ラルーシュは、次のような適切な意見を述べた。「地政学は捨てなければならず、新しいシルクロードはアフリカの産業化、中東情勢の解決、アメリカ、ロシア、そして中国の間のまともな労働状況の確立のための手段です。そして、それこそ、私たちがヨーロッパに求めるものです。そして、それを実現する最良の方法は、ヨーロッパ全体が一帯一路イニシアティブと覚書を締結することです。そうすれば、世界平和を安定化させ、世界を異なる地平に導くために、これしかない最重要なこととなるでしょう」。

 ロシアと中国が主導する新たな連合国が、主権、自己発展、そして「一帯一路」構想の枠組みの下での長期的な信用創出の原則を守るために戦っていることにより、巨大な希望が現れた。その中で、ロンドンとウォール街というタイタニック船が歴史の氷の水にますます速く沈み続けている状況がある。
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すべての道は北京に通ず―2人の巡礼者の物語

<記事原文 寺島先生推薦>

All roads Lead to Beijing
This is the tale of two pilgrims following the road that really matters in the young 21st century.

これは、21世紀初頭、実に重要な道をたどる2人の巡礼者の物語である。

筆者:ペペ・エスコバール (Pepe Escobar)

出典:Strategic Culture Foundation

2023年4月15日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月27日

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© Photo: REUTERS/Florence Lo


 これは、21世紀の若い時代に本当に重要な道をたどる2人の巡礼者の物語である。1人はNATOの国から、もう1人はBRICSからやって来た。

 まず、「小さな王様」エマニュエル・マクロンから始めよう。広州で習近平と並んで歩く、不自然な笑みを浮かべた彼を思い浮かべてほしい。白雲会館に入り、1000年の歴史を持つ古琴の演奏に耳を傾ける。そして、1000年前のお茶の香りを味わいながら、新たな千年における大国の興亡に思いを馳せる。

 そして、習は「小さな王様」に何を語るのか。この永遠の楽器が奏でる永遠の音楽を聴くとき、あなたは心の友と一緒にいて、高い山と流れる水の音を聞き取ることができると、彼は説明する。それが、25世紀前の楚の国の音楽家Yu Boya (俞伯牙)とZhong Ziqi (钟子期)の昔話の深い意味、「心の友」である。「心の友」だけが、その音楽を理解できるのだ。 

 そして、習近平は中国の学者たちが説明するように、「Zhiyin(知音)*」という概念を持ち出した。Zhong Ziqi (钟子期)が死んだ後、Yu Boya (俞伯牙)は自分の胡琴を壊した。自分の音楽を理解できるのは、他に誰もいないと思ったからだ。この2人の話から、「音楽を理解する人」という意味と、「お互いを完全に理解し合える親友」という意味が加わって、「Zhiyin(知音)」という言葉が生まれた。
* Zhiyin(知音)は普通、心の友、友達を意味する。文字通りの意味は「音楽を理解する」である。中国春秋時代、晋の国の木版画家Zhong Ziqi (钟子期)が、胡琴奏者Yu Boya (俞伯牙)の演奏を深く理解したという故事にちなむ。

 マクロンのような自惚れ屋の傀儡が、習近平の微妙で洗練されたメッセージを理解できるほど教養があるかどうかは、すべて賭けの対象である。それが理解できる人が本当の親友だからだ。しかも、マクロンが習主席から北京や広州に派遣されたのは、心の友になるためではなく、ロシア・ウクライナ問題で習主席をNATOに従わせようとするためだった。

 彼のボディランゲージが決定的な証拠で、腕を組んで退屈をアピールしている。真の友好には相互理解と感謝が必要だという考え方に、最初は抵抗があったのかもしれない。

 しかし、その後、とんでもないことが起こった。習近平のメッセージは、自惚れ屋の「小さな王様」の苦悩に満ちた心の奥底にある重要なポイントに触れたのかもしれない。もし国際関係において、相互理解と感謝こそが、国家が共通の基盤を見つけ、共通の目標に向かって協力するための鍵であるとしたらどうだろうか。

 なんと画期的な考え方だろう。覇権国に押し付けられた「法に基づく国際秩序」とは違うのだ。


あなたの国は、真の主権国家ですか?

 習近平は、「小さな王様」を中国に招き、自ら6時間以上も客人と過ごしたことで、千年来の外交の粋を尽くした。習近平は、フランスとアングロサクソン諸国との間の激動の歴史に思いを馳せ、主権について語ったのである。

 重要で微妙な補足的物語は、「ヨーロッパ」は覇権国に従属することをよく考え、米国との対決の日が来たときの経済的な大混乱を可能な限り小さくすることを考えた方がいいということだ。それは、中国を包囲しようとする米国の動きを断ち切ることが、北京の優先課題であることを暗に示している。

 だから、習近平はフランスをEUの下でも、あるいはEUの教義からやや離れた存在としても、真の主権者になりうる国として遇したのだ。

 もちろん、この儒教的な「認識論的進化への誘い」の下には、もう一つの重要なメッセージが込められていた。複雑な地政学的状況のために中国と友好的になることを望まない人々には、北京が中国国家の「友好的でない」側面を示したとしても、決して遅すぎることはないだろう。もしそのような状況が生じたらではあるが。

 翻訳すると、西側が「マキアヴェッリ」一辺倒なら、中国は「孫子」一辺倒であろう。たとえ、「あなた方は我々の味方か、さもなくば敵である」というテロ戦争や、制裁の認知症的対応をとっても、北京は、美、善、真実の庇護のもとで国際関係を築くことを望む、ということだ。

 では、「小さな王様」は「ダマスカスへの道*」の瞬間を迎えたのだろうか。その判断は自由だ。彼は、ヨーロッパは「アメリカの追随者」となる圧力に抵抗しなければならないという暴言を吐いて、文字通り覇権国を苛立たせた。これは、北京とパリが合意した51項目とほぼ一致しており、「すべての当事者の正当な安全保障上の懸念」に重点を置いている。
* ダマスカスへの道:人生における突然の転機。聖パウロがダマスカスへの道で神の声を聞き、クリスチャンになったという話から来ている。

 マクロンが、ヨーロッパは独立した「第3の超大国」になるべきだと主張したことで、アメリカはさらに驚いた。「小さな王様」は、脱ドル化を支持し(もちろん彼の金融の親玉の監督下でだが)、永遠の戦争を支持しないという小さな歩みを進めていた。

 そこでアメリカはパニックになり、ドイツにおける筋金入りの第5列*、アナレナ・ベアボックを急いで北京に送り込み、「小さな王様」の暴挙を取り消し、ワシントン指令下の独裁者ブリュッセルの公式台本を再確認させることになった。しかし、誰も、どこの国でも、まったく関心を持たなかった。
* 本来味方であるはずの集団の中で敵方に味方する人々、つまり「スパイ」などの存在を指す。

 それは物語全体の中で最も目を引く補助的物語の後に起こった。欧州委員会の女王であるウルスラ・フォン・デア・ライエンが、北京から無関係というよりひどい扱いを受けたのだ。中国のある学者は、彼女を「歯のないイヌ類の代弁者に過ぎない。彼女の吠え声さえも、安楽死させられようとしている末期の犬の鳴き声のように聞こえる」と酷評した。

 その「末期的症状のイヌ」は、パスポート検査と税関を通らなければならなかった(「何か申告することはないか」と聞かれたろう)。外交的地位もない。正式な招待状もない。主権もない。そして、マクロンと一緒に特別高速列車に乗って広州に行くこともできない。そこで、もう1つのメッセージがある。これは非常に生々しいものだ。つまり、3,000年の歴史を持つ中国王朝の精神を台無しにするな、ということだ。


ルーラと 「Zhiyin(知音)」

 中国で第一線の学者たちは、習近平が25世紀前に有効だった外交術を、多極化する世界の舞台で再現することに引きつけられた。

 21世紀に書き直された「戦国時代の戦略」を求める声もある。「ジャングル」を真ん中に置き、マクロンとフォン・デ・ライエンを就職の面接を受けるかのように配置された中国の外交儀礼による大規模な円卓会議は、ウェイボー(Weibo)やウィチャット(We Chat)で巨大な人気となった。その結果、中国はようやく「野蛮人の間に楔を打ち込む」ことができるようになったという議論が延々と続いた。

 このような大騒ぎに比べれば、ブラジルのルーラ大統領が上海と北京を訪れた話は、まるで「知音」の挿絵のように読める。

 ルーラは、BRICSの銀行である新開発銀行(NDB)の新総裁にディルマ・ルセフ前大統領が就任した際、最初から急所を突いてきた。

 サハラ砂漠からシベリアまで、誰にでも理解できる簡潔で直接的な言葉で、ルーラはこう言ったのだ。なぜ自国の通貨で取引できないのだろう? そして、なぜ私たちは革新を起こそうとしないのだろうか?

