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MK-Ultra(MKウルトラ)の恐るべき影響:ウクライナからの民族生物兵器、洗脳、および恐ろしい人体実験

<記事原文 寺島先生推薦>
MK-Ultra’s Terrifying Reach: Ethnic Bioweapons from Ukraine, Mind Control and Horrific Human Experiments
筆者:キット・クラーレンバーグ (Kit Klarenberg)
出典:INTEL-DROP  2023年8月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年9月21日


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 画期的な調査により、名高い人類学者オリサンミ・バートンがCIAの歴史における暗い1章の蓋を吹き飛ばした。最近の情報公開法に基づいて入手されたCIAの機密ファイルは、悪名高いMK-ULTRAプログラムと、アメリカ国内での有色人種の囚人に対する恐ろしい実験との衝撃的な関連性を明らかにしている。

 バートンの調査結果は、MKULTRAの陰険な使命を明らかにし、「反乱対策」の名目の下で、特に有色人種を対象とした心理戦と行動操作の戦術を開発しようとしたことを暴いた。信じがたいことに、これらの野蛮な試験は、さまざまなアメリカ政府機関が市民権運動を粉砕しようと執拗に取り組み、刑務所が政治的過激派であふれていた騒々しい時代に行なわれた。

 この衝撃的な暴露は、CIAの行動を鮮明に浮かび上がらせ、街頭および刑務所内での黒人の抵抗を鎮圧しようとする容赦のない試みを明らかにしている。しかし、それだけでは終わらない。バートンの開示は、これらの作戦の広範な影響(過去においても、一定はしていないが、今日においても存在する)について緊急で重大な問題を提起している。

 どうしても心から離れない疑問の一つは、CIAが積極的に人種特定の心の制御兵器を追求したかどうかだ。これは倫理的および道徳的な境界の核心に直撃する考えだからだ。

 国がこの暴露と取り組むとき、一つ確かなことがある:バートンの告発は国家安全保障の名のもとに犯された恐ろしい残虐行為に対する回答と責任を求めていることだ。真実は明らかにされ、MK-ULTRAの隠された恐ろしさに耐えた人々に対して正義が行なわれなければならない。

「(心の)防御の突破」

 CIAがMK-ULTRAの目的のために悪用した多くの医療研究施設の中で、おそらく最も大きく、最も暗いものの一つが、ケベック州モントリオールにある精神病院アラン・メモリアル研究所だ。

 1957年から1964年まで、CIAは秘密プログラム「サブプロジェクト68」を運営し、それは、この研究所の創設者で、悪名高い精神科医ユーウェン・キャメロンの指導のもとで行なわれた。キャメロンは「サイキック・ドライビング」として知られる技術を用いて、人々の心を「洗脳によって通常の思考を離れさせ」ようとした。これには、同意していない、何が行なわれているのかわかっていない患者に幻覚剤のカクテルを投与し、その後、録音された数時間のループ音声を聞かせながら、電気ショックを与えるという手法が含まれていた。

 キャメロンは、彼の被験者の心を空白の板にして、その上に新しい行動や、思考、記憶、そして個性などを気づかれないように外部から押しつけることを望んでいた。また、これは尋問の目的にも役立った。「Psychoanalytic Quarterly(季刊誌精神分析)」の1958年版では、彼はこの技術が「(心の)防御の突破、これまでアクセスできなかった素材の引き出し、[・・・]態度の変更、および劇的な埋め込みの設定」に使用できると自慢していた

不気味な連携: ロックフェラーの関与

 時代を1966年にまで早送り。当時のニューヨーク州知事ネルソン・ロックフェラー(その一族、ロックフェラー家財団がキャメロン研究所の設立に中心的な役割を果たした)は、恐ろしい提携を開始した。研究所の上部組織であるマギル大学のコンサルタントが招かれ、ニューヨークの刑務所で「異常犯罪者」とされた人々について「研究」を行なったのだ。公式には、再犯を抑制し、犯罪の原因を「実験的な研究」を通じて理解する革新的な方法を見つけることが使命だった。しかし、この連携はそれだけだったのだろうか?

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ニューヨーク州矯正省の施設に収監されている受刑者が、「重罪を犯した持続的な犯罪者のための診断と治療プログラム、および犯罪の原因に関連する研究」を行なう一環として実験に参加している。

 偶然(あるいはそうでないかもしれない)、同じ時期に、懸念すべき傾向が浮かび上がった。革命的な意見を表明する黒人アメリカ人は、重度の精神的健康疾患を患っているとのレッテル貼りがますます増えていったのだ。精神医学者ジョナサン・メッツルの画期的な研究書『抗議の精神病』は、医学研究論文が「白人」の場合と比較して、「黒人男性」は特異的に危険な統合失調症を持つと記述し始めた経緯を明らかにした。

 1968年になると、アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアルが驚くべき改訂を行なった。統合失調症の顕著な症状として「敵意」や「攻撃性」が追加されたのだ。これには重大な意味があった。公民権活動家として抵抗することを敢行する人々は、診断され、施設に収容される危険にさらされることになったのだ。抑圧的な刑務所の体制に抵抗しようとする囚人は、「精神障害犯罪」と、ご都合主義的に、レッテル貼りされる可能性があった。

不気味な実験のための遊び場

 ニューヨーク州の北部境界から25マイル離れた場所に位置する、悪名高いダネモラ州立精神病院は、不気味なロックフェラー構想の中心舞台となった。この提携のトップには、カナダの精神科医ブルーノ・コルミエがいる。彼は1950年代から60年代にかけてアラン・メモリアル研究所で長年にわたり臨床医として活動していた。彼と悪名高いユーイン・キャメロンは、人間の行動の最も暗い領域に探求する場所である「少年非行対策推進センター」のために恐ろしい計画を練った。

 このように構想されたセンターには、「心理学の研究のための実験室、遺伝学の研究のための実験室、内分泌学の調査のための実験室、社会学的な研究のための実験室」が併設されることになっていた。コーミエは特に、この機関が「問題行動に光を当て」、「少年の非行と成人の犯罪との間の溝を埋める研究」することに執心した。ダネモラ州立病院は、これらの目標を他の手段を通じて達成する機会を提供していた。

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別紙P-50 | コーミエの提案した少年非行研究センターには、拘留者の非行に対処する「非伝統的」な方法が含まれており、それには彼らの遺伝学の研究も含まれていた。

 1969年までに、マギル大学のコンサルタントは「訓練」の名目で、刑務所の看守を催眠療法や嫌悪療法の技術の実践者に変えていた。ある観察者によってひとつの恐ろしい「療法」セッションの概要がその後、記述された

刑務所職員がセラピストになった。彼らを準プロフェッショナルにすることは立派な取り組みだが、私はこれらの元刑務所職員が囚人に嫌悪療法を実践しているのを見たことがある。囚人たちは自分たちの犯罪の経緯を辿るときに嘔吐し始める。この光景は見る人も参加する人も非常に不快だ。が、それでも誰かが治癒したという証拠はまだない。



 1990年に、麻薬および薬物研究所の所長であるダグラス・リプトン博士は、ダネモラ精神病院の背筋も凍る使命を明らかにした。受刑者のアイデンティティを抹消し、彼らを従順な駒に作り変えようとしたのだ。彼は議会に対する証言で、これらの取り組みの壊滅的な効果を暴露した。彼らが罠にかけた人々の生活に消せない傷跡を残したのだ。

 ブルーノ・コルミエは、秘密裏にニューヨーク州内のすべての刑務所所長に連絡し、彼らの一番手に負えない犯罪者をこの邪悪な企ての被験者にするために送るように促した。刑務所所長たちは飛び上がらんばかりに喜んで、最も問題のある受刑者を手放すことに躍起になった。

 魂に最も大きな問題を抱えた50人(リプトン博士に言わせれば「貴殿が見た中で最悪の集団」)を、アランチームはMK-ULTRAの拷問に1年間さらした。彼らが耐えた苦痛で、彼らの心はその核まで剥ぎ取られ、精神を変えるような操作ぎりぎりの、再社会化治療に無防備に曝(さら)された。

 ダネモラ精神病院から解放されて1年後、1年間の治療を受けた後、たった2人だけが施設に戻ってきた。残りの者たちは、初めにキャメロンが求めたように、成功裏に「白紙の状態」にされ、彼らの心は、成功裏に、根本から再プログラムされたようだ。リプトンの結論はこうだ:

この実験内容は、被験者を幼稚園レベルまで戻し、それから実際の年齢まで戻すことです。



「政治的目的のための行動変容」

 キャメロンの悪名高い「サイキック・ドライビング」の影響が、マギル大学の心理学者アーネスト・G・ポーザーの気になる研究にも登場した。メトヘキシトン誘導睡眠下での患者の反応や、痛みの許容度における異文化間の違いについて探究する中で、ポーザーの恐ろしい方法は受刑者たちを格好の被験者とした。彼らは研究の名目のもとに想像を絶する恐ろしいことに曝された。

 彼の研究は「欺瞞的な手段や拷問器具のようなもの」をしばしば使用し、血圧計には「圧力袖に縫い込まれた鋭く硬いゴム製突起物」を含むものも含まれており、これを使用して患者の「痛みの許容度」をテストした。彼は、ニューヨーク州の受刑者に対する実験を担当するマギル大学の専門家の一人だった。1968年に、彼は「社会病質者」とされた囚人たちが「恐怖を引き起こす経験」から警戒心を学習しないのはアドレナリンの不足によるものかどうかを調査した。

 この理論を実証するために、ポーザーと彼のチームは「反社会的」との診断を受けた受刑者にアドレナリンを注入し、それから電撃を与えた。彼の学生の一人は、倫理的制約がないことに興奮しすぎて、囚人たちを電気けいれん療法装置に縛り付け、競技に参加していると告げることを提案した。そして「負けた者」は相手によって設定された電撃を受けるというのだ:

各被験者は、予め50%の負けが決まっている20回の試行を行なう。本人にとってはそれが見かけ上ランダムなものになる。


 1971年9月9日から13日まで、ニューヨーク州の悪名高いアッティカ刑務所で大規模な暴動が勃発した。受刑者たち行動は、大幅な過密状態や、体系的な暴力、そして人種差別など、ひどい状況が誘因となった。アメリカの歴史家ハワード・ジンは、「囚人たちは1日に14から16時間を自分の房で過ごし、郵便物が盗み読まれ、読書資料が制限され、家族との面会が金網越しに行なわれ、医療がひどい状態で、保釈制度が不公平で、どこに行っても人種差別が蔓延していた」と記録している

 この蜂起は、ネルソン・ロックフェラー自身によって承認された、血みどろの虐殺によって終結した。数百人のニューヨーク州警察官や、刑事捜査局の職員、副保安官、公園警察官、そして刑務所の職員などが、もうもうと催涙ガスの煙が立ち昇るアッティカ刑務所の占拠された区画に突入し、ショットガンで受刑者たちに無差別に発砲した。総計で33人が死亡し、85人が負傷した。抵抗していなかった多くの囚人たちや、蜂起者によって人質に取られた人間もその中に含まれていた。

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左:アッティカ刑務所のセルブロックDで、受刑者が他の受刑者を仮設病院で治療している。右:1971年の騒動の後、州警察官がアティカを鎮圧。43人が死亡。写真 | AP

 特に目に付くのは、ニューヨークのマギル大学との公式の提携をそれ以降すぐに終了したことだ。ダネモラ州立病院は「アディロンダック矯正治療教育センター」と名称を変えた。しかしながら、まるで多頭怪獣ヒドラのようだが、新たな行動修正構想、つまり処方(Rx)プログラムの本拠地となった。1972年4月、ウォルター・ダンバー(ニューヨーク州の副矯正委員長)は、この構想が焦点を当てているのは「他の受刑者を刺激し、過激で反社会的な活動に駆り立て、煽り、挑発する明白な行為」を犯す受刑者たちである、と述べている。オリサンミ・バートンが書いている:

「このような発言は、このプログラムを植民地論議に結びつけ、黒人の抵抗を病的なものとみなすことにつながる。同時に刑務所当局を政治的な目的のために行動変容の技術を使わせることになる:反乱対策」。



「全体主義社会の洗脳収容所」

 2022年8月、MintPress Newsは、CIAの恐るべき精神操作の企てにおいて、黒人アメリカ人が、不均衡に、標的とされていることを明らかにした。多くのMK-ULTRA実験が、幻覚薬の効果に対する黒人と白人参加者の潜在的に異なる反応を評価するために行なわれたのは明らかなようだ。CIAが一般市民全体ではなく、特定の物質の影響に関して人種的な背景を持つ人々に対する特定の(あるいはより大きな)関心を持っていた可能性は疑念としても打ち消しがたい。

 ただし、当時MintPress Newsに協力した学術的専門家は、その主張を一蹴した。彼らは、MK-ULTRAの明確な人種的特徴は、CIAが標的とした諸機関の構成を単に反映したものであり、それに付随した、CIAによる黒人被験者と医療界内でのその資産には価値がないと主張した。

 バートンの調査結果は、単に刑務所や医療施設での人種的な多様性や人種差別的な軽蔑からくるものではなく、CIAが実際に、他の民族ではないにしても、黒人アメリカ人を標的とするための最適な薬物を特定しようとしたことを強く示唆している。

 Rxプログラムが始まると、アッティカ刑務所を含むニューヨーク州内の刑務所は、その受刑者に対してその手法を熱心に適用し始めた。これには、「鎮静化と制御」のために、不確かな物質を彼らにこっそり投与するなど、さまざまな「実験的な方法」が含まれていた。ナパノックのイースタン矯正施設における施設全体の虐待に関する現代の報告には、「食べ物にこっそりと投入された薬物によって、囚人が無気力な状態になる」と記述されている。

 ほとんどの受刑者は他の刑務所から移送され、到着後に「教育と職業訓練」が約束されたが、そんなことは起こらなかった。驚くべきことに、彼らのうちの「大部分」は政治的に意識の高い者または「扇動者」と見なされていた。

 ある囚人は、慢性的な疲労感を感じたため、自分の食事に鎮静剤が混入されていることを疑い、意図的に飢餓状態に自分自身を追い込んだ。彼は「すぐに良くなり始めた」。「眠気が消え、より強く、より警戒心のある感じがした」。別の受刑者は、この刑務所で経験した「持続的な無気力感」を、ダネモラ州立精神病院での経験と比較した。

 また疑わしいのは、囚人たちは食堂の給水所から自分で水を取ることが許されていなかったことだ。彼らは看守から水を請求しなければならず、常に隠された調理場に行って注文されたものを取りに行った。その水は「常に水道水とは異なる味」がした。

第二次世界大戦の実験からMK-ULTRA遺産まで

 CIAが洗脳のための民族用生物兵器を手に入れようとしていたとしても、それはワシントン政府部内だけではなかった。第二次世界大戦中、米陸軍は自国のアジア系や、黒人、プエルトリコ系などの部隊に対して、同じ物質に対する異なる反応をテストするために、異様な化学実験を行なった。アジア系の米国市民は、日本の一般市民や軍人の代理として、その意図を隠しもせず選ばれ、マスタードガスやその他の悪辣な兵器が敵にどのように影響するかを調べるために使われた。

 もちろん、同じ考え方と力学は、陸軍の黒人実験対象にも適用された。1970年11月に時代を早送りする。軍の内部誌である「ミリタリーレビュー」は、遺伝学者カール・A・ラーソンによる「民族兵器」と題された記事を掲載した。彼は、「東南アジアの人口に酵素欠乏があること」を肯定的に指摘し、この大陸の住民が「コーカソイド(白人)が主に適応している毒物に対して感受性がある」と述べ、他の酵素阻害剤(BZやその化学的な類似体であるLSDなど)が「異なる民族集団」にどのように影響を与えるかを探ることを提唱した。

 1974年、政府の委員会はRxプログラムの「論理とビジョン」を「全体主義社会の再社会化、再考、洗脳キャンプの幽霊」を呼び起こすものとして非難した。その1年前、当時のCIA長官であるリチャード・ヘルムズは、ウォーターゲート事件の後、CIAが公式な調査の対象になる恐れがあるとしてMK-ULTRAプログラムを終了し、そのすべてのファイルの記録を破壊するよう命じた。

 公式にはMK-ULTRAは解体されたものの、その残酷な技術はCIAと米軍の尋問および拷問の教義によって規定され、存続した。2022年4月にMintPress Newsが報じたように、これらの悪質な方法は秘密軍事施設やグァンタナモ湾で無慈悲に適用され、テロ戦争の過剰な行動を正当化するために虚偽の証言の種をまいた。

 MKU-LTRAの暗黒はまだ後を引き、緊急の回答と透明性が求められている。アメリカの黒人社会にとって、これらの作戦の全容が明るみに出されることが何よりも大事なことだ。犯人が責任を取り、生存者には正当な補償を支払わなければならない。過去の影が現在に伸びる中で、真実への要求が以前よりも高まり、正義が否定しがたい絶対課題となっている。

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写真とイラストはMintPress News。
キット・クラーレンバーグは、情報機関が政治と認識を形成する役割を探求する調査ジャーナリスト。MintPress News の寄稿者。彼の作品は以前に The Cradle、Declassified UK、および Grayzone に掲載されている。彼のTwitterアカウント@KitKlarenberg。
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調査の結果、言論の自由という観点において、ハーバード大学が最低だと判明

<記事原文 寺島先生推薦>
Survey reveals ‘worst’ US university for free speech
ハーバード大学がFIRE(「個人の権利と表現」財団)の新たな調査により、最下位となった
出典:RT  2023年9月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年9月20日



資料写真:2023年6月29日、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学キャンパスにあるハーバードヤードの門© Scott Eyesen/Getty Images


 今週発表された「「個人の権利と表現」財団(FIRE)」の調査によると、米国最古の高等教育機関であるハーバード大学は、言論の自由に関して、最下位の評価を受けた、という。
 
 この調査によると、ハーバード大学を評価する回答は全くなく、実際の累積ポイントはマイナス10.69という結果に終わった、とFIREのショーン・スティーブンス投票・分析部長がニューヨーク・ポスト紙に語った。

 「どこかの学校でポイントがゼロ以下になることは全くあり得ない、と考えていましたが、ハーバード大学は学術上の制裁を数多く課していたことがわかりました」とスティーブンス部長は述べた。発言や記載内容を理由に制裁を受けた研究者や教授9人のうち7人がハーバード大学の人々だった。

 ハーバード大学内にはこのように検閲をおこなう風潮があるため、100を超える学部が今年初旬、「学問の自由についての委員会」を立ち上げている。

 スティーブンス部長によると、この結果に対して「大きな驚き」はなかった、という。というのも、ハーバード大学はFIREによる調査が4年前に開始されて以来「ずっとほぼ底辺」に位置していたからだ、という。ハーバード大学だけが、FIREが「非常に悪い状況である」と評価づけた大学だったからだ。

 「『間違った』科学的思想を有しているとされて問題が生じるような環境では、信頼のおける知識を生み出す場所として信頼される学びの場にはなれません。とくに頭が痛いのは、最低の結果を出している大学の中に、米国で最も影響力のある大学が入っていることです。具体的には、ハーバード大学やジョージタウン大学、ノースウェスタン大学、ダートマス大学です」とこの調査結果を受けて、FIREのグレッグ・ルキアノフの財団長兼最高責任者は述べた。


関連記事:CIA moderating Wikipedia – former editor


 マサチューセッツ州ケンブリッジ市内(ボストンのすぐ北)に位置するこの大学(ハーバード大学)は、1650年に開学し、北アメリカで最も著名な大学のひとつと考えられている。

 この調査の下位5大学を挙げると、フィラデルフィアのペンシルバニア大学、コロンビア州のサウス・カリフォルニア大学、ワシントンDCのジョージタウン大学、ニューヨーク市のフォードハム大学だ。

 昨年度言論の自由部門において最下位だったニューヨークのコロンビア大学は、今回の調査では214位につけた。なお対象とされた単科大学や大学の数は全部で248だ。

 今年度の調査で最上位につけた学校は、ホートンのミシガン工科大学で、点数は78.01ポイントだった。アラバマのオーバーン大学、ニューハンプシャー大学、オレゴン州立大学、フロリダ州立大学が、残りの上位5大学だ。

 FIREによると、この順位を大きく左右する要因は、各大学がおこなっている言論規制や、ディプラットフォーミング*の要求に対する対応によるところが大きい、という。5万5千人の学生を対象にした調査でも明らかになったことは、56%の学生が自分たちの発言した内容により「排除される」ことを心配しており、27%の学生が、状況によってはキャンパス内での演説を止めさせるのに暴力を使うことを容認する、と考えていることだった。
*情報やアイデアを共有するために使用されるプラットフォーム(講演会場やウェブサイトなど)を削除することでグループや個人をボイコットしようとする試み」、あるいは「容認できない、または不快と見なされる見解を持っている人を特定のウェブサイトなどでブロックすることにより、フォーラムや討論に参加することを防止する行動や慣行のこと。(ウィキペディアより)

 この結果からは、キャンパス内で話し合う際の最も困難な話題というのは、「中絶、銃規制、人種による不平等、トランスジェンダーの人権」であることが分かった。

 FIREが設立されたのは1999年のことであり、その使命は、「すべての米国民の表現の自由と思想の自由を保護し維持すること。この権利は自由権において最も重大なものである」とされている。

バイデンはコロナウイルスを、選挙を操作するために利用するつもりだ - トランプ

<記事原文 寺島先生推薦>
Biden will use Covid to rig election – Trump.
出典:RT  2023年8月31日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年9月14日


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2020年9月29日、オハイオ州クリーブランドで行われた初の大統領討論会で、自分のフェイスマスクを見つめているドナルド・トランプ© AP / Julio Cortez"


元アメリカ大統領は、彼の支持者に対して、ロックダウンやマスク着用とワクチン接種命令に従わないよう強く呼びかけた

 元アメリカ大統領のドナルド・トランプは、現職のジョー・バイデン大統領の政権が、新たにコロナウイルスの再流行を利用して選挙規則を書き換え、彼が次回の選挙で勝利するのを阻止しようとしていると主張した。

 「左派の狂信者たちは、新しい変異株について藪から棒の恐怖を煽りながら、必死になってコロナウイルスのロックダウン命令を復活させようといる。ちょっと待てよ、他にも何が来ているか知っているかい?選挙だ」とトランプは木曜日(8月31日)に公開されたビデオメッセージで述べた。

 「彼らはコロナウイルス・ヒステリー状態を再発させ、それによってより多くのロックダウンや、より多くの検閲、違法な投票箱の増加、郵送投票の増加、そして2024年の選挙に向けて彼らの政治的同盟者への数兆ドルの支払いなどを正当化しようとしている。聞き覚えがあるだろう?」と彼は付言した。

 Covid-19の脅威が民主党と共和党双方の州知事によって引き起こされ、2020年、選挙法が変更された。郵送投票がより多くの有権者に発行され、通常の選挙日の締め切りを超えて受け付けられ、党の活動家は投票箱から投票を収穫することが許可され、証人の署名なしで不在者投票が受け入れられた。これらの法律の実施は州によって異なり、民主党が主導する州では通常、最も多くの規則が緩和された。

 これらの変更により、選挙はほとんどすべての伝統的な指標を無視してトランプの敗北で終わった。しかしこれらの変更を正当化するために使用された非常事態宣言を継続的に更新したのはトランプ自身だった。彼はまた、2020年3月と4月に全国的なロックダウンを実施し、学校の閉鎖を推奨する国家的なガイドラインを発表し、命令派のアンソニー・ファウチ博士を彼のコロナウイルス対策チームのリーダーに任命した。

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Read more:Trump pleads not guilty in Georgia election case

 「自由を奪おうとするすべてのコロナウイルスの暴君よ、次の言葉を聞きなさい。私たちは応じない。そんなことを考えることさえするな。学校は閉鎖しない。ロックダウンを受け入れない。マスク着用命令には従わない。ワクチン接種命令を許さない」とトランプは木曜日(8月31日)の映像で述べた。

 「彼らは2020年の選挙を不正操作し、今度は国の歴史の中で最も重要な選挙を再び不正操作しようとしている」。

 現在、公衆衛生当局は2つの新しいコロナウイルス変異株、EG.5(またはエリス)とBA.2.86の拡散を追跡している。疾病対策予防センター(CDC)は新たなウイルスの症例を追跡しなくなったが、最新のデータによれば、8月の第2週と第3週の間に入院患者が19%増加し、死亡者が17%増加している。ただし、今年の今月は昨年の同じ月と比較して入院患者が4分の1しかおらず、治療を受けているほとんどの人は65歳以上だ、とCDC部長マンディ・コーエンは火曜日(8月29日)に述べている。

 それにもかかわらず、ジョージアとルイジアナの大学、および一部の医療機関や他の企業では、既にマスク着用の義務付けを再導入している。

米英が捏造してきた偽情報の実例13―天安門、ウイグル、トンキン湾、(中略)、ブチャ虐殺

<記事原文 寺島先生推薦>
Was There Really a Massacre in Tiananmen Square, Or Was It an Illusion Fabricated by U.S. Politicians and Corporate Media to Make Americans Hate China?
原題:天安門広場の虐殺は本当にあったのか?それともアメリカ人を中国嫌いにするためにアメリカの政治家と企業メディアがでっち上げた幻覚なのか?
筆者:ジェレミー・クズマロフ( Jeremy Kuzmarov)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)   2023年8月23日号
コバートアクション誌(CovertAction Magazine)   2023年8月7日号
<記事飜 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年9月11日

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 1989年、アメリカ国民は天安門広場で中国共産党の戦車に立ち向かう勇敢な中国人学生たちの象徴的な映像の洪水の中にいた。学生たちは中国軍によって残忍にも虐殺された。もしくは、私たちはそう信じ込まされていた。

 しかし、驚くべき新たな著作が、アメリカ国民が騙されていたかもしれないことを明らかにした。『残虐な捏造とその結果―虚偽報道はいかにして世界秩序を形成するか』(アトランタ:クラリティ・プレス、2023年)の著者であるA・B・エイブラムスによれば、天安門広場では虐殺はおろか、殺戮もなかったという。そこには、アメリカ政府とそのオウム返し機関(自由な報道機関として誤って知られるもの)による、昔ながらの大衆の認識操作だけだった。

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虚偽の残虐報道は、アップルパイのようにアメリカ的である

 エイブラムスは、征服と搾取の帝国戦争を正当化し、軍産複合体に数十億ドルの利益をもたらすために、アメリカ国民に流された多くの嘘を、その初期から現在に至るまでひとつひとつ説明し、痛烈に解剖する。

 偽の残虐報道は、ウイグル人虐殺のデマを流すためには不可欠だった。それは、リビア、シリア、北朝鮮、ロシアといった米国の敵対国を標的にしたその他の偽情報キャンペーン(宣伝拡散)も同様である。

 天安門広場の場合、当初広場を占拠したデモ参加者のほとんどは、西洋化や中国政府の転覆を主張していたのではなく、むしろ中国の1949年の共産主義革命をより強く肯定し、毛沢東主義の理想を裏切った腐敗した役人を排除することを主張していたとエイブラムスは強調する。運動に参加した労働者の多くは、学生たちに比べて反中国共産党的で、社会民主主義の確立を目指していた。

 デモは非暴力的で、デモ隊は主に暴動防止装備を身につけた中国の警察や兵士に排除された後、平和的に広場を後にした。

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1989年6月の天安門広場の有名な場面。[出典: ibtimes.comi]

 エイブラムスは、2016年にウィキリークスが公表した北京のアメリカ大使館からの公電を引用し、中国兵がデモ隊を解散させるために天安門広場に移動したときに居合わせたチリの外交官とその妻の目撃談を報告している。

 その外交官夫妻はその場所に何度も出入りすることができ、嫌がらせを受けることもなかった。

 二人は、群衆への武器の一斉発砲も、当局による殺傷力の行使も目撃していない。

 ワシントン・ポスト紙のジェイ・マシューズ前北京支局長は1998年に認めている。「検証された目撃証言者は全員、軍隊が到着したとき広場に残っていた学生たちは平和的に退去させられたと言っている」、と。

 マシューズ元支局長は天安門事件を 「でっち上げ」 と呼び、「誤解を与えないジャーナリストを見つける方が難しい」 ことを強調した。また、入手可能な証拠から判断する限り、あの夜、天安門広場で死んだ者はいない。

 この見解は、ロイターのグラハム・アーンショー特派員も、6月3日から4日の夜を天安門広場の中心部で過ごし、多くの学生にインタビューして裏付けている。彼によれば、この時点でほとんどの学生はすでに平和的に退去しており、残りの数百人も同じように説得されたという。「虐殺はおろか、暴力もなかった」、と。

 西側メディアが虐殺があったと主張する主な情報源は、香港の新聞に掲載され、イギリスの情報源によって広く引用された匿名の清華大学の学生であった。元オーストラリア外交官で『オーストラリアン』紙の東京支局長を務めたグレゴリー・クラーク氏は、この圧倒的な報道をイギリスの闇情報操作によるものだとする多くの人物の一人であった。

 学生たちが虐殺されなかった証拠として、中国国営テレビは、夜明け直後に広場から平和的に行進する映像を流した。BBCの北京特派員ジェームズ・マイルズでさえ、「天安門広場での虐殺はなかった。......西側の報道は間違った印象を伝え、軍隊が広場に到着したときにまだ広場にいた抗議者たちは、交渉の末に退去を許された」と確認した。

 天安門広場でハンガーストライキを決行し、学生デモ隊に連帯を示した侯徳健(ホウ・デジャン)はこう振り返った。 「広場で200人が死んだと言う人もいれば、2000人も死んだと言う人もいた。戦車が立ち去ろうとする学生を轢き殺したという話もあった。しかし、私はそのような光景を一切見ていない。私自身は朝の6時半まで広場にいました」。

 天安門広場で殺された人々は、広場から遠く離れた場所で、兵士と反政府武装勢力との路上戦闘で殺された。米国務省の報告によれば、反政府勢力は銃器を携帯していない人民解放軍(PLA)将校を火炎瓶で激しく攻撃し、PLAとの銃撃戦が始まる前に、多くの将校を生きたまま焼き殺し、路上で拷問した。

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広場から離れ、人民解放軍(PLA)将校に石を投げるデモ隊[出典:buzzfeednews.com]

 エイブラムスによれば、暴力的な少数派の目的は、自分たちや平和的な多数派に対する軍事的反応を誘発することであり、それによって中国共産党政府を中傷し、急進的な反政府党派の隊列を大きくする原因をつくることだった。

 挑発者たちの一部は台湾で訓練され、おそらくアメリカの諜報機関によって訓練された可能性がある[1]。最も過激なデモ指導者であるチャイ・リン*(柴 玲)は、ジーン・シャープ**と緊密に連携していたと伝えられている。シャープは、西側の影響が及ばない国の内部反体制派を利用して不安定化工作を実現するアメリカの第一人者である。
 *1966年4月15日生まれ。中華人民共和国の民主化活動家。六四天安門事件の学生指導者。
 **アメリカの政治学者。マサチューセッツ大学の名誉教授であり、ボストンのアルベルト・アインシュタイン研究所の上級研究員だった。著書『独裁体制から民主主義へ』は、世界中で広く読まれており、非暴力による民主主義革命の理論的支柱になっている。


 シャープはCIAやCIAに連なる全米民主化基金(NED)と非常に密接に連携し、ワルシャワ条約機構やソ連のヨーロッパ地域、そして「アラブの春」の中東において、同様の不安定化工作で重要な役割を果たした。


ウイグル人虐殺のデマ

 天安門事件に関する米・西側の偽情報は、中国共産党政府が新疆ウイグル自治区のウイグル族に対してジェノサイド(大虐殺)を実行したとする入念な偽情報キャンペーンの下地を作った。

 エイブラムスが指摘するように、こうした主張は、米国政府出資の反中グループに圧倒的に依存していた。彼らは、イスラム主義や分離主義の立場をとる強硬なウイグル人反体制派が牛耳っている。

 NEDは1983年の設立以来CIAと密接な関係にあり、CIAが以前は単独で行なっていたことを、より秘密裏に遂行する任務を負っていた[2]。

 反体制派の証言はしばしば矛盾しており、2010年から2018年にかけて新疆ウイグル自治区のウイグル人人口が25%増加したという事実(ジェノサイドの犠牲となった人々は、明らかに人口の減少を被っているはず)によって裏付けられた。

 欧米のメディアで強制収容所と烙印を押された収容所は、実際には物流公園、通常の拘置所、小中学校だった。

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[出典:: shapehistory.com]

 新疆で多くの時間を過ごした元ロンドン警視庁警官のジェリー・グレイは、西側の主張が彼の直接の観察とまったく食い違っていたことを回想した:

「強制収容所にウイグル人が100万人もいるなんて、まったくのでたらめだ。ウイグル人が1,100万人から1,200万人いることを忘れないでほしい。100万人のウイグル人が収容所にいるなどという根拠はまったくない。観光客向けのレストランではなく、普通のレストランだった。彼らは歌い、踊る。ウイグル人が楽しいときにすることだ。ウイグル語はとても生き生きしている。人々はその土地の言葉を話す。どの店にも、どのメニューにも、どのレストランにも、その土地の言葉が書かれていた。」

 新疆ウイグル自治区は安全で治安もよく、私が話をした人たちはみな満足しているようだ、とグレイは締めくくった。

 カナダ人ビジネスマンで、10年以上中国に滞在した中国政治の研究家ダニエル・ダンブリルも、同様の趣旨のことを述べている:

「私たちは、ウイグル人の人口が根絶されつつあると信じることを期待されている。文字どおりの意味であれ、文化的な意味であれ、馬鹿げた発言だ。中国のウイグル族は、一人っ子政策の対象にならなかったことや、2万ものモスクが建てられたこと、彼らの文字が国の通貨に表記されたこと(後に彼は、これはカナダが先住民族にしなかったことだと指摘している)、中国最大のスターはウイグル族の女性で、最近ルイ・ヴィトンのブランド宣伝大使に起用されたこと、ウイグル族の子どもたちは漢民族よりも簡単に一流大学に入学でき、食堂ではハラルフード*が用意され、キャンパス内には礼拝エリアがあることなどから、大多数の漢民族よりも急速に成長してきた。」
*イスラム教において食べることが許されている料理や食品

 過去にアメリカは、1997年から2014年にかけて行なわれたテロ攻撃で1,000人以上の中国市民を殺害し、トルコの支援を受けてシリアのアサド政権と戦った東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)を支援することで、新疆ウイグル自治区の不安を煽る手助けをしていた。

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米政権は第二次世界大戦後、2000万~3000万人を殺害してきた
ETIM(東トルキスタン・イスラム運動)の戦闘員 [【出典:archive.shine.cn]


 2018年、コリン・パウエル国務長官の元参謀長であるローレンス・B・ウィルカーソン大佐は、アフガニスタンに米軍が駐留する最大の理由は、共産主義中国の不安定化と弱体化に利用できる新疆ウイグル自治区のウイグル人武装勢力が近くにいるからだと指摘した。

 2017年以降、中国政府はウイグル人住民の過激化を防ぎ、過激化しやすい人々を社会に統合するために改善策を講じた。雇用を得たり、現代生活に対処したりするのに役立つ実践的な技能を必要としているウイグル人に教え、それによって犯罪活動やテロリズムへの誘惑を減らすための新しい機関が設立された。

 これらは、悪評高いと言われた中国共産党の再教育キャンプであったが、実際には2019年までにウイグル人の犯罪やテロを減らすことに成功した。

 FBIの内部告発者シベル・エドモンズは、西側諸国が新疆ウイグル自治区における人道的虐待の疑惑をでっち上げ、自国のメディアがこの問題を大きく取り上げ、反中感情を煽るだろうと予測していた。1950年代から国外で武装勢力を養成する同様の組織活動を展開していたチベットで、米国が過去に行なっていたのと同じように、である。

 この反中感情は、東南アジアにおけるアメリカの大規模な軍備増強と中国包囲網を正当化するのに役立った。中国は経済的成功を収め、アメリカの一極支配への挑戦を強めているため、ますます脅威になっていると見なされたのである。


歴史上の残虐行為の捏造

 エイブラムスは『残虐行為の捏造とその結果』の中で、「敵対国が特にひどい犯罪を犯していると描くことは、特にその敵対国に対して軍事行動やその他の敵対的措置を開始しようとする場合、世論や国際世論を動かし、(アメリカの)帝国主義的行動を正当化する効果的な手段を一貫して提供してきた」と書いている。

 重要な青写真が確立されたのは、第一次世界大戦中、イギリスのブライス委員会が1915年にベルギーのドイツ兵に関する嘘の残虐物語を流したときである。それは、イギリスの民衆が対戦への介入を支持するように変え、アメリカにおいて戦争への抵抗を弱めたのである。

 元駐米英国大使のジェームズ・ブライス子爵が委員長を務めたこの委員会は、ドイツ人によるベルギー人女性や少女への公開レイプや身体切除、8人のドイツ兵による2歳の子供の銃剣突きを扇情的に描いたのである。

 報告書は、ほとんどが匿名のベルギー難民の証言に基づいており、伝聞証拠がそのまま受け入れられた。

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イギリスの戦争プロパガンダ[Source: reddit.com]

 1922年にベルギーで開かれた調査委員会は、残虐行為が実行されたとされる現場での調査を行なったが、ドイツ軍の過剰行為に関する報告はひとつも確認できなかった[3]。

 CIAはブライス委員会の成功を模倣し、冷戦時代にエイブラムスが言うところの「政治的物語を操作するために、強力な世界的な情報網」を構築しようとした。

 エイブラムスは書いている。「CIAのモッキンバード作戦は、より顕著な関連作戦のひとつであり、アメリカ人ジャーナリストがCIAの指示した記事を掲載するように採用されるのを見た。それらの記事は、しばしばソ連やその同盟国を、全く捏造された情報で中傷した」、と。

