COVID-19の起源は米国だ。第2部:米軍の研究施設フォート・デトリックでのワクチン治験から流出との証拠 (初出:2020/3/11)
<記事原文 寺島先生推薦>
Did COVID-19 escape Fort Detrick vaccine trial? Evidence that virus originated in US bioweapons lab
Fort Detrick, Maryland, actual source of the 'Wuhan' Flu?
メリーランド州のフォート・デトリックが、「武漢インフルエンザ」の実際の発生源だったのだろうか?
筆者:ラリー・ロマノフ(Larry Romanof)
出典:グローバル・リサーチ
2020年3月11 日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年2月8日
この記事を読む前に、背景知識として、以下の記事を読むと役立つだろう。
中国のコロナウイルス:衝撃的な最新情報。ウイルスはアメリカで発生したのか-日本・中国・台湾が、ウイルスの起源を報告。China's Coronavirus: A Shocking Update. Did The Virus Originate in the US?
(邦訳はこちら)
先行記事(上記)をお読みの方々はご存じだろうが、日本と台湾の疫学者や薬理学者たちの結論では、この新型コロナウイルスの起源は米国に由来する可能性があるとのことだった。そしてその理由は、このウイルスの5種類の菌株のすべてを保持しているのが米国しかないという周知の事実があることだった。そして、ほかのすべてのコロナウイルスの菌株は、この5種類の菌株から生まれたことは間違いのない事実だからだ。中国の武漢には、これらの菌株のうちの一種類しか存在せず、この菌株は「枝株」であると考えられる。このような「枝株」が、何もないところから発生することは不可能であり、発生するためには「枝」ではなく、「木」となる株の存在が不可欠である。
台湾の医師の記載によると、2019年8月に、米国で肺炎や肺炎のような症状のある病気が流行したが、米国当局はこれは電子たばこから出される「水蒸気」のせいだとしていた。しかしこの台湾の科学者によれば、実際のところ、この病気の症状や病状からみれば、電子たばこが原因であるとは言いがたいという。そして、この台湾の科学者は米国当局に書簡を送り、この病気による死者の原因はコロナウイルスであるようだという主張をしていたという。しかしこの医師によると、この警告は無視されたとのことだ。
この事件が起こった直後、米国CDC(疾病管理予防センター)は、メリーランド州のフォート・デトリックにあった米軍の主要生物研究所を閉鎖したが、その理由は、病原体の漏出に対する安全性の確保ができていないことだとされ、軍に対して完全な「中止と中断」を命じた。この閉鎖があった直後に、「電子たばこによる流行」説が浮上したのだ。

ニューヨーク・タイムズ紙、2019年8月8日の記事からのスクリーンショット
さらに、日本の複数の市民が2019年9月にハワイで感染したこともわかっている。これらの人々は中国を訪問したことはなく、これらの感染事例は武漢で発生するずっと前に、米国領内で起こっていた。そしてそれは、フォート・デトリックが閉鎖された直後のことだった。
それから中国国内のソーシャルメディア上で、別の記事が出現した。その記事は、上記の事例をおさえていただけではなく、さらに詳しい内容も伝えていた。その内容の一部に書かれていたのは、世界軍人大会(2019年10月18日~27日に開催)に参加するため、武漢を訪れていた5名の「外国人」運動選手やそれ以外の関係者が、特定できない感染症に罹患し、武漢市内の病院に入院していた、という事実だった。
この記事がより詳しく報じていたのは、このウイルスの武漢型の出自は米国以外は考えられないという点だった。その理由は、このウイルスは、何もないところからは発生できない、いわゆる「枝」的なウイルスだとされたからだった。武漢にはその「種」が存在しなかったと考えられたのだ。そしてこのウイルスが発生するためには、もとの「幹」から生み出された新種が必要であり、その幹は米国にしか存在していなかったためだ。(1)
このコロナウイルスが意図的に中国に放出されたという推測が人々の間で広まっていたが、中国のこの記事によれば、より悪意のない別の仮説を立てられるとのことだった。