 直接的に示唆されているのは、各国通貨での貿易を認めるだけでなく、拡大するBRICS+が独自の通貨を設計し、普及させるべきだという事実である(その長く複雑なプロセスはすでに始まっている)。

 ルーラの力強いメッセージは、グローバル・サウス全体に向けられたものだった。ブラジルの例としては、中国のICBC(中国工商銀行)がブラジルに手形交換所を設立し、人民元とレアルを直接交換できるようにしたことが挙げられる。

 CIAの機関紙であるワシントン・ポストが口から泡を吹いて、すぐに闇の国家の裁定を出したのも不思議ではない。ルーラは「法に基づく国際秩序」の命令に従わない、と。

 つまり、闇の国家はルーラとその政府に再び向かってきて、その不安定化のために手段を選ばないということである。なぜなら、ルーラの発言は、過去にサダム・フセインやガダフィ大佐が発言し、実行しようとしたこととまったく同じだからだ。

 だから、ルーラにはあらゆる協力が必要なのだ。もう一度、「知音」の登場である。

 習近平は北京でこうしてルーラを公式に歓迎した。習近平のような大物が目の前で「中国の古い友人だ」と言えば、それで全て受容されていることを、中国人以外の世界中の人々はほとんど理解していない。

 すべてのドアが開かれた。彼らはあなたを信頼し、抱きしめ、守り、話を聞き、困ったときには助け、友情を身近に感じられるよう常に最善を尽くしてくれるのだ。

 そして、北京への道を歩む「心の友」たちの物語は、ひとまずこれで終わりだ。BRICSの友人は、確かにすべてを理解した。真の主権者になることを夢見るNATO諸国の「小さな王様」は、今、その扉を叩いている。

マルクスの理論は、真理と共に今でも輝いている (習近平、2018年5月4日)

<記事原文 寺島先生推薦>

Marx’s Theory Still Shines with Truth

出典:INTERNATIONALIST 360°

2018年5月4日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月27日

 2018年5月4日、中国の首都・北京の人民大会堂で行われたカール・マルクス生誕200周年記念会議で、中国共産党中央委員会総書記兼中央軍事委員会主席の習近平が発言した。

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Xinhua

 2世紀が経過し、人間社会の巨大で深い変化にもかかわらず、カール・マルクスの名前はいまだに世界中で尊敬され、彼の理論はいまだに真理の輝きを放っていると、中国の習近平主席は金曜日(2018年5月4日)に述べた。

 中国共産党中央委員会総書記、中央軍事委員会主席でもある習近平は、北京で開かれたマルクスの生誕200年を祝う盛大な集会で、こう発言した。

 習近平は、マルクスを「全世界のプロレタリアートと労働者の革命の教師、マルクス主義の主な創始者、マルクス主義政党の創造者、国際共産主義の道案内人、現代における最大の思想家」と述べた。

 「今日、我々はマルクス生誕200年を記念して、彼の偉大な人格と歴史的な行いを記憶し、彼の高貴な精神と輝かしい思想を見直すために、この大集会を大きな敬意をもって開催する」と習近平はこの場で述べている。

 マルクスは生涯、高貴な理想を掲げ、困難や逆境を恐れず、人類の解放のために忍耐強く努力し、真理の追求のために思想の頂点を極め、古い世界を覆して新しい世界を築くための絶え間ない戦いに専念したと、習近平は言う。

 マルクスは世界の重みを背負った偉大な人物であるだけでなく、人生への情熱を持ち、誠実で友情に忠実な普通の人である、と習近平は述べた。

 マルクスが私たちに残した最も貴重で影響力のある精神的財産は、彼の名を冠した科学理論、マルクス主義である。壮大な日の出のように、この理論は人類が歴史の法則を探求し、人類が自らの解放を模索する道を照らしたのだ、と習近平は語った。

 「マルクスの思想と理論は、彼の時代のものであり、彼の時代を超えています」と習近平は言った。「それらはその時代の精神のエッセンスであり、全人類の精神のエッセンスです」。

 習近平は、マルクス主義は人間社会の発展の法則を創造的に明らかにする科学的理論であると述べた。

 マルクスは、唯物史観と剰余価値論を展開し、人類が必然の領域から自由の領域へと飛躍する方法と、人民が自由と解放を実現するための道を示したと習近平は語った。

 人民自身の解放のための最初の思想であるマルクス主義は、人民の理論である。

 「マルクス主義は、初めて人民の立場から人類の自由と解放の道を探り、すべての人が平等と自由を享受する、抑圧も搾取もない理想社会への方向を、科学的理論をもって指し示しました」と習近平は述べている。

 習近平は、マルクス主義が他の理論と異なり、実践的であることが顕著な特徴であると強調し、マルクス主義は世界を変えるよう人々に指示する実践の理論であると述べた。

 常に発展し続け、常に時代の先端を行く開かれた理論である、と習近平は語った。「だからこそ、常に若さを保ち、時代の発展における新たな問題を探求し、人類社会の新たな課題に対応することができるのです」。

 総書記は、『共産党宣言』の出版から170年、マルクス主義は世界中に広まり、その影響力の広さと深さにおいて人類の思想史の中で比類なきものであると述べた。

 第二次世界大戦終結後、多くの社会主義国が建国されたと習近平は述べ、特に中華人民共和国の建国は、世界の社会主義勢力を大きく伸ばしたと強調した。

 習近平は、「世界における社会主義の発展には挫折があるかもしれないが、人類社会の発展の全体的な流れは決して変わっていないし、これからも変わることはありません」と述べた。

 「マルクス主義は世界だけでなく、中国も深く変えました」と習近平は語った。

 ロシアの十月革命の余波は、中国にマルクス・レーニン主義をもたらし、進むべき方向を指し示し、中国人民の生存のための闘いに全く新しい選択肢を提供し、中国共産党の誕生の舞台となった。

 中国共産党は誕生以来、マルクス主義の基本原則を、中国の革命とその建設の現実に結合し、長期的な闘争を通じて人民を団結させ、指導することによって、中華民族を「東アジアの病人」から「立ち上がる人」に変身させた。

 「この驚異的な変化は、社会主義によってのみ中国を救うことができるということを、鉄のように証明するものです」と習近平は言った。

 改革開放以来、中国共産党はマルクス主義の基本原則と中国の改革開放の現実を結合し、立ち上がった国家は豊かになった。

 「この驚異的な変化は、中国の特色ある社会主義によってのみ中国を発展させることができるということを、鉄のように証明するものです」と習近平は言った。

 新時代において、中国共産党は再びマルクス主義の基本原則と新時代の中国の現実を結合し、人民を団結させて指導し、「偉大な闘争を引き受け、偉大な事業を建設し、偉大な目的を前進させ、偉大な夢を実現します」。

 中国国家は、今、豊かになった者が強くなるという、とてつもない変容を迎えるに至った。

 「この驚異的な変化は、中国の特色ある社会主義を堅持し、発展させることによってのみ、国家の若返りを実現できるということを、鉄のように証明しています」と習近平は述べた。

 「歴史と人民がマルクス主義を選択するのは完全に正しいことであり、同時に、中国共産党が自らの旗にマルクス主義を書き、マルクス主義の基本原則と中国の現実を結合する原則を堅持し、マルクス主義を中国の状況と時代に絶えず適応させることも正しいのです」。

中国の「第三次アヘン戦争」 第2部:グローバル金融とIT専制

<記事原文 寺島先生推薦記事>

China’s “Third Opium War”. Covid-19 and the Opium Wars. The Alliance of Global Finance and IT Tyranny
Part II: The True Threat Posed by China

中国の「第三次アヘン戦争」 。Covid-19とアヘン戦争。グローバル金融とIT専制の同盟国
第二部:中国がもたらす真の脅威

筆者:エマニュエル・パストライヒ(Emanuel Pastreich)

出典:グローバル・リサーチ

2022年12月08日

<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月3日

アヘン戦争


Covid-19とアヘン戦争の類似性

 COVID-19は、中国そして世界市民の生活と心を破壊することを目的とした、超富裕層の利益のために展開されている世界規模の作戦である。現在の中国での作戦は、アメリカ、イスラエル、イギリス、そして中国に拠点を置く民間情報会社によって指図されている可能性が高い。このような民間情報会社は、金持ちのために働きながら、政府の一員であるかのように装っている。彼らは、最初の2回のアヘン戦争を計画したイギリス東インド会社の「直系の子孫」と考えられるかもしれない。

 イギリス東インド会社は1840年に中国を滅ぼす必要があった。なぜなら、中国は帝国主義者が支配する世界貿易システムへの統合に抵抗する唯一の大国であり、西洋の伝統に対抗できる高度な文明を持つ唯一の大国であったからである。

 COVID19戦略とアヘン戦争との間には、主に次の3つの類似点がある。


政治的支配のための医学の乱用

 1840年、イギリスが中国を支配するための戦略の大きな部分を占めたのが医学であった。イギリスは、「先進的な」西洋医学を中国人に紹介し、西洋の科学がどんな病気も治すことができる奇跡の薬を作り出したと提示した。しかし、こうした奇跡の薬は、科学的な進歩に基づいた薬もあったが、ほとんどは、中毒性のあるアヘンを原材料とするものだった。

 アヘン(ヘロイン)入りの「西洋」医薬品の販売は儲かるだけでなく、中国人の意思を弱め、儒教などの伝統的な思想(ホメオパシー医学*を含む)を弱め、中国人を市民ではなく、消費者として扱ったのである。最終的な目標は、中国人を健康にすることではなく、無関心で、ナルシストで、享楽的な支配階級を作り出すことであった。
* 私たちが本来持っている自然治癒力、自己治癒過程に働きかけ病気からの回復を手助けする医学。現代医療の薬のように症状を抑えこんだり(抗うつ薬、抗アレルギー薬など“抗”という名の薬)、取り除いたりする治療ではない。

 この計画はほぼ成功した。

 中国政府内の意思決定プロセスにイギリスの代理人(多くは改革派と自負する中国人知識人)が入り込み、中国の経済的自立性は数十年かけて徐々に損なわれていった。また、書籍や雑誌でイギリスをより文明的な国として見るように洗脳された、新しい世代の中国人知識人が権力を握るようになった。

 中国の若者たちは、ロンドンに留学した中国人から、イギリスが豊かで強力なのは、国民の道徳心が高いからであり、教育制度が発達し、科学的手法が用いられているからであり、中国が達成できなかった啓蒙的文明から生まれた目覚しい技術があるからだと、教えられた。そしてそれに比べれば、中国文化は後進的で愚かなものであると教えられたのだ。

