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自由と自治を求めた世界初のポスト植民地主義黒人国家の悲劇の歴史

<記事原文 寺島先生推薦>
The Tragic History of the World’s First Post-Colonial Black Nation’s Struggle for Freedom and Autonomy
筆者:K.D.ルイス(Lewis)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2024年3月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年4月12日


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ジミー・"バーベキュー"・シェリジエとG9


虐殺者と間違われた革命家

ハイチ島の現在の国営ニュース報道では、元警察官だったジミー・シェリジエ(通称「バーベキュー」)をリーダーとする犯罪集団による密売や、強姦、そして人肉食などの凶悪な行為が蔓延していると報じられている。このように告発された暴力行為があるから、ハイチ最大の犯罪対策組織の指導者(ジミー・シェリジェ)に対して経済制裁をするし、ケニアおよびその他のECOWAS*軍を動員した米国の介入もあるのだ、という不注意な正当化が行なわれている。
*ECOWAS(Economic Community of West African States)西アフリカ諸国経済共同体

地元の暴力組織に対するシェリジエの抵抗組織(G-9として知られる)の行動をめぐるプロパガンダは、アメリカ軍産複合体の帝国主義的願望に隠れ蓑となる口実を提供してきた。ダン・コーエンの3部構成のドキュメンタリー『もうひとつの見方: ハイチの蜂起の内幕』は、貧困にあえぐデルマスという町のコミュニティ・リーダーであるシェリジエの姿を映し出している。彼が革命的抵抗の道に入ったきっかけは、デルマス6の自宅をギャングの暴力から守りたいという願望と、ハイチの司法・法執行システムの有効性に幻滅したことだった。彼は、ブルジョワ階級が警察や政府指導者と結託し、国の刑事司法制度から説明責任を回避していることに気づいたのだ。

シェリジエがハイチのUDMO警察部隊を辞職した後、2020年に形成されたG9は、国際的犯罪組織であると非難された。こうした非難を受けた後、G9はデルマスのさまざまな地域に対する警察主導の攻撃を受けた。彼らは、リュエル・マイヤール(Ruelle Maillart)のギャングを使って家屋を焼き払い、学校を取り壊すという行動をとった。G9に対抗するこれらのギャングは、ハイチの裕福な階級や米州機構(OAS)からの支援を受けていると言われている。このような虐殺について、合衆国支援のハイチ人権団体であるRNDDH*を含め、人権団体からの報告はない。
* RNDDH(Réseau National de Défense des Droits Humains)国家人権擁護ネットワーク

こういった行動へのシェリジエの反応は、デルマスの未被害地域内での避難所や食料の提供に加えて、貧しい武装ギャングや民兵の間で団結を呼びかけることであり、彼が言うハイチの富の85%を所有し、管理する上位5%のファミリーに抵抗することだった。ハイチ国内の、米国寄り指導層や暴力的なブルジョア派のギャング、西側メディア、そして、てぐすねひいて介入をしようとしている米国政府などからの敵意にもかかわらず、ジミー・シェリジエは、腐敗したブルジョア・システムに対する統一されたプロレタリア革命の未来構想を維持するとともに、特に米国のような西側大国からの干渉に立ち向かっている。

ハイチで起きていることは新しいことではない。実際、ハイチが誕生して以来、イスパニョーラ島として知られるこの島の西半分は、何十年にもわたって内憂外患に苦しんできた。しかし、この争いの解決は、ハイチのエリートではなく、特に欧米の超大国でもなく、ハイチの大衆からもたらされなければならない。この記事では、ハイチの経済的・社会的進歩を絶え間なく邪魔してきたヨーロッパやアメリカの介入と占領に対処してきたハイチの長い歴史を探求する。ハイチの混乱状態に関連してこの帝国主義の歴史を理解することは、他国の占領に反対する統一的な呼びかけと、シェリジエの構想に似た労働者階級中心の抵抗運動への統一的な支持を通じて、この国の自治を確実に守るために不可欠だからである。

西洋の窃盗によるハイチ独立後の不況

1804年1月1日、何世紀にもわたってヨーロッパ人が植民地主義入植活動をしてきた後、世界初の黒人独立国家が設立された。以前はサン・ドミングとして知られていたハイチは、13年間の反乱が革命に変わってから、植民地の抑圧者を打ち負かし、追放することに成功した。この新たに獲得した独立は記念碑的な勝利であったが、西洋帝国主義からはただちに反動があり、ハイチは、それ以降、いつ果てるともしれない悲惨な状態に置かれることになった。

独立からわずか20年後、ハイチは銃口を突きつけられ、かつての奴隷商人たちに独立の対価を支払うことを余儀なくされた。1922年にハイチ政府から最後の支払いを受けたフランスは、ハイチから(2022年の価値にすれば)5億6000万ドルを盗み出すことに成功した。この盗んだ金は、エッフェル塔のような驚異的な建造物の建設に使われただけでなく、フランスの銀行システムの構築にも使われ、クレディ・インダストリエール・エ・コマーシャル銀行(C.I.C.)に最大の利益をもたらした。ニューヨーク・タイムズ紙の「身代金」という記事は、この報復的なハイチ略奪が、210億ドル以上の損失(ハイチ国内に資金が残っていればだが)につながったことを説明している。植民地支配強国によるこの類を見ない行動は、ハイチの国家としての発展に多大な悪影響を及ぼしたが、それは始まりに過ぎなかった。

この強盗的所業とほぼ同時に、アメリカ合衆国は資源豊かだが経済的に破綻したハイチに目をつけた。まず、1868年、アンドリュー・ジョンソン大統領はヒスパニョーラ島全体を併合することを目指した。彼の後任であるユリシーズ・S・グラント大統領は、サントドミンゴ併合の積極的なPRをする委員会を後押しし、フレデリック・ダグラスを黒人支持の顔として利用した。併合に関する投票は米国上院で成立しなかったが、アメリカ合衆国はその後もハイチの事情に関与し続け、1915年にはハイチへ侵攻し、占領した。

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米国海兵隊、ポルトー・プランスに駐留。1915年

この占領は19年間続いた。その間、アメリカはハイチの国立銀行から50万ドル以上を盗み、その金をウォール街の様々な銀行に移した。シティグループはそのひとつ。この行為によって、アメリカはハイチ最大の金融機関を一方的に支配することになった。

企業の搾取と独裁者たち

1934年の善隣政策*によってアメリカ軍が島から完全に撤退した後、第二次世界大戦は欧米諸国がハイチの資源を開発する新たな機会となった。1941年、ハイチ政府は米国と共同でハイチ農業開発協会(SHADA)を設立した。
*善隣政策とは、フランクリン・ルーズベルトがアメリカ合衆国大統領在任時に行なった、ラテンアメリカ諸国に対する外交政策のことである。善隣外交とも言う。この政策が実施されたのはルーズベルト政権の時であるが、19世紀の政治家ヘンリー・クレイが既に「Good Neighbor」という用語を用いていた。(ウィキペディア)

この法人は、米国輸出入銀行(EXIM)が出資し、管理する農業法人であった。取締役会はハイチ代表3名とアメリカ代表3名で構成され、会社の主要幹部もアメリカ人であった。この構想は、戦時中のハイチの農業基盤経済を拡大し、ゴム生産に力を入れることを目的としていた。SHADA社が設立された結果、ハイチ政府はEXIM銀行に400万ドルの負債を負い、ハイチ製品の最大の輸入国はヨーロッパ(特にフランス)に代わってアメリカとカナダになり、ハイチの「農民階級」の農地はSHADA社に奪われた。

この時点から1980年代後半まで、ハイチはエセ人民主義者のフランソワ・デュバリエと、その息子のジャン=クロード・デュバリエの独裁的な支配を受けた。

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フランソワ “パパ・ドク” とジャン=クロード・“ベビー・ドク”・デュバリエ

デュバリエの治世は1957年、主にドミニカ共和国に端を発するムラート(白人と黒人の混血集団)の暴力への対応として始まった。フランソワ・"パパ・ドク"・デュバリエは、政権初期に黒人大衆が政治的・経済的に権力を握るという将来構想を表明した。一方、彼の行動は扇動政治家のそれであり、最終的に「ボギーメン(妖怪)」と呼ばれる腐敗した準軍事組織を設立し、地元住民を恐怖に陥れた。その後1964年、彼は自らを「終身支配者」と宣言した。

彼の指導の下、ハイチは観光客の減少、ドミニカ共和国との緊張の増大、そして彼の政権による厳しい弾圧に苦しんだ。19歳の息子、通称“ベビー・ドク”は、1971年、父の後を継いだ。 ジャン=クロード・デュバリエの統治法は国際的な尊敬されるイメージを確立することに焦点を当てていたが、父親の指導の名残があったので、1987年、独裁王朝を追放する大規模な蜂起が起こった。

裏切り者に阻まれた流血の政権交代

1991年の冬の終わり、ハイチの大衆に圧倒的に支持された社会・経済改革派のジャン=ベルトラン・アリスティドが、ハイチで初めて民主的に選出されて、大統領に就任した。しかし、この勝利は短命に終わった。

アリスティドが推し進めた野心的な改革には、軍隊に対する文民統制の拡大や長期政権最後の軍事指導者たちへの引退「奨励」、そして貧しい農民から土地を奪う腐敗した農村長制度の廃止などがあった。この改革は富裕層や元軍事当局への攻撃と受け止められ、選挙からわずか7か月後にアリスティドに対するクーデターが引き起こされた。クーデターは、ラウル・セドラス中将が指導者だった。彼は後に、アメリカ政府からの恩赦と、月額数千ドルの給与を受け、ハイチの隔離地に住むことになった。

このクーデターの後に起こったのは、軍事政権による労働者や農民、そして学生の様々な抵抗グループとアリスティドの支持者らに対する極端な暴力行為であった。ハイチの独立系ラジオ局を武力攻撃したり、ハイチ学生連盟 (FENEH) と関係がある150人の学生を大量に逮捕したりした。

ジョージ・H・W・ブッシュ政権下の米国諜報機関は、セドラス派とアリスティドとの交渉に便宜をはかったが、反面、アリスティドに対して人物破壊工作も行なった。その際(米国諜報機関は)アリスティドの支持者たちから出された1991年デュバリエ派が起こした反アリスティド・クーデターは人権侵害であるとの告発を非難することもした。

次のクリントン政権は前政権とは対照的に、アリスティドに対する厳しい態度を和らげた。実際、この政権は軍事的介入で、抑圧的なセドラス政権を追放する「民主主義維持作戦*」を展開した。しかし、この善意の行動は中央情報機関(CIA)の関与と矛盾する。なぜなら、CIAはセドラスがアリスティドを排除する手助けをし、セドラス大統領再任を押し進める組織FRAPH(「ハイチの発展と進歩のための戦線」)を操った体制の後ろ盾だったからだ。
*民主主義維持作戦(Operation Uphold Democracy)は、1991年のハイチのクーデターで選出されたジャン=ベルトラン・アリスティド大統領が打倒された後、ラウル・セドラスが主導し設置した軍事政権を排除することを目的とした多国籍軍事介入であった。この作戦は、1994年7月31日の国連安全保障理事会決議940によって事実上承認された。(ウィキペディア)

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左:FRAPHの民兵。右:CIA諜報員でFRAPHのリーダー、エマニュアル・コンスタント

「正義と説明責任センター」*によれば、FRAPHはハイチ軍(セドラス政権下)の暴力、テロ、抑圧行為に積極的に関与していた。そのリーダーであるエマニュエル "トト "コンスタントは、1993年にC.I.A.の諜報員であることが暴露された。それにもかかわらず、1994年のアメリカによる(再度の)ハイチ占領は、セドラスと彼の派閥を権力から「成功裏に」排除し、アリストティドの復帰への道を開くことになった。
*Center for Justice and Accountabilityは、カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とする米国の非営利国際人権団体。1998年に設立されたCJAは、米国およびスペインの裁判所での個人の権利侵害者に対する訴訟における拷問およびその他の重大な人権侵害の生存者を代表している。

貪欲と植民地本能に潰された2回目の機会

アリスティド復帰は、帝国主義者が考えるようなアメリカの善意による行動ではなく、アリスティドが西側諸国の賛同を得られるような経済政策を展開することを条件とした取引行為であり、その条件のひとつがハイチの国有企業の完全民営化だった。アリスティドがこの条件に従わなかったのは、それはおそらく、この条件の性質上、主権国家ハイチにおけるアメリカの経済支配に大きな窓を開けることになるからだった。

西側の意志に従うことを拒否するこの行為は、アリストティドとラヴァッシュ党(アリストティド系の「進歩的」な党)が労働者階級からの圧倒的な支持を受けていたことと相まって、民主的に選出された大統領(アリストティド)を脅威に晒し、(敵の)標的にしてしまった。

アリスティドは、2度目の選挙に勝利した後、米国が支援するFRAPHと西側に好意的なハイチのエリートの残党からの反対に直面することになる。注目すべき野党指導者は、米国のパスポートを持つ工場経営者アンドレ・アペイドで、アリスティドと彼の政権は独裁主義であると中傷する「184人グループ」と呼ばれるギャングを率いていた。彼らと並んで、前述の暴力的で抑圧的なFRAPHは、アリスティド支持者を恐怖に陥れ、傷つけ、虐待する行為を続けた。

米国は、ハイチ問題への過去の干渉によって引き起こされる流血が避けられないことを察知し、それをテコに2004年にアリスティドを亡命させた。その後、アメリカ軍は再びハイチに進駐し、アリスティドに反対する暴力的な勢力を速やかに排除した。フランスの支援と国連の制裁により、ハイチ初の選挙で選ばれた大統領(アリスティド)は、最高裁判所のボニファス・アレクサンドル裁判長と交代した。彼は国連の傀儡政権の顔として振る舞った。この政権交代で、ラバシュ派が多数を占めていた指導部に、元デュバリエ派の閣僚が入ることになった。

自然災害の悪用

2010年に入ってわずか数週間でハイチを襲ったマグニチュード7.0の地震の惨状を多くの人はまだ忘れていないが、この自然災害に対する米国の対応の失敗によって引き起こされた惨状を多くの人は知らないかもしれない。当時のヒラリー・クリントン国務長官の監督の下、米国主導で行なわれた人道的対応というのは、非政府組織 (NGO) の場当たり的な管理と誤った監督だった。最も顕著な例は、赤十字の5億ドルの使途不明金である。

また、クリントンの実の娘が指摘したように、地域住民の自治に対する配慮もほとんどなかった。また、米軍が駐留しているのに治安が維持されなかったことも彼女は問題視した。クリントン夫妻のさらに悪質な行為は、「慈善的な」クリントン財団とクリントン・ブッシュ・ハイチ基金が、まるで「たかり」のような動きをしたことだ。この2つ財団は総額100億ドルの寄付の約束を受けている。

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カラコル工業団地の設立、従業員の日給は5ドル。

この資金を集めた後、ビル・クリントンはハイチ復興暫定委員会の共同議長に任命された。これによってクリントンは、両財団を通じて受け取った資金を直接管理することになった。しかしこれも、取るに足らない支援と、2012年にクリントン夫妻とファッション界の重鎮によって設立された3億ドルの衣料工業団地が失敗に終わったこと以外は、何も残らなかった。

操り人形と愛国者

この米国の大失敗で、米国はまんまとハイチを米国の言いなりにさせた。ハイチ救済を目指し、結局は失敗に終わった指導者は、マイケル・マルテリーとジョサバ・モイーズだった。マルテリーは、2005年にベネズエラの社会主義者ウゴ・チャベス大統領の下で始まったペトロカリベ協定*を通じて、ベネズエラから40億ドル以上の援助を横領したことで悪名高い。この盗んだ金は、彼の後継者であるモイーズを政権に押し上げるために利用されたと推測されている。
*ペトロカリベ協定・・・ベネズエラとカリブ海加盟国間の地域石油調達協定。この貿易組織は、ウゴ・チャベス大統領時代の2005年6月29日にベネズエラのプエルト・ラ・クルスで設立された。ベネズエラは加盟国に譲歩的な金融協定に基づいて石油供給を提供した。(ウィキペディア)

モイーズ政権下、ハイチの生活環境は悪化の一途をたどった。ペトロカリベ協定は2017年、他の誰あろう、トランプ政権下のアメリカによるベネズエラへの重い制裁により、事実上廃止された。ペトロカリベ協定の終了は、搾取される大衆にとって困難な局面となり、大規模な市民の混乱と、2021年のモイーズ暗殺につながった。

この暗殺事件により、現在、アリエル・アンリ首相がハイチの公式な国家元首として承認された。しかし、ハイチの労働者階級や事実上の指導者であるジミー・シェリジエは、この新首相と見解を共有していない。

ジミー・シェリジエはハイチの息子であり、犯罪と戦った経験があり、彼らに押しつけられた抑圧から苦しむすべての人々の結束を求める大きな思いやりの心を彼は持っている。この新しい家族を“G9”と呼ぶ。しかし、ハイチの社会的および政治的エリートと、ハイチのエリートと結びつく西側の外部機関は別だ。初の黒人独立国であるハイチが、自らの道を確立するための場所と礼儀を与えられる時が来たのだ。特にそれは国内の貧しい大衆が掲げた道なのだ。

ハイチの歴史は、西欧の排外主義がもたらした負の結果に満ちている。(ハイチは)フランスの植民地抑圧者に何百万ドルもの賠償金を支払うことから始まり、実質的に米国のお気に入りのおもちゃになった。過去の3人の指導者が米国によって恣意的に選ばれた。しかし、トゥーサン*がいた。アリスティドがいた。そのようにシェリジエとG 9には、ハイチの子供たちに利益をもたらすために、最終的に真の意図を持った国家を持つ機会に値する愛国精神がある。私たち帝国主義の中心にいる市民は、現在と将来の指導者たちにハイチから手を退くことを要求しなければならない。
*トゥーサン・・・フランソワ=ドミニク・トゥーサン・ルヴェルチュール(1743年 - 1803年4月7日)は、(フランス革命期の)ハイチの独立運動(ハイチ革命)指導者であり、ジャン=ジャック・デサリーヌ等とともにハイチ建国の父の一人と看做されている。(ウィキペディア)
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ハイチ、大規模脱獄事件後に非常事態宣言発令

<記事原文 寺島先生推薦>
State of emergency declared after massive jailbreak in Haiti
このカリブ海の国の2大刑務所から武装集団襲撃により数千人の受刑者が解放された
出典:RT 2024年3月4日
<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年3月11日


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フランスのAFPTV通信局の報道から入手した静止画。2024年3月3日にハイチのポルトープランスにある主要刑務所近くで、数千人の受刑者による脱獄後にタイヤが燃えている様子が映されている。© AFP / ラッケンソン・ジーン / AFPTV / AFP


ハイチ政府は、週末に武装集団がこのカリブ海の国の2大刑務所を襲撃し、数千人の囚人が逃亡したことを受けて、3日間の非常事態と夜間外出禁止令を発令した。このギャングの幹部らはケニアを外遊中のアリエル・アンリ首相の辞任を要求している。

日曜日(3月3日)の政府発表を引用した複数の報道機関による報道によると、襲撃された刑務所は首都ポルトープランスにあるハイチの国立刑務所と、近くのクロワ・デ・ブーケにある別の刑務所だ、という。ポルトープランスにある施設の推定4000人の受刑者ほぼ全員が逃亡したと報告されている。この攻撃により、警察官を含む少なくとも12人が死亡した、と報じられている。

首相の海外滞在中に政府の責任者を務めるパトリック・ボワヴェール財務大臣は警察に対し、捕虜の奪還と外出禁止令の執行に「あらゆる法的手段を自由に使う」よう呼び掛けた。

最近の暴力行為の激化は、木曜日(2月29日)にヘンリー首相がハイチのギャングと戦うための国連支援の治安部隊を確保するためにナイロビを訪れたときから始まった。アンリ首相出発後、元警察の高官で、現在はギャング連合を運営し「バーベキュー」のあだ名を持つ人物が、アンリ首相の帰国を阻止するためにこの組織的な攻撃をおこなった、と発表した。このギャングの主導者は、急増している暴力行為の犯行声明を既に出している。

関連記事:Kenya ready for peacekeeping mission in Haiti

メディア報道によると、ポルトープランスで投獄された者の中には、2021年のハイチのジョヴネル・モイーズ元大統領殺害に関連して起訴された容疑者も含まれていた。アンリ首相はモイーズ大統領暗殺後に首相の座を引き継ぎ、議会選挙と大統領選挙の実施計画を繰り返し延期してきたので、これらは10年近く実施されていない。

統計によると、ギャング勢力がハイチの首都の最大 80% を支配している、という。国連は最近、昨年、殺害や負傷、誘拐を含むハイチのギャング暴力の犠牲者は8400人以上だった、と発表した。この数字は2022年の2倍以上だ。

機密外交公電の漏洩により、CIAが2004年のハイチのクーデターを画策した事実があきらかに

<記事原文 寺島先生推薦>
Secret Cable: CIA Orchestrated Haiti’s 2004 Coup
筆者:ジェブ・スピローグ(Jeb Sprague)・キット・クラレンバーグ(Kit Klarenberg)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2024年3月1日
<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年3月10日


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グレー・ゾーンが入手した、秘密の外交公電により、2004年、ハイチで人気のあったジャン=ベルトラン・アリスティッド大統領を暴力的に失脚させた事件の際にCIAのベテランの役人が大きな役割を担っていたことが明らかになった。



2002年8月にハイチのゴナイーヴで起こった大規模な脱獄事件では、当地の刑務所の壁がブルドーザーで破られ、武装したアミオ・「クバーン」・メタイエの支持者らがその施設から逃げ出した。メタイエは、ハイチの警官らに嫌がらせをしたことにより、数週間前に拘留されていたギャングの親玉だった。メタイエは他の158人の囚人と共に脱獄した。その中には、1994年4月のラボトー大虐殺事件の加害者らもいたが、この事件では何十人ものハイチ国民が殺害され、追放された。この事件の被害者は、反帝国主義者である人気のあったジャン=ベルトラン・アリスティッド大統領の支持者たちだった。

米国情報公開法(FOIA)に基づきグレー・ゾーンに渡された文書により、何らかの意図があったわけではないのだが、この脱獄事件が複雑な米国諜報機関による工作の一部であり、その狙いはアリスティッド大統領政権の弱体化にあったことが明らかになった。この工作の中心にいたのは、ジャニス・L・エルモアだった。この人物は、CIAの秘密工作活動をおこなっていたが、表向きはハイチの首都ポルトープランスの米国大使館内の国家「政府局」担当官という肩書きだった。

この脱獄劇により暴力的な政権転覆工作が動き始め、最終的には、2004年2月29日のアリスティッド大統領失脚につながった。追放され南アフリカに飛ばされたアリスティッドは、自分は米軍により「拉致」されたと主張し、この件を画策した米軍を直接に非難した。アリスティッドの母国はすぐさま専制的破綻国家におちいり、無慈悲な民兵らが国民たちに目もくれない勝手な振る舞いを見せていた。米海軍、のちには国連軍が「平和維持」のためという口実で派遣されたが、実情は、武装した反クーデター勢力だけではなく、激怒した反政府活動者や市民らをも暴力的に取り締まっていた。

2022年、元ハイチ在留フランス大使は、仏・米両国が、実際に「クーデター」を画策した事実を認め、その理由は「おそらく」アリスティッドが何度も繰り返し要求を出していたことにあったと認識していた、と述べた。具体的に、アリスティッドは、1825年以来、ハイチ国民を奴隷扱いしてきたフランス政府から受けてきた苦難の賠償金として210億ドルの支払いをフランス政府に求めていたのだ。この元大使がニューヨーク・タイムズ紙に語ったところによると、アリスティッドを追放したことで、賠償金を求める声が弱まり、「仕事がしやすくなりました」とのことだった。

米国当局者らは、アリスティッド失脚には無関係である、と繰り返し否認し、ハイチには、秩序回復のためクーデター後に介入しただけだ、と主張してきた。しかしグレー・ゾーンが入手した秘密の外交公電には、全く違う話が書き込まれていた。

アリスティッドは追放され、その支持者は虐殺された

1990年12月、37歳のカリスマ的存在のカトリックの司祭だったジャン・ベルトラン・アリスティッドは、ハイチで史上初の民主的な大統領選挙で大勝し、大統領に選ばれた。民主化と国家主権を掲げて大統領職に就いたアリスティッドは、「解放の神学」の実現を希求していた。この「解放の神学」とは、革命を通じて虐げられた人々を解放することを提唱するキリスト教哲学の一つである。

しかし就任式後たった7ヶ月で、アリスティッドは米国で訓練を受けたハイチ軍の隊員に銃を突きつけられてポルトープランスの大統領宮殿から追い出され、亡命を余儀なくされた。その後3年以上の間、ハイチは残忍な軍事政権により支配され、何千もの人々が軍や警察、ファシスト民兵らにより虐殺された。

その恐怖の治世が絶頂に達したのは、1994年4月22日のことだった。その日、軍と民兵隊らがゴナイーヴ市のラボトー地区近くで、親アリスティッド派を激しく攻撃した。多くの住民が大規模な抗議活動に参加しており、退陣させられていた元大統領の復権を求めていた。明け方におこなわれた急襲において、兵士達は一軒一軒家を回り、住民を打ちのめし、逮捕した。その中には子どもたちも含まれていた。さらに兵士達は、通行人や逃げようとした人々に無差別に発砲した。その発砲が終わったときには、少なくとも30人の地元の人々が亡くなっていた。

ラボトー虐殺事件が、アリスティッドが亡命中にハイチの軍事政権がおこなった唯一の虐殺だったわけでは全くなかった。しかしこの事件が、人道に対する罪として裁判となった、ハイチの歴史上初めての事例となった。2000年9月、59名の被告のうち53名が、この虐殺事件に加担した罪で有罪判決を受けた。その中には、1991年のクーデターの指導者らも含まれており、本人らが出廷しないなかではあったが、有罪となった。

当時、ニューヨーク・タイムズ紙は以下のような記事を出した。「この裁判はハイチにとって重要な転機となった。というのも、軍や民兵隊の支配者層やその部下らが裁判にかけられる第一歩となったからだ。彼らの罪状は、元大統領の失脚後の暴力的な軍事政権下における人権侵害であった」と。

自国やカリブ諸国の市民からの圧力が強まるなか、1994年10月15日、米国政府は選挙で選ばれたアリスティッド政権の復活を約束した。この動きを支援するために、2万人以上の米軍兵士が、カリブ共同体(CARICOM)の少人数の部隊とともに、ハイチを一時的に占領した。選挙で選ばれた政府が復活したことで、大虐殺は終結した。アリスティッド政権はついに、警察組織の再建とハイチの悪名高い抑圧的な軍の解散に着手することができ、そのいっぽうで、学校建設計画など、貧困層が利益をえる計画が開始された。

これらの計画はアリスティッドの後継者であるルネ・プレヴァルが1996年に大統領になったあとも継続された。プレヴァルは、進んで民営化を活用したことで、民主運動の支持者の多くを落胆させたが、2001年アリスティッドが92%近い得票率を得た大勝で大統領に再選されたときは、ハイチの国家運営は軌道に乗ったかのように見えた。

しかしその数ヶ月後、米国のジョージ・W.ブッシュ大統領がハイチに壊滅的な制裁を課し、世界銀行とIMFの貸付金を凍結させ、さらにハイチ政府に対し米国からの支援や開発援助を打ち切った。米国側がこの破壊的な措置を正当化するために、選挙を拒否したハイチの野党勢力が存在したことを指摘し、ハイチは選挙で不正があったと主張した。ただし、世論調査によると、有権者はアリスティッドを強く支持しており、選挙を拒否した勢力には同意していないことが分かった。

そのような介入に屈しなかったアリスティッド政権は、即座に貧困層の結集や市街地での内戦の休戦、医療制度や教育制度の強化、最低賃金の倍増、民兵隊や民兵隊への資金提供者の責任追及などに取り組んだ。さらに同大統領は、キューバとの外交関係を復活させ、キューバの医療団がハイチ入りできる道を開いた。

平均的なハイチ国民には人気が高かったこれらの計画だが、地元の反対勢力や米国政府内の反対勢力の支援者らからは、政治上緊急に取り組まねばならない脅威として捉えられていた。ブッシュ政権がハイチに対する開発援助を禁止したことで、ほとんどのNGOや他国の政府が、ハイチに対する支援を中断するよう圧力をかけることに成功した。さらに、米国の諜報機関の影の別働隊であり、外国の選挙に影響をあたえるために設立された組織である全米民主主義基金(NED)が、まとまっていなかった反政府勢力を「民主主義促進派」というひとつの傘下の組織にまとめあげた。

ほどなく、民兵隊による暴力的な工作が勃発し、ポルトープランスの政府の基盤組織を標的にし始め、その後その工作は地方にまで広がった。当時地方においては、アリスティッド氏と関係の深い勢力であるラバラス派が深く支援されていた。この騒乱のさなか、2002年8月、先述の大規模な脱獄事件がゴナイーヴで実行され、メタイエが数十人の民兵隊員や反政府ギャングらとともに解放されたのだ。

動かぬ証拠

「完全否定推奨」という印がしっかりと押されている、2002年9月18日付けの以前は機密にされていた外交公電が、ポルトープランスの米国大使館からコリン・パウエル米国務長官あてに送付された。その電報には、アリスティッドの「盟友」であるペール・デュバルシンが外交使節に近づいてきて、米国大使館の車が、脱獄事件の前夜にゴナイーヴで目撃されたことに「不満をこぼしていた」ことについて書かれていた。この電報によると、ドミニカ共和国のハイチ駐在大使は、アリスティッド自身がこの件を問題視し、ジャニス・エルモアという米国の役人が不安定化工作の首謀者であると指摘した、と述べている。

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米国大使館が発行した極秘公電によると、CIA職員とされる人物が、最終的にハイチの選挙で選ばれた政府を転覆させた悪名高い脱獄事件の周辺にいたという。

この公電によれば、脱獄の直前、エルモアは突然、大使館職員に、キャップ・ハイティアンで会議があり、「陸路で戻る」と伝えた、という。職員は「ゴナイーヴでの旅行と、そこへの旅行が禁止されていることについて、彼女に注意を促した」が、それに対して彼女は、単にその地域を「通過」するだけであり、警察の護衛があると付け加えた、という。

大使館のルイス・モレノ次席公使は、エルモアがそこに立ち寄ったり、「大使館手続き違反」となるような「用事をする」ことについては言及しなかった。同公使はさらに、エルモアに対し、「細心の注意を払い、適切な判断を下すこと」を促した。

その後、エルモアがゴナイーヴでの活動について言及することはなかったようだが、アリスティッドの腹心の部下は、繊細な洞察を豊富に提供してくれた。デュヴァルシンは、エルモアがダニー・トゥーサンに近い法執行当局者と会った、と主張した。ダニー・トゥーサンは地元の政治家で、軍に所属し、ハイチの暫定警察を率い、かつてはアリスティッドの個人的なボディーガードだった。カリスマ性があり、権力に飢えていたトゥーサンは、政治的カメレオンとして評判になった。記録にあるように、彼はアリスティッドの背後で米国大使館や地元の有力者と連携し、大統領を追放してハイチの民衆運動を掌握しようと画策していた。

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写真撮影に応じた、2004年のハイチでのクーデターに関与したアリスティッドの元ボディガード、ダニー・トゥーサン

大使館内での軋轢の可能性を示唆するように、カラン大使は文書の中でこう主張している。「(国務省が)トゥーサンと話すべき唯一の人間として私を指名した。さらに私は米国政府から特定の指示を受けている唯一の人物だった」と。エルモアのゴナイーヴでの会合について、カランは「エルモアは、(アミオ)キュバン(メテイエ)が関わった事件の前にも後にもゴナイーヴにいたとは一度も言っていない」と書いている。

当時、米国当局者らは、ゴナイーヴを含めて、ハイチ国内の大部分の地域に行かないよう明確な命令を受けていた。この命令に背いて、エルモアはゴナイーヴで「問題の多い人々」と接触した、とドミニカの大使が米国大使に伝えたという。

これらの「問題の多い人々」の中に、ヒューグ・パリという人物がいた。この人物はこの外交公電で、「クーデター画策者と関係のある」人物だとされている。この人物は、脱獄事件において影の役割を果たしていたようで、FLRNという名で知られている暗殺部隊を支援していた財力のある重要な支援者の1人だった。この暗殺部隊は、2004年2月のクーデターに先立ち、ハイチの一部を支配していた。その数年前、ヒューグ・パリは、1991年のアリスティッド政権失脚後3年間ハイチを統治した残忍な軍事政権のトップ、ラウル・セドラスの商業顧問を務めていたとして告発されていた。

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身元不明の女性とともにいるヒューグ・パリ

外交公電によると、ドミニカ大使は、アリスティッドが話し合いの中でエルモアのゴナイーヴ訪問について言及した、と述べた。このハイチ大統領は、その海辺の街でのエルモアの活動は、「自分の政権を弱体化させるための秘密計画の証拠である」と考えていた、という。

CIAの陰謀家とおぼしき人物が、ハイチで「疑問の多い人物ら」を動員

この外交公電の書き手の口調と言葉遣いから、ハイチにいる米国の外交官たちが、エルモアが問題を引き起こしているかもしれないことをよく知っていたことは明らかだ。しかし、この文書からは、彼らがエルモアの活動内容を正確に把握することに関心を持っていたことを示す証拠はほとんどない。

そうではなく、大使館職員らはエルモアの正体がばれたかどうか、彼女の電話がハイチ政府によって盗聴されていないかどうかを判断することにもっと関心があったことがうかがえる。この外交公電によると、米外交官は現地の警備会社の傍受能力について知るために、民間警備会社ダイナコープの元代表に接触した。その情報源は、ハイチ当局が国内の電話を監視する能力があることを確認し、米大使館はハイチ当局が「警察とのつながり」があることから、「(エルモアを)特に標的にしている......彼女を豊富な情報源と考えている」と捉えていた。

そういう意味では、エルモアがダニー・トゥーサンに忠誠を誓う人物と接触していたことは特に目を引く。この公電によると、大統領が外交上の用事で台湾に出発する前夜、「大使館の誰かがトゥーサンに電話をかけ、アリスティッドが国外にいる間にトゥーサンを逮捕させるつもりだ、と警告した」とアリスティッドの腹心の部下が語っている。その未特定の腹心は、トゥーサンを「なだめるために送り込まれた」とされる人物で、トゥーサンは「自分を投獄しようとするなら内戦になると脅した」という。

明らかに、エルモアはアリスティッドの失脚に興味を持っており、後の2004年2月のクーデターに関与していた「問題の多い人々」のことをよく知っていた。ゴナイーヴの脱獄事件の前夜に、エルモアがこれらの人々と面会していた事実は、米国がこの事件を前もって知っていたことやアリスティッドの強制追放の基盤は前もって慎重に練られていたことを明らかに示す証拠である、と言っていいだろう。

匿名でグレー・ゾーンに語ってくれた元ポルトープランス駐留米国大使は、エルモアは激しい「反アリスティッド派」であり、米軍特殊作戦部隊の一員と結婚した、と述べた。さらにエルモアはアリスティッド政権を標的にした弱体化工作の他の側面についても、事情を熟知していたようだ。

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グレー・ゾーンが入手した、2001年の国務省のメールによると、エルモアはハイチに対する米国の経済戦争についての扱い難い話し合いについての情報を聞かされていた、という。国務省の官僚らは米州開発銀行と歩調を合わせ、債務や支払いの停止や遅延を求めていたハイチ政府の主張に対応しようとしていた。エルモアはこの件に関して最前列で対応にあたっており、米国政府による反アリスティッドの取り組みにおいて静かな影響力を示していた。

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CIAの工作員だとされているジャニス・エルモア。撮影の日時は不明。

CIAのコカインを使った陰謀に関与したとされるエルモア

エルモアの経歴を詳しく調べると、この陰謀にCIAが直接関与していたことがわかる。実際、彼女は1997年12月、レーガン政権がニカラグアでの汚い戦争の資金調達のためにコカイン密売を秘密裏に利用したことを司法省が調査した際、DEA(麻薬取締局)捜査官によってCIA職員であることが明らかにされた。

米司法省当局者らは、セレリーノ・カスティージョ元DEA特別捜査官が提供した証言と文書を調査した。この捜査官は、エル・サルバドルのコカイン取引を支配していた組織内への侵入を試みていた。カスティージョ元捜査官の主張によると、ニカラグアのファシスト勢力であるコントラにも、「戦争資金を得る助けとなる麻薬の密輸のため」CIAが麻薬を提供していた動かぬ証拠を入手した、という。しかし、カスティージョが話をしていたCIAや米国大使館を脅そうとする「抵抗の壁」に直面させられた、とのことだった。カスティージョによると、自分の上司から、「この件は放っておけ」と警告を受けた、という。

カスティージョは当時の報告において、エルモアがエル・サルバドルでのCIA工作員だったと名指ししている。後に米司法省から厳しい追求を受けた際、エルモアはカスティージョが示した時系列を認めたが、それはただ現地大使館の「麻薬調整担当」の指示に従っただけだった、と主張した。さらにエルモアは、その担当者が「エル・サルバドルでの麻薬問題について取り組むよう何度か指示を出しており、一般的な話として、コントラが麻薬取引に関わっていたことを伝えていた」事実も認めた。しかしエルモアは 「そのような噂を裏付ける証拠は出てこなかった」と主張した。

その後エルモアは、密室において、下院特別諜報委員会よりCIAの麻薬取引について聞き取り調査を受けた。エルモアの証言の内容は未だに公開されていない。当時、マイケル・C.ラパート元ロサンゼルス警察(LAPD)特別捜査官は、エル・サルバドル在留中にエルモアが「軍や政治家の指導者ら」と「定期的に面会」し、「性的関係を利用して情報を集め麻薬工作を保護していた」ことを非難していた。ラパート元特別捜査官は、エルモアを表向きは国務省大使館の政治担当官であるCIAの工作員であるとしていた。

エルモアのリンクドイン上の自己紹介欄によると、政治担当官としての仕事以外にも、国務省国際麻薬・法執行局の航空・警察開発プログラムの仕事もおこなっていたことがうかがえる。1986年4月の国務省省内誌によると、エルモアは米上院外交官候補に指名されていた。1993年から1994年にかけて、エルモアはワシントンDCの米州防衛大学(IADC)に在学していたが、この大学は米州機構(OAS)のつながりがある。米国による西半球一帯の警察や軍の訓練に携わる他の計画と同様に、この防衛大学にはクーデターや暗殺部隊、米国が資金を出している諜報活動に関わる人々を育成してきた歴史がある。

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SOL世界合同会社のウェブサイトからのスクリーンショット。現在このサイトは削除されている。

エルモアのリンクドインの自己紹介欄によると、2006年に退職してから、エルモアはSOL世界合同会社の研究・分析部の相談係及び部長を勤めてきたという。同社の今は削除されているウェブサイトの説明には、「我社の職員は世界中で米国政府の取り組みを支援する活動をおこなってきました」と書かれてあった。その中には、アフガニスタン国家警察(ANP)現地国家通訳・翻訳計画やボスニア連邦内務省(FMOI)教育課程開発及び英語訓練も含まれていた。

また、このウェブサイトでは、SOL世界合同会社が柔軟な作戦準備と支援...建設、警備から物流の警備、輸送、生活支援まで幅広い活動に対応」しているとし、ドバイや米国メキシコ国境、エル・サルバドル、ハイチ、スーダン、トルコ、アフガニスタン南部での活動の例を挙げている。同サイトはさらに、「アフリカやラテンアメリカ、南西アジアでの活動を支援する多国籍企業」に対して、「さまざまな訓練や支援サービスが提供された」と説明している。

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ラクダに乗っているCIAの工作員であるとされているジャニス・エルモア

クーデターの結果、大量の墓が作られ、大量の殺人がおこなわれたが、その責任は問われず

2004年1月1日、ハイチの独立200周年を祝う祝賀式典がゴナイーヴで開催された。ゴナイーヴは、1804年にハイチがフランスからの独立を宣言した場所だ。この式典には、アリスティッドや著名な客人らが出席した。例えば、南アフリカのタボ・ムベキ大統領だ。この大統領が仏・米が主導していたこの行事をやめさせようという圧力に抵抗した唯一の外国の国家主席だった。

大群衆が祝賀ムードに包まれるなか、警察は200周年記念の集会を妨害しようとする地元の反乱組織と激しく衝突した。ハイチの正義と民主主義のための研究所のブライアン・コンキャノン事務局長は、その日ゴナイーヴにいた。同事務局長はグレー・ゾーンに、暴力の発生は「すべて何年もかけて丹念に練られた計画の一部でした」と語った。

「あの脱獄事件と1月1日の暴力はすべて、最終的にクーデターへ向かうために意図的に用意された手順でした」とコンキャノンは説明した。「小競り合いは政府を弱体化させ、支持者を怯えさせ、反対派を増長させました。警察はすでに、準軍事的な侵入者から国境を守り、わざと挑発的な態度をとっていた抗議行動を抑え込むために手薄になっていました。続いて、ゴナイーヴで不安を煽る行為が取られたため、警察にとって第3の戦線が生じ、力の分散が余儀なくされたのです。」

2004年2月中旬までには、ファシスト民兵勢力と地元当局の間の小競り合いが、全面戦争に拡大していた。ゴナイーヴの反乱勢力は反アリスティッド派の元警察や民兵隊員らと手を組んだ。これらの元警察や民兵隊員らは、ドミニカ共和国からハイチに侵入していた。彼らは、ドミニカ共和国で長年保護されていた。

正当な政府が追放されたのち、米国とその同盟諸国は新たな首相を据えた。それが、ゴナイーヴ生まれのジェラール・ラトルチュ。世界銀行の元役人で、当時フロリダ州ボカラトンに住んでいた。当時民兵隊らはハイチの街中を闊歩し、無罪の反クーデター派の抗議活動者らを殺害したり、服役させたりしていた。ランセット医学誌に掲載された論文によると、クーデター後の22ヶ月で、約8000人がポルトープランス広域圏内で殺害されたという。マイアミ大学の人権調査部の報告には、警察や国連占領軍による大量殺人だけではなく、大量の墓や狭い刑務所、薬のない病院、ウジ虫がはびこる遺体安置所などが記載されていた。

その後、まだ民主主義に忠誠を誓っていたハイチの行政、司法、治安部隊のあらゆる役人たちは粛清された。反クーデター派の大量解雇や反クーデター派労働組合への攻撃は日常茶飯事だった。反体制派のジャーナリストは暗殺や逮捕に直面し、政府発行のリュニオン紙とアリスティッド民主化財団のクレオール語版の新聞ダィティー紙は強制的に閉鎖された。いっぽう、ラボトーの虐殺やその他の準軍事的犯罪の責任者は訴追から免れた。

グレー・ゾーンは、現在は削除されている、SOL世界合同会社のウェブサイト上に書かれていた、ジャニス・エルモアのフェイスブックのアカウントとメールアドレスにコメントを求めるメッセージを送ったが、返事は帰ってきていない。そこに書かれていた電話番号も今は使われていない。

国務省はコメントを求める我々の要求に応じず、かわりにCIAに連絡を取るよう伝えてきたが、CIAも我々が送ったメールによる質問に無答のままだ。


ジェブ・スピローグはカリフォルニア大学リバーサイド校の研究員で、バージニア大学とカリフォルニア大学サンタバーバラ校で教鞭を執っていた。『カリブ諸国のグローバル化:政治・経済と社会変化、多国籍資本家階級(テンプル大学出版、2019)』、『ハイチの民兵隊主義と民主主義への侮辱(月刊レビュー出版、2019)』の著者であり、 『アジア、オセアニアでのグローバル化と多国籍資本主義(ラウトリッジ出版、2016)』の編集者。「グローバル資本主義の批判的研究ネットワーク」の共同創設者。ブログは http://jebsprague.blogspot.com。

キット・クラレンバーグは、政治や認識の形成における情報機関の役割を探る調査報道ジャーナリスト。

ラテンアメリカの指導者、急進的改革を強行する計画を検討中

<記事原文 寺島先生推薦>
Latin American leader mulls plan to force through radical reforms
ハビエル・ミレイ大統領は、国民投票によって、改革に反対するアルゼンチンの議員に圧力をかけることができると述べた。
出典:RT  2023年12月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年1月7日


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ファイル写真: 2023年11月、大統領選の決選投票に臨むハビエル・ミレイ。© Tomas Cuesta / Getty Images


新大統領に就任したアルゼンチンのハビエル・ミレイは、国民議会に対して「臨戦態勢」をとっており、政策提案に対する国民投票を実施することで議会に圧力をかける可能性があると、ラ・ナシオン紙は水曜日(12月7日)に報じた。

内閣が今月初めに提出した主要な経済改革について、ミレイ大統領はラ・ナシオン紙に次のように語った。「もし彼ら(議会)がそれを拒否するならば、私は国民投票を要求し、彼らがなぜ国民に反対するのか私に説明してもらおう」。

提案されている法案は、2年間の非常事態宣言、経済の規制緩和、国有財産の民営化、国民医療制度の変更などを行うものである。

アルゼンチンの法律では、拘束力のある国民投票と拘束力のない国民投票の両方が認められている。行政府による拘束力のない提案が国民投票で承認された場合、国会はそれを検討する義務を負う。

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<関連記事> アルゼンチン、「ショック療法」改革を発表


「彼らは自分たちが負けたこと、国民が別のものを選んだことを受け入れることができないのだ」、とミレイ氏は国民議会の野党について述べた。彼は一部の議員が「賄賂を要求している」と主張したが、この疑惑を裏付ける詳細は示さなかった。

アルゼンチンで拘束力のない国民投票が行われた例としては、1984年、チリとの国境紛争*を解決するための政府の計画について投票が呼びかけられたことがある。圧倒的な国民の支持は、その後、議会の野党に圧力をかけた。
*チリ南端のピクトン島、レノックス島、ヌエバ島の所有権とこれらの島々の海洋管轄権の範囲をめぐるチリとアルゼンチン間の国境紛争であるビーグル紛争は、1978年に両国を戦争の瀬戸際に追い込んだ。この紛争は教皇の調停によって解決され、1984年以来アルゼンチンはこの諸島をチリの領土として承認した。

自由主義経済学者で元国会議員のミレイは、先月のアルゼンチン大統領選挙ではダークホース(穴馬)と目されていた。彼は、急進的な公共支出削減と自由化を通じて経済成長を生み出すという公約を掲げて当選した。アルゼンチンは高水準のインフレに苦しんでおり、ミレイ氏は「ショック療法」で対処すると宣言している。

新大統領は、自身の計画に反対する人々は「ストックホルム症候群」*に陥っていると主張し、政権下で厳しい取り締まりを行うと宣言している。
*1973年にストックホルムで起きた人質立てこもり事件で、人質が犯人に協力する行動を取ったことから付いた名称

関連記事:デモ参加者は "ストックホルム症候群"-ミレイ氏

ラ・ナシオン紙との同じインタビューで、ミレイ氏は2万ペソ札と5万ペソ札の導入を望んでいることを認めた。現在、最も大きい紙幣は2,000ペソだが、インフレにより、その価値は長年に渡ってほとんど失われている。札束を持ち続けることはアルゼンチン人にとって「拷問」であり、大金を持ち運ぶ者に「ここで盗め」という看板を抱えていることになるとミレイ氏は主張した。

キューバ:この島に対しては、つねに新たな攻撃が準備されている。

<記事原文 寺島先生推薦>
Cuba: New actions against the island are being prepared
筆者:アーサー・ゴンザレス(Arthur Gonzalez)
出典:Struggle la lucha  2023年9月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年9月30日


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キューバの大統領ミゲル・ディアス=カネル


 アメリカがキューバに対して行なっている戦争は、広範囲にわたる。政治や、経済、文化、スポーツ、健康、教育、そしてキューバの発展を妨げるためにできることすべてが含まれる。その目的は、社会主義は失敗した体制だとメディアを通して言いふらし、キューバ国民を満足させないことだ。

 新しい作戦行動計画は、キューバのミゲル・ディアス・カネル大統領が9月に国連を訪れ、彼が77カ国+中国の現職議長として発言することを中心に展開している。カネル大統領が国連で発言することを、ヤンキー米国は阻めまい。それはキューバに国際舞台で重要な役割を与えることになり、(キューバ)革命に対してでっち上げられた嘘に反撃させることにもなる。

 マイアミ(「憎しみの町」*)では、国務省とCIAによって資金提供されて、2018年1月に設立されたインターネットタスクフォースの専門家によって設計された反キューバ計画を実行するための要素や、中傷キャンペーンを作成するための他の要素が、キューバ大統領の訪問に対する抗議行動を組織し、国連での彼の参加を妨げる雰囲気を作り出すための手段を講じている。
*もともとはJFKが暗殺されたダラス(テキサス)の別称。ここでは「キューバ憎し」の人々がマイアミに集まっていることから筆者が考えたもの。(訳者)

 この専門家たち(その多くが若者)の記憶力は、悪い。彼らの前任者たちが何年もの年月をかけ、ニューヨークを訪問したフィデル・カストロに同じことをしようと試みた際の失敗を保存記録で調査していないのだ。そんなことでは、結果はいつも裏目に出る。しかし、憎しみのあまり目がくらみ、どうにも理性を働かせることができないのだ。

 国務省はと言えば、国務省に仕えている一部のジャーナリストに指針を与え、圧力をかけ始めている。そうしてキューバへの破壊活動において専門家たちが創り出した情報を、フロリダの一部の新聞やテレビ局がやっているように、迅速に拡散させるのだ。

 一方、大衆の抗議に対する抑圧が非常に厳しい国々の大統領や首相たちは、一言の批判も受けずにいる。その中には、労働者に対する残酷な暴行の長い記録があるフランスの大統領や、わずか1年足らずで70人の死者と2000人以上の負傷者を出したペルーの大統領もいる。キューバでは1959年以降そんなことは起きていない。

 同じ(穴の狢の)ヤンキー米大統領は、警察に対して射殺を許し、拘束中の被疑者を窒息死させることを許している。また、ウクライナでの戦争を資金提供し、国連で禁止されているクラスター爆弾さえ提供している。そんなことをしているのに非難キャンペーンの対象とはなっていない。

 アフガニスタンや、イラク、シリア、そしてリビアなどに対する最近の戦争中、アメリカ合衆国は無数の人道に対する罪を犯し、何千人もの民間人を殺し、不具の体にした。そしてそれらの国々の破壊をもたらした。それゆえ、2021年に発生した混乱に立ち向かったキューバを指摘する道徳的な権利などないのであり、それは帝国主義メディア装置そのものによって扇動されたことが証明されている。

 アメリカ合衆国は、男性、女性、そして子供に対して死刑を適用し、国際的な非難をいっさい受けていない。刑務所には多くの女性と未成年者がおり、彼らの多くは人権を完全に無視した成人施設で終身刑に服している。したがって、自分たちの要求に従うことを拒否する国々へいろいろな広報活動を行なう前に、アメリカはわが身を振り返ったらいい。

 最近、公式文書が公開され、CIAがチリのサルバドール・アジェンデ政府を転覆させるための秘密行動がはっきりした。その中には、1970年9月15日に行われた、当時のアメリカ大統領であるリチャード・ニクソンとの会議の際にCIA長官であるリチャード・ヘルムズの手書きのメモも含まれている。

 その会議で、ニクソンはCIAに対して、「私たちの最も優れた人材を専従にして取り組み、チリの経済を泣きわめかせろ」と指示した。そして「アメリカ合衆国が巻き込まれる危険については気にしていない」と強調した。

 同じ立場は、ジョン・F・ケネディがキューバに対して取ったものであり、彼が1962年にキューバ計画を承認した理由だ。この計画でも、経済が主要な標的であった。キューバの経済や、商業、金融などに対するアメリカの犯罪的な戦争は相変わらず続いており、(キューバ)革命政府に対する国民の憤懣を煽るための宣伝活動と対をなしている。

 当時のCIAの作戦部長、リチャード・ヘルムズが1970年にニクソンが表明したように、1962年1月19日に、彼はキューバに関するアメリカ合衆国の司法長官であるロバート・ケネディとの会議の結果について、CIAの長官であるジョン・マコーンに対して報告書を送った。この報告書では、何よりも次のことが書かれていた:

「カストロ政権の転覆は可能だ。私たちは、カストロが国内の経済や、政治、社会問題で手一杯にさせ、彼が外交政策の問題、特にラテンアメリカでの問題に時間をかけさせないような行動を緊急に取る必要がある」。

「キューバ問題の解決は現在、米国政府の最優先事項だ。他はすべて二次的であり、二次的なことに時間や、お金、努力、そして人材を使ってはならない」。

「アメリカ合衆国の司法長官(R・ケネディ)は、1962年1月18日の前日、ケネディ大統領が次のことを私に語ったとはっきり言っている:「キューバに関する最後の章はまだ書かれておらず、書かねばならない。それがなぜ彼(JFK)がその会議の出席者に対して、キューバ計画の32の任務の達成を怠らないための絶対的かつ断固とした献身を命じた理由だ」。

 何も変わっていない。アメリカに従うことを拒否する国々の経済を不安定化させることは、ヤンキー米国のお気に入りの武器だ。彼らは、それが偽りであり、害を被る国々が自分たち失敗を隠すための口実にすぎないという意見のマトリックス(枠組み)を作ろうとしている。

 CIAとホワイトハウスの公開文書は真実をさらけ出している。だが国務省言論の傭兵たちは絶対にこの情報に言及しない。この情報が人権侵害の真の加害者が誰であるか、教訓を説けないのは誰なのかを明確に示していても、だ。

 キューバには恥ずべきことは何もない。ヤンキー米国は(キューバ)革命の成果を隠すことはできない。そして、ホセ・マルティ*が表現したように、

「眉を上げることは、それを下げるよりも美しい」。

*キューバの著作家、革命家。19世紀後半のキューバ独立革命に参加し、キューバ史における英雄としてだけでなく、ラテンアメリカにおけるモデルニスモの先駆者としても名高い。(ウィキペディア)

原典: Razones de Cuba, 英語翻訳 Resumen Latinoamericano

ニカラグア大統領、「ナチス」ゼレンスキーを拒絶

<記事原文 寺島先生推薦>
Nicaraguan president rejects ‘Nazi’ Zelensky
Daniel Ortega also praised Libyan leader Muammar Gaddafi and lamented NATO’s destruction of Libya
さらにダニエル・オルテガ大統領は、リビアの指導者ムアンマル・カダフィを賞賛し、NATOによるリビア破壊を嘆いた。
出典:RT  2023年7月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月27日



© AFP / Cesar Perez


 ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は、水曜日(7月19日)に開催されたEU・CELAC*首脳会議で、「ファシスト・ナチス」のウクライナ大統領ウラジーミル・ゼレンスキー氏を支持する声明を採択させたことで、EUがラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(CELAC)を「傷つけている」と非難した。
*ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体。加盟国はアメリカ合衆国とカナダを除くアメリカ大陸33カ国であり、面積は約2000万平方㎞に達し、総人口は6億人を超える。

 ニカラグアのサンディニスタ勝利44周年を祝う催しで演説したオルテガは、ニカラグア政府が久しぶりに出席したブリュッセルでの首脳会議が、ニカラグアの反対にもかかわらず、「ウクライナに対する戦争」に「懸念」を表明する声明を発表したことを嘆いた。

 EUは「ニカラグアを米国と協調させようとしている」と非難し、自国政府は「第3回CELAC・EU首脳会議の合意宣言として、尊大かつ不当に発表されたものに署名も承認も同調もしていない」と強調した。



 関連記事: 世界はウクライナ紛争にうんざりしている --ブラジルのルーラ大統領

 オルテガ大統領は、決議は「合意をもとに行われなければならない」と主張した。手続きに従わないことで、EUは「CELACを傷つけている」とも。

 「EUはCELACとの会合で、ウクライナのファシストのナチス大統領を出席させようとした。EUはウクライナの混乱についてロシアを明確に非難する一行を首脳声明に盛り込もうとしたが、拒否された。

 「必然的に、私たちはこれを受け入れることはできなかった」とオルテガ大統領は説明し、「EUとCELACの議題にこのような問題を載せることは無意味だった」と指摘した。

 しかし、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアに対する西側の侵略政策と制裁の停止を求める一行を声明に盛り込もうとした努力は、ベネズエラとニカラグアは削除されて骨抜きになった。EUで禁止されているクラスター弾をウクライナに提供しないという呼びかけも拒否された、とオルテガは述べた。

 オルテガ大統領はまた、ニカラグアの解放記念日を祝うためにマナグアの国家尊厳広場に集まった数千人の若者たちを前にして、2012年にリビアを「破壊」した戦争中に、NATO軍によって殺害されたリビアの指導者ムアンマル・カダフィを讃えた。カダフィは「ニカラグアとの連帯を示し」、「アラブ人民の団結を推し進めた」と述べた。

「民主主義よ、永遠なれ!」 ブラジル大統領ルーラの就任演説

<記事原文 寺島先生推薦>

Democracy Forever! President Lula’s Inaugural Address to Parliament and the National CongressDemocracy Forever!