世界軍人大会(10月18日~27日に開催)に参加した米国選手団の何名かが、フォート・デトリックから事故的に流出したウイルスに感染していたと考えれば、このウイルスの潜伏期間が長いせいで、症状が軽かった可能性があり、これらの感染者たちは滞在中に武漢市内を気楽に「周遊」できていたかもしれない。とすれば、様々な地域で何千人もの地元の人々が感染し、その感染した人々の多くが、その後に海鮮市場を訪れ、そこから野火のように感染が広まった(実際そうなったのだが)という可能性も考えられる。
この捉え方をすれば、「ペイシャント・ゼロ(一番はじめの感染源のこと)」が話だけの存在になってしまっていて、実体が見つからないことの説明もつく。今回の武漢での感染では、この「ペイシャント・ゼロ」がこんなにもたくさんの感染者が出始めて以来、まだ見つかっていないのだ。
次に紹介したいのは、ワシントンのジョージタウン大学の感染症の専門家であるダニエル・ルーセイ氏の主張だ。ルーセイ氏が、サイエンス誌に書いた記事によると、最初のヒトへの感染が確認されたのは、2019年11月のこと(しかも武漢市内ではない)だという。 この事実から推測されるのは、このウイルスの出処は別にあり、そこから海鮮市場に広がったのでは、ということだ。「この病気の感染開始を2019年9月18日という早い時期だと考えている研究団もある。」(2) (3)
武漢の海鮮市場は、世界中に広がったこの新型ウイルスの発祥地ではない可能性がある。
最初の感染の状況からは、このウイルスの発生は、どこか別の場所であると推測される。
以下は報告書からの抜粋だ:
「新型ウイルスの感染事例が悩ましいほどの速さで世界中で広がる中、中国の武漢市内の海鮮市場が発生源であるとして、現在すべての人々が注目している。しかし金曜日のランセット誌上に書かれていた最初の臨床事例の状況を考えれば、武漢海鮮市場発祥説には疑問が生じる。」(4) (5)
いくつかの研究施設から集まった研究者からなる中国の研究団がまとめたこの報告書には、2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)と称された病気への感染が確認された最初の41名の入院患者についての詳細が書かれていた。
最初の事例において、患者が病気になったのは、2019年12月1日のことで、この患者と海鮮市場の間には接点があったという報告はなかったと報告書にはある。「最初の患者とそれ以降の複数の患者の間には、疫学的な接点はなかった」と報告書にはある。この報告書で示された数値によると41の症例のうち13件は、海鮮市場と接点がなかったという。「接点がなかった症例が13件あったというのは、大きな数字だ」とダニエル・ルーセイ氏は書いている。(6)
本記事掲載者によるコメント:そこから考えると、どこか別の場所から来たことになる。
中国の医療当局と世界保健機関がこの報告書よりも前に出していた複数の報告書によると、最初の患者に症状が見られたのは、2019年12月8日だとされ、これらの報告書には、「ほとんどの」症例は海鮮市場と接点があるとだけ書かれていた。なおこの海鮮市場は1月1日に閉鎖されている。(7)
ルーセイ氏によると、新しい数値が正しいのであれば、最初のヒトへの感染は、遅くとも2019年11月であったことは間違いないという。 というのも、感染してかは症状が出るまでの間には潜伏期間があるからだ。そうだとすれば、このウイルスは武漢市の市民たちの間で密かに広がったということになる。恐らく武漢市外でも広がっていただろう。その後で今の武漢市内での爆発的流行が起こったのだ。悪名高い武漢の華南海鮮卸売市場が発祥地とされたのは12月下旬になってからだった。「このウイルスは、この市場から外に出る前に、先にこの市場に入り込んでいたのだ」とルーセイ氏は推測している。
「中国は、この流行の起源が武漢の華南海鮮卸売市場ではないことをきっと知っていた」とルーセイ氏はサイエンス・インサイダー誌に答えている。(8)
クリスチャン・アンダーソン氏はスクリプス研究協会所属の進歩的な生物学者であり、2019-nCoV の遺伝子配列を分析し、その起源をつきとめようとしてきた人物である。同氏によると、感染した人々が、外部から海鮮市場にウイルスを持ち込んだという筋書きは、「完全に想定内である」とのことだった。以下は、サイエンス誌に掲載された記事だ。
「アンダーソン氏は2019-nCoV の27個のゲノムについての分析を1月25日にあるウイルス研究のウエブサイト上で発表した。それによると、これらのゲノムが持つ「直近の共通の先祖」、つまり共通の起源は2019年10月1日にまで遡る」ことを示唆する内容だった。