 西洋の近代に救いを求める中国人に隠されていた真実は、イギリスの進歩を支えている富は、プロテスタントの労働倫理や上流階級の洗練された文明によって生み出されたものではない、ということだった。そう、その富は、何百万人ものアフリカ人が「新世界」に農場を作るために売られた冷酷な奴隷貿易の産物であり、国内の一般農家を廃業させ、ロンドンの銀行家に巨額の富をもたらした。その富は、インド、バングラデシュ、アラビアを買収し、イギリスがそれらの国の資産を押収したことによっても生み出された。

 今日、西洋の製薬会社は、疑わしいアロパシー薬*を中国で販売し、そのような製品を「先進的な」西洋医学として中国人に宣伝するために、膨大な予算を投じている。これらの医薬品の多くは、19世紀に中国人に対して使用されたアヘンと同様の機能を持つアヘン製品、または人工アヘンを含んでいる。これらの西洋医薬の多くは、中毒性、気分転換性、あるいはその両方がある。
* アロパシーとは、ホメオパシーと反対で、「逆症療法」である。たとえば「発熱は解熱させる」「下痢は止痢をはかる」というように,生体内に症状と逆向きの力を誘導励起することによって病気を治そうとする考え方である。

 現在、退廃的な資本主義社会の残酷な矛盾のためにうつ病に苦しむ中国人は、医師からその問題は病気であると言われ、アヘンを含む「西洋」医薬品を処方されるが、この過程は、19世紀に中国で行われた欧米企業によるアヘンの乱用と酷似している。

 19世紀に強制されたアヘンへの依存は、中国で普通の生活を送るために国家が要求するワクチンへの強制的な依存とも類似している。

 世界保健機関のような世界的な犯罪組織は、中国人の健康を損ない、ワクチンへの人工的な依存を強制するために、偽りの科学を使っているのである。

 また、中国人の依存症の助長は、医薬品に限った話ではない。中国社会では、スマートフォン、ソーシャルメディア、ゲーム、ポルノが常に推進され、文字どおりすべての国民がスマートフォンを携帯し、その要求に応えるしかない環境を作り出している。こうした行為は、中国人の中に人工的な新しい習慣や危険な中毒・依存を生み出し、さらなる搾取を可能にする。

 メディアの内容は、情報や知恵を伝えるものではなく、伝統的な意味での娯楽でもなく、短期的な刺激への依存(ドーパミン放出)を誘発し、集中力を阻害することによって、脳の機能をゆっくりと変化させるものである。

 このような依存症は、複雑で多元的な思考を阻害し、市民の長期的な計画能力を低下させる。Wechat(ウィーチャット)やToutiao(トウティアオ)*などのソーシャルメディア大手を数ヶ月間定期的にチェックすれば、もはや自分の頭で考えることはできなくなるだろう。
* WeChat (微信)やToutiao(今日头条)は、中国のSNS・動画・EC・検索プラットフォーム。

 多国籍投資家に支えられた中国の新しいメディアの目的は、中国人をより独立心旺盛で新しい考え方に開かれた存在にすることではなく、仮想監禁状態を受け入れるほど従順な存在にすることなのである。

 第二の戦略は、西洋が魅力的で権威があり、充実していて物質的に豊かであることを示唆するイメージや文書を通じて、人工的な西洋文化を優れたものとして宣伝し、中国文化の権威と正統性を破壊することである。

 この戦略は、アヘン戦争後、イギリスをはじめとする帝国主義勢力が中国で成功するために不可欠なものだった。西洋人は、中国の文明はその性質上、後進的で限界があると断じた。英国の学者や宣教師は、中国が近代化し、それによって救われるためには、漢字、中国の家庭習慣、地方の風習、さらには中国哲学の中核となる教義さえも捨てなければならないと主張した。

 今日、中国の若者たちは、スターバックス、アディダス、シャネル、ルイ・ヴィトンなどのイメージで溢れている。これらのイメージは、あたかも西洋人(アメリカ人)が金持ちで自信があり、食べ物や飲み物に浪費することで正当に喜びを得ているかのように見えるように設計されている。

 大きな家に住み、高級車に乗り、かっこよくお高くとまった特権階級の人々の生活は、羨望の的であり、若者のモデルとして提示される。この破壊的なイデオロギーキャンペーンは、単に市場シェアを拡大するための努力ではない。中国の文化的権威を失墜させ、堕落した退廃的な消費文化(企業の資金援助によりハリウッドで作られた)を直接民衆に供給するための作戦なのだ。


アヘン 2 女性

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特権階級の自己中心主義文化を奨励する青島の企業広告

 19世紀の中国でも、帝国主義勢力は同じような戦略をとっていた。1840年当時の中国文明は、芸術、文学、学問、行政において、地球上のどの国よりも洗練されており、複雑かつ持続可能であった。出版される本の数、教育を受ける人の数、どれをとっても世界一であった。

アヘン戦争 1


 皮肉なことに、イギリスは1870年代に中国の公務員制度を真似て、帝国を管理するための独自の公務員制度を作ったが、それは中国政府を内部から崩壊させた後に行われたのだ。

 19世紀の鉄道、電信線、郵便制度、電灯の普及は、中国の主権を弱体化させ、中国人の統治能力を破壊することにつながった。従来の慣行を時代遅れで後進的と思わせ、政府の意思決定プロセスの大部分を外国の専門家(または海外で訓練を受けた中国人)が担うことを要求したのだ。中国はアヘン戦争の屈辱から50年の間に、文化、教育システム、そして最終的には政府の統制力も失ってしまった。

 現在の生態系の危機と人類の文明の衰退を見れば、近代化イデオロギーのどれもが科学的真実に基づいていたのかどうか、疑問を抱かずにはいられない。

 オンライン購入、ジオフェンシング*、QRコードの使用、5Gの推進、目に見えない企業権力によってコントロールされた様々なアプリケーションなどのテクノロジーが、近代化の名の下に至る所で実施されているのである。中国では、どのように政策が決定されるのか、透明性がない。
* 地図上にバーチャルなフェンスを設置する技術のこと。特定のフェンスの中に特定のユーザーや特定のモノが出入りした時に、システムからメッセージを送るなど、「モバイル端末のGPS機能」を活用し、予め決めた処理を自動的に行うシステム。

 問題は権威主義の中国共産党に起因するのではなく、シスコ*、SAP**、アマゾンなどの多国籍企業が推進する自動化・デジタル化の推進による地方政府の民営化に起因しているのである。
* シスコ・システムズ。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社。
** ドイツのヨーロッパ最大級のソフトウェア会社。そのシステムは企業における会計システム、物流システム、販売システム、人事システムなどからなり、それぞれがデータ的に一元化されているためにリアルタイムな分析が可能となる。


アヘン 2 ポスター


 長沙で店舗が閉鎖されたのは、施設利用のためのCOVID-19に対する不明瞭な指令とQRコードの要求によるものだった。

 中国は、世界征服をたくらむ謎めいた 「フー・マンチュー博士*」ではなく、中国における新自由主義的コンセンサスに対するあらゆる抵抗勢力を壊滅させようとする多国籍企業の犠牲者なのである。
* 傅満洲博士。イギリスの作家サックス・ローマーが創造した架空の中国人。西欧による支配体制の破壊を目指して陰謀をめぐらす悪人であり、東洋人による世界征服の野望を持つ怪人である。

 清朝が、イギリス東インド会社や、王朝をほぼ崩壊させたおぞましい秘密キリスト教徒の太平天国の乱(1850-1864)などを秘密攻撃したことで非難されたように、今度は中国共産党が、外国の多国籍企業によって開発された全体主義の悪夢を作り出したことで非難を受けているのである。

 中国社会が組織的にコントロールされて解体されたことを中国人のせいにするというこの悪巧みは、まさにアヘン戦争で大英帝国が採用した戦略そのものである。

 もちろん、この犯罪的買収から利益を得ている中国共産党の腐敗した議員はたくさんいるが、最終的な権力者は中国政府ではない。

 多くの教養ある中国人が海外移住を希望しているのは、イスラエルの下請け会社のノウハウを利用して、上海と成都をガザ地区にしている、抑圧的な「ゼロ・コロナ」ジオフェンスと接触者追跡が実施されているためである。 中国の変貌の本質を把握できている人は、実に少ない。

 19世紀における英国の中国攻撃の第3段階は、ロンドンが少数者の利益のために支配する世界的な貿易・金融システムに、中国を統合することであった。

 中国は明・清時代、食糧安全保障、経済的自立、地域経済を維持しようとする真っ当な懸念から、賢明にも大規模な外国貿易を避けていた。ところが、イギリスはアヘン戦争後、他の植民地主義勢力と同様に、中国に貿易協定で「不平等条約」を強要しただけでなく、上海などの都市で中国の知識人を新たに育成し、中国人が世界貿易と金融に参加することが「先進国」になる唯一の方法であると説いた。

 中国の主要都市に住む富裕層は、自分たちの階級的利益をグローバル主義者と一体のものと考えている。彼らは心を鈍らせるAI教育を推進し、監獄社会文化を強制するスマートシティを主張し、中国人を外国のIT業者に依存させるオンライン環境を受け入れ、中国の「ガザ地区化」を意図するドローンやロボットの外国メーカーに広く門戸を開いているのである。

 ウォーレン・バフェットのような寄生虫のような人物が、グローバリストに占領された中国のメディアに登場し、国民に経済の天才として紹介されている。中国の大学は、「近代化」を要求する企業からの圧力で、かつて標準的だった階級闘争と寄生的なグローバル金融に関する経済分析を放棄し、誤解を招くようなグローバリストの成長教義を支持している。