出典:INTERNATIONALIST 360° 

2023年1月1日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年1月28日

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ブラジル国民から大統領のたすきをかけられた後、国会議事堂で行われた演説の全文


 まず、皆さん一人ひとりに心からのご挨拶をしたいと思います。私の人生の中で最も困難な時期の一つであったにもかかわらず、「ルーラの自由行動」に代表されるブラジル国民から毎日受けた愛情や力を思い出し、それに報いたいのです。

 今日、私の人生で最も幸せな日のひとつであるこの日に、私があなたがたに贈る挨拶は、これ以上ないほど簡潔でありながら、同時にとても意味深いものです。

こんにちは、ブラジル国民のみなさん!

 みなさん、どうもありがとう! みなさんは選挙戦の前、選挙戦の最中、そして選挙後に政治的暴力に直面しました。みなさんはSNSを通し、さらには街頭に立ち、晴れた日も雨の日も貴重な一票を獲得するために活動してくれました。

 みなさんは勇気をもって私たちのシャツを身に着けてくれました。同時にブラジル国旗も振ってくれました。暴力的で反民主的な少数派が私たちの肌の色を検閲し、すべてのブラジル人のものである緑と黄色のブラジル国旗を自分たちだけのものにしようとした状況の中でのことでした。

 飛行機で、バスで、車で、トラックの荷台で、近くから、遠くから、この国の津々浦々から来てくれたみなさん。バイクで、自転車で、そして徒歩で、この民主主義の祭典のために、まさに希望の宣伝隊をしてくれたみなさん。

 しかし、他の候補者を選んだ方々にも申し上げたい。私は、2億1500万人のブラジル人のために政治を行いますが、それは私に投票した人のためだけではありません。

 私は、すべての人々のために政治を行います。分裂と不寛容の過去という後方鏡(バックミラー)を通してではなく、私たちの明るい共通の未来を見つめて政治を行います。

 永久に戦争状態にある国、あるいは心が通い合わない生活を送る家族、そんなものがいいと思う人などいません。ヘイトスピーチや多くの嘘の流布によって壊された友人や家族との絆を取り戻すときが来たのです。

 ブラジル国民は、民主的な体制で生きることを拒む、急進化した少数派の暴力を拒絶しています。

 憎しみ、虚偽のニュース、銃や爆弾はもうたくさんです。ブラジル国民は、働き、学び、家族の世話をし、幸せになれる平和を望んでいます。

 選挙の論争は終わりました。10月30日の勝利後の声明で、国を統合する必要性について述べたことを繰り返します。

 「ブラジルの基盤は2つではありません。私たちは一つの国、一つの国民、偉大な国家なのです。」

 私たちは皆、ブラジル人であり、決してあきらめないという同じ美徳を共有しています。

 たとえ、花びらを一枚一枚抜かれても、植え替えをすれば春が来ることを私たちは知っているのです。そして、春はもうそこまで来ています。

 今日ブラジルは喜びに満ち溢れています。希望を持って腕を組み合っています。

親愛なる友人のみなさん

 私は最近、2003年に初めて大統領に就任したときの演説を読み返しました。それを読んでみると、ブラジルがどれほど後退したかがほんとうによくわかりました。

 2003年1月1日、まさにこの広場で、親愛なる副大統領のジョゼ・アレンカルと私は、ブラジル国民の尊厳と自尊心を回復させるという公約を掲げ、それを実行しました。最も必要とする人々の生活環境を改善するために投資すること、そしてそれを実行したのです。健康と教育に細心の注意を払うこと、そしてそれを実行したのです。

 2003年に私たちが取り組むと誓った主な公約は、不平等と極度の貧困との闘い、この国のすべての人に毎日朝昼晩の食事をとる権利を保障することでした。そして私たちはこの公約を果たし、飢餓と悲惨な状態を終わらせ、不平等状態を大幅に減らしました。

 残念ながら、20年後の今日、私たちは、埋めたと思っていた過去に戻りつつあります。私たちが行ったことの多くは、無責任かつ犯罪的な方法で元に戻されたのです。

 不平等と極度の貧困が再び増加しています。飢餓が復活したのです。それは運命の力でもなく、自然の営みでもなく、神の意志でもありません。

 飢餓の復活は、ブラジル国民に対して行われた、最も深刻な犯罪です。

飢餓は不平等の娘であり、ブラジルの発展を遅らせる大きな悪の母です。不平等があると、この大陸的な大きさを持つ私たちの国は、お互いがお互いを認めない自分だけの世界に分割され、ちっぽけな国になってしまいます。

 一方では、すべてを手に入れることができるごく一部の人々の世界があります。片や、何もかもが不足している多数の人々の世界。そして、年々貧しくなっている中間層の人々の世界です。

 団結すれば、私たちは強いのです。分断された状態では、私たちの国はいつも、絶対に手の届かない未来の国のままでしょう。国民は永久に負債を抱えて生きることになります。

 もし私たちが未来を今日築きたいのなら、もしすべての人が十分に発展した国で暮らしたいのなら、こんな不平等状態は許されるはずがありません。

 ブラジルは偉大な国です。国の本当の偉大さは、その国の人々の幸福の中にあります。そして、こんな不平等の中では、誰も本当の意味で幸せにはなれません。

友人のみなさん、

 私が「統治する」と言ったのは、「大切にする」という意味です。統治する以上に大事なことです。私はこの国とブラジル国民を大きな愛情を持って大切にします。

 ここ数年、ブラジルは再び世界で最も不平等な国のひとつとなりました。街角でこれほどまでに人々が見捨てられ、落胆した様子をしているのを私たちが目にするのはずっとなかったことです。

 子供の食べ物を探しにゴミを掘り起こす母親たち。

 寒さと雨と恐怖と向き合いながら野外で寝泊まりする家族。

 学校に通い、子供としての権利を十分に発揮すべきときに、お菓子を売ったり、お金を無心する子供たち。

 信号待ちで「助けてください」と書かれた段ボールの看板を掲げている失業者たち。

 飢えをしのぐための骨を求め、肉屋の門前に並ぶ行列。そして片や、輸入車や自家用ジェット機を購入するための行列も。

 このような社会の深い溝は、真に公正で民主的な社会の構築や、近代的で豊かな経済の実現を阻むものです。

 こういった理由で、副大統領のジェラルド・アルクミンと私は、本日、皆さんとすべてのブラジル国民の前で、あらゆる形態の不平等と日夜闘う任務に取り掛かります。

 所得、性別、人種における不平等。雇用市場、政治的代表権、国家公務員の経歴における不平等。健康、教育、その他の公共サービスを受けることにおける不平等。

 最高の私立学校に通う子供と、学校も未来もなくバス停で靴磨きをする子供との間の不平等。贈られたばかりのおもちゃに喜ぶ子供と、クリスマスイブに飢えで泣く子供との間にある不平等。

 食べ物を捨てる人と残飯しか食べない人の間の不平等。

 受け入れがたいのは、この国の5%の富裕層が他の95%の所得と同じだということです。

 ブラジルの億万長者6人が、国内の最貧困層1億人の資産に匹敵する財産を持っています。

 最低賃金労働者が、超富裕層が1ヶ月で収入と同じ金額を受け取るには19年かかるということ。

 そして、高級車の窓を開けたとき、陸橋の下に身を寄せ、何一つ持たない兄弟姉妹たちが目に入らないとしても、そんなことは意味がありません。現実は、身近などんな街角にもあるのです。

友よ。

 私たちが偏見や差別、人種差別の中で生き続けることは容認できません。ブラジルは多くの肌の色を持つ国であり、すべての人が同じ権利と機会を持つべきです。

 誰一人、二流市民にはさせません。誰一人も国家からの支援に差がつけられることをなくします。誰一人として肌の色の違いで直面する困難に差が出ることをなくします。

 そのため、私たちは人種平等省を再興し、奴隷制の過去の悲劇的な遺産を葬り去ろうとしているのです。

 先住民族は、自分たちの土地に線が引かれる違法で略奪的な経済活動の脅威から解放される必要があります。また、彼らの文化を守り、尊厳に敬意を払い、その持続可能性を保証する必要があります。

 彼らは開発の障害ではなく、河川や森林の守護者であり、国家としての偉大さの根幹を成す存在なのです。だからこそ私たちは、500年にわたる不平等と戦うために、先住民族省を設立するのです。

 私たちは、女性へ憎しみに満ちた抑圧をそのままにしておくことはできません。女性たちは街頭や家庭で日々暴力にさらされています。

 同じ仕事をしているのに、女性が男性より低い給料をもらい続けているのは受け入れがたいことです。政治、経済、あらゆる戦略的分野において、女性にこの国の意思決定機関でより多くの活躍の場を確保する必要があります。

 女性はなりたいものになり、いたい場所にいなければなりません。そのために、私たちは女性省を復活させるのです。

 私たちが選挙に勝利したのは、不平等とそれが引きずるものと戦うためでした。そして、それが私たちの政府の偉大な証となるのです。

 この根本的な戦いから、変貌した国が生まれるでしょう。偉大で、繁栄し、強く、公正な国。万人の、万人による、万人のための国。誰一人置き去りにしない、寛大で連帯感のある国です。

親愛なる同志たち、親愛なる仲間たち

 私は、すべてのブラジル人を大切にします。特にそれを最も必要としている人たちを大切にすることを再度約束します。この国の飢餓はもう一度終わらせるのです。貧しい人々を骨と皮の状態から、きちんと予算の恩恵に浴する状態に戻すのです。

 私たちは、計り知れない遺産を持っています。それはブラジル人一人ひとりの記憶の中に今も生きています。この国に革命をもたらした公共政策の受益者であろうとなかろうと関係ありません。

 私たちは過去に生きることに興味はありません。ですから、懐旧(ノスタルジー)とは距離を置きます。私たちの遺産が、常に、私たちがこの国のために築き上げる未来を映し出す鏡となります。

 歴代政権下で、ブラジルは記録的な経済成長と、歴史上最大の社会的包摂を両立させました。世界第6位の経済大国となり、同時に3600万人のブラジル人が極度の貧困から脱け出しました。

 私たちは、署名入りの労働カードとすべての権利が保証された2,000万人以上の雇用を創出しました。私たちは、最低賃金を常にインフレ率以上に再調整しました。

 私たちは、ブラジルを商品や原材料だけでなく、知性や知識の輸出国にするために、幼稚園から大学までの教育への投資において記録を更新しました。

 私たちは、高等教育の学生数を2倍以上に増やし、この国の貧しい若者たちにも大学の門戸を開きました。白人の若者も、黒人の若者も、先住民の若者も、大学の学位は手の届かない夢だったのが、医者になったのです。

 私たちは、不平等を大きな争点の1つと戦いました。健康になる権利です。なぜなら、生命に対する権利は、銀行にあるお金の量を人質とすることはできないからです。

 私たちは、薬を必要とする人々に薬を提供する「大衆薬局」と、大都市の郊外や遠隔地に住む約6,000万人のブラジル人に医療を提供する「もっと多くの医師を!」を創設しました。

 私たちは、すべてのブラジル人の口腔内を大事にするために、「笑顔のブラジル」を創設しました。

 私たちは、SUS(「スス」、健康保険制度)という我が国唯一の健康制度を強化しました。そして、この機会に、パンデミック時のSUSの専門家たちの偉大な仕事ぶりに特別な感謝を捧げたいと思います。彼らは、致死的なウイルスと無責任で非人道的な政府に同時に勇敢に立ち向かいました。

 私たちの食卓に届く食料の70%を担っている家族農業と中小農家に、私たちは政府として投資しました。そして、毎年、いろいろな投資先を確保し、記録的な収穫を得る農業経営を無視することなく、これを実行しました。

 気候変動を抑制するための具体的な対策を講じ、アマゾンの森林伐採を80%以上減らしました。

 ブラジルは、不平等や飢餓との闘いにおいて世界の基準としての地位を固め、その積極的で誇り高い外交政策によって国際的に尊敬されるようになりました。

 私たちは、国の財政に責任を持ちながら、これをすべてやり遂げることができました。私たちは、公金に対して無責任なことは決してしていません。

 毎年財政を黒字化し、対外債務を解消し、約3700億ドルの外貨準備を積み上げ、国内債務をほぼ半分に減らしました。

 私たちの政府では、これまでも、これからも、(無駄な)支出は一切ありません。私たちは、これまでも、そしてこれからも、最も貴重な財産であるブラジル国民に投資していきます。

 残念ながら、13年間で築いたものの多くは、その半分以下の時間で破壊されてしまいました。まず、2016年のディルマ大統領に対する政権転覆工作(クーデター)によって。そして、国土破壊を進めた政府の4年間の遺産を歴史が許すことは絶対にないでしょう:

① 70万人のブラジル人がCovidで死亡しました。

② 1億2500万人の人々が、中程度から極度の食料不足で苦しんでいます。

③ 3300万人の人々が飢えようとしています。

 これはほんの一部の数字に過ぎません。実際は単なる数字、統計、指標では収まりません。みんな人間なのです。悪政の犠牲となった男性、女性、そして子どもたちです。その悪政も2022年10月30日という歴史的な日に、ついに国民によって倒されました。

 2カ月にわたって前政権の中枢を探った移行内閣の専門部会は、悲劇の実像を明らかにしました。

 この数年間、ブラジル国民が被ったのは、ゆっくりと進行する大量虐殺の積み重ねでした。

 その例として、移行内閣が作成した、まさに混沌(カオス)のような状態を記録した100ページに及ぶこの報告書から少し引用してみます。報告書にはこう書かれています:

 「ブラジルは女性殺人の記録を更新し、人種平等政策は深刻な挫折を味わい、若者政策が廃止され、先住民の権利がこれほどまでに侵害されたことは、最近の歴史上なかった。

 2023年度から使用される教科書はまだ出版されておらず、Farmácia Popular(大衆薬局)では薬が不足し、COVID-19の新型に対応するワクチンの在庫もない。

 学校給食の購入資金が不足し、大学では学期を修了できない恐れがあり、民間防衛や事故・災害防止のための資金もない。この停電のツケを払っているのは、ブラジル国民だ。」

 親愛なる友よ、

 この数年間、私たちは間違いなく、歴史上最悪の時代のひとつを生きてきました。影と不安と多くの苦しみの時代。しかし、この悪夢は、国の再民主化以来最も重要な選挙において、主権者の投票によって終わりを告げました。

 ブラジル国民が民主主義とその制度に責任をもっていることを証明した選挙です。

 この民主主義へ向かう途轍もない勝利のおかげでは、私たちは前向きになれます。そして私たちの間の違いを忘れさせてくれます。そんな違いなど私たちを永遠に結びつけるものに比べれば取るに足らないほどちっぽけなものです。すなわちそれはブラジルへの愛であり、私たち国民への壊れることのない信頼です。

 今こそ、希望と連帯、そして隣人への愛の炎を再び燃え上がらせるときです。

 今こそ、ブラジルとブラジル国民を再び大切にする時です。雇用を創出し、最低賃金をインフレ率以上に再調整し、食料の価格を引き下げる時です。

大学にさらに多くのワクチン枠を創り、健康、教育、科学、そして文化に多額の投資をしてください。

 今は消えてしまった前政府の怠慢によって放棄されたインフラ工事とMinha Casa Minha Vida(「私たちの家、私たちの生活」)*を再開してください。
*2009年3月にルーラ政権によって創設されたブラジルの連邦住宅プログラム。所得が1,800レアルまでの家庭には自分の家またはアパートの取得を補助し、所得が9,000レアルまでの家庭には物件の入手条件の敷居を下げる。 2018年、カイシャ・エコノミカ・フェデラル紙は、この事業によって1,470万人が物件を購入したと報告している(ブラジル人口の7%)。(ウィキペディア)

 今こそ、投資を呼び込み、ブラジルを再工業化する時です。気候変動と再び戦い、バイオマス(生物の総量)、特にアマゾンの荒廃をきっぱりと止めましょう。

 国際的な孤立状況を打破し、世界のすべての国との関係を回復します。

 不毛な恨みを抱いている場合ではありません。今こそ、ブラジルは前を向き、再び微笑む時なのです。

 このページをめくり、私たちの歴史に新しい決定的な章を共に刻もうではありませんか。

 私たちの共通の課題は、すべてのブラジル人のために、公平で、包括的で、持続可能で、創造的で、民主的で、そして主権を持った国家を作ることです。

 私は選挙期間中、ずっと言い続けてきました。ブラジルにはやり方がある。そして、移行内閣が明らかにした破壊を前にしても、私はもう一度、確信を持って言います:

 ブラジルは良い国です。それは私たち、私たち全員にかかっています。

 私は任期の4年間、350年以上にわたる奴隷制の後進性を克服する努力を、ブラジルのために、毎日尽くしてゆきます。この数年間に失われた時間と機会を回復させます。世界におけるブラジルの地位を回復させます。そして、ブラジル人一人ひとりが再び夢を見る権利を持ち、その夢を実現する機会を得られるようにします。

 ブラジルを再建し、変革するために、みんなで力を合わせる必要があります。

 この国を不平等にしているすべてのものに対して全力で戦ってこそ、この国を本当に立て直し、変革することができるのです。

 この課題は、一人の大統領や一国の政府だけが担うべきものではありません。社会全体を巻き込んだ不平等に対する広範な戦線を形成することが急務であり、必要なのです:

 労働者、企業家、芸術家、知識人、知事、市長、議員、組合、社会運動、階級団体、公務員、リベラルな(個人の自由を重んじる)専門家、宗教指導者、そして一般市民から成る広範な戦線です。

 団結と再建の時です。

 だからこそ私は、より公正で強固な、そして民主的なブラジルを望むすべてのブラジル人に、不平等に対する大きな集団的努力に参加するよう呼びかけるのです。

 最後に、皆さん一人ひとりにお願いします。今日の喜びが、明日の、そしてこれから来るすべての日の戦いの原材料となりますように。今日の希望が、すべての人に分け与えられるパン種となりますように。

 そして、民主主義を妨害し破壊しようとする過激派によるいかなる攻撃に対しても、平和と秩序のもとに、常に対応できるようになりますように。

 ブラジルのための戦いにおいて、私たちは敵が最も恐れる武器、すなわち嘘を克服した真実、恐怖を克服した希望、そして憎悪を克服した愛を用いるでしょう。

ブラジル万歳。そして、ブラジル国民よ、万歳。

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ルーラ大統領の国民会議に向けた就任演説(2023年1月1日)

 私は、この国民議会に出席するのは3回目です。ブラジル国民の皆様からいただいた信任に感謝します。私は、ジェラルド・アルクミン副大統領と、ブラジルのために共に働いてくれる閣僚たちとともに、共和国憲法への忠誠を誓う気持ちを新たにしています。

 私たちが今日ここにいるのは、ブラジル社会の政治的良心と、この歴史的な選挙戦を通じて私たちが形成した民主主義的戦線のおかげです。

 今回の選挙では、民主主義が偉大な勝利者でした。かつてないほど大規模な官民を動員した動きに打ち克ちました。それは投票の自由に対する最も暴力的な脅威でした。有権者を操作し困惑させるために企てられた最もひどい嘘と憎悪に満ちた運動でした。

 国家の資源が、権威主義的な権力事業のためにこれほど流用されたことはありませんでした。公共の機械がこれほどまでに共和制の支配から脱線させられたことはありませんでした。有権者が経済力と産業規模で流布される嘘によって、これほどまでにがんじがらめになったことはありませんでした。

 あらゆる(困難な)状況にもかかわらず、投票箱の判断が全国に広まったのは、投票の捕捉と集計の効率性において国際的に認められている選挙制度のおかげでした。司法、特に上級選挙裁判所の勇気ある態度は、投票箱の真実がその反対者の暴力に打ち勝つための基本的なものでした。

下院議員のみなさま、

 私は、1988年の憲法制定議会に参加したこの下院本会議に戻り、国民の利益と国家主権のために、社会的、個人的、集団的権利の最も幅広い枠組み憲法に記すために、民主的にここで戦った闘争を、感動をもって思い起こします。

 20年前、私が初めて大統領に選ばれた時、副大統領のジョゼ・アレンカル氏とともに、就任演説を「変革」という言葉で始めました。私たちが意図した変革は、憲法上の教訓を具体化することでした。まず、飢餓のない、尊厳ある生活を営む権利、雇用、健康、教育が確保できるようにすることです。

 私はその時、「ブラジルのすべての男女が1日3食を食べられるようになれば、私の人生の使命は達成される」と言いました。

 今日、この約束を繰り返さなければならないのは、克服していた惨状が進み、飢餓が復活している中にあって、近年、この国に押し付けられている荒廃の最も深刻な事態と言ってもいいからなのです。

 今日、私たちがブラジルに伝えるメッセージは、希望と再建です。1988年以来、この国が築き上げてきた権利、主権、および開発という偉大な建造物は、近年、組織的に取り壊されてしまいました。私たちは、この権利と国家の価値という建物を再建するために、あらゆる努力を傾けるつもりです。

紳士、淑女のみなさま、

 2002年、私たちは、希望が恐怖に勝ったと言いました。それは労働者階級の代表が国の運命を司るという前例のない選挙に直面し、恐怖を克服したという意味でした。8年間の政権運営で、私たちは恐怖が杞憂であることを明らかにしました。そうでなければ、私たちは再びここにいることはないでしょう。

 労働者階級の代表が、持続可能な方法で、すべての人、特に最も貧しい人々の利益のために経済成長を促進するために、社会と対話することが可能であることが示されたのです。予算や政府の決定に労働者や最貧困層を含め、最も幅広い社会参加によって、この国を統治することが可能であることが示されたのです。

 今回の選挙戦を通じて、市民権、基本的権利、健康、教育を促進する公共政策が破壊された結果、苦しんでいる人々の目に希望が輝いているのを見ました。私は、寛大な祖国、息子や娘に機会を与える祖国、積極的な連帯が盲目的な個人主義よりも強い祖国の夢を見たのです。

 政府移行局から受けた診断結果は、ひどいものでした。医療資源は枯渇しています。教育、文化、科学、技術は解体されました。環境保護は台無しにされました。学校給食、予防接種、公安、森林保護、社会扶助のための資源は何も残されていません。

 彼らは、経済、公的資金、企業や起業家、外国貿易への支援の運営を混乱させました。国有企業や公的銀行を荒廃させ、国有財産を手放しました。国の資源は、超過利潤を求める人間や公企業の民間株主の強欲を満たすために収奪されました。

 私は、この恐ろしい廃墟の上で、ブラジルの人々とともに、国を再建し、再びすべての人の、すべての人のためのブラジルを作るという決意を固めたのです。

紳士淑女のみなさま、

 私は、このような財政難に直面し、ただ生きていくために国家を必要とする膨大な層の人々を支援できるような提案を国民議会に提出しました。

 下院と上院が、ブラジル国民の緊急な困窮事態に敏感に反応したことに感謝します。権力の調和を歪める事態に直面した連邦最高裁判所と連邦会計検査院の極めて責任ある態度を心に銘記します。

 私がそうしたのは、飢えている人に我慢を求めるのは、公平でも正しくもないからです。

 いかなる国家も、国民の不幸を踏み台にして、立ち上がることはなく、また立ち上がることもできません。

 国民の権利と利益、民主主義の強化、そして国家主権の回復は我々の政府の柱となるでしょう。

 この取り組みは、ボルサ・ファミリア計画の刷新、強化、公平性を保証し、それを最も必要とする人々に奉仕することから始まります。私たちの最初の行動は、3,300万人を飢餓から救い、今日終わりつつある国家破壊の計画の最も重い負担を負っている1億人以上のブラジル人を貧困から救い出すことが目的です。

紳士淑女のみなさま、

 今回の選挙過程は、異なる世界観の対比によっても特徴づけられました。私たちは、国の運命を民主的に定義するための連帯と政治的・社会的参加を中心に据えていました。彼らの中心行動は、個人主義、政治の否定、個人の自由と称する名目で行われる国家の破壊でした。

 私たちが常に守ってきた自由は、尊厳を持って生きる自由、表現、デモ、そして組織の完全な権利を持って生きる自由です。

 彼らが説く自由とは、弱者を抑圧し、相手を虐殺し、文明の法より強い者の法を押し付けるものです。その名は、野蛮です。

 私は、(政治への関わりという)旅を始めた当初から、自分の出自にしっかりとこだわりつつ、自分が形成された政治陣営よりも広い戦線の候補者にならなければならないことを理解していました。この戦線は、この国への権威主義の復活を防ぐために確立されました。

 今日から、情報公開法が再び施行され、「透明の表玄関(Transparency Portal)」がその役割を再開し、公共の利益を守るために共和制的管理が行使されます。私たちは、国家を個人的・思想的な意図に従わせようとした人々に復讐するつもりはありませんが、法の支配を保証します。過ちを犯した者は、正当な法的手続きの下で、被告としての十分な権利を持って、その過ちに答えることになります。ファシズムに扇動された敵に直面して、私たちが受けた負託は、憲法が民主主義に付与する権限を用いて守られるでしょう。

 憎しみには、愛で応えましょう。嘘には、真実で応えましょう。テロと暴力には、法とその最も厳しい結果で対応しましょう。

 再民主化の風の下で、私たちは言いました:独裁はもういらない!と。今日、私たちが克服した恐ろしい試練の後、私たちはこう言わなければなりません:民主主義よ、永遠に!と。

 これら言葉を確かなものにするためには、我が国の民主主義を確固たる基盤の上に再構築する必要があります。民主主義は、憲法に書かれた権利をすべての人に保証する限りにおいて、国民によって守られるものです。

紳士淑女のみなさま、

 本日、私は、行政機関の構造を再編し、政府が再び合理的、共和的、民主的に機能するようにするための措置に署名します。国の発展における国家機関、公的銀行、国有企業の役割を救いあげます。環境的・社会的に持続可能な経済成長の方向へ、官民の投資を計画します。

 27州の知事との対話を通じて、無責任に中断された建設計画を再開するための優先順位を定めます。Minha Casa, Minha Vida (公共住宅事業)を再開し、ブラジルが必要とする速さで雇用を創出するための新しいPACを構築します。国内消費市場の活性化と拡大、貿易、輸出、サービス、農業、工業の発展のために、国内外を問わず、投資への融資と協力を求めていきます。

 この新しい循環(サイクル)では、BNDES(ブラジル国立経済社会開発銀行)を中心とする公的銀行と、成長と技術革新を誘発するペトロブラス*のような企業が基本的な役割を果たすことになるでしょう。同時に、雇用と所得の最大の担い手である中小企業、起業家精神、協同組合主義、創造経済を後押ししていきます。
*ブラジルの国営石油会社

 経済の歯車は再び回り始め、その中心的な役割を果たすのが国民の消費活動です。

 私たちは、最低賃金の恒久的評価方針に戻ります。そして、いいですか、INSS(国立社会保障院)に行列を作らなければならないあの恥ずべき状態に、もう一度終止符を打つことを確約します。私たちは、政府、組合中央、企業の三者構成で、新しい労働法について対話を行うつもりです。社会的保護とともに雇用の自由を保証することは、この時代における大きな課題です。

紳士淑女のみなさま、

 ブラジルという国は、その潜在的生産力を放棄するには大きすぎます。燃料、肥料、石油プラットホーム(利用環境施設)、マイクロプロセッサー(極小電子部品)、航空機、そして人工衛星などを輸入するのは意味がありません。産業化とサービスの提供を競争力のある水準で再開するための技術力、資本、そして市場は十分にあります。

 ブラジルは世界経済の最前線に立つことができますし、そうあるべきです。

 技術革新を支援し、官民の協力を促し、科学技術を強化し、適切な費用での資金調達を保証する産業政策によって、デジタル移行を明確にし、ブラジルの産業を21世紀に導くことは、国家の責任であると言えるでしょう。

 未来は知識産業に投資する人たちのものであり、科学技術革新省、民間・国立銀行、研究推進機関とともに、生産部門、研究所、大学との対話で計画された国家戦略の目標となるでしょう。

 他のいかなる国も、ブラジルが持っているバイオエコノミー(生物経済)の創造性と生物多様性に基づく環境大国となるための条件を持っていません。私たちは、持続可能な農業と鉱業、より強力な家族農業、より環境に優しい産業へのエネルギーと生態系の移行を開始します。

 私たちの目標は、アマゾンの森林破壊をゼロにし、劣化した牧草地の再利用を促進するとともに、電気生成部門で温室効果ガスの排出をゼロにすることです。ブラジルは、戦略的農業の先進性を維持・拡大するために、森林伐採をする必要はないのです。

 私たちは、土地での繁栄を奨励します。創造し、植え、収穫する自由と機会は、これからも私たちの目標であり続けます。私たちが認めることができないのは、それが無法地帯になるということです。私たちは、力を持たない人々に対する暴力、森林伐採、環境破壊を許さないでしょう。それらはすでにこの国に多くの害を与えてきています。

 これが、先住民族省を設立した理由のひとつですが、それだけではありません。太古の昔からここにいる人たちほど、私たちの森を知り尽くし、森を守ることができる人はいないのです。区画整理された土地は、それぞれ環境保護のための新しい領域です。このようなブラジル人に対し、私たちは敬意を払わなければならないし、歴史的な負債を負っています。

 先住民族に対して行われたすべての不正を撤回しましょう。

紳士淑女のみなさん、

 国家は、それがどんなに強い印象を私たちに与えようと、統計だけでは計れません。人間と同じように、国家はその国民の魂によって真に表現されるものです。ブラジルの魂は、私たち国民の比類なき多様性と、その文化的表現にあります。

 私たちは文化省を再創設し、近年啓蒙主義によって妨害されていた文化財を大事にしようとする機運と文化財に近づく権利に関する政策をもっと力を入れて再開させたいと思っています。

 民主的な文化政策は、批判を恐れたり、自分のお気に入りだけを選んだりすることはできません。すべての花を咲かせ、創造性の果実を収穫し、検閲や差別なしに、誰もがそれを楽しむことができるようにしましょう。

 アフリカの祖先の汗と血で築かれた国で、黒人と褐色肌の人々が貧しく抑圧された多数派であり続けることは容認できません。私たちは、人種平等推進省を創設し、健康、教育、文化における黒人と褐色肌の人々のための政策の再開に加え、大学や公務員における定員割り当て制の政策を拡大しています。

 同じ仕事をしても、女性の賃金が男性より低いのは容認できません。男性中心の政治の世界で、女性が認められないことも、容認できません。女性が街頭や職場で平気で嫌がらせをされることも、容認できません。女性が家庭の内と外で暴力の犠牲になっていることも、容認できません。私たちはまた、ここ何世紀も続く不平等と偏見の牙城を取り壊すために、女性省を再創設しています。

 一人の人間だけが悪者にされる国には、真の正義は存在しないでしょう。人権省は、すべての市民が、公的・私的サービスの確保、偏見からの保護、公権力からの保護において、その権利を尊重されるように保証し、行動する責任を負うことになります。市民権とは、民主主義の別名です。

 法務・公安省は、平和が最も必要とされる場所において、連合体の権限と組織を調和させ、平和を促進するための行動を起こします。すなわち、それは貧しい地域社会においてであり、組織犯罪や民兵、暴力の被害を受けやすい家族の内部においてです。暴力がどこから来るのかは問いません。

 私たちは、ブラジルの家庭に多くの不安と害をもたらした、武器と弾薬の入手を拡大する政令を撤回します。ブラジルは武器を増やしたいのではなく、国民のために平和と安全を望んでいるのです。

 神の庇護のもと、私は、ブラジルでは、信仰はすべての家庭、さまざまな寺院、教会、礼拝に存在することができることを再確認し、この任務を開始します。この国では、誰もが自由に宗教性を発揮することができるのです。

紳士淑女のみなさま、

 もう終わろうとしていますが、Covid-19の大流行は歴史上最も大きな悲劇のひとつでした。ブラジルほど、人口比で死亡者数が多い国は他にありません。ブラジルは、単一保健制度の能力により、健康上の緊急事態に最もよく対処できる国の一つです。

 この逆説は、否定論者政府の犯罪的な態度、反啓蒙主義、生命への無頓着さによってのみ説明できます。この大量虐殺の責任は明らかにされなければならないし、罰せられないで済ますことはできません。

 今、私たちにできることは、パンデミックの犠牲となった約70万人の親族、両親、孤児、兄弟、姉妹に連帯することです。

 SUS(健康保険機構)は、1988年の憲法で作られた機関の中で、おそらく最も民主的な機関です。そのため、それ以来最も迫害され、また、支出上限と呼ばれる馬鹿げた制度によって最も損害を受けてきました。この制度は撤回されなければなりません。

 私たちは、基本的な医療を保証するために保健医療予算を回復させ、大衆薬局、専門医療の確保を促進するつもりです。教育予算を再建し、大学の増設、技術教育、インターネット利用の普遍化、保育所の拡大、全日制の公教育への投資を行います。これこそ、真に国の発展につながる投資です。

 私たちが提案し、投票によって承認された形は、責任、信頼性、予測可能性への取り組みを必要とし、私たちはそれをあきらめることはないでしょう。予算、財政、金融の現実主義、安定性の追求、インフレの抑制、契約の尊重をもって、私たちはこの国を統治してきました。

 他のやり方はありえません。それをさらにもっとよいものにしなければならないでしょう。

紳士淑女のみなさま、

 今回の選挙では、世界の目がブラジルに注がれていました。ブラジルが再び気候危機との闘いにおける主導者となり、民主的な手順を踏みながら、所得分配を伴う経済成長を促進し、飢餓と貧困と闘うことができる、社会的・環境的に責任ある国の模範となることを、世界は期待しています。

 メルコスール*をはじめとする南米統合の再開、ウナスール**の再活性化など、この地域における主権的な協調の事例を通じて、私たちが主人公たらんとする姿勢は具体化されるでしょう。その上で、米国、欧州共同体、中国、東欧諸国などの主要国との誇りある活発な対話が可能となるでしょう。BRICSの強化です。アフリカ諸国との協力です。そして我が国が追いやられている孤立を打破することが可能になるのです。
*1991年のアスンシオン条約と1994年のウロ・プレト議定書により設立された、南アメリカの貿易圏である。 日本語では、南米南部共同市場または南米共同市場と訳される。日本の外務省やJETRO、JICAなどは、前者を用いることが多い。 アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイが正加盟している。(ウィキペディア)
**南米諸国連合(UNASUR: スペイン語: Unión de Naciones Suramericanas)は、2007年に結成された「同一通貨、同一パスポート、一つの議会」を目指す南アメリカの政府間機構。南米国家共同体ともいう。事務局はエクアドルのキト、南米議会はボリビアのコチャバンバ、南米銀行(英語版)はベネズエラのカラカスに所在。2010年代に入ると組織を牽引してきた各国のリーダーが相次いで退陣。国際会議の開催が行われなくなった上に複数の加盟国が脱退したため、組織として停滞傾向にある。(ウィキペディア)


 ブラジルは自国の支配者、運命の支配者にならなければなりません。主権国家に戻らねばならないのです。私たちは、アマゾンの大部分と広大なバイオマス(生物総量)、大規模な帯水層、鉱床、石油、クリーンなエネルギー源に対して責任を負っています。主権と責任によって、私たちはこの偉大なものを人類と共有することができるのです。連帯です。絶対に従属ではありません。

 ブラジルの選挙から導き出された意義として、ついに、(ブラジルという)民主主義の模範とも言える国が直面してきた様々な脅威が目に見えてきました。地球上のいたるところで、権威主義的な過激派の波が、透明な統制の及ばない技術的手段によって憎悪と嘘を広めながら、その形を明確にしています。

 私たちは表現の自由を完全に守り、信頼できる情報を入手できる民主的な事例を作り、憎しみと嘘の毒を接種する手段の責任を追及することが急務であると認識しています。これは、戦争、気候危機、飢餓、地球上の不平等を克服するのと同様に、文明の課題です。

 私は、ブラジルと世界のために、政治がその最高の意味において、そしてそのあらゆる限界にもかかわらず、異なる利害の間の対話と合意の平和的構築のための最良の方法であるという確信を再確認するものです。政治を否定し、政治の価値を下げ、犯罪化することは、専制政治への道につながります。

 私の最も重要な使命は、今現在、私が受けた信頼を守り、未来や困難を克服する能力への信頼を決して失わない、苦しんでいる人々の希望に応えることです。国民の力と神のご加護のもと、私たちはこの国を再建していきます。

民主主義、万歳!

ブラジル国民、万歳!

ご清聴ありがとうございました。

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翻訳:Internationalist 360°

CIAがブラジルで「マイダン蜂起」を企てた理由

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Why the CIA attempted a‘Maidan uprising in Brazil
The failed coup in Brazil is the latest CIA stunt, just as the country is forging stronger ties with the east.

失敗に終わったブラジルでのクーデターは、CIAの最新の策略である。それは、ブラジルが東側と強い絆を築こうとしているときに起こった。

筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)

エスコバール

出典:The Cradle

2023年1月10日

出典:The Cradle

<記事翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年1月23日

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 元米国情報当局者は、1月8日にブラジリアで行われたマイダン*の雑な再現がCIAの作戦であることを確認し、イランにおける最近のカラー革命の試みと結びつけた。
*ウクライナで2014年に起こったマイダン・カラー革命を指す。

 日曜日(1月8日)、右派のジャイル・ボルソナロ前大統領の支持者とされる人々が、ブラジルの議会、最高裁、大統領官邸を襲撃し、警備用バリケードが手薄な箇所から侵入し、窓を叩き割り、貴重な絵画などの公共物を破壊しながら、当選したルイス・イナシオ「ルーラ」ダ・シルヴァ大統領を標的とする政権転覆計画の一環として軍事クーデターを呼びかけた。

 米国の情報筋によれば、性急な計画のもと行われたと思われるこの作戦をいま行う理由は、ブラジルがBRICS仲間であるロシア、インド、中国とともに、世界の地政学で再び地位を確立しようとしているからであるという。

 このことは、CIAの計画者たちが、ニューヨーク連銀のクレディ・スイス*銀行の戦略家だったゾルタン・ポズサーの熱心な読者であることを示唆している。ポズサーは、12月27日に発表した「戦争と商品負債」という画期的な記事の中で、「多極化した世界秩序は、G7の首脳ではなく、『東のG7』(BRICS加盟諸国)によって構築されている。なお、"BRICS "は本当はG5とすべきだが、『BRICStantion(拡大BRICS)』が進行しつつあるために、私が勝手に5を7に付け替えた」と述べている。
*クレディ・スイスは、スイス、チューリッヒに本拠を置く世界有数の金融機関
 
 彼はここで、アルジェリア、アルゼンチン、イランがすでにBRICS、いやその拡大版「BRICS+」への参加を申請し、さらにサウジアラビア、トルコ、エジプト、アフガニスタン、インドネシアが関心を示しているという報道について言及した。

 米国の情報筋は、CIAがブラジルで行ったマイダンと、イランで最近行われた一連の街頭デモが、新たなカラー革命の一環としてCIAの手によって行われたことを、並列して説明している。「ブラジルとイランにおけるこれらのCIAの作戦は、2002年にベネズエラで行われた作戦を参考に行われている。このベネズエラの暴動では、暴徒がウゴ・チャベスを拉致することに成功した。」


「東のG7」の登場

 CIAのトップに配置されたシュトラウス派のネオコンは、共和党や民主党といった政治的所属に関係なく、「東のG7」(つまりそれは、近い将来のBRICS+の体制のことだ)が急速に米ドルの軌道から外れていくことに憤慨している。

 米国大統領選への出馬への関心を表明したばかりのシュトラウス派のジョン・ボルトンは、南半球が新たな多極化体制の中で急速に再編成される中、トルコをNATOから追い出すよう要求している。

 ロシアのラブロフ外相と中国の秦剛外相は、中国主導の一帯一路構想(BRI)とロシア主導のユーラシア経済連合(EAEU)の融合を発表したばかりである。これは、21世紀最大の貿易・接続性・開発プロジェクトである「中国新シルクロード」が、さらに複雑になり、拡大し続けていることを意味する。

 このことは、米ドルに代わる新たな国際貿易通貨の導入が、すでに様々な段階で設計されていることを意味している。BRICSの内部での議論とは別に、ユーラシア経済連合(EAEU)と中国との間に設置された協議チームが重要な方向性のひとつとなっている。この協議が終了すれば、BRI-EAEUの友好諸国はもちろん、拡大したBRICS+にも提示されることになる。

 2000年代には、ロシアのプーチン大統領や中国の胡錦濤前国家主席と並んで、自国通貨建て貿易を含むBRICSの役割の深化を提唱したルーラが、途中中断はあったものの、これで三期目となる大統領としてブラジルを率いることは、BRICS+にとって大きな追い風となろう。

 ポズサーが定義した「東のG7」としてのBRICSは、新自由主義者と同様に、シュトラウス派のネオコンにとっても忌み嫌われる存在であることは言うまでもない。

 米国は、ロシアと中国の戦略的パートナーシップによる協調的な行動によって、ゆっくりと、しかし確実により広い意味でのユーラシア大陸から追い出されつつある。

 ウクライナはブラックホールであり、そこでNATOは、アフガニスタンが「不思議の国のアリス」のように見えるような屈辱に直面している。ワシントンから脱工業化を迫られ、米国の液化天然ガス(LNG)を途方もなく高い値段で買わされている弱々しいEUには、帝国が略奪するための必須資源もない。

 地理経済学的には、アメリカから見た「西半球」、特に巨大なエネルギー資源を持つベネズエラが重要な標的となる。そして地政学的には、この地域の主役はブラジルである。

 国際法や主権概念とは無関係に、ワシントンが 「我々の裏庭」と呼び続けるラテンアメリカで、中国やロシアの貿易拡大や政治的影響力を阻止するためにあらゆる手段を講じるのが、シュトラウス派のネオコンである。新自由主義があまりにも「あらゆるものを含み」、シオニストが鉤十字をつけるような時代で、モンロー主義*が強化されて復活したのである。
*モンロー主義とは、1823年、ジェームズ・モンローによって提唱され、アメリカ合衆国が、ヨーロッパ大陸に対して、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸の相互不干渉を提唱したことを指す。


すべては「緊張の戦略*」のため

*緊張の戦略とは、極右勢力や極左勢力の暴力を止めるのではなく、むしろ奨励することにより、市民たちに強力な政府を受け入れさせる戦略のこと。1960年代から1980年代にイタリアで取られた戦略として知られている。

 例えば、ブラジルのマイダンの手がかりは、フォートゴードン基地の米陸軍サイバー司令部で得ることができる。最近の大統領選挙を前に、CIAがブラジル全土に何百人ものスパイを配備したことは周知の事実であり、「緊張の戦略」の脚本に忠実だった。

 CIAの通信は2022年半ばからフォートゴードンで傍受されていた。そのときの主要目的は、『ルーラは不正行為によってしか勝てない』という話を広めることだった。

 CIAの作戦の主要な標的は、あらゆる手段でブラジルの選挙結果の信用を失墜させ、現在解明されつつある、あらかじめ用意されていた以下のような話に道を開くことであった。その話とは、敗北したボルソナロがブラジルから逃げ出し、ドナルド・トランプ前米大統領のマー・ア・ラゴ邸に避難するというものだ。実際、スティーブ・バノンの助言を受けたボルソナロは、ルーラの就任式を欠席してブラジルを脱出したが、それは遅かれ早かれ刑務所に入るかもしれないことを恐れているからであった。ところで、彼はマー・ア・ラゴではなく、オーランドにいる。

 かつてマイダンで挙げた成果にさらに味付けを加えたものが、この日曜日に起こったことだったのだ。CIAは、ブラジリアで2022年1月8日に起こったことを、2021年1月6日にワシントンで起こったこと(訳者:トランプ支持者たちによる米国国会議事堂襲撃事件)の映し鏡であるかのように工作したのだ。そしてもちろん、ボルソナロとトランプの間につながりがあることを人々の心に刻み込む目的もあった。

 ブラジリアの1月8日の手口の素人っぽさは、CIAの計画者たちが自分たちの筋書きで道に迷い込んでしまったことを示唆している。この茶番劇は、予想できるものであったはずだ。ポズサーの記事は、ニューヨークとワシントン政界を行き来している人なら誰でも読んでいるはずだから。

 はっきりしているのは、米国の強力な支配階級の一部の派閥にとって、何としてもトランプを排除することは、BRICS+におけるブラジルの役割を潰すことよりも重要だということである。

 「ブラジルのマイダン」の内部要因について言えば、小説家ガブリエル・ガルシア・マルケスの言葉を借りれば、すべてが「予言されたクーデターの年代記」にのっとって語られ、ことが進んでいたのである。特に、ソーシャルネットワーク上でこの事件を示唆する津波のような投稿があったことを考えれば、ルーラ周辺の治安組織がこれらの出来事を予見できなかったはずはない。

 だから、穏便に行動しようとする申し合わせがあったに違いない。そして、何かあったときの予防として、大きな棍棒を用意しておくこともしなかったのだ。ただ、新自由主義的ないつものおしゃべりだけが聞こえてきたのだ。

 何しろ、ルーラ内閣は閣僚の衝突が絶えず、数カ月前にはボルソナロを支持していた勢力がいるなど、混乱状態にある。ルーラは「国民統合政府」と呼んでいるが、どちらかといえば、つぎはぎ細工のようなものである。

 世界的に著名な物理学者で、NATO諸国での長期滞在を経て帰国したブラジル人分析家のクアンタム・バードは、「あまりにも多くの役者が登場し、あまりにも多くの利害が対立している」ことを指摘している。ルーラの閣僚の中には、ボルソナール支持者、新自由主義者、気候変動への介入主義者、アイデンティティ政治*の実践者、政治的新参者、社会運動家など、ワシントン帝国の利益とうまく連携している人たちが大勢いる」。
*ジェンダー、人種、民族、性的指向、障害などの特定のアイデンティティマイノリティーに基づく集団の利益を代弁して行う政治活動。(Wikipedia)


CIAに扇動された「過激派」が徘徊する

 もっともらしい筋書きの一つは、ブラジル軍の強力な部隊が、いつもはシュトラウス派のネオコン・シンクタンクやグローバル金融資本に仕えているが、国民の大規模な拒絶反応を考えると本当のクーデターを起こすことができず、せいぜい「ソフトな」茶番劇で済ませなければならなかったということである。このことは、この自己顕示欲が強く、腐敗しきった軍部が、いかにブラジル社会から孤立しているかを物語っている。

 クオンタム・バードが指摘するように、深く憂慮すべきことは、1月8日を非難することで各方面が一致した一方で、誰も責任を取らなかったことだ。これは、「研ぎ澄まされた珊瑚と飢えた鮫がはびこる浅瀬で、ルーラが事実上一人で航海していることを示している」という。

 ルーラの立場は、「自分の政府や関係当局の強力な支援もなく、たった一人で連邦政府の介入を決定したことは、即興的で無秩序で素人臭い対応を示している」ともバードは付け加えている。

 CIAが煽った「過激派」が何日も前からソーシャルメディアで公然と 「抗議」を組織していた後で、このようなことが起こったのだ。

 CIAの古い手口は相変わらずである。南半球で指導的な立場にある国のひとつであると誰もが認めるブラジルを転覆させることがこんなに簡単にできることは、いまだに信じられないことである。2021年初頭のカザフスタンや、ほんの数ヶ月前のイランを思い出してほしい。

 ブラジル軍の自己顕示欲の強い一派は、自分たちが国を支配していると信じているかもしれないが、もしルーラを支持する多くの大衆が1月8日の茶番劇に対して全力で街頭に出れば、軍の無力さが図らずも刷り込まれてしまうだろう。そして、これはCIAの作戦であるから、指示を出しているCIAは、手下である熱帯の国のブラジルの軍に、知らぬ存ぜぬを演じるように命令するだろう。

 残念ながら、未来は不吉である。米国の体制は、中国に次ぐ最高の潜在力を持つBRICS経済圏にあるブラジルが、ロシアと中国の戦略的友好関係と同調して、全面的に復活することを許さないだろう。

 ブラジルを含む「東のG7」が、世界の帝国支配が消え、米ドルの宗主権を終わらせる動きを見せれば、地政学的ジャッカルとハイエナとして認定されているシュトラウス派のネオコンと新自由主義者は、さらに凶暴化するだろう。

バイデンは、ブラジルのルーラ大統領失脚作戦に躊躇

<記事原文 寺島先生推薦>

Biden Stoops to Conquer Brazil’s Lula

筆者:M.K.ブドラクマル(M. K. BHADRAKUMAR)

出典: INTERNATIONALIST 360°

2021年1月12日

<記事翻訳:寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月19日

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 ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領が政権に復帰したことで、ラテン・アメリカの経済発展における上位7カ国のうち6カ国において、左派が指導者となる状況が生まれた。

 1月9日(日)にブラジリアで起こった悲喜劇的な「暴動」は、突然終わりを迎えることになった。世界中から非難の声があがり、ことさらバイデン政権がこの抗議運動参加者に対して素っ気ない態度を示し、距離を取ろうとした時点で、この暴動の運命は決したのだ。たしかに、この暴動は「内戦」などではない。ただこの先、ブラジルでどんな新しい抗議活動が起こるかについては、予断を許さないところではある。

 この事件は、ラテン・アメリカにとっては警戒すべきものだ。というのも、「ピンクの波」の勢いが再び上昇しているからだ。ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領が先週(1月第1週)、政権に復帰したことで、ラテン・アメリカの経済発展における上位7カ国のうち6カ国において、左派が指導者となる状況が生まれた。しかしその振り子は激しく揺れ続けていて、ルーラの勝利は非常に僅差のもとでの勝利だった。