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[出典:whatyouthoughtwentaway.wordpress.com]

 1962年、米国防総省と統合参謀本部(JCS)は、国内と世界の世論をキューバに敵対させる作戦を提案した。それは、フロリダのマイアミでテロ攻撃を仕掛けるというもので、キューバ政府のせいにすることができ、CIAがピッグス湾で屈辱を味わった後、米軍の侵攻を正当化することができるというものだ。

 ベトナムでは、CIAの医師トム・ドゥーリーがブライス委員会の脚本にしたがって、ベトミンが1,000人の妊婦の腹を切り、裸の司祭の睾丸を竹の棒で殴り、キリスト教の聖書を聞かせないために子供の耳に箸を突き刺したという話をでっち上げた。

 この頃CIAは、ゴ・ディン・ディエム率いる傀儡政権の樹立を進めており、ゴ・ディン・ディエムは、政治的反対勢力を組織的に一掃しようと、CIAの後ろ盾のもとで奮闘していた。

 1964年、ジョンソン政権はトンキン湾事件をでっち上げた。米艦艇が南シナ海で北ベトナムに攻撃されたとされるが、これは米軍の全面侵攻と、北ベトナム、南ベトナムの民族解放戦線(NLF)や、近隣のラオスやカンボジアの補給線を標的にした世界史上最大の空爆作戦を正当化するためのものだった。

 2002年に公開されたホワイトハウスでの録音によれば、その反響の大きさにもかかわらず、リンドン・B・ジョンソン大統領でさえ、北ベトナムがトンキン湾で攻撃を開始したという主張には強く懐疑的であったという。そして、その後の38年間の証拠を見ても、北ベトナムによる攻撃はなかったということに疑問の余地はなかった。

 1960年代を通じてベトナム戦争が長引くにつれ、米政府とCIAは米軍による大規模な残虐行為を隠蔽するために、敵による残虐行為をでっち上げ続けた。

 スティーブン・ヤング上院議員(オハイオ州選出)は、ベトナムにいたとき、CIAから、CIAはベトコン(ベトナムの共産主義者)に偽装して殺人やレイプなどの残虐行為を行ない、住民の信用を失墜させたと聞いた、と語っている。

 フィリピンでは、土地の再分配を望み、アメリカの地域構想に反対するフク族の評判を低下させるために、反乱軍(フク族)に偽装したアメリカ寄りの政府軍が村を略奪し、市民を殺害することが許されていた。

 米空軍とCIAの間で作戦を調整した米空軍将校のL.フレッチャー・プラウティは、この手法はCIAの諜報員エドワード・ランズデールの指示のもとで「フィリピンで高度な芸術の域にまで発展した」と述べ、同じ手法の多くがベトナムでも使われたと語った。


朝鮮半島での犯罪

 ベトナム戦争と同様、朝鮮戦争も残虐行為であったが、それは邪悪な共産主義者から住民を救うための「人道的介入」であった。

 この物語を制度化するために、国防総省はハンフリー・ボガートがナレーションを担当したプロパガンダ映画『朝鮮の犯罪』を後援した。

 エイブラムスは、「アメリカのメディアで広く流布された『朝鮮の犯罪』は、世間一般から見て、戦争を推進するために道徳的な要請を与えた」と書いている。

 『タイム』誌の「野蛮」と題するコラムも同様で、テジョン(太田市)での大規模な共産主義者の虐殺を記述していたが、後の調査で、アメリカと同盟を結んだ韓国軍による犯行と判明した。

 ジョセフ・マッカーシー上院議員(共和党、ウィスコンシン州選出)によって任命されたチャールズ・E・ポッター上院朝鮮人残虐行為小委員会委員長(共和党、ミシガン州選出)は、米国の敵対勢力は「文明化された人類に対して起こされた獣のような行為」の罪を犯していると強調した。

 彼は、「紅い中国人」 の看護婦が「麻酔の効果もなく、庭ばさみでGIの足の指を切り落とした」と述べ、アメリカ人捕虜は竹槍で拷問され、「小さな鉄の檻に入れられ、動物のように餓死させられ、眼窩からウジが出てきた」と主張した。

 これらの主張は、アメリカ人やイギリス人の捕虜の証言と矛盾していた。捕虜たちは、共産主義についての講義を受けなければならないことには不満を漏らしたものの、捕虜たちからはまともに扱われていたと語っていた。

 一方、北朝鮮と中国の捕虜は、米国が運営する捕虜収容所で極端な残虐行為にさらされ、収容者は革命歌を歌っただけで虐殺され、故郷への送還を放棄するよう暴力的に強要された。

 これは、米国が冷戦下で、政治経済システムが優れているとされる西側への亡命を囚人たちが望んだと主張することで、プロパガンダの効果を上げるためだった。

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朝鮮戦争中、アメリカが運営したコジェド(巨済島)収容所では、深刻な虐待が行われた。[【出典:kushibo.orgg]

 北朝鮮に対する宣伝攻勢は21世紀に入っても続き、北朝鮮を悪者にするために、これまで以上に突飛な話が作り出された。

 こうした話の多くは、CIAとまではいかなくとも、韓国から圧力を受けたり、金をもらったりした脱北者によって流布された。

 そのような脱北者の一人であるシン・ドンヒョク(申東赫)は、ワシントン・ポスト紙の特派員ブレイン・ハーデンと共著で『Escape From Camp 14: One Man's Remarkable Odyssey from North Korea to Freedom in the West(第14収容所からの脱出:北朝鮮から西側での自由への一人の男の驚くべき旅)』というベストセラーを書いたが、捏造であることが暴露された。ドンヒョクは後に、自分の話の大部分を撤回した。

 西側で12,500ドルの講演料を要求した別の脱北者、パク・ヨンミ(朴研美)は、友人の母親がハリウッド映画を見たために処刑されたという馬鹿げた主張をおこなった[5]。

 さらにもう一人、イ・スンオク(李順玉)は2004年に下院委員会で、北朝鮮の政治犯収容所でキリスト教徒が拷問され、鉄で焼き殺されるのを目撃したと証言したが、脱北者協会のチャン・インスク(張 仁淑)代表は、イが政治犯ではなかったことを直接知っていると述べた。

 エイブラムスによれば、一流のポップ歌手から将軍まで、北朝鮮の著名人が国家によって処刑されたという捏造報道は、死んだはずの人物がカメラに奇跡的に再登場することで頻繁に再報道されていた。

 2015年5月のCNNの報道は、「体制の醜い真実を明らかにする」という枠組みで、金正恩委員長が叔母の金敬姫(キム・ギョンヒ)を毒殺するよう自ら命じたとしたが、金夫人は生きており、2020年1月に公の場に姿を現した。

 エイブラムスによれば、虚偽の脱北者の証言と偏向報道は、「西側諸国では、世界で最も西洋化されていない国家に対する西洋の優位という考えを肯定するように見せかけ、自己満足を与えるために高く評価された。そして、東アジアの敵対国に対する敵対政策の口実を提供し、通常はさらなる経済制裁を含んでいる。」


湾岸戦争での捏造

 1990年10月10日、クウェートに侵攻したイラク兵が、クウェートの病院で赤ん坊を保育器から引き剥がし、床に放置して死なせたと、ナイラと名乗る15歳のクウェートの少女が米議会の人権委員会で直接に証言した。

 彼女の公聴会を後援した上院議員たちがよく知っていたように、ナイラはサウド・アル=サバ駐米クウェート大使の娘であり、イラク侵攻以来クウェートにはいなかった。

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[出典:midnightwriternews.com]

 証言の主導者は、ワシントンD.C.を拠点とする広報委員会「自由なクウェートのための市民の会」(CFK)で、クウェート政府から資金提供を受け、広報会社「ヒル+ノールトン」社と緊密に協力し、イラクに対する世界世論に影響を与え、同国に対するアメリカの軍事行動への支持を得るために活動していた。

 人権委員会の議長であるトム・ラントス(民主党、カリフォルニア州)とジョン・E・ポーター(共和党、イリノイ州)は、CFK(自由クウェートのための市民運動)から5万ドルの寄付を受け、「ヒル+ノールトン社」のワシントン本部に無料で事務所を与えられた。

 その10年後、サダム・フセインについては、大量破壊兵器(WMD)に関する有名な疑惑とともに、敵を人間シュレッダーにかけ、その残骸を魚の餌にしたという根拠のない非難を受け、さらに残虐な話が広められた。

 ウォール街の元記者ジョン・マッカーサーは、2つのペルシャ湾戦争の間に捏造された残虐なプロパガンダの一貫性について、「10年以上前と同じ連中がやっている」と指摘した。彼らは自分たちの思いどおりにするためなら、どんなことでもでっち上げる」、と述べた。


ユーゴスラビア、バルカン戦争、シリア

 1990年代のユーゴスラビアでは、アメリカの戦争プロパガンダはセルビア人指導者スロボダン・ミロシェビッチを中傷し、コソボやその他の地域で大量虐殺を実行したと根拠のない非難をすることに集中していた。

 ミロシェビッチは社会主義者で、ユーゴスラビアをまとめ、バルカン化を防ごうとしていた。

 戦争における最悪の民族浄化行為は、CIAによって計画された「嵐作戦」でクロアチア人によって実際におこなわれたものである。

 クリントン政権は、さらにコソボ解放軍(KLA)を支援した。KLAは、民族的に純粋なアルバニア人国家の樹立を目指し、セルビア人やその他の少数民族を標的としていた。

 麻薬取引からの資金に大きく依存するKLAは、米国務省から「テロ組織」の烙印を押され、NATOの北大西洋理事会からは、コソボにおける「暴力の主な起爆装置」とみなされた。

 セルビア人を「新しいナチス」として描く努力を主導したロイ・ガットマン記者は、セルビア人が強制収容所を運営し、クロアチア人やその他の犠牲者が火葬炉で焼かれ、家畜の飼料にされていると主張する記事を『ニューズデイ』紙の一面に掲載した。

 この記事は、殺害を目撃していない一人の男の証言だけを根拠としていることを証言者自身が認めた。イギリス人ジャーナリストが死の収容所とされる場所を訪れたところ、近隣の村での戦闘から逃れるために収容者たちが自ら進んでその場所に入ったという事実が判明し、反証となった。

 ガットマンは後に、シリアのバッシャール・アル=アサド政権を中傷する同様の宣伝工作で主要な役割を果たすことになる。アサド政権は2010年代初頭までに、ユーゴスラビアとセルビア人に代わって、西側諸国が戦時中の残虐行為を捏造する主な標的となっていた。

 この誹謗中傷キャンペーンには、化学ガスによる自国民への攻撃をアサド政権のせいにしようとする試みも含まれていた。しかし、それらの攻撃は、米国が支援する反政府勢力が行なったものであり、アサド政権側は全く関与していなかった。


リビア――古い脚本をなぞって

 シリアへのアメリカの軍事介入を売り込むために使われた嘘は、ムアンマル・カダフィに対してリビアで採用されたものと似ていた。カダフィは、集団レイプを実行するためにバイアグラを軍隊に提供し、大規模な虐殺を計画していた。それを阻止しなければならなかったという。

 しかし、この国で実際に虐殺が行なわれたのは、欧米とカタールが資金提供したジハード主義の反政府勢力によるもので、彼らはカダフィの打倒後、リビアの黒人を民族浄化の対象とした。

 カダフィは、反乱軍を「植民地主義者である米英のために働く裏切り者」と呼んだ。

 これらの植民地主義者たちは、2011年のリビア攻撃で大規模な戦争犯罪を犯した。カダフィ政権が始めた270億ドルの灌漑プロジェクトであり、リビアの水不足を根絶するものであったグレート・マンメイド・リバー*を爆撃した。
*「巨大人造水路」。サハラの深部にある古代の地下帯水層からリビアの海岸に高品質の淡水をもたらし、家庭用、農業、産業用の地下パイプラインのネットワーク。

 米国とその同盟国によって、またしても偽の残虐行為が、実際の残虐行為を正当化し、独立した政治的・経済的な歩みを進めようとする国家を破壊するために利用されたのである。


その他の事例――ルワンダとロシア

 エイブラムスの著書は非常に包括的だが、いくつかの重要なケースを省いている。最初はルワンダである。1994年4月、フツ族の過激派がツチ族に対して一方的に大量虐殺をおこない、世界が傍観している間に約80万人が殺害されたと糾弾された。

 しかし、1991年の国勢調査では、ルワンダには59万6千人のツチ族が住んでおり、そのうち30万人が生存していると推定されている。つまり、296,000人のツチ族がフツ族に殺されたが、残りの死者、500,000人以上がフツ族だったということになる[6]。

 研究者であるアラン・スタムとクリスチャン・ダヴェンポートが発見したことは、フツ族とツチ族が攻撃者と犠牲者の両方の役割を担っており、1994年4月に殺戮が最も多く行なわれた戦場は、ツチ族が率いるルワンダ愛国戦線(RPF)が実行した軍事作戦の急増と関係していることであった。1990年5月、そのルワンダ愛国戦線(RPF)のウガンダへの侵攻は、米英によって支援されていて、全面戦争の引き金となった。

 フツ族の残虐行為に関する誇張された主張は、後にクリントン政権とブッシュ第2政権によって、ポール・カガメ率いるルワンダのRPF政府が、表向きはフツ族の大量虐殺者を追い詰めるために武装したことにして、コンゴ民主共和国(DRC)への侵攻を正当化するために利用された。

 この侵攻は数百万人の死者を出し、ルワンダとその同盟国ウガンダ、そしてアメリカに拠点を置く多国籍企業によってコンゴの天然資源が略奪されるという結果となった。

 最後に挙げるに値する例は、米国政府が100年以上にわたって偽情報を流し続けてきたロシアである[8]。

 1917年10月のボリシェヴィキ革命後、米国議会はブライス委員会に匹敵する扇動的な公聴会を開き、ソビエト・ロシアを、歴史家フレデリック・シューマンが言うように、「文明の痕跡をすべて破壊し、国家を野蛮に戻すことを目的とした殺人狂の組織(ボリシェヴィキ)のなすがままになっている、忌まわしい奴隷が住む一種のベッドラム(精神病院)」と描いた[9]。

 ボリシェヴィキ政権(「赤軍」)の打倒を目指す旧帝国軍将校(「白軍」)を支援するためにロシアに侵攻したアメリカ遠征軍の総司令官ウィリアム・グレイブスは、しかし、ボリシェヴィキがロシア内戦で1人殺すごとに、白軍は100人殺したと述べた。

 ロバート・アイケルバーガー中佐は、赤軍ではなく白軍の残虐行為は「中世における恥辱のようなもの」だったと述べている[10]。

 今日、バイデン政権は、ロシアとの代理戦争でウクライナへの軍事支援をエスカレートさせることを正当化するために、さらにロシアの残虐行為をでっち上げるという古い脚本をなぞっている。

 2022年4月4日、バイデンは、ウクライナの町ブチャでロシア軍による市民の大量殺戮が報道されたことを受けて、ロシアのプーチン大統領を戦争犯罪人と呼び、記者団にこう語った。 「ブチャで起きたことを見ただろう。この男は残忍で、ブチャで起きていることは言語道断だ」、と。

 しかし、奇妙なことに、ブチャでロシア軍が民間人の殺害に従事しているビデオ映像はひとつもなく、ブチャで殺害された人々の大半は、ロシア軍が撤退した後、ネオナチのアゾフ大隊による掃討作戦中に殺害されたことを示す証拠がかなりある[11]。

 アメリカ政府は以前、2014年7月にウクライナ東部上空でマレーシア航空機が撃墜されたとロシアを非難していたが、現場証拠ではウクライナ空軍のみが保有する空対空ミサイルで撃墜されたことが示されている。

 ロシアに向けられた虚偽の告発は、現在我々を潜在的な核戦争の瀬戸際に追い込んでいて、その攻撃的な軍事政策への国内世論の支持を形成する上で重要な意味をもっている。歴史には多くの類似点があるが、今日の危険は以前よりもさらに大きくなっているようだ。

*
ジェレミー・クズマロフ(Jeremy Kuzmarov)は「コバート・アクション(隠密行動)」誌の編集長。オバマの終わらない戦争』(クラリティ・プレス、2019年)、ジョン・マルシアーノとの共著『ロシアが再びやってくる』(マンスリー・レビュー・プレス、2018年)など、米国の外交政策に関する4冊の著書がある。連絡先:jkuzmarov2@gmail.com

*
訳註

1. こうした指導者の中には、欧米による香港の植民地化を公然と支持する者も多く、2010年にノーベル平和賞を受賞した劉暁波は、「中国が前進するためには、少なくとも300年にわたる欧米の植民地主義が必要だった」と主張している。

2.2004年以降、NEDはウイグルの擁護団体に875万8300ドルを供与している。中国人権擁護団体ネットワーク(CHRD)もまた、新疆ウイグル自治区虐殺疑惑の主要な情報源であり、NEDを通じて米国議会から多額の資金援助を受けていた。ラジオ・フリー・アジアはCIAの放送関係のための新規企業で、西側の敵対者を中傷するために、特におかしな捏造記事を制作してきた長い歴史がある。もう一人の情報源はドイツの「学者」エイドリアン・ゼンツで、彼は福音主義的な神学教育機関だけで教鞭をとっており、査読のある学術誌に発表したことはない。

3. アメリカの特派員アーヴィン・S・コブは、メディアで報道された残虐行為の10件のうち1件は実際に行なわれた可能性があると述べた。

4. 米海軍情報部の海軍史部長代理で米海軍の上級歴史家であるエドワード・J・マロルダ博士によれば、北ベトナムの無実は「十分に立証されていた」という。

5. 朴大統領は自身のYouTubeチャンネル「Voice of North Korea」で60万人の登録者を獲得し、一貫しておかしな主張を展開し、国の崩壊と指導部の転覆が間近に迫っていると頻繁に予言する新しい動画を週に数回公開していた。2021年上半期だけでも、次のような例がある。 金正恩の妹や多くの北朝鮮の子どもたちがクリスタルメス*を常用していること、障害者やエイズ患者が処刑されたり化学兵器で実験されたりすること、金正恩が密かに同性愛者で女性の性奴隷を持っていること、などなど。
*非合法のアンフェタミン。コカインに比べ安価で持続性に富む。

6. Marijke Verpoorten, 「ルワンダ: ジェノサイドで20万人のツチが死んだという主張はなぜ間違っているのか」『アフリカの主張』2014年10月27日。

7.Genocide (New York: Monthly Review Press, 2010), 58, 132, 133. ダヴェンポートとスタムは、1996年当時ルワンダには50万6,000人のツチ族がいたという信念に基づき、殺害されたツチ族は20万人に過ぎないと指摘しているが、マライケ・フェルポールテンのような他の研究者は、50万6,000人という数字は低すぎ、ルワンダには59万6,000人ほどのツチ族がいたと指摘している。しかし、彼女の数字を受け入れたとしても、ツチ死亡者の公式合計は公式発表よりはるかに少ないだろう。

8. ジェレミー・クズマロフ、ジョン・マルシアーノ『ロシア人が再びやってくる:最初の冷戦は悲劇として、2番目は茶番として』(New York: Monthly Review Press, 2018)を参照。

9,その後、マスコミはボリシェヴィキが女性を国有化(支配)したとまで主張するセンセーショナルな記事で埋め尽くされた。

10. クズマロフとマルシアーノ『ロシア人は再びやって来る』50。

11. 元米海兵隊情報将校のスコット・リッターは、路上に横たわる死体を映した衛星画像から、これらの人々が発見される24~36時間前に殺されたことを割り出した。遺体の多くは上腕に白い布を巻いており、これはロシアへの忠誠心か、ロシア人にとって脅威ではないことを示す視覚的な指定であった

数十億ドル規模の 「指向性エネルギー兵器(DEW)」市場、軍用と 「民生用」(?) DEWはハワイで使われたのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Multi-Billion Dollar “Directed Energy Weapons (DEW)” Market, For Military and “Civilian Use” (?). Were DEWs Used in Hawaii?
筆者;ミシェル・チョスドフスキー (Michel Chossudovsky)
出典:グローバルリサーチ  2023年8月30日
<記事飜訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年9月4日


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 指向性エネルギー兵器(DEW)は53億ドルの好況な市場(2022年)をなし、2027年までに129億ドルに増加する予定である。この利益追求型の軍需産業市場は、レイセオン、ノースラップ・グランマン、BAEシステムズ(plc)、ボーイング、ロッキード・マーチン、L3ハリス・テクノロジーズを含む6つの「国防請負業者」によって牛耳られている。

 レイセオンによれば

「指向性エネルギー(DE)技術の開発は、ドローンの脅威に対抗するために使用される。」

 指向性エネルギー兵器にはいくつかの高度な技術がある。例えば、高エネルギー・レーザー(Hel)、高出力無線周波数兵器、音波兵器、電磁波兵器である。(詳細については、下の表「指向性エネルギー市場の呼び物」を参照)。

 指向性エネルギー兵器は主に軍事利用を目的としているが、いわゆる「非致死性」および/または「致死性の低い」指向性エネルギー兵器は、いわゆる「国土安全保障用途」にも想定されている(下表参照)。


証拠: 指向性エネルギー兵器はハワイで使用されたのか?

 画像は、荒廃と破壊の範囲と性質を確認している。(以下のビデオを参照)。

 また、発生した被害が「自然現象」によるものではないことを示唆している。

 証拠は、指向性エネルギー兵器(DEW)が使用された可能性(まだ完全に確認されていない)と破壊行為が意図的であったことを示唆している。


ビデオ: 家屋が標的に? 緑の木々は無傷のまま

 空撮映像をご覧ください。この山火事の場所はまだ確認されていない。オレゴン州南部かもしれない。[2023年8月19日]

  被害を受けていない木々の間に全焼した家屋があるのはなぜか?


ビデオ 「意図的な破壊」?

追加画像 0904

*訳者:上掲の映像は原サイトからご覧下さい。








 上記のCBSの報道は、"A Wildfire Disaster"(山火事による災害)と指摘している。

 何千もの家族が家を失い、焼け野原になった。DEW攻撃による壊滅的な影響は言及されていない。公式発表は 「自然現象」 と指摘している:

「自宅が焼け落ちた家族を呼び出して、その土地を市場価格以下で買い取ると申し出るなどということを想像できるだろうか?

 これはハワイで今、大規模に起こっているようだ。」 マイケル・スナイダー、(2023年8月17日)

***
***

 軍産複合体の民間企業6社のうち、レイセオンとBAEシステムズは、米空軍のためにENMOD( 環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約)技術にも関与している。

 国際市場も盛んである。DEWは世界中に輸出されている。電磁兵器を含む様々な技術がある。

 いわゆる「国土安全保障用途」での使用には、空港保護、暴動鎮圧、インフラ保護などの「非致死的」民間用途も含まれる(下記参照)。


市民による犯罪捜査?

 これらのいわゆる 「非致死的」 あるいは 「致死的でない」 DEWは、民間企業および/または政府機関によって入手または購入可能なのか?DEWSの販売や非致死的使用は規制の対象となるのか?

 MarketandMarkets.comによると、非軍事的な 「非致死的」用途は北米市場の41.2%以上を占めている:

 「陸・空・海の安全保障のためのレーザー兵器需要の高まり、指向性エネルギー兵器の新たな開発、非致死性兵器の採用が市場を成長させる原動力となっている。」

 ハワイやアメリカ各地で起きたこの壊滅的な破壊の背後に何があるのか、市民による調査が必要である。

 私たちは今日、ハワイの人々に思いを寄せている。

 以下は、指向性エネルギー兵器市場の調査である:

 下の画像をクリックすると完全な文書にアクセスできます。

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気象兵器:「米軍による気候兵器の実験に要注意!」

<記事原文 寺島先生推薦>
Weather Warfare: “Beware the US Military’s Experiments with Climatic Warfare”
「気候兵器」は、気候変動に関する議題から除外されている。
筆者:ミシェル・チョスドフスキー教授
https://www.globalresearch.ca/author/michel-chossudovsky
出典:グローバル・リサーチ  2023年9月1日
初出:『エコロジスト』2007年12月号、グローバル・リサーチ2007年12月7日号
<記事飜訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年9月3日


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筆者による注

 「環境改変技術」とは、自然のプロセスを意図的に操作することによって、生物相、岩石圏、水圏、大気圏を含む地球、あるいは宇宙空間の力学、組成、構造を変化させる技術を指す。(環境改変技術の軍事的またはその他の敵対的使用の禁止に関する条約、国連、ジュネーブ、1977年5月18日)

 「米軍の科学者たちは、潜在的な兵器として気象システムの研究に取り組んでいる。その方法には、嵐を強化したり、地球の大気中で「大気の川」の向きを変えたりして、干ばつや洪水を引き起こすことを狙っている。(故ロザリー・バーテル)

 指向性エネルギー兵器(DEW)は53億ドル(2022年)の活況を呈しており、2027年には129億ドル(約1.6兆円)にまで拡大すると予測されている。この利益主導の軍需産業市場は、レイセオン、ノースラップ・グランマン、BAEシステムズ(plc)、ボーイング、ロッキード・マーチン、L3ハリス・テクノロジーズを含む6つの「国防請負業者」によって支配されている。

 「レイセオン社とBAEシステムズ社も米空軍に代わってENMOD技術に関与している」(ミシェル・チョスドフスキー、2023年8月)


関連記事
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「数十億ドル規模の "指向性エネルギー兵器(DEW)"市場、軍用と"民生用"(?) この兵器DEWはハワイで使われたのか?」
(ミシェル・チョスドフスキー、2023年8月30日)

***

 私は2001年、アラスカのゴコナにあるHAARPアンテナ・システムに焦点を当て、環境改変技術(ENMOD)の研究を開始した。

 HAARP施設は、高度な能力を有し、1990年代半ばから全面的に稼働していた。

 HAARPは2014年に閉鎖されたが、環境改変技術(ENMOD)の技術はこの10年間でますます複雑になり、精度も高まっている。文書の多くは機密扱いになっている。

 米国では、指向性エネルギー兵器(DEW)が、DARPA(国防高等研究計画局)や空軍研究所、海軍研究局など、国防総省に関連する複数の機関によって研究されている。

 気候、地球工学、環境改変技術(ENMOD)に関する議論に関連して、The Ecologistが最初に発表したこの記事(2007年12月7日)は、概要と歴史を提供している。また、BAEシステムズ社やレイセオン社など、HAARP開発における民間軍事請負業者の役割も確認されている。

ミシェル・チョスドフスキー 2023年8月17日

***
 地球規模の気候変動に関する議論ではほとんど語られていないが、世界の天候は現在、新世代の高度化された電磁波兵器の一部として変更することができる。アメリカもロシアも、軍事利用のために気候を操作する能力を開発してきた。

 環境改変技術(ENMOD)は、米軍によって半世紀以上にわたって実用化されてきた。米国の数学者ジョン・フォン・ノイマンは、米国防総省と連絡を取りながら、冷戦真っ只中の1940年代後半に気象改変の研究を開始し、「まだ想像もつかないような気候戦争の形態」を予見した。ベトナム戦争では、1967年に始まったポパイ計画で雲を播く技術が使われた。その目的は、モンスーン期間を長引かせ、ホーチミン・ルート沿いの敵の補給路を遮断することだった。

 米軍は、気象パターンを選択的に変化させることができる高度な能力を開発した。高周波活性オーロラ研究プログラム(HAARP)の下で完成しつつあるこの技術は、戦略防衛構想(スター・ウォーズ)の付属物である。(HAARP施設は2014年に閉鎖されたが、それ以後も、より高度な施設が開発されている)軍事的見地から見れば、HAARPは大気圏外から作動する大量破壊兵器であり、世界中の農業を不安定化させることができる。

 米空軍の文書AF2025最終報告書によれば、気象改変は 「戦争をする兵士に、敵対者を打ち負かしたり、威圧したりするための幅広い可能性のある選択肢を提供する」 ものであり、その能力は洪水、ハリケーン、干ばつ、地震の誘発にまで及ぶという:

 気象改変は、国内および国際的な安全保障の一部となり、一方的に実行される可能性がある......攻撃的および防衛的な応用が可能で、抑止力の目的で使用されることさえある。地上に降水、霧、嵐を発生させる能力、宇宙気象を修正する能力...そして人工気象を作り出すことはすべて、統合された一連の(軍事)技術の一部である」。*(『戦力増強装置としての天候:2025年の天候を支配する』)。

 1977年、国連総会は 「広範囲で、長期的、または深刻な影響を及ぼす環境改変技術の軍事的またはその他の敵対的使用」を禁止する国際条約を批准した。同条約は「環境改変技術」を「生物相、岩石圏、水圏、大気圏を含む地球、または宇宙空間の力学、組成、構造という、自然界の流れを意図的に操作することによって変化させるあらゆる技術」と定義した。

 1977年条約の内容は、1992年のリオでの地球サミットで署名された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)で再確認されたが、軍事利用のための気象改変に関する議論は科学的タブーとなっている。

 軍事評論家はこのテーマについて無言である。気象学者はこの問題を調査せず、環境学者は京都議定書の温室効果ガス排出量にだけ注目している。軍事的・諜報的意図の一環として気候や環境が操作される可能性は、密かに知られているが、国連が支援する気候変動に関するより広範な議論の一部にはなっていない。


HAARP計画

 1992年に設立されたHAARPは、アラスカのゴコナに拠点を置き、高周波電波を通して電離層(大気の上層)に大量のエネルギーを送信する高出力アンテナ群である。その建設には米空軍、米海軍、国防高等研究計画局(DARPA)が資金を提供した。空軍研究所と海軍研究局が共同で運営するHAARPは、「電離層の制御された局所的な変化」を作り出すことができる強力なアンテナ装置である。公式ウェブサイト(www.haarp.alaska.edu)によると、HAARPは「電離層の温度に局所的な小さな変化を誘発し、HAARPの設置場所かその近くにある他の観測装置で物理的反応を研究する」ために使用される。

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HAARPのアンテナ群

 しかし、国際公衆衛生研究所(International Institute of Concern for Public Health)のロザリー・バーテル会長は、HAARPは次のように機能していると言う:

「電離層に大きな混乱を引き起こし、致命的な放射線が地球を襲うのを防ぐ保護層に、穴だけでなく長い切り傷を作ることができる巨大な熱源発生器(ヒーター)」

 物理学者のバーナード・イーストランド博士は、これを「これまでに作られた中で最大の電離層ヒーター」と呼んだ。

HAARPはアメリカ空軍によって研究計画として発表されているが、軍事文書によれば、その主な目的は、気象パターンを変化させ、通信やレーダーを混乱させることを目的とした「電離層の変形」であることが確認されている。

 ロシア下院の報告は次のように述べている:

「米国はHAARP計画の下で大規模な実験を行い、宇宙船やロケットに搭載された無線通信回線や機器を破壊し、電力網や石油・ガスパイプラインに重大な事故を引き起こし、地域全体の精神衛生に悪影響を与えることができる兵器を作ることを計画している」1*。

 アメリカ空軍から出された声明を分析すると、考えられないことが指摘されている。

世界戦争の武器として、気象パターン、通信、電力システムを秘密裏に操作し、アメリカが地域全体を混乱させ、支配することを可能にする

 気象操作は卓越した先制攻撃兵器である。敵国や「友好国」に知られることなく、経済や生態系、農業を不安定化させることができる。また、金融市場や商品市場に大混乱を引き起こすこともある。農業の混乱は、食糧援助や、アメリカや他の西側諸国からの輸入穀物への依存度を高める。

 HAARPは、HAARPの特許を所有するレイセオン社、アメリカ空軍、イギリス航空宇宙システム(BAES)の英米連携事業の一環として開発された。

 HAARP計画は、この2つの防衛大手による先端兵器システムの共同事業のひとつである。HAARP計画は、アトランティック・リッチフィールド・コーポレーション社(ARCO)の子会社であるアドバンスト・パワー・テクノロジーズ社(APTI)によって1992年に開始された。APTI(HAARP特許を含む)は1994年にARCOからE-システムズ社に売却された。E-システム社はCIAと米国防総省と契約し、「大統領が核戦争を管理できる」「ドゥームズデイ・プラン(地球最後の日計画)」を準備した。その後、レイセオン社に買収され、世界最大の諜報請負会社のひとつとなった。BAES社は、2004年に海軍研究局と契約し、HAARPアンテナ群の先進段階の開発に携わった。

 132基の高周波送信機の設置は、BAES社から米国子会社のBAEシステムズ社に委託された。7月の『Defense News』の報道によると、この計画はBAES社の電子戦部門が請け負った。9月には、HAARPアンテナ群の設計、建設、作動に対して、DARPA(国防総省高等研究計画局)から技術的業績に対する最優秀賞を受賞している。

 HAARPシステムは全面稼働しており、多くの点で既存の通常兵器や戦略兵器システムを凌駕している。軍事目的に使用されているという確たる証拠はないが、空軍の文書は、HAARPが宇宙の軍事化に不可欠な要素であることを示唆している。アンテナはすでに定期的にテストされているはずだ。

 UNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)のもと、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は「気候変動の理解に関連する科学的、技術的、社会経済的情報を評価する」任務を負っている。この任務には、環境戦争も含まれる。ジオ・エンジニアリング(地球工学)は認められているが、その根底にある軍事利用は、2,500人ほどの科学者、政策立案者、環境保護論者の専門知識と意見に基づく、何千ページにも及ぶIPCCの報告書や補足文書では、政策分析の対象にも科学的研究の対象にもなっていない。「気候兵器」は人類の未来を脅かす可能性があるが、IPCCが2007年のノーベル平和賞を受賞した報告書からは、さりげなく除外されている。

なぜ米国の「目覚めた左派」は、大当たりした児童性売春を主題とした映画に対してだんまりなのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Why Is America’s ‘Woke Left’ Silent Over Blockbuster Child Sex-Trafficking Film?
出典:SOTT 2023年8月7日
(初出はストラテジック・カルチャー・ファンデーション。2023年8月5日)
筆者:ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月27日

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 性的な児童売買に関する恐ろしい現実を取り上げた米国映画が、政治的左派から、非常に抑えた反応で迎えられている。それは次のような疑問を投げかける―この沈黙は、言葉に出すのも憚れる犯罪の共犯になる、ということなのか?