 ジム・ロジャースやジョン・ソーントンのような億万長者階級や、ハーバードやスタンフォードの教授が意図的に中国人に媚を売ることが、この攻撃のカギを握っているのである。中国人は、国内外の企業メディアから、自分たちはすぐに欧米を追い越すだろう、中国は技術でリードしている、と言われている。Huawei*やXiaomi**は、欧米のえり抜きの専門家によって賞賛され、中国が将来の発展への希望を世界に与えていることを暗に示している。
* ファーウェイ。中華人民共和国 広東省深圳市に本社を置く通信機器大手メーカー。
** シャオミ。家電やスマホ、IoT プラットフォームを提供する世界的な中国の総合家電メーカー。


 これらのお世辞の中には真実も混じっているが、その狙いは狡猾である。中国人は、21世紀の大国になりたいのであれば、国民を受動的で贅沢にし、高レベルのエネルギー消費を要求し、グローバリストが管理する貿易・物流システムへの依存度を高める、欧米の成功基準(成長、消費、輸出、デジタル化)を受け入れなければならないというプロパガンダ・キャンペーンにさらされているのである。

 経済の究極の目標としての無限の成長の促進は、科学的根拠を欠いた政策であり、化石燃料の使用を増加させ、中国に有害な過剰生産を要求するだけである。捨てられたプラスチックは地面と海を汚染し、何千台もの不要な自動車とコンピュータが、欧米人が設定した成長目標を達成するために生産されているのである。


マルクス主義的経済分析

 10月23日に開催された中国共産党第20期中央委員会全体会議は、中華人民共和国にとってマルクス主義経済理論が中心であることを明確に確認した点で特徴的であった。マスコミはすぐさま習近平主席を「歴史の流れに逆行する後進的な社会主義者」と攻撃した。中国が、ソ連が崩壊して、破綻したイデオロギーである共産主義を受け入れるとは、どういうことだろうか、と。

 最近、ウィンストン・スミスは、そのエッセイ 「The Left's Grasp(左翼の掌握)」 の中で、世界経済の支配権を握ろうとする世界経済フォーラム全体の企ては、「共産主義」という製品であると論じた。グローバリストの支配に代わる実行可能な選択肢が、なぜかグローバリストの操り人形として信用されていない。

 しかし、多国籍銀行のコンサルタントは、中国が「マルクス経済学」に戻ろうとするこの動きの脅威を評価するのに苦労はしなかった。

 もし中国が、研究、メディア分析、経済政策において、マルクス主義の経済分析を適用し始め、階級闘争、イデオロギー操作、資本の誤用、過剰生産の乱用を強調することに成功すれば、まさにそうした手法が切実に求められている歴史的瞬間に、世界で唯一それが可能な国家となるだろう。

 しかし、グローバリストは、中国がマルクス主義を分析に用いることを許さない。なぜなら、そうすれば、中国は経済的な意味だけでなく、知的な意味でも強国となりうるからである。

 もう一つの危険は、マルクス主義の思想において、科学の重要性と、厳格な分析という科学的方法である。それは、カントとヘーゲルの認識論における近代科学の基礎に基づいている。

 COVID-19の宣伝活動は、中国であれ米国であれ、科学を劣化させ、病院と医療専門家をグローバル金融の操り人形にし、医師を買収して非科学的な政策を支持させることによって可能になった。多くの場合、科学的手法に訴えることは犯罪と化している。

 COVID-19は科学ではなく、支配階級の権威を「科学」と偽った「科学主義」である。市民が独自の行動によって科学的真実を確認する能力は禁止されている。

 億万長者たちは、第20回総会で解き放たれた可能性に怯えている。グローバリストが中国人を支配するために用いるグローバル化、消費への自己陶酔、技術への崇拝は依然として残っているが、近代化の相対的価値は弱まっている。さらに、グローバリストを長年支持してきた李克強が中央委員会から排除されたことは、グローバリズムの見地から離れ、マルクス主義の伝統を回復しようとする中国共産党の闘いを示すものであった。

 マルクス主義には明らかな弱点がある。しかし、億万長者がハーバード・ビジネス・スクールの教授に金を払って学生に教えているたわごとと比べれば、マルクス主義経済学は高度な科学である。もし中国が、経済とイデオロギーの矛盾の科学的分析に基づく世界的なマルクス主義運動を主導すれば、それは世界のあらゆる国で大衆に訴えることができるだろう。


真の解決策を見出す

 現在の第三次アヘン戦争の背後にいる億万長者たちの究極の計画は、中国を始めとする世界の全ての市民を、お金の面ではグローバル銀行に、食料と雇用の面では多国籍企業に、他人との交流ではIT企業に依存させ、自動化によって雇用者として用なしにさせ、自宅に閉じ込めることである。

アヘン戦争 1 3枚目


 この人類に対する戦争の唯一の解決策は、第二次世界大戦後、新帝国主義者によって推進されてきた危険な開発成長モデルをすべて放棄し、農業と生産のための地域協同組合を創設し、行動の価値をお金ではなく、知恵、美徳、持続可能性で評価する文化を創造することである。

 真に持続可能な文明への回帰は、今後千年間、全人類にとって最良のものを推進し、バイオファシズム、技術権威主義、あるいは大量虐殺による奴隷社会の創造を拒否することにより成し遂げられるものである。 中国の儒教や道教の思想、あるいは毛沢東のようなマルクスの中国的解釈は、真の意味での代替案を提供することができるだろう。

 この攻撃に対する解決策は、アメリカ人と中国人の同盟である。それは、このふたつの国が感染したテクノ・ファシズム*に、つまり、アメリカ人が思想と金融を、中国人が製造と流通を支配することによって全世界に輸出されているものに、対抗できるのだ。
* ICT(情報通信技術)を使って、国民の個人の銀行口座や行動や居場所や思考などの個人情報を政府が一元管理し、統治の道具に使う政治的手法。

 しかし、テクノ・ファシズムに対抗する中国とアメリカの強力な同盟は、現在の「新冷戦」工作によって、両国の間のいかなる交流も疑わしいものとなっているため、不可能である。

 グローバル金融とIT専制の暗黒同盟が、両国を恐ろしい死の協定である「フランケンシュタイン同盟*」に組み込んでいるが、もし、良心のあるアメリカ人と中国人が、それに反対するために結集すれば、現在の第三次アヘン戦争をたちどころに阻止することができるだろう。まさにそのような運動を始める時が来たのだ。
* 自ら作りだした怪物に、自らが滅ぼされる米中の同盟、というほどの意味か。


筆者のエマニュエル・パストライヒは、ワシントンDC、ソウル、東京、ハノイにオフィスを持つシンクタンク、アジア・インスティテュートの代表を務めた。また、未来都市環境研究所の事務局長も務めている。2020年2月、無所属で米国大統領選への出馬を表明。

本記事の画像はすべてFear No Evilから引用している。

中国の「第三次アヘン戦争」 第1部:COVID-19に関する対中攻撃の背後にある計画

<記事原文 寺島先生推薦記事>

The Third Opium War: The Agenda Behind the COVID-19 Assault on China

筆者:エマニュエル・パストライヒ(Emanuel Pastreich)
      
出典:グローバル・リサーチ

2022年12月09日

<記事翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月3日


 企業メディアでは、圧政的な共産党政権に対して、中国市民が自然発生的な蜂起をしたという報道で溢れている。つまり、都市全体を封鎖し、公衆トイレを含むすべての公共施設の使用にQRコードのスキャンを要求する非人間的なゼロ・コロナ政策を施行している圧政的な共産党政権に対する蜂起であるという報道である。

 メディアは、中国における真の搾取勢力であるウォルマート、アマゾン、フォックスコン*などの多国籍企業に対する中国人による抗議行動、ストライキ、オンラインキャンペーンを組織する努力をまったく無視している。そのことを考えると、この新しい大きな政治的な抗議活動が、中国における経済格差の是正を目指すような真剣な活動であるかどうかは疑問である。
*フォックスコン・テクノロジー・グループ(鴻海科技集団、ホンハイかぎしゅうだん)は、電子機器の生産を請け負う電子機器受託生産では世界最大の企業グループである。台湾に本社を構え、生産拠点は主に中華人民共和国にある。

 むしろ私たちが見せられている今回の抗議活動は、新種のカラー革命の香りがする。そしてこのカラー革命は、米国における人々のものの捉え方が自己陶酔的な衰退に陥っているという状況に合わせて用意されたものであり、それは米国当局が、米国内部の全体主義的な傾向の隆起を「他国」である中国内部に促そうとしているものである、といえる。

 米国の病的に青ざめた知識階級の人々の話の中では、敵と目されていて、自国内で行えば政治的に不利な状況に立たされるであろう「テクノ・ファシズム*」の姿をはっきりと捉えられる唯一の場所が、中国なのである。
*ITを駆使し、個人の主張や銀行口座などを政府が一元的に管理することで、国民を統制しようとする政治体制のこと。

 同時に、統治機構を破壊し、顔の見えない権力者たちの気まぐれに従う、従順な国民を作り出すという大規模な組織的活動に、中国がさらされていることに疑いの余地はないだろう。その権力者たちは、「政府」を装ってオンライン・システムの背後に潜んでいる。

 しかし、その「共産主義政府」は、表面を剥がせば、民間契約者や、イスラエルや日本やアメリカなどのIT・情報企業であることがわかる。彼らは、中国全土にわたって地方段階で店を構え、政府のあらゆる機能を民営化することで政府の支配権を握り、COVID-19を楔としてすべてをオンラインに強制的に移行させようとしているのである。