 政治的分極化の動きにより、ラテン・アメリカでの民主主義は弱体化しつつあり、多くの人々にとって妥協を尊重することがより難しくなっている。1980年代以来、ケインズ経済学に取って代わってワシントン・コンセンサス*が世界を席巻したことで、米国の意思が幅をきかせるようになり、ラテン・アメリカ諸国はドル建てで借金をし、自国の資本収支を自由化することで、外国の投資家の気を引く傾向が出てきた。
*ワシントン・コンセンサス----新古典派経済学の理論を共通の基盤として、米政府やIMF、世界銀行などの国際機関が発展途上国へ勧告する政策の総称。構造調整政策もその1つである。市場原理を重視するところに特徴がある。貿易、投資の自由化、公的部門の民営化、政府介入を極小化すること、通貨危機に対しては財政緊縮、金融引き締めを提言する。

 「ピンクの波*」は、このような失われた時代が温床となり起こったものだ。この時代には、ラテン・アメリカで新自由主義の嵐が吹き荒れたことで、経済は停滞し、貧困が広がり、社会や経済上の分断が深まった。すでにラテン・アメリカは、世界で最も不平等な地域となっていて、不労所得生活者階級が出現し、クーデターや武力闘争が生じている。ラテン・アメリカが必要としているのは、発展に向かう新しい手本であり、公正で持続可能な成長の手本だ。例えば、国家主導による産業化や地域の統合などだ。
*ピンクの波(pink tide)----ラテン・アメリカにおいて左派政権の成立が続くことによる地域の左傾化の現象を、「ピンク・タイド」と称する。「共産化」するほど過激ではないことからレッドではなくピンクという表現を用いている。1999年のベネズエラでのチャベス政権の成立後、2000年にチリのラゴス政権、02年にブラジルのルーラ政権、05年にボリビアのモラレス政権、06年にエクアドルのコレア政権と続々と左派系政権が成立し、「ピンク・タイド」と呼ばれた。

 ラテン・アメリカ経済はもはや米国に束縛されておらず、現在友好関係を結ぶ相手を模索しているところだ。ただし、米国政府がこれまでの歴史で見せていたような、自国の利益だけを考える隣国ではなくなった、と考えるのは甘すぎる。地質学や地理学がラテン・アメリカの運命には絡み合ってくるからだ。

  先日のガーディアン紙の社説面には、ラテン・アメリカは、世界の電池で使われるリチウムと白金の6割を生産しており、さらに世界最大の石油埋蔵量を誇る中、米国は「棍棒」外交を行おうとしていると記載されていた。この「棍棒」とは、テディ・ルーズベルトの有名な「棍棒を携え、穏やかに話す」という言葉から借用したものだ。1901年の演説で、米国の外交政策を述べた際に放ったことばだ。

 しかし、ラテン・アメリカの状況は驚異的に変わった。中国共産党中央委員会党歴史・文学研究所の研究員であるジン・チェンウェイが11月に書いていた通り、「地政学の観点からいけば、米国はラテン・アメリカを自国の影響下にある地域と見ていて、米国はラテン・アメリカに対する影響力をいつでも利用できると考えている。1980年代に米国は、ラテン・アメリカを、新自由主義推進の「実験場」として利用していた。その新自由主義に代わるものを模索する動きが、近年ラテン・アメリカで左翼の波が引き起こされている原動力となったのだ。この左翼の波は大きな成果を見せており、ラテン・アメリカでは地域統合の動きが促進され、逆に米国の影響力は弱められている。この動きの根っこにあるのは、米国の覇権主義に対する抵抗の経験が積み重ねられてきたことだ。新自由主義の導入が失敗に終わり、新自由主義に反対する風潮が、現在ラテン・アメリカで左傾化の流れを起こしている基本的な原因であり続けている。」

 米国の政治が米国のリベラル民主主義の弱点を明らかにしつつある危機の中で、いま、ラテン・アメリカ諸国が非西側の窓口を模索する動きが強まっていることは疑いがない。さらに、Covid-19に対する効果も意味もない対応が、資本主義をもとにした発展の弱点を明らかにした。サンパウロ・フォーラムや世界社会フォーラムが、新しい発信場として機能しつつある。

 前回大統領職を2期つとめた際、ルーラ氏は国民に対して、政治に参加するよう励まし、社会保障面の支出の拡大や非常に重要な経済部門への投資を行いながらも経済発展を調整し、国内労働者に対する規制を導入し、労働者には援助を与え、賃金を向上させ、雇用拡大により公正な社会作りを促進し、国際的な取り組み作りにも積極的に参画してきた。

 現在、ルーラ氏のもっとも大きな課題は、ブラジル社会が左翼と右翼に分裂し、異なる政治団体間での対立が存在することだ。もちろん、右翼が主流を占めている議会を再構築する必要があることもそうだ。

 そうとは言え、ルーラ氏はラテン・アメリカでの左派の台頭の波を、新しい頂点に導くことになるだろう。そうなれば間違いなく、キューバやベネズエラなどの左翼諸国家に対する世界からの風向きは改善され、ラテン・アメリカの外交の自立性が強化されることになるだろう。ルーラ氏は政治的な計画について以下のように記している:「私たちが提唱しているのは、新しい国際的な秩序の建設に向けて取り組むことです。その秩序において尊重されるのは、各国の主権や平和や社会的受容や環境的持続可能性などです。まさに、発展途上諸国が必要としているものを考慮に入れた秩序なのです。」

 南米大陸各国の政治的展望において根本的な変化が進行中のようだ。それを特に表しているのが、ルーラ氏がまず外交政策として打ち出した大きな一手だった。それは、ルーラ氏が1月24日にブエノスアイレスで行われるCelac(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体)各国首脳会議への出席を決めたことだ。この会議には、キューバやベネズエラやニカラグアも参加する。この決定は、「分断して崩壊させる」という手口をラテン・アメリカで「通用」させる梃子を見つけるのは難しくなるぞ、という伝言を米国政府に伝えるものなのだ。

 重要なことであるが、バイデン大統領がブラジリアで起こった暴動に対しておこなった非難の口ぶりが、非常に厳しいものであったのだ。その理由には以下の3つの要因が働いたのだろう。一つ目。バイデン政権は、(2021年)1月6日の米国での「国会議事堂暴動事件」と同じようなものであると捉えることが、2024年の大統領選に向かっているバイデンにとって都合が良いと踏んだことだ。ブラジルでの暴動も、米国での暴動も 、保守政治活動協議会に源流を見ることができる。この協議会の定例会には、世界各国の保守派の活動家たちが参加し、米国保守派連盟が主催している。はっきりしていることは、ルーラ氏が極右の炎を押さえ込めるかどうかは、ブラジルやラテン・アメリカにとって非常に要であるだけではなく、米国の政治にとっても重要でありえるという事実だ。

 二つ目。ルーラ氏は暴動の責任者としてアグリビジネス(農業関連業社)に標的を絞っていることだ。環境団体によると、アマゾンで森林破壊や不法な採鉱を行っている人々が、この暴動の裏にいるという。それは、ルーラ氏が環境政策を180度転換させて、マリナ・シルバ、ソニア・グァジャジャラの両氏を大臣に据えたことを受けてのことだ。シルバ大臣は世界的に有名な環境活動家であり、グァジャジャラ大臣は先住民活動家である。

 ルーラ氏は、このクーデターに資金を提供したとしてアグリビジネスや不法採鉱マフィアを非難している。そして、バイデンによる気候計画とアマゾン川は、切り離せない関係にある。

 三つ目。ルーラ氏は、大統領に就任してから3ヶ月以内に中国と米国を公式訪問するとみられている。中国にとっての「旧友」であるルーラ氏なのだから、中国との経済や貿易の協力関係が深められることは間違いないだろう。左翼政権はたいてい米国から「距離」を取り、多様化し、抑制のとれた外交政策を主張するものだ。

 しかし実際の所、中国とブラジルの関係深化は、趨勢に沿ったものあり、両国の経済的補完性という点で強い内部推進力をもっている。 中国とブラジル両国での物流が、政府当局の基本概念により影響を受けたことはない。ボルソナロ政権下でも、中国とブラジル間の貿易は記録的な額に上っていて、コロナ禍にもかかわらず、2021年には1640億ドルに達していた。

 それにもかかわらず、両国の関係が深まることに米国が懸念を示しているのは、大国であるブラジルが、中国と同じ利益や責任を共有しているからだ。今は、左翼の波の高まりにより、米国の国際的な指導力が弱化し、ラテン・アメリカに対する米国政府の影響力が大きく浸食されつつあるのだ。(アルゼンチンもBRICSへの加盟を求めている)。

 ルーラ氏の勝利により、ラテン・アメリカ諸国の協力体制は大きく前進し、これまでにない新たな世界秩序の模索が始まるだろう。このような状況において、バイデン政権がもてる最善の希望は、ルーラ氏が穏健的な外交路線を追求し、巨大諸国間でバラ
ンスを取っていこうとする姿勢を見せるよう後押しすることだ。米国には、ルーラ氏が以前の2期大統領を務めた際、穏健な左翼的な執政をしていたことに期待する向きがあるようだ。

ペルーのクーデターから得た教訓とは?

<記事原文 寺島先生推薦>

What Lessons Can We Learn from the Coup d’Etat in Peru?

筆者:オランタイ・イツァムナー(Ollantay Itzamná)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2022年12月19日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年1月2日


 
 無数の暗殺事件と共に、今ペルーで起こっていることは、土着民や農家や先住民やリマっ子たちは、今もそしてこれまでも市民ではないということの証拠である。これらの人々は、クレオール(ペルーの地で帰化した白人支配者層)が支配するペルー から見れば、「国内の敵勢力」でしかないのだ。

 最近ペルーで発生している恐ろしい無秩序状態は、ペルーの支配者層が生み出した政治的混乱に端を発するものだが、このことから私たちは以下のような教訓を得ることができる。それは、「金持ち連中の唱える民主主義に期待できることはなにもない」ということだ。ペルーでは1821年から代議制民主主義がとられているが、政治面でも経済面でもましてや社会・文化的にも、民主主義が成し遂げられたことはいまだかつてない。実際の政治は、民主主義とは真逆の国の方向性が強められてきた。それは、「金持ちの白人たちがやって来て、私たちを支配した。私たちは喜んで彼らに従い、仕えます」という姿だ。

 しかしこれまでのそんな馬鹿げた姿から逸脱し、田舎に住む一人の貧しい農民が、リベラル民主主義の正当な手続きを踏んだ上で、建国二百年のクレオールが支配するこの共和国の大統領となったのだ。そしてそれを決めたのは、市民が投票で示した意思の結果だった。リマ在住のクレオール支配者層はこの農民出身大統領を、報道機関の説得を利用して手懐けようとした。 躊躇いは見せたものの、この大統領は持ちこたえていた。それで、クレオール支配者層は、政治的な罠という策略を仕掛けたのだ。そう、まさにインカ帝国のアタワルパ*(1532)に対して行われたのと同じ手口だ。そうすることで、支配者層は、新自由主義の宴を保持したのだ。その宴には、先住民の農民たちが流す血の匂いがただよっている。
[訳注]*アタワルパ(1500ごろ~33)、インカ帝国最後の皇帝。帝位をめぐる争いで兄ワスカルを破るが,スペイン人征服者のピサロに捕らえられ,絞首刑となった。

 先住民の人々は市民ではないのだ。先住民や農民たちの人間的価値を認めないことが、ペルーでも、建国二百年を迎えた同地域の他の諸国でも、クレオール支配者層のもとでの共和制の骨格となっているのだ。先住民の農民たちは、人ではない。つまり市民(政治における主権者)になどなれるわけなどなく、動物のような下僕とされ、容赦なく文化的にも生物学的にも抹殺される存在なのだ。

 これらの先住民や農民たちは、ご主人様に投票することは許されているが、自分たちと同類の人々を選ぶことは許されていない。そんなことをしたり、自分たちの投票権を守ろうと示威活動を行ったりすれば、 ご主人様たちから懲罰を受け、殺されることになる。しかも、その模様は生中継されるだろう。

 無数の暗殺事件(既に政府の手により30件以上の暗殺が起こっているという話だ)と共に、今ペルーで起こっていることは、土着民や農家や先住民やリマっ子たちは今もそしてこれまでも市民ではないという事実の証拠だ。これらの人々は、クレオールが支配するペルー から見れば、「国内の敵勢力」でしかないのだ。
 建国二百年だとも思わないし、祝う気もない。ペルーの人々は、ほかの国々の人々と同様に、覚めない幻覚の中で暮らしているのだ。人々は、ペルー国歌を(フランス国家のマルセイユの歌と同じリズムで)歌っている。まるでそのリズムが自前であるかのように、だ。 ペルーの人々が、愛国心の象徴として揚げる国旗は、真ん中が白色という人種差別的な旗だ。ペルーの人々が国家の英雄として賞賛しているのは、強姦魔や暴力的な性格の持ち主たちだ。ペルーの人々は、クレオールたちが指定した愛国記念日を祝っているが、愛する我が国が何のために、そして誰のために奉仕する国なのかを自問しようともしていない。

 実際のところ、クレオール支配下で建国二百年を迎えたペルーでは、国民の大多数は、真のペルー国民やリム市民になろうとこれまでどれほど努力してきたかにも関わらず、「教育」や優生思想のもと、スペイン植民地時代の人々よりも悲惨な生活を強いられている。

 大多数の国民にとっては、この200年間は侮辱、殲滅、さらなる殲滅、隷属、自己隷属の歴史だった。

 人民なくして、革命はありえない。リベラル民主主義の落ち度は、政治的勝利は個人の投票で成し遂げられるのに、それを維持するのは組織による支配であることだ。この制度はご主人様たちには都合がいいものだが、大多数の国民にとってはそうではない。人々の活動分野は、今も昔も以下の三つだ。それは、投票箱+組織+住民運動だ。

 ペドロ・カスティーリョ前大統領と彼を取り巻く人々は、この基本構造をまったく理解していなかった。だから、前大統領陣営は、街や共同体や地域共同体を組織しようとしなかった。それでこの12月7日にクーデターが起こったとき、カスティーリョ前大統のそばには、一人の弁護士しかいなかったのだ。

 しかし、真実は常に想像の世界を凌駕するものだ!市民と見なされてこなかった国民たちが、カスティーリョ前大統領が政治的な躊躇いを見せた中でも、ペルー中のあちこちから、蟻のように出現したのだ。その規模は大きく、クレオール支配者層のご主人様たちや、そのメイド(ディナ・ボルアルテ現大統領)が、その火を必死に消そうとしたが、逆に火に油を注ぐ結果になるほどだった。そして今、ペルーは燃えている。

盲点になってしまっている状況を防ごう



 ペルーのこの政治的混乱は、新自由主義に毒された知識階級により、維持され、再生産されているのだが、これはペルー「独特の」法制度の結果、次々と発生しているのだ。現行の1993年憲法は、現在投獄されている独裁者アルベルト・フジモリ元大統領が起草し、署名したものだ。この憲法のもとでの法制度のせいで、このような混乱状態が引き起こされ、常態化している。具体的には、大統領職が空座になったり、 国会議員により行政府の大臣職が奪取されたりするなどの混乱が起こっているのだ。憲法上の規定により引き起こされているこのような異常な状態により、既にペルーは、世界で最も混沌とした国と化している。こんな憲法を持つ国は、南米大陸のどこにもない。

 現時点で、ペルーは、法的にも制度的にも、盲点の国になっている。しかも危険な盲点だ。街の人々が新しい選挙や新しく憲法を改正する手続きを要求している。これに対して、クレオールが支配するこの国は、人々を殺そうとしている。議員たちは、選挙の実施を望んでいない。大統領職を強奪したディナ・ボルアルテ大統領は、ごり押しで権力を手にしたため、退位する気はない。この状況においては、ペルーの政界がどこに向かうかは、全く不透明だ。

 また同じ人を選ばされることになるのだろうか?遅かれ早かれ、ペルー国民はまた、投票所に呼び出され、新しい支配者を選択させられるだろう。その決め方は以前と同じで、これまでと同じご主人様たちのお仲間の政党しか存在しない中でのことになるのだ。そして確実に、その結果もこれまでと同じになるはずだ。

  街中で反対運動に繰り出している人々や勢力の中からは、人々の声を代弁する真の指導者が生まれることは間違いないが、そのような指導者たちには、自前の組織や政治的手段がない。そうなれば、(右派でも左派でも社会民主系でも)新自由主義的な政党に迎合するしかなくなる。

 ご主人様を信じるのはやめよう。クリオールたちのことも 。リマの支配者たちも。リマっ子のことたちも。尊大な大ボラを吹くこともやめよう。リマやリマ当局関連の報道機関は見ないようにしよう。今この1000年の歴史と精神を有するこの国に、またとない好機が訪れている。政治的にまとまろう。自前の政治的手段を手にしよう。 自分たちの目標をしっかり見据えよう。そうすれば、人口の多数派が政界でも多数派となることができるのだ。

 (ペルーの文学者)アルゲダス*の「全ての血」という呼びかけを思い起こそう。しかしもっと大事なことは、全ての血を感じ、本当であると信じることだ。そして何よりも、お互いが平等であることを認識することだ。


[訳注]アルゲダス(1911‐69)、ペルーの作家,文化人類学者。14歳までケチュア族とともに育ち,彼らをさいなむ差別と虐待に接した体験から,ケチュア語とその文学の復興,原住民の人間的諸権利の回復と擁護に努めた。代表的なものに,《水》(1935),《ケチュアの歌》(1938),《深い河》(1958),《すべての血》(1964)などがある。

ルーラ氏の勝利は、ブラジルにとってはいいことだが、革命と呼べるには程遠い。

<記事原文 寺島先生推薦>

Lula’s victory is good for Brazil, but far from a revolution
The veteran leftist is back in power after a narrow win, but his power to bring change is very limited

経験豊富な左翼政治家が、辛勝で政権に復帰したが、ルーラ氏がもつ変化を引き起こす力は非常に限られたものだ。

筆者:ブラッドリー・ブランケンシップ(Bradley Blankenship)

出典:RT

2022年11月1日

Bradley Blankenship is an American journalist, columnist and political commentator. He has a syndicated column at CGTN and is a freelance reporter for international news agencies including Xinhua News Agency. 

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年11月25日


 選挙管理委員会が、現職のジャイール・ボルソナロ大統領を破り、次期大統領に選出されたことを報告したことを祝福しているブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領。ブラジルのサンパウロにて。2022年10月30日撮影。©  AP Photo/Andre Penner

 ブラジルの大統領選の結果が届いたが、その結果は世界各国方大きな注目を浴びた。略称であるルーラという名前で知られているルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ氏が、得票率50.9%を獲得し、得票率が49.1%だった現職のジャイール・ボルソナロ大統領を破り、選挙戦を制した。この結果は、事前に行われていた世論調査による見通しの通りだった。私が当RTにこの話題について書いた最新の記事で引き合いにだした私の親友は、ありがたいことに、今回は涙にくれることはなく、電話で歓喜あふれる声で話してくれた。 
 
 その理由は、いま私がかいつまんで書いた通り、ルーラ氏が勝利したことが、ブラジルにとって大きな前進になるからだ。この勝利により、貧富格差は縮まり、南アメリカのこの国が、世界の飢餓国から抜け出せる一撃になり、国民に対する社会福祉が拡大し、ブラジルは世界の地政学上重要な地位を占めるというふさわしい姿に戻れる可能性がでてきたからだ。さらに期待されることは、ブラジルの自然、つまりアマゾンの熱帯雨林が保護されることにもつながる可能性がでてきたのだ。よく「地球の肺」と称され、酸素を大気中に送り出し、炭素を吐き出す役割を果たしているそのアマゾンが、守られる可能性が出てきたのだ。

 数週間前に書いた記事で示した通り、ルーラ氏の勝利は、ラテンアメリカや世界にとって非常に重大な意味がある。というのも、ボルソナロ氏は、ヤンキー(米)帝国の走狗として働き、ブラジルは、ラテンアメリカにおいて、ベネズエラの弱体化や、いわゆる「薬物との戦い」の拡張などの役目を果たしてきたからだ。ルーラ氏の勝利により、南アメリカ大陸は中国との事業を増やし、たとえばブラジルが、中国主導の一帯一路構想(BRI)に参加することもあるかもしれない。


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 もしあなたが私と同様に、多極化主義や人類の平和的な発展や、世界の安定に価値を置く人であったとすれば、ルーラ氏の勝利を喜ぶことに十分な理由を持てるだろう。しかし、過剰な期待をすることはやめ、現状に対する現実的な視点を持ち続け、ルーラ氏が大統領としてできることには限界があることを悟るべきだ。私の友人で元同僚にカミラ・エスカランテという、現在プレスTVのラテンアメリカ特派員をしている人がいる。カミラが大統領選の結果が出る前に、こんなかなり正確な書き方をしていた。「ブラジルでは、社会主義は選挙の争点にはならない」と。

 カミラの見立てを言い換えると、ブラジル国民は自国の社会階級秩序を抜本的に改革することは望んでいないし、 そのような政策を掲げた勢力には、票を投じることさえない、ということだ。 カミラが書いていたように、「帝国主義」という言葉は今回の大統領選の選挙運動期間中、使われることすらなかったのだ。そして国民は、社会階級秩序の抜本的な見直しは求めていないし、ラテンアメリカ全体から見ても、各国国民はそんなことは求めていないのだ。社会階級秩序の改革といった呼び掛けがなされることは、本当にない。 ラテンアメリカ地域の、ブラジルでも、その他の国々でも、4カ国(キューバ、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグア)以外は、そのような改革が行われることはないだろう。

 カミラによると、選挙結果の数値が示している通り、ルーラ氏を支持しても、さらに進んで労働者党(PT)まで支持する人は多くない。つまりルーラ氏が勝利するのに必要だったのは、「左翼」や「右翼」という伝統的な分け方で自身の政治的志向を決めていない人々と繋がることだった、ということだ。そしてそのような考え方は、ルーラ氏が選挙運動をするにあたり、いくつかの論点に影響を与えていた。その一例が中絶問題だ。 この件に関して、ルーラ氏はカトリック教会に申し入れを行った一方で、根っからの左派に対してはこう伝えていた。「キューバのように規制された社会は誰も求めていない」と。

 もちろん、左翼の同好会から離れたところに位置する大多数の大衆から受け入れられていると考えていない人もいるだろうが、そうであれば米国ジョー・バイデン大統領が、ルーラ氏の勝利に対して即座に祝辞を送った事実を思い起こしてほしい。このような事実を受け流すことは容易いことだし、そんなことはよくあることかもしれないが、 重要だったのは、バイデン大統領が祝辞を送るまで、つまりルーラ氏の勝利を正当化するまでにかかった時間の速さだった。 なぜ重要かというと、報道によれば、ボルソーナロ側が、不正選挙があるかもしれないという話の種をまいていたからだ。このボルソーナロ現大統領がとった作戦は、ドナルド・トランプ前米大統領が行った、2021年1月6日に国会議事堂で起こった暴動に繋がる作戦を彷彿とさせるものだった。

 なぜか今回のブラジルでの大統領選では、これまでよく目にしてきた現実とは違うことが起こっていた。これまでのように、米国や、CIAなどの米国関連の諜報機関が、ラテンアメリカの1国において右派のクーデター勢力に資金を出そうとはしていない。実際、ホワイトハウスの反応は、その真逆のようだ。米国は、もし何かがあるのであれば、その何かが起こる可能性があるだけでも、その兆しを阻止しようとするのに、今回は180度手のひらを返したかのようだ。以前ルーラ氏が、でっち上げの汚職容疑で投獄され、ルーラ氏の同士であったジルマ・ルセフ氏が大統領職から追放されたことが、米国の関与による明らかな「穏健なクーデター」だとされたのとは大違いだ。


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 米国はなぜ、ルーラ政権に敵対することから、表向きではあるが同政権を支持するようになったのか、という疑問が浮かぶだろう。その1つ目の答えは、既に述べた通り。ルーラ氏は、ブラジル社会を革命的に変革させるような選挙運動を展開してこなかったことだ。さらにルーラ氏は、米帝国に楯突くような姿勢も見せていなかった。ルーラ氏は、あまり過激な立場はとれない。というのも、副大統領候補が中道左派勢力から出ているからだ。

 2つ目の答えは、ルーラ氏が多くの得票を得られたのは、ルーラ氏が中道派の人々と面会したからだ。とはいえ、これらの人々は、ルーラ氏を支持はしても、労働者党には投票しなかった。つまり、ルーラ氏が立法上できることは非常に限られたものになる、ということだ。それは、ボルソナロ氏のリベラル党(PL)が、ブラジル国会における最大党派であり、またリベラル党からは、ブラジル国内の主要な州の知事を出し、国民からの広い支持を集めているからだ

  ボルソナロ支持層は、明らかに今回の大統領選の結果以上に幅広いということだ。

 であるので、ワシントン当局からすれば、これでいいのだ。ワシントン当局は、南アメリカで最も大きい国ブラジルの国情が混乱し、 米国国境まで移民が押し寄せる状況を望むだろうか?それとも、以前の敵が選挙に勝ち、政権を取ったとしても、以前よりも丸くなっている状況に満足するだろうか?後者の方が都合がいいのは明らかだ。もちろんルーラ氏の勝利がブラジルにとって前進の一歩であるとは事実だ。しかし、その一歩は、本当にごく限られた一歩だ。

ルーラ・ダ・シルヴァがブラジル新大統領に当選したことは、南米全体が自立する大きな契機となっている

<記事原文 寺島先生推薦>

The Lula-López Obrador and Petro-Maduro Impact

ブラジル大統領ル-ラとメキシコの左派政治家ロペツ・オブラドール、そしてコロンビア大統領ペトロとベネズエラ大統領マドゥロの組み合わせの衝撃

筆者:エドアルド・パツ・ラダ(Eduardo Paz Rada)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2022年11月10日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年11月22日

 10月30日のルーラ・ダ・シルヴァの困難な選挙での勝利を祝ったのは、ブラジルの貧しい人々、疎外された人々、女性、労働者、インディオ、農民、学生だけではなく、北東部ペルナンブコ州出身の金属労働者で労働者党(PT)から大統領選に立候補したルーラ・ダ・シルヴァの姿に自分たちを重ねて見たラテン・アメリカとカリブの人々すべてであった。なぜなら、彼の大統領就任は、この21世紀の新しいサイクルを開くアブヤ・ヤラ*大陸の統一と解放的統合を推進するプロジェクトに希望の地平を開くからである。
アブヤ・ヤラ (Abya Yala) *・・・「成熟した土地 (land in its full maturity)」ないし「活き活きとした血の土地 (land of vital blood)」を意味するクナ語の言葉であり、ダリエン地峡(現在のコロンビア北西部からパナマ南東部にかけての地域)付近に居住するアメリカ先住民のひとつであるクナ族が、クリストファー・コロンブスの到来以からアメリカ大陸を指して用いていた表現(ウィキペディア)

 ジャイル・ボルソナロの敗北は、同時に、この地域のオリガルヒや保守的エリートたち(危機的状況にある北米とヨーロッパの帝国主義の支援を受けている)の敗北でもあった。彼らは国民の愛国的意識の高まりと、選挙に縛られない、経済、文化、社会、民族解放の民主主義となる参加型民主主義の深化の邪魔をしようと徘徊している輩だ。

 今、世界は深い経済的危機にある。その原因は、
①パンデミックの影響、
②一握りの多国籍億万長者の金融投機、
③ウクライナにおける戦争、
④列強の地政学的闘争、
⑤米国の軍事的脅威と内政干渉、だ。
そういう事態に直面して、ラテン・アメリカとカリブ海諸国の共同、自律、自立の立場を評価し、実行する戦略が唯一の選択肢として提示されている。これがあれば、ラテン・アメリカは世界の中で主人公的な立場を維持することができ、ティファナやシウダー・フアレスからパタゴニアやフォークランド諸島に至る、パトリア・グランデ(偉大な祖国)を建設するという(シモン・ボリバリを信奉する)ボリバリアンと(ホセ・デ・サン・マルティニを信奉する)サンマルティニアンの目標達成のための歴史的条件を発展させることにつながる。

 フィデル・カストロとウゴ・チャベスという二人の司令官は、一点の曇りもないやり方で、道を開いた。そしてルーラ・ダ・シルヴァ、ネストル・キルチネル、エボ・モラレス、ペペ・ムヒカ、ラファエル・コレア、ダニエル・オルテガ、そしてその他の国家元首とともに、地域統合を進めるための「我々のアメリカの人々のためのボリバリア連合(ALBA)」「南米諸国連合(ウナスール)」「中南米・カリブ諸国連合(CELAC)」とペトロカリベ*のプロジェクトについて調整した。
ペトロカリベ*・・・中米・カリブ海地域におけるエネルギー政策の調整とエネルギー産業発展のための協力機構。産油国ベネズエラのチャベス大統領の提案により2005年6月に発足した。加盟国は18カ国(カリブ海諸国のうちバルバドス、トリニダード・トバゴは加盟していない)。目的は、連帯、相互補完、団結を原則に域内諸国のエネルギー資源へのアクセスを確保することにより、社会的不公正の是正や国民生活の向上を実現するとされている。域内の後発国に対しては、石油代金の支払いのための長期・短期の融資や分割払いのほか、バーター取引なども行われる。これによって地場産業の発展を目指す。このほか、採掘、精製、輸送、貯蔵など様々な分野における地域ネットワークの形成も目指しており、そのために、ベネズエラ石油公社(PDVSA)は関連施設の建設・維持等の投資のための子会社PDVSA‐CARIBEを設立した。また、社会的不平等の是正や経済発展のための基金アルバ・カリベ(ALBA-CARIBE)も設けられた。ベネズエラのイニシアチブによる地域エネルギー協力体制としては、このほかに南米諸国によるペトロスル(PETROSUR)がある。アンデス諸国についてはペトロアンディーノ(PETORANDINO)が計画されている。(https://imidas.jp/genre/detail/D-117-0015.html)

 ルーラ・ダ・シルヴァにはほぼ10年に及ぶ挫折と政治的敗北の年月があった。クーデター、選挙での敗北、大富豪のメディアキャンペーン、フェイクニュース、ワシントンに統制された裁判所の動き、そして卑劣な裏切りの数々があった。そして現在、ルーラ・ダ・シルヴァはアルゼンチン大統領アルベルト・フェルナンデス(Alberto Fernández)と会い、アルゼンチン議会上院議員のクリスティーナ・エリザベット・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Fernández de Kirchner)の大統領選挙を推進、支援するとともに、メキシコの左派政党国家再生運動(Morena)の指導者であるアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)と対話し、CELACとラテンアメリカ・カリブの結束力を強化して自らの歴史のルーツを変えるものを構築していこうとしている。

 同時に、コロンビアの新大統領で、自国のリベラル派と保守派の親米右翼を打ち負かしたグスタボ・ペトロが、カラカスでボリバル・チャビスタのベネズエラ人ニコラス・マドゥロと会い、外交関係を再開してボリバリアン友愛の旗を掲げ、アンデス諸国共同体(CAN)の強化を提案した。それに伴い、南米諸国連合(UNASUR)が強力な南米プロジェクトとして回帰することが確実になる。

 メキシコ、ホンジュラス、ニカラグア、キューバ、グアテマラ、ドミニカ、セントビンセント・グレナディーン、セントルシア、アンティグア・バーブーダ、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンそして今回ブラジル政府が表明した、米国が支配する米国国家機構(OAS)や南北アメリカ首脳会議に対抗してCELACを強化するという約束は、(スペインからの独立に続く)第2の独立を戦い、実行する挑戦になっている。

アメリカが掲げる「麻薬戦争」の実態、そしてその終結を目指すコロンビア新大統領

<記事原文 寺島先生推薦>

The US War on Drugs Isn’t What it Seems – and Colombia’s New President Wants to End it

アメリカの「麻薬戦争」の実態は表面からは見えない---コロンビア新大統領はそれを終結させたいと思っている

筆者:ブラドレイ・ブランケンシップ(Bradley Blankenship)

出典:INTERNATIONALIST 360° 

2022年8月14日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年11月16日



 南米に対するアメリカの覇権への強烈な攻撃を約束するグスタボ・ペトロ

 8月7日、左派のグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)がコロンビアの新大統領に就任した。長年右派政権だったコロンビアにとって、前例のない政治の揺り戻しの始まりとなる。ペトロは最初の演説で、気候変動、貧困、教育、そして特に、いわゆる「麻薬戦争」など、コロンビアが直面する多くの重要な問題について言及した。

 (以下引用)
 「今こそ、薬物戦争が音を立てて失敗し、過去40年間に100万人のラテンアメリカ人(そのほとんどがコロンビア人)を殺害され、北米では毎年7万人が薬物の過剰摂取で死亡していることを受け入れる新しい国際条約が必要だ。この薬物は、どれひとつとしてラテンアメリカで生産されているわけではないのだ」と彼は言った

 ペトロは、さらに言葉を続けた:この戦争が「マフィアを強化し、国家を弱体化させ」、他方、各国を犯罪に走らせたのだ。その中にはコロンビアも入る。そして、「生命を受け入れ、死を生みださない」新しいパラダイムを呼びかけると同時に、世界の麻薬政策を変えることができるのに、そうしないアメリカを非難した。

 (引用はここまで)

 米国主導の「麻薬撲滅戦争」において、コロンビアは最も重要なパートナーであり、このペトロの宣言はまさに画期的なものだ。コロンビアが現状を否定することは、国際社会に衝撃を与え、軍事優先の対応ではない新たな戦略について多国間で議論するきっかけになるだろう。

 注目すべきは、ペトロが、今は存在しない左翼準軍事組織M-19と過去に関係があったことから、麻薬戦争について多少なりとも知っていること。この戦争には深い矛盾がある。コロンビアに対するアメリカの軍事援助と訓練は、麻薬取引との戦いよりも、反共産主義、つまりM-19のような集団の鎮圧に重点を置いてきたという事実である。

 アメリカは、コロンビア軍を含む、十分に文書的裏付けのある人権侵害を行ったコロンビア国内の集団に軍事援助を送ったことがある。クリントン政権は、米国の国家安全保障にとってきわめて重要だとして、このような援助に通常付される人権に関する条件の大半を放棄することまでした。アメリカはまた、コロンビアの左翼勢力との闘いに過度の関心を向ける一方で、右翼勢力、例えば米国資本を支持する勢力を、たとえそれが麻薬取引と関係があったとしても支援する。

 その顕著な例として、ジョージ・ブッシュ元米大統領から米国文民最高賞である大統領自由勲章を授与されたアルバロ・ウリベ(Alvaro Uribe)元コロンビア大統領は、米国情報機関によって同国の麻薬取引と結びついていることが確認された。彼は今もコロンビア政界の有力者であり、2002年から2010年までの在任期間中、この地域におけるワシントンの主要なパイプ役を務めていた。

 こうした冷戦政治に伴う矛盾の上に、ペトロは米国主導の「麻薬戦争」の内部矛盾も正しく指摘している。麻薬禁止という国内政策はうまくいっておらず、人々はいたるところで死んでいる。米国の平均寿命は、現在進行中のCovid-19の大流行によって低下している。しかし、貧困と麻薬の蔓延が、平均寿命低下の一番の原因となっている。

 このことは、RTのコラムでさまざまな論点について何度か書いた中で、私自身にとって特に重要な点である。オハイオ州シンシナティに生まれ、ケンタッキー州北部で育った私は、米国におけるアヘン危機の震源地であり、これらの薬物の破壊的な影響を直接目にしてきた。私は、そのためにバラバラに離散してしまった家族をいくつも知っている。中毒による困窮を目の当たりにし、さらに過剰摂取、自殺、ギャングによる殺人で12人ほどの同級生を失った。

 ひとつ言えることは、現状はうまくいっていないということだ。せいぜい、再犯や再発が避けられないようなフィードバック・ループ(経過の振り返りを繰り返すこと)を生み出すだけだ。その一方で、民間のリハビリ施設や大手製薬会社は最終的には利益を得ている。その結果、米国ではこれまでと同様、貧困故の犯罪が生じることになる。なぜなら、世帯収入の低さは、おそらく薬物乱用の最も重要な指標だからだ。

 このことがとりわけ重要なのは、国内的にも国際的にも、貧困が「麻薬戦争」の諸矛盾が交錯していることを示しているからである。すなわち、この戦争は、ワシントン政権の、後退的で、新自由主義的な動きの延長線上にあり、国内外を問わず、アメリカの富裕層独裁に挑戦するすべての社会運動を粉砕することが目的なのだ。

 このアメリカという帝国は、言語に絶する犯罪を、どうしても犯してしまいかねない傾向を持つ国であり、その傾向のせいで被害を受けた人々に対して、道徳的な正義心をもたないだけでなく、信頼もできないし、無責任で、一貫したところが何もないことをさらけ出してきた。アメリカ帝国主義が必然的に下降線をたどるなか、国際社会の利益にそぐわない既存の政策を変更する機会の窓は自然に開かれることになるだろう。グスタボ・ペトロ大統領が、新しい国際的な麻薬撲滅という視点を呼びかけたのもその一つだ。




ブラジル大統領決選投票で、ルーラ元大統領がボルソナロ現大統領を破る

<記事原文 寺島先生推薦>

Lula defeats Bolsonaro in Brazilian election

The president-elect calls his political comeback a “victory of democracy”
(新しく大統領に選出されたルーラ氏は、自身の政治的復権を「民主主義の勝利」と呼んだ)

出典:RT

2022年10月30日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年11月9日



大統領決選投票に勝利した後、支持者に対して演説を行うブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ次期大統領©  AFP / カイオ・グアテリ

 ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元ブラジル大統領は、10月30日(日)、ブラジル大統領選の決選投票で、ライバルである右派のジャイール・ボルソナロに勝利を収めた。ブラジルの選挙管理委員会は、ボルソナロ氏の得票率49.1% に対して、ルーラ氏は50.9%の得票率を獲得し、ルーラ氏がわずかな差で勝利したと発表した。

 「これは私や労働者党の勝利ではありません。民主主義を求める運動が勝利したのです。この運動は党派や、個人の利益や、考え方を乗り越えたものです。そしてこの運動の目的は、民主主義が勝利がすることでした」と10月30日(日)の夜、ルーラ氏は、歓声を上げるサンパウロの支援者たちに語った。

 次期大統領に決まったルーラ氏は、このような接戦の選挙戦を受けて、この先の自身の取り組みへの批判が、「激しい」ものになることを認識しており、語気を強めて、「この国の真の魂を再建する必要があります。寛容さと、団結と、違いへの敬意、他の人々への愛を取り戻しましょう」と語った。

 2023年1月1日から大統領職につくことになっているルーラ氏は、自身に投票した人々だけの大統領ではなく、2億1500万人のブラジル全国民の大統領になると約束した。「2つのブラジルなど存在しません。我が国は、一つの国家であり、一つの国民から成り立っている国です。そして偉大な国家です」


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 ボルソナロ氏は、まだ公式には敗北宣言を出していない。 現職のボルソナロ大統領が、選挙期間中繰り返し警告していたのは、僅差で大統領選に敗れた際は、その結果に異議を申し立て、ブラジルの選挙体制の信頼性に疑問をなげかけるつもりだ、という点だった。

 ブラジル現地時間午後5時(グリニッジ標準時午後8時)にブラジル全土の投票が締め切られたあとの最初の発表では、ボルソナロ氏が優勢だった。 しかし、第一次選挙の時と同じく、シルバ氏の本拠地の開票が進むと共に、ボルソナロ氏の優勢は勢いを失した。10月2日の第一次選挙では、ダ・シルバ氏の特集は48%だったが、この数字では、即時勝利と認められるには届かない数字だった。

 ブラジル労働者党の代表であるルーラ・ダ・シルバ氏が、選挙戦の焦点においていたのは、社会の不平等を克服することと、貧困を緩和することだった。シルバ氏が提案していた政策には、富裕層への税金を増額することと、弱者を守る安全網を広げることと、最低賃金を上げることが含まれていた。


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 ボルソナロ氏が選挙戦で掲げていたスローガンは、「神と家族と祖国と自由」だった。ボルソナロ氏から見たブラジルの未来像には、国有企業である石油会社の民営化や、アマゾン地域を鉱山業への更なる開放、銃規制の緩和も含まれていた。

 決戦への準備が進む中、選挙戦において、両者は互いに罵りあっていた。10月17日にテレビで放送された討論会で、ルーラ氏は、ボルソナロ氏のことを「ちっぽけな独裁者」呼ばわりし、自身は、自由と民主主義を守ると誓っていた。現職のボルソナロ大統領は、これに反論し、 ルーラ氏のことを、「国家の恥」と呼ばわりした。その根拠は、ルーラ氏の労働者党が政権をとっていた時に起こった汚職事件の疑惑だった。

 2003年から2010年までブラジルを統治していたルーラ氏が、2018年の大統領選への出馬を禁じられたのは、汚職により起訴され、投獄されていたからだった。なお後に、この起訴は取り消されている。

ブラジル共産党指導者(女性)の言葉:「街頭を占拠してル-ラ大統領の第2ラウンド選挙の勝利を確保せよ!」

<記事原文 寺島先生推薦>

Brazil’s Communist Leader says ‘Occupy the Streets’ to Guarantee Lula Second-Round Victory

筆者:ベン・カコ(Ben Chaco)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2022年10月3日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年11月5日


ブラジル・リオデジャネイロで2022年10月2日、総選挙の投票終了後、一部結果を聞きながら喜ぶブラジル前大統領ルイス・イナシオ・"ルーラ"・ダ・シルバの支持者たち。| Silvia Izquierdo / AP

 ブラジル共産党のルチアナ・サントス(Luciana Santos)党首は、4週間後に行われる大統領選の第2ラウンドでルーラ大統領の勝利を保証するため、左派に「街頭を占拠」するよう呼びかけた。

 ルイス・イナシオ・ダ・シルバ(Luiz Inácio “Lula” da Silva)元大統領は、10月2日(日)の選挙で現職のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)に600万票以上の差をつけて1位になったが、第1ラウンドの勝利に必要な50%には届かなかった。

 「ブラジルは再び幸せになりたいという気持ちを示している。ルーラは第一ラウンドの勝者であり、我々は第二ラウンドでも勝つだろう」とサントスは述べた。ブラジル共産党(PCdoB)と緑の党は共にルーラ労働党と手を組み、彼を大統領候補として支持した。
 「国民は憎しみ、分裂、暴力、飢餓、権威主義をもはや望んでいないことを投票で示しました。今日(3日)、私たちはこの勝利を祝い、民主主義を祝い、そして4日(火)から、私たちは野外に出て、選挙運動を行うつもりです。

 街頭を占拠し、あらゆる人に声をかけ、大衆の意識を高めて、ルーラへの支持をより確実なものにしよう」と呼びかけた。

 地域の左派指導者たちは、ルーラの1位当選を祝福し、ボリビアのルイス・アルセ(Luis Arce)、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス(Alberto Fernández)、コロンビアのグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)、そしてメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(Andrés Manuel López Obrador.)が祝辞を述べた。

 ルーラは支持者たちに感謝の意を表し、勝利するまで選挙活動を続けることを誓った。
 ボルソナロは、米国のトランプのように、選挙結果に異議を唱えることはしなかった。そうなることを懸念する声も多かったのだが。恐らく、まだ選挙中であるために自重したのだろう。ボルソナロは、(選挙結果は)<変化への欲求>を示したことを認めつつ、<ある種の変化は悪い方向に向かうこともある>と注意を促した。しかし、投票の公正さについては国防省の報告を待っていると述べ、異議を唱える門戸は閉じてはいない。

 また、彼がしっかり2位につけたことは世論の予測に合致したものであり、下院選挙では右派政党が健闘し、左派政党を抑えて過半数を占める可能性が高い。

 第1ラウンドでは、ルーラが57,257,453票(48%)、ボルソナロが51,071,106票(43%)を獲得し、99.9%が集計されている。

黒人層の支援でコロンビアに左翼政権が成立

<記事原文 寺島先生推薦>
How Black Colombia Helped to Bring the Left to Power

出典: INTERNATIONALIST 360°

2022年7月12日

著者:カルロス・クルツ・モスケラ (Carlos Cruz Mosquera)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年8月31日


ブエナヴェントゥラの若き黒人活動家たち

 主要なメディアは象徴となる政治家個人に焦点を当てるが、今日のコロンビアの歴史的瞬間は、グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)と彼の連合による奮闘だけに収斂されるものではない。原則的な取組によって有権者を獲得するための見事な選挙運動であったことは言うまでもないが、勝利の決定的な要因は、昨年の全国的なストライキであった。

 人種差別されてきた労働者階級の若者たちが勇敢に立ち上がったおかげで、国の動きは止まり、すべての急進派と進歩派は、変化を求める熱烈な叫びで一つにまとめあげられた。デモの結果は、いたるところで目にすることができる。多くの人が命を落としたこの運動がなければ、今日のような歴史的瞬間に私たちはいなかったであろうことは、ほとんど疑いの余地がないはずである。

 コロンビアの最近の選挙結果を理解するためには、より主流の説明ではやや不明瞭になっている人種と階級の力学を理解する必要がある。それは、私たちがしばしばトップダウンの視点で提示されるからである。下層大衆は、結局のところ、たんに歴史の臣下にすぎず、決して歴史を作り上げる側にはいない、そう彼らは我々に信じ込ませているのである。

 昨年の運動は、ある政府の法案に対する一部の人たちの反応として始まったが、徐々に広範で、より急進的な要求を持つものへと発展していった。人種差別されてきたコロンビアの労働者階級が直面している耐え難い物質的・社会的条件により蜂起が発生し、その過程で、左翼・進歩的運動の背中が押され、より過激な諸要求、そしてその時は不可能と思われていたもの、つまり左翼政権を受け入れさせたのである。

 歴史的に、コロンビアの紛争の根源に関する研究はかなり限定されたものだった。学者たちはしばしば、10年間(1948年から1958年)という硬直した時間軸に注目し、これをラ・ヴィオレンシア(La Violencia)と名づけて、現在の紛争はそこから始まったとみなしてきた。さらに、この紛争は自由党と保守党の間の確執から発生したという説もよく聞かれる。このような狭い見方は、この国の状況を独特なものとして形成する役割を担ってきた。あたかもこの紛争が本質的にコロンビア特有のものであり、私たちコロンビア国民の体液にある何かによって引き起こされたかのように思わされてきたのだ。

 実際は、暴力と紛争を生じさせた状況の要因は、資本主義の発展、国家の形成、そして重要なことだが、植民地支配の遺産にたどることができる。このような広い文脈の中で、コロンビア社会を悩ませている貧困、社会不安、暴力の状況は、決して特殊なものではない。程度の多少はあれ、このような紛争は資本主義世界システムに統合されたどこの国でも経験されることだ。

 コロンビアの紛争の激化は、19世紀中頃コロンビアの市場が世界システムに統合されたところまでたどることができる。また、異なる社会階級の間の社会的関係は、植民地時代から継承された力関係にまでたどれる。このことは、他の場所でもよく理解されており、今日でも世界中の社会的関係に影響を及ぼしている。

 別の言い方をすれば、今日、最悪の貧困と暴力に苦しんでいるコロンビアの黒人と、他の場所で、同様の状況に直面している人種的差別にさらされたコミュニティは、同じ世界史的流れの中にいることになる。

 近年、欧米諸国では、社会における多くの植民地主義の遺産に反対する運動が盛り上がっている。当局が黒人を標的にし、さらには殺害する方法を暴露した「ブラック・ライブズ・マター」運動から、植民地主義の遺産の銅像やその他のシンボルを取り壊し、この遺産がもたらす社会的・経済的結果に対処するよう求める声まで、さまざまな動きがある。植民地主義の遺産を解体するこの運動は、欧米諸国をはじめ世界各地で展開されている。

 昨年4月下旬、コロンビアの労働者階級の若者たちは、パンデミックの真っ只中、3ヶ月の全国ストライキに突入した。彼らもまた、コロンブスをはじめとする植民地主義者の銅像をいくつも倒した。コロンビアは、不条理にも、クリストファー・コロンブスにちなんで名づけられた。この事実は、名前とシンボルだけでなく、コロンビアの各コミュニティの社会的、経済的、政治的現実の中で、植民地支配の遺産が現在に至るまで残存していることを象徴するものだ。黒人活動家レナード・レンテリア(Leonard Renteria)と他の活動家たちは、全国ストの間、通りを封鎖した。


全国ストの間、通りを封鎖する黒人活動家レナード・レンテリアと他の活動家たち

 「開発」によって土地を追われ、恐怖にさらされた黒人コミュニティ、特に黒人女性は、国の主要都市であるボゴタ、メデジン、カリへの逃亡を余儀なくされている。そして、都市に住む黒人女性は、労働市場や社会一般で最も差別される層へと動かしがたく押し込められている。

 以上のような背景から、カリ市が昨年の全国的な抗議行動の震源地であり、抗議者に対する国家の暴力と弾圧が死や失踪につながる可能性が高かったという統計があることは驚くにはあたらない。(コロンビアの報道機関である)CODHESとProceso de Comunidades Negras(PCN)が発表した記事では、抗議デモの間、暴力のほとんどはカリ市、特にその黒人居住区で起こったことが示されている。

 コロンビア当局が、抗議行動を暴力的に弾圧するというのは今に始まったことではない。昨年の抗議活動のデータは、黒人や人種差別された人々が参加したことが、暴力や弾圧の激しさを増した要因であったことを浮き彫りにしている。

 抗議行動とその周辺に形成された運動を押しつぶそうと躍起になっていたのは、国家と伝統的な保守エリートだけではなかったことを指摘しておかなければならない。リベラル派や、より左寄りの進歩的な公職にある人々でさえも我関せずの態度だった。ストライキを組織した組合のリーダーは、彼らの見解では、手に負えなくなりつつあるとして、人々に抗議を放棄するよう呼びかけを始めた。彼らの見方からすれば、抗議行動はあまりにも無秩序で破壊的、暴力的であり、適切な指導者も組織も存在しなかったのだ。

 中には、犯罪組織が長期のストライキを主導したと言い出す者もいた。抗議していた若い、ほとんどが黒人の、貧しい混血のコミュニティは、自分らのストライキが何週間も維持できているのは、運動がよく組織されているからだと反論し、繰り返し自分たちの政治的要求を訴えた。

 抗議運動が無秩序だとか、諸要求に真面目さが欠けていたということではない。これらの要求が急進的すぎて、権力者や反権力をかかげる人々の耳には届かなかったということだ。

 抗議行動で前面に出たイデオロギーの違いは、この国で観察される大規模な物質的・社会的格差によって部分的に説明することができる。街頭に出た黒人、先住民、貧困層のコミュニティは、既存の政治・経済構造の抜本的な変革から失うものは少ない。中流階級のリベラルな進歩主義者、特に公の地位に就いている人々は、制度をあれこれいじくったり、公的な交渉をすることしか念頭にない。だから急進的な抗議や要求に二の足を踏んでしまうのだ。

 支持は得られなかったものの、昨年抗議した人々が、2世紀にわたって続いてきたエリート支配からの脱却を国に迫ったと主張するのは、あながち的外れなことではないだろう。現在、次期副大統領であるフランシア・マルケス(Francia Marquez)は、抗議行動に参加し、人種差別を受けた若者の要求を最も明確に表現したリーダーの一人であった。伝統的に選挙政治に関心のない人々の支持を集めた彼女の政治的能力は決定的なものである。



フランシア・マルケスの支持者たち。写真イヴァン・ヴァレンシア

 どれも偶然と見るべきではない。マルケスは、最も抑圧されたコミュニティの条件の中を生きてきた。だから彼女はこの国の根本的な変革への緊急性を体現しているのだ。実際、この国の多数派である黒人や先住民の地域、つまり忘れられ、無視されてきた地域でのかつてないほどの投票率が、この国初の左派政権の勝利を確かなものにしたのである。

 人種差別と階級差別が組み合わさって、多くの、おそらくは大半のコロンビア人が経験する「これでは生きてゆけない」という物質的・社会的状況を作り出している。こうした条件とそれを経験する人々が、この国の急進的な変革の先頭に立っていることは間違いない。彼女を取り巻く腰が引けたプロの政治家たちとは異なり、マルケスという存在は変革への動きと、その流れに乗ろうと躍起になっている新自由主義の日和見主義者との間に一線を画しているのだ。

 結局のところ、進歩的なこの新政権が、自分たちを政権の座に就けくれた大衆に報いることができる最も確実な方法は、この国を覆い続けている歴史的な人種と階級の分裂に早急に対処することである。そこまではゆかないにしても、若者たちの力を奮い立たせ今日の歴史的な政権交代をもたらしたのと同じ「これでは生きて行けない」という状況が、次の選挙で、実際、表に出てくることになるだろう。あるいは、もっと早い時期になるかもしれない。

La lucha es larga, comencemos ya!
戦いは長い、今こそ始めよ!