 ティム・バラードは、米国の反人身売買主義者であり、性的人身売買に反対する「地下鉄作戦(Operation Underground Railroad)」という名の非政府組織の創設者である。彼は米国国土安全保障局の元特別捜査官で、現在は政府から独立した活動をしているのだが、そのバラードが自分の人生を捧げた生きがいがハリウッド映画において不朽の名声を得ることになったのだ。その題名は、「自由の音(Sound of Freedom)」

 バラード役を演じるジム・カヴィーゼルが主役のこの映画では、バラードの実生活の、痛ましい体験に基づく筋書きが展開されている。実際にバラードは、性奴隷という悪夢から子どもたちを救出する活動をおこなっていた。映画評論家からは賛否両論が上がったが、1450万ドル(約21億円)の製作費がかかったこの映画は、1億4千ドル(約210億円)というとんでもない額の興行収入をあげ、観客からは高い好感を得た。またロッテン・トマトという映画評判サイトでは、99%という高い数値が出ているが、明らかにそれは、正当な理由があってのことだろう。

 国際労働機関の推定では、2016年に世界で人身売買の被害者が2490万人あったという。それなのに、左寄りのメディアやその他の機関は、彼らにしか分からない理由から、不思議なことにエンジェル・スタジオの製作に幕を引こうと躍起になっているように見える。




 「バラエティ誌」の記事で、オーウェン・グレイバーマンは以下のような見解を示した。「みなさんは、私もそうですが、右派の原理主義的陰謀論者ではないですよね。暗くって宗教的なサスペンス映画を見て、祭日の週末を過ごそうとは思っていないです。そうだとしても、『自由の音』という絶対に感動する映画を見るのに極端な信念は必要ありません。この映画は、私たちの時代の残酷な犯罪の一つに、本当の光を当てるものです。ハリウッドがたいがい避けてきた主題を取り上げた映画です」と。

 #MeToo運動により明らかにされた、芸能産業界内部での性的不祥事の問題が見出しを飾り続けている中で、ハリウッドが小児性愛や性的児童売買を主題にすることに対して無関心で嫌悪感さえ示しているという事実は、控えめに言っても奇妙だ。結局、この映画内で触れられているとおり、奴隷が法的に認められていた時代よりも、現在の方が性的人身売買により奴隷にされている人の数は多いのだ。そしてハリウッドの大物たちが犯した性的虐待(性行為が法的に認められている成人に対するもの)疑惑が厳しく嫌悪されているにも関わらず、米国を主導するハリウッドが性的児童売買を保護、さらにはそれに関わっている可能性があるなどというほのめかしでさえ、世間の道徳が受け入れる限界に大きく問題をなげかけることになろう。

 言うまでもないことだが、ハリウッド内部の聖地に関する無数の陰謀論には、際限がない。具体的には往年の映画監督キューブリックが見せたような秘密結社による支配や歯止めない性的不祥事などだ。ハリウッドは、カリフォルニアの太陽の下、おぞましい事件を起こしてきた。泥にまみれたその評判に付け加えるかのように、ますます多くの人々が、その多くがハリウッドに雇われた人たちなのだが、ハリウッドの高い地位にいる人々の小児性愛についての告発をおこなっている。さらには、これらの告発者の訴えが多くの報道機関や芸能界から真剣に受け止められていない事実からも、ますますその疑いが高まっている。

 ではなぜ進歩的左派が、ネットフリックスやフールー、アマゾンといった動画配信業者からペストのように避けられている『自由の音』に対して沈黙を保っているのだろうか?第1の悪役は、「人間の本性」だ。これこそが、リベラル派の哲学からするととんでもない告白なのだが、人間の全ての振る舞い、性的な本性はなおさら、進歩的な活動家たちが配置された法廷で、正当な審問のもとで裁判されることは当然である、とされている。実際、小児性愛を法的に認めたり、その罪で有罪となった人たちを恩赦すべきだという要求もあがっている。

 ステファン・カーシュナー博士は、ニューヨーク州立工科大学フレドニア校の哲学教授だが、この人物が子どもたちと大人の間の性的関係を良しとしている左派の多くの研究者(他にいるだろうか?)の中の一人だ。以下はカーシュナー博士の主張だ。「成年男性が12歳の少女と性行為を望んでいると考えてください。相手の少女もそれを望んでいるとしたらどうでしょう? 非常に標準的で広く受けいれられている視点からは、このような行為は深く誤った行為だとされています。お互いが了承している状況を無視して、このような行為を犯罪だと捉えるのは、間違っていると思います。このような行為が間違っていると考えることは、私にはよく分からないのです。間違っている考える方がおかしいと思います。この行為がなぜ間違いなのかを掘り下げて考えれば、大人と子どもの間の性行為と法で定められた強姦との違いでもありますし、道徳とは何かという基本的な原理を見つめ直すことにもなります」と。

 カーシュナー博士は、大人と子どもの間の性行為には、「進化上の利点」がある可能性があるとまで示唆し、以下のような驚愕的なことばで締めくくっている:「1歳児と性行為を持つことを間違っていると考えることさえ、私にはよく分かりません」と。

 学術界のオリンピックで負けてなるものかと、オールド・ドミニオン大学のアリン・ウォーカー助教授は、「未成年者に惹かれる人々」ということばを作って、「小児性愛」という言葉がもつ偏見を取り除こうとした。ウォーカー助教授は、 大人が子どもや幼児までをも性的欲求の対象にすることを精神錯乱の一形態であるとは捉えておらず、 自分が愛する対象を抑制できない人々に起こる事例であると捉えている。この考え方は、児童強姦を正当化する非常に病的な考え方だ。

 このような完全な狂気が漂うなか、カリフォルニア州のガビン・ニューサム知事が上院の145法案に署名したことも、もはや驚きではない。この法案は、同性の未成年と性行為をおこなった成人の罪を軽くするものだ。



 最後に述べたいことは、『自由の音』が粉砕しようとしている過激な文化的風潮のことを忘れてはならない、ということだ:LGBTQの行進、女装した男性たちが子どもたちに読み聞かせをするという ドラッグ・クイーン・ストーリー・アワー、小学校段階でのトランスジェンダーや非日常的性生活などの話し合いが全て、米国民の世論を支配するようになってきたいま、子どもたちを食い物にする人々を標的にするような映画は、大多数の人々からは嫌な映画に思われてしまっているようなのだ。この自由の国アメリカの地で、更なる出鱈目なことが起こることを想像するのは難しいが、このような狂気はまさに今、始まったばかりだ。

ロバート・F・ケネディ・Jr が、ウクライナの米国生物研究所を問題視

<記事原文 寺島先生推薦>
Kennedy comments on US biolabs in Ukraine
出典:RT  2023年8月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月24日



スクリーンショットによる © Twitter / @TuckerCarlson


国防総省は生物兵器研究のために他の国々を利用していたとロバート・F・ケネディ・Jr.がタッカー・カールソンに語る

 米軍は、2014年のキエフ・クーデター後のウクライナ政府に、生物兵器研究の一部を外部委託していた、と民主党大統領候補への出馬を宣言しているロバート・F・ケネディ・Jr.が、取材で答えた。

 「我が国がウクライナに生物研究所を保有しているのは、生物兵器開発のためです」とロバート・F・ケネディ・Jr.は、X社(前身は「ツイッター社」)上で投稿された月曜日(8月15日)の夜の番組での長時間の対談の中で、独立系ジャーナリストのタッカー・カールソンに語った。同氏の説明によると、1970年代に米国は生物兵器禁止条約に署名しているが、9/11のテロ攻撃後に採択された愛国者法により、国防総省はそのような研究の再開が許された、という。

 ケネディ・Jr.によると、生物兵器計画は、「生命科学」研究という隠れ蓑のもとに実行されてきた、という。一例をあげると、ウイルスやそれ以外の病原体に関する機能獲得実験が、アンソニー・ファウチ博士が最終監督者として実施されてきた。同博士は1984年から2022年まで国立アレルギー感染症研究所の所長を務めた人物だ。

 近代の生物兵器は、「恐ろしいもの」であり、CRISPR*のような遺伝子組み換え作業により作られている、とケネディ・Jrは述べた。さらに同氏は、2014年にこれらの「虫(bug)」が米国の複数の研究所から漏洩した際、オバマ政権は機能獲得研究を禁止したため、ファウチ博士がその研究を海外に移転させた、とも付け加えた。
*CRISPRとは「Clustered regularly interspaced short palindromic repeats」の略で、細菌のDNAにある繰り返し配列のこと。CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)とは、DNAの二本鎖切断を原理とする遺伝子改変の道具です。部位特異的ヌクレアーゼを利用するゲノム編集方法の中でも、簡便で安価という特長がある。

 「その多くがウクライナに移転されました」とケネディ・Jr.はカールソンに語った。また、その研究の一部が中国武漢に移転された、という。武漢は、Covid-19の世界的流行の発生地と考えられている地域である。これらの研究の大部分は、国防総省やUSAID(合衆国国際開発庁)により資金提供されていたが、同氏はこの研究を「CIAの代理業」だ、とした。



 米国は、ウクライナの生物研究施設についての主張を「ロシアによる宣伝行為である」としてずっと否定してきたが、2022年の上院公聴会で国務省高官であるビクトリア・ヌーランドがその存在を明言した。国防総省は、この研究は不法でもなく、軍事目的の意図はない、と主張し続けている。

 ロシア軍は、米国がウクライナの諸施設で「生物兵器の原料」を作っていた証拠を発見した、とイゴール・キリロフ中尉が今年の上旬、モスクワで国会議員たちに証言した。


Read More: Kennedy shares opinion on key US mistake with Russia

 さらにケネディ氏がカールソンに語ったのは、米国民がウクライナでの戦争に関して「嘘をつかれて」おり、2014年のキエフでの武力政変におけるヌーランドの役割や「アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)」がNATO拡大を目指していたことを指摘し、ロシアとの戦争は、米国側がずっと計画してきたことだ、と主張した。

 ウクライナでは、「代理戦争がおこなわれていますが、その真の戦争は2つの超大国であるロシアと米国間の戦争です」とケネディは述べた。ケネディは、2022年4月に和平交渉を妨害したとして米国を非難した。米国は、当時の英国のボリス・ジョンソン首相にキエフを訪問させ、ウラジミール・ゼレンスキー政権に、和平交渉には応じないよう伝えさせていた、という。

 ケネディ氏は、その結果「35万人のウクライナ国民と4~5万人のロシア国民が亡くなりました」と述べた。

 ロバート・F・ケネディ・Jr.はジョン・F・ケネディ第35代大統領の甥であり、ロバート・ケネディの息子だ。ロバート・ケネディはJFK政権下の司法長官であり、後に上院議員となった。両兄弟とも暗殺によりこの世を去った。JFKは1963年、RFKは1968年、大統領の予備選挙中に暗殺された。ロバート・F・ケネディ・Jr.は、 民主党内の候補予定者や現職のジョー・バイデン大統領と、大統領指名候補の座をかけて争っている。

CIA がウィキペディアを管理 – 元編集者の告発

<記事原文 寺島先生推薦>
CIA moderating Wikipedia – former editor
出典:RT  2023年8月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月22日



© AFP / キリル・クドリャフツェフ


同諜報機関は10年以上にわたってオンライン百科事典を操作してきた、とラリー・サンガーは主張

 ウィキペディアは、米国のリベラル派支配層とその同盟者である諜報機関が「情報戦」を繰り広げるために使用する多くの手段のうちのひとつである、と同サイトの共同創設者ラリー・サンガーは報道関係者のグレン・グリーンウォルドに語った。

 ラリー・サンガーは、2001年に自身が創設に協力したサイト(ウィキペディア)が、左派リベラル勢力の手による「支配」の手段となっていることを嘆いたが、その中にはCIA、FBI、その他の米国諜報機関の工作員らが含まれているとした。

 「その証拠はあります。早くも2008年から、CIAとFBIのコンピューターが、ウィキペディアの編集作業に使われていたのです。これらの機関がそんな行為をその後やめた、などと思いますか?」とサンガーは述べた。

 ウィキペディアに対する CIA と FBI の活動は、2007 年にヴァージル・グリフィスというプログラミングを学んでいる学生によって初めて明らかにされた。グリフィスは、ウィキペディアの記事の編集に使用されたコンピューターの位置を追跡できるウィキスキャナーと呼ばれるプログラムを開発し、CIA、FBI、および多くの大企業や政府機関が、自分たちにとって不利な情報が掲載されたこのオンライン上の百科事典に手を加えていることを突き止めた。


READ MORE:The word for it is ‘propaganda’: Wikipedia co-founder says website has morphed into playground for rich and powerful manipulators

 
 CIAのコンピューターはイラク戦争の死傷者数を削除するために使用され、FBIのコンピューターはキューバのグアンタナモ湾にある米国刑務所の航空写真と衛星画像を削除するのに使用された。CIAのコンピューターは、当時のイランのマフムード・アフマディネジャド大統領、中国の核開発計画、アルゼンチン海軍に関する項目を含む数百件の記事の編集に使用された。
 
 一方で、より些細(ささい)な編集もおこなわれたようで、元CIA長官ウィリアム・コルビー元CIA長官の欄は、同元長官の経歴を書き加えるために手を加えられたようだ。

 「(これらの諜報機関は)自分たちの政策を推進するために、自分たちの政策に既に同調してくれている最も影響力のある人々に恩を売るつもりなのでしょう。あるいは自分たちの才能を(諜報)組織内で伸ばし、ウィキペディアを使った遊びを覚えた上で、自分たちがやりたいことを組織内の人々に伝えようとしているだけなのかもしれません」とサンガーはグリーンウォルドに語った。

 「諜報活動と情報戦の大部分は、ウィキペディアのようなウェブサイトを戦場にオンラインで行われているのです」とサンガーは続けた。

 今年初め、X(元ツイッター)の所有者、イーロン・マスク氏は、このプラットフォームの元幹部らがおこなっていた手口を示す大量の文書を公開した。これらの文書により明らかになったことは、FBIと共謀してFBIが隠したい投稿内容を削除していたこと、米軍がオンライン上で影響力を強めようという取り組みを支援していたこと、「反ウクライナ」の言説を検閲していたことなどを米国の諸諜報機関のためにおこなっていた、という事実だった。

 メタ社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も、地球上最大のソーシャルメディア・プラットフォームであるフェイスブックが、FBIの直接の要請に応じて、ジョー・バイデン大統領の2020年の選挙運動に損害を与える正確な情報を検閲したことを認めている。

ワシントン・ポスト紙は未だに米国の戦争犯罪と生物兵器の使用を隠している

<記事原文 寺島先生推薦>
Washington Post Still Covers Up U.S. War Crimes And Use Of Biological Weapons
出典:Moon of Alabama   2023年7月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月15日


ワシントン・ポスト紙(下のURL)は未だに米国の戦争犯罪を隠している。(本文中の青字はWP紙の記事の引用箇所)

Seiichi Morimura, who exposed Japanese atrocities in WWII, dies at 90

森村誠一

彼の731部隊(帝国軍の秘密の生物戦部門)についての本は、日本に過去の戦争をしっかり直視させるのに役立った。

彼のお悔み欄:

日本の作家である森村誠一は、1981年の731部隊(帝国軍の秘密生物戦部門)を暴く著書によって、731部隊が第二次世界大戦中に中国占領地で数千人にわたる非道な医学実験を行った事実を日本に直視させる役割を果たした。森村誠一は90歳。7月24日、東京の病院で死亡。

 森村の本は、日本の帝国的犯罪に日本人が面と向き合わせられることが稀だった時代にもかかわらず、驚くほどほどよく売れた。

 731部隊は、当時、人間に広範な実験を行った一部のナチ医師にのみ比肩される存在だった。

日本の教科書がしばしば戦争中の日本の犯罪行為を小さく扱っていた時代に、森村氏は731部隊の数十人の元兵士に取材し、1938年に日本の医官石井四郎によって中国のハルピン市近くで遂行された作戦の詳細を、恐るべき詳細さで記録した。

表向きは防疫および浄水部門を名乗っていた731部隊は、生物戦の試験場として戦争終結まで機能した。森村氏の作品のお陰で、1980年代と1990年代に調査がさらに進展し、裁判へとつながり、その結果、その残虐行為がさらに明らかになった。

加害者には多くの立派な日本人医師が含まれていた。数千人の人々(主に中国人だが、韓国人、ロシア人、8つの異なる国籍の囚人も含まれている)は、森村氏によれば、ナチ医師ヨーゼフ・メンゲレの実験と比較される医学実験に晒されることになった。

「丸太」と呼ばれる被害者は、伝染病菌(チフス、腸チフス、コレラ、炭疽、ペスト)に感染させられた。目的は生物兵器の完成だった。一部の囚人は麻酔なしで生体解剖され、病気の効果を人体上で観察するために使用された。

「私は彼を胸から腹部まで切り裂き、彼はひどく叫び、顔は苦痛に歪みました。信じられないような音を出し、恐ろしい叫び声をあげていました。しかし、やっとそれが止まったのです」と部隊の匿名の一員が1995年にニューヨーク・タイムズ紙に語っている。彼の念頭にはペストに感染した被害者があった。「外科医たちにとっては日常の仕事でしたが、私にとっては初めてのことだったので、本当に忘れられない出来事でした」。


 何千人もの人々、おそらくそれ以上も、その部隊によって実験の末に死亡させられた。

 第二次世界大戦が終わった際、731部隊の隊員たちは彼らが犯した戦争犯罪のために裁判にかけられる予定だった。しかし、アメリカ軍は731部隊の学習成果を自身の戦争に利用する計画をしていたため、その裁判を中止した:

森村氏の本が発売された同じ年、アメリカのジャーナリスト、ジョン・W・パウエルは、「原子科学者の会報」において、アメリカ政府が731部隊の隊員たちに対して研究の記録を提供する代わりに免責を与えたことを報じた。森村氏も同様のことを述べている。長年、アメリカはその部隊の実験に関する報告を(ソ連側からの)冷戦の宣伝であるとして表に出さなかった。

 ワシントン・ポスト紙の訃報記事には、これに関して、これ以上何も書かれていない。

 読者は、その「冷戦の宣伝」というアメリカ政府の主張が真実かどうかを知らされることもなく、宙ぶらりんの状態に置かれている。

 アメリカは、もちろん、いろいろ申し立てられていたことはちゃんとやっていた。そのことを証明する文書が公開された。アメリカがやったことはそれにとどまらない。

 ワシントンポスト紙は、また、日本政府が部隊隊員たちに対する戦争犯罪裁判を妨害したとするアメリカの誤った主張を繰り返している。

しかし、アメリカの高官によると、日本政府は、加害者のアメリカ入国を禁止する戦犯者一覧に登録するというアメリカの取り組みを支えることはずっと拒んでいた。石井は1959年に喉頭がんで亡くなるまで自由の身で暮らした。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、他の731部隊の元兵士は東京都知事、日本医師会会長、そして日本オリンピック委員会委員長になったと報じている。

 731部隊の隊員たちに免責を与えたのはアメリカ政府であって、日本政府ではない。さらに、アメリカ政府は、彼らの知識を得るために、高額の報酬すら与えている。

アメリカ政府は、人道に対する犯罪を行った高官に対して政治的免責を提供し、その実験に関する基礎資料と引き換えにした。その中には731部隊の指揮官である石井四郎も含まれていた。隠蔽作戦の間、アメリカ政府は中国で実施された人体実験の基礎資料を入手するために金銭を支払ったことが、2つの解除されたアメリカ政府の文書によって明らかにされている。

この悪名高い部隊の元隊員(匿名)に支払われた合計金額は、15万円から20万円の間だった。当時の20万円は、現在で2千万円から4千万円に相当する。


 現在の4千万円は、28万4千ドルに相当する。ないよりはあったほうがいい金額・・・

 アメリカ軍は、731部隊から得た知識を活用してさまざまな生物兵器を開発し、それらを試験するために、一説によると、人間も被験体として使用した。また、アメリカ軍は、731部隊と同様、北朝鮮および中国に対する戦争(朝鮮戦争)中にこれらの兵器を使用することもした。

 この事例を長年研究しているジェフリー・ケイは書いている:

過去数年にわたる膨大な証拠は、アメリカが1950年代初頭に北朝鮮および中国との戦争で生物兵器を使用したことを明らかにした。これは、CIA、国防省、その他の政府文書、および25人のアメリカの航空兵の告白の詳細な分析に基づいている。これからは、アメリカがどのようにしてこの作戦を遂行したのかについての検討に移る時だ。

続く物語は、空軍の操縦士が、当時朝鮮半島と東北中国で進行中のアメリカの秘密の細菌戦争作戦について、報道機関や政府関係者に知らせようと試みたが、失敗に終わったような出来事を文書化している。この軍の内部告発の試みによって、細菌戦争の告発に関する証拠が広く検討されることとなる。特に、生物兵器攻撃がどのように組織されたかについてだ。


 アメリカ政府の「冷戦の宣伝」という誤った主張を繰り返し、それを訂正せず、また日本政府が戦犯裁判を妨害したとする誤ったアメリカの発言を繰り返すことによって、ワシントン・ポスト紙は、731部隊の実験に基づくアメリカの戦争犯罪を隠している。

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ2016年-2022年(第6回:最終回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月8日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(推奨できる対策)

* 今回は、「6 Recommendations(推奨できる対策)」です。連載の最終回です。


検閲産業複合体へ推奨できるの対策

1. 検閲産業複合体の資金供給を打ち切る

 検閲は助成金を受けている産業です。もしその資金を取り去れば、代わりに私設の寄付者、例えばOpen Society Instituteなどが空白を埋めるでしょうが、完全には補完できません。171

2. 政府高官とソーシャル・メディアの幹部との間の内容管理に関するすべてのやりとりを即時に報告することを義務付ける

 両当事者は会話を報告する法的な義務を負うべきであり、秘密の検閲を減少させる囚人のジレンマ*を作り出すべきです。
*ゲーム理論におけるゲームの1つ。お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマである。各個人が合理的に選択した結果が社会全体にとって望ましい結果にならないので、社会的ジレンマとも呼ばれる。( ウィキペディア)

3. 通信品位法230条の範囲を狭める

 通信品位法230条は、ソーシャル・メディアに与えられた特別で過激な法的責任免除です。ニュースメディア機関に与えられていないのは両者に違いがあることが認識されているからです。市民は、通信品位法230条の特権には特定の責任が伴うことを要求する権利を持っています。

 特にソーシャル・メディアが合法的な独占企業であるため、これは特に当てはまります。 1996年以降、多くのことが変わりました。当時はGoogle、Facebook、Twitterのいずれも存在しませんでした。当時政府高官がソーシャル・メディア各社に対して、運営できなくなるぞ、という脅しをかけて、事実情報を秘密裏に検閲し、個人を自社のサイトから排除するよう求めることなど、だれ一人想像しませんでした。

 現行の形態での通信品位法230条は、市民の言論の自由と損害補償の権利を脅かしています。2022年のローガン・オハンドリー判決では、サンフランシスコ第9巡回裁判所が、通信品位法230条によりソーシャル・メディア企業は、「シェレンバーガー証言書、2022年3月9日、p.53過失責任」の例外事例となっているとして、ソーシャル・メディア企業に関連する通常の不法行為、契約理論を認めませんでした。2018年には、Twitterの利用規約に違反していなかったにもかかわらず、メーガン・マーフィーがトランスジェンダー活動家を生まれた性別で呼んだことにより、Twitter上から排除されました。172彼女がしたことは、Twitter社の利用規定によれば、禁止できるような違反ではありませんでした。Twitter社はその後、利用規約を変更し、遡及的に適用しました。これにより、裁判所は事実上、Twitter社が自らの契約規定に従う必要がないと判断したことになります。世界のどの企業も、アメリカ市民の言論の自由権利や、企業が引き起こす損害に対する訴訟権利を否定するような特権を持つべきではありません。

 かくして、私たちには2つの主要な改革が必要です:真の透明性と私的訴訟権。議会は、通信品位法230条があっても、極めて具体的な基準を欠いた州の不法行為法を破棄することにはならないことを明確にする必要があります。現行の通信品位法230条は、ソーシャル・メディアを、提供業者または利用者が「卑猥、猥褻、淫ら、過度に暴力的、嫌がらせ、またはその他人を不快にさせるような資料に触れたり、利用したりする善意で自主的に行った行動」に対する法的責任は問わないことになっています。「その他人を不快にさせるような」という文言は削除されるべきです。これにより、ソーシャル・メディア各社の検閲する能力があまりに広範囲に及ぶことになります。私たちが人気のない意見を表現する自由があるように、互いに侮辱する自由も持つ必要があります。それには、一部の人々が「感情を害する」と主張するあり方も含まれます。


<原註>
171 “Information Program,” Open Society Foundations, accessed Mar 8, 2023, https://www.opensocietyfoundations.org/who-we-are/programs/information-program. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 68
172 Joseph Brean, “'Yeeeah it's him': Vancouver writer sues Twitter over its rule against misgendering trans people,” National Post, Feb 12, 2019, https://nationalpost.com/news/yeeeah-its-him-vancouver-writer-sues-twitter-over-its-ruleagainst-misgend

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ 2016年-2022年(第5回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月8日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

* 今回は、「5 Key Events(鍵となる出来事)」です。

鍵となる出来事

2017年

国土安全保障省(DHS)が「誤情報」と戦う任務を拡大

 2017年1月、国土安全保障省は、その使命をサイバー安全確保からサイバー検閲へと静かに拡大し、「誤情報(misinformation)がアメリカの存立にかかわる国の基盤に対する「サイバー攻撃」であるとしました。2017年1月6日、ジェー・ジョンソンは国土安全保障省(DHS)の長としての最後の行動として、選挙を「国の存立にかかわる基盤」と宣言しました。「国の存立にかかわる基盤」という考えは、人工衛星やダム、連邦建物などの物理的なものから、選挙や公衆衛生宣伝活動といった取り組みにも拡張されました。これにより、DHSはワクチンの安全性についてのツィートやDHSが「misinformation(誤情報)」または単に「misleading(誤導的)」とみなす郵送投票を、検閲を正当化できるものと考えることが可能になりました。具体的には、ソーシャル・メディア各社に対して利用者の排除、投稿の削除、または拡散の防止を求めるのです。DHSは「misinformation(誤情報)」を選挙の公正な運営を危うくするもの、国家安全保障上の脅威、そして民主主義への攻撃と定義しました。

New Knowledge社がアラバマ州の共和党上院候補者に対して偽情報宣伝活動を展開

 この偽情報作戦では、アラバマ州のロイ・ムーアの偽のFacebookページが立ち上げられ、ムーアがアルコールを禁止すると主張しているかのように見せかけました。さらに、偽のロシア人トロール(ネット荒らし投稿者)をTwitterに作成し、ムーアがロシアの支持を受けているように見せようとしました。そしてジャーナリストたちはそれを真実であると報じたのです。

 ディレスタ*は、偽情報作戦を展開するアメリカン・エンタープライズ・テクノロジーズ(AET)社の取締役会に籍を置いていました。そして、その1か月後に助言を行っていたNew Knowledge社に研究主任として入社しました。
*Renée DiResta スタンフォード インターネット天文台のライター兼研究マネージャー。ディレスタは疑似科学、陰謀、テロリズム、国家主導の情報戦についての著作がある。彼女はまた、オンラインおよびソーシャル・メディアの偽情報を防ぐための継続的な取り組みについて米国議会の顧問も務めてきた。 (ウィキペディア)

 ディレスタはAET社に技術的な指導を提供し、創業者たちに財政支援者になりそうな人を紹介しました。ディレスタはワシントン・ポスト紙に対して、「AET社の事業計画の不透明さに懸念を抱き、同社との関係を断絶した」と語りました。108

 ディレスタの同僚たちがAET社やNew Knowledge社で展開していた偽情報作戦が明るみに出たのは、「プロジェクト・バーミンガム(Project Birmingham)」と呼ばれる取り組みについての自慢たらたらの12ページの報告書が、2017年12月12日の選挙3日後、ワシントン・ポスト紙によって公表された時です。その内容は以下:109「私たちは連携をとりながら巧妙な「偽旗」作戦を実行した。ムーアの宣伝活動はソーシャル・メディア上で、ロシアのボットネット*が盛り上げたものだという考えを植え付ける作戦だった。その目標は、民主党員を過激化させ、言ってもダメな共和党員(“hard Rs”)と中道派の共和党員を、「記入候補者**に投票しましょう!」と呼びかけて抑制することの2つだった」。
*悪意を持って作られ、インターネットを経由した命令によって遠隔操作されるコンピューター群をいう。(英辞郎)
**候補者名簿にないため、投票用紙に名前を記入する必要がある人(英辞郎)


 New Knowledge社はこの競争に勝利したと主張しています。それは証明しようもありませんが、投票結果は接戦であり、たった2万2000人の差でムーアが落選しました。New Knowledge社は「ダグ・ジョーンズの勝利を確保するために十分な票を動かした」と述べています。

 この動きの中に「回転ドア」があることは明白です。次はワシントン・ポスト紙の記事:「お金はマイキー・ディッカーソン(Mikey Dickerson)が運営するAET社を経由して流れた。彼はオバマ政権時に創設され、連邦政府の技術利用を向上させることが目的の米国デジタルサービス(United States Digital Service)の創設を担当した。また、元司法省特別研究員で現在は[ライド]・ホフマン( [Reid] Hoffman)氏が一部資金提供をしている技術金融会社であるInvesting in Usに所属するサラ・ハドソン(Sara K. Hudson)もこの計画に取り組んでおり、[ジョナソン]・モルガン( [Jonathon] Morgan)氏も同様だ」。110

 「12ページの報告書」は、こういった一連の動きで「モーア陣営の宣伝活動がロシアのボットネットによってソーシャル・メディア上で拡散されているという考えを植え付けた。そして、我々はそのボットネットをモーア陣営のデジタル責任者と結びつけ、彼がそのアカウントを購入したかのように見せかけたのだ」と記述している。

 この戦術には注目すべき点がたくさんあります。第一に、それは当時、トランプ大統領に対して使われていた同じ物語を誘い出したのです。ロシアが彼を支援しているというものです。すなわち、「(相手の)威信失墜」が狙いでした。それはディレスタが他の文脈では非難していたやり口です。第二に、この戦術では、実際、ディレスタが上院証言で「情報戦争」と述べることになるボットの戦術を使用していました。

 ジャーナリストたちはディレスタの関与を軽視し、冗談めかすような対応すらしました。2018年のアスペン研究所での次のやり取りをご一考ください。111

ディレスタ: 私は反ワクチンに注目しているアカウントを山ほど持っています・・・ 私の反ワクチンのアカウント、つまり、反ワクチン集団内で積極的に動くアカウントですが、(私は)それらのアカウントでただ聴いているだけ、ただ座っているだけです・・・

ニコラス・トンプソン、アトランティック紙:どれくらいのボット・アカウントを運営されているのですか?

ルネ・ディレスタ:ノー・コメント

トンプソン: この話し合いの終わりまでに、レネ・ディレスタの偽名のアカウントの完全な合計を知りたいです!

[笑い]

普通のTwitter利用者をロシアのボットであると偽りの告発をしている元FBI職員のウェブサイト

 元FBI職員のクリント・ワッツは、アメリカ政府からの資金提供を受けて、保守派をロシアのボットだと偽りの告発をするウェブサイトを作成しました。112ワッツはNew Knowledge社からも支援を受けました。113

 Twitter社のヨエル・ロス(Yoel Roth)は調査を行い、分かったのはその一覧が「合法的な右派志向のアカウントでいっぱいだということ・・・ [このダッシュボード]から導かれるほぼどんな結論も、Twitter上の保守派の会話を取り上げ、それらはロシアのものだと非難することになるでしょう」。ロスはTwitter社に対して「こんなものは認められないと宣言すべきだ」と推奨しました。しかし、ロスの上司たちは政治的にいろいろまずいことになることを恐れ、代わりに「長期的な戦略」を採ることにしました。114

2018年

ロシアの干渉についての上院情報委員会報告

 2018年、ディレスタは2016年の選挙中のロシアの影響操作に関する上院情報委員会の主任研究員でした。2018年の上院証言で、彼女はアメリカが「いちかばちかの情報戦争」に巻き込まれており、アメリカ政府と「社会全体」が外国または国内の「悪意のある物語」に対して「戦争」を仕掛けなければならないと主張しました。115

 ディレスタの2018年上院証言の芝居がかった言い方は典型的でした。検閲を!と声高に言う人たちが、証拠もなしに、繰り返し口にするのは、①偽情報の方が真実の情報よりも速く伝わる、そしてそれは、②アメリカ政府や社会全体が好ましくない意見や声を、時を移さず、広範囲に検閲することを正当化している、です。

2020年

「Election Integrity Partnership(EPI)(選挙品位協力)」

 EIPは、検閲産業複合体の芽であり、次のような2つの大学、1つの頭脳集団、そして1つのソーシャル・メディア分析会社によって設立されました。具体的には、

① スタンフォード大学インターネットオブザーバトリー、
② ワシントン大学の「Center for an Informed Public(情報に通じた大衆向けセンター)
③ アトランティック・カウンシル*法科学調査研究所
*国際関係の分野におけるアメリカのアトランティシズム思想を持つシンクタンク。1961年に設立され、国際的な政治、ビジネス、知識のリーダーたちに対するフォーラムを提供している。国際的な安全保障と世界経済の繁栄に関連する10の地域センターと機能的なプログラムを運営している。本部はワシントンD.C.にあり、アトランティック・トリーティ協会のメンバー。(ウィキペディア)
そして、
④ Graphika

 EIPは、2020年8月15日から2020年12月12日までの間に、8億5900万を超えるツイートから「誤情報の物語」に関連する2189万7364の個々の投稿を含む「誤情報の物語」を分類したと主張しています。116

 2020年6月23日に、CISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁)の間で正式な会議が行われ、選挙の安全を守るために誤情報を防止するEIPの主導権が正式に立ち上げられました。「DHS(米国国土安全保障省)と特にCISAが管轄権を持つ法的枠組みは、DHSがオンライン上で「誤情報」と見なすものを米国市民が投稿した時はいつでも、それは米国の、国としての存立に関わる基盤構造への「サイバー攻撃」と見なされる」というものでした。117

 EIPの指導者であるアレックス・スタモスは、EIPの目的は「政府自体乗り越えられなかった溝を埋めるため」と述べています。政府は「資金的なものとか法的権限の両方が不足していた」というのがその理由です。118EIPは、ソーシャル・メディア各社に対して検閲を求める警告を出していました。また、公には政策変更を呼び掛けていました。スタモスは、技術系諸企業がEIPの検閲協定参加に同意したことを、2020年8月26日、ニューヨーク・タイムズ紙に語りました。119。それはDHSが法的にはできないことをEIPにさせる調停ができあがったEIPとDHSの計画会議の直後のことでした。120

 スタモスは「私たちは主要ソーシャル・メディアと連絡を取り合い、双方向の対話を行っています。私たちは主要ソーシャル・メディアすべてと非常に有益な会話をしています。Facebook、Twitter、Google、Reddit・・・私たちの目標は、もし偽情報を見つけることができれば、迅速に報告し、それを削除するために彼らと協力することです。これには良い前例があります。これらの4つのソーシャル・メディアは、技術分野と足並みをそろえて研究事業を共同で進めてきました」と述べています。121

 EIP関連のすべての組織の指導者たちは、2017年から2020年の間に、ロシアによる偽物ボットや荒らしアカウントによるソーシャル・メディアでの介入が、2016年にドナルド・トランプを大統領に選出するのに役立ったという根拠のない主張をおこないました。2020年までに、上記①~④の機関は、主要なソーシャル・メディアの内容管理担当最高責任者との深く、かつ長年にわたる関係を築いていました。彼らは2017年以来、検閲に関して共同の取り組みをしてきました。122

 ソーシャル・メディア企業、DHS、そしてEIPの諸組織は、検閲の共同作業用の同時会話アプリであるJira Service Deskに取り組みました。EIPの報告によると、

① 「誤情報」の印が付いたツイートを2200万件検閲、
② 分析のために収集された8億5900万件のツイートをデータベースに収集、
③ 120人の分析者が最大20時間の交代制でソーシャル・メディアの「誤情報」を監視、
④ 15の技術部門が「誤情報」を頻繁に同時監視、
⑤ 政府と技術部門の間の平均応答時間は1時間未満、
⑥ 何十という「誤情報の物語」がソーシャル・メディア全体で規制される対象に、
そして
⑦ 数億にも上るFacebook投稿、YouTube動画、TikTok、およびツイートがひとつひとつ「誤情報」として検閲されました。123

 EIPの代表者は、自国内の検閲活動は投票の「時間、場所、そして方法」と関連するため狭い範囲で調整されていると主張し、視聴者をしばしば誤導しています。しかしこのまやかしは、EIP自体の検閲基礎資料について視聴者が何もわかっていないことに依存しています。実際、EIPの検閲の圧倒的大多数は、「非合法化」に関連しています。これは、EIP関係者が技術部門に採用させるよう圧力をかけた新しい検閲範疇であり、EIPの検閲切符の72%を占め、2千2百万件の「誤情報事件」の総容量によって測定される投稿の99%以上に相当するものです。124EIPは「非合法化」の間口を広げて定義しており、選挙の過程、結果、あるいは品位に対して「疑念を投げかける」とされる任意の発言も含んでいます。結果として、利用者が選挙の問題を単に「事件(incidents)」として投稿するだけでも、たとえ事実の報道であっても、利用規約違反になってしまうということで、事実の報道そのものが完全に禁止されていたのです。

 EIPは、政治的な物語全体を誤情報として分類し、禁止された投稿を支持する個々の米国市民の投稿を事実上誤情報として自動的に警告することで、2020年6月から11月までの5ヶ月間(そしてその後COVIDでも同様)に、全体で何億ものソーシャル・メディア(15のソーシャル・メディアに及ぶ)の投稿を分類することができました。これは、EIPが選挙統合・情報共有・分析センター(Election Integrity and Intelligence Sharing and Analysis Center:EI-ISAC)に裏から繋がる権力を持っていたためです。EI-ISACは、DHSが検閲の意思決定者に直接連絡が取れるように創られた国内偽情報の交換盤です。

アスペン研究所の研修会において先端ジャーナリストに対する「ハッキングと漏洩」を先制撃退する訓練を実施

 2020年3月31日、スタンフォード大学のサイバー政策センター(同大学のインターネット観測所を傘下に収める組織)は、オバマ政権の政治活動担当だったアンドリュー・グロットと元ジャーナリストのジャニーン・ザカリアによる報告書を公表しました。この報告書では、編集者やジャーナリストに対して「ペンタゴン文書の原則を破ること」を強く薦めているのです。この2人は何を言おうとしたのか?漏出した情報は、たとえそれが真実であっても報道すべきではない、というのが彼らの考えでした。(もし報道すれば)「ディスインフォメーション(偽情報)」に与する可能性が出てくるから、というのです。125

 ダニエル・エルスバーグによる1971年のペンタゴン文書の漏洩以来、ジャーナリストたちは一般的にひとつの規則の下で活動してきました:情報が確認されたら、それにニュース価値があると判断されれば、それを公表すること・・・しかし、今の新しい時代では、ロシアなどの外国の敵対者が政治的宣伝活動へとハッキング、情報を漏出させ、我々の民主主義を混乱させ、そして特定の候補を支持するようなことが起きています。ジャーナリストたちはこの原則を捨てなければなりません」と2人の筆者は書いています。

 スタンフォード大学サイバー政策センターの目標は明白で、ジャーナリストたちが1971年のペンタゴン文書で行ったようなことをしないようにすることでした。「新しい一連の慣行を受け入れるニュース・メディアの数が増えれば、悪意のある行為者による利用に対してアメリカの報道機関はより強靭になるでしょう」とこの報告書の筆者たちは書いています。

 筆者のグロットとザカリアは、さらに一歩先に進み、国家安全保障機関が報道を望まない事柄について報道機関が報道しないことを祝福しています。「ジャーナリストが報道を控えることは長い歴史があるが、特に国家安全保障の領域では、1958年、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)の軍事問題担当記者ハンソン・ボールドウィンが、ドイツの基地で異常な飛行機を見つけ、後にそれが秘密の米国U-2スパイ機だと判明したが、明らかなニュース価値があるにもかかわらず、NYTはその記事を発表しなかった」とこの二人の筆者は書いています。

 二人の筆者は、実際の現実の中で、ニュース・メディアが2020年10月にハンター・バイデンのラップトップを報道する方法について説明しています。「何が起きたか? だけでなく、なぜそれが起きたのか?に焦点を当てること。クズのような電子メールやハッキングされた情報と同じくらいの量の偽情報宣伝活動を作り上げること。現在の脅威に合わせてニュース価値を変えること」。

 アスペン研究所は、記者たちのためにこれらと同じような意図を伝える不気味な研修を行いました。2020年6月25日、アスペン研究所は、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、そしてCNNのジャーナリスト、およびTwitter社とFacebook社の検閲担当者を対象に、「卓上演習」という形で会議を開催しました。この演習では、漏洩した情報がどれほど正確であっても、それがロシアのハッキングの結果であるとみなし、そのハッキングについて記事を書くことが強調されました。ハッキングの内容ではなく、ハッキング自体に焦点を当てるように指導されたとのことです。126