 この戦略は、中国共産党の政策にも、陳独秀や毛沢東の共産主義的伝統にも前例がない。むしろ、情報産業基盤の支配を利用して地方政府を掌握しようとする民間業者の戦略を利用したものである。この戦略は、オクラホマ州(ジュリアン・ロマネロJulianne Romanelloの報告を参照)やルイジアナ州で実施された、請負業者による地方政府の乗っ取りと共通するところが多い。

 契約の追跡のためのノウハウ、顔認識技術。ジオフェンシング*や、毎日のPCR検査の義務化は、ヨルダン川西岸のパレスチナ人支配のための技術と政策、そしてDARPA、RAND、その他の国防総省やCIAの請負業者が行った社会操作に関するアメリカの研究へと起源をさかのぼることができる。
*位置情報を使った仕組みの一つである。GPSやWi-Fiなどを使用し、特定の場所やその周辺に仮想的な境界(ジオフェンス)を設け、対象がその境界内に入ったとき、又は境界から出たときに、アプリやソフトウェアで所定のアクションを実行する。

 報道機関が報じる記事を読んでいる人々は、中国で起きていることについて、2つの欠陥のある解釈のどちらかを選択させられている。一方には、中国で見られるテクノ・ファシスト政策は、西洋の自由とその輝かしい憲法の伝統を脅かす、異質で危険な中国文化の産物であると指摘する人々がいる。そしてこの脅威は、共産主義と、中国文明が古代からずっと権力に従順であった事実に起因しているとされる。

 もう一方では、中国を、これまでにない新しい形の文明を発展させているとして擁護する人々も存在する。彼らによると中国は、その新しい技術力と経済力を理由に、嫉妬深く、衰退しつつある欧米諸国から悪評を買っているという。しかし、こうした批評家は、COVID-19の下で中国の労働者が直面している全体主義的な統治に関しては、目をそむけることを選んでいる。

 この2つの視点について、私が過去に親しく交流した2人の同業者の発言から説明しよう。

 まず、中国脅威論の一例として、『グローバル・リサーチ』に寄稿しているジョン・ホワイトヘッド氏の文章を紹介しよう。

 「アメリカの運命は中国に握られつつある。中国こそ、あらゆるディストピア(暗黒郷)のお手本だ。経済的、政治的大国である中国は、アメリカの債務を他のどの国よりも多く所有し、アメリカのあらゆる分野の企業を買収している。中国は、国民を威嚇し、権力を維持し、諸企業の幹部の富を拡大するために、検閲、監視、残忍な警察国家の戦術を日常的に用いる悪質な全体主義体制である。」

 ホワイトヘッドが「中国はディストピア世界である」としていることについては、議論の余地がない。しかし、それは「メイド・イン・チャイナ」ではないことは確かだ。中国の地方行政の大部分(COVID体制の施行は地域によって大きく異なる)は、ブラックロックやゴールドマン・サックスなどの投資銀行と結びついた民間業者や、IT関連の民間業者によって乗っ取られているからだ。

 ホワイトヘッドの言い分を要約して捉えれば、最も明白な以下の結論が排除されていることがわかる。つまりそれは、中国とアメリカの労働者たちは、多国籍企業によって生活、自由、健康を破壊されており、この世界的な買収に対抗するために協力すべきだという結論である。

 アメリカの知識人の多くは、19世紀に提唱された「黄禍論」を温め直し、中国文化は、本質的に抑圧的で堕落したもの、何としてもアメリカへの流入を阻止しなければならないものであるとして提示している。異質な文化を悪魔化するこのような努力は、階級闘争や生産手段の支配に関する真剣な議論の方向を変え、怒りの矛先を外国人が悪いことに集約してしまうために富裕層が用いる古典的な戦略である。

 メディアで提示されたもうひとつの見解は、中国の台頭に関する思慮深い研究書 『When China Rules the World (中国が世界を統治するとき)』の著者であるマーティン・ジャックのような知識人が提示している。ジャックは中国について、「黄禍」論者たちよりも均衡のとれた公正な視点を提供しているが、中国とその文明を、腐敗し退廃した西洋に代わるものとして提示するという彼の判断は、COVID 19が過激な社会統制を実施するための口実にいかに利用されているかについて一言も言及しておらず、彼の議論を深く損ねるものであった。

 ジャックは最近、「中国が、各国が共に繁栄することを受け入れ、より公正で公平な社会を確立しようとしていることは、中国だけでなく世界にとっても非常に重要なメッセージだ」と述べながら、COVID政策については沈黙を守っている。このような議論の進め方は知識人として不誠実であり、中国社会を根本的に改造しようとしている中国、イスラエル、アメリカなどの投資銀行やコンサルティング会社(企業に助言を与える会社)などの勢力と深く妥協して協力することにジャックが同意したことを示唆するものである。

 中国は、欧米経済を動かしている資源採掘型の帝国主義に代わるものを提供している。特筆されることは、中国が、最近の歴史において海外で戦争をしたことがなく、海外にほとんど軍を置いていない国であることだ。それにもかかわらず、①中国国民に購入してもらうように多国籍企業が用意した、有名なデザイナーがデザインした衣服の広告②ホテルやその他の公共スペースに本や新聞をおくのをやめようとする動き、③ジャーナリズムの質の急激な低下(5年前までは、米国より優れていた)、④力を持つことや富豪であることが生活の理想であるとする若年層に対する宣伝という4点から示唆されることは、多国籍利益団体による中国国民に対する秘密戦争が既に開始されたという事実だ。そしてこの秘密戦争は、少なくとも米国やヨーロッパに対して多国籍利益団体が行っている宣伝活動と少なくとも同等の規模で行われているのだ。

 中国に同情的な人々がこの残酷な現実を直視せず、むしろ中国のより合理的な外交、鉄道技術や太陽エネルギーの進歩、アフリカへの投資に対する帝国主義的でない方策に対する賞賛に分析を限定していることは、受け入れがたいものである。


なぜ "第三次アヘン戦争 "と呼ばなければならないのか?

 COVID-19の中国に対する攻撃の本質を理解しようと苦心している人は、かつて西洋列強、特にロンドンの金融権力が、中国の政治体制を乗っ取り、中国経済を支配し、中国文化の権威を低下させ衰退させようと乗り出した事変[アヘン戦争]のことを考えるのが最善である。

 中国に対するこのような政治的、思想的、軍事的な攻撃の過程は、2度のアヘン戦争で開始された。ロンドンの金融権力は、清朝の腐敗した支配階級と手を結んで、西洋文明が中国よりも本質的に進んでいるというイギリスの宣伝活動を進めながら、個人的利益を得る好機と考えたのである。

 1840年の第一次アヘン戦争は、イギリスが東アジアに絶対的な権威を確立し、政治的・文化的攻撃によって中国の自治権を奪うために始まったもので、中国経済を困窮させただけでなく、中国人が自分で考える能力をも低下させた。

アヘン戦争 1 2枚目

 イギリスはインドと同じ戦略で、中央政府を弱体化させるために地方の貴族と腐敗した関係を築き、中国文明を後進国として攻撃し、イギリス帝国の貿易システムと金融システムに経済的に依存させるように仕向けた。

 当時、中国は世界で最も強力な経済力を持ち、高度な教育を受け、安定した農業生産と長期的な持続可能な発展を目指す立派な国であった。他の国々と違って、中国はイギリスが支配する貿易と金融が絡まった蜘蛛の巣に簡単に引き込まれるわけにはいかなかった。

 中国が対英貿易で黒字を出し、対外貿易で英国製品を必要とせず、英国の物流を利用せず、英国に大量の茶や磁器などを自国の条件で売りつけることに、英国の支配層は我慢ならなかった。

 イギリス人は、腐敗した地方の貴族と関係を持ち、汽車による輸送、郵便、金融、銀行、医学など、中国にすでに存在していたものとは根本的に異なる考え方を導入した。イギリス人は、自分たちが作った出版物や、後に設立したキリスト教を教える学校の中で、中国が近代化に向けて前進するためには、中国で大規模な変化が必要であることを示した。これらの提案の中には、正確なものもあったが、ほとんどは帝国主義を正当化するためにねじ曲げられたものであった。

 第一次アヘン戦争と第二次アヘン戦争(後者の戦争については1856年から1860年にかけてフランスと共同で行った)でのイギリスの勝利は、イギリスの優れた軍事技術の結果であるが、イギリスが優位に立ったのは、彼らがより賢かったからではなく、18世紀と19世紀に絶え間ない戦争を行い、これらの特定の技術の発展を推し進めていたからである。

 同時に指摘しておきたいのは、慣習や制度に則って「ブリテン」とか「イギリス」という言葉を使ってしまうと誤解を招くことだ。なぜなら、そう言ってしまうとつい、紛争を国単位でしか認識できず、また企業利益間の戦いを中国、アメリカ、ロシアの大統領間の争いであると取り違える可能性があるからだ。

 1839年、林則徐総督はヴィクトリア女王に公開書簡を送って、不道徳なアヘン貿易の廃止を求めた。そして政府が押収した違法なアヘンを燃やした。しかし、1840年に中国を攻撃したのは「イギリス」ではない。それは中国を半植民地化するために、インドやバングラデシュなどを買収して得たノウハウで、中国を解体する計画を立て、実行したのはむしろロンドンのイギリス銀行家たちであった。

 アヘン戦争の中心的な組織は、イギリス東インド会社である。イギリス国民の富裕層に属する私企業で、政府の権威を利用して、その活動を正当化し、推進することが可能であった。

 イギリス東インド会社は、19世紀初頭、他国の弱点を分析し、経済的利益を得る機会を見極めるための高度なシステムを開発した。銀行の利益のために軍事行動も辞さない専門家チームを持ち、自国の政治家に働きかけて、顧客の利益になるような軍事行動を助長した。