コロンビアで初の左派大統領が誕生

  コロンビアで初の左派大統領が誕生
<記事原文 寺島先生推薦>

Colombia elects leftist president for first time

The former mayor of Bogota vowed to unite the country


(コロンビアは初の左派大統領を選出。前ボゴタ市長がコロンビアの団結を誓約)

出典:RT

2022年6月20日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2022年6月28日


Gustavo Petro in Bogota, Colombia, June 19, 2022. © Robert Bonet / NurPhoto / Getty Images

 グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)氏が6月19日(日)、コロンビア大統領選挙の決選投票において50%以上の得票率を得て、建築業界の大物であるロドルフォ・ヘルナンデス( Rodolfo Hernandez)氏を破った。ヘルナンデス氏は既に敗北宣言を出している。ペトロ氏はコロンビア史上初の左派出身の指導者となる。

 「今日は民衆のための祝日です。民衆の皆さんは、我が国で初めての民衆の勝利を祝福してください」とペトロ氏は選挙結果が最終確定した直後にツイッターに投稿した。「今私たちが書き込もうとしている歴史は、コロンビアにとって、ラテンアメリカにとって、世界にとっての新しい歴史なのです。この答えを出した有権者の皆さんを裏切る訳にはいきません。」とペトロ氏はツイートしている。



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 新しく大統領に選ばれたペトロ氏はさらに、自身は党派を超えてコロンビアの連帯を進めたいと以下のようにツイートしている。「多様性のあるこのコロンビアをひとつにまとめたいのです。2つのコロンビアはいりません」

 コロンビアはここ何十年間も左派による暴動や経済問題に苦しめられてきた。ペトロ氏自身も都市部のゲリラ組織であるM-19という組織に17歳から加入していたが、事務方をつとめていて、戦士ではなかったと後にペトロ氏は主張していた、とAFP通信は報じている。

 ペトロ氏の勝利は同地域であるラテンアメリカ諸国の大統領たちからも歓迎されている。具体的には、メキシコやアルゼンチンやボリビアやチリやペルーやベネズエラやキューバやホンジュラスだ。アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官もペトロ氏を祝福し、米国政府はいつでもペトロ政権と協力して「より民主的で公正な地域」の建設を行う用意があると述べている。なおペトロ氏が正式に大統領職に就くのは8月7日だ。

なぜニカラグアを守ることが重要なのか‎

なぜニカラグアを守ることが重要なのか‎
<記事原文 寺島先生推薦>

Why Defending Nicaragua Is Important

‎スティーブン・セフトン‎‎ (Stephen Sefton)著‎

‎グローバルリサーチ、2021年10月22日‎

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月4日



 少なくとも21‎‎世紀の開始以来、それ以前には見られなかった、2つの世界的な傾向が非常に明確に現れました。第一は、北米とヨーロッパの海外侵略が増加して、米国自体やその同盟国の国内における経済的、政治的な抑圧が増加してきたことです。この国内の抑圧は、過去2年間で前例のないレベルに達しています。‎

 第二に、‎コーリー・モーニングスター(‎‎Cory Morningstar)から‎‎アイイン・デイビス‎‎(Iain Davis)までの作家が長年にわたり詳細に報告してきたように、欧米主導の経済グローバリゼーションが明らかに崩壊しているにもかかわらず、‎北米とヨーロッパの企業は様々に装って、国際的な政策決定と支配を共謀してきたことです。 

 ‎これらやその他の傾向の中で、ニカラグアが国家主権を断固として防衛し、経済的、社会的、環境政策において非常に成功しているために、約700万人のこの小さな国は米国と同盟国の侵略の標的となってきました。来月11月7日の総選挙が近づく中、‎‎ニカラグアは、ラテンアメリカやカリブ海諸国の中で、西側政府やその企業、代替メディア、および国際NGOから、次の理由から最も攻撃を受けています。‎

§  ‎ニカラグアの保健システムは、経済的な制約や、学校の閉鎖を行うことなくCOVID-19に対処できたくらい、世界で最も成功したシステムです。

§  ニカラグアは世界で最も男女平等な国の一つです‎。

§  先住民族とアフリカ系の人々のための地域自治のモデルは、西半球で最も進歩的で発展しています。

§  ニカラグアは、地球環境政策に関する国際的な議論において、豊かな国々を批判する主導的な役割を果たしています。

§  教育システムはラテンアメリカとカリブ海諸国で最も革新的で進歩的なシステムの一つです。

§  公衆衛生システムは、中米で最も大規模で近代的です。21の新しい病院と、改修され、近代化された46の病院を持ち、1,259の診療所、192の保健センター、妊娠中の母親‎のための178のホステスもあります。

§  高速道路のインフラは、ラテンアメリカとカリブ海諸国で最高レベルの国の一つです。

§  ニカラグアは、すべてのアメリカ大陸の国々の中で最も安全な国の一つです。

§  ニカラグアは、麻薬密売や組織犯罪との戦いにおいてその地域で最も成功した国です‎。

§  経済は、食料生産において最も民主的に社会的に組織化され、実質的に自給自足であるため、この地域で最も成功している国の一つです。

§  ‎ ‎ニカラグアは、同地域の他のどの国よりも、幅広く世界の大多数の国々と優れた外交関係を享受しています‎

 ‎‎‎‎ニカラグアの政府と人々のこれらの成果はすべて、国民解放のためのサンディニスタ戦線(FSLN)の‎‎歴史的な1969年の革命プログラム‎‎に基づいています。それらは、米国とヨーロッパと同盟関係にある同地域の国々がそれぞれ政策に失敗しているのとは、きわめて対照的です。そういう国々には、ニカラグアの中米の隣国だけでなく、チリやコロンビアのようなはるかに大きく、おそらくより発展した国も含まれます。この単純な事実は、現在北米とヨーロッパを支配している企業と国家権力のファシスト勢力にとってきわめて都合が悪いため、組織的に抑圧されています。
    
 ‎したがって、ニカラグアは、西洋のメディアやNGOによる虚偽報道の対象であり、真実がまさに逆であるのに、ニカラグア政府は反民主的で、腐敗し、無能であると非難されています。この種の報告は、キューバ、ボリビア、ベネズエラの場合と非常によく似ています。西側諸国政府とその同盟国は、軍事侵略や破壊活動、そしてあらゆる種類の経済的侵略、あからさまな政治的介入など様々な手段によって社会的、経済的発展を後退させ、これら3カ国の人々を攻撃することに成功しました。僅かな例外を除いて、西洋の企業メディアや、代替メディアや、NGOは、この邪悪な犯罪を支持しています。‎

 西側諸国の報道によれば、これらの国々の人々の自由と民主主義を促進するためだと報じていますが、これらの国々の人々の生活を破壊しているのは西側諸国の政府であるという事実を批判的に報じることはありません。ニカラグアの場合、2018年の政権交代の試みが失敗した後、企業に所有されている米国政府とその同盟国は経済的侵略を激化させ、外交、メディア、NGOを使ってニカラグアの人々に対する心理戦を主導しました。彼らは、ボリビア、キューバ、ベネズエラの人々に対して行おうとしたように、社会経済発展を成功させ持続させるというニカラグアの展望を破壊したいと考えています。‎

 ‎‎それでも、すべての兆候は、ニカラグアの人々が自国のサンダニスタ政府を支持して、11月7日に大規模に投票するだろうというふうに見えます。2007年1月にオルテガ大統領が就任して以来、過去14年間、国民生活のあらゆる分野で彼らの生活が大きく変わったので、彼らはサンデイニスタに投票するでしょう。世界中の人々は、西側のエリートの抑圧的な専制政治に対するニカラグアの挑戦を擁護すべきです。

*
 この記事はもともと‎‎トルティーヤ・コン・サル‎‎に掲載されました。

‎ ニカラグア北部に拠点を置く著名な作家で政治アナリストの‎‎スティーブン・セフトン‎‎は、教育と医療に焦点を当てた地域開発作業に積極的に携わっています。

 

ニカラグア在住選挙監視員が見た、西側から「茶番」といわれた選挙の真実

ニカラグア在住選挙監視員が見た、西側から「茶番」といわれた選挙の真実

<記事原文  寺島先生推薦>

I monitored the US-denounced Nicaraguan election; people believe in the Ortega government



Russia Today  論説面

2021年11月8日

 ダニエル・コバイク(Daniel Kovalik)

Daniel Kovalik teaches International Human Rights at the University of Pittsburgh School of Law, and is author of the recently-released No More War: How the West Violates International Law by Using “Humanitarian” Intervention to Advance Economic and Strategic Interests.

<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>

2021年11月28日



 西側のメディアや政治家たちは、ニカラグアの総選挙を「インチキ」や「茶番」と決めつけているようだが、ニカラグア市民の多数は11月7日に投票を行ったし、外国からの干渉には「ノー」という答えを突きつける答えを出したのだ。

 仮の集計結果によると、11月7日の選挙で、有権者の65%が投票し、そのうち75%の人々がサンディニスタの指導者ダニエル・オルテガに投票し、現職のオルテガの連続4期目の大統領職を確定させたことがわかった。

 多くのニカラグア国民、特に貧困層や労働者階級の人々にとっては、そのような選択をしたのは当然のことだ。サンディニスタはニカラグアに史上最大の勝利をもたらし、1979年には米国の支援を受けた獰猛な独裁者であったアナスタシオ・ソモザをやぶり、1984年にはニカラグアで初となる自由で公正な選挙を行い、ニカラグアを脅かしていた1980年代の米国支援によるコントラを破った。
 


 ニカラグア国民の大多数の人々の福祉になど目もくれない新自由主義に基づく政権による17年間の支配の後、サンディニスタは政権を取り返し、経済の活性化を成し遂げ、すべての国民を対象とした教育と医療の無償化を実現させ、インフラ整備に何億ドルもの資金を投入した。


 77.5%のニカラグア国民が選挙の数日前に行われた世論調査において同意したのは、ニカラグアはサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)の指揮の下、社会的にも経済的にも前進できる、という事実だった。いっぽう国民の74.6%は、ニカラグアはサンディニスタ政権のもとで、より繁栄が見込まれると考えていることも明らかになっている。さらにニカラグア国民の91.8%は、「団結して、より強力になり貧困を撲滅しよう」というダニエル・オルテガ大統領の提案に同意している。
 
 オルテガ大統領の「団結して、より強力になろう」という提案が強く支持されていることは、政府が多くの反対勢力に対してとった最近の厳しい対策が支持されていることにも現れているようだ。その反対勢力というのは、しばしば米国などの後援による工作や支援(またはその両方)を手助けしたとして非難されている人々のことだ。一例をあげると、少なくとも200人のニカラグア国民が犠牲となった2018年の暴動事件を幇助した勢力だ。


 8月に行われた世論調査においてニカラグア国民が示したのは、「[国民の]76.8%が、この国には差別はなく、基本的人権が擁護され、機会の平等も行き届いていると考えている」という事実だった。

 
 先述した今回の選挙前の世論調査で示された数値は、私が公的な選挙監視員としてここニカラグアで目にしたことと整合性がとれている。当時私は太平洋岸にあるニカラグアのチナンデガに他の多数の監視員とともに派遣されていた。そこで私が目撃したのは、個人や、家族総出で投票に来ている人々の姿だった。彼らのほとんどは質素な暮らしを送っている人々であり、彼らにとって選挙はとても重要な意味をもつことであった。多くの人々が一張羅をまとって投票に来ていた。

 
 ほとんど歩けないお年寄りが投票所に現れるのをたびたび目にした。その人たちは家族に支えてもらっていることが多かった。或る女性は、投票が出来るよう4人に車いすを運んでもらって階段を上っていた。言い方を変えると、投票行為を行うのに大変な苦労をする人々がたくさんいた、ということだ。私たちに紫のインクをつけた親指を示して、もう投票を済ませたことを伝える投票者たちもいた。私たちが訪問した4カ所の投票所のうちの1カ所ではお祭りでもしているかのような雰囲気で、食べ物や飲み物が売られ、投票者たちは投票所の中や外で、交流を楽しんでいた。



 少なくとも私が目にしたことからいうと、ニカラグア国民は、政府や選挙制度を信頼していることがうかがえた。国民たちが信頼しているものの一つに、国外からの干渉から国家主権を守るために、政府が有している権利や果たすべき義務も含まれている。それは特に米国による絶え間ない干渉に対してだ。米国はずっとニカラグアに対する干渉を行い続けている。その手口は、しばしばニカラグア国内にいる売国奴を使うというものだ。そのような破壊行為が1世紀以上行われてきたのだ。

 
 西側メディアは、米国によるそのような干渉行為は全くないような報じ方をしており、ほとんどの米国民はそんなことがかつて起こったことを知らなかったり、忘れてしまったりしている。しかしニカラグア国民は実際起こってきたこととして、米国による干渉の痛みを忘れてはいない。ニカラグア国民は、力の限りこれらの干渉に抵抗しようとしている。その結果が、11月7日の選挙結果だったのだ。国民がこのような外国からの干渉には、何よりも反対しているという声を伝えたのだ。だからこそ、米国政府や、米国メディアは、この選挙結果に激怒しているのだ。

米国政府の介入。ハイチとキューバで、米国が後援する政権不安定化工作が継続中。

米国政府の介入。ハイチとキューバで、米国が後援する政権不安定化工作が継続中。
<記事原文 寺島先生推薦>
Washington’s Interference: Continued US Sponsored Destabilization in Haiti and Cuba

 Abayomi Azikiwe(アバヨミ・アズキウェイ)著

Global Research
2021年7月18日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年8月20日




 ジョブネル・モイーズ大統領の暗殺と、キューバ共産党に対する反政府運動には、米国によるカリブ海のこの二国への内政干渉が進行中であるという痕跡が見える。

 ハイチのジョブネル・モイーズ大統領は、7月7日の早朝の時間帯に、首都ポルトー・プランスの自宅で暗殺された。

 モイーズ大統領の死をめぐる状況については、ハイチ内外での様々な報道や調査機関により、真実が明らかにされつつある。

 モイーズ前大統領殺害の容疑者として逮捕された人々の多くは、国防総省や米国の法執行機関を通して米国と繋がっていることが分かった。ジョー・バイデン政権は、ハイチでのこの事件に関して「この動きに軍を使って介入」していないと表明しているが、FBIなどの米国国土安全保障省(DHS)の工作員をハイチに派遣したことを認めている。 これらの米国の工作員たちは、今ハイチ国内に潜伏しており、米海軍も、米国大使館を保護するという表向きの理由でハイチに派遣されている。

 モイーズは米国から経済政策や外交政策において支援を受けてきた。それは2016年に物議を醸し出すような状況下で彼が大統領に選出されてからのことだ。2017年の2月にモイーズが大統領の職につくまでに、数ヶ月を要した。大統領につくやいなや、大規模なデモやストライキが勃発した。それは労働者階級や貧困層に悪い影響を与えるモイーズの政策への反発だった。

 ドナルド・トランプ前大統領とは、密接な関係を結んでいたのだが、それだけではハイチの政治的安定には不十分だった。2018年から現在に至るまで、社会不安はずっと噴出している。ここ数ヶ月間、モイーズと彼の政党であるテット・カレ(ハゲ頭という意味)党が支援するギャングの犯罪組織が台頭し、この犯罪組織が首都ポルトー・プランスのいくつかの地域を脅し、破壊している。

 この暗殺の容疑者の多くは、米国と長年緊密な同盟関係にある南米コロンビア出身者だ。コロンビアの公安部隊は、歴代米国政権から多大な援助を受けてきた。それは革命運動を阻止するためであった。ただしその革命運動は、コロンビア国民からは広く支持されてきたのだが。

 コロンビア出身の容疑者のうちの多くは、米国国防総省からの訓練を受けていた。米国国防総省は、ラテン・アメリカや、アフリカや、アジアの国々の軍人に対して頻繁に訓練を実施している。その目的は、米国と同盟関係にある抑圧された国々の保安部隊の内部に影響力を保ったり、支配したりすることだ。

 国務省からの出版物であるボイス・オブ・アメリカ下線文(VOA)誌でさえ、7月16日に以下のような記事を出した。

 (以下はボイス・オブ・アメリカの記事から)

 ジョブネル・モイーズ大統領の暗殺事件に関わって、ハイチの警視庁に身柄を拘束されたコロンビア人のうちの数名は、「米国における軍人訓練と軍人教育」を受けていた、と国防総省の報道官はVOAへのメールで明言している。 このことは、これまでの訓練のデータベースを見直している中で分かったことだ、とケン・ホフマン中佐は語ったが、いつのどこの訓練かは明らかにしなかった。「データベースの見直しを現在行っている途中なので現時点ではこれ以上の詳細はお知らせできません」とホフマン中佐は語っている。このことを初めに報じたのはワシントン・ポスト紙だった。国防総省によれば、国防総省は、毎年何千人もの南米や、中米やカリブ海の国々の軍人を訓練している、とのことだ。

(ボイス・オブ・アメリカの記事からの抜粋はここまで)

 捕まった3人のハイチ国民はすべて米国籍を所有していた。うち2名はコロンビア出身者とともに拘束された。報道によれば、彼らは政府や富裕資産家や、企業の安全警備を行っている民間の軍事会社に勤めていたそうだ。

 この暗殺と米国を結ぶほかの線もある。記事によれば、モイーズ前大統領の自宅への武装した潜入者たちは、米国麻薬取締局(DEA)のものだと名乗っていた。さらに容疑者の何名かが語ったと報じられたところによると、彼らがモイーズ宅にいたのは、モイーズの逮捕令状を執行するためだった、とのことだ。

 暗殺に関わっていた少なくとも一名は「情報源」であると特定された。その「情報源」というのは、DEAに関わる情報提供者や工作員を指す言葉だ。ハイチは長年、米国に麻薬を流す通路になっていると批判されてきた。

キューバの状況、米国政府は経済封鎖を続け、キューバを破壊しようと企てている

 モイーズ大統領暗殺後の7月11日に、米国の企業メディアから以下のような記事が上がった。その内容は、キューバのいくつかの都市で何千もの人々が繰り出し、食料と医薬品と市民の自由が欠けていることに対する抗議運動を行ったというものだった。これらのデモの矛先は、支配者であるキューバ共産党に向けられていた、と報じられていた。


キューバ共産党中央委員会の新旧第一書記

 しかしこの経済危機が生み出された原因が、60年間に及ぶ米国によるキューバ経済封鎖措置にあることは報じられなかった。そしてその措置のキューバへの影響は、世界規模に拡がるものだ。ここ20年間キューバの経済成長を支えてきたのは、観光業であり、国内経済での米ドルの解禁であり、中小私営企業の合法化であったからだ。

 COVID-19の流行以来、世界経済全体が大規模な失業や、貧困や、経済の行き詰まりに苦しんでいる。最も発展した資本主義の国々(米、英、仏、独、日)の医療システムは、コロナウイルス患者でひっ迫している。

 キューバはつい最近まで、流行の抑え込みに成功し、観光業を再開し始めていた。しかしここ数週間、政府が自国で生産したワクチン接種計画に取り掛かりつつあった時、コロナウイルスの感染が急増している。ただし症例数の増加はキューバだけの話ではない。米国内ではデルタ株などの変異種が出現しており、入院患者が特に南部で急増している。

 キューバの連帯組織や、反帝国主義者たちは、ミゲル・ディアス・カネル大統領が置かれた苦しい立場を繰り返し主張している。具体的には、ジョー・バイデン大統領が社会主義国家であるキューバ国内の人権問題を心配するのであれば、 大統領令を出して、前任者のドナルド・J・トランプが制定した米国とキューバ間の制限措置を取り除くべきだ、ということだ。


キューバ共産党結党100周年記念式典

 トランプが課した措置により、米国に住むキューバ国民が本国に仕送りをすることが制限された。トランプはそれ以外にも厳しい措置を課したのだが、そこには前任のバラク・オバマ大統領が手をつけ始めていた両国の関係を正常化しようという方向性を弱めようという狙いがあった。オバマはキューバとの国交を再開したのだが、経済封鎖や制裁の解除については、米議会はまだ承認していない。

 以下はベネズエラに拠点を置くテレスール・ニュース社の記事の抜粋だ。

 「金曜日(7月16日)にキューバのミゲル・ディアス・カネル大統領は、米国のジョー・バイデン大統領がキューバ内での危機に懸念を示していることに対して疑問の声をあげ、米国政府が何十億ドルつぎ込んでも、キューバの革命を破壊することに失敗していると語った。“バイデンがキューバ国民のことを人道的に心配しているのであれば、トランプ前大統領が課した246件の打撃的な制裁を取り除くこともできるだろう。その第1段階としてまずは経済封鎖を解くべきだ”とディアス・カネルは語っている。何十年間もキューバの経済状況を最悪のものにしてきたこれらの強制的な措置には、米国民のキューバ渡航の制限や、送金の制限や、外国企業がキューバと取引を行えば課される制裁などがある。キューバ当局や多くの専門家たちは、反動的な動きを見せているキューバ系米国人のグループを非難している。このグループは、米国の対キューバ政策に関して、フロリダ州当局に大きな政治的影響力を持っている」

 バイデン政権は、キューバの反政府運動への指示を7月11日にすぐ表明した。このような行為はキューバ国民の経済的苦境を強めることにしかならない。 米国政府とキューバ革命政権間の敵対心を煽るだけだ。


米国内の反帝国主義派の役割

 もちろん、抑圧された国々や共産主義の国々に攻撃を加えている帝国主義国家の内部にいて、自由と世界平和を目指す闘争に関わっている人々は、これらの国々の民衆の為に支援の手を差し出すべきだ。キューバにとっては、国の内外で社会主義革命の成果を手にすることは、発展した資本主義の国々の中の社会主義を前進させる集団との何よりの連帯となる。

 ハイチは、奴隷にされていたアフリカ系住民による12年にも及ぶ革命戦争の末、建国された。この革命戦争の相手は、米国に後押しされた仏、英、西であった。つまり米国は初めからずっと、ハイチが独立国として発展しようとする力を持つことを抑え込もうとしてきたのだ。ハイチは、ヒスパニオラ島を共有する隣国のドミニカ共和国とともに、何度も経済封鎖を受け、軍に直接攻め込まれもしてきた。ハイチを国家として了承する見返りに、ハイチはフランスに対して「補償金」の支払いを余儀なくされた。その理由は、植民地時代にフランス人が所有していた砂糖のプランテーション農場などをハイチ人が破壊したから、ということだった。

 近年のハイチ政権の潮流とは関係なく、反帝国主義派は、多くの労働者や、農民や、青年や、全ての民主派勢力の主権を守り、彼らの自己決定権に繋げなければならない。米国が内政干渉を続ける限り、ハイチが自国の利益のために発展することはできない。

 キューバは19世紀と20世紀の間に起こったいわゆる米西戦争と呼ばれる戦争の後、米国の完全な支配下に置かれていた。1959年のキューバ革命が大きな成功に繋がったのは、この島国の固有の独立を守る必要があったからだ。 終わることのない経済封鎖措置の中、1961年4月のピッグス湾侵入作戦のような状況が62年間ずっと続いているというのが、米国政府とキューバ政府間の関係だと言える。

 ハイチの民衆も、キューバの民衆も、米国内の民衆の敵ではない。帝国主義が、発展国の労働者階級や抑圧された人々と、米国が敵国と見なしている抑圧された国々や社会主義の国々の人々とを分断しようとする動きを許してはいけない。世界中のプロレタリアートや抑圧された民衆の団結だけが、世界中の人々が共に平等な関係を結ぶことができる社会を建設することを可能にするのだ。


 

ペルー初の社会主義者の大統領、ペドロ・カスティジョの誕生

ペルー初の社会主義者の大統領、ペドロ・カスティジョの誕生
<記事原文 寺島先生推薦>
Peru Gets Its First Socialist President, Pedro Castillo

Strategic Culture 2021年7月20日

ロン・ライデナー(Ron Ridenour)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年8月15日

 元教員で、元労働運動家で、元小作農民のカスティージョが率いる新政権は、社会や経済の再建を実現し、米国による不当な利益の搾取や支配から国民を救い出すという公約を守ることが期待されている。

 社会主義者である51歳のペドロ・カスティージョと、58歳のディナ・ボルアルテがペルーの大統領と副大統領に決まったとの発表は、ペルーの全国選挙審議会から、予定より遅れて7月19日に行われた。元小作農民が教員になり、労働運動家となったカスティージョと、ボルアルテ弁護士が、ペルーリブレ国民政党の候補者となっていたのだ。彼らの新政権は7月28日に発足した。(スペイン語の情報源はこちら。JNE proclamó a Pedro Castillo como el próximo presidente de la República | La República (larepublica.pe)



ペルーリブレ国民政党の支持者たちが候補者の勝利宣言を聞き、歓声をあげているところ John Reyes / La República

 ペルーリブレ国民政党の対抗馬は、ケイコ・フジモリだった。彼女の政党は極右政党である人民勢力党であったのだが、フジモリはカスティージョらの勝利を「法に則ったものだ」と認め、自身の多くの暴力的な支持者たちに全ての形態の暴力をやめるよう呼びかけた。ケイコ・フジモリは、様々な犯罪により禁錮30年の刑を求刑されているところである。具体的には、不法な賄賂の受け取り、マネー・ロンダリング、2011年の大統領選での不法な金銭の受領、犯罪組織の主導だ。ケイコ・フジモリは15ヶ月間の公判前拘留状態の後、自宅で軟禁状態に置かれている。それは海外逃亡の危険性が高いための措置だ。検察側は間もなく公判を求める予定だ 。(詳しい背景はこちらの記事を参照: Peru’s New President, Socialist-Worker Pedro Castillo: Right-Wing Contesting — Strategic Culture (strategic-culture.org))

 ケイコ・フジモリは1990年から2000年まで大統領をつとめたアルベルト・フジモリの娘であり、ペルー政界のファースト・レディ(訳注:最も著名な女性の意)である。アルベルト・フジモリは、25年の刑を受け、刑期の約半分を終えたところだ。彼の罪状は、汚職によるいくつかの罪と、軍人からなる秘密の暗殺集団を使って25名を殺害した罪だった。

 6月6日の決選投票の後、国家選挙管理委員会が以下のような発表をするのに10日間を要した。その発表の内容は、投票された票の100%が、カスティージョとボルアルテの辛勝を示していた、とのことだった。具体的には、両者の得票率は、フジモリ陣営の49.875%に対して、51.125%、票数でいくとたったの44058票差での勝利だったとのことだった。

 その後、全国選挙審議会が、1ヶ月以上かけて両候補者に投じられた17,627,100票(及び白票や無効票1,108,039票)の中から約100万票を再点検し、数え直した。 ケイコ・フジモリ側の多くの弁護士は少なくとも800件の提訴を行い、カスティージョが大幅に支持を集めた地域で大規模な不正が行われていたと主張していた。ケイコ・フジモリの支持者は、各地の選挙審議会の役所前でしばしば暴力的な抗議運動を起こし、カスティージョの支持者たちの多くに攻撃を加えた。

 元教員で、元労働運動家で、元小作農民のカスティージョが率いる新政権は、社会や経済の再建を実現し、米国による不当な利益の搾取や支配から国民を救い出すという公約を守ることが期待されている。 ペルーのこの動きは、ボリビアでの社会主義運動党の大勝とともに、多くの国々、特にラテンアメリカの多くの国々での同様の市民政党の躍進を促進するものと期待されている。





キューバとベネズエラに対するソフト・クーデターは失敗に終わる

キューバとベネズエラに対するソフト・クーデターは失敗に終わる
<記事原文 寺島先生推薦>
Cuba and Venezuela Under Siege? The Failed “Soft Coups”

Global Research
2021年7月18日

ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>



  疑いのないことだが、キューバ政権打倒を念願にしているマイアミのキューバ人たちは、今回のキューバでの反政府運動を喜んでいるだろうし、何らかの役割を果たしてもきただろう。このクーデターはソフトなクーデターと呼ばれているが、私に言わせれば、この企ては、おそらく60年を超えるキューバ革命の中で、キューバ政権を「クーデターにより転覆させよう」という史上最も激しい反政府運動だ。

  なぜかって?たくさんある理由の中からふたつだけあげよう。

  まず一つ目の理由だ。バイデンはキューバとの関係を改善しようとの考えを訴え続けていたが、彼は、多くの保守勢力からの圧力を受けている。彼らの多くは、バイデンが好きだという理由ではなく、トランプを嫌っていたためバイデンに投票した人々だ。

  来年議会選挙が予定されており、バイデンを「選んだ」民主党員に対して果たすべき義務がある。その義務のために「キューバとの関係改善」を口にしたのだろうが、このソフトなクーデターは、バイデンが共和党員と繋がっていることのひとつの証だといえる。それはつまり、バイデンに投票してくれたキューバ政権打倒を念願としているマイアミのキューバ人への配慮なのだ。

  2つ目の理由は、ベネズエラ、特にカラカスで上手くいっている作戦、つまりギャングによる犯罪が横行している状況のことだが、それをキューバの反政府運動と連携させようとしていることがあるだろう。両国で米国の意を受けた第5列勢力がうまく入り込めている、ということだ。

  バイデンの支持者たち、というよりはバイデンの後ろにいて、バイデンを陰から操るものたち、と言った方がいいだろうが、彼らには2つの計画があるのだ。ひとつはベネズエラのマドゥロ政権を打破することで、もうひとつはキューバを支配することだ。特に彼らの目から見て、トランプはこの計画に「しくじった」からだ。彼らの願いは、この両国を「米国の裏庭の国」に戻すことなのだ。 米国政府は、自分たちならラテン・アメリカの全ての国々を自分たちの「裏庭にある国々」に戻しても問題ない、邪魔をするものはない、と考えているのだ。 ベネズエラとキューバは、その企みにとって本当に邪魔な壁なのだ。

  しかしこの両国が米国の裏庭の国になることは決してない。

  両国の指導者たちは現状をよく把握できている。マドゥロ大統領はしっかりとキューバとの完全な連帯を表明している。マドゥロ大統領はロシア政府や中国政府からの支持を受けている。もちろんキューバも露中からの支持を受けている。

  両国に仕掛けたこの暴力と死の匂いがする「そんなにソフトではないクーデター」に対する敗北が、バイデンの政治生命を葬る一里塚になる可能性もある。

  キューバ革命の歴史は60年を超えている。ベネズエラ革命の歴史も20年になる。この両国がバイデン政権の軍門に下ることはないだろう。バイデンは前回の大統領選挙で国民からの大多数の票を集められなかった。しかし政権を取れたのは、グローバリストたちが、国粋主義者であったトランプを追い出したかったからだけだ。選挙不正が少しずつ明らかになっている。それはアリゾナ州から始まった。次はどの州での不正が明らかになるだろう。いやしかし、それは別の話だ。




  「裏庭の国」が裏庭であることを放棄したのはもうずっと前の話だ。それでも米国政府はそのことにほとんど気づいていない。というのも米国政府は古い、時代遅れの「ソフトなクーデター」という作戦を取っているからだ。そうすればラテン・アメリカの大きな柱である両国を倒せると思っているのだ。

  もう一度いおう。両国が米国の裏庭の国に戻ることは決してない。

Peter Koenig is a geopolitical analyst and a former Senior Economist at the World Bank and the World Health Organization (WHO), where he has worked for over 30 years on water and environment around the world. He lectures at universities in the US, Europe and South America. He writes regularly for online journals and is the author of Implosion – An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed; and  co-author of Cynthia McKinney’s book “When China Sneezes: From the Coronavirus Lockdown to the Global Politico-Economic Crisis” (Clarity Press – November 1, 2020)


ボリビア、社会主義者新大統領の下、アメリカの支配に抗して南米地域連合に再加入

<記事原文 寺島先生推薦>

Bolivia rejoins Latin American regional blocs opposing US sway under new socialist president
RT ワールドニュース

2020年11月21日


<記事翻訳 寺島メソッド翻訳ニュース>

2021年1月10日


 ボリビアのルイス・アルセ新大統領は、地域統合を目指す3つの主要ブロックへ再加盟した。これは、これら3つの左派系連合からの離脱を目指した前「暫定」政権の動きを180°転回させるものだ。

 追放された指導者エボ・モラレス氏の後継者であり盟友でもあるアルセ氏の政権は、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(スペイン語の頭文字をとってCELAC)、南米諸国連合(UNASUR)、ボリバル同盟(ALBA)の3つのグループへの「メンバー国としての完全な参加」を更新すると述べた。これら3つのグループはいずれもメンバー国間の政治的経済的協力を追求する。

 「暫定政権が下した決定、つまり前述した統合地域にボリビアが参加することを停止するという決定は、純粋に政治的利害に反応したものであって、ボリビア人民の統合的な使命とはほとんど何の関係もない」とボリビア外務省は金曜日に発表した声明で語った。この声明はモラレス氏が昨年政権から解任された後、ジェニーン・アネス氏暫定大統領が取った行動についてのものだ。



 アネス氏は、政治的危機と2019年大統領選挙における不正行為の疑惑の中で大統領に就任した。その結果、最終的にはモラレス氏の大統領辞任と、身の安全を懸念してボリビアから飛行機で脱出という結果になった。保守派のアネス氏はすぐに社会主義的な方向性と決別し、中道左派の上記3つのグループから脱退した。

 しかし、今年の大統領選で、アネス氏は第1回投票であっさり敗北。アルセ氏が勝利し、モラレス氏の政党である社会主義運動(MAS)に政権の主導権を戻った。

 
ALSO ON RT.COM

NYTimes embodies sour grapes in writeup of Bolivia’s ex-president Morales’ ‘triumphant return’ after election overturns coup

 
 ボリビアが再加盟したこの3つの地域組織は、主に現在進行中のベネズエラの政治・経済危機とワシントンからの自治を求める声が大きく関係した分裂で大きな傷を受けている。ワシントンから自立する願望もあり、そういったことが原因で、近年、3つの地域組織の一部で足並みが乱れてきている。

 かつてこの地域の12カ国で構成されていたUNASUR(南米諸国連合)は、その指導力と方向性をめぐる論争の中で、その後、加盟国のほとんどが脱退した。2017年、かつての加盟国であるアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイ、ペルーの6カ国は、ベネズエラの混乱に対処することを目的に、他の数カ国とともに米国の支援を受けたリマ・グループを結成した。この6カ国は1年後UNASURを脱退、加盟国を半減させたが、リマ・グループを通じて、ベネズエラのマドゥロ大統領に対して非常に批判的な姿勢をとり、マドゥロ政権を「違法な社会主義政権」非難している

 エクアドルとウルグアイがこの1年間でUNASURから脱退、ボリビアも、アネス氏が権力の座に登り詰めると、同様に脱退した。このグループは3カ国( ガイアナ、スリナム、ベネズエラ)だけになったが、ボリビアの復帰で11月20日(金)に4カ国になった。

ALSO ON RT.COM

‘OAS misled public’: MIT study finds ‘NO evidence of fraud’ in Bolivian election that saw Evo Morales ousted in military coup

 一方、CELAC(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同 体)はラテンアメリカの32カ国で構成されており、一部の参加国からは、ボリビアの大統領選挙での不正行為疑惑(現在はその信憑性が疑われている)をいち早く支持した米国が設立し、米国に本部を置く米州機構(OAS)に代わるものと見られている。CELACの設立はブラジルの元左翼大統領ルーラ・ダ・シルバ氏が主導していたが、ブラジルは今年初め、保守派のジャイル・ボルソナロ政権が、CELACはベネズエラなどで「民主主義の擁護」に失敗したと発言したことを受けてこの組織を脱退した。

  2004年にベネズエラとキューバによって設立され、10カ国に拡大したボリバル同盟(ALBA)は、貿易障壁の撤廃とラテンアメリカ諸国間の経済的結束の促進を目的としており、2003年にアメリカ政府が提案した南北アメリカ横断の自由貿易圏案と同様の機能を果たしている。米州自由貿易地域として知られていたこの不毛な取引は、モラレス氏によって「アメリカ大陸の植民地化を合法化するための合意」として破棄され、それに代わりボリビアは2006年にALBAに加盟することとなった。

ALSO ON RT.COM

The coup didn't take: Socialists’ victory in Bolivia shows more unity than foreign meddlers would like

 10月のアルセ氏選挙勝利は、米国に友好的なアネス政権への反発との見方が強い。そしてこのことはモラレス氏が祖国に帰還し、社会主義運動(MAS)の左派的政策への回帰へ道を開くことになる。ワシントンは2019年のモラレス氏追放を全面的に応援していたが、米国務省は先月、まるでその気持ちのないアルセ氏勝利祝福声明を発表した。

 

体制転覆の終わり – ボリビアと世界で


<記事原文 寺島先生推薦>

Ending Regime Change – In Bolivia and the World


メデア・ベンジャミンとニコラス・J・S・デイヴィス

グローバルリサーチ、2020年10月29日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>


 米国と米国が支援する米州機構(OAS)が、ボリビア政府を転覆するため暴力的な軍事クーデターを支援して1年も経たないうちに、ボリビアの人々は「社会主義運動(MAS)」を再び選んで、政権を取り戻した。 

 米国が支援する「政権転覆」の長い歴史の中で、統治方法を指図する米国の試みを、民主的に断固拒否する人々や国はめったにない。クーデター後のジャニーン・アニェス暫定大統領は、クーデターにかかわったためボリビアで起訴される可能性があるので、自分やその他の人々のために350人分の米国ビザを要求したと伝えられている。

  米国とOAS[米州機構]がボリビアのクーデターを支援するために行った2019年の不正選挙の話は、完全にその虚偽が暴かれた。MAS [社会主義運動]の支持者は主に田舎のボリビア先住民なので、MAS右派や新自由主義を支持する裕福な都市住民よりも、投票用紙の回収や集計に時間がかかるのだ。

 投票が農村部から集まるにつれて、MASへの投票数が増えてくる。ボリビアの選挙結果におけるこの予測可能で普通のパターンが、2019年の不正選挙の証拠であるといって、OAS[米州機構]は、先住民のMAS[社会主義運動]の支持者に対してひどい暴力を振るったが、結局、暴力行為を行った責任は、OASそのものの権威を失墜させることとなった。

  ボリビアでの米国支援によるクーデターの失敗が、今回のボリビアのより民主的な結果につながったことは意味深い。米国国内では外交政策をめぐり、帝国の指令に抵抗する国々の政変を強いるために、軍事的、経済的、政治的武器の兵器庫を配備する権利、あるいは義務さえあると考えられているのが普通である。



 実際この考え方が、本格的な戦争(イラクやアフガニスタンのように)、クーデター(2004年のハイチ、2009年のホンジュラス、2014年のウクライナ)、秘密戦争と代理戦争(ソマリア、リビア、シリア、イエメンなど)、懲罰的経済制裁(キューバ、イラン、ベネズエラなど)のいずれかにつながった。それらすべては、標的にされた国々の主権を犯し、それ故、国際法に違反している。

  米国がどんな政権転覆を行ったとしても、これらの米国の介入は、それらの国の人々にとっても、過去の無数の国々の人々にとっても、これまで生活をより良くするものではなかった。ウィリアム・ブラムの1995年の名著『キリング・ホープ:第二次世界大戦以来の米軍とCIAの介入』は、1945年から1995年までの50年間で55回の米政権転覆作戦を一覧にしている。ブルムの詳細な説明が明らかにしているように、これらの作戦のほとんどは、ボリビアのように、普通選挙で選ばれた政府を権力から追放する米国の試みであり、米国の支援を受けた独裁政権に置き換えることであった。例えば、イランのシャー、コンゴのモブツ、インドネシアのスハルト、チリのピノチェト将軍などの独裁政権もそうである。

  標的となった政府が暴力的で抑圧的な政府であっても、米国の介入は通常、さらに大きな暴力につながる。アフガニスタンのタリバン政府を追放してから19年の間、米国はアフガニスタンの戦闘機や民間人に8万発の爆弾とミサイルを投下し、数万人の「殺害または逮捕」をする夜間襲撃を行い、その戦争で数十万人のアフガニスタン人が死亡した。

  2019年12月、ワシントン・ポスト紙は、この暴力のいずれもアフガニスタンに平和や安定をもたらす本物の戦略に基づいていないことを国防総省の文書で公表した。今、米国の支援を受けたアフガニスタン政府は、何十年もの戦争が拒んできた実行可能で平和的な未来を、アフガニスタンとその国民に提供できるのは政治的解決だけであるとして、この「終わりなき」戦争を終わらせるため政治的権力を分担する計画について、ついにタリバンと和平交渉に入った。

  リビアで米国とNATOとアラブ首長国連邦が、密かな侵略とNATOの空爆に支援された代理戦争を開始してから9年経ったあと起こったのは、恐ろしいソドミー[訳注:旧約聖書中で神に滅ぼされた町の腐敗と退廃]と長年の反植民地指導者ムアンマル・カダフィ暗殺であった。それはリビアを様々な代理戦争部隊間の混乱と内戦へと導いた。それら代理戦争部隊は、カダフィ打倒のために、米国とその同盟国が結託し、武装させ、訓練したのだ。

 英国の議会調査によると、「民間人を保護するための限定的な介入は、軍事的手段による政権交代のご都合主義政策に陥った」ことが判明し、それによって、「政治的・経済的崩壊、民兵間および部族間の戦争、人道的危機と移民危機、広範囲にわたる人権侵害、カダフィ政権の兵器の地域全体への拡散、そして北アフリカにおけるIS(イスラム国)の成長」につながった。

 リビアで戦う諸派閥は現在、恒久的な停戦を目的とした和平交渉に取り組んでいる。国連特使によると「リビアの主権を回復するために、可能な限り早期に国政選挙を行う」というが、その主権を破壊したのがNATOの介入である。

  バーニー・サンダース上院議員の外交政策顧問マシュー・ダスは、我々の歴史で最終的にこの血にまみれた章のページをめくることができるように、次の米政権に9・11後の「テロとの戦い」の包括的な見直しをすることを求めた。

 ダスは、国連憲章とジュネーブ条約の「第二次世界大戦後に米国も起草にかかわった国際人道法」に基づいて、この20年間の戦争を総括する独立委員会の創設を求めている。彼は、この見直しで、「米国が軍事的暴力を使用する際の条件と法的権限について、活発な国民的議論」が起こることを願っている。

  このような見直しはますます必要とされているのだが延び延びになっている。というのは、その見直しは、この20年間の戦争が、米国の「政権転覆」作戦の大規模なエスカレーションを隠蔽するように設計されたものだ、という現実に直面せざるを得ないからだ。そして、当初から「テロとの戦い」は、アルカイダの台頭や9月11日の犯罪とは無関係の世俗的な政府によって治められていた国々に対するものであったからだ。

 2001年9月11日の午後、国防総省の会議で政策担当高官のスティーブン・カンボーンが取ったメモは、ラムズフェルド国防長官が直ちに情報を得るために彼の出した指令をまとめたものである。そのメモは、「UBL[オサマ・ビン・ラディン]だけでなく、同時にS.H.[サダム・フセイン]を攻撃するのにふさわしいかどうかを判断せよ。大規模に攻撃せよ。すべてを一掃せよ。9・11に関係していようがいまいが」、という内容だった。

  恐ろしい軍事的暴力と大量の犠牲者を出して、その結果生じた世界的なテロによる統治は、世界中に偽政府を作った。それらは、米国の行動が排除した政府よりも腐敗し、正当ではなく、自国の領土とその国民を守ることができないことを証明した。そして、米帝国の意図したとおりに強化されず、拡大せず、これらの軍事的、外交的、財政的強制が違法かつ破壊的に行使されたため逆効果になった。そして徐々に変化する多極化世界において、米国はこれまで以上に孤立し、無力となった。

  今日、米国、中国、欧州連合(EU)は、経済と国際貿易の規模はほぼ等しいが、それら全てを合わせても、世界経済対外貿易の半分以下である。冷戦の終わりにアメリカの指導者が望んでいたように、今日の世界を経済的に支配する力はどの帝国にもないし、冷戦時代のようにライバル帝国間の二極対立によって分断されてもいない。これが私たちがすでに今住んでいる多極化世界であり、それは将来いつかは出現するかもしれない多極化世界ではない。

  この多極化世界は、新たな合意を作り出し、前進している。つまり、や通常兵器をはじめ、気候変動危機や、女性と子どもの権利に関する最も重要な共通問題の合意づくりである。米国は、国際法違反と多国間条約を拒否することによって、アメリカの政治家が求める確かな世界のリーダーとはなれず、世界の除け者となっている。

  ジョー・バイデンは、彼が選ばれた場合、アメリカの国際的なリーダーシップを回復すると言っているが、それは言うは易く、行うは難しいことだろう。アメリカ帝国は、20世紀前半に経済力と軍事力で、ルールに基づく国際秩序を利用して国際的なリーダーとなり、第二次世界大戦後の国際法のもとで全盛を極めた。しかし、米国は冷戦と冷戦後の勝利至上主義を通じて徐々に悪化し、今では「力は正義だ」や「私のやり方に従うか、嫌なら出て行け」の教義で、世界を脅かしてもがいている、退廃的な帝国になった。

  2008年にバラク・オバマが当選したとき、世界の多くはブッシュ、チェイニー、そして「テロとの戦い」をアメリカの政策の「新たな標準」というよりも、「例外的」と見なしていた。オバマは、いくつかのスピーチと、「平和の大統領」を待ち望む世界の絶望的な希望を託されてノーベル平和賞を受賞した。しかし、オバマ、バイデン、テロの火曜日*、キルリスト*の8年間、そしてトランプ、ペンス、ケージの子供たち*、中国との新冷戦の4年間は、ブッシュとチェイニーの下で見られたアメリカ帝国主義の暗黒面が、例外ではなかったという世界最悪の懸念を確認することとなった。

<訳注>  [テロの火曜日 --- オバマ大統領は、火曜日夕方必ずCIAのブレナンに暗殺指令を出した。]

 [キルリスト --- 米ニューヨーク タイムズによれば、オバマは毎週火曜日の朝、ホワイトハウスの危機管理室で殺人の作戦会議を行う(参照リンク)。

そこでは、学校の卒業アルバムのように、テロリストの写真と簡単な説明が並べられた
書類がオバマに提出される。そしてオバマは、彼らの殺害に承認を与えるのだ。この書類はメディアによって「キル リスト(殺害リスト)」と呼ばれている。]

[ケージの子どもたち・・・ アメリカ南部国境地帯で、不法移民の家族から引き離して収容する劣悪な施設の子どもたち(伊吹太歩の世界の歩き方:人権派の人殺し、本当は怖いオバマ大統領)より]

  アメリカのやり損なった政権転覆と戦争の中で、侵略や軍事介入の最も具体的な証拠は、米軍産複合体が依然としてアメリカに続く次の10カ国を合わせたより多くを支出していることである。もちろんこの多額の出費は、アメリカを防衛するため必要となる額を過剰に上回っている。

引用


  はっきりしていることは、我々は、平和を望むならば、爆撃を止め、隣国を制裁したり、他国の政府を打倒しようとすることを止めることだ。米軍をほとんど撤退させ、世界中の軍事基地を閉鎖することだ。そして、我々の軍隊と軍事予算を、本当に我が国を守るために必要なものに減らし、世界侵略の違法な戦争を行わないことだ。

 抑圧的な体制を打倒するために大衆運動を構築し、失敗した新自由主義体制の複製ではない新しい統治モデルの構築に格闘している世界の人々のために、我々は、ホワイトハウスに誰が入っても、アメリカの意志を他国に押し付けようとする政府を阻止しなければならないのだ。

  米国の支援を受けた政権転覆に対するボリビアの勝利は、我々の新しい多極化世界で湧き上がる人民権力の確認であり、米国を帝国後の未来に移行させる闘争は、米国民の利益にもなっている。故ベネズエラの指導者ウーゴ・チャベスがかつてベネズエラを訪問中の米国代表団に語ったように、「帝国を克服するために米国内の抑圧された人々と協力すれば、私たちは自分自身を解放するだけでなく、マーティン・ルーサー・キングが語る人々をも解放するだろう」と述べた。

*
メデア・ベンジャミンは、平和のためのCODEPINKの共同創設者であり、いくつかの本の著者である。「不当な王国:(米・サウジの連携の背後)」と、「イランの内側:(イランのイスラム共和国の本当の歴史と政治)」など。

ニコラス・J・S・デイヴィスは独立系ジャーナリストで、CODEPINKの研究者であり、「ブラッド・オン・アワ・ハンズ血まみれた我々の手:(アメリカのイラク侵攻と破壊)」の著者。

 

「我々は、必要と思えば誰にでもクーデターを仕掛ける」――注目の起業家イーロン・マスク氏はネット上で、ボリビアのエヴォ・モラレス前大統領の追放を冗談めかして煽り立てた


<記事原文 寺島先生推薦>
‘We will coup whoever we want’: Elon Musk sparks online riot with quip about overthrow of Bolivia’s Evo Morales

RT ワールド・ニュース
2020年7月25日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2020年8月20日
‘We will coup whoever we want’: Elon Musk sparks online riot with quip about overthrow of Bolivia’s Evo Morales

 Tesla & SpaceX社のCEOであるイーロン・マスク氏がツイッターを炎上させたのは、自分の会社の利益のためであれば政権交代作戦を実行することに何の異論もない、と受け取れるような発言をしてからだ。しかし、マスク氏の発言は明らかに冗談だとする者もいた。

 この挑発的なコメントをする前に、億万長者の実業家イーロン・マスク氏は、低迷するアメリカ経済を後押しするために、さらなる政府の景気刺激法案を作成しても「国民の最善の利益にはならない」だろう、と示唆していた。

 これに納得できないコメンテーターは反論した。「何が人々の利益にならなったかあなたは分かっているのでしょう?アメリカ政府がボリビアのエヴォ・モラレスに対するクーデターを組織したのは、あなたがボリビアのリチウムを手に入れられるようにするためだったのですよ」、と。

 マスク氏は、この非難に動じる様子もなく反論した。「我々は必要と思えば誰にでもクーデターを仕掛ける!頭を冷やしたらいい」と答えた。その後のツイートで彼は、テスラ社はオーストラリアからリチウムを調達していると述べた。

 この投稿でツイッターは大炎上することになった。ジャーナリストのマックス・ブルメンタール氏は、マスク氏の無恥なツイートは、「ボリビアのリチウム・クーデターを実質的に正当化することになる」と主張した。

 「再生可能」エネルギーの中心人物であるイーロン・マスク氏はボリビア・リチウム・クーデターを実質的に正当化するほんの数ヶ月前、リチウムが豊富なブラジルにあるテスラ社工場前でのボルソナロ・ブラジル大統領との会談を予定していた。



 マスク氏があれこれ考えていることを「軽率」であり、「残酷で殺人者的な発想」と表現している評者もいる。「その歯に衣着せない言い方がさわやか」との認識も隠してはいないが。

 誰もがこのテスラ社CEOの声明を額面通りに受け止めているわけではない。マスク氏の発言は明らかに冗談だと言う人もいるからだ。ただし、悪乗りが過ぎてはいるが。

 「冗談のつもりなのだろう。それにしてもこれは本当にひどい。アメリカに支援された軍事クーデターが起きると苦しむのは無辜の人々なのだ。その人たちの苦しみを何とも思わないのか?」との返信があった。

 ボリビアのエヴォ・モラレス前大統領は、昨年11月に選挙の不正行為を告発されて辞任し、国外に逃れた。モラレス前大統領はRTとのインタビューで、今回の事件を「クーデター」と呼び、ボリビアの埋蔵リチウム(世界最大級)を産業界の搾取に委ねる右派の指導者の就任を狙ったものだと語った。

ALSO ON RT.COM

Bolivian coup was all about the lithium & OAS had a hand in it, ousted president Morales tells RT

 2019年11月の初め、ボリビアはドイツの企業ACI Systems Alemania(ACISA)との大規模なリチウムプロジェクトを中断した。テスラ社がオーストラリアからリチウムを受け取っているのは事実だが、テスラ社はACISAの顧客リストに入っているとも言われている。

アルゼンチンの社会運動が食糧主権を提案

<記事原文>

Argentine Social movements, Ciudad Futura and the Frente Patria Grande, proposed a food sovereignty plan that promotes the creation of a public food company to ensure the access to food to vulnerable sections of the society.