 主催者はビビアン・シラー(Vivian Schiller)で、元NPRの最高責任者、元Twitter社のニュース部門の責任者、元ニューヨーク・タイムズ紙の総支配人、そして元NBC News社のデジタル部門最高責任者です。出席者にはアンドリュー・グロットとジャニーン・ザカリアもいました。彼らはジャーナリストたちに「ペンタゴン文書の原則を破るよう」訴えるスタンフォード報告書の筆者です。以下は出席者の完全な一覧です:

● ジェシカ・アシュー(Jessica Ashooh) - Redditの方針部部長
● オルガ・ベロゴロヴァ(Olga Belogolova) - Facebookの方針部管理人
● ジョン・ベネット(John Bennett) - Wikimedia Foundationの安全部部長
● ケビン・コリアー(Kevin Collier) - NBC Newsの記者
● リック・デイビス(Rick Davis) - CNNのEVP、ニュース標準と実践担当
● ナサニエル・グレイチャー(Nathaniel Gleicher) - Facebookのサイバー安全方針部責任者
● ギャレット・グラフ(Garrett Graff) - Aspen Instituteのサイバー取組部部長 ● アンディ・グロット(Andy Grotto) - スタンフォードサイバー方針センター長
● スティーブ・ヘイズ(Steve Hayes) - The Dispatchの共同創設者兼編集長
● スーザン・ヘネシー(Susan Hennessey) - Lawfareの上級編集者
● ケリー・マクブライド(Kelly McBride) - Poynter協会の副代表者
● デビッド・マクロー(David McCraw) - ニューヨーク・タイムズの副代表者兼副主任弁護士
● エレン・ナカシマ(Ellen Nakashima) - ワシントン・ポストの国家安全保障記者
● エヴァン・オスノス(Evan Osnos) - The New Yorkerの常勤記者
● ドニー・オサリバン(Donie O'Sullivan) - CNNの記者
● ディーナ・テンプル・ラストン(Dina Temple Raston) - NPRの捜査記者
● ヨエル・ロス(Yoel Roth) - Twitterのサイト品位部責任者
● アラン・ラスブリッジャー(Alan Rusbridger) - ガーディアン紙の元編集長、Facebookの監督委員会の委員
● デビッド・サンガー(David Sanger) - ニューヨーク・タイムズのチーフワシントン特派員
● ノア・シャクトマン(Noah Shachtman) - The Daily Beastの編集長
● ヴィヴィアン・シラー(Vivian Schiller) - アスペン協会の業務執行取締役
● クレア・ウォードル(Claire Wardle) - First Draft Newsの共同創設者兼管理者
● クレメント・ウルフ(Clement Wolf) - Googleの情報統合に向けた世界公共政策推進委員
● ジャニーン・ザカリア(Janine Zacharia) - スタンフォード大学客員講師

Covid検閲

実験室漏洩理論

 今回のパンデミックの大半を通して、COVID-19の拡散は中国・武漢市の武漢ウイルス研究所からの漏洩によるものという考えは退けられていました。2020年2月、ワシントン・ポスト紙の見出しです:「トム・コットンがコロナウイルスに関する誤った陰謀論を繰り返す」という見出しの記事を掲載しました。共和党の上院議員であるトム・コットンがこの考えを提起した後のことです。128 2日後、英国の医学雑誌ランセットは27人の科学者による「COVID-19が自然発生ではないとする陰謀論を強く非難する」という内容の記事を発表しました。129

 2020年9月、Facebook社は「タッカー・カールソン・トゥナイト」の番組を検閲しました。この番組では、中国人医師がCOVIDパンデミックは中国の研究所からウイルスが漏れ出た結果であると述べていました。Facebookはこの動画を「誤った情報」として決めつけ、Instagramの投稿にも同様に印を立てました。130

 今日、主流報道機関は、大流行の原因としてウイルスが動物から人間への感染(スピルオーバー)による可能性と、研究所からの漏洩による可能性が同じくらいあり得ると見なしています。

 2021年2月26日にウォール・ストリート・ジャーナル紙は、アメリカエネルギー省(DOE)が連邦捜査局(FBI)に加わり、新型コロナウイルス大流行の原因として自然な要因よりも研究所からの漏洩がより可能性が高いと結論づけたと報じました。131 そして、2021年11月には、大流行へのアメリカの対応を監督する代表的な政府公職者であるアンソニー・ファウチが、COVIDの起源について「私は完全にどんな考えも受け入れる用意ができています」と述べました。132

 実際、2015年までに、研究所からの漏洩がコロナウイルス大流行の可能な原因であるという十分な証拠がありました。133 しかし、将来において同様の間違いを回避し、公の信頼を回復するための新しい体系や保護策を誰一人発表していません。

マスク懐疑論

 2020年、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策団員のマスク有効性を疑問視するツイートをTwitterは削除しました。134 2021年中頃、ホワイトハウス報道官のジェン・サキの発言:バイデン政権は検閲すべき「問題のある」COVID関連のFacebookへの投稿を特定している。135 YouTubeは、ハーバード大学とスタンフォード大学の科学者がフロリダ州知事に対して子どもたちにマスク着用の義務を課すべきでないという意見を表明した動画を削除しました。136 また、Facebookは元ニューヨーク・タイムズ紙のジャーナリストであるジョン・ティアニーを、子供たちのマスク着用による害の証拠を正確に報じたことを理由に検閲しました。137

2021年

DHSはその検閲権限を拡大

 ソーシャル・メディア各社に対する「内容を検閲するように」、という政府からの要求はジョー・バイデン大統領政権下で増加しています。2021年1月、選挙に対する偽情報への対応を目的として2018年に設立された「サイバー安全保障および基盤構造安全保障機関」(CISA)は、その範囲を拡大して、誤情報、偽情報、そして悪意ある情報(全般)に「柔軟に焦点を当てるようにする」としています。誤情報は意図しないものである可能性がありますが、偽情報は計画的なものと定義され、悪意ある情報は「誤導する」正確な情報も含まれることがあります。

 2021年1月、CISAは「Countering Foreign Influence Task Force(外国の影響に対抗する作業部会)」を「MDM全般に柔軟に焦点を当てようとする」「MDM」班と入れ替えました。138 この変更により、MDMの情報源はさらに国内へと向かうことになりました。監察官報告に引用された一人のCISA高官の話によると、「MDM」班は「全ての種類の誤情報に対抗し、現在の出来事に対応するようにしている」とのことです。139

 CISAの選挙安全保障構想の部長であるジェフ・ヘイルは、「政府の宣伝活動と見られないように、情報集積地」として、請負非営利団体の利用を推奨しました。140

ホワイトハウスの圧力により、FacebookとTwitterが正確なワクチン情報を検閲

 TwitterとFacebookは、ワクチン接種へのためらいを減らすためもあり、正確なCOVID情報を検閲しました。これにより、「意見の相違がある医師や他の専門家の信頼性を失わせることになりました」。この取り組みには、EIPの4人の委員が関わっており、現在は「ウィルス的拡散計画Virality Project(VP)」となっています。「2021年の春と夏に、VPは連邦、州、地方の利害関係者、市民社会の組織、および医療専門家の連合と協力して、ワクチン接種へのためらいを理解する取り組みを支援しました」とディレスタは2021年に説明している。141

 バイデン政権の高官たちは、Twitter社とFacebook社の幹部に対して、より積極的な検閲をおこなかったことを叱責しました。Twitter社は真実であるか、あるいは単に議論を呼ぶだけの「誤解を招く」と決めつけられたアカウントを多く禁止したり制限したりしました。Twitter社は、mRNAワクチンに関する査読済みの研究結果を正確に説明した医師のアカウントを一時的に停止しました。

 Facebook社は、ドナルド・トランプ大統領のCOVIDワクチンが配布されるのはすぐだ、との発言を検閲しましたが、実際にはそのとおりになりました。142これは、検閲が正確な情報の信頼を貶め、当局への不信を高める取り組みの一環として使用される例であり、検閲産業複合体が大切にしていると主張している2つの要素です。Facebook社はホワイトハウスの圧力があったため、「真実であることが多い内容」を検閲しました。2021年春、ある企業幹部が言っていますが、これは「告発すべき誤情報を含まない」が「ワクチン接種の足を引っ張る内容」でした。143ミズーリ州の州司法長官は、バイデン政権を第一修正案違反で訴えており、その電子メールを公開しました。144「ご存知のとおり、私たちはワクチン誤情報を削除することに加えて、告発すべき誤情報を含まないワクチン接種の足を引っ張る内容の爆発的拡散を減らすことに焦点を当ててきました」とFacebookの幹部(名前は伏せられています)は、書いています。145

 ミズーリ州の州司法長官のメールを読むと、当時のホワイトハウスCOVID相談役であるアンディ・スラビットに対してFacebook社が防御的な対応をしていることがはっきりわかります。「このような真実であることの多い内容は投稿の段階では許可されます。専門家から、個人の経験やワクチンに関する懸念を人々が議論できることが重要だ、との助言があるからです。しかし、それが煽情的、人騒がせ、あるいは衝撃的という枠づけをされることもあります」と、司法長官は書いています。

 Facebook社の幹部は、「これらのグループ、ページ、およびアカウントがこの感情を煽るような内容を過度に促進している場合、私たちは削除します。(この流れの)実施が進めば、この動きはさらに加速されることになります」と述べています。146

 別のホワイトハウス高官がメールでFacebook社員を厳しく叱責しました:「私たちは深刻な懸念を抱いている。Facebookでのやりとりがワクチン接種へのためらいを生み出す最大要因の一つになっている。以上」と。「ボールを隠している」という件名の攻撃的な一連のメールやり取りの中で、この高官は、Facebookが、米国議会議事堂暴動(2021年1月6日)前と「同じこと」をしている危険性があると信じていると述べています。「反乱は・・・大部分、Facebook上でその陰謀が企てられた」。147

 これらの検閲要求は、ホワイトハウスと議会が継続的に通信品位法230条を撤廃するという脅しを背景としておこなわれていました。230条は、利用者が投稿した内容に対するソーシャル・メディアの責任を免除するものです。ソーシャル・メディアは、もし230条が撤廃されれば自らの存立にとって実存的な脅威になると見なしています。この法律がなければ、ソーシャル・メディアは現在の形で存在することはできないでしょう。

 2020年以降、EIPの4人の共同創設者は、COVID関連問題に対する検閲を求めるために「ウイルス的拡散計画The Virality Project(VP)」を立ち上げました。彼らはEIPと同じくJira Service Desk検閲切符アプリを使用しました。VPはCOVID-19に関する情報に焦点を当て、EIPとまったく同じような種類の検閲をおこないました。VPは、2021年に政府担当者との連携の下、66のソーシャル・メディア上の、ウイルス的(爆発的)に拡散しているとされる「物語」を検閲したと語っています。148

アスペン研究所情報障害報告書

 2021年のアスペン研究所の報告書において、検閲産業複合体の全般的な展望を見ることができます。この報告書は、MDM(誤情報、偽情報、そして悪意ある情報)がアメリカの直面する最も深刻な危機であると実質的に主張しています。なぜなら、HDMが「他のすべての危機を悪化させているからです。この報告書は、「偽情報」から「誤情報」、「悪意ある情報」(「誤導的な物語」を防ぐという名目の下、正確な情報を検閲することを可能にする範疇)、そして「情報障害」まで継続的に拡大する枠組みの上に成り立っています。149アスペン研究所報告書は、ソーシャル・メディアの大幅に拡大された情報検閲とホワイトハウス、ソーシャル・メディアが一体となって進めている宣伝活動を呼びかけています。

気候変動とエネルギー

 検閲産業複合体は、気候変動とエネルギーに関連する内容をソーシャル・メディアが検閲するよう圧力をかけています。

 私がこんなことを言うのは、私には検閲と名誉失墜宣伝活動による攻撃が続いているという経験があるからです。この攻撃は拙著『Apocalypse Never(終末は決してない)』の上梓を告げるウイルス的(爆発的)に広まった記事を書いてから仕掛けられました。私の記事に対して、複数の頭脳集団がすぐに虚偽の「論破」を主張しました。それらの偽の論破が、Facebook社が私の投稿を今日に至るまで(気候変動に関係ない投稿も含めて)検閲する根拠となりました。Facebook社は私の申し立てを一切許しませんでした。ジャーナリストのジョン・ストッセルによる訴訟に対応して、Facebook社は彼と私に対するいわゆる「事実確認」が「意見」に過ぎず、中傷とはみなされないと告白しました。150それでも、検閲は続いています。151

 2021年、英国の医学雑誌『ランセット』が、温暖な気候は命を救うと結論した、とビョルン・ロンボーグが正確に報告したことに対して、Facebook社は検閲をおこないました。152

 Facebook社や他のソーシャル・メディア各社は、検閲対象となった人々に対して申し立て手続きを何も提供していません。ジャーナリストのジョン・ストッセルがFacebook社を訴えた後、親会社であるメタ(Meta)社は、訴訟に対する回答として、Facebook社の「事実確認」は単なる「意見」であり、中傷の告発から免責されると述べました。153


 更なる検閲の要求は続いています。バイデン政権の気候助言者であるジーナ・マッカーシーは、2022年にAxios*との取材で、「技術部門企業は特定の個人が何度も何度も偽情報を拡散することを止めなければなりません」と述べました。Axiosの記者が「気候に関する誤情報や偽情報は、公共の健康にとって脅威ではありませんか?」と尋ねると、マッカーシーは「まったくそのとおり・・・まさしく私たちが話しているのは、いろいろな危機についてであって、それは私たちの社会が、もはや大目に見る必要のないものになっています」と答えました。154
*「私たちは2017年1月にAxiosを立ち上げた際に、次の共通の信念を基礎にしました:世界は急速に変化するテーマに関するより賢明で効率的な報道が必要であるという信念です。常に私たちの視聴者を最優先に考えることを誓いました」と謳うサイト。https://www.axios.com/about

 マッカーシーは、2021年2月のテキサス州の停電の際に、天候依存型の再生可能エネルギーの不備を批判した人々を特にとりあげました。しかし、それらの批判の多くは事実でした。過去10年間、テキサス州では投資家が830億ドル以上を天候依存型のエネルギー源、主に風力タービンに注ぎ込んでいました。2月の寒波の際に、それは凍結した化石燃料工場と共に、大部分が利用できなくなりました。155その理由の一部は寒さであり、大半は風速が足りなかったというのが理由です。

 マッカーシーは、再生可能エネルギーの批判者たちは「闇の資金」を提供している化石燃料系諸会社(これは巨大タバコ産業と同じと彼女は言う)によって資金提供されていると主張しました。彼女は、批判者たちが「綺麗なエネルギーの利点」について一般市民を「欺く」ために報酬を受け取っていると主張しました。「私たちは技術部門企業に本当に参加してもらう必要があります」と彼女は述べました。再生可能エネルギーを批判することは「拒否することと同じくらいに危険です。なぜなら、私たちは急いで動かなければならないからです」。156

 しかし、テキサス州で使われている再生可能エネルギーを含め、それに対する主な批判者たちは、化石燃料産業からの資金提供を受けていません。さらに、マッカーシー自身のAxiosとのインタビューは、太陽エネルギー産業への主要な供給者である3Mがスポンサーとなっていました。3Mは、3Mの利益となるような気候とエネルギーに関する立法推進のために直接政治的圧力をかける活動をしています。157

 したがって、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、マッカーシー、米国発展センター、そしてソーシャル・メディア諸企業が提案している広範な検閲枠の下では「リチウムイオン電源の技術的な限界を指摘するだけでも、『偽情報』に該当する可能性がある」と指摘されています。158

 さて、米国政府によって資金提供された組織が、私や他の人々を中傷する報告書を作成し、ソーシャル・メディアにおける私や他の人々の投稿をもっと検閲するように、と要求しました。イギリスの頭脳集団である戦略対話研究所(ISD)は、アメリカの納税者のお金を使って事実情報の検閲を求めています。国務省は2021年9月にISDに助成金を与え、「偽情報と宣伝活動に対抗する有望で革新的な技術の開発を進める」ことを推進しました。159 2022年の「気候偽情報」に関する報告書では、ISDは私や他の人々を、気候対策の「遅延」を推進している輩、と中傷しています。160これは嘘であり、原子力発電所を守る私の仕事を知るすべての人が分かっているとおり、私は「ゆっくり進む」やり方を一度も提唱したことはありません。

 戦略対話研究所(Institute for Strategic Dialogue)は、北大西洋条約機構(NATO)、パリのアメリカ大使館、大西洋評議会のデジタル操作研究室(DFRLab)、およびサイバー安全保障及び基盤構造安全保障庁(CISA)が後援したある催し物に参加した後、資金援助を受けました。

2022年

米国政府は「Disinformation Index」と「News Guard」という組織に資金提供して、好ましくないニュース・メディアから広告主を遠ざけるための活動を行っている

 政府が資金提供する検閲組織は、広告主がそれを要望するから、と検閲を正当化しています。「内容管理規制と内容政策は事業の動機にも関連しています。ソーシャル・メディアは『肥溜め』を作りたくないのです。Twitter社は4チャンネルのような場所になることを今も昔も望んでいません。なぜなら、大半の人々はそのような環境を楽しんでいないからです。だから、第一修正条項に準拠した内容あっても、ソーシャル・メディアによっては多かれ少なかれ内容管理を選択します。それは自分たちが作り上げたいと思っている類の環境と緊密に連動しています。すべての人が自由な経験を持つという考え方とは一線を画します。161

 他方、米国政府は好ましくないニュース・メディアから好ましいニュース・メディアへの広告費の流れを促進する団体に資金を提供しています。2021年に国民の税金3億ドルの予算を受け取った「全米民主主義基金National Endowment for Democracy」は、2020年に「Global Disinformation Index」という組織に23万ドルを助成しました。この組織は、ワシントン・エグザミナー、Reason、およびニューヨーク・ポスト紙を含む保守派やリバタリアン系主要メディアとの広告掲載を企業に呼びかけないよう働きかけています。162

 2021年9月、国防総省は75万ドル相当の政府契約をNewsguard*に与えました。Newsguardもまた、好ましくない出版物に対して広告主が資金提供を打ち切るよう主張している団体の一つです。163
*ニュースと情報のウェブサイトの信頼性を評価し、オンラインの誤情報を追跡するためのジャーナリズム関係サイト。(ウィキペディア)

国土安全保障省の「Desinformation Governance Board(DGB偽情報管理委員会)」の設立

 2022年4月、国土安全保障省はソーシャル・メディア上の偽情報と戦うために「DGB」を設立すると発表しました。2022年3月には、ソーシャル・メディアの幹部や他の政府機関の代表との会議で、「外国からの影響に対処する機動部隊(Foreign Influence Task Force)」を率いるFBIの職員、ローラ・デムロウは、「我々は責任を持つ報道機関の基礎構造が必要だ」と述べました。164

 「DGB」設立の発表は、一般市民から強い広範な反発を引き起こし、数週間後にバイデン政権はその計画を取り下げました。しかし、計画を完全に放棄する代わりに、国土安全保障省の各機関は独自にソーシャル・メディアを監視しています。国土安全保障省の2022年度四半期国土安全保障総括の草案によると、同省は「不正確な情報」を対象にする予定であり、それには「COVID-19大流行の起源とCOVID-19ワクチンの有効性、人種的正義、アフガニスタンからの米国の撤退、およびウクライナへの支援の本質」が含まれていました。165

2023年

Twitter文書

 アメリカ人は、新しいTwitter社主であるイーロン・マスクがTwitter 文書を提供してくれたことに感謝すべきです。予測されたことかもしれませんが、検閲産業複合体は重大な悪意ある情報、誤情報、そしておそらく偽情報を広めました。このTwitter 文書やそれを報道することに関係したジャーナリストたちについてです。マスクが私をTwitter 文書の報道担当者として直接選んだと広く報じられています。が、それは真実ではありません。バリ・ワイスが私を彼女の報道班に誘ったのです。私たちが初めて会ったとき、マスクは私が誰なのか知らないと話しました。

 私たちは(Twitter社内の)内部メールや直接の伝達文書を幅広く目を通す権限を与えられましたが、何も隠されている形跡は見つかりませんでした。私の報道の独立性については、Mother Jones誌や私の2020年の著書『終末は決してない(Apocalypse Never)』でマスクのエネルギーに関する発言を批判した数少ないジャーナリストの一人であることを指摘しておきます。マスクの他の点について何を考えようとも、彼が世界でもっとも重要なソーシャル・メディア(Twitter)の内部の仕組みを透明にしようと決断したことは前例のないことであり、公衆に検閲産業複合体のやり口を理解する機会を提供してくれました。

ディレスタとスタモスは、「外国からの偽情報」の脅威を誇張している

 2月下旬、Meta(Facebook)が第4四半期の「Adversarial Threat Report(敵からの脅威報告)」を公開した後、ディレスタは次のようにツイートしました。「興味深いFacebookの対立的な脅威レポート:4つの偽情報連携組織・・・そのいくつかはかなり大規模で、国に関連していますが、傭兵関係者(有給の運営者)もいました。大金を使って広告を出しています」。166 スタモスも同意し、「深刻な外国からの影響宣伝活動がオンライン上に続いています」と述べています。167

 以下は、Metaが記述した内容です:「ロシアによるウクライナ戦に関連したロシア起源の隠蔽活動(CIB)は急激に増加している一方で、ロシア国家が管理する報道機関によるFacebook上での公然の試みは、報告によれば、過去12ヶ月間減少している。国家が管理する報道機関は、新しい登録名を使用して他のソーシャル・メディアに移行し、自分たちのサイトへのリンクがますます丸裸になる(そして「格下げ」になる)ことを回避しようとしている。同じ期間に、隠れた影響力をもつ勢力は、インターネット全体で、大量かつ非常に低品質の宣伝活動を採用する「強引で手荒な」やり方を取り入れた」。168


 言い換えれば、ロシアは隠蔽活動を試み、大部分は失敗しており、その結果、他のソーシャル・メディアに移行し、「低品質な宣伝活動」に頼ることを余儀なくされているということです。これは、ロシア勢力について、ディレスタは「相当大規模」な取り組みであると主張し、スタモスは「深刻な」作戦と言っているのとは、全く異なる状況だと捉えられているのです。

 『Revolt of the Public(大衆の反乱)』の著者であるグリは反論しました。「『影響力』を証明せよ。基礎資料はどこにあるのか?純粋なアメリカ人の心にどのような汚染があるのか?そして、もし基礎資料がないのなら、これは『ベッドの下には共産主義者がいる』のよりもさらにばかげた言い方ではないのか?」と彼はツィートしました。169

 これに対して、スタモスは「私はあなたの本の熱狂的支持者です。あなたがこうなるのは残念です、先生・・・私は何度も何年も前から述べてきましたが、これらの宣伝活動の影響はしばしば誇張されていると思っています。特に2016年の選挙に関してはそうでした。しかし、権威主義者を自由に走らせ、彼らが印を付けた対象を人々に信じさせることは信頼性のあるソーシャル・メディアを運営する賢明な方法ではありません」と書いています。170


<原註>
108 Craig Timberg et al., “Secret campaign to use Russian-inspired tactics in 2017 Ala. election stirs anxiety for Democrats,” Washington Post, Jan 6, 2019, https://www.washingtonpost.com/business/technology/secret-campaign-to-use-russianinspired-tactics-in-2017-alabama-election-stirs-anxiety-for-democrats/2019/01/06/58803f26- 0400-11e9-8186-4ec26a485713_story.html.
109 Craig Timberg et al., “Secret campaign to use Russian-inspired tactics in 2017 Ala. election stirs anxiety for Democrats,” Washington Post, Jan 6, 2019, https://www.washingtonpost.com/business/technology/secret-campaign-to-use-russianinspired-tactics-in-2017-alabama-election-stirs-anxiety-for-democrats/2019/01/06/58803f26- 0400-11e9-8186-4ec26a485713_story.html.
110 Craig Timberg et al., “Secret campaign to use Russian-inspired tactics in 2017 Ala. election stirs anxiety for Democrats,” Washington Post, Jan 6, 2019, https://www.washingtonpost.com/business/technology/secret-campaign-to-use-russianinspired-tactics-in-2017-alabama-election-stirs-anxiety-for-democrats/2019/01/06/58803f26- 0400-11e9-8186-4ec26a485713_story.html.
111 Nicholas Thompson et al., “Anti-Social Media and The Menace of Disinformation” (panel, Aspen Institute, June 29, 2018), 6:15-6:51, https://www.youtube.com/watch?v=wpksY8w9JwI.
112 Matt Taibbi (@mtaibbi), “1.THREAD: Twitter Files #15, MOVE OVER, JAYSON BLAIR: TWITTER FILES EXPOSE NEXT GREAT MEDIA FRAUD,” Twitter post, Jan 27, 2023, 11:49 am, https://twitter.com/mtaibbi/status/1619029772977455105.
113 Sebastian Herrera, “Austin researcher makes a name – and finds controversy – in cybersecurity world, Austin American-Statesman, Feb. 15, 2019, https://www.statesman.com/story/business/technology/2019/02/15/who-is-jonathon-morganaustin-researcher-makes-name-and-finds-controversy-in-cybersecurity-world/5974403007.
114 Matt Taibbi (@mtaibbi), “1.THREAD: Twitter Files #15, MOVE OVER, JAYSON BLAIR: TWITTER FILES EXPOSE NEXT GREAT MEDIA FRAUD,” Twitter thread, Jan 27, 2023, 11:49 am, https://twitter.com/mtaibbi/status/1619029772977455105.
115 Hearing before the Select Committee on Intelligence of the United States Senate: Open Hearing on Foreign Influence Operations' Use of Social Media Platforms (Third Party Expert Witnesses), 115th Cong. 19 (2018) (statement of Renee DiResta, Director of Research, New Knowledge), https://www.intelligence.senate.gov/sites/default/files/documents/osrdiresta080118.pdf?utm_campaign=The%20Interface&utm_medium=email&utm_source=Revue%20n ewsletter. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 63
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140Ken Klippenstein and Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 65 https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs; CISA Cybersecurity Advisory Committee, “DHS Cybersecurity Disinformation Meeting Minutes,”accessed Mar 6, 2023, https://www.documentcloud.org/documents/23175380-dhs-cybersecuritydisinformation-meeting-minutes.
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145 Anonymous Facebook executive, email to Andrew M. Slavett and Rob Flaherty, “[EXTERNAL] Follow up - Friday call w[redacted],” Mar 21, 2021, cited by Michael Shellenberger, Leighton Woodhouse, “Under White House Pressure, Facebook Censored Accurate Covid Vaccine Information,” Public, Jan 12, 2023, https://public.substack.com/p/under-white-house-pressure-facebook.
146 Anonymous Facebook executive, email to Andrew M. Slavett and Rob Flaherty, “[EXTERNAL] Follow up - Friday call w[redacted],” Mar 21, 2021, cited by Michael Shellenberger, Leighton Woodhouse, “Under White House Pressure, Facebook Censored Accurate Covid Vaccine Information,” Public, Jan 12, 2023, https://public.substack.com/p/under-white-house-pressure-facebook.
147 Rob Flaherty, email to anonymous Facebook executive, "RE: You are hiding the ball," Mar 15, 2021, cited by “Under White House Pressure, Facebook Censored Accurate Covid Vaccine Information,” Public, Jan 12, 2023, https://public.substack.com/p/under-whitehouse-pressure-facebook?utm_source=twitter&utm_campaign=auto_share&r=1ccax
148 The Virality Project, Memes, Magnets and Microchips: Narrative Dynamics around COVID-19 Vaccines, Stanford Digital Repository, Apr 26, 2022, https://purl.stanford.edu/mx395xj8490.
149 Katie Couric, Chris Krebs, and Rashad Robinson, Commission on Information Disorder: Final Report, November 2021, Aspen Institute, Nov 2021, https://www.aspeninstitute.org/publications/commission-on-information-disorder-final-report.
150 Stossel v. Meta Platforms, Inc., U.S. District Court for the Northern District of California, San Jose Division, No. 5:21-cv-07385, Reply filed by defendant Science Feedback Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 66 in support of motion to dismiss pursuant to California's anti-SLAPP statute, Mar 14, 2022, http://climatecasechart.com/wp-content/uploads/sites/16/casedocuments/2022/20220314_docket-521-cv-07385_reply-1.pdf.
151 Michael Shellenberger, “I Have Been Censored By Facebook For Telling The Truth About Climate Change And Extinctions,” Environmental Progress, July 7, 2020, https://environmentalprogress.org/big-news/2020/7/7/i-have-been-censored-by-facebook-fortelling-the-truth-about-climate-change-and-extinctions. John Stossel, “Here’s where the ‘facts’ about me lie — Facebook bizarrely claims its ‘fact-checks’ are ‘opinion,’” New York Post, Dec 13, 2021, https://nypost.com/2021/12/13/facebook-bizarrely-claims-its-misquote-is-opinion; John Stossel, “Government Fueled Fires,” YouTube video, Sept 22, 2020, https://www.youtube.com/watch?v=N-xvc2o4ezk.
152 Bjorn Lomborg, “The heresy of heat and cold deaths,” Bjorn Lomborg, accessed Mar 6, 2023, https://www.lomborg.com/the-heresy-of-heat-and-cold-deaths; Qi Zhao et al., “Global, regional, and national burden of mortality associated with non-optimal ambient temperatures from 2000 to 2019: a three-stage modelling study,” Lancet 5, no. 7 (July 2021), doi:10.1016/S2542-5196(21)00081-4.
153 Ted Johnson, “Joy Reid again faces defamation lawsuit over social media posts,” New York Post, July 15, 2020, https://nypost.com/2020/07/15/joy-reid-again-facesdefamation-lawsuit-over-social-media-posts; Stossel v. Meta Platforms, Inc., U.S. District Court for the Northern District of California, San Jose Division, No. 5:21-cv-07385, Reply filed by defendant Science Feedback in support of motion to dismiss pursuant to California's antiSLAPP statute, Mar 14, 2022, http://climatecasechart.com/wp-content/uploads/sites/16/casedocuments/2022/20220314_docket-521-cv-07385_reply-1.pdf.
154 “Watch: A conversation on battling misinformation,” Axios, Jun 9, 2022, https://www.axios.com/2022/05/31/axios-event-gina-mccarthy-nih-misinformation-online.
155 “Clean Energy in Texas,” American Clean Power, accessed Mar 6, 2023, https://cleanpower.org/resources/clean-energy-in-texas.
156 “Watch: A conversation on battling misinformation,” Axios, Jun 9, 2022, https://www.axios.com/2022/05/31/axios-event-gina-mccarthy-nih-misinformation-online.
157 “About 3M Solar Energy,” 3M, accessed Mar 6, 2023, https://www.3m.com/3M/en_US/power-generation-us/solutions/solar-energy; “Client Profile: 3M Co,” OpenSecrets, accessed Mar 6, 2023, https://www.opensecrets.org/federallobbying/clients/bills?cycle=2021&id=D000021800. 158 Editorial Board, “Climate-Change Censorship: Phase Two,” Wall Street Journal, June 13, 2022, https://www.wsj.com/articles/climate-censorship-phase-two-gina-mccarthysocial-media-biden-white-house-11655156191.
159 Ailan Evans, “State Department Helped Fund ‘Disinformation’ Research Group That Reportedly Blacklists Conservative News Sites,” Daily Caller, Feb 9, 2023, https://dailycaller.com/2023/02/09/state-department-disinformation-conservative-news-site; “The U.S-Paris Tech Challenge: Hear from the winners,” Safety Tech Innovation Network, Feb 16, 2022, https://www.safetytechnetwork.org.uk/the-u-s-paris-tech-challenge-hear-from-thewinners; “Partnerships & Funders,” Institute for Strategic Dialogue, accessed Mar 7, 2023, https://www.isdglobal.org/partnerships-and-funders. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 67
160 Jennie King et al., Deny, Deceive, Delay Vol. 2: Exposing New Trends in Climate Mis- and Disinformation at COP27, Institute for Strategic Dialogue, Jan 19, 2023, https://www.isdglobal.org/isd-publications/deny-deceive-delay-vol-2-exposing-new-trends-inclimate-mis-and-disinformation-at-cop27.
161 Renee DiResta, interview by Michael Shellenberger, transcript here: https://docs.google.com/document/d/1J8bvylZwT1zAa7iE1D3NeeudgByCHTXkeJg4bwIn8aA /edit
162 Lyssa White, “Global 2021” (list of grants), National Endowment for Democracy, Feb 11, 2022, https://www.ned.org/region/global-2021; Gabe Kaminsky, “Disinformation Inc: State Department bankrolls group secretly blacklisting conservative media,” Washington Examiner, Feb 9, 2023, https://www.washingtonexaminer.com/restoring-america/equality-notelitism/disinformation-group-secretly-blacklisting-right-wing-outlets-bankrolled-statedepartment; Gabe Kaminsky, “Disinformation Inc: Meet the groups hauling in cash to secretly blacklist conservative news,” Washington Examiner, Feb 9, 2023, https://www.washingtonexaminer.com/restoring-america/equality-not-elitism/disinformationconservative-media-censored-blacklists; National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2022, H.R. 8282, 117th Cong. (2021), https://www.govinfo.gov/content/pkg/BILLS117hr8282rh/html/BILLS-117hr8282rh.htm.
163 “Contract Summary, Purchase Order, PIID FA864921P1569,” USAspending, accessed Mar 6, 2023, https://www.usaspending.gov/award/CONT_AWD_FA864921P1569_9700_-NONE-_-NONE-.
164Ken Klippenstein and Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs.
165 Ken Klippenstein and Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs.
166 Renee DiResta (@noUpside), “Interesting Facebook’s adversarial threat report today,” Twitter post, Feb 23, 2023, 8:22 am, https://twitter.com/noUpside/status/1628762155888648193?s=20.
167 Alex Stamos (@alexstamos), “1) Serious foreign influence campaigns continue online,” Twitter post, Feb 25, 2023, 4:37 pm, https://twitter.com/alexstamos/status/1629611621005033472?s=20.
168 Ben Nimmo, “Meta’s Adversarial Threat Report, Fourth Quarter 2022,” Meta, Feb 23, 2023, https://about.fb.com/news/2023/02/metas-adversarial-threat-report-q4-2022. 169 Martin Gurri (@mgurri), “Prove "influence". Where's the data? What pure American minds are polluted?” Twitter post, Feb 26, 2023, 11:29 am, https://twitter.com/mgurri/status/1629896414083059712?s=20.
170 Alex Stamos (@alexstamos), “I have stated multiple times, over years, that I thought the impact of these campaigns is often overstated,” Twitter post, Feb 26, 2023, 1:59 pm, https://twitter.com/alexstamos/status/1629934186089029632.