 英国東インド会社は、1909年に設立された情報機関MI6(軍事情報部6課)の父であり、さらに重要なことは、1947年に設立されたCIA(米国中央情報局)の祖父であることだ。これらの組織はいずれも政府機関を装っているが、大部分は私的利益のために働いている。


COVID-19作戦

 2019年12月に中国、そして世界に対して発動され、現在も続いているパンデミックを装った世界的クーデター、COVID-19作戦に話を進めよう。この作戦は、中国だけに向けられたものではないが、方法と目的において、過去2回のアヘン戦争に似ている。

 筆者は、COVID-19作戦がどのように計画され、開始されたかについて正確な内部知識を持っておらず、おそらく誰も全貌を把握していない。しかし、ジャーナリズムとして流布される偽情報の繰り返しとは対照的に、情報に基づいた評価を可能にするのに十分な情報が入手可能である。

 COVID戦争の始まりである2019年の武漢発生の背後にある戦略は、DARPA*やRAND**などアメリカの機関で行われていた、バイオテクノロジーやナノテクノロジー、サイバー戦争を使った戦争遂行方法に関する機密研究に端を発していた。
*アメリカ国防高等研究計画局、**米国のシンクタンク

 安全保障の世界で考えられるサイバー戦争は、コンピュータをハッキングすることよりも、市民の心をハッキングして、自主的な思考を不能にし、ナルシズム(自己陶酔)に基づく消費文化への心理的・思想的依存を助長することが重要視されている。政治における知識階級の知的機能を破壊する平凡な消費文化の促進は、COVID戦争の下地作りの重要な部分であった。

 この新しい戦争形態は、1986年に発見された1950年代の(おそらく)機密マニュアルに採用されている用語を使えば、「静かな戦争のための静かな武器」と表現するのが最も適切であり、このマニュアルには、支配戦略としての社会工学と自動化の利用が記述されている。ブラックロック、バンガード、ゴールドマン・サックスなどの民間金融・情報産業複合体、戦略的に結びついた億万長者の一団が、この取り組みの主要な顧客である。

 AIやスマートフォンの普及によって国民の思考を根本的に劣化させ、消費文化や目先の刺激への依存を生み出し、テクノロジーへの依存を強いるために、中国が主要な標的として選ばれた(ただし、この戦略は世界中で実行されている)。

 中国が格好の標的となったのは、近代化を推進するという基底概念が中国社会の中心にあり、西洋を追い抜くことが喫緊の課題とされているからだ。それは、19世紀に中国は西側から屈辱的な扱いを受けていたからだ。そのような思いが中国の知識人の間で非常に強く残っているため、自動化やジオフェンスを推進するという危ない橋をわたることが、中国が西洋を超え、真の近代化を実現するための手段として容易に正当化されるからである。さらに、中国の儒教思想は(民衆に)政府の役割を信頼することを促す考え方であるため、企業が政府における政策や行政を掌握していることを市民が把握するのは困難である。

 公衆トイレを含むすべての公共空間でのQRコードの使用、予防接種の義務付け、過去48時間以内(場合によっては過去24時間以内)のPCR検査が当初から市民に受け入れられたのは、そのような措置が、「西洋」より進んでいると正当化されたためだった。
このCovidを利用したテクノ・ファシズム導入作戦は、米国と中国双方の情報機関の腐敗した分子によって開始された可能性が高い。両国のこの分子たちが、奴隷社会を作る計画を進めている。つまり、億万長者たちが社会全体の思想や行政の規則を設定できるような社会だ。

 地方段階でCOVID-19の政策に関与している中国人と外国の代理人たちは、民間情報企業が出した指令に従っている。これらの情報企業は、世界経済フォーラムや、ゲイツ財団に支配されている世界保健機関などの政府間機関、そしてグローバル金融と結びついたその他の多国籍機関と連携している。

 企業メディアによる米国と中国の間の「新冷戦」の宣伝は、この作戦にとって極めて重要である。米中双方の地方政府関係者や市民は、中国と米国の関係が悪化しているため、両国の協力や交流はありえないという言説を聞かされている。この言説の信憑性は、政府高官、学者、文化人などの交流を禁止したり、困難にしたりする指令によって高められている。

 米国と中国の超富裕層を代表するごく少数の主要人物が密接に連携し、中国でのCOVID-19封鎖を推進している、というのが真の姿である。

 QRコードや接触相手の追跡を支える、中国のこうした政策は誰が作っているのか、誰がデータを扱っているのか、誰がプログラムを管理しているのかと問われれば、必然的に中国政府という答えになる。しかし、実際には、これらの政策のうち、中国政府自身が立案・実施したものはほとんどない。むしろ、中国政府は、億万長者(多くはイスラエルや米国を通じて)の支配下にあるIT企業に占領されていて、これらのIT企業は、中国政府を完全に軽視しているというのが実情だ。

 2019年の武漢発COVID-19作戦に関わった人々は、自分たちに反対する中国政府の人々を無慈悲に攻撃し、民間のコンサルティング会社や諜報機関と協力して自分たちが構成員である影の政府を立ち上げようとしていたのだ。

 その中国の影の政府(この件に関しては米国の影の政府も絡んでいる)は、政府が依存するIT処理過程を支配することにより力を引き出している。民間のIT企業(事実上、最高責任者にデータを売り渡す役割しか持たない民間情報企業であることが多い)によって、政府内の情報の転送、保存、処理、およびすべての内部通信が制御される体制により、億万長者の利益のために運営される影の帝国の構築が可能になった。そして、慎重に調整された方策を用いて、数ヶ月や数年という単位の中で、市民の思考を低下させ、移動と行動の自由を減少させるのだ。社会に大規模な変化をもたらそうとするこの計画は、市民(特にスマートフォン中毒者)が気づかないほど遅く、効果的な抵抗の組織を作るのが困難なほど速いという絶妙な速度で行われている。

 皮肉なことに、欧米のマスコミが世界で唯一の全体主義の源と評する中国共産党は、しばしばテクノ・ファシズムの行進に抵抗することができる唯一の勢力であるとされている。欧米企業が組織から人間を排除し、AIによる自動化を実施し、政党を投資銀行の付属物に変えることに躍起になっているのに対し、中国共産党は大勢の人を集めた対面の会議を開き、具体的な検討を伴う政策論争を行っている。

 中国のどの都市を歩いても、水面下でどのような戦争が行われているかは一目瞭然である。

 iPhone、イタリアのデザイナーがデザインした服、砂糖たっぷりの加工食品など、多国籍企業が生産する消費財の広告が、消費者に変えられてしまった市民に向けて、いたるところで叫ばれているのである。

 このような取り組みにより、グローバル金融の蜘蛛の巣と連動した強固な貨幣経済が生み出されている。若者たちは、iPhone内のネット空間に集まり、ありきたりな話題でうわさ話やメッセージを交わし、おしゃれなレストランで食事をしている。これらの若者たちにとれば、労働者が直面している現実を意識することは、遙かかけ離れたところに遠のいてしまう。

アヘン戦争 1 3枚目

 同時に、街角には市民に倫理観を持ち、他人を尊重し、街を清潔に保ち、家族を大切にするよう呼びかけるポスターが貼られている。これらの倫理的行動を促すポスターは、私が幼少期に見たが、アメリカではその後消えてしまったものを思い起こさせる。

 社会の倫理を保とうというこのような政府の取り組みは、中国共産党が行っていることであり、外国は中国社会の倫理のことなど、気にもしていない。

孔子はマルクスと結婚するだろうか? 中国政治における正統性の追求

<記事原文 寺島先生推薦>

Will Confucius Marry Marx? The Quest for Legitimacy in Chinese Politics

筆者:ぺぺ・エスコバル(Pepe Escobar)

出典:Global Research

2023年1月5日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年1月23日

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この記事の初出は2020年10月11日のアジア・タイムズである。


 中国の学者であるランシン・シャンは、『中国政治における正統性の探求』(The Quest for Legitimacy in Chinese Politics,) という本を書いた。この本は東西の政治的・歴史的格差に橋をかけようとする、ここ数十年で最も素晴らしい取り組みである。

 本書が喚起する議論の妥当性を短いコラムで示すことは不可能である。ここでは、その重要な論点をいくつか取り上げてみることにする。特に、それが中国恐怖症にいろいろ心を揺さぶられている環太平洋地域の事情通の読者の心に届くことを願いながら。

 シャンは根本的な矛盾に切り込んでいる:中国は、40年にわたる持続可能で歴史に残る好景気を享受しているにもかかわらず、民主的な正統性を欠いていると多くの西側諸国から非難されている。

 彼は、中国問題の主要な原因を2つ挙げている:

 「一方では、習近平が「儒教的正統性」や伝統的な「天命」を回復しようとする文化復興プロジェクトがある;他方、習近平はいかなる政治改革も始めない。なぜなら、既存の政治体制、すなわち、主にボルシェビキ・ロシアという国外に源を発する支配体制を維持することが最優先であるから。」

 そう、そこが難しいところ:「2つの目的は全く相容れない」。

 シャンの主張はこうだ。大多数の中国人(その国家組織と国民全体)にとって、この「国外に源を発するシステム」を永久に保持することは不可能。特に今は文化復興が「中国の夢」に焦点を当てているから。

 言うまでもなく、西側の学者たちはこの筋書きを完全に見逃している。西洋の政治学と「ヨーロッパ中心主義の歴史学」下での中国解釈にしがみついているからだ。シャンが本書で試みたのは、「ポスト啓蒙主義の用語法が生み出す概念的・論理的な罠に嵌らないよう、注意深く舵取りをすること」である。