ルーセイ氏が以下の事実に触れていたことも興味深い。それは、MERS(マーズ:中東呼吸器症候群)の起源は、2012年6月に、サウジアラビアの患者であると考えられてきたが、後のより綿密な研究の結果、 その起源は同年4月にヨルダンの病院で発生した正体不明の肺炎にまでさかのぼれることが判明したという事実だ。ルーセイ氏によると、ヨルダンでなくなった患者から検出された保存されていた標本から、医療当局は、これらの患者がMERSに感染していたことを確認している。 (10)
この事象から類推されることは、人々が「標準的な公的説明」を受け入れる際には注意が必要であるという点だ。そして、このような公的説明を西側の報道機関は常に必死で報じようとしている。SARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)やMERSやジカ熱の時がそうだった。しかしこれらすべてのウイルスについての「公式説明」は、後から間違いであったことが証明されている。
今回の場合、西側の報道機関は、何ヶ月もの間ずっと、大きく紙面を割いて、COVID-19ウイルスは、武漢の海鮮市場が起源であり、コウモリや野生動物を食べている人々が発生源であると報じてきた。これらすべての情報は間違いだったことが証明されたのだ。
ウイルスの起源が海鮮市場ではなかっただけではなく、武漢が発祥地だったわけでも全くなく、中国は起源ではなく、他国から中国に持ち込まれたものだったことも今は証明されている。この推測の証拠の一つに、イランやイタリアで見られた変種ゲノムの遺伝子配列から、中国で感染が発生した菌株と同じものがなかった点がある。となれば、このウイルスの起源はどこか別であるとしか考えられない。
発生地であると考えられるのは、米国だけだ。というのも、すべての変異種の「木の幹」を有しているのは米国だけだからだ。従って、真実であると考えられる事実は、COVID-19ウイルスの起源は、フォート・デトリックにあった米軍の生物兵器研究所であったということだ。そう考えても別におかしくはない理由は、CDCがフォート・デトリックを完全に閉鎖した点だけではなく、先出の記事での私の主張の通り、2005年から2012年の間に、米国の生物研究所からの盗難やウイルスの流出事例が1059件起こっていることも挙げられる。
<筆者について>
ラリー・ロマノフ氏は、元経営士で事業家。国際的な経営会社の重役をつとめており、国際的な輸出入関連事業を所有している。上海の復旦大学の客員教授であり、経営学の上級修士課程で国際関係についての事例研究について教鞭をとっている。上海在住で、現在、主に中国と西側の関係に関する10巻シリーズを執筆中。連絡先はこちら。 2186604556@qq.com. 当グローバル・リサーチに寄稿すること多数。
<引用・参考文献>
(1) mp.weixin.qq.com [編集者注:このサイトは現在閲覧不可]
(2)「科学界に衝撃を与えている新型コロナウイルスの脅威」 『サイエンス誌』、2020年1月31日:6477号367巻 pp.492-493
(3)ジョン・コーヘン「武漢海鮮市場が、世界に新型ウイルスを拡散した発生源ではない可能性がある」 『サイエンス誌』、2020年1月26日、
(4)チャオリン・フアング教授および医学博士他「中国武漢の2019年新型コロナウイルス感染患者の臨床的特徴」 『ランセット誌』、10223号 395巻 pp.497-506
(5) チャオリン・フアング教授および医学博士他「中国武漢の2019年新型コロナウイルス感染患者の臨床的特徴」 『ランセット誌』、10223号 395巻 pp.497-506
(6)武漢市衛生健康委員会「ウイルス性肺炎の未知の原因に関する最新情報についての専門家による説明」(中国語)
(7) 武漢市衛生健康委員会「新型コロナウイルス感染による肺炎の流行に関する質疑応答」(中国語)
(8) 「続報 武漢コロナウイルス-2019-nCovに関するQ&A その6 証拠に基づいた仮説」
(9) 27種類のゲノムをもとにした時計とTNRCA(祖先ウイルスの存在時期)の研究
(10) B.ヒジャウィ他「2012年4月、ヨルダンでの新型コロナウイルス感染状況:遡及的な調査からの疫学的発見」 『EMJH(東地中海医療誌)』[編集者注:アラビア語で書かれたPDF]
Did COVID-19 escape Fort Detrick vaccine trial? Evidence that virus originated in US bioweapons lab
Fort Detrick, Maryland, actual source of the 'Wuhan' Flu?