INTERNATIONALIST 360°
2020年5月12日




 前右翼政府によって引き起こされ、COVID-19のパンデミックによって悪化した飢餓と貧困の状況に直面し、Ciudad Futura(Future City)とthe Frente Patria Grande(Front for Great Homeland)のようなアルゼンチンの社会運動は、食糧主権計画を提案している。これらの運動は、歴史的に無視されてきた社会階層への食糧アクセスを確保するために、公共食品会社の設立を可能にする法律を推進しようとしている。

 マウリシオ・マクリ前大統領の右翼政権による新自由主義的な経済政策により、アルゼンチンは史上最悪の不況に陥った。国際通貨基金(IMF)の政策に沿って実施された緊縮財政によって引き起こされた社会経済危機により、アルゼンチンの人口の50%以上が深刻な影響を受けた。国の通貨の切り下げ、失業率の上昇、貧困、ホームレスの増加、激烈なインフレ、そして政府の適切な政策の欠如により、アルゼンチンの人口の大部分が基本的な食糧にアクセスできない状況に陥った。

 COVID-19パンデミックの拡がりは、緊急事に政府がきちんと効率的な食糧支援システムを保証するために大きな課題がまだ残っていることを明らかにした。

強制的かつ予防的な社会的隔離措置が行われている間に、必要不可欠な食料品の価値が合理的な正当性もなく高騰した。社会運動は、価格高騰の主な原因は仲介業者にあると主張した。

 これらの運動に関わっている指導者たちの説明によると、経済力の集中と少数の流通業者や生産者が価値連鎖を独占しているため、ほとんどの場合、国家は被害者となり、高い代償を払わなければならないとのことだ。

 この状況に直面した社会運動は、仲介業者の排除も目的とした公的な食品会社の企画案を提案した。

 与党左翼連合Frente de Todos(Front for all)のフェデリコ・ファジオリ全国副代表は、この企画案を支持し、地方議会だけでなく下院でも法案を提出すると述べた。「我々は、国民が食糧を手にする権利を保証し、投機を抑制し、我々の主権を取り戻すために、ナショナル・フード・カンパニーの創設を奨励する法案を国会と地方議会で提出するつもりだ 」とファジオリは述べた。



 Frente de Todos と Frente Patria Grandeに属するフェデリコ・ファジオリは、下院で国立食品会社のための法案を提出する。

 これらの社会的指導者たちは、その第一歩として、地方に分別的な工場創設を推進しなければならない、と述べた。そしてこれらの工場は原則的には中小規模の食品生産者のネットワークと連携して、そこから一括して食品を買い上げる、とのことだ。これにより、仲介業者や価格規制者がいなくなるため、最終的な価格が下がると指摘している。さらに、この制度は地域の生産者を支援し、支援の範囲を確実に拡大することになるだろう。

 Frente Patria Grandeの指導者たちは、社会運動、大衆経済出身の労働者、協同組合、中小生産者、国家、地方そして市の行政府などがパブリック・フード・カンパニーの設計に参加することを明らかにした。

 また、同法の原案では、パブリック・フード・カンパニーの運営に2つの段階が設けられることになっているも告知された。第一段階では、小麦粉、米、豆類、麺類、ハーブ、砂糖、油、シリアル、ドライフルーツ、調味料など、保存が容易な10の必須品目に焦点を絞る。この段階では、食品は自社ブランドで工場から出荷され、施設、学校、公民館向けの卸売りと、直接消費者向けに特別にデザインされた栄養ボックスに入った小売の2つの形態で市場に出回ることになるが、その中には果物や野菜などの他の食品も含まれる。第二段階では、乳製品や肉類などの冷凍食品を取り入れる予定である。

このプロジェクトには、the Frente Patria Grandeの社会活動家フアン・グラボイス氏、Ciudad Futuraからはフアン・モンテベルデ氏、カレン・テップ議員とペドロ・ピトゥ・サリナス議員、フェデリコ・ファジョリ下院議員とイタイ・ハグマン下院議員、ブエノスアイレスのオフェリア・フェルナンデス議員からの支援がある。

 現職のアルベルト・フェルナンデス大統領は就任以来、マクリスモ運動が生み出した社会経済危機を逆転させるための対策を継続的に講じてきた。2019年12月には、同国の飢餓対策として「フードプラン」を開始した。この構想の下、政府は貧困層の市民に200万枚のフードカードを配布し、それで月4000ペソ相当の基本的な食料品を無料で購入することができた。


米国はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を麻薬テロの容疑で起訴

<記事原文 寺島先生推薦>Washington brings NARCO-TERRORISM charges against Venezuelan President Nicolas Maduro

RT World News 2020年3月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年4月21日
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米国はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を「麻薬テロ」の容疑で起訴した。この手口は、おなじみの手口だ。パナマの指導者マヌエル・ノリエガが30年前の米国侵攻前に同様の容疑で痛い目にあっている。
マドゥロとベネズエラ政府や軍の現および元当局者の14名は、3月26日、フロリダ、ニューヨークおよびワシントンDCの裁判所から起訴された。司法省によると、マドゥロとその一味は、コロンビアのゲリラと共謀し、空路と海路を使って、薬物を米国の海岸に輸送し、米国にコカインを「ばらま」いたそうだ。




「マドゥロ政権は腐敗と犯罪で溢れている」。ウィリアム・バー検事総長は3月26日の記者会見で述べた。「この秘密組織は麻薬で私腹を肥やしており、こんなことは終わらせなければならない」。

バー検事総長は、麻薬押収の証拠を出さなかったが、米国当局が、中央アメリカで行われている違法取引を確認したと主張した。

国務省はマドゥロに1,500万ドルの懸賞金をかけ、ベネズエラの政治および軍事指導者5名についての情報提供に対してそれぞれ最大1,000万ドルの報酬金を用意した。
国家元首を起訴するとは、大胆な行為だ。しかし、米国は1年以上かけて、マドゥロを権力から取り除こうとしている。ベネズエラの反体制派のリーダーであるフアン・グアイドが昨年1月に「暫定大統領」を宣言した後、米国政府はすぐに、グアイドをベネズエラの正当な指導者として認めた。マドゥロ政府に対する一連の制裁措置が続き、軍事行動が噂されたこともあった。

しかし、マドゥロは、警察と軍隊からの忠誠を保ち、カラカスで引き続き権力を握っている。

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米国がマドゥロを捕まえて処刑するチャンスはほとんどない。バー検事総長は、「司法省は、ベネズエラの指導者を逮捕するためなら、どんな手段もとる」と言っていたが。ベネズエラの反体制派に、マドゥロをとらえさせる手立ても限られていて、バー検事総長は、ただこう述べた。「米国当局が、旅行中のマドゥロと同伴者を捕まえることも可能だ。しかし、世界的なCovid-19大流行のいま、それは、考えにくい。」

米国は、マドゥロ以前に一人だけ、現職の国家元首を起訴したことがある。1989年の、パナマの指導者マヌエル・ノリエガだ。マドゥロと同様に、米国は、ノリエガをパナマの正当な指導者だと認めていなかった。

 一時は、米国の同盟者であったノリエガだが、最終的には、1989年にパナマに侵攻した米国の特殊部隊により拘束され、3年後にマイアミ州の法廷で起訴された。
3月26日、バー検事総長は、マドゥロ大統領を逮捕するために軍事行動を起こすかどうか聞かれたが、その質問には答えなかった。

「ボリビアのクーデターは、リチウム資源を狙う
米州機構(OAS)の策略」と語るモラレス大統領

Bolivian coup was all about the lithium & OAS had a hand in it, ousted president Morales tells RT

RT/ Home/World News/  2019年11月21日

(翻訳: 寺島メソッド翻訳グループo.n. 2019年12月12日)

<記事原文>寺島先生推薦  
Bolivian coup was all about the lithium & OAS had a hand in it, ousted president Morales tells RT

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ボリビアから追放された大統領エボ・モラレスはRTに対し、米州機構 (OAS) が彼の追放に重要な役割を果たしたことと、ボリビアには大量のリチウムが埋蔵されていることがクーデターを後押ししたと述べた。

モラレスは大統領再選を果たした直後の今月初め、ボリビアから逃れた。反対派は選挙は不正だったと主張し、モラレスは再投票を提案したが、彼は警察と軍の支持を失い、メキシコに亡命を求めた。

モラレスは、南米に残っている少数の左派指導者の一人であり、ラファエル・コレア前エクアドル大統領とのスペイン語での対談で、ワシントンDCを拠点とする南北アメリカの右派寄りの州の集まりである米州機構(OAS)が彼の失脚にからんでいると主張した。

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10月のボリビア選挙に関するOASの報告について、「どこにも不正があるとは書かれていませんでした」と彼は述べた。 報告は投票所での「選挙違反」を指摘しているが、他の専門家グループからはそれとは矛盾する報告が複数ある。

OASの報告書が公表された後、モラレスは、OASの事務総長ルイス・アルマグロに連絡を試みたが、返答はなかったと振り返っている。彼の側近に対して、モラレスは「もしあなたが報告書を見直さなければ、あなたはこの報告書でボリビアに火をつけ、死者を出す事態を招くだろう」というアルマグロへのメッセージを伝えている。

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彼の予測は正確だった。彼の追放以降、モラレスの国ボリビアは抗議と暴動によって麻痺し、彼の支持者と機動隊との間の小競り合いで30人以上が死亡した。デモ参加者は警察の人権侵害を非難しており、ボリビアの暫定政府は国を平和にするために迅速な選挙を導入する法案を提出した。

「OASは決定を下し、そして出された報告書は専門家の報告には基づかず、政治的決定が基礎となっている」と彼は付け加えた。

モラレスは、彼に対するクーデターは、ボリビアのリチウム埋蔵量―世界最大のものの一つ―を産業による搾取に開放する右翼指導者を任命することを目的としていたと続けた。リチウムは電気自動車や長寿命バッテリーの製造に不可欠であり、モラレスは国の経済的将来を確保するためにリチウムの採取の国有化を計画していた。

電気自動車のバッテリーにリチウムを使用しているTeslaは、モラレスの亡命後、株価が上昇した。およそ9億トンと推定されるボリビアのリチウム資源を何とか確保できた一連の企業は、相当の利益を上げることができる。Bloombergは昨年、2025年までに世界の(リチウム)需要が倍増するだろうと報じた。

「暗殺未遂」を確信する追放されたモラレスボリビア大統領

記事原文<寺島先生推薦>
Assassination attempt’: Bolivia’s Morales is certain helicopter malfunction was bid to kill him

翻訳<寺島メソッド翻訳グループo.n. 2019年12月>



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追放されたボリビアのエボ・モラレス大統領は、先月移動中のヘリコプターで発生した機械的故障は「暗殺未遂」であり、事故ではないことに「疑いの余地はない」と語った。

エクアドル元指導者ラファエル・コレアが聞き役となったRTスペインの独占インタビューの中で、モラレスは、事故は明らかに尾部ローターの機械的欠陥で、彼が新しい道路の開通式に向かう途中で起こったことだと言った。

「最初は事故かと思ったが、今では暗殺未遂だったことに何の疑いも持っていない。」

モラレスは、右派の軍事クーデターで追放された後、先週メキシコに亡命するためボリビアを脱出した。 
彼の言葉によると、1日に何度も、たとえ悪天候の中でも、ヘリコプターを使っていたが、今回のような出来事は一度も起きていない、とのことだ。

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この社会主義指導者モラレスは、最近「完全に変わった」と彼が言う空軍司令官ホルヘ・ゴンサロ・テルセロス・ララに、「暗殺未遂」の容疑をかけた。
  また、クーデターの指導者ルイス・フェルナンド・カマチョは、同日、ボリビア国民はすぐに「エボの転落を目撃する」ことになる、そしてそれは「ビデオに撮影されるだろう」と宣言していた。

「私たちがその夜の墜落事故を生き延びた、というニュースが入った時、大統領が墜落事故で死ぬことを期待していた人々は失望した」と彼は言った。その後数日のうちに、警察が街頭の抗議者たちに加わり始めたと、モラレス氏は振り返る。

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土曜日にチモレを訪れた際、モラレスが語ったこと:一人の警官から、彼を拘束すれば「5万ドルが提供されるという数え切れないほどのメッセージ文書や電話の呼びかけ」を見せられた、という内容。
この警官は彼に用心を促し、警備を倍増して首都ラパスに戻るよう警告したとモラレスは語った。

水曜日、モラレスは、今回のクーデターと、自称「暫定大統領」のジャニン・アニェスが武力で政権を握った後に、彼の追放に抗議したボリビア先住民を警察が虐殺したことに介入し非難するよう国連に求めた。

ボリビアでのクーデター:モラレス大統領はなぜ追放されたのか?

<記事原文>寺島先生推薦
Bolivia’s coup: Morales toppled not due to his failures, but due to his success

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループo. 2019年12月16日)

https://www.rt.com/op-ed/473560-bolivia-coup-morales-resources/
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© Global Look Press / Jair Cabrera Torres

モラレスの追放に至った状況、および外国政府がその追放に何らかの役割を果たしたかどうかについては疑問が残っている。 しかし、近年の歴史を見れば、「ボリビアには豊かな天然資源があるから」ということがその疑問への答えの一部になるかもしれない。

一人のボリビア軍将校が、ほとんど誰もいない部屋で、ベニ地区の上院議員ジャニーヌ・アネス・チャベスの肩に大統領サッシ(たすき)を掛けた。 彼女は最近の国政選挙には出馬していない。 熱心なキリスト教政治家として、彼女は聖書を式典に持ち込み、今回のボリビアにおけるクーデター体制を固めた。

一方、10月20日の投票の勝者であるエボ・モラレスは追放先のメキシコに到着するところだった。彼はジャニーヌ・アネス・チャベスを大統領に仕立て、クーデターは起きていないと主張する同じ軍将校達によって追放された。
不正選挙の申し立てに対する混乱を鎮めるために選挙のやり直しを呼びかけた後、モラレスは大統領を辞任した。 軍と警察のトップは彼に辞任を「持ちかけて」いた。もっともそれはモラレスの左翼「社会主義運動(MAS)」党の活動家と選挙管理人を保護できなかったあとのことだが。

確かに、モラレスの追放に至った状況については多くの疑問があるが、それがどのように起こったのか、なぜ起こったのかについては以前より明らかになってきている。
最初に見なければならないのは、彼が大統領職、そしてボリビアから追放された経緯だ。

エクアドルのレニン・モレノは、緊縮財政をめぐる大規模な抗議に直面したため、グアヤキルへの短い移動はあったが、カロンデレト宮殿に今でも居続けている。 
一方、チリ大統領セバスチャン・ピネラは、3週間以上の大規模な連日の抗議で支持率が9%に下がったにも関わらず、権力にしがみついている。

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チリとエクアドルの最近の例でわかるのは、政府が転覆されるのは必ずしも街頭の群衆の数によるというわけではないことだ。 一方、米国の同盟者であるモレノとピネラは、それぞれ自国の軍隊の支援を受けたが、モラレスはそうではなかった。

モラレスの政府が倒れた理由は、失政があったからというのではなく、むしろその政策が成功したからだ。
モラレス執政下のボリビアは、格差の是正、女性の立場を向上させる重要な獲得物、などなど、実質的にすべての社会的指標における目を見張る実績のために、多数のオブザーバーや色々な組織から賞賛されていた。

元コカ栽培農夫だったエボ・モラレスのリーダーシップの下、ボリビアは何十年も達成できないでいた政治的安定のレベルについに到達した。 それにもかかわらず、モラレスは数日のうちに国外に追放された。
ボリビア経済は、その左翼的、民族主義的傾向に沿ってきちんと強化されてきた。
最初の任期の早い段階で、エボはボリビアの天然ガスを国有化した。 ボリビアの天然ガスの埋蔵量はベネズエラに次いで、南アメリカで2番目に多い。 これにより、政府はそのインフラストラクチャーだけでなく、ボリビア国民のための支出を開始することができた。

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モラレスの社会主義政府は、国の資源の管理をめぐる企業との数多くの戦いに巻き込まれ、しばしば影響を受けた企業に何らかの形の補償をする必要は生じたが、ボリビアの経済に悪影響を与えなかったことは明白だった。

モラレスの政府は、その成功の大部分を天然ガス(繰り返しになるが、これは国有化されている)に負っているが、経済の多様化を目指しており、リチウムを国の経済の将来の鍵として注目していた。 リチウムは電気自動車に不可欠であり、ボリビアにはそれが大量にある。 (ボリビア人に言わせれば)世界の総埋蔵量の4分の3以上だ。

リチウムにはこういう価値があるにもかかわらず、投資家たちに課された条件は資源を確保するには厳しいものだった。 ただ、ドイツのACISAとTBEA GroupやChina Machinery Engineeringなどの中国企業はやがてボリビアの国営リチウム企業Yacimientos de Litio Bolivianos(YLB)と契約を結ぶことにはなったが。

しかし、モラレスは、強制辞任のわずか1週間前に、いろいろな抗議があったためウユニ塩原でのACIとの取引をキャンセルした。 ACISAの社長は、11月6日のドイツ経済相への手紙で、驚いたが、「リチウムプロジェクトが再開されることを確信している」と述べた。 

一部の人々にとって、中国資本の参入を含め、リチウムに対するエボの立ち位置が彼を追い出した理由になっている。

この時点では憶測以上には出ないかもしれないが、ボリビアにおける資源を支配するため、長期に亘る様々な介入が裏舞台で展開されていたことを指摘する人downloadもいる。
「ボリビアは非常に豊かで、新しい電池を作るために必要な材料の70パーセントを持っていると言われている。 世界におけるエネルギー事情の変化が起こっていることは、誰でも知っていることだ」とウルグアイの前大統領であるホセ・ムジカは述べた。

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「証拠がないからだれも非難はしないが、歴史があるから不信感を持ってしまうのだ。」
それほど遠くない歴史は、ムジカの疑惑の根拠を明確に裏付けている。
米国国際開発庁と民主主義国家基金(NED)は、ボリビアの野党グループとNGOに、サンタクルスでの暴力的な反政府抗議行動を含む不安定化の取り組みの一環として、何百万ドルもの資金を長い間投じてきた。 サンタクルスには市民委員会のリーダーであり、熱狂的クリスチャンであるルイス・フェルナンド・カマチョが拠点を置いている。

モラレスに辞任を「持ちかけた」ボリビア治安部隊の2人のトップ-警察署長のウラジミール・カルデロンとボリビア軍のウィリアムズ・カリマン司令官-もまた、悪名高い「アメリカンスクール」の卒業生であり、近年アメリカでそれぞれ大使館付き警部官そして武官として務めている。 米国は、中南米の軍人および警察官を資産として確保していることを何ら秘密にしなくなった。

現在、西半球の最も反動的なリーダー(訳注:トランプ大統領)と市場からの好意的な反応を考えると、モラレスを追い払う動きで外国政府と国際資本が果たした正確な役割をどうこう言っても意味がない。

ボリビアの社会主義指導者エボ・モラレスは、自分の国ボリビアをそれに服従させることを拒否したが故に、経済的および政治的利益グループの怒りを招いたのだ。 そしてそういう人間がどうなるか、のひとつの実例に、今彼はさせられている。

By Pablo Vivanco


アメリカが誘導した新自由主義の悪夢から覚醒するチリ

Chile awakens from US-induced neoliberal nightmare

RT Home/Op-ed/ 30 Oct, 2019 16:00

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/op-ed/472221-chile-protests-neoliberal-nightmare-us/

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年11月)


Anti-government protest in Santiago, Chile October 28, 2019 © REUTERS/Henry Romero

原文URL https://www.rt.com/op-ed/472221-chile-protests-neoliberal-nightmare-us/
 
  10月になると、驚くべき敗北が南米のアメリカと同盟関係にある国々にもたらされた。 それはアメリカが南米に悪意を持って押しつけたモデルの失敗でもあった。 

「僕はバルパライソ(訳注:チリ中部の都市)の行進に参加していたんだ。 人がいっぱいいた。 本当に平和的な行進だったけど、国会から約2ブロックの所に来ると、警察が待っていた」と、筆者の兄(弟)アルフレドが音声メッセージで語っている。 

「ここでは抗議する権利なんかない。 何ができるかって? 闘い続けなければならないのさ。」  何十万という抗議する人々が、警察の激しい抑圧行動にも拘わらず、チリの街頭に途切れることなくあふれ出る様子を見ると、高ぶる神経と喜びの感覚を抑えるのは難しかった。 


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不安な気持ちを抱いた国内外のチリ人はこんなメッセージを受け取っていた。 少なくとも、チリの各都市の大通りや広場を埋め尽くす河のような人波の映像は見ていた。 多くの人々は、この間の国政のあり方に一致団結してNO!の声が上げられる様子を見て、自分達の主張の正しさを確認した。 同時に、軍が街頭で巡回する様子に、抜きがたい恐怖心も持っていた。 無防備なデモ隊に実弾が発射されたり、とても暴徒には見えない歩行者の頭を警棒で割ったり、警察は、と言えば学生達をまとめて、家の外に出さないようにしていたのだ。
チリでこんな光景が展開したのは、これが初めてではない。
米国の支援を受けたアウグスト・ピノチェトの暴虐な軍事体制によって、国の構造改革の基礎はシカゴから呼び入れられた「フリー・マーケット」信奉者たちのイメージの中に置かれた。 ピノチェト将軍のクーデターが起こるまで、チリは、「奇跡」とまで呼ばれたことを為し遂げていたのだ。 民間部門は生活のあらゆる領域に入り込んでいたし、社会主義体制下のいろいろな法的、倫理的束縛から自由だった。 だが経済的には1930年代以来という不況に見舞われていた。 GDPは14.3%の下落、4人に1人が失業状態だった。 

右翼クーデターの血塗られた後遺症から第一波のチリ人が脱出した後、私の家族と同じような家族は、1980年代における第二波の大規模な国外移住の集団となった。 職を求めて国を離れたのだ。 

チリ人が、1988年、投票でピノチェトの支配を終了させた時、はっきりしていたのは、これで国からの抑圧はお仕舞いになるだろうという期待があったことだ。 同様にピノチェト体制の下で作られた政府機関、法律、そして規範に変化が生じるだろうという期待もあった。 しかし、その後約30年間の文民政権(その内20年間は「左翼」と言われる政権だった)で国民が知ったのは、豊かになってきたとは言うけれど、それは自分達には無縁だった、ということだ。


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クラウディオ・ブラーボ(チリ代表チームとマンチェスター・シティFCのゴールキーパー)が今回デモが始まってから数日、次のようなツィートをしている:

    「彼らは我々の水も電気もガスも教育も健康も年金も医療も道路も森もアタカマ塩原
も氷河も交通も民間に売ってしまった。 他にもあるのか? これだけでも十分すぎるじゃないか? 我々は少数者のためのチリなんか望んでいない。」

ブラーボ(本来左翼とは言い難い)が表明したこの気持ちは、街頭デモの情況とそれに参加した人々の気持ちを集約していた。
ピノチェット独裁体制後のチリ政治指導層の総意はピノチェットと企業が設定した新自由主義国家の運営を継続することだった。 その後ろ盾として米国政府があった。 公共サービスの民営化や規制緩和はもちろんピノチェット体制下で始まったことだが、キリスト教民主党や、チリ社会党や、他の党派から成る「コンセルタシオン」は、こういった政策にブレーキをかけたり、転換させる動きをすることはほとんどなかった。 多くの点で新自由主義の流れを継続させたのである。 

抗議行動がサンチャゴ市の地下鉄から始まったことは偶然でも何でもない。 サンチャゴ市における高速鉄道である地下鉄は、官民連携の下、次々と建設され、出来上がった地下鉄網の民営化は社会主義者だったミシェル・バチェレ大統領の下で始まった。 

セバスチャン・ピニエラ政権が地下鉄料金の値上げを発表した時、それは「有識者会議」の決定だから、ということが根拠とされた。 地下鉄利用者には、「いつもより早起きして、帰宅時間を遅らせれば、ラッシュ時料金を払わなくて済む」という言葉が投げつけられた。 

この「パンが食べられないのならケーキを食べたら」的なテクノクラートの仮面を被った国民の現状への無知、そして党派を問わずあらゆる政治家達の恥知らずな腐敗もあり、それらが国民の日々抱える生活のフラストレーションを刺激した。 そしてついにはこの怒りが最高潮に達したのだ。

セバスチャン・ピニエラ右翼政権は、この怒りに対して急遽「処方箋」を提示。 無意味な内閣改造やわずかばかりの最低賃金や年金の増額である。 しかしこういった施策では不十分で、事態はもっとその先を行き、もはやそんなことで国民の気持ちが収まることはないだろう。
街頭でチリの人々が口にしているのは、「30セント(運賃の値上げ分)が問題じゃない!」 新自由主義体制下の「この30年が問題なんだ!」 それをアメリカ政府とその腰巾着達が、モデルとして前に押し進めし、力尽くで国外に輸出した。 


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アメリカの企業は、その利害の繋がりを長い年月チリに持っている。 それが主要な理由の一つとなって、1973年のクーデターと独裁政権の支援にアメリカ政府が関わり、チリでアメリカ資本が投入される場を回復することになった。 このアメリカ企業のチリにおける利害が、この地域におけるチリの政治的役割の中核になっている。 律儀に喧伝されるアメリカ企業の利害とチリ歴代政府が推し進める新自由主義のモデルは切っても切れない関係にある。 それはまたアメリカ政府の外交政策の諸原則(ベネズエラ政府転覆の企てや同国の石油への関心を隠そうともしないことなどに見て取れる)とも横並びになっている。

30年以上も経過して、大多数のチリ人は、やっと、新自由主義モデルから覚醒し、このモデルは宣伝されているようなものではないことを世界に向けて語った。 チリの街頭で起こっていることは、新自由主義への弔鐘だ。 銃口を向けて産み出された新自由主義施策への弔いの鐘が、まさにそれが産み出されたその場所で鳴っているのだ。

だが南米でチリだけがこの闘いの戦場になっているわけではない。

10月上旬、エクアドルではレニン・モレノ政権によって施行された緊縮政策に反対する大規模な抗議デモが行われた。 この緊縮政策はアメリカに支配されたIMF(国際通貨基金)との合意事項に基づいている。 10月下旬には、ボリビアでエボ・モラレスが4期目の大統領当選を果たした。 さらに、アルゼンチンではアメリカと連携していた現職マウリシオ・マクリ大統領が1期目で驚きの敗北を被った。


ALSO ON RT.COM Confirmed as winner, Bolivia’s Morales invites international community for election audit after opposition says vote was rigged


チリでのこの動きを、第二の「ピンクの潮流」とか、その種の流れとして括るには時期尚早かもしれないが、はっきりしているのは、サンチャゴの街頭だけには止まらない何か大きなものが起こっていることである。 これは南米のアメリカ政府と同盟関係を結んでいる国々と、彼らが南米諸国の国民に無理矢理押しつけようとしてきたモデルにとっては悪いニュースだ。

By Pablo Vivanco

社会運動家を守るために、コロンビア中で計画された抗議活動

Protests planned across Colombia in defense of social leaders

By Zoe PC
Internationalist 360°投稿

2019年7月26日 

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年9月22日)

<記事原文>Peoples Dispatch
https://peoplesdispatch.org/2019/07/26/protests-planned-across-colombia-in-defense-of-social-leaders/


 2016年以降に暗殺されたコロンビアの社会運動の指導者800人の中の数名

今日,7月26日、コロンビアの社会運動の指導者や人権活動家たちの命を守ろうと、何十万人もの人々がコロンビアで100以上の町と国外30以上の町でのデモに参加することになっている。行動は“We defend peace”運動によって呼びかけられたもので、いま起こっているこれらのグループに対する大虐殺を広く知らせることと、コロンビア政府がこの件に関心を示さず、何の対策も打たないことを糾弾することを目的としている。
 
コロンビアの人権団体は、2016年以降800人を超える社会運動家や人権活動家、コロンビア革命軍(FARC)の元兵士とその家族が暗殺されたとしている。加えて、何千人もが殺害脅迫や嫌がらせをうけ、何百人もがでっち上げの罪で牢屋に入れられ、数十人が暗殺されかけてなんとか生き延びている。昨年、多くの大衆運動がさまざまな社会分野で行われたが、軍隊により厳しく取り押さえられ、重傷者や死亡者さえ出している

だれが犠牲者なのか?

暗殺の犠牲者の大部分は、国レベルの中心指導者や幹部ではない。ほとんどは地方レベルの指導者だ。つまり、地方レベルの指導者は、地方の有力者達の経済や支配モデルを直接脅かすからだ。地方の有力者たちは自分の影響下に私兵団や犯罪組織を持っているのだ。

例えば、多くの犠牲者は、違法な農作物をなくそうという国家プログラムなどに参加したり推奨したりする人たちだ。そのプログラムはFARC[コロンビア革命軍]と政府間で結ばれたハバナ和平協定を通じて創設され、小規模農家に、コカや違法作物の栽培をやめ、持続可能な別の作物の栽培に移行させることを目的としている。しかし、栽培作物を変えることは、麻薬取引が経済活動の中心になっている私兵団や犯罪組織が生計をたてているので、大きなさまたげとなる。

それ以外の被害者は、土地変換プログラムに基づいて、土地の所有を主張する人たちだ。そのプログラムは、被害者援助法によって2011年に創設され、立ち退きや暴力などにより土地を奪われた人に土地を返還する仕組みを作り上げているものだ。

FARCが2016年に武装解除したとき、FARCが支配していた領土が開放され、それが武装勢力同士の闘争の種になった。それ以降、多くの地域では、武装解除したとされていた私兵団が再結成され、土地の支配権をめぐっての領土争いが増加した。

先住民とアフリカ系住民のコミュニティも、地域社会活動委員会(Community Action Boards)や環境保全者、都市部の地域のまとめ役や人権保護組織のメンバーと同様、厳しくターゲットにされている。FARCの元戦闘員について言えば、最近の調査で2016年11月のハバナ和平協定締結以降、127人を超える元戦闘員が暗殺されたことが明らかになっている。

多くの暗殺事件において、指導者達や組織は以前から武装勢力から脅迫を受けていることを糾弾してきたが、政府当局は脅迫をまともに取り上げず、取り上げたとしても、痛ましいくらい乏しい防御体勢しかとらない。最近、EFE(スペインの通信社)との談話で、イバン・ドゥケ大統領は、「社会運動の指導者を守るのは難しい」とまで言っている。


7月20日、野党議員が国会期間中に暗殺された社会運動の指導者達の写真をかざしている

6月21日に、9才の息子の目の前で、暗殺された、34才のマリア・デル・ピラ-・フルタード事件は、コロンビア社会を動かした。6月1日、地域の指導者達とともに、フルタードは、地域で活動する自警団の一つであるコロンビア自警軍連合(AGC)の発行するパンフレットに攻撃の的として掲載された。地域の人権団体が政府にそのパンフレットのことを警告したのに、コロンビア当局は、パンフレットは偽物だと主張した。フルタードが自宅の外で亡くなってからほんの20日後に、彼女が殺されたことを公にした人権活動家は、止むことのない殺害脅迫のせいで避難を余儀なくされた。

コロンビアの社会運動や組織の現在の状況は、人道主義の危機であり、生きる権利や、コロンビアの平和構築を求める権利への脅威であるといっていいだろう。活動家たちは、防御手段を改善することだけではなく、コロンビアが変わることを求めて闘う者たちが組織的に殺されているが、その裏にある根本的な要因に有効な対策をうちだすことを政府に要求してきた。

今日、社会運動の窓口である人民会議は、運動について以下のような声明を明らかにした。
「人民の命や自然を犠牲にして、自分の利益のことだけを考えている独裁的で特権階級のための政権に、都市部や地方で対抗する者が殺されているだけではない。
社会運動やそのプロセス、組織を撲滅すべく、ごくつつましく活動している活動家さえも、合法的に抗議することが罪と見なされて、脅迫や暗殺の的になっている。
人権擁護活動や環境保全活動に対する非難、それと、何百万もの人々を退去させ、文無しにさせる巨大プロジェクトも止むことはない」と。

*[訳注] (コロンビア内戦を知るいい資料がないので、全体像を知る上でハフィントンポストのブログを転載しておきます。この翻訳ではコロンビア内政問題を扱っていますが、現在コロンビアが、アメリカのベネズエラのマドゥーロ政権打倒計画に加担し、傀儡のグアイドを支援しようとしていることは公然の事実です。しかも、コロンビア大統領サントスが、この翻訳記事のように内政を弾圧しながら、2016年ノーベル平和賞を受賞するとは考えられないことです。---- 新見)

コロンビア、左翼ゲリラと和平合意--半世紀に及ぶ内戦の行方は国民投票の結果次第
(2016年08月26日) 記事執筆者:原貫太

南米コロンビアで、歴史的な瞬間が訪れた。  
コロンビア政府と左翼ゲリラ組織である「コロンビア革命軍」(Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia/以下FARC)は今月24日、半世紀以上に及んだ内戦の終結に向けた和平交渉について最終合意に達したと発表した。4年にわたって交渉を続けてきた両者は、キューバの首都ハバナで共同声明を発表。調停役を務めたキューバ代表によって、「コロンビア政府とFARCは、内戦の終結と安定して持続的な平和の構築に関する、最終的で完全、かつ決定的な最終合意に到達したことを宣言する。」と読み上げられた。
コロンビア内戦は、アメリカ大陸における大規模な紛争としては最後のものとなっていた。この内戦では推定22万人が死亡、数万人が行方不明になったほか、500万人もの人々が避難民になったと言われている。
  
キューバ革命を見本とした左翼ゲリラ組織1959年にキューバ革命が起こると、それに影響を受けて中南米諸国では反政府左翼ゲリラ組織の結成が相次いだ。FARCもその内の一つであり、結成は1964年。キューバ革命を見本として、農地改革や富の再分配を目指して武装闘争を展開した。
台頭初期の勢力はわずかだったものの、その後麻薬組織と協力関係を築く事で勢力を拡大。最盛期には約2万人を擁し、国土の3分の1を支配していた。アメリカへのコカインの密輸で数百万ドル規模を稼いでいるとも言われており、また身代金を目的にした誘拐にも多数関与した。
しかしながら、2002年に就任したアルバロ・ウリベ元大統領は力によるFARCの掃討を掲げ、アメリカの支援を受けてFARCの掃討を本格化。複数の幹部の死亡や戦闘員の多数離脱などによって組織は弱体化し、現在のFARC構成員は7000人まで減少したと考えられている。
  
コロンビア政府によるFARCへの譲歩か200ページにわたる合意文書には、停戦実施、FARCの政治参加、人権侵害の容疑者や戦争犯罪者に対する裁判などについてが盛り込まれたが、これにはコロンビア政府によるFARCへの譲歩も伺える。
FARCは推定7000人の戦闘員を、ジャングルなどの野営地から国連によって設営されている武装解除キャンプへと移動させる。武装解除したゲリラ兵には月給200ドルが支給されると共に、今後政府の職業訓練事業に参加し、社会復帰への道を歩み始めることになる。
今後FARCは政党として活動することになり、助成金も受け取ることになる。また、2026年までの期間、FARCの設立する政党には10席の議席を確保することが合意文書には盛り込まれている。
紛争中に行われた人権侵害や戦争犯罪を裁くための特別裁判所の設立も予定されており、大量殺戮や拷問、レイプといった凶悪罪には最大で20年の懲役が課される。一方で、比較的軽度な犯罪に関しては恩赦が与えられる事になっており、和平合意を促進させるためのFARC側への配慮が見られる。
  
内戦の最終解決に向けた大きな課題--国民は納得するのか?
今回の和平合意が政治的な合法性を持つか否かは、10月2日に予定されている国民投票の結果次第だ。コロンビアのサントス大統領はテレビ演説にて、「長い戦闘を終わらせる歴史的な合意を支持するかは、全てのコロンビア人の手にかかっている。」と国民に対して呼びかけ、和平合意に対して賛成票を投じるよう求めた。
国民投票における賛成票が有権者全体の13%以上を構成した上で、過半数の人々が賛成票を投じれば今回の和平合意は発効となる。しかしながら、現地の世論調査会社によると、今年6月時点では74%の人々が賛成票を投じるとみられている一方で、多くの人々が投票の棄権を行うとも考えられており、その割合が65%に到達する恐れも出ている。これでは国民投票の正当性が確保されるとは言えず、サントス政権にとっては大きな問題となるだろう。
この背景の一つとしては、和平合意の内容に対する国民の疑念や反感が挙げられる。近年では「麻薬を手掛けているテロ集団と化した」とまで批判を受けているFARCに対して、コロンビア政府が大きく譲歩している点などはその理由だろう。加えて、停滞するコロンビア経済とそれに伴う食糧価格の高騰、また高い犯罪率などに対して大した打開策を打ち出せていないサントス政権に対する国民からの不人気も、この一因を担っているかもしれない。今年2月の時点では、国民の64%がサントス政権を支持していなかった。
また、コロンビア元大統領2人が10月の国民投票で反対票を投じる意向を表しており、当然の事ながらFARCや今回の和平合意に否定的な見方を取るその他の一部の国民も、反対票を投じることが予想される。その上、野党は軍事的なFARCの壊滅こそが、内戦の唯一の解決策であると主張しており、コロンビア内戦の最終的な解決に向けて、楽観視することは出来ないだろう。
https://www.huffingtonpost.jp/kanta-hara/colombia-civilwar_b_11716616.html

ビデオ:マヌエル・セラヤ大統領インタビュー
「クーデターがホンジュラスを地獄に変えた」
アメリカによる政権転覆10周年

Video: ‘The Coup Turned Honduras into Hell’: Interview with President Manuel Zelaya on the 10th Anniversary of Overthrow by the US

マヌエル・セラヤとアニヤ・パランピル

グローバル・リサーチ 2019年7月4日

グレーゾーン 2019年7月1日

(翻訳:新見明 2019年7月24日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/coup-turned-honduras-hell-interview-president-manuel-zelaya-10th-anniversary-overthrow-us/5682633



グレーゾーンのアニヤ・パランピルによる、ホンジュラス大統領マヌエル・セラヤの独占インタビュー。彼を倒したアメリカ支援の右翼軍事クーデターの10周年で。

インタビューのテーマは、極端な暴力、麻薬売買、経済不況、移民危機、フアン・オルランド・エルナンデス、ウィキリークス、ベネズエラ、その他。

全インタビューの書き起こしは以下に

***

アニヤ・パランピル:大統領、お越しくださってありがとうございます。あなたが見事にホンジュラス大統領に選ばれましたが、その地位をアメリカ支援のクーデターで追いやられて10年になります。その時以来アメリカは何を成し遂げ、あなたの国をどう変えたのでしょうか。

マヌエル・セラヤ*1:社会契約、それを我々は共和国憲法、国の憲法と呼ぶのですが、その社会契約が壊されたとき、次に来るものは必然的に強者の法(適者生存)です。犯罪、殺人、拷問。いつも反対派に対して強者の側が勝ちます。

それでホンジュラス人民が犠牲になりました。権力を持った側はアメリカの支援があったからです。アメリカはクーデターで大きな利益をえました。そして犯罪の受益者が主要な容疑者であると言われる刑法の原則です。

アメリカはどのように利益を得ているのか。アメリカは、ほとんど完全にホンジュラスを支配しています。米州機構(OAS)を通じて司法を支配しています。アメリカ南方軍を通じて安全保障を支配しています。経済を支配しているのはIMF、世銀、米州開発銀行(IDB)を通してです。

アメリカはホンジュラスの大手メディアを支配しています。大手メディアの意見に大きな影響力を持っています。多くの教会に資金援助しています。教会は北アメリカのNGOから基金を得ています。そしてアメリカはホンジュラスのNGOに資金援助しています。アメリカは国家権力を支配しているのです。

このように、ホンジュラスのような貧しい国の決定にかなり介入してきます。支配者達は保護を受けているので、全てを北アメリカに捧げます。



アニヤ・パランピル:最近の平均的ホンジュラス人への影響はどうでしょう。

マヌエル・セラヤ:貧困は増大しました。人々はさらに貧しくなっています。貧困率は既に住民の70%を超えています。犯罪は増加しました。麻薬取引も増加しました。アメリカ国務省の報告によれば、クーデター後のホンジュラスの麻薬取引はほぼ2倍になりました。さらにその報告は、ホンジュラスは「麻薬取引天国」になったといっています。

対外債務は増加しました。彼らが私を銃口で追い出したとき、対外債務は30億ドルでした。今10年たって、140億ドルになりました。それでこの国は経済成長の欠如、投資の欠如、人権侵害の深刻な問題を抱えています。

では一つだけ証拠を出しましょう。アメリカに向かう[移民]キャラバンは、ホンジュラスからです。アメリカ支援のクーデターが、ホンジュラスを地獄に変えたからです。

アニヤ・パランピル:この状況はどうなんですか。この10年で、何があなたのリブレ党の発展に貢献したのですか。

マヌエル・セラヤ:私達はクーデターに対する反対党です。そしてこの10年間、クーデターを実行した人々が支配してきました。彼らはクーデター派の落とし子です。

アニヤ・パランピル:そしてこのことが、ここでの社会運動を強化することにつながったのですか。

マヌエル・セラヤ:そうですね、社会運動は党派的政治理由では成長しません。それらは電気が民営化され、電気代を支払うことができないから成長したのです。それらは民営化されたのです。そして問題は、それらは私企業のものになっただけではありません。私企業は効率がいいのですが、値段が高いのです。

支配者にとって最も居心地がいいことは、「安全保障は、私達のためにアメリカ南方軍によって管理されるだろう」ということです。「兵士達は私のために国内の安全を守ってくれるだろう。」「そして私企業は私のためにお金をどうにかしてくれるだろう」。だから、支配者は何をするのか。何もしない。ただ儲けを彼の手下に配るだけです。

アニヤ・パランピル:ホアン・オルランド・エルナンデス(JOH)とはどんな人物ですか。そしてなぜ、クーデター後10年の今、街頭で混乱が再燃し、フアン・オルランド・エルナンデスの退陣を要求しているのですか。

マヌエル・セラヤ:彼(JOH)はクーデターの子です。彼は重大なパーソナリティ障害があります。例えば、私は大統領でした。そして私は街頭を歩いていました。そして人々は私を迎え入れてくれました。そして彼らは私に言うのです。「やあ、メル!やあ、大統領!」と。しかし、彼(JOH)は装甲自動車で、ヘリコプターで行くのです。彼(JOH)は大勢の保安要員と共に行動するのです。

私の考えでは、彼は精神障害を抱えているのではないか。彼は大統領である事は、たいしたことだと思っている。そして牧師がやってきて、彼は神に選ばれたと告げる。だからさらに悪くなる。そして彼は現実とかけ離れた人物のように行動し始めるのです。

人々は、飢えのため抗議しているのです。そして政治のためにも抗議していると思うのです。そして彼は、アメリカや右派、保守支配階級が聞きたくなるようなスピーチをアメリカに向かって話すのです。「ホンジュラスでは、テロがある。[ベネズエラ大統領ウゴ・]チャベスの輩が、ホンジュラスにいるのだ。そして彼らは我々に影響を与え、麻薬取引をしているのだ」と。

彼は精神病を病んでいると思う。

アニヤ・パランピル:では、腐敗の告発についてはどうですか。私が今日話したホンジュラス人の何人かは、JOHはホンジュラスで最も裕福な人間の一人だ、と話してくれました。

マヌエル・セラヤ:腐敗は蔓延しています。彼らは社会の保安システムを壊しました。ご覧なさい、不法な政府をどのように維持しているかを。人々を買収するのです。もしそれらが合法なら、彼らは買収する必要はないのです。それらは社会契約の成果なのですから。

しかしクーデターがあるときは、不正行為があります。だから彼らは自分たちが生きながらえるためには、制度を腐敗させる必要があるのです。アメリカがクーデターを支援していることは、独裁者を支援していることになるのです。

アニヤ・パランピル:ホンジュラス人たちはこうも語ってくれました。ほんの少数の家族グループが、産業や特にメディア部門で、国の大部分を支配しているのです。クーデターにおける、またあなたが言う独裁制を維持するためのメディアの役割について話していただけますか。

マヌエル・セラヤ:それが資本主義が機能するやり方なのです。アメリカやフランスやどこでも。資本主義はたった一つの原則に基づいています。つまり、富の蓄積です。それがここで、また世界中で機能しているやり方なのです。

多国籍[企業]の少数エリートが、彼らのために儲けてくれる国の人々と結びついているのです。彼らはビジネスをし、そしてそのビジネスが、彼らのための安全を保障する必要をつくり出すのです。

READ MORE:Action Alert: NYT Claims US Opposed Honduran Coup It Actually Supported
(さらに読む)「抜け目ない行動:ニューヨーク・タイムズの主張:アメリカはホンジュラスのクーデターに反対したが、実際はアメリカが支援していた。」


彼らは競争を許容しない。私は、ウゴ・チャベスのベネズエラから、石油を輸入しました。そして彼らは自分たちの合意を維持しなければならないと主張したのです。だから彼らはベネズエラを受け入れなかった。それがクーデターの背後にある動機の一つでした。

アニヤ・パランピル:そして当時のアメリカ大使チャールズ・フォードがあなたに話していたと思うのです。「あなたが、これをすることは許されない」と。まるで彼が外国大使として、こうする権利があるかのように話していました。

マヌエル・セラヤ:アメリカは忠告する。もしあなた方が従わないなら、報復手段によって応える、と。アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュはそう私に言った。ジョン・ネグロポンテは私にそう言った。フォード米大使は私にそう言った。そして他の政府役人も。

ブッシュが私にこう言った。「あなたはウゴ・チャベスと関係を持つことはできない」と。ブッシュの国務副長官ジョン・ネグロポンテも私にこう話した。「もしあなたがALBA(ボリバル同盟)*2に署名するなら、アメリカと問題が生じることになる」と。

だが、私はALBAに署名した。そして私は、もし機会があるなら、もう一度署名するだろう。なぜなら、それはホンジュラスの発展に役立つからだ。

私はブラジルから支援が必要だった。ベネズエラからも、アメリカからも、ヨーロッパからも支援が必要だった。我々はアメリカだけに頼るわけにはいかない。アメリカは、自分の利益しか考えないからだ。アメリカは一つの国にすぎない。

アニヤ・パランピル:ウィキリークスの意義についてコメントをいただきたい。あなたの国の歴史において、もちろんその地域においても。エクアドル政府の助力の面で、ジュリアン・アサンジに現在起こっていることをどう思われますか。

マヌエル・セラヤ:ジュリアン・アサンジは、今日、明日、そして永遠に、世界の自由の象徴です。彼は将来、偉大な予言者のような人になるでしょう。当時彼らは、ずっと抑圧されていました。そして後に彼らはシンボルとなりました。ジュリアン・アサンジもそうなるでしょう。

ジュリアン・アサンジは秘密のない、開かれた世界、自由な世界を宣言したのです。もちろん彼は今日の[権力]側に影響を及ぼしました。しかし将来、私や他の世代も、アサンジの例に倣うでしょう。

アニヤ・パランピル:フォード大使の話に戻りましょう。彼がここの大使館の仕事を終えた後、彼はアメリカ南方軍(SOUTHCOM)の仕事につきました。軍隊です。米軍があなたに起こったことに対してどのように中立であり得るか、またあなたが追放された後、国内での米軍の存在がどのように増大してきたかについて話していただけますか。

マヌエル・セラヤ:[ホンジュラスの]兵士は、スクールオブアメリカ*3で訓練されています。全ての訓練はアメリカと共に行われます。兵士達にとって彼らの人生の目標はアメリカ海兵隊のようになることであり、アメリカの兵士のようになることなのです。
  
そしてここでアメリカは軍隊と警察を支配している。彼らは、アメリカがさせたいことをしている。彼らは占領軍なのです。

アニヤ・パランピル:私はこの地域、特にニカラグアについて少し話したい。彼(ダニエル・オルテガ)が去年直面したアメリカ支援のクーデターの試みについてどう思われますか。今月で、ニカラグア政府がアメリカ支援の体制転覆作戦を打ち破ってから1年になると思うのですが。

マヌエル・セラヤ:私が[クーデターの後]戻るとき、私はホンジュラスへ帰る試みを何度かしました。ワシントンからホンジュラスへ戻るとき、私は着陸できませんでした。軍隊が私を阻止したからです。だから私はニカラグア国境のラス・マノスから戻らなくてはなりませんでした。その時、私は密かにブラジル大使館に入りました。2年後、私はドミニカ共和国からニカラグアへ、ニカラグアからホンジュラスへ戻ったのです。


                                 (訳者挿入地図)
[
ニカラグア大統領]ダニエル・オルテガを倒そうとするアメリカとの関連で、以前1980年代にも既に同様のことが行われました。アメリカはニカラグアと闘うためにここホンジュラスのコントラを武装させました。その時以来、私はいつもニカラグア人と闘おうとするここホンジュラスのアメリカ占領に抗議しました。そして人々は[今日]、オルテガ政府に賛成投票をしたのです。彼は選挙で選ばれました。

今、アメリカは彼を倒すことはできていません。今、彼は強固です。今、オルテガは多くの人民の支持があります。そして彼らが過去にホンジュラスから支援したようには、オルテガを倒すことができると私は思いません。

アニヤ・パランピル:あなたは、あなたのリブレ党とサンディニスタ運動*4はどう関連していますか。そしてサンディニスタ運動からどんな教訓を得ましたか。

マヌエル・セラヤ:それらは二つの異なった歴史的局面です。サンディニズモは、軍隊の下士官から発展し、20世紀初頭に山にこもった。そして彼は、サンディニスタ国民解放戦線(FSLN)と呼ばれる反帝国主義勢力の党を創設した。この党は闘いに勝利し、ソモサ独裁政権を倒した。そして今は民主的に組織されて、権力を維持している。

我々(ホンジュラスのリブレ党)は、武力闘争から出てきた党ではない。我々は戦争から出てきた党ではない。我々は革命的で、民主的な、しかも平和的な運動から生まれたのです。クーデターに反対して。そしてクーデターを支援する人々に反対して。アメリカはクーデターを支援した。

アニヤ・パランピル:私はあなたの個人的は政治的進化についてお伺いしたい。どうしてかというと、あなたが選挙で選ばれたとき、あなたは中道左派的運動をする党の一員と考えられていたが、今は社会主義について語っておられる。何故あなたは変わったのか、そして今、あなたは自分をどのように位置づけますか。

マヌエル・セラヤ:実際は中道右派です。(中道左派ではない)。それは進化です。なぜなら右派は終わったからだ。彼らは武器を持ち、クーデターをし、汚職や詐欺をし続けている。

人類の未来は社会主義であらねばならない。あなたは社会的存在です。アリストテレスは、我々は理性的な存在だといっています。人間は理性的な動物です。しかし現在、人間は全般的に社会的な存在であると思います。社会なしには男も女も生きながらえることができません。我々が考え、感じることは全て、我々の社会環境と関連しています。

だから人類はどこへ向かって歩んでいくべきなのか。個人主義へか、利己主義へか。個人的利害へか、または社会的利害へか。人類は、社会的利害へ向かって歩んでいかなければなりません。

人類の未来は社会主義者です。我々は1万年か、それ以上戦い続けなければならないかもしれない。しかし将来、もし人類が社会的に進歩しなかったら、我々は洞窟で生きることになるかもしれません。適者生存の法則に従って。人間は発展し、進歩して、社会的になっているのです。

私は進歩的政治哲学の中で育ちました。しかし今、私は新しい政治に進化しました。最初リベラルで、親社会主義でしたが、今は民主社会主義者です。

アニヤ・パランピル:あなたは、「ピンクの潮」*5、特にベネズエラのウゴ・チャベスの政府からどのような影響を受けましたか。


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画像:マヌエル・セラヤ+ウゴ・チャベス

マヌエル・セラヤ:そですね、まずどのようにして兵士のチャベスが、社会主義者になったかを問わなければならないでしょう。もしあなたがこの説明を見つけるなら、どうやって地主の私が、資本主義者から社会主義者になったかを説明できるでしょう。それは精神の高まりです。それは人間への確信です。

資本主義は、非常に野蛮です。資本主義は人類の未来ではありません。もし資本主義が人類の未来であるなら、人類は破壊されます。人類は打ち負かされます。資本主義は失敗する運命にあるのです。地球も同様です。

人類の未来は社会的でなければなりません。簡単です。お金ではないのです。商業ではないのです。人類を導くのは単に経済活動ではないのです。いや、それらは社会に従属するべきなのです。

私企業が存在するのはいいでしょう。私的イニシアティブがあるのもいいでしょう。資本がある事もいいでしょう。しかし資本が世界を指図することはよくないのです。いや、資本を導くのは世界であるべきなのです。これは逆転させた世界です。

私が、国の最高の政府の地位に就いたとき、ホンジュラスのような小さな国でさえ、その時私は学びました。資本を扱うには、資本を人民主権に従属させるほかないのです。資本は存在し続けるでしょうが、それは人民の主権に基づく計画に従属させるべきなのです。

人民の声は神の声です。それを信じなければいけません。

アニヤ・パランピル:クーデター当時、チャベスのように、あなたの国で 憲法制定会議のプロセスを追求していました。ここでの国家の特性を変えるために。なぜそれが、ここのオリガルヒやアメリカ政府を脅かしているとお考えですか。

マヌエル・セラヤ:問題はうまく公式化されていない。トーマス・ジェファーソンを知っているでしょう。ジョージ・ワシントンを知っているでしょう。彼らはアメリカ合衆国を、憲法と共につくり出した。

どうしてチャベスのことを言及するのか。チャベスは21世紀の人です。ジェファーソンとワシントンは1776年の人です。アメリカ独立戦争は反帝国主義、反大英帝国との闘いだった。彼らは憲法制定議会をつくり出した。そしてアメリカには憲法があります。憲法制定議会を発明したのはチャベスではないのです。それはジェファーソンとワシントンです。だからなぜ国家が形成される方法を恐れる必要があるのでしょうか。

社会的協定が破られたとき、貧困があり、多くの飢餓があり、多くの人が困っていて、大多数が経済的、社会的状況に我慢できないとき、憲法の対話に戻らなければならない。これは社会の基本事項だ。

アメリカの中ではクーデターはない。いや、そこの大統領たちは、いつ何時殺されるかもしれない状況に備えなければならない。ここではクーデターがある。そしてこれらのラテンアメリカの国々では、170回クーデターがあった。そしてそれらの大部分はアメリカによって支援されていた。

そして契約が破られたときどうしますか。憲法制定議会から始めるのです。

アニヤ・パランピル:あなたがクーデターに直面しているとき、マドゥーロはベネズエラの外務大臣でした。そしてあなたは当時彼と緊密に連携していました。彼をどう思いましたか。ニコラス・マドゥーロの印象はどうでしたか。そして今ベネズエラで起こっていることをどう思われますか。