 そのため、彼は「複数のマスターキーワード」の分析に重点を置いている。これは表意文字からそのまま取り出した素晴らしい概念である。そのキーワードとは、正統性、共和制、経済、外交の4つである。本書では、正統性(中国語で「hefa」)に焦点を当てている。


法が道徳を目的とする時

 シャンが「政治的正統性問題の元祖思想家」マックス・ウェーバーを論破していく様子を辿るのは楽しい。ウェーバーは「儒教の体系をかなりいい加減に研究した」と非難されている。彼は、儒教は平等、調和、良識、美徳、平和主義だけを強調するものであり、資本主義的な競争心を育むことなどあり得ないと主張していたからだ。

 シャンは、ギリシャ・ローマの伝統の始まりから、政治は常に空間的な概念―ポリス(都市や都市国家)という言葉に反映されている―と切り離せないと明言する。他方、儒教の政治概念は、「完全に時間的なものであり、支配者の日々の道徳的行動によって正統性が決定されるという動的な考えに基づいている」。

 シャンは、hefa(正統性)が実際には二つの概念を含んでいることを示す:「適合」と「法」―「法」は道徳に優先する。

 中国では、支配者の正統性は天命(Tian Ming)に由来している。不当な支配者は必然的に天命を失い、支配する権利を失う。これは「手続きに基づく議論ではなく、行為に基づく動的な議論」だとシャンは主張する。

 本来、天命とは、「天 tian (キリスト教の全知全能の神を擁する天ではなく)が、その道徳的資質と善良かつ公正な統治能力に基づいて皇帝に統治権を与える、という古代中国の信仰」である。

 その優れた点は、天命は神とのつながりや高貴な血統を必要とせず、時間的制約はまったくないことだ。中国の学者たちは、天命を権力の乱用に対抗するための手段だと解釈してきた。

 全体的に重要なポイントは、西洋と異なり、中国の歴史観は直線的ではなく、循環的である:     「正統性とは、実際、終わりのない道徳的な自己調整プロセスである」。

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 シャンは次に、正統性についての西洋の理解と比較する。彼はジョン・ロックに言及し、ロックは、政治的正統性を被支配者の明示的・暗黙的な民衆の同意から導き出すとした。その違いは、中国人はキリスト教のように制度化された宗教を持たずに、「民衆の一般意志という世俗的な権威を通じて、つまり、彼らは人権の神性や『社会契約』といった架空の政治理論の力を借りずに正統性という動的な概念を」作り上げたことである。

 シャンの説に耳を傾けると、ライプニッツは、これを「中国人の自然神学*」と表現し、それはたまたまキリスト教の基本的教義と衝突しなかったことを、私たちにどうしても思い起こさせる。
*訳註:原文では出生神学(natal theology)となっているが、natural theologyの誤記と思われる。なお、ラテン語の表記は、theologia naturalis である。(Wikipedia)

 シャンは、また、天命が帝国とは無関係であることを説明する:「国民を移住させるために海外領土を獲得したことは中国の歴史上一度もなく、そんなことをしても支配者の正統性を高めることにはほとんどつながらない」。

 結局、天命は「『東洋の専制君主』の釈明にすぎない」と断じ始めたのは、大半はモンテスキューが原因だが、啓蒙主義者たちであった。シャンは、「近代以前のヨーロッパと非西洋世界との豊かな交流」が、「啓蒙主義以降の歴史家たちによって意図的に無視された」ことを指摘している。

 このことは我々を苦い皮肉に誘うことになる:「現代の「民主主義の正統性」はひとつの概念として、他のタイプの政治体制の正統性を否定する機能しか持ちえないが、 「天命」には他の統治モデルを軽んじる要素はまったくない」。「歴史の終わり」*なんてその程度のものだ。」。
*訳注:米国の政治経済学者フランシス・フクヤマに『歴史の終わり』(原題The End of History and the Last Man)という著作がある。彼はそこで、国際社会において民主主義と自由経済が最終的に勝利し、それからは社会制度の発展が終結し、社会の平和と自由と安定を無期限に維持するという仮説を提示している。(Wikipedia)


産業革命がないのはどうして?

 シャンの根本的な問い:「中国の成功は、欧米主導の世界経済システムに負うところが大きいのか、それとも自国の文化資源に負うところが大きいのか?」。

 そして、経済成長は西洋の自由民主主義のもとでのみ可能であるという神話を彼は丹念に論破していく。この神話は、繰り返しになるが、儒教は経済成長という任務には適していないとした啓蒙主義の遺産なのだ。

 1980年代から1990年代にかけて、シンガポール、香港、台湾、韓国といった東アジアの虎が台頭してきたとき、我々はすでにその神話の誤りを予感していた。さらに進んで、多くの社会科学者や歴史学者たちが、儒教は経済成長の刺激になり得ることを認めるようにさえなった。

 しかし、彼らは表面的な部分、つまり勤勉や倹約といった儒教の「核」とされる価値観にしか注目していない、とシャンは言う:「本当の「核」となる価値、儒教的な国家観や経済との関係はしばしば無視されている」。

 西洋において、一部の非欧米系の学者を除けば、中国が12世紀から19世紀後半まで世界を支配する経済大国であったことは、事実上、ほぼ完全に無視される。

 シャンが私たちに思い起こさせてくれるのは、私的所有権、自由な土地取引、高度に専門化した移動労働力など、市場経済が紀元前300年には中国で確立していたことだ。さらに「明時代の中国は、18世紀のイギリスの産業革命に不可欠だった大事な要素はすべて獲得していた」。

 このことは次のような根強い歴史的な謎に私たちを誘う:産業革命の開始が中国でなかったのはなぜか?
 シャンはその問い方を反転させる:なぜ伝統的な中国が産業革命を必要としたか?」

 再度シャンは次のことを私たちに思い起こさせる:「中国の経済モデルは、啓蒙主義の初期に非常に大きな影響を与えた。儒教的な経済思想がイエズス会によってヨーロッパに紹介され、自由放任主義(laisser-faire)などの中国的考え方が自由貿易思想につながった」と。

 シャンが示しているのは、どうして中国の政治・経済にとって対外経済関係はあまり重要でなかったのか、「中国の伝統的な国家観は、産業革命の基本的合理性と相容れない。というのも、産業革命の大量生産方式では国内市場だけでなく外国の領土征服も目指すことになるから」ということである。

 またシャンは、アダム・スミスの『国富論』のイデオロギー基盤が個人主義の自由主義に傾き始めるが、「孔子は個人主義に反対する立場を崩さず、経済の役割は特定の個人ではなく、全体として「人を豊かにする」ことにある」とも述べている。

 これらをまとめて考えると次の事実につながる:「現代の経済学では、西洋と中国の間の真の対話は最初からほとんど存在しない。なぜなら、啓蒙主義以後の西洋は、経済発展における「普遍的真理」と秘密を所有しているのは自分たちだけだ、と頭から信じて疑っていないから。だがそんなことは西洋以外の世界にとっては眉唾物とされてきた 」。

 中国で「経済」(jingji)が何を意味するのかを見てみると、もう一つのヒントが見つかる:「経済」(jingji)は、「単なる経済活動でもなく、商業活動でもないことを表す2文字の略語。「経済」は、「社会の日常生活を管理し、国家に十分な資源を提供すること」である。この考え方では、政治と経済は決して機械的に2つの領域に分離することはできない。政治体と経済体は有機的に結びついている」。

 だからこそ、中国が古代のシルクロードで大活躍していた頃も、対外貿易は 「経済全体の健全性や国民の幸福にとって重要な役割を果たすことはできない、と考えられていた 」のだ。


「無為」と「見えざる手」

 ここでシャンの主張の基本に立ち返る必要がある:西洋が自由市場を発明したのではない。自由放任主義(laisser-faire)は、アダム・スミスの「見えざる手」の前身であるフランソワ・ケネー(Francois Quesnay)が最初に概念化したものである。ケネーは当時、不思議なことに「ヨーロッパの孔子」と呼ばれていた。

 ケネーは『国富論』の9年前に書かれた『中国の専制君主』(Le Despotisme de la Chine)(1767年)で、学者に政治的権力を与えるという能力主義の考え方を率直に支持し、「啓かれた」中国の帝国制度を賞賛している。

 さらに実に興味深い歴史的な皮肉として、laisser-faireは道教の「無為自然」の概念から直接着想を得ていることをシャンは我々に思い起こさせてくれる。

 シャンが指摘しているのは、「アダム・スミスが、この laisser-faire(自由放任主義)を学ぶためにパリで出会ったケネーから深い影響を受け、「見えざる手」を考え出した時、wu wei(無為)の意味を正しく理解するようになったかもしれないこと、受動的ではなく主体的な経済システムを提案していること、そしてキリスト教の神学的側面は脇に置いたこと」である。

 シャンはロック、モンテスキューからスチュアート・ミル、ヘーゲル、ウォーラーステインの「世界システム」論までを検証し、驚くべき結論に到達した:「中国を典型的な「後進国」経済モデルとして捉えるのは、歴史的現実というよりも、西洋の文化的・人種的優越性の想像力に基づいて作られた20世紀のでっち上げであった」。

 しかも、ヨーロッパで「後方視的」という考え方が確立されたのは、実はフランス革命以降のことである:「それ以前は、"革命 "という概念は、常に "進歩的 "というよりもむしろ循環的な、つまり直線的な歴史的展望という側面があった。革命の本来の意味(「回転」を意味するラテン語revolutio)は、社会の進歩という要素を含んでいない。というのも革命とは、時の権力者に対して国民が反旗を翻したときに起こる政治権力や組織構造の根本的な変化を指すのだから」。


孔子はマルクスと結婚するか?