メリーランド州のフォート・デトリックが、「武漢インフルエンザ」の実際の発生源だったのだろうか?
筆者:ラリー・ロマノフ(Larry Romanof)

出典:グローバル・リサーチ
2020年3月11 日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年2月8日
この記事を読む前に、背景知識として、以下の記事を読むと役立つだろう。
中国のコロナウイルス:衝撃的な最新情報。ウイルスはアメリカで発生したのか-日本・中国・台湾が、ウイルスの起源を報告。China's Coronavirus: A Shocking Update. Did The Virus Originate in the US?
(邦訳はこちら)
先行記事(上記)をお読みの方々はご存じだろうが、日本と台湾の疫学者や薬理学者たちの結論では、この新型コロナウイルスの起源は米国に由来する可能性があるとのことだった。そしてその理由は、このウイルスの5種類の菌株のすべてを保持しているのが米国しかないという周知の事実があることだった。そして、ほかのすべてのコロナウイルスの菌株は、この5種類の菌株から生まれたことは間違いのない事実だからだ。中国の武漢には、これらの菌株のうちの一種類しか存在せず、この菌株は「枝株」であると考えられる。このような「枝株」が、何もないところから発生することは不可能であり、発生するためには「枝」ではなく、「木」となる株の存在が不可欠である。
台湾の医師の記載によると、2019年8月に、米国で肺炎や肺炎のような症状のある病気が流行したが、米国当局はこれは電子たばこから出される「水蒸気」のせいだとしていた。しかしこの台湾の科学者によれば、実際のところ、この病気の症状や病状からみれば、電子たばこが原因であるとは言いがたいという。そして、この台湾の科学者は米国当局に書簡を送り、この病気による死者の原因はコロナウイルスであるようだという主張をしていたという。しかしこの医師によると、この警告は無視されたとのことだ。
この事件が起こった直後、米国CDC(疾病管理予防センター)は、メリーランド州のフォート・デトリックにあった米軍の主要生物研究所を閉鎖したが、その理由は、病原体の漏出に対する安全性の確保ができていないことだとされ、軍に対して完全な「中止と中断」を命じた。この閉鎖があった直後に、「電子たばこによる流行」説が浮上したのだ。

ニューヨーク・タイムズ紙、2019年8月8日の記事からのスクリーンショット
さらに、日本の複数の市民が2019年9月にハワイで感染したこともわかっている。これらの人々は中国を訪問したことはなく、これらの感染事例は武漢で発生するずっと前に、米国領内で起こっていた。そしてそれは、フォート・デトリックが閉鎖された直後のことだった。
それから中国国内のソーシャルメディア上で、別の記事が出現した。その記事は、上記の事例をおさえていただけではなく、さらに詳しい内容も伝えていた。その内容の一部に書かれていたのは、世界軍人大会(2019年10月18日~27日に開催)に参加するため、武漢を訪れていた5名の「外国人」運動選手やそれ以外の関係者が、特定できない感染症に罹患し、武漢市内の病院に入院していた、という事実だった。
この記事がより詳しく報じていたのは、このウイルスの武漢型の出自は米国以外は考えられないという点だった。その理由は、このウイルスは、何もないところからは発生できない、いわゆる「枝」的なウイルスだとされたからだった。武漢にはその「種」が存在しなかったと考えられたのだ。そしてこのウイルスが発生するためには、もとの「幹」から生み出された新種が必要であり、その幹は米国にしか存在していなかったためだ。(1)
このコロナウイルスが意図的に中国に放出されたという推測が人々の間で広まっていたが、中国のこの記事によれば、より悪意のない別の仮説を立てられるとのことだった。
世界軍人大会(10月18日~27日に開催)に参加した米国選手団の何名かが、フォート・デトリックから事故的に流出したウイルスに感染していたと考えれば、このウイルスの潜伏期間が長いせいで、症状が軽かった可能性があり、これらの感染者たちは滞在中に武漢市内を気楽に「周遊」できていたかもしれない。とすれば、様々な地域で何千人もの地元の人々が感染し、その感染した人々の多くが、その後に海鮮市場を訪れ、そこから野火のように感染が広まった(実際そうなったのだが)という可能性も考えられる。