マヌエル・セラヤ:二つのことがあります。一つはチャベスは私を救出しなかった。チャベスはホンジュラスのような極右の国に見向きもしなかったでしょう。ホンジュラスはアメリカによってほとんど支配されていましたから。そして今は嘗てよりさらにひどいです。そして私は、中道右派である大統領でしたが、チャベスは一度も私を救出しなかった。

私はチャベスに手をさしのべた。私はそれをはっきりさせなければいけない。チャベスは一度もホンジュラスに興味を示さなかった。これはアメリカのオットー・ライッヒ、ロバート・キャメロン、ロジャー・ノリエガのような右翼活動家の発明だ。私はチャベスにここに来て私達を助けるように納得させなければならない。石油やALBA同盟やペトロカリブ*6などで。

*6ペトロカリブ
   英語から翻訳-ペトロカリブは、優先支払いの条件で石油を購入するための、
   多くのカリブ海諸国とベネズエラの石油同盟です。同盟は2005年6月29日
   にベネズエラのプエルトラクルスで始まりました。 2013年、ペトロカリブは、
   石油を超えて経済協力を促進するために、アメリカのボリバル同盟との
   連携に合意した。 ウィキペディア(英語)


二つ目に、ニコラス・マドゥーロ、そう彼は根っからの社会主義者だ。彼は労働者で、労働者階級出身だ。資本から搾取されてきた階級の出身だ。労働力を売る階級の出身だ。そして資本家が喜ぶような権利を拒否する。彼はチャベスのような社会主義者だ。

そしてさらに、チャベスによって始められたボリバル革命は社会主義的確信をもってニコラス[・マドゥーロ]に受け継がれた。そして彼は偉大な能力と、感受性と、良心を持って指導している。

彼らは、それをあなた方にわからせたくない。しかしニコラス[・マドゥーロ]は大きな国際的威信のあるラテンアメリカの指導者なのです。

アニヤ・パランピル:私達はクーデターから10年がたちました。一歩一歩他の進歩的な政府が摘み取られ、アメリカの手先に戻っています。我々がいつか進歩的政府がラテンアメリカに戻ってくる日を見る希望はどうやったら訪れるのでしょうか。

マヌエル・セラヤ:どの帝国も永遠ではありません。永遠の神のみが例外です。アメリカは第二次世界大戦の終結以来、世界の多くを支配しました。しかしそれは深刻な矛盾を抱えています。かなり大きな貧困層を抱えた国なのです。国内的に深刻な矛盾を抱えているのです。

そしていつか近いうちに、北アメリカの支配階級は、世界で生き残るためには、軍事費を減らし、医療や健康保険や教育やよりよい生活を人民に与えなければならないでしょう。いつか彼らは世界の兵隊であること、つまり世界の警察である事が、彼らか考えるほど多くの利益をもたらさないことがわかるようになるでしょう。

そしてある日彼らは、軍事独裁より民主的国家のほうがいいことがわかるようになるだろう。彼らが変わるとき、それは遅すぎないことを願おう。

世界は拍手するだろう。そして一方彼らが我々の国にファシストや、独裁者を据え付ける帝国主義的秩序を植え付けている。私達の川や海や森や大地や労働者階級から搾取する超国家企業を据え付けている。その時彼らは彼らは非難され、それは私達の国には適さない行いだと言われるだろう。

私は北アメリカの人々に反対する理由は何もない。まして北アメリカの社会に反対する理由もない。私はリンカーンやケネディやジェファーソンやワシントンを称える。彼らはアメリカを代表してきた。しかし私が非難するのは、我々のような小さな国対する帝国主義的行いである。

民主主義を強化するのではなく、アメリカは軍事独裁を強化している。そしてそれが我々の国を貧困にして、移民がアメリカに移動しているのです。そして移民がアメリカに移動すると、彼らは不平をこぼし始める。

*

アニヤ・パランピルは、ワシントンDCを拠点とするジャーナリストである。彼女は以前デイリー・プログレッシブ・アフタヌーンニュース番組の「RTアメリカへの質問」でホストを務めたこともある。彼女は数々のドキュメンタリーをつくり、報道した。その中には朝鮮半島やパレスチナからの現場報告もある。

The original source of this article is The Grayzone
Copyright © Manuel Zelaya and Anya Parampil, The Grayzone, 2019

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[訳注1:エマヌエル・セラヤ]
2009年にクーデターで国外に追われたホンジュラスのセラヤ大統領が本国に帰還した時のインタビューです。ホンジュラスは1980年代、レーガン政権によるニカラグアのサンディニスタ政権転覆計画の拠点となり、中米ではコスタリカとならんで対米関係を重視する国とされていました。セラヤ大統領も就任当時は前体制を踏襲していましたが、2007年の原油高騰をきっかけにそれまでの親米路線を転換し、2008年、ベネズエラ主導の石油価格協定ペトロカリベ(Petrocaribe)と米州ボリバル代替構想(ALBA)に加盟すると発表 しました。

ホンジュラスは世界でも最貧国の1つで、国連の2011年度人間開発指数も179カ国・地域中121位、 外務省の資料によると一日1ドル以下で暮らす人口割合は14.9% となっています。セラヤ大統領は2008年に最低賃金を引き上げ、国内の富裕層との対立を深めていました。セラヤはこのインタビューの中で、当時の駐ホンジュラス米大使ロレンスの前任者チャールズ・フォードがクーデターの中心人物だとしています。米国務省が関与していた可能性は高いとみられています。(桜井まり子)
   Democracy Now Japan より http://democracynow.jp/video/20110531-4
   (ここでセラヤのインタビュー映像も見られる)


[訳注2:米州ボリバル同盟(ALBA)] 後藤政子

2004年にベネズエラとキューバの合意により成立したラテンアメリカの地域協力機構。アメリカ主導の米州自由貿易圏(FTAA)構想がラテンアメリカ諸国の経済社会状況の悪化や多国籍企業による経済支配を招いているとして、ボリバル思想に基づき、公正と平等を原則とした地域の協力と連帯により持続的経済社会発展を目指す。(中略)

単に経済統合だけではなく、貧困問題解決や下層大衆の復権、加盟国間の経済的社会的格差の是正も目的としている。加盟国はベネズエラのほか、キューバ、ボリビア、ニカラグア、ドミニカ、エクアドル、セントビンセント・グレナディーン、アンティグア・バーブーダ。ホンジュラスはセラヤ政権時代に加盟したが、ロボ現政権下の10年1月に国会において脱退を決定した。09年10月には域内の決済通貨として米ドルに代えて域内通貨スクレ(sucre)を創設することが決定され、10年1月末から使用が始まった。
https://imidas.jp/genre/detail/D-117-0020.html


[訳注3:スクールオブアメリカ、西半球安全保障協力研究所(旧「アメリカ陸軍米州学校」)]
1946年、在パナマのアメリカ南方軍本部内にSOAとして置かれる。親米ゲリラに拷問技術・尋問法などの教育を施し、西半球すなわち中央アメリカ、南アメリカで親米軍事政権・独裁政権と、「反米」左翼政権の転覆を支援した。“修了者”たちは「反米」運動・レジスタンス運動の有力指導者の暗殺に関わったとされ、SOAも“School of Assassin”(暗殺学校)と蔑まれた。ただし、卒業後に反米路線に転じた者もいる。

2001年1月、ラテンアメリカ諸国の軍幹部に訓練を施す名目で、ジョージア州フォート・ベニングに移転、機関名も改められた。(中略) なお、「研究所」と改称しただけで、その存在目的はSOA当時と全く変わっていないとされている。   (ウィキペディアより)


[訳注4:サンディニスタ運動]

ニカラグアの革命運動の呼称。正式名称はサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)で,1934年に暗殺された革命家サンディーノA.C.Sandinoにちなむ。キューバ革命の影響を受け,1961年カルロス・フォンセカ(1976年暗殺)の指導のもとに独裁的支配を続けてきたソモサ体制に反対して起こった。国境地帯や山岳部でのゲリラ活動を主としていたが,1974年ごろには反ソモサの動きが広まった。1978年ホアキン・チャモロの暗殺を契機に支持基盤が広がってソモサ体制を揺るがし,大規模な軍事攻撃やゼネストで1979年7月A.ソモサを亡命に追い込み,民族再建政府を樹立。革命政府は土地改革,識字運動,ソモサ家の財産没収などの政策を実行。1980年代に入るとアメリカが経済援助を停止し,反革命派(コントラ)を支援し,経済封鎖を続けた。1984年総選挙でD.オルテガが大統領に就任,非同盟,混合経済などをうたった新憲法が発布される。1988年コスタリカ大統領アリアスの和平提案が中米5ヵ国の大統領によって調印されたが,完全には実行されず,長引く戦闘の重圧と経済疲弊の中で行われた1990年の総選挙で反サンディニスタ側のチャモロ女史が勝利。
(コトバンクより) https://kotobank.jp/word/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%82%BF%E9%81%8B%E5%8B%95-838791


オルテガ政権の復活
 1990年の総選挙ではサンディニスタは多数を取れず政権を失うことになった。その後、中道・保守政権が三期続いたが、汚職が広がり、格差が拡大して再び左派政権への期待が強まり、2006年11月の大統領選挙でダニエル=オルテガが16年ぶりに大統領に復帰した。アメリカはここでも選挙に干渉し、オルテガが当選すれば経済援助を停止すると脅したが、国民は内戦中にアメリカの経済封鎖に耐えた経験からその脅しに屈しなかった。<伊藤千尋『反米大陸』2007 集英社新書 p.25-26>
 オルテガ大統領は、ラテンアメリカ諸国で反米姿勢を明確にしているキューバのカストロ、ベネズエラのチャベス、エクアドルのコレア、ボリビアのモラレスなどと協力態勢を組んでいる。
(世界史の窓より) https://www.y-history.net/appendix/wh1703-079_1.html


[訳注5:ピンクタイド]
「ピンクの潮流」、又は「左傾化」という言葉は、現代の21世紀の政治分析でメディアなどで使用され、ラテンアメリカの民主主義における左翼政権への転換の波を表している。新自由主義から離脱したこの経済モデルの変化は、より進歩的な経済政策への動きを表しており、数十年にわたって不平等が続いたラテンアメリカの民主化の潮流である。
                    ウィキペディア(英語版より翻訳)


[訳注6:ペトロカリブ] フラッシュ217  2014年12月26日

ベネズエラの援助力低下で危惧されるカリブ海諸国の財政破綻
内多 允     (一財)国際貿易投資研究所 客員研究員

ベネズエラでは1999年2月に就任したチャベス大統領が、国内政治と外交関係にわたって、過去の歴代政権と大きく異なる政策を展開した。その政策の特徴は社会主義体制の構築と、米国が主導する市場経済体制に批判的な各国との関係強化であった。ベネズエラが反米的な立場の各国との連携を強化する手段として、石油収入を活用した。チャベス大統領は国内の石油資源を独占している国営石油会社(PDVSA)が輸出から得た外貨収入を、反米的な立場をとる諸国への経済支援に投入した。チャベス大統領のこのような外交姿勢は中南米で2000年代に顕著になった米国を除外した地域統合の推進にも影響を与えた。米国流のネオリベラリズムでは貧困や経済格差の解決に、貢献しないという批判の高まりも米国への批判を高めた。チャベスの外交も、米国を外した中南米の統合推進を重視した。

その具体例として、Petrocribe(以下、英語発音のペトロカリブと表記)を本稿で取り上げる。ペトロカリブはベネズエラの石油(原油と石油製品)をカリブ諸国に優遇的な価格で供給する石油協力機構の名称である。これらの機構を利用してベネズエラはカリブ地域(一部は中米諸国も含む)との関係を強化した。

しかし、近年はベネズエラが反米同盟のネットワークを構築する上で、活用してきた石油収入が減少していることによって、その外交戦略の前途が危惧されている。原油の国際相場の下落が、ベネズエラ経済の停滞に拍車をかけている。ベネズエラ原油の平均価格(1バレル当たり)は2012年平均103.42ドルが、2014年(12月1日―19日平均)には51.26ドルに50%も低下した(表1)。

このような状況を反映してカリブ諸国が依存度を高めているベネズエラからの低金利融資による外貨供給の打ち切りも取り沙汰されている。ベネズエラの経済援助の断絶が、カリブ諸国の財政破綻を招きかねない事態を国際金融界も警戒している。
http://www.iti.or.jp/flash217.htm

フアン・グアイドはアメリカの「でっち上げ」―――
アメリカはどのようにベネズエラのクーデター指導者を
つくり出したのか

The Making of Juan Guaidó: How the US Regime Change Laboratory Created Venezuela’s Coup Leader

The Grayzone(Investigative journalism and news website focusing on war and empire
Venezuela  グレーゾーン 2019年2月20日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年6月11日)

<記事原文>
https://consortiumnews.com/2019/01/29/the-making-of-juan-guaido-us-regime-change-laboratory-created-venezuelas-coup-leader/
フアン・グアイドは、ワシントンの政権転覆指導者エリートたちが10年かけて作り上げた産物だ。グアイドは、 民主主義の優れた推進者としてのポーズを取っているが、暴力的な不安定化路線の最前線に何年もその身を置いていた。


ダン・コーエンとマックス・ブルーメンソール

「暫定大統領」を自ら宣言した1月22日以前、フアン・グアイドの名前を耳にしたベネズエラ人は5人に1人もいなかった。 ほんの数ヶ月前、フアン・グアイドは35歳になったばかりだ。 政治的には極右の泡沫集団の中でもぱっとしない存在だった。 この泡沫集団が深く関わってぞっとするような暴力的街頭行動が引き起こされた。 反対派が支配的な国民議会内で所属政党の中ですら、序列としては中程度の人物だった。 この国民会議は、現在、ベネズエラ憲法に規定された「法廷侮辱罪」の宣告を現在受けている。 

しかし、アメリカ副大統領のマイク・ペンスから一本の電話があると、グアイドは自らをベネズエラ大統領と宣言した。 アメリカ政府からベネズエラの指導者とのお墨付きを得ると、それまで無名で政治的にもおよそ「指導者」とは言い難いところいた彼が、突然国際的な舞台に躍り出た。 原油埋蔵量世界一の国ベネズエラの指導者をアメリカが選び出したというわけだ。  

こういったアメリカ政府の意向に呼応して、ニューヨーク・タイムズの編集局はグアイドをマドゥロに対する「信頼できる対抗馬」と持ち上げた。 「ベネズエラを前進させる新鮮な行動スタイルとビジョン」を備えた人物だ、と。 ブルームバーグの編集局は「民主主義の復活」を追求する人物として、彼を手放しで褒め称えた。 ウォールストリート・ジャーナルは、グアイドが「新しい民主的な指導者」だと明言した。 また、カナダ、欧州の少なからぬ国々、イスラエル、そして「リマ・グループ」として知られる一群の右翼ラテンアメリカ政府は、グアイドをベネズエラの合法的指導者として承認した。 

どこの馬の骨ともわからないような人物に見えたグアイドだが、実は、10年以上前からアメリカ政府配下のエリート集団が手がける「政権転覆工場」で念入りに仕込まれて出来上がった「製品」なのだ。 右翼学生活動家の幹部らと共に、グアイドは訓練・養成され、①ベネズエラの社会主義志向政府の弱体化、②ベネズエラの不安定化、そして③いつか権力を掌握する、ことを目指していた。 ベネズエラの政治世界では取るに足らない人物だったグアイドだが、何年にも亘って、彼は「自分は使える人間だ」と、ワシントンの権力中枢に密かに売り込んでいた。



「フアン・グアイドはこういった状況のために創作されたキャラクターです」とマルコ・テルーギはグレイゾーンのインタビューに答えてくれた。 マルコ・テルーギはアルゼンチンの社会学者で、ベネズエラ政治の編年史家としては一流の仕事をしている。 「すべて『工場の論理』で動いています。 グアイドはいくつかの要素を組み合わせた合成品のようなものです。 そうして出来上がったキャラクターとして、彼は嘲笑の対象になったり、やっかいな人物との間を揺れ動きます。 それがウソ偽りのないところです」 

ディエゴ・セケラは、ベネズエラのジャーナリストで、ミッション・ヴェルダトという調査報道メディアにも記事を書いているが、同じ意見だ。 「グアイドはベネズエラ国内より国外で名前が知られています。 特に、アイビー・リーグのエリート大学や、ワシントンの複数のサークルで。 そこで名前が売れた人物ですから、彼が右翼であることは予測がつきます。 また政権転覆計画に忠実な人間と考えられています」との意見を、ディエゴ・セケラはグレイゾーンのインタビューで述べた。 

グアイドは今日、民主主義回復の顔として売り出されているが、政治的な経歴としてはベネズエラで最も過激な反政府グループの最も暴力的な分派メンバーだった。 その最先頭に立って数々の不安定化作戦を展開していた。 このグループのベネズエラ国内での信頼度は低く、ひどく弱体化した反対勢力をばらばらにした責任もあると考えられている。

「こういった過激派リーダー達は世論調査でたった20%の支持率しか得ていない」とベネズエラの優れた世論調査員であるルイ・ヴィンセント・レオンは書いている。 レオンの記事に依れば、グアイドのグループの支持が広まらないのは、国民の大半が「戦争を望んでいないからだ。『国民が望んでいるのは問題の解決』だ」という。 しかし、これこそまさにアメリカがグアイドを選んだ理由である。  アメリカが彼に期待しているのは、ベネズエラに民主主義を!などではない。 過去20年間、アメリカの覇権に抵抗する防波堤となってきたこの国を崩壊させて欲しいのだ。  グアイドは取って付けたように登場したが、それはベネズエラにおける強固な社会主義の実験を破壊しようとする20年越しのアメリカの計画が、その頂点に達したことを示している。

「トロイカ独裁国体制」を標的に

1998年にウゴ・チャベスが大統領に当選して以来、アメリカはベネズエラとその膨大な埋蔵原油への支配回復を目指して闘った。 チャベスの社会主義的計画が実行されると、国富の再分配が行われ、何百万という国民を貧困状態から引き上げることにつながった。 しかし、それはまた国に危険を招くことでもあった。 

2002年、ベネズエラの右翼反対勢力は、一時、チャベスを追放した。 アメリカの支援と承認を受けてのことだ。 だが軍は、大規模な民衆行動の後、チャベスを大統領職に復帰させた。 ブッシュ(子)やバラク・オバマの政権を通して、チャベスは数多くの暗殺の陰謀を生き抜いてきた。 しかし、2013年、ガンの病に倒れた。 彼の後継者のニコラス・マドゥロは三回命を狙われた。 

トランプ政権は、時を置かず、ベネズエラをアメリカ政府による政権転覆リストのトップに引き上げた。 ベネズエラは「トロイカ独裁国体制」のリーダーだとのらく印を押して。 昨年、トランプの国家安全保障チームはベネズエラ軍の高級将校達を使い、軍事政権を樹立させようとしたが、それは失敗した。

ベネズエラ政府に依れば、アメリカは「コンスティテューション(憲法)作戦」というコードネームの陰謀にも関与していた。 この作戦ではミラフローレス大統領宮殿でマドゥロを捕縛することになっていた。 さらに、「アルマゲドン作戦」と呼ばれる陰謀では、2017年7月の軍事パレードで彼を暗殺することになっていた。 それから1年ほどして、亡命中の右翼反対勢力はカラカスの軍事パレードでドローン爆弾を使ってマドゥロを暗殺しようとしたが、失敗した。 

こういった陰謀の10年以上も前に、右翼反対勢力の学生グループが一本釣りされ、既述のアメリカが資金援助する「政権転覆訓練所」の訓練を受け、ベネズエラ政府の転覆と新自由主義的秩序の回復を目指した。

「幾多のカラー革命の種を蒔いた『革命輸出』グループ」の訓練

2005年10月5日、チャベスの人気が頂点に達し、広範囲な社会主義的プログラムをベネズエラ政府が計画していたころ、5人のベネズエラ「学生指導者達」がセルビアのベオグラードに到着、反乱のための訓練が始まった。

学生達がベオグラードに来たのは、CANVAS(「非暴力的行動と戦略応用センター」)のベネズエラ枠からであった。 CANVASの基金は、その大半が「全米民主主義基金」から出ている。 「全米民主主義基金」は政権転覆を促すアメリカ政府の主力部隊としての機能を果たすCIAの出先機関だ。 また、「共和党国際研究所」や「全米民主国際研究所」のような派生機関でもある。 「陰のCIA」として知られる情報会社ストラトフォーのリークされた部内メールに依れば、CANVASは「1999年から2000年にかけての反ミロシェビッチ闘争で、CIAからも資金と訓練指導を受けていた可能性がある。」

を意味する「オトポール」は、学生集団として反政府運動を組織し、ついにはスロボダン・ミロシェビッチを打倒したことで世界的な名声を博した。 ハリウッドばりの広報宣伝も行われた。 

この政権転覆の専門家たちが小さな核となって、活動を展開していた。 その理論的支柱は「クラウゼヴィツの非暴力版」と言われた故ジーン・シャープである。 シャープは、前アメリカ国防情報局(DIA)の分析官であったロバート・ヘルヴェイ大佐との共同作業で、多面的な形態の抗議運動を武装化する戦略的な青写真を描いた。 その標的は、アメリカの一極支配に抵抗する国々である。  


Otpor at the 1998 MTV Europe Music Awards

オトポールを支援したのは、「全米民主主義基金」、「アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)」、そしてジーン・シャープが立ち上げた「アルベルト・アインシュタイン研究所」だった。 オトポールを訓練した中心人物の一人であるシシナ・シクマンは、「オトポールはCIAから直接資金援助を受けることすらある」と、かつて語っていた。

前述した「影のCIA」とも言われる情報会社ストラトフォーのスタッフがリークしたメールに依れば、ミロシェビッチを権力の座から追放した後、「オトポールの幹部連中は成長し、スーツ姿となり、CANVASを構想した。 つまり、「革命輸出」グループに変身し、幾多のカラー革命の種を蒔いたのだ。

ストラットフォーのリークメールが明らかにしたのは、CANVASは2005年に「その関心をベネズエラに向けた」ということだ。 それは東ヨーロッパ全体に広まった親NATO勢力による政権転覆作戦につながった反政府運動を訓練した後のことだ。 

CANVASの訓練プログラムを観察して、ストラットフォーはその暴徒的行動の意図を驚くほどに率直に語ってみせた。 「成功するかどうかは、全く保証の限りではない。 また、学生運動はほんの端緒に過ぎない。 これからどれほどの年月がかかるかわからないが、ベネズエラに革命のきっかけを与える努力をしてゆくのだ。 そうは言ってもCANVASの訓練者達は自ら『バルカンの殺戮者達』で経験を積んでいる。」 彼らが手にしたスキルは真っ当なものではない。 学生達がベネズエラの5つの大学で同時デモを繰り広げる様子を見れば、訓練は終了し、実戦が始まったことは明らかだ。

「ジェネレーション2007」政権転覆要員の誕生

「実戦」は2年後、2007年に始まった。 グアイドがカラカスにあるアンドレ・ベロ・カソリック大学を卒業した年だ。 彼はワシントンDCに移り、ジョージ・ワシントン大学で管理・政策運営のプログラムを受講した。 指導教官はラテンアメリカにおける最高の自由主義経済学者の一人であるベネズエラ人ルイス・エンリケ・ベリーズバイティア。 ベリーズバイティアは「国際通貨基金」(IMF)の常任理事を務めたことがあり、チャベスが追放した旧寡頭政権下で10年以上ベネズエラのエネルギー部門を担当した。 

その年、ベネズエラ政府が「ラジオ・カラカス・テレビ」(RCTV)の免許更新を認めなかった後、グアイドは、反政府デモを主導する手助けをした。 個人が所有するこのテレビ局は2002年のウゴ・チャベスに対するクーデターで中心的な役割を果たした。 RCTVは反政府デモを煽り立て、反対派が行った暴力行為を政府支持者の仕業だと虚偽の情報を流し、クーデターが企てられている間、政府寄りの報道を禁止した。 RCTVや他のオリガルヒ(寡頭政治の支配者)が所有するテレビ・ラジオ局が、失敗に終わったクーデターを推し進める時に果たした役割は、有名なドキュメンタリー『放映されない革命』において、時系列で記録された。 

同年、2007年、これらの学生達はチャベスの『21世紀の社会主義』のための憲法国民投票を妨害したことを声高に自慢した。 『21世紀の社会主義』とは「ベネズエラの政治的、社の再組織化のための法的枠組みを設定し、新しい経済発展のための前提条件として組織化された市町村に直接的な権限を与えること」を約束している。 

RCTVや国民投票を巡る抗議運動から、アメリカの支援を受けた政権転覆活動に特化した幹部集団が生まれた。 彼らは自らを「ジェネレーション2007」と名乗った。 

「ジェネレーション2007」の訓練を担当したストラットフォーとCANVASは、グアイドの協力者であり、リバタリアン的な考えを持つ政治的オルグのヨン・ゴイコエチェアを、憲法国民投票を失敗させる「キーパーソン」であるとした。 翌年、ゴイコエチェアはそれまでの奮闘に対して、ケイトー研究所の「ミルトン・フリードマン自由促進賞」が授与された。 副賞は50万ドル。 彼はその金を即座に自分の政治的ネットワークにつぎ込んだ。



フリードマンとは、もちろん、悪名高い「シカゴボーイズ」のゴッドファーザー的人物であった。 この「シカゴボーイズ」をチリの独裁的軍事政権指導者アウグスト・ピノチェトが、自国に導き入れ、過激な「ショックドクトリン」型緊縮財政諸政策を実行した。 ついでながら、ケイトー研究所とはワシントンに本拠を持つ、リバタリアン派のシンクタンクで、創設者はコーク兄弟である。 この二人が共和党への献金では上位2位を占め、ラテンアメリカ全域の右翼勢力への積極的な支援者になった。

ウィキリークスが公表した2007年のメールは、在ベネズエラ米大使であるウィリアム・ブラウンフィールドが国務省、国家安全保障会議(NSC)、そしてアメリカ国防総省南方軍に配信したものだ。 このメールで、彼は「『ジェネレーション2007』が、政治的課題を設定することに手慣れたベネズエラ大統領に、有無を言わさず(過剰)反応」させたことを賞賛している。 「突出したリーダー」としてブラウンフィールドが名前を挙げているのは、フレディ・ゲバラ と ヨン・ゴイコエチェアの二人だ。 ヨン・ゴイコエチェアについては「市民の自由をきちんと擁護できる学生の一人」と賞賛している。

ケイトー研究所などのリバタリアン的な考えに染まったオリガルヒ(寡頭政治派)や、アメリカ政府のソフトパワー的な装いを凝らした組織から潤沢な資金を得て、ベネズエラの過激派集団「ジェネレーション2007」はオトポール戦術を街頭行動で繰り広げた。 その際、下に示したようなロゴをこの集団の目印とした。


“Galvanizing public unrest…to take advantage of the situation and spin it against Chavez”
「大衆の不安を煽り立て、情況を有利に、そしてそれを反チャベスの運動へ!」

2009年、「ジェネレーション2007」の若い活動家達は、それまで見たこともないような挑発的なデモを敢行した。 公道でズボンを下げ、突拍子もないゲリラ的な演劇戦術を展開したのだ。 それはジィーン・シャープが政権転覆マニュアルでその輪郭を描いたものをなぞったものだ。 「ジェネレーション2007」は、JAVUと呼ばれる、自分達と同じような脚光を浴びた若者集団の一人が逮捕されたことに抗議するデモを組織していた。 大学人ジョージ・シッカリエロ・マーハーの著書『コミューンの形成』からの引用:

JAVUという極右グループは「その資金を様々な米国政府関係機関から集めた。 
その資金を使い、過激な反政府街頭行動を繰り広げたため、急速にその評判を
落とすことになった。」 

そのビデオは手に入らないが、その中心的な参加者の一人がグアイドだと、多くのベネズエラ人は認めている。 その告発の真偽は確認されていないが、たとえそうだとしても、決してあり得なくはない。 尻を丸出しにしたデモ隊はグアイドが属する「ジェネレーション2007」の中核メンバーであり、彼らのトレードマーク「Resistencia! Venezuela」のTシャツを着ている。 その写真は下に。


Is this the ass that Trump wants to install in Venezuela’s seat of power?

その年、2009年、グアイドは、また趣向を変えて、公の場に登場した。 彼の属する「ジェネレーション2007」が培ってきた反チャベスのエネルギーをまとめる政治グループを立ち上げたのだ。 そのグループは「民衆の意志」と呼ばれ、指導者はレオポルド・ロペス。 プリンストン大学で教育を受けた右派の扇動的指導者。 「全米民主主義基金」プログラムに深い関わりを持ち、ベネズエラでも最も富裕なある地域(カラカス市)の首長に選出されている。 ロペスは、ベネズエラ初代大統領の直系として、ベネズエラ貴族主義の顔だった。 また、アメリカに本拠を置く「人権財団」の創設者であるトール・ハルヴォルセンはいとこにあたる。 この「人権財団」は、アメリカが政権転覆を狙う国々で、アメリカの支援を受けながら反政府活動をする活動家達のための宣伝業務を行う場として、実質的には機能している。

ロペスとアメリカの利害はきちんと一致しているが、ウィキリークスが発表したアメリカ外交電報では、彼の常軌を逸した傾向が強調されていて、それは延いては「民衆の意志」という組織を泡沫的な組織にしてしまうだろうという。 ひとつの電報に記されたロペスの人物評として「反政府グループ内でも非協調的で...傲岸で執念深く、強い権力志向を持っていると言われることが多い」と描かれている。 他の電報で強調されているのは、彼が街頭での武闘作戦に強いこだわりを持っていることと、彼の「非妥協的なアプローチ」だ。 それがベネズエラの民主的組織の統一と参加を最優先する他の反政府グループ・リーダーとの軋轢となっている。


Popular Will founder Leopoldo Lopez cruising with his wife, Lilian Tintori

2010年までに、「民衆の意志」とそれを背後で支援する国外の諸組織は、数十年に一度という規模でベネズエラを襲った大干ばつを利用することにした。 大量の電力不足がこの国を直撃したのはこの水不足のせいだった。 水は水力発電所には不可欠なものだ。 

グアイドと彼が率いる反政府グループの主要な助言組織であるストラットフォーとCANVASは、到底まともとも取れないような計画を立案した。 ボリバル革命の心臓部に短剣を突き刺すような計画だ。 この企みの成功はベネズエラの電力システムの70%を、早ければ2010年4月までに、壊滅できるかどうかにかかっていた。 

「これは分岐点になり得る。 電力システムが動かなくなれば、チャベスには貧困層を守る手立てがほとんどないからだ」とストラットフォーの内部文書にはきちんと書かれている。 「おそらく国民の不安に火をつけるインパクトになるだろう。 これまでどの反政府グループがやろうとしてもできなかったことだ。 その時点で、ある反政府グループに動いてもらうことが最善となるだろう。 この情勢を活用し、「反チャベス!」と「国民へ必要物資を!」の運動へと舵を切らせるのだ」

この時点までにベネズエラの反政府勢力は、年間4,000万ドルから5,000万ドルという驚くべき額の資金をUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)や全米民主主義基金から受け取っている。 これはスペインのシンクタンクFRIDE機構の報告だ。 この反政府勢力は巨額の預金を持っていて、その口座の大半は国外に置かれていた。

ストラットフォーの描いたシナリオがうまくいかなかったこともあり、「民衆の意志」の活動家とその同調者達は、非暴力の仮面をかなぐり捨て、ベネズエラの国情を不安定化させるような過激な計画に加わった。

暴力的不安定化路線へ

ベネズエラ保安局が入手し、前司法大臣ミゲル・ロドリゲス・トレスが公表したメールに依れば、2010年11月、グアイド、ゴイコエチェア、そして他数名の学生活動家達は、メキシコにある“フィエスタ・メヒカナ”と呼ばれるホテルで5日間の秘密訓練に参加した。 この訓練はベオグラードに本拠があるオトポールが運営したものである。 オトポールは政権転覆の訓練士集団でアメリカ政府の支援を受けている。 この秘密訓練は、メールに依れば、オットー・ライヒの承認を受けていた。 オットーは狂信的な反カストロ派キューバ人亡命者で、ブッシュ(子)政権下の国務省と前コロンビア大統領で右翼アルバロ・ウリベの下で仕事をしていた。 これもメールに記載されていることだが、この秘密訓練でグアイドと参加していた学生活動家達は、断続的で長期的な暴力的街頭行動を通して混沌状態を創り出し、ウゴ・チャベス大統領を放逐する計画を密かに練った。

石油産業の表看板である3人の人物、Gustavo Torrar、Eligio Cedeño、Pedro Burelliがこの訓練の運営費用52,000ドルを支払ったと言われる。 Torrarは自称「人権活動家」であり「知識人」だ。 彼の弟Reynaldo Tovar Arroyoはメキシコで石油・ガスを扱う民間企業Petroquimica del Golfoのベネズエラにおける代表だ。 この民間企業はベネズエラと契約を結んでいる。

Cedeñoは、彼の立場としては亡命ベネズエラ人ビジネスマンであり、アメリカへの亡命を申請している。 そしてペドロ・ブレリはJPモルガンの元重役であり、以前ベネズエラの国営石油会社PDVSAの取締役を務めていた。 彼は1998年ウゴ・チャベスが大統領になるとPDVSAを辞めた。 現在はジョージタウン大学に開設されている「ラテンアメリカ・リーダーシップ計画」の諮問委員会に席を置いている。

Burelliは、自分がこの秘密訓練に関わりを持ったとするメールはでっち上げだと主張し、それを証明するため、私立探偵を雇うこともした。 この私立探偵は、グーグルの記録を見て、ブレリのものだとされるメールが発信されたことは一度もない、と言明している。 

だが今日ブレリは自分の願望を大っぴらにし、ベネズエラの現大統領ニコラス・マドゥロが追放され、さらにはリビヤの指導者ムアンマル・カダフィがNATOに支援された民兵達にされたように、街頭に引き出され、銃剣が肛門に突き刺されるところを見たい、と広言している。



更新:ブレリはこの記事が公開されると本サイト「Grayzone」とコンタクトを取り、自分が「フィエスタ・メヒカーナ」策略に関わった経緯を明確にしたいと言った。 ブレリは「この『秘密訓練』は合法的な活動だ。 ただ、ホテルの名前は違っている」と語った。

オトポールがこの秘密訓練の取りまとめを行っているのか、と聞いても彼は、オトポール/CANVASの仕事は「気に入っている」と述べるだけだった。 また自分はそれに資金提供しているわけではないが、「その動きを見守り、オトポール/CANVASが指揮している活動に参加することをいろいろな国の活動家達に勧めている」

これもBurelliの言葉:「アルベルト・アインシュタイン研究所は何千人もの人間の訓練を公然とベネズエラで実施した。 ジーン・シャープの哲学を幅広く研究し、それを自分のものとしたのだ。 そして、恐らくは、こういった動きがあるおかげでベネズエラでの闘いが内戦に転化しなくて済んでいる」

ホテル「フィエスタ・メヒカーナ」での策略とされているものが、別の不安定化計画へと流れていった。 これはベネズエラ政府が出した一連の文書で明らかになったものだ。 2014年5月、ベネズエラ政府はニコラス・マドゥロを狙った暗殺策謀の詳細を示す文書を公開した。 この文書で反チャベスの強硬派マリア・コリーナ・マチャド(現在米上院議員マルコ・ルビオの懐刀)が名指しで、この暗殺策謀の指導者とされている。 マチャドは全米民主義基金から資金援助を受けたグループSumateの創設者として、反政府集団の国際的な紐帯として動いている。 2005年にはブッシュ(子)大統領を訪問した。 


Machado and George W. Bush, 2005

「今が努力を結集すべき時です。 必要な呼びかけを行い、資金を調達し、マドゥロを抹殺するのです。 そうすれば他の連中は散り散りになります」と書いたメールをマチャドは、2014年、元ベネズエラ外交官のディエゴ・アリアに送った。

マチャドは別のメールで、マドゥロ暗殺計画をアメリカのコロンビア大使ケビン・ウィタカーが承認してくれていると述べている。 「私はもう決断しています。 この闘いを継続し、マドゥロ政権を放逐し、世界の友人達にこの成果を示すのです。 サン・クリストバル市(カラカスから南西約600キロ、タチラ州の州都。反政府運動の震源地でその鎮圧のため数千人の軍が派遣された)に出向き、OAS(米州機構)の前にこの身を晒しても怖いものは何もありません。 ケビン・ウィタカーが支援を再確認してくれています。 そしてこの新しい方策に目を向けてくれました。 我々はマドゥロ政権よりも強大な小切手帳を所持し、OASという国際的安全保障の輪を砕きます。 

グアイドは率先してバリケードへ

2014年2月、学生デモ隊は亡命しているオリガルヒのために突撃部隊として暴力的なバリケードをベネズエラ全土に構築した。 これは反政府勢力が支配する区域を暴力的な要塞にするもので「ガリンバス」として知られている。 国際的なメディアは、この激動を自然発生的な抗議運動で、マドゥロ政権の強権支配に抗するものと描きだしているが、この顛末を指揮しているのは「民衆の意志」であるという証拠は十分あった。

「学生デモ隊の誰一人自分達の大学のTシャツは着ていませんでした。 みんな『Popular Will(民衆の意志)』か『Justice First(まず、正義を)』のTシャツを着ていました」と語ってくれたのは、その時ガリンバスに参加していた人物だった。 「みんな学生集団だったかもしれません。 でも学生自治会は反政府政党の傘下にあり、学生達を指導していました。」

中心人物は誰だったのか、の質問にこのガリンバス参加者は「ええ、ありのまま申し上げれば、 そういう人たちが今政治家になっています」と答えた。

43名前後の人が2104年のガリンバスで死亡した。 3年後、またガリンバスが勃発し、公共インフラの大量破壊があり、政府支持者達が殺害され、そして126名の死者(多くはチャベス派)が死亡した。 政府支持者達が、武装ギャングたちに生きたまま火をつけられたケースもいくつかあった。

グアイドは直接2014年のガリンバスに参加していた。 実際彼は、自分がヘルメットとガスマスクを被り、マスクとヘルメット姿で高速道路を封鎖していたデモ隊に取り囲まれている様子を映したビデオをツイートしている。 このデモ隊は警官隊と激しく衝突していた。 「ジェネレーション2007」に自分が参加していたことを匂わせながら、グアイドは「2007年のことは忘れない。 我々は『学生諸君!』と宣言した。 今我々は『抵抗だ!抵抗だ!』と声を大にして言おう」と宣言した。 

グアイドはこのツイートを消去している。 民主主義のチャンピオンとしての自分のイメージへの気遣いがあったことは明らかだ。



2014年2月12日、この年のガリンバスが最盛期に達した時、グアイドは「民衆の意志」と「まず正義を」の集会でロペスと同じ演壇に立った。 政府に対する激しい非難の長広舌の中で、ロペスは群衆に、検事総長ルイザ・オルテガ・ディアスの事務所に行進するよう強く呼びかけた。 すぐに、ディアスの事務所は、それを焼失させようとする武装したギャング達に攻撃された。 彼女は「周到に計画された暴力行為」として非難した。


Guaido alongside Lopez at the fateful February 12, 2014 rally

2016年テレビに登場したグアイドは「グアヤ」(ガリンバスのひとつの戦術で、鋼鉄線を道路に広げ、バイクに乗った人間に怪我を負わせたり、殺そうとしたりする)で死者が出たことを「神話」だと切り捨てた。 彼のコメントは死者が出るかもしれない戦術をごまかしている。 現にサンチャゴ・ペドロサのような武器を持たない市民達を殺したし、エルビス・デュランという名前の男性を斬首した。 他にもたくさんある。 

こういった人命を無視する冷淡さは、彼の所属する「民衆の意志」党が、多くの大衆の目にそういう組織だとの見方をされることになろう。 それはマドゥロ政権に反対する多くの人々にとってもそうだ。 

「民衆の意志」の取り締まり

暴力と政治的な分極化がベネズエラ全土で拡大するにつれ、政府はその動きを扇動した「民衆の意志」のリーダー達を抑える行動を始めた。

フレディ・ゲバラは、国民会議副議長であり、「民衆の意志」のナンバー2、2017年の街頭暴動の中心的リーダーだった。 その果たした役割のことで裁判にかけられそうになると、彼はチリ大使館に逃げ込んだ。 現在もそのままである。

レスター・トレドは、スリア州選出「民衆の意志」党議員。 2016年9月ベネズエラ政府から指名手配される。 罪状はテロへの資金提供と暗殺謀議だった。 これらの計画は元コロンビア大統領アラバロ・ウリベも加わってのことだと言われている。 トレドはベネズエラを逃亡して、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、米政府支援のフリーダム・ハウス、スペイン議会、そしてヨーロッパ議会へ講演旅行をした。

カルロス・グラーフは、オトポールの訓練を受けた「ジェネレーション2007」のメンバーでもある。 「民衆の意志」の指導者で2017年6月逮捕された。 警察に依れば、彼は釘、強力プラスチック爆弾と起爆装置の入ったバッグを所持していた。 2017年12月27日に釈放された。  

レオポルド・ロペスは、長年「民衆の意志」のリーダーであり、現在、自宅監禁されている。 2014年のガリンバスで13人が死亡したことについて重要な役割を果たしたことを告発されている。 アムネスティはロペスを「良心の囚人」として賞賛した。 彼が刑務所から自宅へ移されたことを「十分な措置ではない」として非難した。 一方、ガリンバスの犠牲者の家族はロペスに対する罪状をもっと増やしてほしいとする請願書を発表。 

ヨン・ゴイコエチアは、コーク兄弟の広告塔で、2016年に治安部隊が逮捕した。 車に1キロの爆発物を積んでいたとされる。 ニューヨークタイムズの論説には、ゴイコエチアが「捏造された」罪状に抗議し、投獄されたのは単に「共産主義から自由な民主的社会への夢」を持っているため、との言い分を載せている。 2017年11月に釈放された。



デイヴィド・スモランスキイは、オトポールの最初の訓練を受けた「ジェネレーション2007」のメンバーでもある。 カラカス市南東部の裕福な郊外住宅地自治体の選挙(2013年)でベネズエラ史上最年少の首長となった。 しかし、最高裁はその地位を剥奪、懲役15ヶ月の判決を下した。 暴力的なガリンバス策謀に責任があるとされたためである。

逮捕されそうになると、スモランスキイは髭をそり落とし、サングラスをかけ、密かにブラジルに入国した。 扮装は神父姿で、手にはバイブル、首にはロザリオをかけている。 彼の現在の住まいはワシントンDC。 米州機構事務総長のルイス・アルマグロに一本釣りされ、ベネズエラの移住者、難民の危機問題に対処するグループを指導している。

今年の7月26日、スモランスキイは「心のこもった再会」と称する会合をエリオット・エイブラムスと持った。 エリオット・エイブラムスと言えば、イラン-コントラの重大事件で有罪とされ、トランプがベネズエラへの特使として送り込んだ人物だ。 エイブラムスの悪評は、1980年代のニカラグア、エルサルバドル、そしてグアテマラで右翼の暗殺部隊を武装化する秘密政策を統括したことを巡ってのものだ。



マチャドは更なる暴力的な脅しをマドゥロにがなり立てた。 もし「命が惜しいなら、マドゥロは自分がもう終わっていることを理解すべきだ」と言明している。

捨て駒

「民衆の意志」は不安定化暴力路線で壊滅し、少なからぬ民衆グループが離反し、運動のリーダーシップの多くは亡命先か監禁状態ですることになった。 グアイドは比較的マイナーな人物だったし、国民議会の輪番制の副議長として9年の任期の大半を過ごしただけだ。 ベネズエラで最も人口が少ない州の一つから声を上げ、グアイドは2015年の選挙で二位となった。 得票率は26%で、辛うじて国民議会の席を確保できた。 実際彼が知られているのはその顔というより、彼の尻だったのかもしれない。 

グアイドは反政府が主流を占める国民議会議長として知られているが、別に投票で選ばれた訳ではない。 国民議会内の民主統一会議を構成する反政府派の4つの政党が議長を輪番制にすることを決めていた。 「民衆の意志」の番だったが、創設者のロペスは自宅監禁の状態だった。 二番手のゲバラはチリ大使館に逃避。 順番ではフアン・アンドレ・メヒアなる人物が次に来るはずだったが、現在やっと明らかになった理由で、フアン・グアイドが議長に選出された。 

「グアイドが頭角を現したことには階級的な理由があります」との見方を示したのは、ベネズエラの分析家のセケラである。 「メヒアは上流階級の人間です。 ベネズエラで最も高額な学費を取る私大のひとつで学んでいます。 グアイドと同じようなやり方で彼を民衆に売り出すことは簡単にはいかないでしょう。 一つには、グアイドの顔つきが、ほとんどベネズエラ人がそうであるように、スペイン人との混血であることです。 いかにも民衆派という雰囲気があります。 同時に、彼はメディアで過剰に取り上げられることはありませんでした。 それ故、どのようにその人物像を作り上げることも可能だったのです」

2018年12月、グアイドは密かに国境を抜け、ワシントン、コロンビア、そしてブラジルへ物見遊山的な視察旅行に出かけた。 マドゥロ大統領就任式で大規模なデモを行う計画を調整することが目的だった。 マドゥロ就任宣誓式の前夜、米副大統領マイク・ペンスとカナダ外相のクリスティア・フリーランドの二人はグアイドに電話で支援の確約をした。 

一週間後、マルコ・ルビオ上院議員、マリオ・ディアズ・バラート下院議員(いずれもフロリダに本拠を置く右翼キューバ亡命ロビー出身の議員)がトランプ大統領とペンス副大統領とホワイトハウスで会合を持った。 二人の要請でトランプは、グアイドが自分を大統領と宣言すれば、それを支持することに同意した。 

国務長官マイク・ポンペオは、1月10日、個人的にグアイドと会った。 これはウォールストリート紙の記事だ。 しかし、ポンペオは、1月25日の記者会見でグアイドの名前を正しく発音できず、 彼を「フアン・グイド」と呼んだ。



1月11日までにウィキペディアのグアイドのページは37回の編集し直しがあり、以前無名だった人物がアメリカ政府の政権転覆野望のための1枚の絵画になっているイメージを創り出す苦労に焦点が当てられている。 結局、このページの編集の監修はウィキペディアのエリート「司書」会議に委ねられた。 この会議は彼を「異議を唱えられた」ベネズエラ大統領と記載した。 

グアイドの人物像ははっきりしないものだったかもしれない。 しかし、彼の急進主義と日和見主義はアメリカ政府の必要性を満たすものだった。 「その駒がなかったのだ」とトランプ政権のある官僚はグアイドについて語った。 「彼という駒が我々の戦略に必要で、それは完全にぴったりと収まった」

元在ベネズエラ米大使のブラウンフィールドがニューヨークタイムズに熱く語ったこと:「彼は、軍と警察に明確な合図を送り、天使の味方で、善良な人間の側にいてもらいたいとの願望を口にする初めての反政府派リーダーだ」 

しかし、グアイドの「民衆の意志」党はガリンバスという突撃隊を形成し、警官と一般市民の死亡事件を引き起こした。 自分が街頭暴動に参加したことを吹聴すらしている。 そして、現在、軍警察関係者の心を捉えるためにはこの血塗られた歴史の消し去る必要性が出てきた。 

1月21日、クーデターが本当に始まる一日前に、グアイドの妻は軍に反マドゥロで立ち上がるよう求めたビデオメッセージを送った。 彼女の演説はぎこちなく、人の心を打つものではなかった。 グアイドの政治家としての限界をはっきりさせるものとなった。 

グアイドは直接的な支援を待つ間も、彼の有り様は以前と何ら変わるところはない。 つまり、利己的な外部勢力の操りに人形なのだ。 「今回の一連の出来事が失敗に終わり、彼が破滅しようと焼け死のうと問題ではありません。 アメリカ人にとって彼は消耗品です」と、セケラは今回のクーデターの首謀者であるグアイドについて語った。

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マックス・ブルメンソールは受賞ジャーナリストで、本の著者でもあります。その中にはベストセラーの『共和党のゴモラ』、『ゴリアテ』、『51日戦争』、『残虐性という支配』がある。彼は一連の出版物に記事を書いたり、多くのビデオレポートや、「ガザの虐殺」などいくつかのドキュメンタリーもある。ブルーメンソールは2015年「The Crayzone」を創設し、アメリカの永続的な戦争状態や、その国内における影響に光を当てるジャーナリスト活動をしている。

ダン・コーエンはジャ-ナリストであり、映画制作者である。彼はイスラエル-パレスチナからビデオレポートや印刷物を配信している。ダンはRTアメリカの通信員でもある。彼のツイートは@DanCohen3000である。

ベネズエラ危機をねつ造し、不安定化工作から
介入の機会を窺うアメリカ

US is manufacturing a crisis in Venezuela so that there is chaos and 'needed' intervention

RT / Home / Op-ed 2019年3月29日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年5月22日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/op-ed/455081-manufactured-crisis-venezuela-us-intervention/


エバ・バーレットはフリーランスのジャーナリストで人権活動家。ガザ地区やシリアを中心に活動する。彼女の記事はブログ「In Gaza」で見られる。


政府支持の大集会、3月16日、カラカス© Eva Bartlett

ベネズエラは、現在アメリカの標的となっている。大規模な不安定化を引き起こし、傀儡政権を樹立しようとしている。

アメリカは、過去何年にも亘って、ベネズエラに対して経済戦争を仕掛けてきた。 国力を弱体化させる様々な制裁措置があった。 医薬品を購入するための国の資金力が著しく低下した。 また、バスや救急車等などに必要な交換部品すら買えなくなった。 経済戦争だけではない。 プロパンガンダ戦も途切れることはなかった。 大手メディアからアメリカの有力議員までそれに関わりを持ってきた。

ベネズエラへの「飛行をアメリカ人パイロットが拒否している」というのがAPの記事(2019年3月18日)だ。 アメリカン航空がすべてのベネズエラ便をキャンセルしたというこの記事の中には「安全上の不安」や「世情不安」という言葉もある。 

3月9日、私が搭乗予定だったマイアミ-カラカス便(アメリカン航空)は、カラカス空港には着陸用の電源が十分でないということを理由にキャンセルされた。 奇妙なことに、私は翌日コパ航空に搭乗したが、カラカス空港への着陸には何の問題もなかった。 コパ航空のスタッフの話では、前日の便もちゃんと着陸できた、とのことだ。 

ベネズエラ便のキャンセルの話は、マルコ・ルビオ、マイク・ペンス、ジョン・ボルトン、そして以前は無名で大統領でもなかったフアン・グアイドの声高なツイートをもっともらしく思わせることになる。 

私は3月10日以降、カラカスのあちらこちらを回った。 しかし、大手メディアが伝える「世情不安」などどこにもなかった。 カラカスの市内を歩いて回った。 たいていは一人で。 しかし、身に危険を感じることはなかった。 大手メディアは西側の人々に、ベネズエラでは突然の異常事態への準備をしておくべきだ、と懲りもせず語り続けている。 



事実として、2010年に私が半年過ごしたベネズエラと、今のベネズエラにほとんど差はない。 ただ、ハイパーインフレはあきれるほどひどくなっている。 2010年以降今回の再訪まで私はベネズエラに足を運んではいない。 その間の極右反政府勢力街頭暴力行為を見てはいない。 「ガリンバス」と呼ばれる暴力的街路封鎖、というのがその実態だ。 反政府勢力は人を火あぶりにしたこともある。 他にも人に暴力を振るったり、安全を損ねるような行動があった。

だから、私が思うに、アメリカン航空がベネズエラへのフライトを取りやめたことは、別に安全とか保安上の問題が絡んでいるわけではない。 政治的なものだ。 ありもしない人道危機という空洞化した言説ますます軌を一にしている。 これは前国連特別報告者アルフレッド・ゼイヤスも言っていることだ。 

この14年間ベネズエラに住んでいるポール・ドブソンというジャーナリストに、こんなことが以前にあったかどうか聞いてみた。 あったとのことだ。 しかも、ほぼ同じような状況で。 

2017年7月30日新憲法制定のための制憲議会選挙が行われた時だ。 エア・フランス、ユナイテッド航空やアメリカン航空を含む大手航空会社やのヨーロッパ便が、「保安上の理由」を掲げ、運航をキャンセルした。 大半の便は選挙の4日後運航を再開したが、一部は2週間後にまでずれ込んだ。

そこで、「保安上の理由」があったのか、ポールに質問した。

「ベネズエラで6ヶ月続いていた暴力的街路封鎖(「ガリンバス」)が終結するころでした。 反政府勢力は、どうして6ヶ月前にとか、2ヶ月前にその活動を止めなかったのでしょうか?  「ガリンバス」を止めたのは選挙前日です。 選挙に影響を与えようとしたことは明らかです。 国際的な視線も気にしていました。 この日特別な保安上の理由など皆無でした。 過去6ヶ月にはいくらでもありました。 ですから、実際のところ、何かちゃんとした理由があって活動を止めたわけではありません。 そして選挙を巡るたくさんの問題を引き起こすことになりました。」 



アメリカは危機をねつ造するが、ベネズエラ国民の反応は冷静

2月23日、以前はほとんど名前も知られず、アメリカに後押しされたフアン・グアイドと名乗る人物がベネズエラ大統領を宣言した1ヶ月後、ベネズエラ-コロンビア国境で線香花火的な混乱があった。 アメリカが支援物資トラックをベネズエラに断固運び込むと言ったのだ。