核戦争は気候変動よりも悪くない – ブリンケン国務長官の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
Nuclear war no worse than climate change – Blinken
出典:RT  2023年7月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月5日



2023年7月17日、ワシントンDCの国務省で記者団に話すアントニー・ブリンケン国務長官© AP / Manuel Balce Ceneta


気温上昇が世界に対する最大の「存亡の脅威」であると米国の外交官の長が主張

 アントニー・ブリンケン米国務長官は、核による絶滅の脅威は気候変動の脅威ほど深刻ではないと主張した。ブリンケン氏の批判者らは、米国政府がウクライナに武器を供与することで核戦争の危険を冒していると主張している。

 ブリンケン国務長官は日曜日(7月30日)に放送された「60ミニッツ・オーストラリア」という番組に出演し、核戦争と気候変動のどちらが「人類にとってより大きな脅威」なのかと質問された。

 「どちらかを選ぶというのはできないことだと思いますが…。いま前面に出ていて、世間の懸念の中心となっている事象は確かにありますが、気候問題ほど、私たちすべてにとって存在の危機となっている問題がないことは疑いのない事実です」と同国務長官は答えた。

 さらに同国務長官は、「我々にとっては、気候問題こそが、今の時代、存続の危機となる問題なのです」と話し、さらに、「とはいえ、ロシアによるウクライナ侵攻のような国際秩序にとって深刻な問題が、現在存在しないと言っているわけではありません」とも付言した。

 7月が史上最も暑い月となる見通しであることから、国連は2040年までに石炭使用を世界で皆無にすることを含め、炭素排出削減に向けた「行動の加速」を求めている。この夏の初め、ジョン・ケリー米国大統領気候担当特使は、世界の農業形態を全面的に見直し、農業からの炭素排出を削減することを求めたが、その目的は、「今世紀中旬までに、地球の温暖化が0.5度進む」ことを回避するため、とされた。



 関連記事:ロシアの専門家は、先制核攻撃を行うという主張を集団で非難

 しかし、ウクライナではジョー・バイデン大統領政権がウクライナ軍に対する無制限の支援政策を継続している。米国とNATO同盟国はウクライナに長距離ミサイルを装備しており、現在、ウクライナ側への米国製戦闘機の供給について協議している。これは、そのような兵器はロシアと西側の間の全面戦争の可能性を劇的に高める、とロシア側が何度も警告を繰り返しているにもかかわらず、おこなわれているものだ。

 ロシア当局は今月初め、ウクライナ軍もロシアの原子力発電所を標的にする試みを繰り返しており、ウクライナとその支援諸国は「核テロ」をおこなっていると非難し、警告した。

 米国では、核紛争の差し迫った脅威についての警告は主に共和党の孤立主義派から出ている。元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏とドナルド・トランプ元大統領の2人は、ウクライナ政権に対する米国の支援の停止を最も声高に訴えており、トランプ大統領は4月に、世界が歴史上「最も危険な時期」に直面しているのは、核兵器の存在と米国側の「無能な」指導者たちのせいだ、と述べた。

 トランプ大統領は3月、「この代理戦争が毎日続く中、我々は世界戦争の危険にさらされている」と述べ、この危機を回避するために「米国の政権交代を支持すべきだ」と主張した。

米国の一党独裁議会は、イラク、シリア、リビア、イエメンでの米国による緊急事態権の発動を阻止するための法案を否決

<記事原文 寺島先生推薦>
DC uniparty kills House resolutions to end US emergency powers in Iraq, Syria, Libya and Yemen
出典:ザ・グレイ・ゾーン(The Grayzone) 2023年7月20日
筆者:アレクサンダー・リュービンシュタイン(Alesander Rubinstein)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月5日





 無限の力を有する権力への支持を大きく示すかのように、議会は一つの決議案を拒絶した。その法案は国家が緊急事態時に発揮できる権力の行使により、米国政府が中東各地で戦争を起こす行為を終結させることができる決議案だった。さらには、米国民を生物兵器の実験台にすることも終わらせることができる決議案でもあった。

 共和党のポール・ゴーサー議員を代表とする、何名かの共和党員議員からなる一団が、41件の「緊急事態」宣言に反対する抗議の声を上げたが、その宣言の多くは既に発令されてから何十年も過ぎている。

 ゴーサー議員の主張によると、国家緊急事態法は、その法のもとで148もの権力が行政機関に付与される「専制的なもの」だという。

 今年の7月18日、下院は、国が発動できる緊急事態権を終結させる5つの決議案を否決した。これらの緊急事態権の制定は、2003年にまで遡る。この5つの緊急事態権により影響を受けた国々は、コンゴ、イエメン、リビア、シリア、イラクだ。それぞれの決議案に対する投票においては、戦争を求めている民主党議員と共和党議員が一体となって、驚くほど多くの議員たちが、行政機関が有する緊急事態時の権力を守ろうとした。

 これらの緊急事態宣言の中でいまだに効力を有しているものには、リビアに対する戦争の認可がある。その根拠は、ムアンマル・カッザーフィーが、米国に対して緊急的な脅威を与えたからだ、とされている。ほかには、シリアに対する経済戦争を可能にしたものもある。その根拠は、シリア政府が国際的なテロ組織に資金を出したからだ、とされている。ほかにも、米大統領が、イエメンに対するサウジアラビアによる軍事侵攻を支援する権利もあるが、この戦争の結果、世界で最悪の人道的危機が生じてしまった。

 それ以外の緊急事態権をあげると、米国政府が米国民に対して生物兵器の臨床実験を行う権利もある。


緊急事態宣言時には、生物および化学兵器に関する現存の法律を一時中断できる権力を大統領が有することが記載された米国の法律


 下院の記者会見場において、ゴーサー議員は以下のような警告を発した。「悲しいことですが、私たちが立ち上がったのは、これらの5件[緊急事態宣言に関する措置]のためです。今後さらに36件の決議案を出すつもりです」と。

 「国家緊急事態宣言が出されるのは、ほとんどないことで、しかも、発令期間はごく短期間であるはずです。1976年に国家緊急事態法が成立した時には、国家機関が緊急事態宣言を何十年間も発令したままにして、他国に制裁を課すことなどは想定されていませんでした。そのような行為は、緊急事態宣言に依らずとも、議会の権限でできる内容のはずです。」

 コンゴ共和国に対する制裁措置を緩和する法案を出したのは、ローレン・ボーベルト議員だ。この法案は、2006年に出された非常権限を終結させることを目指すものだった。この非常権限は、大統領令として出されたもので、コンゴ国籍を持つ人々の財産に制裁を課すという内容だった。バイデン大統領が、この措置を延長させた根拠は、米国の外交政策に対して、「コンゴ民主共和国の現状やコンゴ民主共和国に関係する状況が、尋常ではない巨大な脅威を与え続けているから」だという。

 法律によると、国家緊急事態宣言は、6ヶ月ごとに議会から見直しを受けるものとされている。しかし、上記の5件については、これまで一度も見直しの対象になってこなかった。ボーベルト議員は、コンゴに関する緊急事態宣言が発令されてからの16年、本来であれば議会による見直しが31回行われるべきだったことを下院の場で指摘した。


 諸企業から資金提供を受けている民主党の最高位に位置するグレゴリー・ミィークス議員は、米国下院外交委員会に属しているが、同議員は、コンゴへの制裁措置を緩和すれば、ISISが、米国の銀行に自由に口座を開けるようになる、と主張した。しかし同議員は、指定されているテロ集団が、わざわざ敵国内で自分たちの軍資金を預けることを選択する理由について、説明しなかった。

 イラク戦争の従軍体験のあるエリ・クレーン議員は、イラクに対する国家緊急事態令を終わらせる決議案を支援した。この国家緊急事態令が出されたのは、2003年の米国によるイラク侵攻が始まった数ヶ月後のことだった。当時、米国はイラクが持っていたとされていた架空の大量破壊兵器を見つけるため、という表向きの理由をこじつけていた。


 この緊急事態宣言が広く非難されてきたのは、イラクの石油産業に新植民地主義的支配を行使する手段として発令されたからだ。さらには、「イラクの石油に関わる犯罪に手を染めてきた頭脳労働者たち諸企業の起訴を免除するための保証」の機会としての意味合いもあったからだ。国家緊急事態権は、バイデン政権により今年の5月に延長されることが決まった。

 ゴーサー議員とマット・ゲイツ議員は、シリアに対する緊急事態宣言を終結させることを求める決議案を共に支援した。この緊急事態宣言が出されたのは、2004年の大統領令であり、その宣言に伴いシリアに制裁が課された根拠は、シリア政府が、「テロ行為を支援」し、「大量破壊兵器やミサイル計画を追求し、米国や国際社会による、イラクを安定化させ、イラクを再建させようという努力を妨害した」ためだとされた。
 今年の5月、バイデン政権は、この緊急事態宣言を延長させた。同政権が今回、シリアに対する経済制裁を正当化した根拠は、シリアが「化学兵器を所有し、テロ組織を支援しているため、米国の国家安全保障や外交政策や経済にとって尋常ではない脅威を与える」恐れがあることだ、という。
 下院の場において、ゲイツ議員は、提出した決議案に関する、これら5件の緊急事態宣言の特徴について、以下のように述べた。「眠っている裏金が、何の透明性もなく計り知れない規模で使われているのと同じ状況が、この『シリアに対する緊急事態宣言』で起こっているのです」と。

 ゴーサー議員が提出した決議案が強調していたのは、イエメンとリビアに対する国家緊急事態宣言についてだった。毎日推定130人のイエメンの子どもたちが飢えのために亡くなっていることについて触れたゴーサー議員は、先日の記者会見で以下のように述べた。:「無情にも、イエメンに関わる緊急事態宣言が延長されましたが、この措置により食べ物や衣料や医薬品の寄付ができないままです。これらの物資により、イエメンの人々の苦しみをやわらげることが出来なくなったままなのです。理解できないのは、我が国が発令する『緊急事態』宣言の用途が、他国の人々を傷つけている、という現状です。そのせいで飢えや病気が蔓延してしまっているというのに。」

 これとは別に、リビアに対する緊急事態宣言に対する決議案についての別の記者会見において、ゴーサー議員は、以下のように述べた。:「滑稽としか言いようがないのですが、リビアに対する国家緊急事態宣言が延長された根拠は、ムアンマル・カッザーフィーにあるというのです。カッザーフィーが亡くなってもう12年になろうとしているのに、です。こんな奇妙な話があるでしょうか。」



 「2011年以来、シリアが米国の軍事的あるいは経済的な脅威になったことは一時もありません。シリアの人々には、自国の進む道を選ぶ権利があって当然です。間違った方向に導こうとする腐敗した米国の工作員らの手により、爆撃されたり、攻撃されたり、カラー革命を推し進められたりする恐れのない方向を選ぶ権利があるのです。これらの工作員は誰一人として、米国議会から承認を得ずに勝手に行動しているのですから。」

 ゴーサー議員は、米国大統領が有している、国家緊急事態宣言のもとで行使できる148件の権力は、「専制的である」とした。同議員によると、現在記録に残っていて今でも効力のある国家緊急事態宣言は41件あり、うち1件は、はるか以前の1979年に発令されたものである、という。

 ゴーサー議員は、以下のように記載した。:「どんな大統領でも、どの党に所属しているかは関係なく、全くの自由行動権を有し、特別な権力を際限なく行使するべきではありません。そのような行為は、通常時の民主主義的手続きを免除され、憲法で規定された権威を逸脱し、権力均衡を犯すものになるのですから。」

 「国家緊急事態宣言のもとで認められている権力の中に、米国民を徴兵して現役勤務させることが許されるものがいくつかあります。ひとつは、ラジオ局を押収できる権力。もうひとつは、米国民を生物・化学兵器の実験台にすることを許可する権力です。さらには、米国民の銀行口座を凍結し、それらの国民に対して、弁護士の依頼、不動産賃貸、食料品の購入にまで制限を掛けられるのです」 とゴーサー議員は下院の場で述べた。

 国家緊急事態宣言を終結させる件に関して、共和党のマイク・ローラー議員は、「緊急事態宣言のもとでの権力を有し、米国民を対象にした生物・化学兵器の人体実験をするためには、大統領令を出す必要がありますし、議会はそのような権力を行使することを否定する権力を有しています」と主張した。それでも同議員は、このようなとてつもない権力を手にする道を行政機関が有することが許される点を正当化できるような発言はできなかった。

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ2016年―2022年(第4回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月2日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

* 今回は、「4  思想、戦略、そして起源」です。


4 思想、戦略、そして起源

思想   

 検閲複合体の指導者とその成員は、思想を構成する共通の基本的な信念と世界観を持っています。その思想の中心には、真実に対する非常に単純化された見方があります。つまり、真実か、真実でないか、という考え方が検閲思想を成り立たせているのです。真実か偽りかは、黒か白かと同じ構造を持っています。中間の灰色はほとんどありません。この真実/偽りの二分法は、情報/誤情報の区別の根底をなしています。

 検閲思想は、人間の意図に関しても非常に単純化された見方を持っています:人々は真実を伝える意図を持っているか、あるいは嘘をつく意図を持っているかのどちらか、というものです。この善意の意図と悪意の意図は、一方では(正しい)情報と誤情報の区別、他方では(正しい)情報と「ディスインフォメーション(偽情報)」との区別の根底にあります。なぜなら、誤情報と偽情報の唯一の違いは、人を誤誘導する意図があるかどうか、だからです。繰り返します。検閲思想では中間(灰色)の余地はほとんどありません。

 検閲産業複合体が検閲したいと考えている多くの問題は、明らかに、「真実」か「偽り」、ではありません。「malinformation(悪意情報)」という概念を用いることで、このことを検閲産業は内々認識しています。「悪意情報」とは、正確な事実が「偽りの物語(false narratives)」を通して人々を「誤導」するために使われるときに出てくるものだ、というのが検閲産業の言い分です。

 ホワイトハウスとFacebookが正確なワクチン情報を検閲することを正当化した理由は、正確な情報は「ワクチン接種のためらい(vaccine hesitancy)」につながるからだったのです。この場合、検閲は虚偽を検閲するというよりは、危険な真実を検閲することへと移行しました。この行為は根本的に民主主義に反し、アメリカの言論の自由を重んじる姿勢にとって受け入れがたいものです。

 検閲思想の持主は、検閲者は、真実と偽り、そして個人や組織の意図を、少なくとも一般の人よりはきちんと判断できると考えています。そのため、検閲思想は根本的にエリート主義的です。検閲思想の持主たちは次のことを信じています:「偽情報の専門家」(多くの人が自分をそう定義している)というのは、誤情報、偽情報、そして悪意情報の検閲請求をすることや、ソーシャル・メディア他から発せられる誤誘導情報を看破することに向いている人々のことだ。

 「偽情報の専門家」と自称することは、「真実の専門家」と自称するのと同じようなものです。それは単純で、誇大で、そして傲慢な行為です。私は検閲産業複合体全般や特定の検閲活動を正当化する文書を数百ページ読んだ経験から、その世界観はその名称(industrial complex)より有意に複雑(comlex)なものはではないことを証言できます。

 なるほど「偽情報の専門家」は、自らが真実と偽りを判断する際に他の専門家の意見に依存すると強調します。しかし、あらゆる分野の専門家たちが意見を異にする現実を考慮すると、依存する専門家の度合いが異なるということは、自分があらゆる人間的調査領域における専門家になるか、非合理的な基準(たとえば資格主義)を用いるか、どちらかになることを意味します。

 ソクラテスやプラトン以来、人類は普遍的な人間の非合理性に真剣に取り組んできました。どんな風に私たちは間違えるのか、なぜ私たちは間違えるのか、の両面からです。時間が経過すると同じような方法で私たちは何度も間違いを犯すのです。人間は神のような全知全能と賢明さは持ち合わせていません。誰もが何かについて誤って理解しています。科学は進化します。科学者たちはかつて火山が恐竜の絶滅の原因だと考え、次に大きな小惑星が原因だと考え、そして今ではその両方の組み合わせであると信じる人が多くいます。

 この(恐竜の)例が関連性をもつのは、検閲産業によって「ディスインフォメーション(誤情報)」としばしば決めつけられるものが事実ではなく、仮説であることが多いからです。例えば、COVIDが自然からではなく実験室から発生したという考えなどが挙げられます。実際、Facebookが、裁判所で正確な情報に検閲を加えた件について正当化するよう求められた際、Facebookはその検閲は「意見」をもとに行われたものであると述べています。それにもかかわらず「事実確認(fact-check)」の印を投稿された文に張り付けたと述べています。79

 検閲思想の信奉者たちは、非合理で感情的な訴えや、誤情報、偽情報、そして悪意情報(MDM)がもたらすとされる危険性の恐怖を煽ることで、これらの異議をはねつけます。彼らが疑いを持たないのは、アメリカや他の自由主義的な民主主義国家が、MDMを使って害を与えようとする仕掛け人たちとの間でインターネット上での「情報戦争」状態にある、という点です。

 ディレスタ(DiResta)*は、彼女や同僚たちが行っていることを検閲と呼ぶことに抵抗しています。「投稿文の管理は、単純な二分法の『削除する/そのままにする』ではありません。ここではFacebookの用語を使います。Facebookは『削除する(Remove)、制限する(Reduce)、情報提供する(Inform)』という枠組みを持っています。Removeは投稿文画面から消すことを意味します。Reduceは配信を制限することを意味します。そしてInformは、印が表示されることを意味します。それ以外に、ある種隙間的なものがあります。ポップアップが立ち上がるか、その下に事実確認が表示されるものです」80。私がインタビューした際、ディレスタは事実確認の印は「いかなる意味でも検閲ではない」と言っています。81
ディレスタ*・・・スタンフォード インターネット天文台のライター兼研究マネージャーです。ディレスタは疑似科学、陰謀、テロリズム、国家主導の情報戦について書いています。彼女はまた、オンラインおよびソーシャル・メディアの偽情報を防ぐための継続的な取り組みについて米国議会の顧問も務めてきた。 (ウィキペディア)

 2018年、ディレスタは次のように言いました:偽情報と戦うことは「真実を調停することでも、表現の自由の問題でもありません」。それはむしろ「サイバー空間の安全保障の問題です。現在進行中の国家安全保障の問題です。そして、この問題は市民の安全を責任に持つ政府と、製品とそれを生産する場の統合性に責任に持つ私企業との協力を通じて対処されなければなりません」。82

 しかし、偽情報と戦うことは、真実を調停することにもなりますし、表現の自由の問題にもなります。どうしてそうならないことがありましょう?何かを「偽情報」とするためには、それが単に虚偽であるだけでなく、意図的にそうであるとの判断をすでに下しています。そして、「偽情報」と決めつける(いつもとは言いませんが)ことは、しばしば、検閲申請の口実となります。

 検閲複合体の指導者たちは、すべてのMDMを検閲すべきだと主張しているわけではなく、自らの限界を認識することも多いのです。多くの指導者たちは、そんなことをするのは不可能か、基本的な表現の自由の権利に違反することになると認めるのを隠してはいません。「私たちは誤情報と偽情報のない世界に生きることは決してないでしょう。そのような世界はこれまで存在したことはないし、将来、政府が指をパチンと鳴らしてこの問題を規制してしまうこともないでしょう。なぜなら、誤情報といえども、結局は言論なのですから」とディレスタは2021年に述べています。

 むしろ、彼らの議論としては、「害をもたらす」MDMは検閲し、「違反のリピーター」は拡散を制限し、あるいはソーシャル・メディア上から消えてもらうべきだ、となります。ディレスタは「害が大きい可能性がある領域において、誤情報と偽情報にどのように対処するか」という自分の研究について述べています。83

 検閲産業複合体は、「害」についてアメリカ最高裁よりもはるかに間口の広い定義を与えています。アメリカ最高裁は、「チャプリンスキー対ニューハンプシャー州裁判(1942年)」の中で「喧嘩を売る言葉(fighting words)」を、「その発言自体が、害を与えるか即座に平和を破壊するような刺激を与える」と定義しました。84騒乱を引き起こす言葉も保護されません。85最高裁は「テルミニエロ対シカゴ市裁判(1949年)」の中で、喧嘩を売る言葉の範囲を狭めました。憲法上保護されなくなるのは、言葉が明白で眼前の危険がある場合としたのです。86, 87

 そして最高裁は、社会的な対立や不安を引き起こす発言に対して、表現の自由の非常に強い保護を確立しています。1989年に最高裁は、アメリカ国旗を焼くことが煽動行為ではないと判断しました。88そして1992年には、最高裁は「第一修正条項が不可としているからという理由で政府が言論や表現された行為を処罰することは第一修正条項が禁止している」と判示しました。89ある法学者によれば、「たとえその言葉が喧嘩を売る言葉と考えられても、もし言論規制が差別という観点に基礎があれば、第一修正条項は依然としてその言論を保護するでしょう」と述べています。90

 しかし、検閲複合体には積極的な拡大志向があり、情報環境を制御することを目指して、メディア全体の「鳥瞰」を試みています。「システム全体を監視し、システム全体の情報の拡散を理解できるようになると、介入の機会に道が開かれるのです」とディレスタは2018年にアスペン協会で説明しています。91

 検閲理論家たちのもう一つの前提は、連邦政府の宣伝活動と検閲が求められているというものです。EIP(Election Integrity Partnership)が提示する論点では、州や地方の選挙公職者がソーシャル・メディアやニュース・メディアを通じて直接市民に対して意見伝達をおこなっても、何らかの理由でそれだけでは十分でないとされます。むしろ、このような公職者は、連邦政府の資金提供を受けた大学やシンクタンクの専門家による宣伝活動と検閲の支援を必要としている、と主張していたのです。

 ディレスタと彼女の同僚たちは、COVIDや選挙以外のさまざまな問題に関連して、人々をソーシャル・メディアなどの場から消えてもらう方法を模索してきました。「例えば、いくつかのソーシャル・メディアは、選挙後に繰り返し情報を拡散する人々に対する制裁措置を導入し、その後、他の重大な害をもたらす誤情報の分野にも適用してきた」と彼女は述べています。92

 検閲産業複合体の指導者たちは、どの党派にも組しない、と主張していますが、彼らの検閲は共和党とトランプ支持者に対して強く焦点を当てています。EIP(Election Integrity Partnership)の4つの組織の指導者たちは、幅広い反ポピュリスト(大衆迎合主義者)の思想を共有しています。このような思想は、昔であれば冷戦的自由主義という正確な捉え方をされていたかも知れません。EIPがソーシャル・メディア企業に報告し、拡大抑止を通じて検閲を求めた、「誤情報拡散を繰り返す」アカウントはどれも、右翼ポピュリズムの視点を支持していました。93


戦略  

 検閲者たちの目標は、ソーシャル・メディアをますます大きく制御することです。「人々が目にする内容をどのように私たちは決めるのか?」との考えをディレスタは2018年にアスペン協会の集まりで述べています。「どの主題を推奨するか、私たちはどのように決定するのか?私たちがより戦略的に考える『推奨しないでください』リストはあるのか?」。94

 検閲複合体は、ためらうことなく、ひとつ問題から次の問題へと移ります。2020年の選挙直後、EIPの4つの組織は、選挙懐疑論を監視し、検閲することからワクチン懐疑論を監視し、検閲することに即座に舵を切り替えました。「EIPの成功と2020年の選挙の認証に続いて、SIO(Senior Intelligence Officer情報高官)は監視と分析の能力を減じました。それについては終わったと思ったからです」とディレスタは2021年に説明しています。「しかし、ほぼ直ちに、今度は政府の保健関係高官たちの誤情報と闘うための取り組みを支援する能力を再び元に戻す必要性を認識しました」。95

 検閲産業複合体は大きな目標と情報環境を制御するための国と民間の連携に向けた長期的な見通しを持っています。ディレスタは2018年12月に次のように書いています:「虚偽情報宣伝活動の問題は決して解決されないだろうとの厳しい真実がある。それは絶え間なく進化する軍拡競争だ。しかし、管理は可能であり、そして必要だ。これには、ソーシャル・メディア、独立した研究者、そして政府が戦いの同伴者として一緒に取り組む必要がある」。96

 ディレスタと彼女の同僚は繰り返し、政府機関が検閲を民間企業に委託し、しかし密接に連携することの重要性を強調しています。次は彼女の2021年の発言:「私たちは非政府組織(NGO)の能力を確立することができます。そうすることで、同時に、場合によってはその嘘を暴露するような問題を特定したり、共同体あるいは市民社会の連携で彼らの言い分を本当に信頼するような視聴者にその伝言を伝えることが可能になります」97

 ディレスタは、ソーシャル・メディアがおこなう憲法修正第一条で保護された「反論」に検閲を加えることを合法とする政府の要求を繰り返し擁護しており、また、米国政府高官の要請によるソーシャル・メディアによる検閲(Twitter文書によって明らかにされた)に対する公衆の警戒心を一蹴しています。最近の私とのポッドキャスト上の討論において、ディレスタはその警戒心は価値観の衝突ではなく、むしろ投稿記事管理に対する「不慣れさ」が原因だと主張しています。98

 新しい検閲者たちは、自分たちが必要と感じていた憲法修正第一条への侵害になるのでは、という抵抗に直面しました。そして、彼らは検閲の相当部分を民間部門に委託し、同時に政府機関、慈善的な慈善団体、非政府組織、ソーシャル・メディア、そして学術研究機関との間に出入りが自由である状態を作り出しています。

 2015年の態度を振り返って上で、レニー・ディレスタ(Renee DiResta)は次のように発言しています:「IT技術企業は政府の仕事をおこなっているように見られることを望んでいません。EFF(電子フロンティア財団)は、投稿文管理は検閲だと主張しています・・・国と民間の連携は、絶対な鍵だと思います・・・ 個人情報保護やその他の懸念を抱く一部の人々を刺激するかもしれませんが、この問題は情報戦争として扱う以外方法はないと思います」。99

 今日、検閲産業複合体はメディアと通信を世界的に支配独占しようとしていますが、その中身は、ソーシャル・メディアを新聞やテレビネットワークのような、より伝統的なニュース・メディアに変えることです。なぜなら、伝統的なニュース・メディアは、過去、国家安全保障体制をよりよく制御できていたからです。

 実際、通信品位法230条*の保護により、検閲産業複合体はソーシャル・メディアに対して、厳格な法的責任を負うことから、ニュース機関よりもはるかに大きな制御を行使する可能性があります。最終的な結果がどうであれ、進行方向は明確です:検閲産業複合体は、自分たちが「合法化されていない」と見なす意見を排除するために、言論の自由を制限し、公共の議論を狭めようとしています。
通信品位法230条*・・・プロバイダ免責を定めたアメリカ合衆国の連邦法律である。インターネット黎明期であった1996年2月8日、オンライン上でのわいせつ画像等の流布を禁じる米国通信品位法の一部として制定されたものの、米国最高裁判所が1997年6月26日にこれを違憲と判断したため、現在の形に大幅改正された。( ウィキペディア)

 検閲複合体はさまざまな戦術を用いています。その一つは、Twitter 文書やFacebook 文書に見られるように、検閲を強硬に要求することです。これはミズーリ州とルイジアナ州の司法長官が発出しました。別の戦術として、政府や慈善団体の資金を研究やソーシャル・メディアのより厳しい検閲の提唱に向けて誘導することがあります。少なくとも、News GuardとDisinformation Indexという2つの組織が具体的な作業としてこれに従事しています。

 これらの2つの戦術は相互に連動しています。新しい検閲者たちは、ソーシャル・メディアの投稿文管理の権限を、支配層の専門家やエリートにますます委ねようとする立法を求めています。他方、彼らのネットワーク内の他の者たちは、広告主の資金を、好ましくないニュース・メディア(主に保守派やリバタリアン、一部の過激な左派も含まれる)から、好ましいニュース機関(主にリベラルで支配層に友好的な進歩派)に向けて誘導しようとしています。

 さらに、政府と非政府の検閲者たちは、一方でソーシャル・メディアの通信品位法230条の保護を取り消す脅迫を行い、他方では検閲を要求しているのです。ときおり検閲者たちは、IT技術企業が屈服したのは検閲しないと「巨大な規制上の危機」が生じるから、と自慢することもあります。100

 検閲者たちは、力を合わせ、好ましくない個人をソーシャル・メディアの場から消します。これは、彼らを偽情報の「強力拡散者」と決めつけることから始まります。不満を抱いたある虚偽情報戦士が、その仕組みについて説明しました:「コグセック、DFR、またはMISPといったネット管理システムが脅威を特定すると、彼らはSlack上のチャンネルや討論団で連絡を取り合います。彼らは『この脅威仕掛け人を特定した』と言います。それだけで十分なのです。そして、構造的対応を形成するか、連携組織内の誰かが自ら応答することになります。必ずしも虚偽情報と証明されたものではありません。ときには、深い内容の意見だったり、誰かが好きな話だったり、または誰かが緩い解釈をした話だったりする場合もありますが、一般的に事実に基づいています。しかし、それが好ましくないか、活発に広まっている物語と相反している場合は、ソーシャル・メディア上で大規模な報告を行うという対抗措置を講じます」。101

 検閲産業複合体は、一部は公に向けて、もう一部は秘密裏に活動しています。公に向けた目標は、増える検閲に対して一般の人々の満足度を高めることのようです。その構成員は、動画やポッドキャスト、報告書、新聞の意見欄の記事を発表し、「虚偽情報」と「陰謀論」についての警鐘を鳴らす一方で、それらを広めることもします。ディレスタは二重の役割を果たしています。一方では、国家主導検閲をよしとする、最も歯切れのよい唱道者です。他方、国防省と、(彼女の上司スタモスの発言によると)CIAでの彼女の仕事は、公にはしませんでした。2021年、ディレスタの同僚であるアレックス・スタモスは彼女が「CIAで働いていた」と述べました。102 2021年9月、ディレスタはTwitterの検閲者の長の一人であるヨエル・ロスを、DARPAの資金提供による「ソーシャル・メディア上の情緒的な偏見」に関する研修会に参加させました。そして、彼に対してその関与を秘密にするよう依頼しています。103

 最後に、検閲産業複合体は拡大志向であり、熱い使命感を持っています。検閲対象の範疇は、わずか4年で「外国の虚偽情報」から「国内の虚偽情報」、「誤情報」、「悪意情報」、そして「悪意を持った言説」というように拡大しています。後者2つには、正確な情報も含まれる可能性があります。たとえば、2021年にバイデン政権の要請によりFacebookが検閲したCOVIDワクチン情報は正確な情報でした。104

 これらの言い回しは、アメリカの根本的な言論権の伝統にとって忌避される、全体主義的な社会的制御を連想させます。私たちは「真実は戦争の最初の犠牲者である」ということを忘れてはなりません。そして同じことが「情報戦争」にはその2倍当てはまります。

 検閲産業複合体が提唱しているものの多くは、表面から見えるものとは違います。検閲複合体は「プラットフォーム(ソーシャル・メディア)の責任と透明性に関する法案」を提唱していますが、それは「資格のある研究計画、資格のある研究者」のためだけです。この資格は、「虚偽情報の専門家」と検閲の提唱者への政府資金の分配を監督している同じ国立科学財団(NSF)によって決定されます。この提唱の下、一般市民やジャーナリスト、政策立案者は直接データを活用することができなくなります。そのため、この法案は検閲産業複合体の力を増大させるものであり、減少させるものにはなりません。105

 こんなことは、冷戦のときとは天地が逆になるほどの乖離です。冷戦時代、アメリカ政府は外国の宣伝活動を犯罪化しなかっただけでなく、むしろそれを翻訳し、ソビエト共産主義の宣伝を含むものを英語に翻訳してアメリカ人が読めるようにしていました。「私はCIAのグローバルメディア部門で働いていました」と、インターネットの政治的影響に関する書籍『The Revolt of the Public(大衆の反乱)』を著したマーティン・グリは述べています。「私たちは共産主義国から山のような資料を翻訳していたんです。プラウダ、イズヴェスチヤ、他の何でも。そして、それらを政府と公共出版の中間形態のようなものを通して発信していました。その結果、アメリカの図書館には、連邦政府によって提供されたソビエトの宣伝物がありました! それが害を及ぼすとか人々を共産主義者に変えるということは私たちの念頭にありませんでした。そして学会はそれを大いに評価していました。そのため、連邦政府は反対勢力の宣伝を翻訳して公衆に提供し、その結果を恐れてはいませんでした!」


起源

 全ての社会においてエリートは、自分たちが治める人々の同意を、意思疎通を通じて、得て、それを維持しようとします。マキャヴェリは、公衆の意見を操作するために欺瞞と心理学を指南しました。ウォルター・リップマンは1922年に、政府や産業の指導者たちがマスメディアを通じてより高度な技術を活用し、「同意を捏造」する必要性について語りました。1988年の類似した表題の書籍で、エド・ハーマンとノーム・チョムスキーが、アメリカのニュース・メディアが国家安全保障機関を盲目的に応援(ほとんど例外はなかった)する様子を記録しています。さらに30年にわたって、こういったお膳立ては機能しました。それ自体が国家安全保障機関、特に国防総省(DoD)とDARPAの産物であるインターネット1.0も同様です。

 検閲複合体は、2001年9月11日以降のテロ対策戦争に起源を持ち、2015年まで続いたアメリカ政府機関によるISIS勧誘に対する情報操作戦争に関連しています。言い換えれば、その根本には軍事的な要素があり、階層性、権威、そして欺瞞といった要素が基本的に含まれています。

 2016年に起こった2つの地殻変動的な挑戦が、戦後の自由主義秩序の背後にある思想の動機です。これらの2つの出来事とは、6月のBrexit(英国の欧州連合離脱)と11月のドナルド・トランプの大統領選出です。両方の出来事は、大西洋両側の国家安全保障指導者たちを驚愕させ、恐れさせました。多くの人々が、NATO(北大西洋条約機構)と西側同盟への政治的な脅威が、どんな安全保障上の脅威よりも大きいと公然と述べました。この結論は、2016年のトランプの選出によって劇的に強化されました。彼は繰り返しNATOを批判し、アメリカをNATOから引き上げることを仄めかしました。

 「トランプが登場したとき、伝統的な中道左派は『レジスタンス(抵抗)』に巻き込まれました。彼らは強い権限を持ち、力強い解説者であった人々です。トランプが現れたとき、彼らは反政府派になりました。政府の権威ある地位にいる人々が、大統領に対して公然と非難したり、軽蔑したのです。国内外でアメリカの利益を損なう可能性のある解説や活動を公然とおこなうこともありました」と、防衛機関の専門家が私に語りました。106

 元CIA分析官のグリは、インターネット革命によって生まれたトランプ革命へのエリートの反革命的な反発が、検閲産業複合体を推進していることに同意しています。「ある情報にフラグを立てることや、事実確認はすべて、人々が愚かで誤導されると想定してのことです。エリートたちが作り上げるプラトンが語る「守護者」という前提があります。エリートの考えでは、裕福で移動が自由できちんとものが言えるプラトンが語る「守護者」と、その他我々のような被害者になりそうな人間とに分かれます。彼らは我々を自分たちの意のままに世話をする存在と見なしています。それが彼らの民主主義の見方です。もし彼らに劇的な動きがあるとすれば、一般の人々もあなたがたエリートと同じくらい賢いと仮定することです」。107

 アメリカの国家安全保障機関と他のアメリカおよび西側のエリートたちは、ブレグジット支持者やトランプ支持者などから続々と出てきた大量の草の根、真正、国家主義的なメディアや表現に対して恐れと嫌悪の反応を示しました。そして、彼らが依存している自由主義の戦後の世界秩序を破壊される可能性が非常に現実的であると感じました。エリートたちはその後の6年間、メディア言説を彼らが支配してきた、したがって、彼らの「同意を捏造する能力」が被った打撃に対処してきました。

 私は以上すべてを私自身の自由主義的な世界秩序に対する見解としてではなく、背景情報として提供します。私は教育を受けたエリートの一員であり、自由主義的な世界秩序の恩恵を受けており、それに感謝しています。なぜなら、それは平和を維持し、貧困から人々を脱出させ、人権を拡大するのに驚くべき成果をあげているからです。最近数年間、私は安価なエネルギー、能力主義、法と秩序の柱を弱めようとする人々に反対して、西洋文明を守ってきました。私はNATOと欧州、そしてアメリカ政府がウクライナの人々のロシアの侵略に対する防衛を支援することを支持しています。

 しかし、私は間違っているかもしれません。それは、検閲産業複合体が非常に危険だと考える多くの理由の一つになっています。自由主義的な世界秩序を支持することは、権威主義者からの言論の自由を支持することから始まります。今日の検閲者が「偽情報」と呼ぶものは、ほとんどが単に「インターネット上で間違っている」というだけです。私はこれまでの人生でエネルギーや環境、野宿生活者問題、そしてコロナウイルスへの対応など、多くのことについて間違ってきました。私が他の人々よりも間違っているか、正しいかはわかりませんが、私たちが間違えることを許し、実際にはそれを奨励してくれる自由な社会に暮らしていることを喜んでいます。民主的な同意は有機的に、無秩序に、手探りで、そして時間をかけて築かれるものだからです。


<原註>
79 Editorial Board, “Facebook admits the truth: ‘Fact checks’ are really just (lefty) opinion,” New York Post, Dec 14, 2021, https://nypost.com/2021/12/14/facebook-admits-thetruth-fact-checks-are-really-just-lefty-opinion/; Stossel v. Meta Platforms, Inc., U.S. District Court for the Northern District of California, San Jose Division, No. 5:21-cv-07385, Reply filed by defendant Science Feedback in support of motion to dismiss pursuant to California's antiSLAPP statute, Mar 14, 2022, http://climatecasechart.com/wp-content/uploads/sites/16/casedocuments/2022/20220314_docket-521-cv-07385_reply-1.pdf.
80 Sam Harris, “Social Media & Public Trust: A Conversation with Bari Weiss, Michael Shellenberger, and Renee DiResta,” YouTube, Feb 1, 2023, 1:08:52 https://www.youtube.com/watch?v=tVeL5HX4uDY
81 Renee DiResta, interview by Michael Shellenberger, transcript here: https://docs.google.com/document/d/1J8bvylZwT1zAa7iE1D3NeeudgByCHTXkeJg4bwIn8aA /edit
82 Hearing before the Select Committee on Intelligence of the United States Senate: Open Hearing on Foreign Influence Operations' Use of Social Media Platforms (Third Party Expert Witnesses), 115th Cong. 19 (2018) (statement of Renee DiResta, Director of Research, New Knowledge), https://www.intelligence.senate.gov/sites/default/files/documents/osrdiresta080118.pdf?utm_campaign=The%20Interface&utm_medium=email&utm_source=Revue%20n ewsletter.
83 Renee DiResta, “Cybersecurity Summit 2021: Responding to Mis, Dis, and Malinformation” (lecture, Cybersecurity Summit 2021, Oct 2021), YouTube video, Oct 27, 2021, https://www.youtube.com/watch?v=yNe4MJ351wU.
84 Chaplinsky v. State of New Hampshire, No. 255, (US Sup. Ct. 1942) https://www.law.cornell.edu/supremecourt/text/315/568.
85 Feiner v. People of State of New York, No. 39, (US Sup. Ct. 1951) https://www.law.cornell.edu/supremecourt/text/340/315.
86 Terminiello v. City of Chicago, No. 272m (US Sup. Ct. 1949) https://www.law.cornell.edu/supremecourt/text/337/1.
87 “Clear and Present Danger,” Cornell Law School: Legal Information Institute, accessed Mar 6, 2023, https://www.law.cornell.edu/wex/clear_and_present_danger. 88 Texas, Petitioner v. Gregory Lee Johnson, No.
88-155, (US Sup. Ct. 1989) https://www.law.cornell.edu/supremecourt/text/491/397.
89 R.A.V., Petitioner, v. City of St. Paul, Minnesota, No. 90-7675 (US Sup. Ct. 1992) https://www.law.cornell.edu/supct/html/90-7675.ZO.html. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 61
90 “Fighting words,” Cornell Law School: Legal Information Institute, Accessed Mar. 6, 2023, https://www.law.cornell.edu/wex/fighting_words
91 Tom Fanning et al., “Deep Dive: Cybersecurity and the Broad Geopolitical Risk of Digital Life” (lecture, Aspen Ideas Festival, Aspen Institute, 2018), YouTube video, June 27, 2018, https://www.youtube.com/watch?v=6ZQbQ3UpO8Y&t=3s.
92 Renee DiResta, “Cybersecurity Summit 2021: Responding to Mis, Dis, and Malinformation” (lecture, Cybersecurity Summit 2021, Oct 2021), YouTube video, Oct 27, 2021, https://www.youtube.com/watch?v=yNe4MJ351wU.
93 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://stacks.stanford.edu/file/druid:tr171zs0069/EIP-Final-Report.pdf#page=206
94 Nicholas Thompson et al., “Anti-Social Media and The Menace of Disinformation” (panel, Aspen Institute, June 29, 2018), 24:30-24:57, https://www.youtube.com/watch?v=wpksY8w9JwI.
95 Renee DiResta, “Cybersecurity Summit 2021: Responding to Mis, Dis, and Malinformation” (lecture, Cybersecurity Summit 2021, Oct 2021), YouTube video, Oct 27, 2021, https://www.youtube.com/watch?v=yNe4MJ351wU.
96 Renee DiResta, “What We Now Know About Russian Disinformation,” New York Times, Dec 17, 2018, https://www.nytimes.com/2018/12/17/opinion/russia-reportdisinformation.html.
97 Renee DiResta, “Cybersecurity Summit 2021: Responding to Mis, Dis, and Malinformation” (lecture, Cybersecurity Summit 2021, Oct 2021), YouTube video, Oct 27, 2021, https://www.youtube.com/watch?v=yNe4MJ351wU.
98 Sam Harris, “Social Media & Public Trust: A Conversation with Bari Weiss, Michael Shellenberger, and Renee DiResta,” YouTube, Feb 1, 2023, 1:08:52 https://www.youtube.com/watch?v=tVeL5HX4uDY
99 Nicholas Thompson et al., “Anti-Social Media and The Menace of Disinformation” (panel, The Aspen Institute, June 29, 2018), 13:41-15:48, https://www.youtube.com/watch?v=wpksY8w9JwI.
100 FFOSourceClips, “EIP - Bragging That They Pushed The Envelope On Censorship Policies; Threat Of Regulation,” Rumble, Oct 2022, video, 2:18, https://rumble.com/v1lzhvyeip-bragging-that-they-pushed-the-envelope-on-censorship-policies-threat-of.html.
101 Anonymous disinformation expert, telephone interview by Michael Shellenberger, March 3, 2023.
102 Alex Stamos, “Securing Our Cyber Future: Innovative Approaches to Digital Threats” (lecture, Stanford Internet Observatory, Stanford University, Palo Alto, CA, June 19, 2019), YouTube video, Oct 27, 2021, 18:00-18:20, https://www.youtube.com/watch?v=ESR9k0BtmXY.
103 Email from Renee DiResta to Yoel Roth, September 13, 2021, Subject: “DARPA ISAT workshop pre-invite.” Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 62
104 Michael Shellenberger and Leighton Woodhouse, “Under White House Pressure, Facebook Censored Accurate Covid Vaccine Information,” Public, Jan. 12, 2023, https://public.substack.com/p/under-white-house-pressure-facebook.
105 Platform Accountability and Transparency Act, S. 5339, 117th Cong. (2021), https://www.coons.senate.gov/imo/media/doc/bill_text_pata_act.pdf. 106 Anonymous, telephone interview by Michael Shellenberger, March 3, 2023. 107 Martin Gurri, telephone interview by Michael Shellenberger, March 2023.