この捉え方をすれば、「ペイシャント・ゼロ(一番はじめの感染源のこと)」が話だけの存在になってしまっていて、実体が見つからないことの説明もつく。今回の武漢での感染では、この「ペイシャント・ゼロ」がこんなにもたくさんの感染者が出始めて以来、まだ見つかっていないのだ。
次に紹介したいのは、ワシントンのジョージタウン大学の感染症の専門家であるダニエル・ルーセイ氏の主張だ。ルーセイ氏が、サイエンス誌に書いた記事によると、最初のヒトへの感染が確認されたのは、2019年11月のこと(しかも武漢市内ではない)だという。 この事実から推測されるのは、このウイルスの出処は別にあり、そこから海鮮市場に広がったのでは、ということだ。「この病気の感染開始を2019年9月18日という早い時期だと考えている研究団もある。」(2) (3)
武漢の海鮮市場は、世界中に広がったこの新型ウイルスの発祥地ではない可能性がある。
最初の感染の状況からは、このウイルスの発生は、どこか別の場所であると推測される。
以下は報告書からの抜粋だ:
「新型ウイルスの感染事例が悩ましいほどの速さで世界中で広がる中、中国の武漢市内の海鮮市場が発生源であるとして、現在すべての人々が注目している。しかし金曜日のランセット誌上に書かれていた最初の臨床事例の状況を考えれば、武漢海鮮市場発祥説には疑問が生じる。」(4) (5)
いくつかの研究施設から集まった研究者からなる中国の研究団がまとめたこの報告書には、2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)と称された病気への感染が確認された最初の41名の入院患者についての詳細が書かれていた。
最初の事例において、患者が病気になったのは、2019年12月1日のことで、この患者と海鮮市場の間には接点があったという報告はなかったと報告書にはある。「最初の患者とそれ以降の複数の患者の間には、疫学的な接点はなかった」と報告書にはある。この報告書で示された数値によると41の症例のうち13件は、海鮮市場と接点がなかったという。「接点がなかった症例が13件あったというのは、大きな数字だ」とダニエル・ルーセイ氏は書いている。(6)
本記事掲載者によるコメント:そこから考えると、どこか別の場所から来たことになる。
中国の医療当局と世界保健機関がこの報告書よりも前に出していた複数の報告書によると、最初の患者に症状が見られたのは、2019年12月8日だとされ、これらの報告書には、「ほとんどの」症例は海鮮市場と接点があるとだけ書かれていた。なおこの海鮮市場は1月1日に閉鎖されている。(7)
ルーセイ氏によると、新しい数値が正しいのであれば、最初のヒトへの感染は、遅くとも2019年11月であったことは間違いないという。 というのも、感染してかは症状が出るまでの間には潜伏期間があるからだ。そうだとすれば、このウイルスは武漢市の市民たちの間で密かに広がったということになる。恐らく武漢市外でも広がっていただろう。その後で今の武漢市内での爆発的流行が起こったのだ。悪名高い武漢の華南海鮮卸売市場が発祥地とされたのは12月下旬になってからだった。「このウイルスは、この市場から外に出る前に、先にこの市場に入り込んでいたのだ」とルーセイ氏は推測している。
「中国は、この流行の起源が武漢の華南海鮮卸売市場ではないことをきっと知っていた」とルーセイ氏はサイエンス・インサイダー誌に答えている。(8)
クリスチャン・アンダーソン氏はスクリプス研究協会所属の進歩的な生物学者であり、2019-nCoV の遺伝子配列を分析し、その起源をつきとめようとしてきた人物である。同氏によると、感染した人々が、外部から海鮮市場にウイルスを持ち込んだという筋書きは、「完全に想定内である」とのことだった。以下は、サイエンス誌に掲載された記事だ。
「アンダーソン氏は2019-nCoV の27個のゲノムについての分析を1月25日にあるウイルス研究のウエブサイト上で発表した。それによると、これらのゲノムが持つ「直近の共通の先祖」、つまり共通の起源は2019年10月1日にまで遡る」ことを示唆する内容だった。