支援トラックは、同日、放火されたが、それはコロンビア側の覆面をした若者達がやったことだ。 西側大手メディアやキューバ系下院議員のマルコ・ルビオの言っていることに耳を傾ければ、ひょっとしたベネズエラ軍が攻撃したものではないかと思うかもしれない。 

もしアメリカの口先だけで言っているに過ぎない心配が、ほんとうに心からの心配であるなら、キューバ、中国、ロシア、そしてその他の国々と同じようにすることもできた。 つまり、国連や赤十字のような適切なチャンネルを通して支援を送ることができるということだ。 アメリカは複数のトラックを強引にベネズエラ国境越えさせようとしたが、それは人目を引くための安っぽいプロパンガンダだったことが分かっている。 それ以上でもそれ以下でもない。

数週間後、突然、まるで狙い定めたかのように、全国的な停電が6日間続いた。 それはベネズエラのインフラとライフラインの大半に影響を与えた。 同じことを、ガザに住むパレスチナ人が少なくとも2006年以来経験している。 この年イスラエルはガザ地区唯一の発電所を爆撃している。 しかも、修理に必要な部品の輸入も許していない。 私はガザに住んでいた時、1日16時間から22時間、何ヶ月も続く停電に慣れた。ほぼ毎日ある18時間以上の停電は今でもガザで続いている。 しかし、それは以前も今も、政権転覆のやからが怒ったりする類いの話ではない。  



この停電についての西側メディアの報道は、タブロイド版ばりのものだった。 何の証拠もなくこの停電で300人の死者が出たと伝え、ベネズエラの人々がカラカスのグアイレ川の泉から水を汲んでいる様子を、汚濁した下水を汲んでいると報道した。 略奪の記事もあった。 (略奪はマラカイボ市の西境では実際起きたが、カラカスでは起きていない。ただし、地方の報道されていない出来事は別だ) そして、総じてマドゥロ政権をすべてのことに責任があると非難している。 

ベネズエラの独立系調査ニュースサイトの「ミッション・ベルダード」のジャーナリストと話をして分かったことだが、略奪の一つはマルカイボ市のショッピングモールで起こった。 しかし、略奪されたのは電子機器であって食料ではない。 別の略奪品は、報道に依れば、ビールとソフトドリンクだった。 人道的危機にある飢えた人々の行動としては奇妙だ。

私がカラカス市現地に入ったのは停電になって3日後。照明の消えたビル、人っ子一人いない通り、そして4日目以降の給水車やATMでの長蛇の列は別にして、他に混乱した様子は全くなかった。 それどころか、私が自分の目で見て確認したのは、ベネズエラの人々が力を合わせ、停電の厳しい影響を何とか切り抜けてゆく姿だった。

私がベネズエラ都市農業省で知ったことの一つに、停電中に野菜や作物をどのように病院や学校に搬入したか、ということがある。 それだけではない。 戦争や偽ニュースの雨風の中にあって、都市農業がどれほど頑張っているかも知った。 一般住宅地に隣接する円形の区画で若い男女が作業に従事し、あふれんばかりのレタス、ハーブ、ビーツ、ほうれん草、そして胡椒を収穫していた。 さらに、まだ作付け段階の区画もあった。 


ベネズエラ北中部バラガス州の最大都市であるカティア・ラ・マール市ファブリシオ・オヘーダのコミューンはカラカス市の西方にあり、100万人を越すバリオ(最貧層の居住地)だが、住民達の話によれば、数年前17トンの収穫があったと言う。 そしてそれを平均市場価格の30-50%安い価格でコミューンに売ったのだ。 

コミューンの指導者の一人の言葉によれば、ウサギを飼育して手頃で入手し易いタンパク源にしているのだと言う。

「私たちは、頑張ってこういったものを自力生産し、コミューン・共同体の役に立てようと思います。 そうしてアメリカが仕掛けている経済戦争に対抗しているのです」と彼は語った。

2日前、ラス・ブリサスにあるカラカス・バリオを訪問して、コレクティヴォ(人民組織)の長であるJaskeherryにコミューン・共同体どうやって停電を切り抜けたのか質問した。 


「該当地域のすべてのコレクティヴォには不測の事態に対応して、人民に支援を与えるべく、自己組織化できる計画がありました。 私の家の冷蔵庫は強力な貯蔵庫と連携しています。 コミューン社会が肉をここに運んでくれ、私はそれを自分の家の冷蔵庫に貯蔵したのです。 約300家族がその恩恵を被りました。 すべてのコミューン・共同体には独自のコレクティヴォ組織があり、同じような支援の活動をしています」 

同じ場所でさらに別の数人から聞いた話だが、混乱が起きない一つの理由は、ベネズエラ人はアメリカ仕掛けの危機に何度も対処した経験があるので、そんな時でも取り乱さなくなった、ということだ。 それはベネズエラ国内を攪乱させ、それをアメリカ介入の口実にしようと企んでいる輩を確実に落胆させただろう。 

ねつ造された貧困。 政府からの支援もあるし、政府への支援もある

私は、カラカスの中産下層階層が住む区域とチャカオと、中産上層階級が住むチャカオとアルティミラ区域の大小スーパーマーケットをいくつか訪ねてみた。 食料はある。 贅沢品も。 ただし、贅沢品はベネズエラの貧困層には手が届かない。

また、棚には何の商品も置かれていない店もある、と言われている。 しかし、まだ私はそんな店を目撃したことはない。 民間企業の方針として商品を買いだめし、ありもしない物資の不足を創り出そうとしたことはよく知られている。 この企業には最大手のポーラーという食品製造会社も含まれている。 

ポーラーのCEOで反政府派の支持者達は、前回の選挙でJaskeherryにマドゥロ対立候補として立候補することを望んだ。 

食料が枯渇しているという話が一旦語られると、こんどは西側主流メディアがそれに尾ひれをつけて報道を続ける。 「人道的危機」もしかり。 最貧層を支援するため、政府はCLAP(=Local Committees of Supply and Production)と呼ばれる食料箱を低価格で配達することを率先して始めた。 コミューン共同体は、この取り組みで、ベネズエラ最貧層6百万の家庭に政府支援食料を配分している。

このシステムは完璧というわけではない。 食料箱がなかなか届かないコミューン共同体もある、という話を聞いた。 しかし、それは地方レベルでの腐敗があったり、コミューン共同体の個人が公正ないしは平等な配分をしていないから、とのことだ。 昨日インタビューをしたCLAPの配分作業に従事している女性も同じ事を言っていた。 

キューバ系アメリカ人の上院議員マルコ・ルビオのような性急な政治家と、自分の考えを持たない主流メディアは、マドゥロ大統領への支持はほぼ皆無、と一生懸命主張している。 しかし、大規模な大統領支持の集会と最近の影をひそめた反対派集会を見れば、その主張には根拠がないことがわかる。

3月16日、2時間、私は「反帝国主義-ベネズエラ政府支持」のデモでベネズエラ人と一緒に歩いた。 映像を撮り、彼らと話をし、選挙で選出された大統領への支持の言葉を次から次へと耳にした。


デモの参加者の多く、あるいは大半はカラカス市の最貧困層コミューン共同体の出身だった。 彼らは肌の色が黒いアフリカ系ベネズエラ人で、主流メディアにその声が取り上げられることはほとんどない。 彼らがマドゥロ政権とボリバル革命の熱心な支持者だから、というのはほぼ間違いない。 

主流メディアのベネズエラ報道をどう感じているか、という私の質問に、現実を描いていない、というのが人々の答えだった。「でっち上げ。 みんなウソ。 全部ウソ。 私たちが認める大統領はニコラス・マドゥロだけ。 フアン・グアイドなどという男はすぐにでも逮捕してほしい」

若い税専門弁護士の話:

「我々がこのデモに参加しているのは、我々の(ボリバル)プロジェクトを支えるためです。 戦争は望みません。 国民のために薬が欲しいのです。 いかなる政府も薬が購入できなくなるような経済制裁はやめて欲しい。 今は国民が必要とする物資を搬入することがとても難しいのです」

まだ大勢が集まっているデモを離れ、私はカラカス市の東部区域へと向かった。 ツイッターで3つないし4つ反対派行動があると地元のジャーナリストが私に語ってくれたどれかに顔を出せないかと思ったからだ。 しかしそんな動きは皆無だった。 

数日後、私はベジャス・アルテス地下鉄駅に行った。 ここでも反政府行動が起きる、との情報が乱れ飛んでいたからだ。 しかし、そんな動きはどこにもなかった。 結局のところ、国民議会の正面で、15人から20人のきちんとした身なりの男女の映像を撮った。 彼らは周辺でぶらぶら立っているだけだった。 反対声明の発表も聞かれず、その動きもなかった。 結局のところ、大半の人間はセキュリティを通り抜け、建物の中に入っていった。 反対声明もなく、その動きもなかった。 彼らからの暴力も彼らに向けられた暴力もなかった。

大人数の政府支持者たちがバイクで到着した。 近くにいた男性が語ってくれたのは、バイクに乗ったこれら男女は平穏状態を維持するために来た、とのことだ。 反対派は挑発行動も口にしており、政府支持バイク部隊はその挑発行動を起こさせないだろう、とも。 (この言葉は先ほどの地元のジャーナリストの言葉とも一致する。 反対派ならびに政府支持者のツイッターでもその趣旨の投稿があった)

カラカス市を一望するアヴィラ山から、タンカーが長い列となって山の泉水を満タンにしているところを目にした。 それはカラカス市周辺、そして市外のたくさんの病院に供給するものだ。

「ベネズエラをコントロールしているのは外国の影響ではない」と言いくるめるアメリカの反語的偽善

アメリカは力ずくで、自分達の影響力を外側からベネズエラに行使してきた。 何年にも亘って。 ワニの空涙を流すアメリカがベネズエラの人々を思っているなどと口先だけで言っても、ベネズエラの人々には何の利益もない。 西側主流メディアの大半は、アメリカがベネズエラに課している非倫理的な経済制裁の多方面にわたる弊害を一言も述べない。

1月下旬、国連人権問題専門家のイドリス・ジャザリはアメリカの経済制裁を非難し、「それはベネズエラ政府の転覆を目指したもの」であり、「軍事的であれ、経済的であれ、強制力を使って主権国家の転覆を求めることは絶対許されない」と明確に非難した。

これに加え、アメリカは最近50億USドルを差し押さえたとウエブサイト「Venezuelanalysis」は伝えている。 この金は医薬品と医薬品を生産するための原材料を購入するためのものだった。 これ以前にもアメリカは多数のベネズエラ資産を凍結している。 明らかに、これらは将来の操り人形大統領としてアメリカが育てあげたフアン・グアイドのための措置だった。

何ら驚くべきことではないが、 ジョン・ボルトンは最近またまたネズエラを脅迫し、トランプが言った「すべての選択肢が用意されている」というセリフを繰り返している。 軍事的介入の脅しだ。 まるで幻覚状態にあるかのように、外国の影響力とベネズエラについてくだを巻き、帝国主義者モンローの主義がまだ死んでいない、などと御託を並べ続けている。

3月中旬に行われたアメリカ平和評議会代表との会合において、ベネズエラ外相ホルヘ・アレアサはあからさまな米国の敵対的リーダーシップについて語った。

「あなた達の政権は『すべての選択肢が用意されている』などということをほぼ毎日口にしています。 そして、軍事的な選択もカードに入っている、というわけです。 だったら、私たちとしてはそれにたいする備えをしなければなりません。

私たちは新特使のエリオット・エイブラムスに言いました。 「クーデターは失敗だ。 で、これからどうしますか?」と。 彼は何となく頷き、こう言いました、『まあ、長い目で見ています。 次は貴国の経済が崩壊することを心待ちにしているということになります』」

マドゥロが、同じ代表団との会合で次のように私たちに語った。

「私たちは外国の軍事介入を望んでいません。 ベネズエラ人は国が独立していることにとても強い誇りを持っています。 トランプ大統領周辺の人々、例えばジョン・ボルトン、マイク・ポンペオ、マルコ・ルビオ、エリオット・エイブラムスなどですが、彼らは毎日毎日ツイッターでベネズエラについて投稿しています。 アメリカやアメリカ人についてではありません。 ベネズエラのことが気になって仕方がないのです。 もう病気と言ってもいいほどです。 極めて危険です。 私たちとしてはそれを糾弾し、止めさせなければなりません」

© Eva Bartlett

私は、シリアを巡って振りまかれた戦争プロパガンダや帝国主義者のレトリックについて過去8年間広範な著述活動をしてきたので、こういった病的なこだわりはよくわかる。 国連特別報告者のアルフレッド・デ・ゼイヤスも最近のインタビューで次のように語っている:

「もし、(あなたたちメディアが)マドゥロを腐敗した人物と呼べば、人々は次第に『あいつは、きっとどこか腐敗しているに違いない』と信じるようになるでしょう。 しかし、1980年代、90年代のベネズエラでは腐敗が蔓延していたことをマスメディアに思い起こさせる人はだれもいません。 チャベス以前、マドゥロ以前のことです。 現在の報道はマドゥロに焦点が絞られています。 マドゥロ政権の転覆が目的だからです」

現在はシリア。 過去にはリビア、イラクなどがあった。 いつも同じ事の繰り返し。 アメリカが支配したいと思う国のリーダー達を悪魔化だ。 馬鹿げたレトリックが毎日企業メディアから噴出される。 言うことはほとんど同じ。 ソーシャルメディア上で反帝国主義的な見方を辛辣な言葉で精力的に述べようものなら、 まるで待っていたかのようにそれをネット上でやみくもに攻撃する輩がいる。 一番気がかりなのは、個人への危害や政府を犯罪視することを意図したテロ行為だ。 

悲しいことに、アメリカは、過去8年間同盟国と一緒にシリアに対して行ってきた同じ汚い戦術を、恥も外聞もなく、取ろうとしているようだ。 テロリストを背後で操ったり、連携したりしてベネズエラを攻撃しようとしている。 実際、昨晩この原稿を仕上げようとしていた時、電気が消えた。 今もベネズエラ全土の多くの地域で停電状態が続いている。

今週初め、ロドリゲス情報相はツイッターで、「今回の停電はグリ水力発電所が攻撃されたため」と発表した。 この発電所はベネズエラの水力発電と電力発送を担う中心的なエリアである。

今日までに、電気はカラカスで一部復旧した。

今日の午後、オートバイに乗せてもらい、少し時間をかけてカラカスのペタレ地区を回った。 ペタレ地区と言えば、ラテン・アメリカ最大の「スラム街」として知られ、バリオ(居住区)が延々と連なる。 カラカス市の中でも最貧地区のひとつであり、最も危険な場所だ。 オートバイに乗せてもらいながら、主流メディアがあると主張する「人道的危機」を捜した。 だが、あったのは野菜、果物、チキン、そして基礎食料品だった。 私が足を運んだところはすべてそうだ。 カラカス市の中心広場から山沿いにあるバリオ(居住区)まで。 7月5日現在の話だが。




カラカス市を見下ろすアヴィラ山の山裾で、オートバイに乗りながら見かけたのだが、ところどころ列を作って水差しで泉の水を集めている人たちがいた。 停電で給水に影響が出たからだ。 またタンクローリー車が何台も連なっていた。 これは市当局が手配したものであり、軍も参加して都市部、郡部へ水を供給することになっている。

ベネズエラ政府は、3月7日の停電も今週の停電も背後にはアメリカがいる、と非難した。 3月の停電については、送電網に対する①サイバー的、②電磁波的、③物理的攻撃の組み合わせだと言明した。(同様の攻撃をアメリカはイランの送電網に行う秘密の計画を持っていると言われている) 今週の停電はグリ発電施設に対する直接的物理的攻撃であり、3箇所の変電施設が炎上した。

明らかにこういった攻撃の目的は、多くの苦しみと鬱屈した気持ちを人々に植え付けることで、カオス(混沌)が存在し、アメリカの介入が「必要だ」という情況を創り出すことだ。

混乱状態は起こっていない。 国民はそれをきっぱり拒否している。

アビー・マーチン:ベネズエラから手を引け

Abby Martin: Hands Off Venezuela

テレスールEnglishさんの投稿

グローバル・リサーチ 2019年2月5日

(翻訳:新見明 2019年3月5日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/video-abby-martin-hands-off-venezuela/5667673?utm_campaign=magnet&utm_source=article_page&utm_medium=related_articles



最初ベネズエラに行って私はわかった。
どれほどメディアが実際の現場について私達に嘘をついているかを。

アメリカ政府とそのプロパンダ機関は言う。
そこでは大量飢餓と国内不安がアメリカの介入を求めていると。

彼らは意図的に重要な事実について話さない。
アメリカ経済制裁によって、国内の私企業と国外からなされた壊滅的な経済戦争についてだ。

トランプの経済制裁はベネズエラ経済を弱体化させた。
去年だけで60億ドルに上る。
そして制裁は貧困層や労働者階級にひどく影響を及ぼす。

その戦略は人々を飢えさせ、屈服させるのだ。
そして皮肉にもその人道危機をさらなる介入の口実に使うのだ。

何百万人の人々がマドゥーロ追放を要求している、と彼らは言う。

しかし彼らは意図的に見せない。人々がマドゥロを支持し、彼に投票し、また
通りに出て犯罪的なクーデターの試みに抗議しているのを。

クーデターはグアイドが憲法を復活させる民主主義だと言う。
去年大統領選挙が行われたばかりの国で、自分を大統領だと宣言している。

私達は以前こんなプロパガンダの台本を見たことがある。
ラテンアメリカでも中東でも、
そしてそれは実際に同じ戦争犯罪人によって行われてきた。

ジョンボルトンはイラク戦争で、
エリオット・エイブラムズはグアテマラの大虐殺の手助けをしたのだ。

いわゆる自由報道という名の下に、100万人のイラク人が、嘘で塗り
固められた戦争で死んだのだ。

全ての進歩派と反介入主義者は、ベネズエラの兄弟、姉妹と連帯しなけれ
ばならない。
彼らの主権を守るため、彼らに自分たちの未来を決定させるために、
アメリカの制裁と介入から解き放たれて。

私達はこう呼ばなければならない。それは血に飢えたトランプ政権による、違
法なクーデターだと。

ラテンアメリカの独立した国を転覆させ、石油を簒奪しようとする違法な軍事クーデターだと。

トランプは既にアメリカが軍事介入をして、彼らの石油を略奪すると脅している。
何百万人の命が危険にさらされているのだ。

今や、アメリカのもう一つの石油戦争に反対するために、皆さんの声を必要としているのです。

ベネズエラから手を引け!

ビデオ:本当の人道支援、
ベネズエラの国が支援する地域市場

Video: The Real Humanitarian Aid: Inside Venezuela’s State-subsidized Communal Markets

マックス・ブルーメンソール

グローバル・リサーチ 2019年2月25日

(編集:新見明 2019年3月4日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/video-the-real-humanitarian-aid-inside-venezuelas-state-subsidized-communal-markets/5669654
The Grayzone’s Max Blumenthal toured open air markets in Caracas full of food and supplies subsidized by the Venezuelan government, which debunk the “humanitarian crisis” lie spread by corporate media.



「グレーゾーン」のマックス・ブルメンソールが『カラカスの屋外市場を訪れたが、国が支援する食料や供給品であふれていた。そして企業メディアによって広められている「人道危機」の正体を暴く。


*

READ MORE:Video: Abby Martin: Hands Off Venezuela
ビデオ:アビー・マーチン:ベネズエラから手を引け


The original source of this article is The Grayzone Project

Copyright © Max Blumenthal, The Grayzone Project, 2019

「プーチン万歳!」ハイチの抗議デモ、
アメリカ国旗を燃やし、ロシアの介入を求める

‘Long live Putin!’ Haiti opposition protesters burn US flag, demand Russian intervention
RT World News 2019年2月17日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月2日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/451673-haiti-putin-burning-us-flag/


ロシア大統領ウラジミール・プーチンの写真を掲げるポルトープランスのデモ隊 © AFP / Hector Retamal

カリブ最貧国ハイチが混沌の淵に沈み込んでいる。 エリート層の汚職が原因だ。 街頭ではデモ隊が、この国には一度も足を踏み入れたことのない人物に大声で助けを求めている。 その人物とはウラジミール・プーチンだ。

「打倒アメリカ!プーチン万歳!」と約200人のデモ隊が金曜日、首都のポルトープランスで気勢を上げた。 プーチンの顔写真を掲げる人もいた。

デモ隊はアメリカの国旗に火をつけ、アメリカ政府が国民から不人気なジョブネル・モイーズ大統領政府と繋がりがあることを非難した。 2016年の選挙で大統領に選出されたモイーズを人々はアメリカの操り人形と呼んでいる。 彼が政権を維持できているのは、ひとえにアメリカが国際的な圧力をかけることを渋っているからだ。 


ハイチの抗議参加者ブロンソンが、アメリカ国旗を燃やす。2月15日© AFP / Hector Retamal

「このデモが象徴しているのはアメリカ人との完全な決別です。 我々はアメリカの占領で嫌というほど苦しんできました。 もう限界です」とブロンソンを名乗るデモ参加者がAFP記者に語った。 彼がアメリカ国旗に火をつけた。
Also on rt.com US piles pressure on Venezuela… but remains mute on Haiti anti-govt unrest

ハイチはアメリカ政府のがんじがらめの影響下にある。 外部の世界に少しでも関心を持ってもらえるならば、とブロンソンはハイチからは遠く離れた強国に、自国から必死の呼びかけを行った。

「ロシア、ベネズエラ、そして中国に、ハイチが現在置かれた悲惨な状況を是非とも見てほしいのです」とはブロンソンの心からの声だ。

略奪と死者を出した衝突

この小規模なデモを常軌を逸したふざけたパフォーマンスと扱いたい気持ちにもなるが、この抗議行動は、笑い事ではすまされない急速な危機の拡大に国際的な関心を引きつける役目を果たした。


警官が群衆に発砲する、ポルトープランス© AFP / Hector Retamal

2月7日以来、高層ビルはないが、人口の密集した首都ポルトープランスはほぼ常態化した散発的なデモで揺れている。 ポルトープランスは2010年の壊滅的な地震からまだ十分には復興していない。 デモ隊の要求は政府退陣だ。   

バリケードが主要道路を封鎖している。 私的ビジネスも学校などの公的機関も、その活動は断続的だ。 食料、飲料水、そして燃料の供給が減少しているので、略奪が当たり前になっている。


デモ隊はロシア国旗を掲げ、プーチン支持のスローガンを唱える© AFP / Hector Retamal

警察は催涙ガスや銃弾を繰り返し使用し、デモ隊を追い散らしている。 デモ隊の標的の一つは大統領府であり、外国大使館だ。 少なくとも6人が衝突で死亡している。 西側の主要な国は自国民にハイチ出国の指示を出した。 また100人を超えるカナダ人旅行者は緊急避難の対象となった。 

盗まれた義援金

危機に火がついたのは長年に亘る横領が発覚したからだ。 ベネズエラが行った石油価格減額プログラムから得られた20億ドルが横領された。 そのプログラムは、死者十万人を超えた地震の後遺症に苦しむハイチのためにものだった。 かくして、その犯人を大きな権限を持った人物から探す段取りなのだが、ハイチだけは周辺国の中にあっても、より危機的な街頭情勢があることもあり、ハイチ高官を監視することはほとんどできていない。

いずれにしても、20億ドルなど国際的な基準からすれば些細なものだ。 アメリカは防衛費として20億ドルを毎日使っている。 だが、人口110万人のほぼ3分の2が一日2.5ドル以下で暮らしている国では些細とは言えない。


去年の9月、就任式で共に笑うモイーズ(左端)とセアン© Reuters / Andres Martinez Casares

沈黙することでかえって周囲の注目を集めた一週間が経過すると、Moise と首相のジャン=ヘンリー・セアンは大衆に語りかけた。 この週末に放映された演説でセアンは、長期間問題となっている貧富格差、統治力の低さ、そして汚職は悪い、と言いながら、デモ参加者には暴力を控えるよう強く説得し、特にアメリカ国旗を燃やしたことを非難した。

Also on rt.com Haiti govt summons US official to explain Trump’s ‘s***hole’ remark – report


しかし、その演説で、アメリカ政府から言葉だけではない実際の後ろ盾が、追い詰められたハイチ政府に与えられるかどうかがはっきりしたわけではない。 ウソか本当か、トランプがハイチを「クソ国家」のリストに載せたというのは有名な話だからだ。 アメリカは2010年に有益な支援と難民避難所を提供した。 しかし、貴重な資源をほとんど持たず、明らかに戦略的に意味のない国に融資する気はほとんどない。 他方ハイチの経済は全面的にアメリカへの輸出に依存したままである。 その割合は全体の90%。 そしてアメリカからの送金がGDPで大きな割合を占めている。


ガソリンに行列を作るハイチ人、 土曜日ポルトープランスで© AFP / Ivan Alvarado

それで、地理的には離れているロシア政府と中国政府に満腔のSOSを送っているわけだが、ハイチの運命が上向くか、下降するかは、アメリカの行く末と切り離すことはできないだろう。

「もう誰も戦争を支持しない!」
アメリカ人が、米主導のベネズエラ介入に反対デモ

‘Zero support for another war’: Americans march to prevent US-led intervention in Venezuela

RT World News 2019年2月24日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月1日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/452287-americans-support-venezuela-march/

‘Zero support for another war’: Americans march to prevent US-led intervention in Venezuela
© Flickr / Joe Catron

ニコラス・マドゥロ政権は自国民のためにいろいろな無料施策を実施している。アメリカ政府の人道支援など足元にも及ばないほどの規模だ、と反戦活動家サラ・フラウンダースはRTに、アメリカ主導のベネズエラ介入を糾弾した。

アメリカ主導の介入に反対する活動家たちは土曜日、150ものデモを世界中で組織して、「庶民は、外国への介入に反対している」との意思表明をした。集会は全米各地で開催されている、とフラウンダースは語った。彼女は、ニューヨーク市で開かれた「ベネズエラ戦争反対」集会に参加してきたところだった。

「今日のベネズエラでは、600万以上の家族に、最低これさえあれば生きてゆける物資の詰まったバスケットが毎週供給されています。アメリカの食料配給プログラムとは遙かに規模が違うのです」とフラウンダースは語った。

「また戦争をすることに賛成するか、いや、どんな戦争にだって賛成する労働者は一人だっていません。 アメリカの軍国主義が最大の原因となって、ここアメリカでは貧困や、貧富の格差や、権利剥奪が起きているのです」と、著名な作家であり、反戦活動家でもあるフラウンダースは説明した。 そしてアメリカが介入するならば、ラテンアメリカは全域が「炎の嵐に包まれてしまう」と警告した。


© Reuters / Eduardo Munoz


アメリカ人は、他国への内政干渉はどんなことがあっても駄目だと反対しているのに、アメリカのメディアは、マドゥロ政権が今にも崩壊するかのように「言語道断で、思い上がった仮定」の下で報道活動を展開している。大半のベネズエラ人は、現政府の社会主義的政策を支持している、とフラウンダースは語った。 


「ベネズエラ国民とマドゥロ大統領は、どんなことがあっても絶対抵抗するという決意を示している。その決意があるから、政府が何を言おうが、人々は自分たちの判断で行動する」とフラウンダースは語った。

イギリスのロック・ミュージシャンでピンクフロイドの共同創立者であるロジャー・ウォーターズは、ツイッターでベネズエラ支持のビデオを配信した。 短い映像の中で、長年アメリカの干渉主義外交政策を批判してきたロジャー・ウォーターズは「We Shall Overcome」の歌の一部を演奏した。 彼はこの配信より前にも、西側が支援するベネズエラのための「人道的コンサート」を批判していた。


集会は、同時に、オタワ、ベルリン、ローマ、シドニーそしてその他の場所で開かれた。しかしそれらの各国政府は、アメリカが背後で操るベネズエラ国内の反対勢力に、あからさまな支持を表明しているのだ。抗議行動はインドや韓国を含むアジア諸国でも展開された。 

マドゥロ大統領は街頭に出てアメリカの介入に反対しているアメリカ人に感謝の言葉を述べた。 そして、自ら車を運転して撮影した映像で、カラカス市中は「平穏」、「静寂」であることを配信した。

Otpol(オトポール)の台本どおり、
ベネズエラ反政府勢力が「兵士にバラを!」作戦

‘Straight out of the Otpor playbook’: Venezuelan opposition gears up to fight soldiers with roses

RT World News(2019年2月24日)

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月1日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/452262-venezuela-protest-roses-propaganda/

‘Straight out of the Otpor playbook’: Venezuelan opposition gears up to fight soldiers with roses
ベネズエラ反政府派向けの、花を摘んだトラックが到着する© Twitter / Dan Cohen

ベネズエラの反政府勢力はテレビ放映用の準備を進めているようだ。何箱もの花をトレーラーに積んでデモ隊へ搬送した。おそらくはコロンビア国境を警護するベネズエラ兵士たちを懐柔する意図があるのだろう。 

ベネズエラとコロンビアの国境付近では、今、外国の支援物資の搬入をめぐる騒ぎがエスカレートしている。反対派のリーダーであるフアン・グアイドはアメリカの支援物資をコロンビア側からベネズエラに運び込むと約束した。 一方、ニコラス・マドゥロ大統領は国境を閉鎖し、前線に軍隊を配備した。マドゥロは、アメリカの支援物資は「屑」であり、軍事侵略の前触れだと彼は言った。

散発的な衝突が、デモ隊とベネズエラ軍との間で土曜日の早朝、何回か起こった。その後、コロンビア側にいる反対派デモ隊は、戦術を「愛の爆弾」作戦に変えようとしているようだ。 

ジャーナリストのダン・コーエンのレポートでは、トレーラーに積まれたバラが、コロンビア側の国境に向かっている、とのことだ。橋を渡ってベネズエラへ行こうとするデモ隊に、このバラは渡されるのだろう。 

「ジーン・シャープのオトポール作戦{訳注}そのままだ」と指摘したのは独立系ジャーナリストのマックス・ブルーメンソールだ。ブルーメンソールの記事によると、シャープの著作にはメディア受けがいい、非暴力革命に関するものがいくつかあり、「オトポール(抵抗)!」がアメリカの資金援助を受けた反政府抵抗運動であって、21世紀への変わり目のころ、オトポールはセルビアで活動していたことなどに言及している。

人々の視線にどう映るかは重要だ。そして、クーデターは醜いものだ。だから、「バラを兵士に!」のような一般受けする写真を作り上げることを、グアイドやワシントンで彼を支援する者達が必要としているのだ。

1967年、ベトナム反戦運動で撮られた「兵士に花を」の伝説的な写真© Wikipedia


(訳注:Otpolオトポール)「櫻井ジャーナル」(2019年2月23日)に、オトポールについてしっかりした位置づけがなされていたので、引用します。
(「ベネズエラ国民の多数派に支持されていない人物を使って米国は侵略を試みている」)

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 しかし、現在のベネズエラ軍がアメリカ支配層の思い通りに動く気配は見られない。そこで東ヨーロッパで使われた「カラー革命」の手法を採用したようだ。

 アメリカ支配層が大統領を名乗らせているグアイドは2007年にアメリカのジョージ・ワシントン大学へ留学、新自由主義を信奉している人物。政権を奪取した暁には私有化を推進、国営石油会社のPDVSAをエクソンモービルやシェブロンへ叩き売るつもりだと言われている。

 本ブログでも書いたことだが、グアイドがアメリカへ留学する2年前、アメリカ支配層は配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んだ。

 セルビアにはCIAから資金が流れ込んでいるCANVASと呼ばれる組織が存在しているが、そこでベネズエラの学生は訓練を受けている。

 CANVASを生み出したオトポール(抵抗)!はスロボダン・ミロシェビッチの体制を倒すため、アメリカ支配層などによって1998年に作られた組織。運動の目的はごく少数の富豪による富の独占だ。

 こうした組織は民主化、人権、人道といった耳触りの良い用語を使うが、実態は逆。一種のイメージ戦略だが、この戦略を始めたのはロナルド・レーガン政権の時代だった。1983年1月にレーガン大統領が署名したNSDD 77が始まりだと考えられている。

 その前、1982年6月にレーガン大統領はイギリス下院の本会議でプロジェクト・デモクラシーという用語を使ったが、これはイメージ戦略の名称でもある。「民主主義」という旗を掲げながらアメリカの巨大資本にとって都合の悪い国家、体制を崩壊させようというのだ。いわゆるレジーム・チェンジ。国内での作戦はプロジェクト・トゥルースと名づけられた。その延長線上にカラー革命はある。

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「ベネズエラ人道支援ライブ」はペテンだ!
ロジャー・ウォーターズは非難する

‘Nothing to do with aid or democracy’: Roger Waters slams ‘humanitarian’ concert for Venezuela


RT World News 2019年2月20日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年2月25日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/451877-roger-waters-branson-aid-concert-venezuela/


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‘Nothing to do with aid or democracy’: Roger Waters slams ‘humanitarian’ concert for Venezuela
© Global Look / Franklin Jacome

「ピンクフロイド」の元リーダーロジャー・ウォーターズは、ヴァージングループの大御所リチャード・ブランソンが計画しているベネズエラ支援コンサートを、ペテンとして激しく非難している。 同時に、このコンサートに集うファンや演奏家たちが「いつの間にか、結果的にベネズエラ現体制転覆の道に迷い込まされる」と警告している。 

ブランソンの「ベネズエラ支援ライブ」コンサートは「ベネズエラ国民の要求とは何の関係もない、民主主義とは何の関係もない、自由とは何の関係もない、支援とは何の関係もない」とウォーターズは火曜日に配信されたビデオで言明した。 


音楽家でもあり政治活動家でもあるウォーターズは、西側メディアが、ベネズエラを社会主義が創り出した人道的危機の犠牲者であるかのように描き出すその語り口を激しく非難した。ニコラス・マドゥロ大統領政権下で、「内戦なんか、どこにもない。暴力も、殺人も、独裁らしき気配も、反対派の大量投獄、報道規制も」、何もない、とウォーターズは、カラカスの「現地にいる」彼の友人たちの言葉を引き合いに出しながら語った。

「ベネズエラ支援ライブ」は金曜日、コロンビアとの国境にあるククタ市で行われる。ブランソンの発表によれば、1億ドルの資金集めを目標とし、社会主義がもたらした欠乏で苦しむベネズエラ人のために食料や医薬品を購入するとのこと。しかし、アメリカの経済制裁のせいで、ベネズエラ人は苦しんでいるのだという方が正しい。

ウォーターズは、ブランソン個人についてあれこれ言うことは避けたが、「ベネズエラへの的外れな同情心をこれ見よがしにヴァージン航空のTシャツに張り付けることで」この大物企業家はアメリカのプロパガンダを受け入れたことになる、と主張している。ブランソンのスポークスマンはナショナル・ポストに語った。アメリカは何もこれに関わっていない。このコンサートは、政治的声明ではない、と。
Venezuelan military rejects Trump threats, reiterates loyalty to Maduro


アメリカが背後で操るベネズエラの体制転覆は予定していたほど順調には進んでいない。ベネズエラの軍隊が今でもマドゥロへの忠誠を誓っているからだ。 国民会議の指導者フアン・グアイドが一ヶ月前に自分を「暫定大統領」と宣言した後もそれは変わらない。月曜日、アメリカのドナルド・トランプ大統領はスピーチで、ベネズエラ軍はグアイドの指示に従わなければ、「すべてを失う」との警告を発した。 

ウォーターズは自分のスピーチの締めくくりとして、友人でもあり同じ音楽仲間でもあるピーター・ガブリエルにアメリカの策略に引っかからないよう警告した。アメリカが背後で操る体制転覆が過去どんな展開になったのか、忘れたのか!との言葉も添えて。

ベネズエラを守るために、力の結集を!

Mobilize and Defend Venezuela!

アンドレ・ベルチェック

グローバル・リサーチ 2019年1月25日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年2月25日)

<記事原文>https://www.globalresearch.ca/mobilize-defend-venezuela/5666514


新しい事態だが、手口は新しくない。その意図はどこまでも邪悪で、相手のとどめを刺さずにはおかない。アメリカが考え出し、ベネズエラに、今、適用しようとしている最新型のクーデターのことだ。


もちろん、クーデターやクーデター未遂事件の数々は「西側の十八番(おはこ)」と言ってもいいだろう。アメリカやイギリス、そして他の帝国主義諸国が世界中の数知れない不運な国々に対して使ってきた手口だ。ラテンアメリカでは、基本的にその被害を被らなかった国は皆無だ。ドミニカ共和国からチリ、そしてアルゼンチンなど。アジアではインドネシアからタイまで。中東ではイランからエジプト、シリアまでの国だ。ある国で人々が、社会主義者、共産主義者、反植民地主義者、あるいは単に自国民のために奉仕すると決意した真っ当な候補者たちに敢然と投票した時、西側は賄賂を使って当該国のエリートや軍人を手配し、選出された政府、あるいは革命政府を放逐し、残忍で自分たちの言いなりになる体制を据えるのが常だった。数千人、時には数百万人の死者が出た。それでも帝国はどこ吹く風だった。自分たちの思い通りになればいいだけの話なのだ。

西側が、自由を愛するほぼすべての国民に対してテロ活動をする方式は、そのパターンがはっきりしていた。

しかし、今回、西側がベネズエラに対してやろうとしていることは、これまでのパターンとは少し違う。そしてやり方が全く極端なのだ。マドゥロ大統領や彼の同調者たちに向けられた敵対活動は、過去にあったような「良心の呵責」とか、表面的な「改良案」を一切かなぐり捨てている。 誰が世界の真の支配者であるのか、誰が「統括」しているのか、を正気とは思えない言葉使いで示せるとでも思ったのか。 これが、「西側民主主義の最善の形」なのだ!と。

過去、アメリカはチャベスを放逐しようとした。ベネズエラ国民を飢えさせ、医療体系を崩壊させ、そしてマドゥロの暗殺も試みた。 その結果、食料の「不足」が生じ、トイレットペーパーすら無くなった。アメリカはラテンアメリカの飼い犬たちに命令を下し、ベネズエラ革命に敵対させた。

さて、最新の動きだ。アメリカ政府はベネズエラ社会主義共和国の内部にいる一人の裏切り者に白羽の矢を立てた。その人物はアメリカのお気に入りで、フアン・グアイドという名の「裏切り要員」だ。(短期間ベネズエラ国会の議長を務めていた)その彼をアメリカは「承認」し、「ベネズエラ暫定大統領」に祭り上げたのだ。

言うまでもないが、グアイドが初めて自らを、不遜にも、ベネズエラ大統領と宣言したのとほぼ時を同じくして、彼はベネズエラ最高裁に召喚され、国会議長としての資格を否定された。よって、彼のことは今後「前議長」と呼ぶことにしよう。

しかし、西側主流メディア宣伝キャンペーンはギアをトップに加速させ、一夜にして、メディアとしての節操を完全に欠いた存在に堕してしまった。その結果、この最高裁の判決についての情報を西側主流メディアから得ることはほぼ不可能状態になっている。西側メディア以外に情報源を求めるしかない。

その「非西側メディア」から。イラン・タスニム紙、2019年1月22日の報道:

    「月曜日、ベネズエラ最高裁長官マイケル・モレノは、フアン・グアイドが、
     反対派が主導する国会議長の資格を欠くとの最高裁判断を下した、
     との内容の声明を発表した。」

そしてRT(Russia Today)前日の記事:

    「反対派の開催した集会で、ニコラス・マドゥロ大統領選出には違
    法性がある、との宣言がされていた数日後、ベネズエラ最高裁は、
    国会が成立させたすべての法案は無効であるとの宣言を発し
     た。」

また、ベネズエラの外相ホルヘ・アレアサがグアイドに対して、2019年1月21日、辛辣な言葉を投げかけている:

    「この男をごらんなさい。ベネズエラで彼を知っている人は誰もいません。
      街で『フアン・グアイドは誰?』」と聞いてごらんなさい。誰も知りません。
     それなのに、アメリカに後押しされ、自分が新大統領だ、などと言おう
     としています」

実際、彼はそのことを口にした! 2019年1月23日、カラカスにおいて、彼は大勢の支持者の前で自らを「暫定大統領」と宣言したのだ。 

その翌日、トランプ大統領はベネズエラの暫定大統領として「彼を承認した」。カナダも追随した。フランスも同様だった。もっともフランスは二流国だが、帝国主義そして新植民地主義強国としては活力を増してきている。次に来るのは例のアメリカの操り人形「米州機構(OAS)」だ。ブラジル、コロンビアなど、図抜けたファシズム体制を取る国々だ。

今日、世界はきれいに二分されている。 中国、ロシア、イラン、トルコ、シリア、南アフリカ、ボリビア、キューバ、メキシコ、ウルグアイ、そして他の多くの国々がしっかりとマドゥロ大統領の合法的な革命政府の側についているからだ。

対決は不可避である。

ベネズエラは、すべてのアメリカ外交官国外退去を命じ、アメリカ政府とのすべての外交関係を断絶した。アメリカは外交官国外退去命令には従わず、現ベネズエラ政府は「違法」な存在である、と宣言した。

これは宣戦布告にも匹敵する流れだ。 アメリカはベネズエラが独立国であることを認めようとしない。アメリカはベネズエラ国民に誰が真の大統領であるかを告げる権利を保持している!アメリカが認めるのは、西半球と地球全体に対して自国が持つ究極の支配権だけ。国際法は憎悪の対象でしかない。 

やることは子供じみており、傲慢で、凶暴であり、現実離れしている しかし、それが現実に起こっていることだ。もしその動きを、他でもない、ここベネズエラで止めなければ、この新しい型の「クーデター拡大作戦」と地球独裁の強制は世界の他のすべての地域に広がるかもしれない。



「新しい要素」はたくさんあるが、現在のベネズエラ情勢は、相当程度、「シリア侵略シナリオ」と似通っている。タス通信、2019年1月24日の記事。執筆者はベネズエラの駐ロシア大使カルロス・ラファエル・ファリア・トルトサ: 

「ベネズエラ当局は、アメリカがシリア版『亡命政府』をベネズエラで画策しようとしていることは承知している。アメリカのマイケル・ペンス副大統領がベネズエラの現政府打倒を呼びかけたが、その後、マドゥロ大統領はアメリカとの外交関係断絶を決定し、アメリカ外交官が72時間以内に国外退去するよう求めた。これは言語道断の干渉に対してわが国大統領が勇気を持って示した適切な対応だ。他国が自国の国内問題に意見を述べることを許す国はどこにもない。(政府の)放逐を呼びかけるなど論外だ。」

「この後の手順も分かっている。アメリカは、(自分たちの動きで)ベネズエラに二つの政府があることを正当化するだろう。 それはベネズエラの兄弟国であるシリアのバシャル・アサド大統領とその人民に対して行なったことだ。 アメリカは亡命政府をでっち上げ、その結果多大な損害と様々な人的被害を引き起こし、同国のインフラは壊滅状態となった。」

ベネズエラ政府は、自国生存のための戦いをしながら、ロシア政府に直接救援を求めるだろうか? シリアは何年も前にそうした。 まだ、確かなことはわからない。 だが、その可能性は確実に存在する。 ベネズエラはロシア、イラン、中国、キューバ、そして他の社会主義ないしは自立した国々から支援を増やしてもらうことが頼りなのだ。

ベネズエラが生き残るには、西側への依存をすべて断ち切るしかない。それもすぐに。アメリカ政府はベネズエラ政府に更なる経済制裁や、まさかと思うが石油禁輸の脅しもかけている。

パニックになる理由は一切ない。マドゥロ政権は早急に、そして万全な国の再編しなければならない。NATO圏外には、喜んでベネズエラの石油を購入、そして/あるいは、ベネズエラのインフラや産業に公正な投資をしようとする国がたくさんある。ロシア、イラン、中国、トルコが最重要国だが、他にもたくさんの国がある。  

ベネズエラ庶民の苦痛を緩和する新しい戦略が必要だ。この戦略も、同様に、「西側支配圏外」から考え出さなければならない。ラテンアメリカ以外であることは言わずもがなである。 ラテンアメリカは野蛮なヨーロッパ人の子孫であるエリート層で知られ、彼らは一貫して連帯する気持ちや勇気に欠け、西側の支配を受け入れるばかりだ。(今日における南アメリカ最大の英雄であるユーゴ・チャベスは統一した、誇りある、社会主義者のラテンアメリカを建設しようとして死んだ。その結果、多くの卑屈なラテンアメリカの国々は、陰で彼を中傷し、唾を吐きかけるほどの敵意を持っていた。キューバはソ連崩壊後どの国からも見捨てられた。結局、中国によって救済されることになった。 

ベネズエラには力の結集が必要だ。ベネズエラは戦わなければならない。国の生存のために。すべての同盟国が団結し、ベネズエラを守る準備せよ。シリアと同様に。

ベネズエラが苦しみ、格闘しているのは人類のためであって、自国のためだけではない。彼らが唱えるのはチャベスの名前と社会主義だ。

2019年1月24日のスプートニク紙は報道した。ロシアは同盟国ベネズエラの味方である。ロシアはアメリカがベネズエラ問題に軍事介入することに警告を発している。そんなことをすれば、大惨事になるだろう、と。
ロシアの外務副大臣セルゲイ・リャブコフは木曜日に語った。

    「ベネズエラ情勢の推移を見て気づくのは、アメリカを含むグループ
    国が米州機構(OAS)などに舞台を移し、我々の同盟国である
    ベネズエラに対して一段と圧力を強めようとする気配である。それも、
    また新たな口実を取り繕って・・・だが、我々は友人国であるベネ
     ズエラを常に支援してきたし、今後もそうするだろう。ベネズエラは
     ロシアの戦略的パートナーなのだ。」

今ベネズエラで起きているような攪乱作戦で国土を荒廃させられたシリアの公的通信社SANAが、ベネズエラの合法政府支持のメッセージを配信した。

    「シリア・アラブ共和国は、アメリカが極端に走り、ベネズエラ・ボリバル
      共和国の諸問題に露骨な干渉をしていることを強く非難する。 それ
     はすべての国際的規範や国際法に対する目に余る違反であり、 ベネ
     ズエラの主権への恥知らずな攻撃である」とシリア外務省消息筋は木曜
     日に語った。

消息筋はさらに、アメリカが世界各地で採用している破壊的政策と国際的な合法性の無視が世界で起きている様々な緊張事態や不安定状態の背後にある主な理由となっている、と述べた。

シリア・アラブ共和国はアメリカの露骨な干渉を断固拒否することを確認し、ベネズエラ国指導層、そしてその人民との全面的な連携体制を新たにしてベネズエラの主権を守り、アメリカ政府の敵対的な企みを挫くこととする・・・」

過去、各国は西側の放つテロ行為を何かどうしようもないものと考えてきた。しかし、今では事情が変化している。ロシア、キューバとシリア、イランと中国、そして今度はベネズエラが屈服することを拒否している。「テロリスト達との交渉」はない、とすら言っている。

「中東のスターリングラード」と私が記述したことのあるシリア北部の町アレッポは、毅然と振る舞い、戦い、抵抗し、邪悪な敵どもを敗退させた。さて、「ラテンアメリカのレーニングラード」とも言うべきカラカスは現在包囲網の中にあり、飢餓状態にある。しかし、外国の侵略と反逆者集団と戦う決意を固めている。

世界中の人民は力を結集して戦う必要がある。何としても! ファシズム打倒!ベネズエラを守ろう!

*
アンドレ・ベルチェックは、哲学者、小説家、映画制作者、調査ジャーナリスト。彼は多くの国の戦争や紛争を報道してきた。最近の著作は『革命的楽観主義、西欧のニヒリズム』、革命小説『オーロラ』、ベストセラーとなった政治的ノンフィクション『帝国の嘘を暴く』である。彼のその他の本は、『ルワンダの謀略を見よ』はルワンダとCRCongoについての革新的ドキュメンタリーである。そしてチョムスキーとの対話フィルム『欧米テロリズムについて』もある。ベルチェックは、現在東アジア、中東を基盤に、世界中で活動している。彼のウェブサイト、ツイッターにも接続できる。

道徳的恥辱: 欧州議会が世界に法の支配を説く、
そしてベネズエラの合法性を破壊する

‘Moral disgrace’: EU Parliament lectures world on rule of law, then destroys legality in Venezuela

RT Op-ed 2019年2月1日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年2月12日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/op-ed/450348-eu-parliament-venezuela-legal/


ジョン・ラフランドは、オクスフォード大学から哲学博士号授与され、パリやローマの大学で教えている。彼は歴史家であり、国際問題の専門家

Juan Guaido © Reuters / Rayner Pena

ジョン・ラフランドが暴く欧州議会の嘘! フアン・グアイドの「ベネズエラ暫定大統領」宣言は憲法違反!

フランスからの衝撃的ニュース! マリン・ル・ペン氏がフランスの新大統領に! マクロン体制がフランスの政治状況を危機的状態に落ち込ませた後、ル・ペン氏が、金曜日、コンコルド宮殿で、正式なフランス大統領に就任した。 この就任式には少数の「黄色いベスト」の群衆が特別に招集され、テレビカメラの報道もあった。

ル・ペン氏は、フランス第五共和政の憲法第7条を根拠に、エマヌエル・マクロンがもはや大統領職にはないことを宣言した。 もちろん、政府と民間の業務、警察や軍隊はすべて平常通り機能しており、マクロン氏のエリゼ宮殿での執務もいつも通り。 ル・ペン氏は資金面でも疑惑があり、調査の対象となっている。 しかし、彼女はロシアと中国から公式の承認を得ているので、フランスの合法的な大統領に就任した。 

もちろん、こんな架空の話は馬鹿げている。 しかし、同じように馬鹿げているのは、1月31日欧州議会が投票でフアン・グアイドをベネズエラの大統領として承認したことであり、それはドナルド・トランプ米大統領が彼を大統領として承認した1週間後のことだった。 


EU parliament urges member states to recognize Guaido as Venezuela’s interim president

実際、欧州議会がグアイドを大統領として承認する賛成投票をすることは、マリン・ル・ペンをフランス大統領として承認すること以上に常軌を逸している。 マリン・ル・ペンと違って、フアン・グアイドはベネズエラ大統領選で候補者になったこともない。 大統領に選出されるどころか、数週間前まで誰一人彼のことを耳にした人はいなかった。 ベネズエラ国内ですらそうだったのだ。  

欧州議会の決議は、トランプ大統領の1月23日のグアイド「承認」より、実際、劣悪なものだ。 欧州議会の4つのグループが、まずはそれぞれ別個に動き、後で共同決議に同意する段取りだった。 法律用語で書かれた文案の策定に取りかかり、それには、フアン・グアイドは「ベネズエラ憲法第233条により」合法的な大統領である、と述べられている。 

欧州議会のこのグアイド承認の動き、そして共同決議が100人あまり以外の欧州議会議員によって投票されたこと、この二つのことは集団思考の持つ力の驚くべき事例だ。 いや、誠実さの完全な欠如と言うべきか。 ベネズエラ憲法第233条を読んだことがあれば、その条項にそんなことが書いてあるなどと結論することは誰一人できないはずだ。 

真逆なのだ。 第233条に依れば、フアン・グアイドが、1月23日カラカスの公衆広場で自分を大統領と宣言する猿芝居を演じたことは、憲法違反であることははっきりしている。

ベネズエラ憲法第233条のような条項はだいたいどの国の憲法にもある。 この条項は大統領が自分の責務を果たしていない、果たすことができない場合のことを扱っている。

次の6つの場合において、大統領は任期途中で職を解かれることがある。
① 大統領が死亡した場合
② 大統領が辞職した場合
③ 最高裁の判決で大統領が職を解かれる場合
④ 大統領が身体的あるいは精神的に大統領職を遂行できない場合。 ただし、国民議会と最高裁が有効と認める正式な医学的措置が事前に必要。
⑤ 大統領が自ら職務を放棄した場合
⑥ 大統領が国民投票によって弾劾された場合

Venezuelan opposition leader Juan Guaido (L) and President Nicolas Maduro (R) © (L/R) REUTERS / Carlos Garcia Rawlins We must avoid mistake of Libya: Italian deputy FM speaks out against Venezuela regime change

どれ一つとして合致するものはない。 マドゥロ大統領は辞職もしていなければ、死んでもいないし、職務遂行に不具合があると判断されたわけでもない。 裁判所あるいは国民によって弾劾されてもいない。 もっとある。 第233条はさらに続き、大統領職が空位になった時その権限を誰が引き継ぐのかが書かれている。 誰が権限を引き継ぐのか? 第233条の規定ではそれは副大統領ということになっている。 今回にあてはめれば、 デルシー・ロドリゲス女史ということになる。 国民議会議長(グアイド)ではない。

国民議会議長が権限を引き継ぐ唯一のケースは大統領が就任していない場合だけだ。 マドゥロは2013年以来ずっと大統領職にある。 だから、そうでないと言うことは土台無理がある。 2期目の就任も1月10日、最高裁判事立ち会いの下、行われている。

欧州議会の中のマドゥロ反対派、例えば、スペイン国民党保守派から派遣された議員団代表のエステバン・ゴンザレス・ポンズなどは、1月10日に行われた大統領就任式は無効だった、と主張している。 その根拠として挙げているのが、1月24日に欧州議会議長に送付された公開書簡だ。 その中でポンズ氏はベネズエラ憲法第231条を引用している:「選出された候補者は、国民議会で宣誓することによって、憲法が定める任期の最初の年の1月10日に大統領の職務権限を付与される。」

ポンズ氏の言葉をそのまま受け止めれば、マドゥロの大統領就任はほんとうに無効だったと信じてしまうかもしれない。 しかし、ポンズ氏のウソを示すことは簡単だ。彼は同じ第231条には次の文が続くのだが、それを引用していない。 それはこうだ。「何らか前後の理由があり、大統領に選出された者が国民議会で宣誓できない場合は最高裁判所で就任の宣誓をするものとする。」

だから、欧州議会のスペイン議員団が憲法違反だと主張するマドゥロ大統領就任の形式は、実際は、ベネズエラ憲法で明確に規定されたものなのである。

US Secretary of State Mike Pompeo (R) shakes hands with Britain's Foreign Secretary Jeremy Hunt before their meeting at the State Department in Washington. REUTERS / Yuri Gripas Deadline for Venezuela, extension for Brexit: Jeremy Hunt’s odd concept of democracy

本人も知らない訳はないのだが、マドゥロが国民議会で宣誓できなかったのには十分すぎる「前後の理由」があり、ポンズ氏はそのことも含め読み手に隠そうとした。 つまり、2017年には国民議会の選挙不正があり、議会は解散になった。 最高裁が無効と宣言した選挙で選出された議員が国民議会のメンバーとなっていたからだ。 蛇足ながら、こと選挙に関して議論が起これば、最高裁が憲法の守り手ということになる。

他の場合はすべて、例えばポーランドやハンガリーなどのように、欧州議会のメンバーは、その判断に完全な自立性を求められるべきで、もし憲法違反と見なせば、会議の決定であってもそれを覆す権利を要求することが通常である。

対照的に、ベネズエラについて、欧州議会議員は全く反対の議論を展開する。つまり、欧州議会は、その決議において、(解散した)国民議会がベネズエラにおける唯一の合法的機関だと宣告したのだ。 つまりそれは最高裁判所に合法性は全くないと宣告したことになる。

はっきりしているのは、ベネズエラに深刻な政治危機があり、それは普通選挙によって選出された大統領と、彼に反対する議会内政治支配階級との間で展開しているということだ。 ベネズエラにとっては国外に位置する強国がそのような問題に干渉することは、政治的に愚かしいことであり、 ちなみに、国際法上は完全に違法だ。 そればかりではない。 欧州議会のような機関が法の支配を尊重する必要性を世界にレクチャーしながら、法的言語を使って他国のケースの合法性云々についてウソ八百を並べ立て、法遵守の基本を破壊することになれば、モラルから言っても恥知らずな行為だ。



緊迫するベネズエラ情勢―――アメリカはどう動くか?