検閲産業複合体:米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ 2016年-2022年(第3回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月31日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

* 今回は、「3  The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)」です。



3 検閲産業複合体の偽情報宣伝活動

 今日の検閲産業の多くの指導者や参加者は、陰謀論を含む偽情報の拡散や、正確な情報を信用できないものとして非難したり、正当な理論が陰謀論として否定されたと主張することに関与してきました。

1.トランプ・ロシア共謀陰謀説、2016年〜2019年

 検閲産業複合体の最初の大規模な偽情報宣伝活動は、ドナルド・トランプがウラジミール・プーチンそしてロシア政府と共謀して2016年の選挙を盗んだという陰謀論でした。

 ロシアのソーシャル・メディアの関わり、つまり、メールのハッキングと漏洩が2016年の選挙結果に何らかの影響を及ぼしたかについて、証拠は一切ありません。まして決定的な影響などあろうはずもありません。54 多くの中立的な分析家や民主党の戦略家たちも、ロシアのソーシャル・メディアは影響を及ぼしてはいないと信じています。55

 4つの主要な検閲組織のうち2つであるNew KnowledgeとGraphikaは、米上院情報特別委員会に、ロシアがトランプを選出したとする主張を学術論文として提出しました。彼らは、その証拠としてアメリカ国内で1,000万人がその広告を見た56ことを指摘したのです。

 「2016年のアメリカ合衆国大統領選挙に影響を及ぼしたロシアの偽情報作戦は決して終わっていない。ソーシャル・メディアを通じたロシアの介入は、・・・慢性的で広範囲に及び、識別可能な状態であり、我々は今それに積極的に対処しなければならない」57とディレスタ記者は2018年12月のニューヨーク・タイムズ紙に書いています。

 彼女の調査結果は広く尊重され、公表されました。元国家情報長官のジェームズ・クラッパーは、ロシアが選挙に影響を与えたという証拠を「驚天動地のこと」と呼びました。ペンシルバニア大学のコミュニケーション学教授であるキャサリン・ホール・ジェイミソンは、その証拠を指摘して、ロシア側の働きかけなしにトランプは大統領にならなかっただろうと結論づけました。58

 しかし、ロシアが2016年の選挙運動に何らかの影響を与えたという証拠は全くありません。ましてや、ロシアがトランプの当選に力を貸したなどというのは、一体どこからでてくるのでしょうか?ハーバード大学のバークマン・クライン・センターのロバート・ファリス、ハル・ロバーツ、そしてヨチャイ・ベンクラーは、2015年から2018年までの数百万の記事を、ネットワーク分析にかけて調査し、どのように読者がメディア報道に注目したかを測定し、内容の分析を行い、どのサイトがいつ何について書いたかを検討しました。そして、選挙で最も顕著な問題について詳細な事例研究をおこないました。「確かにロシア人の姿は見え、何かやろうとしていることも分かった。しかし、これらすべての事例において、偽情報を発信し、拡散するために重要な役割を果たしていたのは、アメリカの右翼メディアだと確認できた」とベンクラーは書いています。

 保守派の有権者は2016年において、ニュース・メディアに比べてソーシャル・メディアをあまり利用していませんでした。トランプの支持者の40%がFoxニュースを主な情報源として挙げた一方、Facebookを主な情報源としたのはわずか7%に過ぎませんでした。「ロシアが選挙を揺さぶったとする考えを広めようとする人々は、ロシアのFacebook投稿が約1億2600万人のアメリカ人に配信したという数字を引用することがよくあります。しかし、それは投稿の内容がFacebookのニュース・フィードと呼ばれる友達からの新情報が通知される欄に表示される利用者の数を指し示すものであり、実際にそれを見たかどうか、または何百もの他の投稿に埋もれて、あまり印象に残らなかったかどうかは問われません」。59さらに、ロシアの情報工作組織のページの投稿の56%は選挙後に出されたもので、25%は誰も見ていませんでした。60

 ディレスタの記事は誇張という病に冒されています。「オンライン・ソーシャル上の集団をいくつかの大きな集団に統合すれば、宣伝工作者は聞く耳を持つ視聴者を多数獲得することになる。そうなれば、何億もの人々に配信される情報を少しだけ覆い隠せばいいだけで済む。そして読んでもらいたい対象に正確に狙いを定めるのは、10年蓄積された詳細な利用者の閲覧行為の記録(広告を販売する事業で使用されてきたもの)を使えば可能であり、狙いを定めた集団に配信することは簡単で安上がりということになる(強調は筆者)」と彼女はTimes紙に書いています。61

 しかし、オンライン上で何億にもの人々に簡単かつ安価に配信できるなら、なぜもっと多くの人々がそうしないのでしょうか? なぜ政治家や企業が、視聴者に配信しようとして何千万ドルも費やさなければならないのでしょうか? なぜなら、それは簡単でも安くもないからです。製品や候補者をオンライン上で宣伝しようと試みたことがある人なら誰でも知っていることです。ロシア側があまり多くの人々に配信できなかったのはそういう理由があるからです。

 ロシアの工作員が画策したとされるDNC(民主党全国委員会)とヒラリー・クリントンの選挙対策委員長ポデスタ*の電子メールがハッキングにより漏洩した事件についてはどうなのでしょうか? ディレスタとTwitterのヨエル・ロスが、ジェイミソン教授に続いて言っていることですが、その電子メールの漏洩が知れ渡ったことで、「アクセス・ハリウッド」という番組で取り上げられた、トランプが女性の性器を掴むと豪語する様子が収められた音声記録が広まることが防がれた、というのです。「ポデスタの電子メールは、2016年10月7日にWikiLeaksによって公開された。それは「アクセス・ハリウッド」の音声記録が公開された後、1時間も経っていない。WikiLeaksがこのハッキングを公開した意図には、トランプの卑猥な発言が女性との性的不適切行為を暗示する恥ずべき話題から、明らかに、人々の注目を逸らすことがあった」とこれらのハーバードの学者たちが言っています。
* ジョン・デイヴィッド・ポデスタは、アメリカ合衆国の官僚。 シカゴ生まれ。1971年ノックス大学卒業。1976年ジョージタウン大学ローセンター修了、法務博士。1998年10月20日-2001年1月20日、ビル・クリントン政権2期目のアメリカ合衆国大統領首席補佐官。( ウィキペディア)

 しかし、この漏洩メールはほとんど影響を及ぼしませんでした。これらのハッキングされたメールは確かに人々の注目を集め、公開後の10日間で1日あたり150から400の記事が書かれましたが、それでも「アクセス・ハリウッド」音声記録からの注意を逸らすことには失敗しました。「アクセス・ハリウッド」音声記録については1日あたり2000から3000の記事が書かれたのです・・・クリントン陣営について触れた主流メディアおよび右派の国内報道の量と傾向を考慮すると、ロシアの宣伝活動が大きな違いをもたらした可能性は低いように思われます」。62

 学者やFacebookは、ロシアの影響をこんな風に極端に誇張することは、プーチンを助ける偽情報を生むことになり、少なくともプーチンに対する好意を得ようとする人々を助けることになり、アメリカ人をますます混乱させるだけだ、と警告しています。

 「ロシアの宣伝活動がアメリカ政治における偽情報の全能の源である、という考えを広めれば、私たちはまさに、彼らの次の第一目標を強化することになる:つまりそれは、混乱の種をまき散らすことだ」とハーバード大学のベンクラー教授は書いています。63

 2022年にFacebookはこう述べています。「これらの仕掛け人たちは・・・自たちが創り出す効果を誇張することに興味を持っている。だから、自分たちの支払い主になるかもしれない人たちの信頼性に磨きをかけるような知覚ハッキングに精を出すのだ」。64 それだから、外国の干渉の影響を誇張する人々は、さらに多くの経済的および政治的な動因を生み出そうとしているのかもしれません。

 これらの主張を問い詰められると、ディレスタや他の人々は、外国の干渉が起こっているという事実だけでも私たちは警戒すべきだと強調します。

 しかし、各国政府は何百年もの間、お互いの選挙に干渉してきました。1796年のアメリカ大統領選挙では、フランスが干渉しました。フランスの大使は公然と共和党を支持し、連邦主義者たちを攻撃し、アメリカとイギリスの間の貿易協定ジェイ条約(1793年の戦争の結果、締結された貿易協定)を拒否するよう、ジョージ・ワシントン大統領配下の国務長官に強く促しました。65

 アメリカ合衆国は、南ベトナムや日本、エルサルバドル、ハイチ、グアテマラ、ブラジル、イスラエル、レバノン、パナマ、イラン、ギリシャ、イタリア、マルタ、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、アルバニア、スリランカ、そしてフィリピンに対して秘密裏に選挙へ影響を与えようとしました。66

 私がそういう歴史的な文脈を持ち出したのは、他国の選挙への干渉を正当化するためではありません。むしろ、そのような主張は今も昔も度が過ぎていることを示したいからです。要は、一般的に有権者の意見を変えるのは難しいということです。そして、外国の仕掛け人は通常、国内の仕掛け人よりも、そのようなことを実現する能力が遥かに劣ります。国内の仕掛け人は(外国の仕掛け人より)はるかに多くのことが身に降りかかるし、自国の政界の微妙な潮流を理解しているからです。

 最後にひとつ補足します。ロシア・トランプ陰謀説の提唱者たちは自分たちが言っていることを本当に信じていたのか、それとも単に検閲の口実として使っていたのか、私にははっきりとは分かりません。

2. COVIDの実験室漏洩説の信頼性を失わせる試み、2020-2021

 2つ目の大きなアメリカ人向け偽情報宣伝活動は、2020年2月に始まりました。そして、COVIDウイルスが中国の研究所に起源を持つという仮説は「その嘘が明らかになった陰謀論」とされたのです。しかし、この仮説は、実際は、ウイルスが野生動物から人間に跳び移る理論と同じくらいの合理性はいつも持っていました。この偽情報宣伝活動は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)長官のフランシス・コリンズとNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチによって進められました。ファウチはCOVIDに対する米国政府の対応の監督者でした。入手可能な電子メールによれば、少なくとも2人の主要な研究者が、2020年2月、コリンズとファウチに対して、実験室からの漏洩は可能であり、おそらくそれが事実だ、と伝えています。コリンズとファウチは、公には実験室漏洩説を陰謀論として一蹴したものの、それが事実であることを知っていたようです。これは、米中の協力関係を傷つけることを恐れた、あるいは、オバマによる米国内での禁止を受けた後、ファウチはこの研究を武漢に移管したことで自分が動いているので、このパンデミックで自分の名前が出されることを恐れたのかもしれません。67

3. ハンター・バイデンラップトップ陰謀理論、2020-2021

 2020年に発生した3つ目の大きな偽情報宣伝活動は、ジャーナリスト、ソーシャル・メディアの幹部、そしてアメリカ人を説得することを目指していました。その宣伝活動は、ハンター・バイデンのラップトップがロシアの「ハッキングと漏洩」作戦を通じて公になったのであり、実際にはコンピュータ修理店の店主を介して公になった(ニューヨーク・ポスト紙、2020年10月14日の報道)のではない、というものでした。68

 スタンフォード・インターネット監視局は、「ペンタゴン・ペーパーズ」が1971年に公開されて以来の倫理を捨て、代わりに「ハッキングと漏洩」の実行者に焦点を当てるようニュース・メディアに呼びかける報告書を発表しました。69 アスペン協会は、2020年の夏、10月14日の公開前の数ヶ月に、FacebookとTwitterの最高の検閲担当者、およびニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、CNNの国家安全保障担当記者に対して、ハンター・バイデンに関連する「ハッキングと漏洩」に関する報道を形成するための「卓上演習」を主催しました。これは「事前に反駁する(pre-bunking operation)」作戦だったのかもしれません。

 検閲産業複合体による事実情報の信憑性を失わせる最も大きな事件は、ハンター・バイデンのラップトップに対する「事前反駁(prebunking)」でした。70 情報機関(IC)の代表者による組織的な取り組みの強力な証拠があり、ニュースやソーシャル・メディア会社の上級幹部を対象に、ハンター・バイデンに関する漏洩情報を公開する前後に信憑性を失わせることを狙っていました。

 2020年、一年中をかけて、FBIやその他の法執行機関は繰り返し、Twitterのサイト統合部門の責任者(後に安全保障および信頼性の責任者となった)ヨエル・ロスに対し、ハンター・バイデンのラップトップに関する報道をロシアの「ハッキングと漏洩」作戦として一蹴するよう指導しました。次はロスが2020年12月に行った宣誓供述書からのものです:

これらの週次会議の間、連邦法執行機関は、州の仕掛け人による「ハッキングと漏洩の作戦」が2020年の大統領選挙直前の期間、おそらく10月に発生する可能性があると伝えました。これらの会議で私に伝えられたのは、情報機関が政治宣伝活動に関連する個人がハッキング攻撃の対象となると予想しており、そのハッキング攻撃で入手された素材がおそらくTwitterを含むソーシャル・メディアを通じて広められるだろうということでした。ハッキングと漏洩作戦の予想については2020年中に議論されました。また、これらの会議で、ハンター・バイデンを絡める可能性のあるハッキングと漏洩作戦についての噂があることも知りました。

 最高経営責任者のマーク・ザッカーバーグによれば、FBIは、Facebookに対しても同様のことをしました。「要するに、FBIが私たちのところに来て、『ねえ・・・高度な警戒態勢を取るべきですよ。2016年の選挙ではロシアの宣伝活動が多かったと私たちは思っています。同様の情報が投入されようとしているのです』と言ってきました」。

 それでいて、FBIがハンター・バイデンに関連するロシアのハッキングと漏洩作戦についての警告は、新しい情報に基づいているわけではありませんでした。「私たちの調査を通じて、2016年に起こったものと同様の競合する侵入は見られませんでした」とFBI捜査官のエルヴィス・チャンが2022年11月に認めています。

 確かに、Twitter社の幹部は繰り返し、ロシアの活動は非常に少ないと報告していました。例えば、2020年9月24日に、TwitterはFBIに対して、以前のロシアの協調的ハッキング試みに関連する345件の「ほとんど活動していない」アカウントを削除したと伝えました。これらのアカウントは「それほど配信は多くなく、フォロワーも少なかった」とのことです。71

 実際、Twitterの職員は定期的に、Twitter上に出た外国の影響に関する主流メディアのジャーナリストたちの主張の誤りを正していました。#dcblackout(ワシントンが停電になったという)偽情報拡散活動が外国のボットによって推進されていると示唆する記事に対して、ヨエル・ロスはエルヴィス・チャンに宛てた電子メールで、「その主張を裏付ける証拠は見当たりませんでした」と書いています。72 FBIが、共和党支持のツイートにおける外国の影響に関するワシントン・ポスト紙の記事について尋ねた際、ロスは「この記事は多くの当てこすり的な言葉遣いはあります・・・が、それが事実だという証拠は見当たりませんでした(実際、反対の方向を示す強力な証拠がたくさんありました)」と述べました。73

 FBIからTwitterへの圧力は強くなっていました。「IC(情報機関)は、(連携したものではないにしても)、私たちに対して情報をより多く共有し、API*指針を変更するように促す持続的な取り組みはずっとあります」と、Twitter社上級幹部は不平を述べました。「彼らはあらゆる手段で調査したり、圧力をかけようとしています(議会職員にひそひそと話しかけることもします)」74
*アプリケーション・プログラミング・インターフェース。ソフトウェアやアプリケーションなどの一部を外部に向けて公開することにより、第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにしてくれるもの。

 Twitter社が抵抗しても、FBIは繰り返し、Twitterが既に通常の法的経路外では共有しないと明確にしている情報をTwitterに要求しました。

 最近、Twitterのロスは技術ジャーナリストのカラ・スウィッシャーに対して、ハンター・バイデンのラップトップのニュースが出る前にロシアのハッキンググループAPT28について考えるように指導されていた、と述べました。それが実際に出た時、ロスは「APT28のハッキングと漏洩宣伝活動の警報が完全に作動した」と語りました。75

 ジム・ベーカーは元FBIの総顧問(2014年から2018年)であり、アメリカの情報機関で最も影響力のある人物の一人です。ベーカーは30年にわたり政府との往来を繰り返し、CNN、ブリッジウォーター(1400億ドルの資産運用会社)、そしてブルッキングス研究所で勤務してきました。FBIの総顧問として、ベーカーはドナルド・トランプの捜査を内部で推進する中心的な役割を果たしました。

 ベーカーはトランプの捜査に関与した唯一のFBI上級幹部ではありませんでした。トランプの捜査を開始したFBI長官ジェームズ・コミーの元副官であるドーン・バートンもTwitterに入社しました。彼女は2019年に戦略部門の部長としてTwitterに入社しました。

 2020年時点で、Twitterには元FBI職員(「Buの卒業生(Bu alumni)」)が非常に多く働いていたため、彼らはSlack上に独自の私的なチャンネルを作成し、新たにFBI出身者が入社する際の手引き資料を用意していました。76

 10月14日、ニューヨーク・ポスト紙がハンター・バイデンのラップトップの記事を公開した直後、ロスは「これは明確に私たちのハッキングされた資料方針に違反しているわけではないし、他の何かにも明確に違反しているわけではない」と述べましたが、「これにはかなり微妙な漏洩作戦が感じられる」と付言しました。77

 ロスの発言に対して、ベーカーは繰り返し、ハンター・バイデンの資料は偽造されたものであり、ハッキングされたものであり、Twitter社の方針に違反していると主張しました。ベーカーはこれを2020年10月14日と15日のメールやGoogleドキュメントに載せました。ハンター・バイデンのメールが偽造されたものか、ハッキングされたもののいずれか、とベーカーが本気で考えていたとは思えません。ニューヨーク・ポスト紙はハンター・バイデンによる署名付きの領収書の写真を掲載しており、FBIの召喚状も2019年12月にFBIがラップトップを押収したことを示しています。

 結局、午前10時まで、Twitterの幹部たちはハッキングと漏洩だという物語を信じ込んでいました。「専門家の示唆(真実らしい)は、 別々に発生したハッキングがあり、それらのハッキングされた資料がデラウェア州の修理店に魔法のように現れたラップトップに読み込まれたというものです」とロスは記述しました。78


<原註>
54 Jane Mayer, “How Russia Helped Swing The Election For Trump,” The New Yorker, Sept 24, 2018, https://www.newyorker.com/magazine/2018/10/01/how-russia-helped-toswing-the-election-for-trump.
55 See for instance, Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have,” Washington Post, Oct 24, 2018, https://www.washingtonpost.com/outlook/2018/10/24/russians-didnt-swing-election-trumpfox-news-might-have/ .
56 Elliott Schrage, “Hard Questions: Russian Ads Delivered to Congress,” Meta, Oct 2, 2017, https://newsroom.fb.com/news/2017/10/hard-questions-russian-ads-delivered-tocongress.
57 Renee DiResta, “What We Now Know About Russian Disinformation,” New York Times, Dec 17, 2018, https://www.nytimes.com/2018/12/17/opinion/russia-reportdisinformation.html.
58 Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have.” Washington Post, reprinted by Stamford Advocate, Oct. 24, 2018, https://www.stamfordadvocate.com/opinion/article/The-Russians-didn-t-swing-the-2016- election-to-13333223.php
59 Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have.” Washington Post, reprinted by Stamford Advocate, Oct. 24, 2018, https://www.stamfordadvocate.com/opinion/article/The-Russians-didn-t-swing-the-2016- election-to-13333223.php.
60 Elliott Schrage, “Hard Questions: Russian Ads Delivered to Congress,” Meta, Oct 2, 2017, https://newsroom.fb.com/news/2017/10/hard-questions-russian-ads-delivered-tocongress.
61 Renee DiResta, “What We Now Know About Russian Disinformation,” New York Times, Dec 17, 2018, https://www.nytimes.com/2018/12/17/opinion/russia-reportdisinformation.html.
62 Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have.” Washington Post, reprinted by Stamford Advocate, Oct. 24, 2018, https://www.stamfordadvocate.com/opinion/article/The-Russians-didn-t-swing-the-2016- election-to-13333223.php.
63 Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have.” Washington Post, reprinted by Stamford Advocate, Oct. 24, 2018, https://www.stamfordadvocate.com/opinion/article/The-Russians-didn-t-swing-the-2016- election-to-13333223.php
64 Ben Nimmo, “Meta’s Adversarial Threat Report, Fourth Quarter 2022,” Meta, Feb 23, 2023, https://about.fb.com/news/2023/02/metas-adversarial-threat-report-q4-2022. 65 Paul Baines and Nigel Jones, “Influence and Interference in Foreign Elections: The Evolution of its Practice,” RUSI Journal 163, no. 1 (2018): 12-19, doi:10.1080/03071847.2018.1446723, https://files.core.ac.uk/pdf/23/188364950.pdf.
66 Dov H. Levin, “Partisan Electoral Interventions by the Great Powers: Introducing the PEIG Dataset,” Conflict Management and Peace Science, 36 (1): 88-106 (2019), https://www.dovhlevin.com/datasets. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 59
67 Andrew Mark Miller, “Fox News Special Report outlines fresh questions on what Fauci, government knew about COVID origin,” Fox News, Jan 25, 2022, https://www.foxnews.com/politics/special-report-outlines-fresh-questions-on-what-faucigovernment-knew-about-covid-origin
68 Emma-Jo Morris and Gabrielle Fonrouge, “Smoking-gun email reveals how Hunter Biden introduced Ukrainian businessman to VP dad,” New York Post, Oct 14, 2020, https://nypost.com/2020/10/14/email-reveals-how-hunter-biden-introduced-ukrainian-bizman-to-dad/.
69 Janine Zacharia and Andrew Gotto, “How to Report Responsibly on Hacks and Disinformation,” Stanford Cyber Policy Center, accessed Mar 8, 2023, https://fsi-live.s3.uswest-1.amazonaws.com/s3fs-public/full_report_download_- _how_to_report_responsibly_on_hacks_and_disinformation.pdf.
70 Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “In Twitter Files #7, we present evidence pointing to an organized effort by representatives of the intelligence community,” Twitter post, Dec 19, 2022, 10:13 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604872517927153669.
71 Anonymous Twitter employee, email to Elvis M. Chan, “Update on Russian Accounts,” Sept 24, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “15. Indeed, Twitter executives *repeatedly* reported very little Russian activity,” Twitter post, Dec 19, 2022, 10:57 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604883686855299072?s=20&t=npbe_XSWYXEy zbx8WqI33g.
72 Yoel Roth, email to Elvis M. Chan, “RE: [SOCIAL NETWORK] Twitter referral,” June 2, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “16. In fact, Twitter debunked false claims by journalists of foreign influence on its platform,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:06 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604885848398254080.
73 Yoel Roth, email to Elvis C. Chan, “Re: Twitter Account Inquiry: @WentDemtoRep,” Aug 31, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “17. After FBI asks about a WaPo story on alleged foreign influence in a pro-Trump tweet,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:11 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604887121700929541.
74 Carlos Monje, Jr., email to Yoel Roth, “OGA Query,” Jan 2, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “19. Pressure had been growing,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:16 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604888429816209409. 75 Yoel Roth, interview by Kara Swisher, On with Kara Swisher, podcast audio, Nov 29, 2022, accessed through Brian Fung, “Twitter is less safe due to Elon Musk’s management style, says former top official,” CNN Business, Nov 30, 2022, https://www.cnn.com/2022/11/29/tech/yoel-roth-twitter-elon-musk/index.html.
76 Matthew Williams, email to Jim Baker and Dawn Burton, June 15, 2020, cited in Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “29. As of 2020, there were so many former FBI employees,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:44 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604895371360374784.
77 Yoel Roth, email to anonymous, “Re: [for your awareness] New York Post Article / Action from FB,” Oct 14, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “34. On Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 60 Oct 14, shortly after @NYPost publishes its Hunter Biden laptop story,” Twitter post, Dec 19, 2022, 12:04 pm, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604900581809614848.
78 Yoel Roth, email to SCALE legal and others, “Re: [for your awareness] New York Post Article / Action from FB,” Oct 14, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “38. By 10 am, Twitter execs had bought into a wild hack-and-dump story,” Twitter post, Dec 19, 2022, 12:18 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604904052126404608.

ジョー・バイデン、ウクライナのガス会社贈収賄計画に関与 – FOXニュース

<記事原文 寺島先生推薦>
Joe Biden implicated in Ukrainian gas firm bribery scheme – Fox News
出典:RT  2023年6月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023円7月29日


報道によると、副大統領時代、息子のハンター・バイデン氏が取締役を務めていたブリスマ・ホールディングス社から500万ドル(7億円)を受け取ったとされている。


ジョー・バイデンと息子ハンター・バイデン © Getty Images / Bruce Bennett


 ジョー・バイデン米国大統領は、バラク・オバマ政権の副大統領時代に、ウクライナの天然ガス会社との法律に触れる贈収賄計画に関与していたことが報じられていると、FOXニュースが金曜日(6月9日)、FBIの報告書を引用して報じた。

 FOXニュースは、情報提供者からFBIの報告書の内容を聞いたと報じたが、その報告書の内容は、当時副大統領であったバイデン氏がブリスマ・ホールディングス社から報酬を得たというものだった。当時同社は息子のハンター・バイデン氏が取締役を務めており、バイデン氏を通じて米国の政策決定に影響を与えようという意図があったという。

 2020年6月30日という日付が付けられたFD-1023という名で知られるこの報告書では、FBIが、「非常に信頼できる」秘密の情報筋から聞いた話が詳述されており、この情報筋は2015年以降のブリスマ社の重役との複数の会合ややりとりを明らかにしていた。

 FBIのこの報告書によると、名前が明かされていないブリスマ社の重役は、米国の採油権や提携先を得るより良い方法について助言を求めていて、さらに、「前進できる最善の道」に導いてくれる秘密の勢力の助けも求めていたという。

 この報告書によると、この重役が助言を求めている理由の説明として、ハンター・バイデンが「言葉にできないほど役に立つ人物」であり、ブリスマ社が「バイデン親子に金を渡す」必要がある理由は、ウクライナの検事が、自分の会社を捜査中であるからだ、としていた。



 関連記事:「私は約束を守る男だ」:漏洩した音声記録により、バイデンがポロシェンコに圧力をかけ、ブリスマ社の捜査に当たっていた役人を罷免させた可能性が明らかに。

 報道によると、この重役がこの情報源に、ブリスマ社は既にハンター・バイデンと「大物」(明らかにジョー・バイデンを指している)に対して、それぞれ500万ドル(7億円)を渡していたと語った、という。そしてその見返りは、捜査を含め、同社が対処しなければならない多くの問題の解決に手を貸してもらうことだった、という。

 報道によると、この重役の説明では、バイデン親子への金銭の提供は直接行われたわけではく、「様々な銀行口座」を通じた形でなされた、という。そしてその目的は、捜査官らから「少なくとも10年間は突き止められない」ようにするためだったという。

 報道によると、米国政府はFBIのこの報告書についての発言を控えており、ジョー・バイデンは以前、この収賄疑惑を「全くのでたらめ話だ」と一蹴し、自分の息子の事業の取引に関わったことはない、と主張した。

 しかし、外交問題評議会の催しで演説を行った際、ジョー・バイデンはウクライナのヴィクトル・ショーキン検事総長を罷免したことに自身が関わっていたことを認めた。同検事総長は、ブリスマ社の捜査に当たっていた。バイデンの主張によれば、同検事総長を罷免させた際、もしやめさせなければ、米国からウクライナに送る支援金の10億ドル(1400億円)を保留にする、と脅したという。ショーキン検事総長が当時のピョートル・ポロシェンコ大統領から職を解かれたのは4月3日のことであり、その後、米国はウクライナへの支援金の供与を承認していた。

検閲産業複合体:米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ 2016年―2022年(第2回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月28日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

* 今回は、「2  The Censorship Industrial Complex Today(今日における検閲産業複合体)」の翻訳です。

2 今日における検閲産業複合体

定義と使命


 検閲産業複合体は、この思想に共感する政府機関、非政府組織(NGO)、学術機関のつながりであり、ここ数年で検閲の力を発見し、不安定で危険の多い民主的手続きに対抗することで、自分たちの利益を守ろうとしています。彼らは口では「民主主義を守る」と言いますが、そうではありません。むしろ、彼らは民主主義とは反対の立場で自らの政策と金銭的利益を守っているのです。


米国国立科学財団(NSF)の資金供与

 2021年1月以来、米国国立科学財団(NSF)は、総額3180万ドルに上る、少なくとも64件の政府助成金を、ソーシャル・メディアの「誤情報・偽情報」に「対抗する」科学に供与しており、さらに総額700万ドルを2つの政府助成金に供与しています。42の大学が64件の助成金を受けています。10また、NSFは「意思疎通体系における信頼性と真正性(Trust and Authenticity in Communication Systems)」11と呼ばれる、誤情報と検閲に関する研究のための「Track F」という新しい研究分野を設立しました。

 NSFは、自らの検閲計画を、文明を守る手段だと正当化しています。「現代生活は、信頼性のある正確な情報を提供する意思疎通体系にますます依存してきている」と、NSFは2022年の研究概要で記載しています。「しかし、これらの体系は共通の脅威に直面している。意思疎通体系は操作される可能性があり、予期しない悪影響をもたらすことがあるのだ。誤情報を意思疎通の流れに持ち込むと、様々な活動や市民社会の機能を破壊する可能性が出てくる」。12

 NSFは、「インターネットには検閲が必要」という検閲産業複合体の中心的主張を繰り返します。「虚偽の主張や他の不正な振る舞いはこれまでの歴史においても存在していたが、それらが引き起こす問題が、現在深刻な規模に達している。原因は3つ。①大規模な焦点化や個別化、②情報交換の迅速な速度、そして③情報拡散の自動化能力13」だとNSFは述べています。以下は、NSFが2022年に資金供与している検閲/ディスインフォメーション(偽情報)の取り組みの例です:

● ミシガン大学:同大学主導で立ち上げた企業WiseDexは、クラウド上の知恵とAI技術を利用して、より多くの投稿にフラグ(目印)を付ける手助けをする。
● Hacks/Hackers(サイト): ワクチンの有効性などの物議を醸す話題に関する内容について信頼を築くためのソフトウェア開発サイト
● オハイオ州立大学:CO:CASTは、「意思決定者が情報環境を管理するのを支援する」。
● ミーダン(Meedan)社: Co·Insightsは、地域社会、事実確認、そして学術機関が協力して、社会的な対立と不信を煽る次々と生まれる誤情報に効果的に対応することを可能にする。
● テンプル大学のCommuniTies:「CommuniTiesはAIネットワーク科学ツールを使用して、現地のニュース局に対して実践的な洞察を提供し、地域とのデジタルな意思疎通を構築し、誤情報と偽情報の拡散を防止する手助けをする」
● ウィスコンシン大学:Course Correctは、「ジャーナリストが誤情報のネットワークを特定し、誤情報を修正するための動的な誤情報特定ダッシュボード*」
*ダッシュボード・・・複数の情報源からデータを集め、概要をまとめて一覧表示する機能や画面、ソフトウェアなどを指す


国防高等研究計画局(DARPA)の源

 現代の検閲産業複合体は、かつて国防総省がテロリストとの戦いに使っていた方策を利用している。

 例えば、DARPAは2011年に「Social Media in Strategic Communication(SMISC)」計画を創設。この計画は、「誤情報や欺瞞宣伝活動を特定し、真実の情報でそれらに対抗するのを支援する」。

 DARPAはその目標を次のように言っています:

  1. 「・・・な誤情報の発見」
  2. ソーシャル・メディアやオンライン上のコミュニティ(集まりの場)での説得宣伝活動構造や影響操作の認識。
  3. 「参加者や意図の特定と、説得宣伝活動の効果の計量」
  4. 「検知された敵対勢力の影響操作に対して対抗するメッセージ戦略の展開」14

 NSFによって資金提供されている計画「Course Correct」の4つの目標は、今日の米国市民をほぼ同じ方法で対象としています:

  1. 「…誤情報の発見・・・」
  2. 「・・・誤情報に対するA/Bテスト*修正戦略の開発の継続・・・」
    A/Bテスト*・・・主にインターネットマーケティングで行われる、施策判断のための試験の総称(ウィキペディア)
  3. 「・・・証拠に基づいた修正の効果の評価・・・小規模なランダム化対照試験の実施により・・・」
  4. 「ジャーナリストだけでなく技術開発者やソフトウェア技術者との継続的な連携」


鍵となる組織

 CISA:(The Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)国土安全保障省(DHS)内の機関。2017年1月6日、当時のオバマ政権のDHS長官であるジェイ・ジョンソンは、「選挙に関する基盤」は「きわめて重要な基盤」であると指定し、CISAの使命をいわゆる「誤情報」15の検閲に拡大。議会は2018年11月にCISAを設立し、敵対的な外国の仕掛け人(例:ロシアのハッカー)16による米国のサイバーセキュリティ脅威に対抗することを目的とした。

アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)のデジタル・フォレンジック・リサーチ(DFR)研究所は、世界で最も確立された影響力のある専門の検閲機関の一つです。17 この研究所は2018年6月に外向きのDesinfoPortalを立ち上げ、欧州での2019年の選挙に先立つ選挙の物語を検閲するために、米国国家民主主義基金(NED)や23の組織と直接連携して活動していました。18 2018年には、Facebookはアトランティック・カウンシルを「偽情報に対抗する」世界の公式パートナーとして指名しました。19 アトランティック・カウンシルへのアメリカの税金は、国防総省、米国海兵隊、米国空軍、米国海軍、国務省、USAID、米国民主主義基金、エネルギー企業、そして兵器製造業者などから出されています。20

 Graphikaは、民間のネットワーク分析企業。Graphikaは2018年12月に上院情報委員会への報告を公表。その中で「2016年の米国大統領選挙だけでなく、日々の民主的な対話にもロシアによる干渉があることの全体像を、例を見ないほど詳細に」21に明らかにしたと言っている。Graphikaは、調査部門の部長としてDFR lab22のベン・ニンモ(Ben Nimmo)を採用。防衛総省の心理戦に焦点を当てたミネルバ構想*とDARPAは、両方ともGraphika23に助成金を供与。2021年には、ペンタゴンが約500万ドルの助成金と約200万ドルの契約をGraphika24に授与。昨年秋、Graphikaは非主流ウェブサイト上の漫画が「ロシア仕掛け人容疑者」によるものであり、2022年の中間選挙25への「再度の介入の企て」を行っていると主張。この話はNew York Timesでも取り上げられた。26
ミネルバ構想*・・・米国国防総省が後援する研究プログラムであり、米国の国家安全保障政策にとって戦略的に重要な分野に関する大学ベースの社会科学研究を維持するための助成金を提供。 (ウィキペディア)

 Moonshot CVEは、オンライン上で右翼の人々を過激主義から遠ざけるための民間企業27。しかし、右翼の人々を無政府主義の指導者に向かわせていることが判明している。「この企業は、すでに暴力を求めていた人々を、無政府主義で反ユダヤ主義的な見解を持つ前科者に向けて送った」と議員モーガン・グリフィス(バージニア州選出共和党)はGoogleの最高経営責任者に語った。「審査を行っている人々の審査は誰が行っているのですか?我々は引き続きより多くの透明性と責任を必要としています」。28 Moonshotには、元国土安全保障省対テロ対策補佐官のエリザベス・ノイマンも在籍している。