 そして、そのことは現代の中国に私たちを誘う。シャンは、共産党が「マルクス主義でも資本主義でもなく、その道徳的基準は儒教的価値体系とはほとんど関係がない」というのが中国の大衆的合意であることを強調する。その結果、天命は「深刻な損傷」を受けている。

 問題は、「マルクス主義と儒教を結婚させるのは危険すぎる」ということだ。

 シャンは、中国の富の分配の根本的な欠陥の実態は「富の生産に労働力を提供する人々からそうでない人々への、不公平な(そして違法な)富の移転の構造的プロセスを保証する制度にある」と指摘する。

 彼の主張:「儒教の伝統的価値観から逸脱しているから中国における所得分配の根源的な問題が生じる、という説明は、民主主義と公正な所得分配との間に明確な関連性を確立しようとしたウェーバー理論よりもすぐれた説明になっている」。


それでは何をすべきか?

 シャンは、19世紀に西洋が中国の問題に取り組んだ方法について、きわめて批判的の論じている:それは「ウェストファリアの権力政治の道を通って、暴力と西洋の軍事的優位の誇示によって」行われた。

 それがどのように裏目に出たか、私たちは誰も知っている。正真正銘の近代革命と毛沢東主義を招いたのである。シャンの解釈では、革命によって「平和と調和の伝統的な儒教社会が、凶暴なウェストファリア体制国家に変質した」ことが問題なのである。

 だから、1917年10月(訳注:ロシア革命)に触発された社会革命を通じてのみ、中国国家は「西洋に接近する本当の進展を開始した」のであり、我々西洋人が「近代化」と定義するものなのである。ちなみに、鄧小平ならどう言うだろうか。

 シャンの主張:現在の中国の複合制度は、「ロシア・ボルシェビズムという癌のような異質な器官に支配されており、多元的な共和制を構築するための抜本的な改革なくしては持続不可能である。しかし、この改革は伝統的な政治的価値を排除することを条件にしてはならない」。

 では、中国共産党は儒教とマルクス・レーニン主義をうまく融合させることができるのだろうか。中国独自の「第三の道」を切り開くことができるのか。それは、この後のシャンの著書の大きなテーマであると同時に、短期間では解答の出ない問いでもある。

中国がイラクに進出しているが、米国のやり方とは違う

中国がイラクに進出しているが、米国のやり方とは違う

<記事原文 寺島先生推薦>
 
China moves in on Iraq, but not like America did

中国はイラク国内に1000校の学校の建築を行う契約をイラク政府と結んだ。それは米国が、イラクでの戦闘任務の終了を発表した直後だった。米国はこれまでイラク国民100万人の命を奪ってきた。

RT 論説面 2021年12月19日

ブランドリー・ブランケンシップ(Bradley Blankenship)

is a Prague-based American journalist, columnist and political commentator. He has a syndicated column at CGTN and is a freelance reporter for international news agencies including Xinhua News Agency. Follow him on Twitter @BradBlank_


 先週イラク政府と結んだ契約のもと、中国電力建設集団は679校、シノテック社は残りの321校を建築することになった。

 このニュースは、米国がイラクで果たしてきた役割がなくなった文脈の中で起こったことだ。米国はイラクでの「戦闘任務」の終了を発表したばかりだった。そして米軍は撤退することになった。撤退するのは米兵2500人程度と、同盟国の兵1000人だ。完全な撤退ではなく、イラクにおける米軍の役割が、「助言者的立場」に変わる、とのことだ。 

 恐らくイラクにおける両国の外交の進め方ほど、米中が他国と外交関係を結ぶやり方の違いを浮き彫りにしている事例はないだろう。




 もちろん、米国側にはここに至るまで紆余曲折の経緯があったことは事実だ。2003年に米国はジョージ・W・ブッシュ元大統領のもと、イラクに侵攻した。その口実は、イラクが「大量破壊兵器」を所持しているという間違った口実だった。その口実の元、戦争を始め、結局その戦争は9年近く長引くことになった。
 
 犠牲者数についていえば、100万人以上のイラク国民がこの戦争の最初の数年で亡くなった。さらに数え切れない人々が、住処や生活を奪われたり、怪我に苦しめられたりした。さらに米軍による女性や子どもたちに対する戦争犯罪がイラクで行われたと言われている。

 米国は2011年にイラクから軍を引いたが、2014年に再度軍を入れた。その目的は、イスラム帝国(IS、かつてのISIS)に対抗することだけに限定されていた。その目的は果たされたが、米軍や同盟諸国軍によって更なる戦争犯罪が行われたと言われている。

 米軍を歓迎する気持ちはとうになくなり、イラク国会は、イラク駐留の何千もの米兵たちを撤収させる議を出した。これはイランの最高司令官ガーセム・ソレイマーニー将軍と、イラクのアブ・マフディ・アル・ムハンディス副司令官が暗殺されたことをうけてのことだった。このような米国の行為は、イラン・イラク両国に対するあからさまな戦争行為だった。

 米国は、イラクの国会議員たちが出したこの決議を無視し、イラクに不法に駐留し続け、イラクに対して空爆を行うことさえした。その上、イラク民兵からの警告にも耳を貸さず、「助言者的立場」という名目で、軍の駐留を続ける構えだ。


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 ジョー・バイデン大統領政権からすれば、イラクでアフガニスタンの二の舞は踏みたくないところだろう。アフガニスタンでは、米軍の撤退がタリバンを支配者として返り咲かせてしまった。

 しかし、アフガニスタンとイラクを比較しても意味がない。米国の言い分は、「イラクでISの再興を防ぐ為の駐留だ」ということかもしれないが、「イラクに他国が影響力を伸ばすのを押さえ込みたい」というのが本音のところだろう。例えば、米国安全保障の専門家たちは、イラクを中東における米国の言いなり国家や、中東で最も米国に近い同盟国であると見なしている。それはイラク戦争が影響してたまたまそうなった、という見方をしてきたのだ。 

 ただし、米国政府筋の中枢部は、中東における中国やロシアの影響力の拡大を、望まない傾向であると見ている。中露は中東の安全保障にますます参画しており、特に中国は貿易や経済発展分野において進出を強めている中でのことだ。米国政府の中枢部は、中東を中国の台頭を抑え込むべき重要な地域であると捉えている。

 しかしこのような見方自体が中国政府と米国政府のイラク国民や、中東を総体的にどう捉えるかについての質の違いを浮き彫りにするものだ。
一言でいえば、「自立支援か支配か」だ。最近のイラクの発展を、中米両国の影響から見比べれば、両国の捉え方の違いが具体的にはっきり分かる。

 もちろん、西側諸国のメディアは数えきれない程の見出しを出して、各国と契約を結ぶことで中国が利益を得ようとしているという構図を強調し、このような取引は不正で、ただの機嫌取りで、中国が他国支配の際繰り出す狡いやり方だという報じ方をしている。そしてこれらの西側諸国のメディアが強く問いかけているのは、中国が支援している国々は、自国や、自国民の本当の利益のために必要なものを中国から支援してもらったことに対して「どんな代償」を支払うことになるのか、という点だ。

 とはいえ、イラクを見ればこのような言説が意味をなさないことがすぐに分かる。米国は、何年もの間イラクを爆撃したことなど忘れ、イラク国民を殺害したことは問われないと思っている。どれだけイラクからその反動を受けたとしても(イラク侵攻は、人類史上人々から最も大きい抗議を受けた事件である)、米軍は今でも不当にイラクに居座っている。

 反面中国は、イラクに1000校の学校を建設予定だ。そして誇張でもなんでもなく、これらの学校が子どもたちのためになるであろうことは疑いもない。イラクの子どもたちは米国による対イラク戦争で被害を蒙ってきた。その子どもたちが通っていた学校がその戦争で破壊されたこともあっただろう。

 これ以上、いわゆる「中国帝国主義」と、実在する米国帝国主義の違いについて論じる必要があろうか?

バンク・オブ・アメリカの見立てでは、中国経済の規模は2035年には今の2倍になり、米国を凌ぐ可能性がある。

<記事原文 寺島先生推薦>

China’s economy could double in size by 2035, eclipsing US along the way – Bank of America

RT 経済欄
2021年2月28日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年3月26日



 Covid後の回復という点から見れば、中国は世界で最も速く経済成長を遂げた国のひとつであり、2035年までには経済成長を倍増させる可能性もある。こう分析したのは、バンク・オブ・アメリカのグローバル・リサーチ部アジア経済部長であるヘレン・キアオ氏だ。

 キアオ氏がビジネス通信社CNBCに語ったところによると、それは中国が採った再建策が功を奏した結果だとのことだ。中国が経済成長を倍増させるには、この先15年間、年平均4.7%の経済成長が必要となる。「中国ならば、それを達成できると見ています」とキアオ氏は語った。

 キアオ氏の見立てによれば、国内総生産が2倍になるだけでなく、中国は2027年か2028年には、米国を凌ぎ、世界一の経済大国になる、とのことだ。

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 公式記録によれば、中国は昨年2.3%の経済成長を遂げた。国際通貨基金(IMF)の報告では、中国の今年の経済成長は8.1%になるとしている。一方、直近の政府調査によれば、米国経済は2020年に3.5%減少している。IMFの予想では、米国経済の今年の成長率は5.1%だと見ている。

 今月初旬の発表の中で、キアオ氏は中国経済の成長にとって気になる要素も上げている。 それは高齢者の増加や、債務対GDP比率や、中国が国家による投資により成長しているという点だ。これらの要素が、2035年までに経済成長を倍増するという目標の妨げになる可能性がある。しかし、これらの要素は中国経済の全体として成長のスピードを抑えることにはなっても、阻止することにはならないだろうと、キアオ氏は語っている。

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