ルーセイ氏が以下の事実に触れていたことも興味深い。それは、MERS(マーズ:中東呼吸器症候群)の起源は、2012年6月に、サウジアラビアの患者であると考えられてきたが、後のより綿密な研究の結果、 その起源は同年4月にヨルダンの病院で発生した正体不明の肺炎にまでさかのぼれることが判明したという事実だ。ルーセイ氏によると、ヨルダンでなくなった患者から検出された保存されていた標本から、医療当局は、これらの患者がMERSに感染していたことを確認している。 (10)
この事象から類推されることは、人々が「標準的な公的説明」を受け入れる際には注意が必要であるという点だ。そして、このような公的説明を西側の報道機関は常に必死で報じようとしている。SARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)やMERSやジカ熱の時がそうだった。しかしこれらすべてのウイルスについての「公式説明」は、後から間違いであったことが証明されている。
今回の場合、西側の報道機関は、何ヶ月もの間ずっと、大きく紙面を割いて、COVID-19ウイルスは、武漢の海鮮市場が起源であり、コウモリや野生動物を食べている人々が発生源であると報じてきた。これらすべての情報は間違いだったことが証明されたのだ。
ウイルスの起源が海鮮市場ではなかっただけではなく、武漢が発祥地だったわけでも全くなく、中国は起源ではなく、他国から中国に持ち込まれたものだったことも今は証明されている。この推測の証拠の一つに、イランやイタリアで見られた変種ゲノムの遺伝子配列から、中国で感染が発生した菌株と同じものがなかった点がある。となれば、このウイルスの起源はどこか別であるとしか考えられない。
発生地であると考えられるのは、米国だけだ。というのも、すべての変異種の「木の幹」を有しているのは米国だけだからだ。従って、真実であると考えられる事実は、COVID-19ウイルスの起源は、フォート・デトリックにあった米軍の生物兵器研究所であったということだ。そう考えても別におかしくはない理由は、CDCがフォート・デトリックを完全に閉鎖した点だけではなく、先出の記事での私の主張の通り、2005年から2012年の間に、米国の生物研究所からの盗難やウイルスの流出事例が1059件起こっていることも挙げられる。
<筆者について>
ラリー・ロマノフ氏は、元経営士で事業家。国際的な経営会社の重役をつとめており、国際的な輸出入関連事業を所有している。上海の復旦大学の客員教授であり、経営学の上級修士課程で国際関係についての事例研究について教鞭をとっている。上海在住で、現在、主に中国と西側の関係に関する10巻シリーズを執筆中。連絡先はこちら。 2186604556@qq.com. 当グローバル・リサーチに寄稿すること多数。
<引用・参考文献>
(1) mp.weixin.qq.com [編集者注:このサイトは現在閲覧不可]
(2)「科学界に衝撃を与えている新型コロナウイルスの脅威」 『サイエンス誌』、2020年1月31日:6477号367巻 pp.492-493
(3)ジョン・コーヘン「武漢海鮮市場が、世界に新型ウイルスを拡散した発生源ではない可能性がある」 『サイエンス誌』、2020年1月26日、
(4)チャオリン・フアング教授および医学博士他「中国武漢の2019年新型コロナウイルス感染患者の臨床的特徴」 『ランセット誌』、10223号 395巻 pp.497-506
(5) チャオリン・フアング教授および医学博士他「中国武漢の2019年新型コロナウイルス感染患者の臨床的特徴」 『ランセット誌』、10223号 395巻 pp.497-506
(6)武漢市衛生健康委員会「ウイルス性肺炎の未知の原因に関する最新情報についての専門家による説明」(中国語)
(7) 武漢市衛生健康委員会「新型コロナウイルス感染による肺炎の流行に関する質疑応答」(中国語)
(8) 「続報 武漢コロナウイルス-2019-nCovに関するQ&A その6 証拠に基づいた仮説」
(9) 27種類のゲノムをもとにした時計とTNRCA(祖先ウイルスの存在時期)の研究
(10) B.ヒジャウィ他「2012年4月、ヨルダンでの新型コロナウイルス感染状況:遡及的な調査からの疫学的発見」 『EMJH(東地中海医療誌)』[編集者注:アラビア語で書かれたPDF]
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