 FITF(Foreign Influence Task Force)は、FBI、DHS、およびODNI(米国家情報長官室)の構成員で構成されるサイバー規制機関。

 GEC(Global Engagement Center)は、米国国務省の分析部門。国内の検閲を「偽情報に対抗する」非政府組織(NGO)や外国企業を通じて体系的に合法化する部門。

 Hamilton 68:米国政府の資金援助とNew Knowledge社の支援によって作成されたダッシュボード。Twitter上のロシアのボットを明らかにすると主張していたが、構成員のほぼすべてがアメリカ市民なのでTwitter社職員らが嘲笑。

 HSIN:(Homeland Security Information Network)。州やその他の公的機関が「フラグ付け」されたアカウントを送信できるポータル・サイト。

 EIP:(Election Integrity Project)。スタンフォード・インターネット・オブザバトリー、Graphika、ワシントン大学のディスインフォメーション・研究室、そして大西洋評議会のデジタルフォレンジックリサーチ・研究室という4つの政府資金援助された検閲組織の連携機関。EIPはCISAに代理委任された国内偽情報フラッガーとしての役割を果たしている。

 IRA:(Internet Research Agency)。悪名高いロシアの「トロールファーム」であり、「プーチンの料理長」として知られるエヴゲニー・プリゴジンが率いている組織。

 MISP:(Malware Information Sharing Platform)。サイバーセキュリティの専門家がマルウェア*やボットに関するツール、調整された不正行為について情報を共有するために使用されるサイト。「DFRが偽情報にサイバーセキュリティのツールを適用したいとき、彼らはMISPを使った」29と、ある政府偽情報専門家は言っている。
*マルウェア・・・コンピュータ、サーバ、クライアント、コンピュータネットワーク等に損害を与えるため、あるいはユーザの意図や利益に反する活動を行うために設計されたソフトウェアのこと

 NewsGuard社とGlobal Disinformation Index社は、両方とも税金で資金提供されており、広告主に好ましくない出版物への広告掲載を取り下げ、好ましい出版物に資金を誘導するよう呼びかけている。この2つの組織は、COVIDのウイルス研究所漏洩説は明らかに嘘であるとわかっている陰謀論であるという偽情報を拡散し、ハンター・バイデンのラップトップについて正確な報道をしたNew York Postなどの出版物の信用を失墜させようとしたことも発覚している。

 Cognitive Security CollaborativeおよびAdversarial Misinformation and Influence Tactics and Techniques。いずれも偽情報に対する攻撃を記述し、調整するためのサイト。「これは脅威アクター*に焦点をあてて対処するための安全上の作用と同様に機能する」と専門家は指摘している。ある情報源によれば、「もし偽情報を使った攻撃を行う脅威アクターが発生した場合、その脅威アクターを記録し、サイバー攻撃を行ったアクターと同様に行動を解読する。そして、それからソーシャル・メディアからの削除(テイクダウン)を調整する」。30
*脅威アクター・・・データセキュリティに影響を与える可能性のある内部または外部の攻撃者のこと

 ワシントン大学(UW)は、DHSが2020年の選挙中にソーシャル・メディア上の情報を検閲するために直接協力し、連携機関として扱っていた2つの学術機関の1つ。31 2021年にバイデン政権から3,000万ドルの政府助成金を受け取り、スタンフォード・インターネット監視局(SIO)と共有して、「選挙に関する誤情報」のフラグ付けを継続した。32。選挙整合計画(Election Integrity Project(後に拡散計画(Virality Project)に移行)の4つの構成要素の1つであり、UW(ワシントン大学)、Graphika、およびDFR(Digital Forensic Research :デジタルに関する法令研究所)とともに活動している。SIOは、2019年6月に部長のアレックス・スタモスと研究主任のレネー・ディレスタによって設立された。SIOはソーシャル・メディアを監視し、インターネット検閲を推進している。2020年の選挙では、CISAとの連携の一環として、SIOには50人の「誤情報」分析者がソーシャル・メディアを監視するために割り当てられた。33 SIOはもともとクレイグ・ニューマーク・フィランソロピー、オミダー・ネットワーク、そしてチャールズ・コック財団によって資金提供されていた。34


鍵となる個人

●グラハム・ブルーキーは、大西洋評議会のDFR Labの指導者。ブルーキーはオバマ政権時、国家安全保障会議で勤務。35

●レネー・ディレスタはスタンフォード・インターネット監視局の一員。ディレスタは、アラバマ州の共和党上院候補ロイ・ムーア36がボットアカウントを作成し、偽情報を拡散したことを発覚させた組織の研究主任。2018年の上院の証言では、ディレスタは「外国の宣伝活動を定義し、犯罪とする法律」の制定を提唱し、警察機関による「外国の宣伝活動の告発」を許可するよう主張していた。37また、スタンフォード大学の上司であるアレックス・スタモスの記録された発言によれば、ディレスタは以前「CIAで働いていた」。38

● ジェン・イースタリーは、CISA(サイバーセキュリティおよびインフラセキュリティ機関)の長官。彼女は軍の元諜報員であり、国家安全保障局(NSA)の対テロリズム副局長だった。「我々は重要な基盤組織の事業をしていると言えるでしょう。そして最も重要な基盤組織は私たちの認知基盤です。だから、誤情報と偽情報への耐性を構築することは非常に重要だと思います」39とイースタリーは2021年11月に述べている。その前の月、イースタリーはCISA首脳会議で、クリス・クレブスによる民間部門との「誤情報対抗」の複合体の構築をDHSの最優先事項として挙げた。40昨年10月、アメリカの地方裁判所は、イースタリーが偽情報に関するCISA「中枢」についての「直接情報」を持っているため、彼女の証言を受け入れることができると判断した。41

● クリス・クレブス。CISA長官(2018年から2020年)。アスペン研究所の「情報混乱委員会」の議長。DHSの「全社会的」方策による検閲の組織化を支援。42クレブスは、選挙を「重要基盤」として宣言することで、DHSが2017年1月6日に選挙防衛を事実上国の問題とした後、2020年選挙の連邦側の管理を担当。そして、「偽情報」は選挙防衛への攻撃だと宣言した。クレブスは2022年4月の時点でも、依然としてハンター・バイデンのラップトップ事件はロシアの偽情報のようだと述べ、2020年選挙期間中にニュースメディアがラップトップ事件を記事として取り上げていなかったことが重要だったと語った43。クレブスは、政府のCOVID-19指令に批判的な意見を検閲することを提唱し44、「偽情報」が選挙防衛への最大の脅威だと述べた。45

● ベン・ニモ、Facebookの世界規模脅威情報部門の責任者であり、したがってアメリカで最も重要な検閲者の一人。ニモは、大西洋評議会のデジタル・フォレンジック・リサーチ研究所の検閲の技術指導者として活動。2020年の秋にGraphikaに雇われ46、NATOの情報作戦47で働いたことがある。2018年に、ニモは匿名のTwitterアカウント「Ian56」をロシアの偽情報ボットアカウントとして公に報告した48。しかし、のちに、Ian56は実在の人物であり、中道左派の大衆迎合的な反戦の意見を表明していただけだったことが判明した。ニモの報告の後、「Ian56」は英国政府に報告された。49

● ケイト・スターバードは、ワシントン大学の偽情報研究所を運営しており、長年にわたって主にアメリカ政府機関から資金提供を受けて、アメリカ軍の情報機関や外交政策に興味や関心のある政治団体や反乱運動組織のソーシャル・メディア上の意見分析を行ってきた。スターバードは、CISAとEIPの検閲の焦点が2016年から2020年の間に「外国の不正な」ソーシャル・メディア利用者から「国内の信頼性のある」ソーシャル・メディア利用者に移行したことを認めている50。スターバードは現在、CISAの検閲に関する諮問委員会の責任者。

● アレックス・スタモスは、EIPとVPの最高幹部。この2つの組織は、クリス・クレブスのCISAを介してDHSの委任された国内「偽情報」の監視を行っていた。スタモスは2020年に、DHSが政府の検閲を一元化することを提案。51また、スタモスはFacebookのセキュリティ担当の最高責任者であり、2016年の選挙後に報じられたロシアの偽情報へのFacebookの対応を指揮。スタモスはFacebook(現在はMeta)を2018年に退社。報道によれば、他のFacebookの幹部と検閲の程度について対立したことが原因52。スタモスは、より自由で開かれたインターネットから、より制御された「ケーブルニュースネットワーク」型に移行することを支持している。この問題の大半は「大きな影響を持つ人々」が問題の大部分を占めると述べている。53

●クレア・ワードルは、非営利の連合体である「First Draft News」を2015年6月に共同設立し、検閲の仕組みを構築するために指揮を執った。「2016年9月に、当初の連合体はニュース局、大学、プラットフォーム、そして市民社会からなる国際的な連携組織に拡大」。2017年、ハーバード大学ケネディ校のショーレンスタイン・センター(メディア、政治、公共政策センター)に在籍していたワードルは、「情報混乱研究所」の開発に貢献し、これはアスペン研究所が採用する枠組みとなった。2022年6月にFirst Draftは閉鎖されたが、その活動はブラウン大学公衆衛生学部の「Information Futures Lab」で継続されている。

<原注>
10 Mike Benz, “Biden’s National Science Foundation Has Pumped Nearly $40 Million Into Social Media Censorship Grants and Contracts,” Foundation for Freedom Online, Nov 22, 2022, https://report.foundationforfreedomonline.com/11-22-22.html; “Colleges & Universities Getting NSF Grants for ‘Mis/Disinformation,’ FY2021-2022,” Imgur, Nov 2022, https://imgur.com/a/CJQFKHT.
11 “Track F: Trust and Authenticity in Communication Platforms,” in U.S. National Science Foundation, Convergence Accelerator 2022 Portfolio Guide, National Science Foundation, accessed March 6, 2023, https://nsf-gov-resources.nsf.gov/2022- 08/NSF%20Convergence%20Accelerator%202022%20Portfolio%20Guide_Final_lowres_508_0 .pdf#page=92
12 “Track F: Trust and Authenticity in Communication Platforms,” in U.S. National Science Foundation, Convergence Accelerator 2022 Portfolio Guide, National Science Foundation, accessed March 6, 2023, https://nsf-gov-resources.nsf.gov/2022- 08/NSF%20Convergence%20Accelerator%202022%20Portfolio%20Guide_Final_lowres_508_0 .pdf#page=92.
13 “Track F: Trust and Authenticity in Communication Platforms,” in U.S. National Science Foundation, Convergence Accelerator 2022 Portfolio Guide, National Science Foundation, accessed March 6, 2023, https://nsf-gov-resources.nsf.gov/2022- 08/NSF%20Convergence%20Accelerator%202022%20Portfolio%20Guide_Final_lowres_508_0 .pdf#page=92.
14 Defense Advanced Research Projects Agency, “Social Media in Strategic Communication (SMISC) (Archived),” DARPA, accessed Mar 6, 2023, https://www.darpa.mil/program/social-media-in-strategic-communication
15 Jeh Johnson, “Statement by Secretary Jeh Johnson on the Designation of Election Infrastructure as a Critical Infrastructure Subsector” (press release), DHS.gov, Jan 6, 2017, https://www.dhs.gov/news/2017/01/06/statement-secretary-johnson-designation-electioninfrastructure-critical.
16 U.S. Department of Homeland Security, “Congress Passes Legislation Standing Up Cybersecurity Agency in DHS” (press release), DHS.gov, Nov 13, 2018, https://www.dhs.gov/news/2018/11/13/congress-passes-legislation-standing-cybersecurityagency-dhs.
17 “Atlantic Council,” Influence Watch, accessed March 1, 2023, https://www.influencewatch.org/non-profit/atlantic-council. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 55
18 “News and Notes,” Journal of Democracy 29, no. 3 (July 2018), https://www.journalofdemocracy.org/articles/news-and-notes-14.
19 Kris Holt, “Facebook partners with think tank to fight global election meddling,” Engadget, May 17, 2018, https://www.engadget.com/2018-05-17-facebook-atlantic-councilpolitical-ads-fake-news.html.
20 “Honor Roll of Contributors,” Annual Report, Atlantic Council, Nov 9, 2021, https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/2020-annual-report-honorroll-of-contributors.
21 Joshua A. Geltzer, “New Senate Reports Are an Indictment of the White House’s Inaction on Disinformation,” Slate, Dec 18, 2018, https://slate.com/technology/2018/12/senate-reports-russian-disinformation-social-mediatrump.html.
22 “Graphika welcomes industry expert Ben Nimmo to the team,” Graphika, Aug 23, 2019, https://graphika.com/posts/graphika-welcomes-industry-expert-ben-nimmo-to-theteam.
23 “Research Priorities: 2022 Minerva Topics of Interest,” Minerva Research Initiative, accessed Mar 6, 2023, https://minerva.defense.gov/Research/Research-Priorities; “Graphika,” Graphika, accessed Mar 6, 2023, https://www.graphika.com.
24 “Federal Awards: Spending by Prime Award” (table), USAspending, accessed Nov 7, 2022, https://www.usaspending.gov/search/?hash=5caa43faf4a5ff7cd70185d0466731e1; “Federal Awards: Spending by Prime Award” (screenshot), Imgur, accessed Mar 6, 2023, https://imgur.com/a/nL1JWHx.
25 Graphika (@Graphika_NYC), “Suspected #Russian actors are engaged in a renewed effort to target far-right audiences in the U.S. with politically divisive messaging ahead of the #MidtermElections2022,” Twitter post, Nov 3, 2022, 8:16 am, https://twitter.com/Graphika_NYC/status/1588158278382534656; Léa Ronzaud, Jack Stubbs, and Tyler Williams, “Same Schmitz, Different Day,” Graphika, Nov 3, 2022, https://graphika.com/posts/same-schmitz-different-day.
26 Steven Lee Myers, “Russia Reactivates Its Trolls and Bots Ahead of Tuesday’s Midterms,” New York Times, Nov 6, 2022, accessed Mar 6, 2023 through Archive.org, https://archive.ph/cVcGz#selection-397.0-397.66.
27 Naomi LaChance, “Google Program Used to Deradicalize Jihadis Will Be Used for Right-Wing American Extremists Next,” The Intercept, Sept 7, 2016, https://theintercept.com/2016/09/07/google-program-to-deradicalize-jihadis-will-be-used-forright-wing-american-extremists-next.
28 Anita Chabria and Evan Halper, “Effort to stem online extremism accidentally pushed people toward an anarchist,” Los Angeles Times, Mar 30, 2021, https://www.latimes.com/politics/story/2021-03-30/google-moonshot-redirect-far-right-onlineextremism-anarchist.
29 Anonymous disinformation specialist, telephone interview by Michael Shellenberger, March 3, 2023.
30 Anonymous disinformation specialist, telephone interview by Michael Shellenberger, March 3, 2023. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 56
31 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://purl.stanford.edu/tr171zs0069; Mike Benz, “DHS Censorship Agency Had Strange First Mission: Banning Speech That Casts Doubt On ‘Red Mirage, Blue Shift’ Election Events,” Foundation for Freedom Online, Nov 9, 2022, https://report.foundationforfreedomonline.com/11-9-22.html.
32 “$2.25 million in National Science Foundation funding will support Center for an Informed Public’s rapid-response research of mis- and disinformation,” Center for an Informed Public, University of Washington, Aug 15, 2021, https://www.cip.uw.edu/2021/08/15/nationalscience-foundation-uw-cip-misinformation-rapid-response-research; “#2120496: Collaborative Research: SaTC: CORE: Large: Rapid-Response Frameworks for Mitigating Online Disinformation” (award abstract), National Science Foundation, accessed Mar 7, 2023, https://www.nsf.gov/awardsearch/showAward?AWD_ID=2120496&HistoricalAwards=false;
33 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://purl.stanford.edu/tr171zs0069.
34 “Stanford Internet Observatory Seeks to Detect Internet Abuse in Real Time,” Freeman Spogli Institute for International Studies, Stanford University, July 25, 2019, https://fsi.stanford.edu/news/stanford-internet-observatory-seeks-detect-internet-abuse-realtime.
35 “Graham Brookie,” Atlantic Council, accessed Mar 6, 2023, https://www.atlanticcouncil.org/expert/graham-brookie.
36 Scott Shane and Alan Blinder, “Secret Experiment in Alabama Senate Race Imitated Russian Tactics,” New York Times, Dec 19, 2018, accessed Mar 6, 2023 through Archive.org, https://archive.ph/qoskp#selection-249.0-249.65.
37 Hearing before the Select Committee on Intelligence of the United States Senate: Open Hearing on Foreign Influence Operations' Use of Social Media Platforms (Third Party Expert Witnesses), 115th Cong. 19 (2018) (statement of Renee DiResta, Director of Research, New Knowledge), https://www.intelligence.senate.gov/sites/default/files/documents/osrdiresta080118.pdf?utm_campaign=The%20Interface&utm_medium=email&utm_source=Revue%20n ewsletter.
38 Alex Stamos, “Securing Our Cyber Future: Innovative Approaches to Digital Threats” (lecture, Stanford Internet Observatory, Stanford University, Palo Alto, CA, June 19, 2019), YouTube video, Oct 27, 2021, 18:00-18:20, https://www.youtube.com/watch?v=ESR9k0BtmXY.
39Ken Klippnstein, Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs/
40 Jen Easterly and Chris Krebs, “Continuity of Excellence” (interview, Cybersecurity Summit 2021, Oct 2021), YouTube video, Oct 27, 2021, 7:40-14:20, https://www.youtube.com/watch?v=c81G7egOr1Q. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 57
41 State of Missouri et. al. v. Joseph R. Biden Jr. et. al, 3:22-CV-01213, pg. 19, United States District Court, Western District of Louisiana, Monroe Division, 2022, https://ago.mo.gov/docs/default-source/press-releases/doc-90---order-regarding-witnessdepositions.pdf?sfvrsn=24c99caa_2#page=19
42 “Aspen Institute Launches Commission on Information Disorder to Develop Actionable Public-Private Responses to the Disinformation Crisis” (press release), Aspen Institute, Jan 12, 2021, https://www.aspeninstitute.org/news/commission-on-informationdisorder; FFOSourceClips, “Supercut - "Whole-Of-Society" Censorship Push,” Rumble video, Aug 22, 2022, 2:08, https://rumble.com/v1gwfan-supercut-whole-of-society-censorshippush.html.
43 FFOSourceClips, “Chris Krebs - Hunter Biden Laptop - Looked Like Russian Disinfo - News Media Correct Not To Cover,” Rumble video, Sept 19, 2022, 0:24, https://rumble.com/v1kp4d9-chris-krebs-hunter-biden-laptop-looked-like-russian-disinfo-newsmedia-corr.html.
44 “Krebs says foreign disinformation actors ‘don’t actually have to do a whole lot…’” Face The Nation, CBS, July 18, 2021, https://www.youtube.com/watch?v=i3eF99LKSd8&t=21s
45 Dorey Scheimer and Meghna Chakrabarti, “Why misinformation is America’s greatest election security threat,” WBUR, Dec 3, 2021, https://www.wbur.org/onpoint/2021/12/03/why-domestic-misinformation-is-americas-greatestelection-security-threat
46 Twitter Files.
47 Alan MacLeod, “The Facebook Team that Tried to Swing Nicaragua's Election is Full of U.S. Spies,” Mint Press News, Nov 8, 2021, https://www.mintpressnews.com/nicaraguansignore-facebook-spooks-trick-treating-election/278870.
48 Ben Nimmo (@benimmo), “Meanwhile, one of the most-retweeted accounts on the Skripal case on March 18-20 was @Ian56789, which shared RT and called the attack a false flag,” Twitter post, March 24, 2018, 6:02 am, https://twitter.com/benimmo/status/977500910829146112
49 Ben Nimmo (@benimmo), Twitter accessed through Imgur.com, 3-24-18, 7:02 AM, https://imgur.com/a/kSRY62j
50 Kate Starbird, “Kate Starbird - Censor Targeted "Everyday People" Discussing Election, Radical Bias,” https://rumble.com/v1npqq8-katestarbird-censor-targeted-everyday-people-discussing-election-radical-b.html
51 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://purl.stanford.edu/tr171zs0069.
52 Nicole Perlroth, Sheera Frenkel, and Scott Shane, “Facebook Exit Hints at Dissent on Handling of Russian Trolls,” New York Times, March 19, 2018, https://www.nytimes.com/2018/03/19/technology/facebook-alex-stamos.html
53 FFOSourceClips, “Alex Stamos - Goal Is To Turn Social Media Companies Into Cable News Gatekeepers,” Rumble video, Nov 10, 2020, https://rumble.com/v1lwvfe-alexstamos-goal-is-to-turn-social-media-companies-into-cable-news-gatekeep.html . Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 58

検閲産業複合体:米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ 2016年―2022年(第1回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger) 2023年3月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月26日

読者のみなさまへ

マイケル・シェレンバーガーの連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会での証言の翻訳を以下の順番で随時掲載します。今回は、その第1回目で「1 Executive Summary(事業計画概要)」です。

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日における検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年


マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1  事業計画概要(これから証言する内容の要旨)

 1961年の退任挨拶で、ドワイト・アイゼンハワー大統領は、「軍産複合体が不当な影響・・・を獲得すること」を警告しました。アイゼンハワーは、政府請負業者と国防総省の「複合体」(集団)の規模と力が、「我々の自由や民主的な手続きを危険にさらす」と懸念したのです。どうやって?それは「連邦政府に雇用される学者、計画の配分、そして財力の支配」を通じてです。彼は公共政策が「科学技術支配者層の人質になる」1ことを恐れていました。

 アイゼンハワーの懸念は十分な根拠をもっていました。今日、アメリカの納税者は、何もわからず、アメリカの科学技術支配者層によって運営される検閲産業複合体の成長と権力に資金提供しています。これは私たちの自由と民主主義を危険にさらすものです。私はこの証言で、アメリカ合衆国における国家主導検閲の驚くべき出現と憂慮すべき事態に警鐘を鳴らす機会を与えられたことを感謝します。

 ツイッター社に残された複数の文書、州司法長官の複数の訴訟、そして調査報道記者たちの記事は、巨大で、ますます大きくなっている政府機関、学術機関、そして非政府組織(NOG)の繋がりがアメリカ市民を積極的に検閲(市民にはわからないことがほとんど)していることが明らかにしています。その範囲は次のような問題に及んでいます:COVID2の起源、COVIDワクチン3、ハンター・バイデンの事業取引に関連するメール4、気候変動5、再生可能エネルギー6、化石燃料7など、そしてその他さまざまな問題です。

 私はいくつかの警告を申し上げます。これまで私たちが実証できた範囲を超えて、どれだけの検閲が調整されているのか、私にはわかりませんし、推測もいたしません。法律がFacebookやTwitterなどの民間企業に、自社のサイトにおいて、その内容を管理する権限を与えていることを私は知っていますし、政府が国民と意思疎通する権利を支持します。それには不正確で誤解を招く情報に異議を唱えることも含まれていることも承知しています。

 しかし、政府高官の方々が、ソーシャル・メディアに対して、好ましくない利用者や投稿内容を検閲するように繰り返し働きかけていることが発覚しています。一再ならず、これらの検閲行為はソーシャル・メディアが存在するために必要な法的保護である「通信品位法230条(Section 230)」*を脅かしています。
通信品位法230条*・・・プロバイダ免責を定めたアメリカ合衆国の連邦法律である。インターネット黎明期であった1996年2月8日、オンライン上でのわいせつ画像等の流布を禁じる米国通信品位法の一部として制定されたものの、米国最高裁判所が1997年6月26日にこれを違憲と判断したため、現在の形に大幅改正された。(ウィキペディア)

 「政府高官たちがこのような検閲を指示したり、支援しているのであれば憲法修正第1条に重大な問題を投げかけることになります。政府が直接行うことを禁じられていることを間接的にも行うことはできないというのは自明なことです」8と、ジョージ・ワシントン大学のジョナサン・ターリー教授は言っています。

 さらに、周知のことですが、アメリカ政府は、ニュースメディアやソーシャル・メディアがa) 検閲を拒否、そして/あるいは、b) 誤情報や陰謀論を広めることを拒否する場合、その広告主に対して、広告取り下げを促す圧力をかけることを任務とする複数の組織に資金提供しています。

 スタンフォード・インターネットオブザバトリー、ワシントン大学、アトランティック・カウンシルのデジタル法医学研究所、およびグラフィカ社*、国防総省やCIA、他の諜報機関と、公開が不十分なつながりがあります。これらの組織は、複数のアメリカ政府機関と連携して、多数の他の大学やシンクタンクで検閲に関する研究と提言を制度化する取り組みを行っています。
*ソーシャル・メディア分析を行う米国の企業

これらの組織がどのように機能しているかを理解することは重要です。彼らは公然と意見交換を行って反対派と対話するわけではありません。彼らは第一修正条項の制約に関して全国的な討論を求めているわけでもありません。むしろ、彼らは好ましくない人々のブラックリストを作成し、そのブラックリストに掲載された人々を検閲し、発信力の低減させ、そしてさらにはアカウントの削除をするよう、ソーシャル・メディアに圧力をかける、言いくるめる、そして要求しているのです。

 検閲者たちは誰なのでしょうか?私たちがよく知っている類(たぐい)の人間たちです。彼らは自分たちの能力に過剰な自信を持ち、真実と虚偽、善意と悪意を見極めることができると思っています。このような監視役型の人々は、先生に不満を言うことを本能的に行い、もし先生が応じない場合には上の立場にいる校長へ話を持って行きます。このやり方は中学校や多くの上流大学ではうまくいくかもしれませんが、自由への冒涜や権力の乱用になるため、忌避すべきものです。

 こういう類の組織は、「事実確認」という名目のもとに、自らの影響力を行使しています。検閲複合体の知的指導者たちは、ジャーナリストやソーシャル・メディアの幹部に対して、正確な情報こそが誤情報であり、妥当な仮説こそが陰謀論であり、自主検閲がより正確な報道につながると納得させています。多くの場合、ソーシャル・メディアの投稿に但し書きを付けるなどの検閲は、事実情報を信用できないものとして非難するための影響力操作の一環です。

 検閲産業複合体は、アメリカ軍が世界戦争として進めた「テロとの戦い」の中で開発された心理的操作の確立された手法と、人工知能(AI)を含むコンピュータ科学の非常に高度な用途を組み合わせています。この複合体の指導者たちは、インターネットとソーシャル・メディアが大衆迎合主義、非主流派、および周辺的考えを持つ人物や意見に力を与えることを恐れています。彼らはこういったことを、事態をかく乱させるものと見なしています。連邦政府高官、機関、そして請負業者たちは、ISISの勧誘者やロシアのボットと戦っていたところから、今や普通のアメリカ市民や好ましくない公人を検閲し、ソーシャル・メディアなどのサイトから排除するようになりました。

 重要なことは、軍段階の政府監視および言論対抗技術を導入する基準が、「テロ対策」から「過激派対策」、そして単なる誤情報対策へと移行したことです。政府は、あなたをテロリストまたは過激派呼ばわりすればいいだけで、あなたの政治活動に対抗するために政府資金を使う必要がありません。あなたがソーシャル・メディアで表明した意見は間違っている、とひとこと言えば話はすみます。

 これらの取り組みは、従来型のニュースメディア機関に対しても影響を及ぼし、指導さえ行われています。1971年、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズは、ベトナム戦争に関する機密のペンタゴン文書を公表することを選択しました。ジャーナリストたちは、それらが盗まれたものであっても、内容が公共の利益に関連するものである漏洩文書については、ジャーナリストとして報道する義務があると理解していました。しかし2020年には、アスペン研究所とスタンフォードのサイバー対策センターは、ジャーナリストに対して「ペンタゴン文書の原則を破る」よう促し、「ディスインフォメーション(偽情報)」の拡散を防ぐため、漏洩した情報を報じないよう求めたのです。

 政府から資金提供を受けている検閲者たちは、しばしば現実世界への被害の防止を根拠にして検閲の要求を正当化します。その検閲者たちは最高裁判所よりもはるかに広範な意味で「被害」を定義しています。実際に、彼らは「ワクチン接種のためらい」を防ぐためとして、COVIDワクチンに関する正確な情報をFacebookが検閲することを正当化しています。彼らの目標は明らかに真実を守ることではなく、むしろ一般の人々を説得することです。それが公開討論と自由な意見交換の目的です。暗に行われる説得というのは検閲と同じです。

 さらに、検閲者たちはますます、彼らの目標は政府、産業、そしてニュースメディア機関の「正当性を貶める」情報を制限することだと述べるようになっています。9こういった強制力は手の施しようもなくなり、各機関へと選出された公職者はじめ、法律に至るまでの現状に少しでも批判的な意見を述べれば、いとも簡単に検閲されることになるでしょう。この極端で反動的な態度は、単刀直入に言えば、「非アメリカ的」です。

 議会は即座に検閲者への資金提供を打ち切り、彼らの活動を調査すべきです。第二に、ソーシャル・メディアの幹部、政府職員、および請負業者の間で行われる内容管理に関するすべての会話の即時報告を義務付けるべきです。第三に、議会はソーシャル・メディアが検閲、サイトからの排除、およびプロパガンダの拡散を行うために与えられた広範な権限を制限すべきです。


<原注>
1 Dwight D. Eisenhower, "Farewell Address," (Washington D.C., January 17, 1961), American Presidency Project, University of California Santa Barbara, https://www.presidency.ucsb.edu/documents/farewell-address-0.
2 Cristiano Lima, “Facebook no longer treating, ‘man-made’ Covid as a crackpot idea,” Politico, May 26, 2021, https://www.politico.com/amp/news/2021/05/26/facebook-ban-covidman-made-491053.
3Anonymous Facebook executive, email to Andrew M. Slavett and Rob Flaherty, “[EXTERNAL] Follow up - Friday call w[redacted],” Mar 21, 2021, cited by Michael Shellenberger, Leighton Woodhouse, “Under White House Pressure, Facebook Censored Accurate Covid Vaccine Information,” Public, Jan 12, 2023, https://public.substack.com/p/under-white-house-pressure-facebook.
4 Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “1. TWITTER FILES: PART 7,” Twitter thread, Dec. 19, 2022, 11:09 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604871630613753856.
5 Editorial Board, “Facebook admits the truth: ‘Fact checks’ are really just (lefty) opinion, New York Post, Dec. 14, 2021, https://nypost.com/2021/12/14/facebook-admits-thetruth-fact-checks-are-really-just-lefty-opinion/ Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 54
6 Michael Shellenberger, “ Why The Biden Admin Wants Censorship Of Renewable Energy Critics,” Public, June 14, 2022, https://public.substack.com/p/why-the-biden-adminwants-censorship
7 Michael Shellenberger, “Disinformation Behind Censorship Demands,” Public, Sep. 26, 2022, https://public.substack.com/p/disinformation-behind-censorship
8 Ken Klippenstein and Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs/
9 See for example NSF-funded “Course Correct” described below.

高齢者の大統領を望むアメリカ人はたった3%-世論調査

<記事原文 寺島先生推薦>
Only 3% of Americans want elderly president – poll
Around half of those surveyed said the head of state should be in their 50s
調査したおよそ半数の人が、国家元首は50代であるべきだと述べている。
出典:RT 2023年7月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月24日



ホワイトハウス南庭でゲストに向かって演説するジョー・バイデン大統領© AFP / Tasos Katopodis


 圧倒的多数のアメリカ人が、アメリカは高齢の大統領によって運営されるべきではないと考えていることが明らかになった。(ピュー・リサーチ・センターの世論調査)

 木曜日(7月6日)に発表された調査によると、回答者のうちわずか3%が、70歳以上の候補者をオーバルオフィス(大統領執務室)に望んでいる。

 現在のアメリカ合衆国大統領であるジョー・バイデンは80歳であり、これはアメリカ史上最年長の指導者となる。来年の大統領選挙における彼の主な対抗馬は、6月に77歳になったドナルド・トランプ。

 この世論調査の執筆者たちは、国家元首の「理想的な年齢」を尋ねる際、特にバイデンとかトランプの名前を挙げていないと言っている。

 しかしながら、この世論調査によると、アメリカ人は若い大統領に対しても信頼を寄せることが少ないようだ。米国憲法は、大統領になるための最低年齢を35歳と定めており、調査対象者のうちわずか3%しか30代の国家元首を望んでいないと回答している。



 関連記事:バイデンはマスクを着用したまま眠るーホワイト・ハウス

 回答者のほぼ半数(49%)が大統領には50代の人物が適していると考えている。さらに24%の人々が国家元首には60代の人物を望んでおり、17%が40代の人物を選択した。今回のピュー・リサーチ・センター世論調査の結果だ。

 民主党と共和党の間で理想的な大統領の年齢についての見解は類似していた、とピュー・リサーチは指摘している。

 この調査は、2023年6月5日から6月11日にかけて、5115人の成人を対象に行われた。調査対象者は全てピュー・リサーチ・センターのアメリカ・トレンドパネル(ATP)の会員であり、居住地の住所を無作為に抽出して募集されたものだ。

 CNN/SSRSによる先月の世論調査によれば、アメリカ人の36%がバイデンとトランプが2024年の選挙に出馬することに反対している。CNNは、この2人の間の競争は、「歴史的な数のアメリカ人が望んでいない」ものだと述べている。

米国は破綻国家になったのか?

<記事原文 寺島先生推薦> America: A Failed State?
出典:グローバル・リサーチ  2023年7月4日
筆者: チャイタニヤ・ダーベイ(Chaitanya Davé)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月22日





 専門家らによる破綻国家の定義は以下のとおり。「破綻国家とは、適切に機能を果たせないほど、主権国家の政府が基本的な状況や責任を果たせなくなった状態にある国のことである」。他に破綻国家がもつ特徴としては、中央政権の力が弱い、あるいは無効なため、税金を徴収し、国民に対する他の支援を行うことが不可能となり、領内のほとんどの地域において実質的な支配をおこなうことがほとんどできず(この点においては、アメリカ合衆国では当てはまらない)、したがって公的事業が供給できなくなる状況などがある。

 ロバート・ロングリー(Robert Longley)によると:

 「破綻国家とは、主権国家とし果たすべき基本的な機能や責任を果たせない政権のことである。具体的には国防、警察、法廷、教育や経済の安定化などだ。破綻国家が共通してもつ特徴としては、暴力、汚職、貧困、識字率の低さ、基盤施設の崩壊などの進行が挙げられる。さらに、或る国家が適切に機能しているにしても、国民からの信用や信頼度を失えば、破綻国家に陥る可能性がある。

 これらの破綻国家の例としては、シリア、ソマリア、ミャンマー、チャド、イラク、イエメン、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、ユーゴスラビア、レバノン、アフガニスタン、スーダンが挙げられる。しかし、これらの国々は皆貧しい国々だ。これらの国々の多くが上記の特徴を示していることは理解できる。だが、これらの特徴が、世界で最も裕福な国でも見られているということが想像できるだろうか?