Make Latin America Great Again? On the REAL chances of a US invasion of Venezuela

ミハイル・コーダ・レノックはRTの軍事コメンテーター。彼は退役大佐で、ロシア軍作戦参謀本部長でもあった。

RT Op-ed 2019年2月3日

(翻訳: 寺島メソッド翻訳グループ 2019年2月 10日)

<記事原文>(寺島先生推薦)https://www.rt.com/op-ed/450511-usa-venezuela-invasion-khodarenok/


© Reuters / Carlos Barria

ベネズエラの危機に関して、アメリカのトランプ大統領は、「軍事的選択」も可能性の中にあると語った。 だが、アメリカは本当に攻撃の準備を進めているのであろうか?

確かに、これくらいの規模の軍事侵略作戦を計画し、実行することはアメリカ軍にとって困難なことではない。 別にホンデュラスのソト・カノ空軍基地、キューバのグアンタナモ湾海軍基地、そしてサン・ホワン(プエルトリコ)のフォート・ブキャナン基地を使うまでもないかもしれない。

フロリダからベネズエラの首都カラカスまでたった2、000kmの距離しかないのだ。 こんな距離は現在のアメリカ軍にとって何の問題にもならない。 カリブ海に点在する上記の基地のどこかに一時着陸の必要性があったとしても。

アメリカ軍は、陸軍、海兵隊、海軍、空軍、そして沿岸警備隊から成る。 選択はどれでもかまわない。 何なら、いくつかの選択を組み合わせてもいい。 装備も、必要な機具、そして十分訓練された、経験豊富な兵士が揃っているのだから、作戦に何の支障もないだろう。 
米海軍輸送司令部は、必要な資財と兵站を目的地に輸送する十分すぎる能力を備えている。

だから、机上の話としても、きわめて現実的な話としても、アメリカ軍は一日もかけずにこの作戦を計画し、さらに数日もあれば、兵力を現地で待機、あるいは臨戦態勢に置くことは可能だろう。 結局、アメリカはベネズエラ軍を一週間以内に壊滅させることができると思う。

兵士一人ひとりの勇敢さはこの場合役に立たない。 ベネズエラの兵士たちが自分の祖国にどんな熱い思いを持っていても、だ。戦争の基本的な法則は間違いなく貫徹し、兵力を上回った方が勝利を収めるだけだ。 

言い換えれば、ベネズエラ軍がアメリカの侵略にほんとうに抵抗できる可能性はきわめて小さい。 それに、アメリカ政府はそういった侵略作戦をカリブ海域で何回か経験していることもある。
 

Reagan meeting with Congress on the invasion of Grenada in the Cabinet Room, 25 October 1983 © Wikipedia
レーガン、グレナダ侵攻で議会と会合、1983年10月25日、閣議室にて。

例を挙げよう。 1983年のグレナダ侵略だ。 コードネームは「押さえ切れない憤怒作戦」。 まず、東カリブ海諸国機構の声明があった。 グレナダで血のクーデターがあり、革命的指導者だったモーリス・ビショップが処刑されたことに対して出されたものだ。 レーガン政権は、すかさず軍事介入に乗り出した。 グレナダに在住するアメリカ人の安全確保のための軍事介入だと、その動機の一部を説明した。 侵略軍の構成は、①アメリカレインジャー部隊、②第82空挺師団パラシュート部隊、③アメリカ海兵隊、④陸軍デルタ・フォース、⑤アメリカ海軍特殊部隊、だった。 この作戦はアメリカが、ものの四日で勝利を収めた。

1989年にはパナマ侵略もあった。 この時も、グレナダ侵略の場合と同じように、アメリカは35、000人の在住アメリカ市民安全確保を理由に行動した。 さらに、「民主主義の回復」させることも理由に加えた。 1965年のドミニカ内戦への介入を挙げてもいい。 これは最初はアメリカ市民の救助活動として始まったが、次にそれは大規模な「パワー・パック作戦」に転じ、フランシスコ・カーマニョ政府放逐を目指した。 明らかにアメリカはラテンアメリカの国々の「民主主義回復」の豊富な経験を有している。

<アメリカは同じことは繰り返さない>
今回、アメリカがベネズエラで、直接的軍事介入に乗り出さないことは、ほぼ確実だ。 ベネズエラの上空が、ある日、第82空挺部隊のパラシュートや、第101空挺部隊のヘリコプターの白い斑点で覆われることはないだろうし、ベネズエラの砂浜が、アメリカ海外遠征軍兵士の軍靴で踏み潰されることも恐らくないだろう。 繰り返しになるが、軍事行動のきっかけとしてグレナダ侵略のような古典的シナリオが採用されることはまずあり得ない。

何よりも、そんなことをすればアメリカにとって最も望ましくない結果になる可能性がでてくる。 ベネズエラの民衆が結束して外国の介入に正面から対決することもあり得るからだ。

、その影響が世界に広がることはアメリカがどうしても避けたいことだ。 

さらに、ベネズエラ国土の複雑な地形だ。 軍事行動には実際向かない。 ジャングルを占領することは不可能だ。 アメリカ人はベトナム戦争でそのことは熟知している。 アメリカは絶対にあらゆる権謀術数をベネズエラに仕掛けることはあっても、爆撃や空対地ミサイル攻撃をすることは、まずない。

US Marine Corps LAV-25 in Panama © Wikipedia

しかし、ユーゴスラビアで重要なインフラを破壊するために、ミサイル攻撃をしたような作戦を、ベネズエラで繰り返す可能性はある。 

どう考えてもあり得るのは、アメリカがマドゥロ大統領を追い落とすために、種々の情報作戦を含んだ最新テクノロジーを駆使することだ。 その目的達成のために、アメリカはサイバー司令部と心理作戦グループの力を使える。 

これに関して、アメリカが二つの主要目的を目指して動く、と仮定することはあながち的外れでもない。 まず、マドゥロ体制の行政的、軍事的指揮系統を完全に寸断し、現政権の信頼性に致命的な損傷を与える。 同時に、反マドゥロ勢力に、情報、組織増強、そして資金などを含んだ必要な支援を行う。 この二つのことをアメリカは行おうとするだろう。

アメリカがベネズエラで真っ先にやろうとするのは、軍隊の高官たちを反対勢力の側に就かせ、その脅威を中和化することだ。 これは、もちろん、イラクでの経験が役に立つだろう。 その経験の一部をアメリカは現在の情勢に適用することになるだろう。

ベネズエラの将軍や将官たちは、恐らくすでにアメリカからの接触を受け、マドゥロを見捨てることと引き換えに、誘惑に富んだ申し出を呈示されているはずだ。

今後非常事態が起こった場合、アメリカは、レインジャー部隊、グリーン ベレー、海軍特殊部隊、特殊戦航空団などの特別部隊をベネズエラに派遣することは疑いない。それらは多くの任務を遂行するために使われ、協力しないベネズエラ・ボリバル共和国の指導者を抹殺する。


© Reuters / Miraflores Palace / Handout

アメリカが、ニコラス・マドゥロ大統領と対峙する怪しげなラテンアメリカ諸国と連携する可能性がある。 さしあたっての候補はコロンビアとブラジルだ。 この二国は共同して国境検問所を押さえることができるし、人道的支援船が近づけないよう、ベネズエラの一部を海上封鎖することができる。 

結局のところ、アメリカ軍がこれからやろうとすることは、言うことを聞かないマドゥロ大統領の基盤を弱体化させるために大規模なミサイル攻撃や爆撃をただやればいい、というのとは大分様相を異にしている。

ベネズエラにおけるアメリカの体制転覆:証拠文書

US Regime Change in Venezuela: The Documented Evidence

トニー・カタルッチ

グローバル・リサーチ 2019年1月25日

(翻訳:新見 明 2019年2月7日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/us-regime-change-venezuela-documented-evidence/5666500

ラテンアメリカ国家ベネズエラは、アメリカとその同盟国によって危険な不安定化工作に直面している。彼らは反対派ホアン・グアイドを「大統領」と認め、現在のベネズエラ大統領ニコラス・マドゥーロをもはや認めないと宣言した。


それに対してマドゥーロ大統領は、アメリカ外交要員に国外退去するよう求めた。

抗議側と反抗議側双方が街頭行動を行い、心理的政治的主導権を握ろうとしていると報じられた。

なぜベネズエラなのか

アメリカ国務長官マイク・ポンペオによれば、ワシントンが突然ベネズエラに関心を抱くのは、ベネズエラ人民の苦しみのためであるという。

「ポンペオはベネズエラのマドゥーロに退陣を迫り、軍隊の支援を促す」というロイターの記事で次のように主張している。

   声明でポンペオは「ワシントンは、野党指導者ホアン・グアイドを支援する。彼は
   臨時政府を樹立し、選挙を準備している」と述べた。

   「ベネズエラの人々は、ニコラス・マドゥーロの悲惨な独裁政治の下で長く苦し
   んできた。」我々はマドゥーロに退陣を求め、ベネズエラ人民の意思を反映
   する正当な指導者をもとめる」とポンペオは述べた。

実のところ、ワシントンの介入の動機は、石油輸出国機構(OPEC)によれば、ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量が証明されており、サウジアラビアよりも多く、全OPEC生産のほぼ4分の1になるからだ。

アメリカは必ずしもエネルギー分野でこの石油を必要としていない。しかしアメリカ主導の一極支配体制を維持するために、大量の炭化水素がある国を支配するか、無力化することが、発展途上国が求める世界の多極化を阻止することになる。つまり再登場した世界的勢力ロシアとか、新たに登場した世界的勢力中国に導かれる多極世界を阻止することである。



ベネズエラは、巨大な石油埋蔵量から生み出される富によって安定した政治秩序を維持し、ワシントンの現在の国際秩序に対抗する多極的な世界に依拠しているので、ウォールストリートやワシントンにとっては我慢ならないのだ。そしてアメリカは莫大な時間やエネルギーやお金や資源を使って、まずユーゴ・チャベス大統領を2002年のクーデターで倒そうとし、そして今はマドゥーロ大統領を倒そうとしている。

アメリカのベネズエラへの介入

欧米メディアでさえ、アメリカがベネズエラの反対派に資金援助することによって内政に長く介入してきたことを認めている。



イギリスのインディペンダント紙の最近の記事「ベネズエラ将軍はマデゥーロへの忠誠を誓い、アメリカに介入しないように警告する」でも認めている。(強調あり)

   アメリカは、ラテンアメリカやベネズエラで民主的に選ばれた政府に介入し、
   マドゥーロ氏やチャベス氏の選ばれた政府を弱体化しようとしてきた長い
   歴史がある。

   その試みのいくつかは、NED(米国民主主義基金)のような組織を通じて反対
   派グループに資金を流すことであった。また単なるプロパガンダであること
   もあった。

   ワシントンの経済・政策研究センターの共同代表マーク・ワイズブロットは、
   過去20年間、カラカスの政権を変えることがアメリカが追求する政策で
   あった、と述べた。トランプ氏によるグアイド氏の承認は、政府を葬り去ろ
   うとする最も明確な試みであった。

米国民主主義基金(NED)の現在のウェブページでは、ベネズエラ政治のあらゆる面で、介入のための膨大な資金援助が認められる。

◾地民主派の戦略的能力の構築
◾ 結束力ある戦略的コミュニケーション
◾ 人権活動犠牲者の擁護
◾ 機敏なコミュニケーション手段の開発
◾ 地元と国家の政策対話を通して市民の啓発
◾ 人道的援助救済の促進
◾ 包括的公共政策改革パッケージの策定
◾ シナリオ立案、戦略分析の促進
◾ 民主主義と自由市場を守るため小企業の促進
◾ ベネズエラにおける民主的統治の改善
◾ 地方の民主的統治の改善
◾ 指導者の強化と社会政治参加
◾ 人権条件の監視
◾ 人権状態の監視
◾ 司法と公共サービスへのアクセス促進
◾ チェック・アンド・バランス制度の促進
◾ 市民ジャーナリズムの促進
◾ 市民参加と表現の自由の促進
◾ 民主的統治の促進
◾ 民主的価値の促進
◾ 対話と和解の促進
◾ 結社の自由の促進
◾ 表現の自由と情報へのアクセスの促進
◾ 人権の改善
◾ 独立メディアの促進
◾ 政治的関与と主張の促進
◾ 法による統治の推進

確かにアメリカは実質的にあらゆる反対派作戦に資金援助している。メディアや司法関係から洗脳や政治計画まで、そして経済の妨害や「人権」活動まで援助していて、アメリカが資金援助する扇動者を逮捕から守るために支援が行われている。

READ MORE:US Regime Change in Venezuela: The Truth Is Easy if You Follow the Money Trail. The Opposition is Pro-Washington, Not “Pro-Democracy”
さらに読む:ベネズエラにおける体制転覆:お金の移動を追跡すれば、真実は簡単にわかる。反対派は親ワシントンで、「親民主主義」ではない。


アメリカの体制転覆の試みのある時点で、NED資金前線のスマテ(参加という意味)は、チャベス大統領に対して国民投票を組織さえしたが、チャベスが勝利した。2006年ワシントンポストの記事「チャベス政府はアメリカの資金援助を調査する」でそれを認めている。

   [スマテ]は2004年チャベスが勝利したリコール国民投票を組織して、政府
   や選挙制度を声高々に批判した。

記事はまた次のことも認めている。

   USAIDは 補助金を管理するメリーランドの「開発代替株式会社」を雇って
   いたが、多くのベネズエラ受益者を好評することを拒否した。それらは、彼
   らが脅迫されたり迫害されたりする恐れがあるからと言って。 

アメリカ政府の膨大なベネズエラ介入が、意図的に秘密にされている。スマテの活動は、全国民投票でさえアメリカ資金を使用し、アメリカの指示で動かされていることを認めている。

マリア・コリナ・マチャドは、ベネズエラ選挙監視グループといわれるスマテの創設者で、アメリカNEDに資金援助されている。2002年にクーデターでユーゴ・チャベス大統領追放を試みたが失敗した。その時、マリア・コリナ・マチャドは大統領ジョージ・ブッシュと会っている。

全米民主主義基金(NED)と他の組織は平行して活動していて、その中には金融犯罪者ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ基金も含まれている。ソロスはベネズエラの制度、統治、法律を書き直し、それをアメリカが支援する傀儡体制と行政システムに置き換えようとしている。

アメリカの支援は、反対派をつくる広範な試みに限定されず、反対派幹部指導者を援助する特別な試みも含まれている。

2004年、漏洩したアメリカ国務省資料「カプリレスの地位とスマテ事件」が明らかにしていることは、NEDの資金援助はそのときでさえ進行中で、アメリカ国務省は、NEDの資金前線スマテが関わった明白な反逆罪で起訴されていて、支援を求められていることだ。それはまた、アメリカ国務省が反対派幹部指導者エンリケ・カプリレス・ラドンスキーを支援していることを証明している。

カプリレスは、レオポルド・ロペスと共に、ホアン・グアイドの助言者として仕えている。ホアン・グアイドは今アメリカ国務省の約2000万ドルの支援を与えられていることは明かだ。

ベネズエラ経済を麻痺させるアメリカの試み

ロイターの記事「ポンペオは、ベネズエラのグアイドを支援する地域ブロック形成を促す」で次のように主張している。

   ポンペオはベネズエラへの人道的支援として2000万ドルを約束した。そこで
   は経済崩壊、ハイパーインフレーション、食料・医薬品不足のため何百万人
   の人々が国外へ逃れている。

この支援の逆説的性質は、アメリカが意図的に経済崩壊やハイパーインフレーションや食料・医薬品不足を引き起こすことであった。とりわけまずチャベス大統領政府を、次に今マドゥーロ政権を傷つけ、不安定化することだった。

アメリカ国務省は、特にベネズエラ中央銀行(PDF)やベネズエラ石油S.A.(PdVSA)への制裁を狙った。ベネズエラ国有石油・ガス会社は金融を制限され、送金を阻止されている。一方、アメリカとOPEC同盟国は、世界石油価格を一致して下げる行動をとった。それはベネズエラ石油基盤の経済を麻痺させるためだけでなく、イランやロシアを含む他の反米勢力を狙ったものだ。



欧米メディアは繰り返し、アメリカの制裁はベネズエラ当局だけを狙ったものであると主張するが、ワシントンポスト自体「ベネズエラの石油は、マドゥーロにアメリカに対抗する力を与えない」という記事で次のように認めている。(強調あり)

   「現金を生む石油輸出の75%はアメリカ向けである」と元ラテンアメリカの
   CIA要員であるスコット・モデルは言った。ベネズエラはかなりの原油量を
   主要な外交同盟国であるロシアや中国に輸出していが、それらの利益
   のほとんどは、過去の負債を支払うために使われている。彼らはそこか
   ら現金を得られない。「彼らは資金難で絶望的だ。」とモデルは述べた。

その記事はまたこう述べている。

   Citgo(シットゴー)の所有権は、長くアメリカとベネズエラ間の緊張の源
   であった。2017年8月トランプ政権は配当の本国送還を阻止する行政命
   令に署名した。そしてベネズエラ当局への制裁がCitgoをますます困難
   な立場に置くこととなった。
     [訳注:Citgo(シットゴー )は、アメリカ合衆国内で営業する石油関連企業。
     ベネズエラ国営石油会社の傘下にある。ガソリン、潤滑油、その他石油
    製品を製造販売している。(ウィキペディア)


   ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)のほぼ半分の株が、ベネズエラ政府が
   ロシア・エネルギー巨大企業ロスネフチから2016年に借りた15億ドルの負
   債の担保として使われた。外国債権者はそれら負債を埋め合わせるため
   Citgoの一部を取得する可能性もある。
     [訳注:PDVSA(ベネズエラ国営石油会社)
     ペトロレオスは、ベネズエラの石油会社である。ベネズエラ政府の100%
     出資会社であるため、日本
     ではベネズエラ国営石油公社、またはベネズエラ石油公団とも表記さ
     れる。] (ウィキペディア)


   モデルは、アメリカ政府が会社自体を差し押さえるべきかどうかという議論
   がアメリカにあると言った。これに反対する者もいて、Citgoはマドゥーロ後
   のベネズエラに有効な資産で、病んだ国の「石油経済の回復」を助けるも
   のだと言う。

明らかに、ベネズエラ石油から収益能力を麻痺させるために、かなりの努力が払われてきたが、アメリカメディアやインタビューした人々でさえ、アメリカはどこまでやっていいかわからないという。一旦、厳しい制裁がなくなった時、残っている、損なわれていないインフラが、病んだ国の「石油経済回復」をベネズエラに与えることも認めている。

経済戦争の他の例では、ベネズエラの大量の金がイギリスで押さえられていて、イギリスは金をベネズエラ政府に戻すことを拒否している、とニューヨークタイムズは報道した。

ベネズエラ国内で、アメリカ支援の反対派グループを通じて行われる企ては、人為的に欠乏を引き起こす一定の必需品に焦点を当てている。一方、富裕層や地主に雇われた武装ギャングは、国家に保護された農民や産業の価格や供給や需要をさらに悪化させるように破壊活動をしている。

ワシントンポストの記事「ベネズエラの逆説:人々は飢えているが、農民は人々を食わせることができない」で、武装ギャングは単なる「犯罪者」だと述べている。それは情報は豊富だが、矛盾したベネズエラ分析になっている。

「ベネズエラ分析」の記事「紛争地のベネズエラの農民は立ち退く気はない」は、富裕層の地主から返還を求められた土地を使って、農産物を生産する農民達の努力を描いている。しかし、彼らは傭兵から狙われ、攻撃され追い払われている。別の場合には富裕層のオリガルヒは、食物生産に使われる農地の支配を強固にするため裁判所から利権を確約してもらうことも可能だ。

ベネズエラ政府はとてつもない経済戦争に直面していて、それを埋め合わせるためにますます価格統制や緊急手段に訴えているが、さほどうまくいっていない。

経済不安定化は、アメリカの体制転覆の主要な要素である。それはイラク、リビア、シリア、イラン、北朝鮮、ロシアに対するワシントンの過去・現在の紛争のあらゆる面で見られる。それらの国は、一連の「人権」犯罪に集中したり、アメリカの安全保障に対する脅威をねつ造されて攻撃された。



逆に、元米国務長官ヒラリー・クリントンでさえ認めているが、サウジアラビアのような国々は、「その地域でISILや他の原理主義スンニ派に対して密かに財政的・兵站の支援を与えている」。そして彼らが地上で最悪の人権侵害を行っていることは疑うべくもないが、彼らは制裁を免れるばかりか、国際法や人権侵害への非難を免れているのだ。

この著しい対照は、狙われた国々に対するアメリカの制裁の真実の政治的動機の本質を実証するのに役立つが、それは大衆の支持を得るために、薄っぺらな論理的見せかけで粉飾されているのだ。

ロシアや中国のような強力な国でさえ、世界金融のドル支配体制に対する代替をつくり出すのに何年も必要とされるのに、ベネズエラのような国は、すでに何十年にもわたってアメリカによって扇動された混乱で不安定化され、制裁や経済戦争に直面し、ひどく堪え忍ばなければならなくなっているのだ。そして今は別のアメリカ支援の秘密クーデターの試みにも直面している。

「社会主義」ではなく、帝国主義

ベネズエラは巨大な石油埋蔵量が証明されている。ベネズエラは公然とアメリカによって政権転覆が予定されている。そして政権に対抗する現在の反対派が、ワシントンによってベネズエラの利益のためでなく、ワシントンの利益のために資金援助されていることを証明する証拠資料がある。

制裁と経済戦争はベネズエラを狙っている。ちょうどアメリカが、政権転覆し、侵略し、破壊した、もしくは政権転覆し破壊しようとしている多くの他の国々で行ったのと同じように。

アメリカ支援のさまざまな体制転覆に対して、ベネズエラも例外的な難しいパズルでは決してない。

ベネズエラ危機を訴える試みは「社会主義」によって急に引き起こされたものではない。たとえアメリカの政権転覆を証明するおびただしい証拠を無視するとしても 、「社会主義」のせいにするのは、なお合点がいかない。

中国も社会主義で、実際は共産主義だが、かなりの程度中央計画経済で、国有企業である。中国は地上で最も大規模な高速鉄道ネットワークを持っており、人間を軌道に乗せる能力がある宇宙計画があり、世界で2番目の大きな経済である。

逆に、アメリカはたった1マイルの高速鉄道ももっておらず、現在はロシア連邦に宇宙飛行士を軌道に打ち上げてもらっている。そして非現実的な世界支配に向けた野望で世界最大の経済をただ浪費している。

「社会主義」とか「資本主義」であることよりも、国の成功とか失敗の要因がたくさんあることは明白である。例えそれらの用語が実際どんなことを意味しようとも。ベネズエラにとって、その失敗はアメリカ帝国主義の直接的かつ明白な攻撃の結果である。そしてアメリカの介入を暴露し、跳ね返すことによってのみ、ベネズエラの未来は逆転できる。

*

この記事はもともと著者のブログ Land Destroyer Reportで発表されたものである。

トニー・カタルッチはバンコクを拠点に売る地政学研究者で作家である。特にオンライン・マガジン“New Eastern Outlook” に寄稿しこの記事もそこで書かれたものである。かれはグローバル・リサーチの常連寄稿者である。

体制転覆と立法府議長:
ナンシー・ペロシ 対 自称ベネズエラ大統領フアン・グアイド

Regime Change and Speakers of the Legislature: Nancy Pelosi vs. Juan Guaido, Self-Proclaimed President of Venezuela

ミシェル・チョスドフスキー教授

グローバル・リサーチ 2019年1月25日

(翻訳: 新見明 2019年1月29日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/regime-change-and-speakers-of-the-legislature-nancy-pelosi-vs-juan-guaido-self-proclaimed-president-of-venezuela/5666439


フアン・グアイド


ベネズエラ国会議長で多数派(民主統一会議)の指導者フアン・グアイドは、トランプ大統領によって民主主義の名の下に(自称)ベネズエラ暫定大統領に是認された。

今日、私(ドナルド・トランプ)は公式に、ベネズエラ国会議長フアン・グライドをベネズエラ暫定大統領と認める。ベネズエラ人民に選ばれた唯一の正当な政府機関である国会は、憲法に則りニコラス・マドゥーロを違法であると宣言する。そして大統領職は空席である。(ホワイトハウス、トランプ声明、2019年1月23日)

READ MORE:Attack Venezuela? Trump Can’t Be Serious!
さらに読む「ベネズエラを攻撃する?トランプはまともじゃあない。」


ナンシー・ペロシ

 
トランプの決定は、軍事介の入脅しとアメリカにあるベネズエラ資産の凍結と相まって、アメリカ外交の犯罪的本質を裏付けている。言うまでもなく欧米メディアはトランプの決定を支持した。

危険な大統領だ。主権国家の大統領を好き勝手に決め手はいけない。誰かを置き換えて下院議長を暫定大統領に指名してはいけない。

しかし今まで検討されなかった事が他にもある。

ホワン・グアイドによる国会議長の地位は(憲法的な見地から)、アメリカ下院議長と多数派民主党の指導者ナンシー・ペロシの地位に幾分比較できる。

ナンシー・ペロシは、アメリカ大統領継承順位で、副大統領マイク・ペンスに次いで2番目に当たる。(憲法第25条修正条項、そして1947年大統領継承条例で制定された3USCコード)

対照的に、ベネズエラ国会議長ホアン・グアイドは(大統領継承に関して)暫定的に短期間ではあるが、ベネズエラ大統領職に就くだろう。ベネズエラ憲法233条で表明されるているように、30日以内に新たな大統領選挙をもつことは未決定である。

ホアン・グアイドをベネズエラの大統領にする手続きを承認することによって、トランプはパンドラの箱を開けたことになった。それは自分の大統領職に跳ね返ってくる可能性があるのだ。

トランプによるホアン・グアイド国会議長の承認は、ナンシー・ペロシが一夜にして合法的に暫定アメリカ大統領に置き換えられることと同じ事である。ドナルドにとっては、かなり恐ろしい話である。

ベネズエラにとってホワン・グアイドは、アメリカにとってナンシー・ペロシと同じことである。マドゥーロ大統領の反対派は国会を牛耳っている。トランプ大統領の反対派は下院を牛耳っている。

ばかげた話ではないか。もしアメリカの政治家とか外国の大統領が、下院議長であり、下院多数派の指導者であるナンシー・ペロシを、アメリカの暫定大統領に要求するなどということがことが起こったら、どんなことになるか想像願いたい。不可解ではないのか。

これまでのところ、ナンシー・ペロシを含むアメリカ議会は、トランプのホアン・グアイドを暫定大統領承認を自制している。

アメリカは、「貧困と恐怖」でラテンアメリカ移民を出した責任がある――チョムスキー

中米移民
US responsible for ‘misery & horrors’ forcing people to flee Latin America – Chomsky

RT world News 2018年11月28日

(翻訳: 寺島メソッド翻訳グループ 2019年1月26日 )

<記事原文>(寺島先生推薦)
https://www.rt.com/news/445071-chomsky-us-responsible-for-migrants/


中米からの移民キャラバンがメキシコ国境の壁越しに覗いている。サンディゴ、国境野外公園にで© Reuters / REUTERS/Lucy Nicholson/File Photo


ドナルド・トランプはメキシコ国境にいる移民たちに催涙ガスの使用を許容しているが、人々の尊崇を集める言語学者ノーム・チョムスキーは、「歴代のアメリカ大統領が中南米の状態を悪化させた張本人であり、そのため人々が逃げ出さなければならない」と語っている。

デモクラシー・ナウのインタビューに答えて、チョムスキーはアメリカ政府を非難した。 「アメリカ政府が事態を劣悪な状態にしたので、一部の中南米の住民たちは、今よりまともな生活を!と必死になっているのだ。」

来月90歳を迎える著名な言語学者チョムスキー教授は、大量の移民キャラバンがホンデュラスからのもので、それには理由があることに注意を促した。

彼の説明によれば、2009年の軍事クーデターでホンデュラスの「穏健な改革派大統領」が追放され、オバマ政権はその動きを非難する
ことはしなかった、という。

「軍事政権の下で不正な選挙が行われたのです。 西半球全域から、そして、ほぼ世界全域から激しい糾弾の声が上がりました。 しかし、アメリカは糾弾しませんでした。 オバマ政権は、ホンデュラスがこの選挙を実施して、民主主義に歩みを進めたなどと言って、賞賛したのです。 

「現在、ホンデュラスの人々が国内の悲惨さや恐怖から逃避しているのは、私たちの国アメリカに責任があります」、とチョムスキーは語った。

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グアテマラやエルサルバドルから人々が移民となって逃げ出していることにも理由がある、と彼は付け加えた。 この二国はホンデュラスと同様、「歴史を遡れば、アメリカの過酷な支配下にありました。 1980年代以降はとくにそうです。」

さらに説明を続け、「信じられない『茶番』が起こっています。 貧しく、悲惨な状態にある人々が、アメリカに押しつけられた恐怖と
抑圧から逃げ出しています。それに対して何千人という軍隊が国境に派遣されようとしているのです」、と語った。
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Art of the Narrative: How viral photos of suffering kids shape (& silence) immigration debate


トランプ政権は、多くのアメリカ人を震え上がらせるような「派手な宣伝キャンペーン」を張り巡らし、中東のテロリストたちが今にもアメリカを侵略に来るぞ、そのテロリストたちが移民の一団の中に入り込んでいる、と信じ込ませようとしている、というのがチョムスキーの説明だ。 
さらに、この動きの全体を見ると、レーガン政権の時のことが思い起こされる、とも。レーガンは1980年代半ば、恐るべきレトリックを使って、ニカラグア政府と戦うゲリラへの支持を得ようとした。 

7千人以上の移民が、現在、何とかアメリカへ入国しようとしている。 その内約6千人がメキシコのティフアナ市にある体育施設に寝泊まりしている。一方、約1千人が、日曜日、ティフアナ近くの国境の塀を急襲しようとした。 国境線が一時閉鎖された後のことだ。国境警備隊は催涙ガスを配備した。これはトランプが支持していた動きだ。  

「催涙ガスは極力限定的に使っています。 危険性はまったくありません」、とトランプ大統領は遊説先のミシシッピー州で語った。

大量移民がローマ帝国を滅ぼす。アメリカ帝国も同様か?

Mass migration brought down the Roman Empire. Can it bring down the American Empire?

John Wight
ジョン・ワイトは、様々な新聞やウェブサイトに寄稿している。インディペンデント紙、モーニング・スター、ハフィントン・ポスト、カウンターパンチ、ロンドン・プログレシブ・ジャーナル、フォーリン・ポリシー・ジャーナルなど。

RT Op-ed 2018年11月1日
(翻訳: 新見明 2018年11月21日)
<記事原文>https://www.rt.com/op-ed/442864-american-empire-migrant-caravan/


© Getty Images

中央アメリカからアメリカに北に向かっている移民キャラバンは、旧世界が死につつあり、新しい闘いが生まれているさらなる証拠である。

古代世界が我々に教えてくれることがたくさんある。その最も顕著な教訓は、大量移民というものは、紛争、社会崩壊、または極端な貧困の産物であるが、それが最も強力な帝国を破壊することができるということである。

ローマを考えてみよう。その軍隊は千年のあいだ巨像のように古代世界を支配した。そしてその偉大で残酷な、そして最も華々しい名前は、シーザー、ポンペイウス、アウグストス、ネロ、ハドリアヌス、ウェスパシアヌス、コンスタンチヌスなど、いまだ何千年が過ぎたにもかかわらず畏怖と驚嘆の念を引き起こす。

その最盛期、ローマは、イタリア半島からはるか西ヨーロッパに到り、北アフリカや中東にまでわたり、その帝国が歴史のページから消されうると主張することは愚の骨頂だったはずだ。

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© Reuters / Eric ThayerAmerican breakdown: Uncle Sam pays an overdue visit to the psychiatrist couch
アメリカの崩壊:精神科医を訪れるのが遅すぎたアンクル・サム。


しかしローマが消滅したのは476年だった。西ローマ帝国として当時知られていたものは、ついにゲルマン民族からなる蛮族の度重なる侵入に屈服し、ついに崩壊に到った。

ローマの権力の象徴である帝国の正服、王冠、紫のマントは、当時帝国の東半分を支配していたコンスタンチノープル(イスタンブール)に追いやられた。それは何百年もの歴史の幕を下ろし、どんな帝国も経済力や軍事力にも関わらす、永続することはないことを確認することとなった。

実際、ローマの崩壊はなかなかやって来なかった。帝国は奴隷制や貢ぎ物や略奪を下に成り立っていたが、その矛盾があまりに大きかったので、克服できなくなっていた。ローマの支配下では、何百万人が貧困と惨めさの中で暮らしていて、彼らがエリートの汚れきった富や虚飾を支えていたので、ますます維持できなくなった。

ここまでは、多少理解いただけたのではないか。

威圧と支配と過度の搾取に基づいた経済システムは抵抗を引き起こす。それがまた、帝国を維持するために、さらなる軍隊の派遣に到る。それはさらなる抵抗を刺激するだけで、それによって不安定化する。この不安定化が、自国民や他国民の大量移動をを引き起こすのだ。

要するに、これがローマを終焉させたことだ。我々の時代は、変化の初期段階であり、多くの難民危機が明らかに徐々に増加していて、欧米ヘゲモニーの基礎を次第に切り崩している。2015年の難民危機は、ヨーロッパを苦しめ、未だ解決されておらず、重大な問題である。そして後に述べる移民キャラバンは、現在中央アメリカからメキシコを通ってアメリカ国境に向かっている。

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中央アメリカの移民はアメリカに向かう。2018年10月21日、メキシコ。Ciudad Hidalgo © Global Look Press / Ivan Sanchez 共和党も民主党も大声で吠え、かみつくが、移民キャラバンは進む。


ここで我々は急いで寄り道をして、陰謀論を見に身にまとっている輩のことを考えてみよう。彼らの多くが、意識を高めるのでなく、狂気を高めている。

移民キャラバンが、ソロスに資金援助された芸当であるとか、アメリカの中間選挙前段階の民主党の計画であるという考えは、ばかげていなくとも無意味である。何世代にもわたってアメリカの軍国主義や経済支配のために、中米の人々が被ってきた苦悩は、途方もないものであり続けている。だから犠牲者達の活動を拒否することは、尊厳を拒否することに等しい。

移民キャラバンが発生したホンジュラスで、2009年にクーデターが起こった。そのクーデターで民主的に選ばれたマヌエル・セラヤの左翼政権を転覆させるのに成功した。

クーデターはロメオバスケス・ベラスケス将軍に率いられた。彼は悪名高いアメリカ陸軍米州学校(スクール・オブ・アメリカ)の卒業生だ(今は西半球安全保障協力研究所と2001年に改名)。中南米からの何千という軍事・保安要員が、第二次世界大戦以来そこで拷問、暗殺、鎮圧の訓練を受けてきた。

アメリカ外交の専門家スティーブン・ズネスズ教授によれば、ホンジュラスのクーデターは、オバマが見守る中、ヒラリー・クリントンが国務長官の地位にあるとき起きた。それは「恐ろしい抑圧と、何万にもの難民が安全を求めて逃亡するといううなぎ登りの殺害率の時期を導くこととなった。」

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FILE PHOTO © Instagram / US ArmyMigrants, militias, protesters & drug cartels: Pentagon braces for explosive clash at Mexico border
ペンタゴンはメキシコ国境で爆発的衝突に備える。


ズネスは控え目に、ワシントンのクーデターへの関与を言っていないが、その後の合法的大統領の地位回復をはっきり拒否していることは、我々が知るべきあるあらゆる事を物語っている。その計画では、遅れた地域の諸国家を、帝国の完全子会社化されたものと何世紀にもわたって見てきた。

だから移民キャラバンが北に向かって進んでいるとき、ワシントンのドナルド・トランプ大統領はそれを侵略といい、5000人の軍隊を国境に配備した。ホワイトハウスのどの住人も大昔から不正をしても居直ってきた。トランプを見ていると、ローマ時代の哲学者セネカの言葉が特に思い浮かぶ。「貪欲にとって、あらゆる自然は小さすぎる。」

家や権力や地位や名声の貪欲が、トランプのあらゆる策略をつき動かし、決定する。それは病んだ社会の兆候であり、彼を生み出した文化的価値である。それは移民キャラバンに責任がある価値観であり、やがて帝国の没落を生み出す価値観である。ローマが支配した世界のように。

たとえ国のプロパガンダが逆の報道をしようとも、アメリカの大量の貧困層と抑圧された人々が、彼ら自身の支配者階級よりも、この移民キャラバンの人々とははるかに共通点があることは否定できない。彼らが置かれ続けている危うい状態が解放に到らないように、彼らが決してこの事実を理解しないように仕組まれているのだ。それはこの大陸でも世界全体でも当てはまることは言うまでもない。

次期大統領ロペス・オブラドールはメキシコを停滞から救い出せるか?

Can President-elect Lopez Obrador pull Mexico out of slumber?

アンドレ・ベルチェック
RT Home//Op-ed 2018年10月6日
(翻訳:新見明 2018年11月3日)
<記事原文>https://www.rt.com/op-ed/440491-mexico-future-obrador-us/

アンドレ・ベルチェックは哲学者、小説家、映画制作者、調査ジャーナリストである。彼は多くの国の戦争や紛争を報道してきた。彼の最近の三つの著作は、革命的小説『オーロラ』と二つの政治的ノンフィクションのベストセラー作品、『帝国のウソを暴く』と『欧米帝国主義との闘い』である。彼のその他の著作はここで見られる。アンドレは、テレスール・テレビやアル-アヤディーンのために映画を制作している。ベルチェックは、ラテンアメリカ、アフリカ、オセアニアで過ごした後、現在は東アジアや中東を拠点にして、世界中で仕事を続けている。彼のウェッブサイトやツイッターを参照。



何十年もの停滞と腐敗、そしてアメリカへの致命的な依存状態にあって、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは、多くの庶民からも知識人からも、メキシコの最後のチャンスと考えられている。

二つの重要なニュースが、北アメリカ中に行き渡っている。まずアメリカ大統領ドナルド・トランプは、当選した左派大統領アンドレアス・マヌエル・ロペス・オブラドールの就任式に出席しないこと。そして、そう、いろいろな対立と意見の相違にもかかわらず、NFTAに変わる新しい交渉が合意したこと。それはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)と呼ばれる。

逆説的に、もしオブラドールが選挙公約の少なくとも半分でも実現させようとすると、必然的にメキシコはアメリカやカナダと衝突せざるを得ないだろう。アメリカはメキシコの80%輸出を吸収している。多くのメキシコの知識人は、彼らの国はこれまで、北における「ビッグ・ブラザー」の植民地にすぎなかったと考えている。カナダの鉱山会社はメキシコの自然資源を残虐に搾取している。そして地元政治家や議員と結びつきほ、とんど無防備な先住民を苦しめている。

何十年もの停滞と腐敗のあと、メキシコは劇的で本質的な変化を準備している。それは今度は赤旗と革命歌の下にやってくるのではなく、チェス・プレーヤーの注意深く計算された、正確な動きで行われると多くの者が言っている。

天才のみが打ち破ることができる。ひどい虐殺行為なしで、アメリカの致命的な支配なしで。そして選ばれたオブラドール大統領がまさにそんな指導者なのだと多くの者は思っている。

© Andre Vltchek

「ポーカーのプレーヤーではなく、チェスのプレーヤー」

左派指導者の勝利にもかかわらず、メキシコは「険悪なムード」である。何十年もの不況や腐敗やアメリカへの致命的な依存はきわめて否定的な影響を国に与えてきた。

ジョン・アッカーマンは、メキシコに帰化したUNAM(メキシコ国立自治大学)の伝説的学者であるが、コヨアカンで私たちが会ったとき次のように説明した。

「これは長年待ちに待ったことだ。ラテンアメリカ中で大きな変革があったが、メキシコは違った。メキシコは、1946年PRI(制度的革命党)が創設されて以来変わっていない。教育、健康保険、社会システムに対する重要な対策、インフラなど、彼はこれらすべてを改革すると約束している。労働者階級の人々の言葉で。彼は組合民主主義に大きな関心を示している。それは革命の真の手段となる。組合は国の民主的な参加を作り出すために使われ得る。」

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Mexico chooses new left -leaning president who may give US 'sleepless' nights選ばれたメキシコ大統領マヌエル・ロペス・オブラドールは2018年7月1日勝利を祝う。© Pedro Pardo
メキシコはアメリカに「眠れない」夜を与えるかもしれない新たな左翼大統領を選ぶ。


オブラドールはフィデルでもチャベスでもないことに我々は同意する。彼はプラグマティックで、メキシコがアメリカに隣接していることがいかに危険かわかっている。いろんな政府がアメリカによって転覆させられた。そしてすべての社会主義的システムは頓挫させられ、うち破られた。

アッカーマン教授は指摘する。「オブラドールはトランプのようなポーカー・プレーヤーではなく、チェス・プレーヤーなのだ。」

彼は極めてすぐれた学識がある。彼自身もそうだが、彼の妻も著名な左翼家族入間・サンドバル・バレステロスからでた才能豊かなメキシコの学者である。彼女は間もなくオブラドール政権の公共行政大臣に就任するだろう。そして彼女はメキシコの風土病である腐敗と闘うことになるだろう。これは疑いものなくその国の最も重要な仕事の一つになるだろう。

メキシコはOECDメンバー国の中で極貧層と超富裕層の経済格差が二番目にもっとも激しい国である。政府によれば2016年、メキシコ人1億2200万人の中で約5,340人が貧困層であった。

犯罪は放置されたままで、腐敗も野放しだ。メキシコのNGOシチズン・ウォッチ・ドッグのSeguridad Justicia y Pazによると世界の高犯罪率10都市の5都市がメキシコにある。ロス・カボス(1位)、アカプルコ(3位)、チジュアナ(5位)、ラ・パス(6位)、シウダー・ビクトリア(8位)。

約46万人の子供たちがメキシコの麻薬組織にリクルートされている(次期オブラドール政府公共安全相による)。メキシコ警察は絶望的に腐敗し、機能不全であり続けている。

アメリカ・メキシコの壁建設© Andre Vltchek

困窮はいたるところに

古きアシエンダ*の一つである優雅さや様式は、ユカタン半島のジャングル中で失われた。約20年前この場所の近くで、私は自ら流浪の身において、小説を書きながら暮らしていたものだ。ユカタンは貧しく、保守的で、伝統的であった。しかしその村の極貧の中にあっても誇りと威厳があった。
   [訳注]アシエンダ制
   アシエンダとは、かつてのスペイン領のラティフンディオの一
   形態で、特にメキシコ、中米の一部、アンデス諸国で一般的
   にみられた伝統的な大農園を指す。ラプラタ地域ではエスタ
   ンシアとも呼ばれた。アシエンダの所有者は、アセンダードや
   パトロンと呼ばれた。ブラジルにおけるこれに似た形態はファ
   ゼンダと呼ばれる。 (ウィキペディアより)

物事は劇的に変化したが、よくなったわけではない。今やむき出しの貧困がいたるところにある。ハシエンダからちょうど2キロのところにテモゾンという昔ながらの田舎家の屋根には穴が開いている。そして多くの住民はすでにそこを見捨ててしまった。人々は飢えてはいない、まだ。しかしそれはユカタンでは、まだコミュニティとか連帯という大切な感覚があるためである。

セノーラ・コンスエロ・ロドリゲスとドン・アルフレド・ロペス・チャム© Andre Vltchek

ドン・アルフレド・ロペス・チャムはシフンチェン村に住んでいる。彼の家の屋根は半分なくなっている。彼は目が見えない。彼は全く貧乏だ。私は彼に尋ねた。私が去ってから、ここの暮らしはどうですかと。彼はただ絶望的にうなずいた。
「あなたは私の家を見たでしょう。あなたは想像できるはずです。私は全然修繕できません。何年も仕事がありません。それに私は年を取っています。」

彼の隣人であるセノーラ・コンスエーロ・ロドリゲスが割り込んできた。彼女は率直で、たくましく、心の良い未亡人でいつも鶏の群れに囲まれている。

「御覧なさい。彼は本当に文無しですよ!ほら、私たちは困っている人を助けようとしているのですが、私たち自身が文無しに近いのです。2・3年前、政府は私たちの家の修繕を手伝いに何人かを派遣しました。しかし彼らは二度とやって来ませんでした。」

理論上、メキシコは無償の教育や医療が受けられる。しかし実際はそれは政府を握っていて、よい民間企業の仕事を持っている人々だけだ。次期大統領AMLO(オブラドール)はそれらすべてを改革すると約束している。しかし国中の人々はセノーラ・コンスエーラを含め懐疑的でる。

「もしわれわれが病気にかかったら、仕事の保険がなかったら支払いをしなければならない。そして我々のほとんどが、ここでは安定した仕事はないのです。」

ここの人々は新しい政府を信頼していますか。彼女は肩をすくめ、「さて、どうかしら」と言う。

これは私が至る所で聞いたことだ。この巨大で豊かな潜在力がある国の海岸から海岸で。それは世界で15番目の経済力がある国だ。しかしほとんど興奮はない。大多数の人々は「待って、やり口を見てみよう」という構えだ。

ドン・ルディ・アルバレス© Andre Vltchek

ドン・ルディ・アルバレスは、ユカタンの豪華ホテルの一つで20年以上働いてきたが、将来について警戒しながらも楽観的である。「多国籍企業で永久の仕事を持っている我々でさえ、大きな夢を抱くことはできません。そして私は息子の一人を大学で法学を勉強するために送り出すことができます。しかしそれ以上大きな夢はもてません。私の家族は車やその他の贅沢をする余裕はありません。オブラドール(AMLO)が書てくれることを希望します。ここでは多くの人々思いは、ユカタンが観光客に「マヤのディズニーランド」として売り出されています。我々の文化をほとんど尊重することなく。」

メキシコは西半球でアメリカに次いで2番目に観光客の多い国です。しかし観光客からの収入はめったに地元の人々の生活をよりよくしません。

© Andre Vltchek

犯罪と麻薬戦争が唯一の懸念材料ではない。オアハカの先住民の歴史的都市の中心では、軍隊が政府宮殿に入るのを阻止している。なぜか?多国籍企業による先住民の強制退去や、活動家の失踪と無法な殺害に対して抗議する落書きのためだ。

リゼッタさんは、宮殿の真正面にテントをはって抗議する多くの人たちと暮らしてきたが、「9年間私たちには家がありません。民兵と政府軍がやってきて、我々をサン・ジュアン・コパーラの住居から追い出したのです。殺された人々もいます。女性はレイプされ、多くが失踪しました。私たちは正義を求めてここにいるのです」と説明した。彼女は私に傷跡を見せてくれた。

「最近、警官がやって来て、私の携帯を壊し、それから私の腕を傷つけたのです・・・」

マヌエル・アルバレス・ブラボイン・オアハカの写真の中央に、レオさん(名前のみ教えてくれた)は断言した。「それらの人々に起こったことはひどいものです。考えてみてください。家にいて突然だれかが武装してやって来て、追い出されたのです。多国籍企業、特にカナダの企業が、この国の鉱山の約80%を支配しているのです。人々は、特に先住民は残虐に扱われています。メキシコはスペインの植民地主義にひどく苦しめられましたが、事態はあまりよくなったとは思っていません。私たちは自分たちの国をしっかり治めることができていないのです。」

グアダラハラの社会の家© Andre Vltchek

そして新しいオブラドール政権だって?レオと彼の同僚は少しだけ楽観的である。

「彼が本質的問題に敢えて手を付けるかどうか確かではない。つまり、この国の北への依存問題や、貧富の恐ろしい格差、つまりヨーロッパ人の子孫と先住民からなる大多数との格差である。それは今日まで至る所に見られる。西欧人と彼らの会社がやってきて、彼らがしたいことをする。ところが先住民には何も残されていない。」

しかし他の多くは希望を捨てていない。AMLO(オブラドール)の左翼モレノ党はすぐにPT(労働党)や保守の社会結集党との連立を行うだろう。メキシコがキューバやベネズエラの道を歩むことはないだろう。しかしボリビアモデルはかなりありうる。それは静かな革命であり、きわめて進歩的で真に社会主義的憲法(それははるか1916年までさかのぼる)に基づいた革命である。

ユカタンの壊れた屋根 © Andre Vltchek

メキシコの学者イグナシオ・カストゥエーラはカリフォルニアのクレアモント大学で教えているが、こう説明する。「オブラドールは彼が達成したいと思うことのいくつかを実行するため、いくつかの党派と連合しなければならないと思う。個人だけでは国の問題を解決できない。彼の周りに多くのが結集して欲しい。それが起これば意義深い変革がもたらされるだろう。アメリカ政治と企業の長年の陰が大きな影響を発揮し続けるだろう。」

ティフアナで私はひどい困窮状態を見ている。私は労働者に週55米ドル相当しか支払わない多国籍企業を訪れる。私はなんとかして暴力団地域に入る。そしてアメリカが二つの国の間に重苦しい壁を建設している。

壁に向かうスラ・レティシア© Andre Vltchek

私はスラ・レティシアの話を何時間も聞く。彼女は壁からほんの1メートルのところに住んでいる。

「彼らは我々の土地を分断している。そしてここに住んでいる多くの生き物を傷つけている。また自由に循環している水をも遮っている。」

「これらは全てかつてはメキシコであった。北アメリカ人が我々からいくつかの州を盗んだ。いま彼らはこの壁を建設している。私は何度かこの国を訪れた。そしていいですか。私たちの全ての問題点にもかかわらず、私は今いるところが好きです。こちら側が!」

それから夜遅く、私が聞くのは、北から南まで、東から西まで自分の国を知っている男の話である。私達は小さなカフェに座っている。サイレンが近くで鳴っている。また殺人がちょうど起こったところだ。彼は私を真正面に見て、ゆっくりと話す。

「メキシコは壁を背にしています。この状況は続きません。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール、これは私達の最後のチャンスです。私達は彼の元に結集します。私達は彼を助けます。もし彼が約束したことを行えば素晴らしいことだ。そしてメキシコは変わり、繁栄します。もしそうならなかったら、私達は武器を取るしか他に選択はないのです。」

ラテン・アメリカの「犯罪人」に対するトランプの行動は大陸を戦争に導きかねない


RTルセフ・インタビュー
ブラジル前大統領ジルマ・ルセフ

ベネズエラを含む南アメリカの政治に介入しようとするワシントンの試みは「極めて危険」で、「内戦にいたるかも知れない」と、前ブラジル大統領ジルマ・ルセフはRTに語った。彼女はさらに、アメリカは既に中東において誤りを犯し、イスラム国を強化することになった(ISは前のISIS, ISIL)、と付け加えた。

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