 米国の例を考えていただきたい。防衛面(実際は、大量破壊兵器といっていいものだが)、を除けば、ほとんど全ての特徴が米国についても当てはまる。米国は、「破綻国家」の評価基準において9割以上、当てはまる。以下の統計がこの主張を支持している。

殺人:1990年から2019年の間に、53万1349件の殺人事件が米国で生じた。この数字は、「発展」国においては最も高い国のひとつだ。

強姦:2019年には、米国で40万6970人が、強姦事件や性的嫌がらせの被害者となった。ドイツの「スターティスタ研究部」によると、米国では2015年以来、年間で平均9万1千件以上の強姦事件が、発生しているという。10万人あたりの強姦発生数は米国が世界で第14位だ。ただし、2021年の「世界人口調査」の報告書によると、発展諸国の間では、米国は、スウェーデン、オーストラリア、ベルギーに次ぐ第4位だ。

麻薬危機:1990年代、製薬諸会社が医療界に再確認した内容は、患者たちが麻薬を使った鎮痛剤を処方しても依存症にはならない、というものだった。そのため、医療薬品供給業者は、一般の人々にそのような鎮痛剤をどんどん処方し始めた。すぐに麻薬様薬品の過剰投与が増加した。NIH(米国立衛生研究所)によると、2019年、米国の5万人近い人々が、麻薬様薬物の過剰摂取で亡くなったという。1999年以来、84万1千人近い人々が、薬物の過剰摂取により亡くなっている。端的に言えば、我が国の政府が何も手を出さない間に、何万人もの米国民が、麻薬様薬物が原因で亡くなっているということだ。その麻薬様薬物を、ジョンソン&ジョンソン社やパーデュー・ファーマ社など数社の製薬会社が積極的に売り込んでいた。人々が亡くなっている間に、これらの製薬会社の重役が、何百万ドルも貯め込んでいたのだ。

囚人の数:「世界人口調査」によると、米国の投獄率は世界最大であるという。世界の囚人人口の約25%が、「自由社会の旗手」たる米国にいる。2019年時点で、米国には約219万人の囚人がおり、10万人あたり437の囚人がいる計算になる。囚人一人につき、6万9355ドルの国費がかかっている。黒人の囚人数は白人の5.8倍で、この体系に人種差別的要素があることが見て取れる。

死刑囚の数: 1976年から2020年の間に1529人が死刑を受けた。2021年上旬で、連邦政府は3人の死刑を執行した。

えん罪が証明され、死刑や服役から解放された人の数:非営利団体の「イナセンス・プロジェクト」によると、DNA鑑定の結果、米国の18人の服役囚の無実が証明され、服役を解かれた、という。これらの人々はそれまで何年も死刑を待っていた状態だった。これらの人々は11の州で有罪宣告を受け、併せて229年間の服役を受けていた。その中には、併せて202年間、死刑を待っていた人々もいる。自分たちが犯していない罪のせいで、だ。そのうちグアンタナモ・ベイ刑務所で、尋問もされないまま17年以上収監されていた囚人もいる。このような状況が米国の司法が置かれた状況だ。我が国の犯罪を裁く体制がどれだけ不公平でうまくいっていないかがよくわかる。

政治犯:政治犯もたくさんいる。多すぎて、ここで挙げることができないくらいだ。これらの政治犯が米国内の刑務所で、政治活動家として収監されている。多くの場合において、人種により容疑がでっち上げられる、疑わしい判決結果が出されている、などの事象が起こっている。もっとも有名な事例が、ジュリアン・アサンジさんの件だ。アサンジさんは、「国家機密」を明らかにしたとして、起訴された。つまり、アサンジさんの事例が示したのは、米国政府は米国政府や米軍の汚い秘密を明らかにしたものは誰でも、この先に別の内部告発者が現れない見せしめのため、米国の刑務所に長期間放り込まれる、ということだ。アサンジさんは、英国の刑務所から米国に搬送されれば、禁錮75年の刑に処されることになっている。もうひとつの例は、エドワード・スノーデンさんだ。スノーデンさんは、米国の汚いヒミツを暴露したために、ロシアへの逃亡を余儀なくされた。他にも、レナード・ペルティエ、ムミア・アブ=ジャマール、リカルド・パルメラなどのさらに多くの政治犯とされた囚人がいる。これらの人々は十分な証拠がない、あっても疑問の多い証拠しかないままで起訴され、何年間も米国の牢獄で時間を過ごさせられている。これが、「自由な世界の旗手たる国家が自国内で見せる姿」だ。

貧困者の数:米国国勢調査局の「2019年人口統計報告」によると、3400万人米国民が貧困状態にあると考えられるという。これは、現在の人口の10.5%だ。これが、世界で最も裕福な国の現状だ。米国の子どもたちの貧困率は14.4%だ。黒人に関しては、18.8%であり、 母子家庭では24.3%だ。2021年の「世界人口研究報告」によると、世界で2番目に人口の多いインドの貧困率は、21.9%で世界第22番。そして世界で最も裕福な国である米国は17.8%だという。これはいわゆる発展諸国においては、(貧困率が18.6%の)英国に続くものだ。

健康保険に入っていない人の数:statistica.comによると、ほとんどの欧州諸国では、国民皆保険が行き届いているが、2021年の時点で、健康保険に入っていない人の割合が、人口の9.6% 、数でいうと2600万~3000万人が、健康保険に入っておらず、400万人の子どもたちが、健康保険がない状態だ、という。

米国による不必要で壊滅的な戦争:TheNews.comによると、1776年以降の243年間のうち225年間、米国は戦争をしてきた。「世界未来基金」によると、第2次世界大戦以来、米国は19回戦争を行ってきたという。具体的には、第2次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク・アフガニスタン戦争などがその例だ。いくつかの報道によると、イラク戦争だけでも、100万人以上の人々の命が奪われ、5兆ドル(700兆円)以上が費やされたという。これらの戦争で亡くなった人々の総計は、1200万人以上に上る。これらの不道徳で不必要な戦争により、何兆ドルもの金が浪費された。最新の戦争であるアフガニスタンでの戦争は、20年以上続けられたのちに、ついに米国が撤退したところだが、4万7千人ほどの人が亡くなり、米国は2兆ドルを費やした。これらの戦争は必要なものだったのだろうか?「はい」と答えるのは、最も無知な人々だけだろう。

化学兵器の使用:米国は、枯葉剤を2100万ガロン(約7700万リットル)散布した。これは最も恐ろしい毒をもつ除草剤だが、これがベトナム戦争時にベトナムで撒かれたのだ。50万人以上の市民が死ぬまで苦しむ障害を負った。今でもその影響で、奇形児や脚のない子どもが生まれている

米軍基地:ポリティコ誌によると、米国は未だに外国の70を超える国や地域において800カ所の軍事基地を有しており、いっぽう英・仏・露は、3ヶ国併せて30カ所の外国の基地を持っている、という。2014年、外国に基地や部隊を維持するのに、年間850億~1000億ドルの費用がかかった。この費用は、いまはもっと多くなっている。なぜ外国に軍事基地をもつのだろうか? 米国内で十分な食べ物を手にできない人々や、貧困状態にある人々が何百万人もいるなかで、なんというとてつもない無駄遣いが行われているのだろう。

他国への不当な介入:2017年までに起こった外国への介入事例が188件あったのだが、「自由世界」の旗手たる米国が、うち1946年から2000年の間に117件の「占拠に対する偏った介入」に加担している。これは、第2次世界大戦以来、9回の選挙で1度は起こっている計算になる。 第2次世界大戦以来、多くの場合、米国は世界中で50件以上の民主主義運動を妨害し破壊するいっぽう、従順な独裁者を支持してきた。米国には様々な国において、投票結果をねじ曲げ、軍事クーデターを支持し、資金を流し、政治上の扇動宣伝を広めてきた歴史がある。面白いことに、これらの恐ろしい戦争や他国での大量殺戮の後で、主要な報道機関が、このような間違いについて論じることはまったくない。すべては通常業務に戻る。すべてのことが都合良く忘れられていく。

不完全な憲法:米国民の多数は子どものころから、米国憲法の尊さや偉大さを盲目的に信じるようにされているが、この憲法には大きな不備があり、民主的なものであるとはいえない。さらに、この憲法では法律上贈賄を認めている。具体的には、大統領候補、上院議員候補、下院議員候補、(各州の選挙候補者も含まれる)に政治上の寄付を行うことを許しているのだ。選挙期間中、このような寄付が、富裕層により何十億ドルも行われているのだ。私たちが選挙で選んだ役員らが、お金をくれた人々の言うことを聞き、主にこれらの寄付者にとって都合のいいような法律を制定したとしても何の不思議もない。 さらに、我が国の不完全な憲法においては、選挙で選ばれていない最高裁判所判事らが、罷免されることなく、死ぬまで任命されている。なんとも恥ずかしいことだ。

壊れた政体:米国の政治体制は崩壊している。二つの政党があるとはいえ、両党とも企業の利益を追い求める政党であり、米国の私企業の重役たちに忠誠を誓っていて、米国民には忠誠を誓っていない。そのため制定される法律のほとんどは、企業の重役、超富裕層、財閥を喜ばせるものだ。

教育を受けていない人々の数: 無教育者の数: 米国教育省によると、16 ~ 74 歳の米国成人の 54%、約1億3千万人が読み書き能力に欠けており、読解力は 小学校6年生段階にまで達していない。バーバラ・ブッシュ家族識字財団によると、この成人の識字率の低さにより、国は年間2兆2千億ドル(308兆円)の損失を被っている可能性がある。国立教育統計センター (NCES) によると、2020年4月29日の時点で、米国の成人の21% (約4300万人) が非識字/機能的非識字*層に分類される。
*文字は読めるが文章の意味を取る能力がないこと

警察によって殺害された黒人の数:Statista.comによると、米国での警察による射殺事件は増加傾向にあるようで、合計371人の民間人が射殺され、そのうち71人が黒人だった。2020年と2021年には警察による射殺事件が1021件発生し、2019年には999件の射殺事件が発生した。黒人の射殺率は他のどの人種よりもはるかに高く、警察の残虐行為が人種差別的なものであることを示している。これらすべての数字は、アメリカの警察が躊躇なく引き金を引くような愚者であるだけでなく、人種差別主義者でもあることを明確に示している。21世紀になった今でも、米国は依然として非常に人種差別的な国なのだ。

銃による暴力:teamenough.org/gun-violence-statistics によると、毎年、アメリカでは 11万5551人が殺人、暴行、自殺または自殺未遂、不慮の銃撃、または警察の介入によって銃撃されているという。米国では毎日106人以上が銃による暴力で亡くなっている。そのうち殺人が39人、自殺が64人、意図のない事故による死亡が1人、意図があったかどうかが不明な死亡が1人死亡である。平均して年間、銃による暴力で3万8826人が死亡、 一命は取り留めたが負傷した人が7万6725人いる。毎年、7957 人の子どもと青少年が銃撃され、1663人の子どもと青少年が銃による暴力で死亡し、864人が負傷している。ABC ニュースが最近報じたように、2023年7月2日の時点で、米国では338件の銃乱射事件が発生した。これまでに銃による暴力で2万1千人が死亡し、1日あたり115人が死亡している。

これは驚くべき数字だ。このようなことは、非常に荒々しい国でのみ起こり得ることだ。それが今の米国なのだ。これほどひどい記録を持つ国は他にはない。このような恐ろしい数字にもかかわらず、銃規制は十分に強化されていない。銃関連の圧力団体である全米ライフル協会などが無駄に利益を得ているということだ。そんな圧力団体の影響力が蔓延(はびこ)れるのは、政治献金という名の合法的贈収賄が我が国の政治家たちに渡されているからだ。

ABCニュースが報じたように、これまでに銃暴力により1万3900人以上が死亡した。しかしこの先、今まで以上に厳しい銃規制が行われるのだろうか? そうは思えない。theguardian.com によると、5月7日の時点で、国内で202件の銃乱射事件が発生している。米国は今や映画「ワイルド・ワイルド・ウェスト」のような国になってしまった。

億万長者の数:フォーブス誌によると、米国の億万長者は世界で最も多く、2021年時点で724人だ。中国では626人、インドは140人、ドイツは136人だ。米国の億万長者の純資産は4兆4千億ドル(616兆円)という驚異的な数字だ。Americansfortaxfairness.org によると、米国の億万長者の総資産は、コロナウイルスの大流行期の最初の約7か月間で 1 兆3億ドル(182兆円)増加した。これは、資産が44%急増したことになる。この資金があれば、米国民3億3千万人全員に3900ドル(55万円)の経済刺激小切手を送ってまだお釣りがくる。

大手報道機関6社が、すべてのニュースを支配:techstartups.comの記事によると、こんにち6社の巨大報道機関が、私たちが読み、目にし、聞く報道のなんと9割をも管理している。もちろん、選択の余地や客観性があるという幻想に包まれた中でのことだが。米国民に統制済みの「ニュース」を常時与えることにより、これらの巨大6社報道機関は、ノーム・チョムスキーのことばを借りれば、「常識」をねつ造しているのだ。米国民の大多数は、米国は世界に対して多くの善を為しており、世界に民主主義や自由をもたらし、世界平和を維持している、と思うよう仕向けられている。さらに、米国の経済体系が最も優れていて、唯一うまくいく方法だ、とも思わされている。しかしこれらすべての言説は真実からほど遠いといえる。社会主義や社会民主主義などの他の経済体系は決して議論になることがない。

これらの巨大報道機関といえば、①G.E.(ジェネラル・エレクトリック)社。コムキャスト、NBC、ユニバーサル・ピクチャズ、 フォーカス・フィーチャーズを所有。②ニュース・コープ社。フォックス・ニュース、ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・ポストを所有。③ディズニー社。ABC、ESPN、ピクサー、ミラマックス、マーベル・スタジオを傘下に置く。④バイアコム社。MTV、NICKジュニア、BET、CMT、パラマウント・ピクチャーズを所有。⑤タイム・ワーナー社。CNN、HBO、タイム誌、ワーナー・ブラザースを所有。⑥CBS。ショータイム、スミソニアンチャンネル、NFL.COM、ジェオパディ、60ミニツを傘下に置く、だ。2010年のこれら6社の総収入は、2759億ドル(39兆円)に上る。これらの巨大報道機関は、米国民が所有すべき米国の電波を思うがままに支配している。これらの巨大報道機関はすべて、すべての米国民が目にし、耳にし、読み、聞くことを統制しようと目論んでいるのだ。 これらの巨大報道機関の232名ほどの重役が、3億2500万~3億3千万人の米国民の情報整理を統制しているということだ。1983年、米国報道機関の9割は、50社が所有していた。しかし2011年の時点で、報道機関の9割を所有しているのはたった6社になってしまった。 この6社の巨大報道機関が権力を手にした、ということだ。

米国を支配しているのは誰だろう? 米国を真に支配しているのは誰か、お考えになられたことはおありか? その答えは、財閥、巨大報道機関、巨大企業の代表取締役たち、ウォール街の銀行家たちだ。これらの人々が一緒になって、腐敗した政治家たちに対して強大な権力を振るっている。政治家たちは、賄賂をもらい、これらの超富裕層にとって都合のいい法律を四六時中作っているのだ。この国は、一票を1ドルで支払う「民主主義社会」になってしまった。一人一人が平等に一票をもつ、という民主主義社会ではない。億万長者のウォーレン・バフェットがいみじくも述べたとおり、「我が階級(超富裕層)は、99%の市民たちに対する戦争を仕掛けていて、しかも勝利を収めつつある」のだ。


 ここまで書いてきたことを振り返れば、物事を偏見なく見つめられる人々の目に明らかになることは、米国は巨大な課題を有していて、米国が仕掛ける馬鹿げた戦争によって、他国に対して大きな問題を作り出している、という事実だ。米国が犯した最新の罪は、ロシアとウクライナの間で起こさせた「代理戦争」だ。誰にとっても心配の種になるべきことは、こんな恐ろしい状況がいつまで続くか、ということだ。世界規模の戦争のせいで生じている多額の金の無駄遣いに、米国経済がいつまで持ちこたえられるか、ということだ。自分の息子や娘たちが、こんな不必要な戦争に引きずり出されて、人を殺したり、自分が殺されたりする状況に対して、いつまで米国の親が耐えうるか、だ。我々米国民が、私たちが「選んだ」政治家たちが決めたこのような劣悪な状況に耐えうるか、だ。これらの政治家たちは、この国を大惨事や破産にどんどん近づけているのだから。偏見にとらわれず、米国は米国民を守れないという 事実に気づいている人ならだれでも、そう思えるはずだ。米国は破綻国家になってしまった。米帝国は急速に衰退している。破綻は、時間の問題だ。

 米国が国政や外交政策を劇的に変えない限り、米帝国がどんどん弱体化し衰退することは避けられないだろう。そうして、ローマ帝国や大英帝国がたどった運命と同じ歴史をたどるだろう。

*
チャイタニヤ・デイブ(Chaitanya Davé)は化学者、化学技術者、事業家。3 冊の本を執筆している。『人類に対する犯罪:1776年から2007年までの米国犯罪の衝撃的な記録』、『崩壊: 瀬戸際の文明-2010』、『資本主義の破壊の行進: 人間と自然に優しい経済で置き換える』など、政治、歴史、環境に関する多くの記事の著者。インド、ネパール、ハイチ、アメリカ、野宿生活者、その他の貧しい国の貧しい村民を支援する非営利慈善財団の創設者/理事長。連絡先はcahumanity@gmail.com

CIAはウクライナ危機を絶好の「チャンス」と見ている

<記事原文 寺島先生推薦>
CIA sees Ukraine crisis as unique ‘opportunity’
The US spy chief has touted his agency’s efforts to undermine the Russian leadership
CIA長官は、自身の機関CIAがロシアの指導部を弱体化させる取り組みをしていることを激賞。
出典:RT 2023年7月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月20日



アメリカ中央情報局(CIA)長官ウィリアム・J・バーンズによる第59回ディッチリー年次講演の写真(©YouTube / ディッチリー財団)


 CIA長官ウィリアム・J・バーンズは、ロシア・ウクライナ紛争によるとされるモスクワ内部の不和が高まっていることを公然と歓迎し、CIAにはスパイを募集し、ウラジミール・プーチン大統領政府を弱体化させる歴史的な機会が与えられていると述べた。

 バーンズは、土曜日(7月1日)、英国のディッチリー財団の講演で「今回の戦争に対する不満は、定番の国家プロパガンダと手慣れた抑圧を続けるロシア指導部を悩まし続けるでしょう」と主張した。

 「その不満は、CIAにとっては一世代に一度のチャンスを生み出します。私たちはそれを無駄にはしません」と彼は付言した。

 バーンズは、CIAが5月にテレグラムチャンネルを開設し、ロシアの指導部や経済に関する情報を提供できる軍人、政府関係者、科学者を募集していることを告げた。「最初の1週間で250万回の閲覧があり、大盛況です」と彼は述べた。




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 モスクワが、そのとき言ったのは、CIAは単に「アメリカの納税者のドルを無駄使いしている」だけ、ということ。海外からロシア社会を分断しようとしても、うまくゆかないからだ、とはアナトリー・アントノフ大使。

 ワシントンは、ウクライナ危機が十分な内部分裂を引き起こし、潜在的なロシアの情報源をウラジミール・プーチン大統領に反対する流れにさせる一助にするだろうと断言している。バーンズの演説は、私的軍事請負業者のエフゲニー・プリゴジンがロシア最高位将軍たちに対する短期間の反乱を終わらせた1週間後のことだった。CNNによると、頓挫した反乱は米国高官たちが期待していた「血なまぐさ」とはほど遠いものだった。

 バーンズは、ワシントンが反乱に関与していることはないと主張し、プリゴジンの短命の反乱は「プーチンのロシア社会と自政権に向けた戦争が持つ腐食効果を鮮明に示すものだ」と自説を述べた。



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 プーチンは先週、ロシアの人々が危機に対して団結を示し、国家が「分断され、血なまぐさい抗争に溺れる」という外なる敵たちの期待を挫いたと述べた。

 独立系の世論調査機関であるレヴァダ・センターによれば、頓挫した反乱後、ロシア人の中でプーチンの支持率はほとんど変わらず81%だった。レヴァダ・センターは2016年以来、ロシアで外国調査機関として登録されている。

バイデン政権が仮想的な地球工学研究プログラムの概要を示す

<記事原文 寺島先生推薦>
Biden admin outlines hypothetical geoengineering research program
The report, supposedly commissioned by Congress last year, was released the same day as similar comments from the EC
報告書は、おそらく昨年議会から依頼されたもので、欧州委員会が同種の報告書と同じ日に公表された。
出典:RT  2023年7月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月18日



資料写真 © Getty Images / ivanoel28


 米国科学技術政策庁は、金曜日(6月30日)に公表された報告書で、米国における地球工学計画の概要を示した。研究者たちは、自分たちの仕事がそのような技術の是認を意味するものではなく、予算法案の一環として「太陽エネルギーとその他の急速な気候介入」の研究のために昨年議会から依頼されたものであることを強調した。

 この報告書は、「太陽放射線の修正」(太陽光線の一部を宇宙に反射させる割合を増やすことによって地球の気候を制御することを目指す)の危険性、良い面、そしてその実現可能性を研究する最善の方法を視野に収めている。成層圏エアロゾル散布(大気中に反射粒子を放出する)および海洋雲の明るさを増やす(より白い雲を作る)という、二つの方法が検討されている。

 コンピューター演算によると、両方の方法は「数年以内に」地球を冷却する可能性があるが、研究者たちは「気候システムにおける潜在的な予期せぬ結果」と呼ばれるものをその演算でも確認している。他の科学者は、地球工学による一部地域の大気の冷却が他の地域で加熱を引き起こし、地球工学が停止されると元の地域で反発的な加熱効果が生じると指摘している。



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 報告書は、地球の大気に干渉する危険性が、地上での取り組みによる気候変動の緩和努力(温室効果ガスの排出制限など)を制限する危険性と同等またはそれ以上である可能性を認識しながらも、地球工学技術を試行する「公的および私的な他の実験者」がいつ、どこでこの実験を行っているかを見つけ出すことの重要性を強調した。それらの実験者は、より危険度の高い許容度で、もっと不吉なことには、この問題の理解が不十分なまま地球工学の実験を行っていた。

 「透明性と国際協力を特徴とする研究計画は、この問題に関する広範な信頼基盤の構築に貢献するだろう」と報告書は述べている。おそらく、この分野での民間部門の実験に蓄積された信頼の欠如のことを言っている。少なくとも1つの国(メキシコ)が地球工学を既に完全に禁止している。

 どんな研究も、地球工学技術の社会的側面に関する研究も含まれていなければならない。例えば、地政学的影響の可能性、人間の健康への危険性、そしてそれを実施すると、実施しない場合と比較して、気候変動によってどんな影響を人口に与えるか、などだ。

 地球を救うための太陽減光演算実験の詳細の44ページにわたる考察にもかかわらず、報告書に添えられた声明でバイデン政権は「太陽放射線の修正に焦点を当てた包括的な研究計画を設立するための計画は進行中ではない」と、読者に安心感を与えた。

 欧州委員会は、金曜日(6月30日)に気候変動の国家安全保障への影響に関する独自の報告書を公表した。欧州委員会としては、太陽放射線の修正に関与することには興味がないが、他者がそれを実験するに強い懸念を表明している。EUの気候政策担当者は、EU全体の完全な協力がないまま大規模な地球工学計画を試みることには反対との警告を発した。

全体主義への道筋:米国は権威主義国家から全体主義国家へと移行しつつある

<記事原文 寺島先生推薦>
The Stages of Totalitarianism: America Is Moving from Authoritarian to Totalitarian
筆者:マーク・マクドナルド博士(Dr. Mark McDonald)
出典:グローバルリサーチ   2022年10月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月18日





 ボスニアにいた時の方がずっと自由を感じられた。今年の夏のことだ。今いる米国よりも。訪れるどの都市にも、移動や言論やどんな医療を受けるかの決定について自由があった。犯罪を犯すことに対しては、推奨されるというよりは、顰蹙を買う雰囲気があった。

 私が話しかけた人々は、地元の重要な問題に関する情報をよく知らされていたようだった。対照的に、私の居住地であり勤務地でもあるロサンゼルス市は、権威主義的なところだ。カリフォルニア州もそう。米国中がそうだ。ただし、米国はまもなく、権威主義的国家から全体主義的国家へと変貌を遂げる可能性がある。どうしてこんな風になってしまったのだろうか?


 どんな政権でも、一夜にして全体主義になることはない。まずは権威主義という道筋を経てからだ。自由が少しづつ制限されていくのだ。権力者らの事情が優先される中で、臣民らのことが顧みられることがなくなっていく。

 その過程の中で、まず抑圧される最も重要な権利は、制限や検閲を受けることなく我々の意思を表現する自由だろう。

 表現の自由が奪われてから久しい。そんな状況を許したのは、ことばを司る権利を権威主義者たちに渡してしまったからだ。「盗み」は「公正」に、「復讐」は「社会的正義」に、「人種差別」は「反人種差別」に、「均質性・差別・除外」は「多様性・同一性・包摂」に置き換えることに同意させられている。最も基本的なことばである「男性」ということばさえ、今は「成年男子や少年たち」という定義から、「自己が認識する性別が女性ではない人たち」という定義に変えられてしまった。メリアン・ウェブスター社が出している辞書がこの定義を載せたのが2020年だった。ことばを支配するものが、社会を支配する。もはや米国民は自分たちのことばを支配していない。支配しているのは、権威主義者たちであり、これらの権威主義者たちだけが、どの語がどんな意味をもつのか、だれがそれらの語を使えるのかを決めることができる。

 ことばを支配する力を手に入れただけではなく、権威主義者たちは、検閲を行う力さえ手に入れている。私がこのことを認識したのは2020年7月のことで、私が米国の「最前線に立つ医師たち」という組織のために、最高裁で発言をした際だった。この組織は、心配する親たちの不安を和らげるために米国の諸学校が休校措置を取ることで子どもたちを犠牲にする政策に異議を唱えていた。

 1200万人以上の米国民が、8時間以上に及んだこの話し合いを目にしたり、耳にしたりした。これはネット上の記録的な数字だ。しかしその後、この会議の模様はすべて、ツィッターやフェイスブック、グーグル上から消されてしまった。テック産業界にいる権威主義者たちの小さな一団が決めたことは、医師たちからなるこの組織には、この組織の人々が持つ観点を共有させる権利を、米国民には、この医師たちの話を聞く権利を持たせないことだった。検閲は自由を破壊するものだ。というのも、検閲を行えば、真実が外に漏れることはなくなり、思想界を妨害し、より多数の人々のことを代弁する気はない小集団の権力を強固にすることができるからだ。

 私たちは数年前と比べてさえも、ずっと自由ではなくなった。私たちが手放した権利は、自由に話をする権利、自分の身を自分で守る権利、移動の権利、そして政府を批判する権利だ。もはや私たちは本当の人種差別と戦えなくなり、犯罪者に襲われた時も反撃できなくなり、住んでいる地域の当局から命じられれば、家を出ることもできなくなってしまった。神から与えられ、憲法に規定された私たちの権利の行使を主張すれば、雇用を反故にされ、罰金が課され、逮捕され、投獄されるようになってしまった。米国史上初めて、政治犯がワシントンDCの地下牢に留め置かれる事態が生じた。その罪状は、政府に疑問の声を上げたからだった。 数百人が重罪を犯したとして人種差別を取り締まる役人たちから起訴され、何度も拷問や暴行を受け、保釈を求めようとすることも否定された。これらの人たちは、2021年1月6日に2020年の大統領選の結果に異を唱えるための非暴力の抗議活動に参加した人たちだ。その多くは未だに拘束されていて、裁判を待っている。自殺したものもいる。それでもまだ状況が悪化する可能性があるし、実際そうなっている。

 いまや公的機関や私企業のどの段階においても、事実確認組織が導入されており、現在の支配政権が唱える通説を脅かす「偽情報」は、阻害され、消し去られている。


 産業革命以降、社会に大きく善を成してきた科学技術が、いまや武器と化してしまい、米国民の言論、行動、購買、移動を追跡する道具に成り下がっている。個人の位置情報、生体認証、オンライン上の盗視(閲覧サイト、電子メール、文書のやり取り)により、これまでにない規模で情報が保存され、個人情報を保護することは完全に不可能になっている。科学技術が資源の強制的な再配分にしっかりと利用され、自宅の温度調節は政府が運営する電力会社により決められ、我々の電気自動車の充電器による充電が、その時に我々が社会にどれだけ「グリーン」面で貢献しているかの得点により止められるような世界が来る日も近いだろう。社会のグリーン化に対する貢献度により充電をさせないという状況は、既に2021年にテキサス州で起こった。我々の貨幣が、連邦政府が中央で管理する完全なデジタル化に移行する中で、 我々が何を買い、我々が自分の金を使えるかどうかは、ワシントンの政府当局の手に渡ることになってしまう。こんな命令に従おうとしなければ、食料を買うことが禁じられるだろう。すでにこのような政策は、カナダ、オーストラリア、中国などの外国では既に導入済みだ。

 いま我が国は、権威主義国家から全体主義国家へ移行しつつある。権威主義者たちが我々に命じるのは、してはいけないことだ。いっぽう全体主義者たちが命じるのは、絶対にしなければならないことだ。マスクを着けろ、家にいろ、検査を受けろ、治験の済んでいない危険な薬を自分(及び自分の子どもたち)の体内に注入せよ、犯罪者が家に押し入ってきたら、逃げろ、などだ。

 自分の子どもたちを小児性愛者に差し出せ。自分の子どもたちが自分の性別に違和感を感じれば、去勢させろ。自分の収入や財産、身体を差し出さなければ、社会から追放されるし、拒めば永遠に刑務所の独房行きだ。

 米国社会は、急速にこのような社会に変貌しつつある。「非常事態」が終わることなく続けられる中で、多くの米国民はこのような変化に気づくことが難しくなっており、何が役に立つことで、何が破壊を招くのかの判断ができなくなっている。このような状況を打破するために私は以下のことを問いかけることを提案する。それは、「この変化のせいで、我々はより従属的な立場に置かれるのか、それとも自立の方向に向かうのか」という問いだ。もし前者のように感じたのであれば、そのような変化は確実に、全体主義に向かう過程に繋がるものだ。全体主義は自由を嫌悪し、完全な管理を熱望し、追従を求める。 そのことに気づき、その動きを推し戻そうとしなければ、我が国は権威主義的政権から全体主的政権に移行し、我々が知っている米国は消滅するだろう。そしておそらく永遠に。

借金帝国アメリカは、崩壊の道を辿っている

<記事原文 寺島先生推薦>
US Empire of Debt Headed for Collapse
筆者:ペペ・エスコバール (Pepe Escobar)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月7日





 マイケル・ハドソン教授の新刊『古代文明の崩壊:ギリシャ・ローマ文明のオリガルヒ的転換点』は、グラムシを引用するならば、古い地政学的および地経済的秩序が息絶え、新しい秩序が目まぐるしい速度で生まれている、「The Year of Living Dangerously」*という映画のような影響力の大きい出来事だ。
*1982年にピーター・ウィアーが監督し、ウィアーとデイビッド・ウィリアムソンが共同執筆したロマンティックドラマ映画。この映画は、クリストファー・コックの1978年の小説「The Year of Living Dangerously」を映画化したもの。物語は、1965年のインドネシアでのスカルノ大統領の転覆の間に展開される恋愛を描いている。1965年9月30日運動によるクーデターの前夜、ジャカルタの外国特派員たちのグループを追う。

 ハドソン教授の主要な論題はまさに破天荒だ:彼が証明に乗り出したのは、古代ギリシャとローマの経済・金融慣行(西洋文明の礎となるもの)が、今日私たちの目の前で起こっていることの土台となっている点だ。すなわち、帝国というのは金利生活経済に落ち込み、内部から崩壊する。

 そして、これがすべての西洋金融システムに共通する特徴につながる:それが債務の本質であり、それは必然的に複利で膨らんでゆく。

 そう、次のことをどう考える?:ギリシャとローマ以前、西アジア全域にわたって、まったく逆の方法をとる文明が約3,000年存在していた。

 これらの王国は、債務の帳消しの重要性を知っていた。そうしなければ、臣民たちは奴隷に落ちることになり、土地を差し押さえる債権者の集団に奪われ、そうなると、通常、彼らは支配権を転覆させようとする。

 アリストテレスは要点を次のように簡潔にまとめた:

「民主政下では、債権者が貸し付けを開始し、債務者が返済できず、債権者はますますお金を手に入れ、結果として民主政を寡頭(オリガルヒ)政治に変え、そして寡頭政治は世襲制を確立し、貴族政治が成立する」。

 ハドソン教授は、債権者が支配権を握り、「経済の残りの部分を奴隷状態にする」と、何が起こるかの鋭い説明をしている:これは今日では「緊縮財政」または「債務デフレーション」と呼ばれているものだ。

 そこで「現在の銀行危機で起こっているのは、債務が経済の返済能力を上回る速度で膨らんでいることだ。そして、連邦準備制度が最終的に利上げを開始したことによって、銀行危機が起きた」。

 ハドソン教授はさらに拡大した定式化も打ち出している:

「金融と土地所有の寡頭支配の出現により、債務による奴隷化と束縛が恒久化された。それは債権者に有利な法的・社会的哲学に支えられている。これは西洋文明以前にはなかったものだ。今日ではそれはネオ・リベラリズムと呼ばれるものだろう」。

 そして彼は、この状況が古代の5世紀以上にわたっていかに固定化されたかを、微に入り細を穿って説明している。現代では「大衆の反乱への激しい弾圧」とか、債務の帳消しと大土地所有者に土地を奪われた小農に土地を再分配することを目指す「指導者を標的とした暗殺」という言葉で耳にすることができる。

 ハドソンの下した判断は非情なものだ:

「ローマ帝国の人々を貧困に陥れたもの」は、「債権者に基礎を置く法原則を現代世界に」残した。


弱肉強食オリガルヒと「東洋専制主義」

 ハドソン教授は、「社会ダーウィニスト的な経済決定論の哲学」に対して破天荒な批判を展開する:
「自己満足的な見方」が、現代の個人主義の制度や信用および財産契約の保証(つまり、債権者の債務者への言い分を優先させる、家主の権利を借家人の権利に優先させること)へと連なってきた。それを遡れば、「東洋専制主義から文明が進展してきたことを意味するプラスの進化的な発展」とする古典的な古代観となる。

 それはすべて神話だ。現実はまったく異なる。ローマの極端に弱肉強食的な寡頭政治が、「5世紀にわたる戦争を通じて人々の自由を奪い、債権者に有利な法律や土地のラティフンディウム*への独占を阻止しようとする広範な人々の反対を抑え込んだ」。
*私有地の非常に広大な区画。ローマの歴史のラティフンディアは、穀物、オリーブ オイル、ワインなどの輸出向けの農業に特化した偉大な地所だった。それらは、マグナ・グラエキア、シチリア、エジプト、北西アフリカ、ヒスパニア バエティカで特徴的だった。(ウィキペディア)

 だから、実際、ローマの振る舞いはまさに「破綻国家」のそれだった。「将軍、知事、税徴収人、金貸し、そして軍需商人」が「小アジア、ギリシャ、そしてエジプトから、軍事的な略奪品、貢納金、高利貸しの形」で銀と金を搾取していたのだ。しかも、このローマの荒廃地への接近は、現代の西洋社会では、フランス式文明化の使命を野蛮人にもたらした、とこれ見よがしに描かれてきた。同時にそれは、有名な白人の負担も負っていた。

 ハドソン教授は、ギリシャとローマの経済は、実際は「信用と土地が金利生活オリガルヒによって私有化された後、最終的に緊縮財政になり、崩壊した」様子を一点の曇りもなく明らかにしている。これは(現代に)警鐘を鳴らすものではないだろうか?

 おそらく彼の論点の中心的な核心は次にある:

「ローマの契約法は、債務者の財産に債権者の要求を優先させるという西洋法哲学の基本原則を確立した。現代では『財産権の保障』と美化されている。公的な福祉支出は最小限に抑えられた。今日の政治的イデオロギー(思考様式)では、これを『市場の手に委ねる』と言う。ローマとその帝国の市民は、基本的な必需品を裕福な後援者や金貸しに依存し、パンと見世物*については公的給付金と政治家候補によって支払われる獲物に頼っていた。この政治候補はしばしば裕福なオリガルヒから借り入れ、自分の運動資金にしていた」。
*古代ローマの権力者は、市民にパンを無料で配給し、コロシアム(円形競技場)で見世物(戦車競技など)を無料で楽しめるようにして、政治に対する不満や反発が起こらないようにした。(英辞郎)

 覇権国(アメリカ)によって主導される現行のシステムとの類似性は単なる偶然ではない。

ハドソン:「これらの賃貸地主に有利な考え方、政策、そして原則は、現代の西洋化された世界がその後を追っているものだ。それが、似たような経済的、政治的試練に苦しむ今日の社会にとってローマの歴史が重要である所以だ」。

 ハドソン教授は、リウィウス、サルスティウス、アッピアヌス、プルタルコス、ディオニュシウス・ハリカルナッソスなどのローマの歴史家が、「市民の債務奴隷化を強調していた」ことを私たちに思い起こさせてくれる。ギリシャ・デルポイの神託も、詩人や哲学者たちも、債権者の貪欲さを警告していた。ソクラテスやストア派の哲学者たちは、「富中毒と金への執着が社会の調和、そして社会そのものにとって最大の脅威である」と警告していた。

 そして、結局は西洋の歴史学からこの警告は完全に排除された。ハドソン教授によれば、「古典学者のごく少数者」しか、ローマ時代の歴史家の文献を読んでいない。こういった負債問題や土地の略奪が「共和国の衰退と崩壊の主な原因である」と説明しているローマ時代の歴史家の文献を、だ。

 ハドソン教授が、また、我々に注意を促しているのは、この野蛮人たち(オリガルヒ)は常に帝国の門前に迫っていた、ことだ:

ローマは、実際には、「内部から弱体化」し、「数世紀にわたって、溢れるほどのオリガルヒたち」によって衰退した。

 したがって、ギリシャとローマから私たち全員が学ぶべき教訓は次のとおり:

オリガルヒ債権者たちは、「弱肉強食的なやり方で所得と土地を独占し、繁栄と成長を停滞させることを求めている」。

 プルタルコスもそれを指摘している:

「債権者の強欲さは、彼らにとっても楽しみも利益ももたらさず、自分たちが虐待する人々を破滅させる。彼らは債務者から取り上げた土地を耕すこともなく、立ち退かせた後もその家には住まない」。


「プレオネクシア(富中毒)」に注意

 (ハドソンの)中心的な言説を常に豊かにしている、これほどまでに多くのヒスイのように貴重な情報を完全に目を通すことなど不可能だろう。以下はほんのさわりだけだ(そしてこれからもっと出てくるという:ハドソン教授は私に語った。「私は現在、続編に取り組んでおり、十字軍がテーマです」と。)

 ハドソン教授は、お金の重要性、債務と利子が紀元前8世紀頃にシリアとレバントからエーゲ海と地中海にもたらされたことを私たちに思い出させてくれる。しかし、「債務の帳消しや土地再分配の伝統がなく、個人の富の追求を抑制するものがなかったため、ギリシャとイタリアの族長たち、軍事指導者、そして一部の古典学者がマフィアと呼んだもの(ちなみに、イタリア人ではなく北ヨーロッパの学者)が、不在地主に従属労働を課した」と指摘している。

 この経済的な分極は絶えず悪化し続けた。ソロンは紀元前6世紀後半にアテネで債務を帳消しにしたが、土地再分配は行わなかった。アテネの貨幣準備は主に銀鉱から得られており、それによってサラミスでペルシャ人を破った海軍が建設された。ペリクレスは民主主義を推進したかもしれないが、ペロポネソス戦争(紀元前431年-紀元前404年)でのスパルタに対する悲劇的な敗北は、重度の債務中毒オリガルヒに門戸を開く結果となった。

 大学でプラトンやアリストテレスを学んだ人間ならだれでも、プラトンもアリストテレスも、この問題をプレオネクシア(「富中毒」)という枠で括ったことを想い出すかもしれない。これは必然的に弱肉強食的で「社会的に有害な」行為につながるのだ。プラトンの『国家』では、ソクラテスは社会を統治するためには富を持たない為政者のみが任命されるべきだと提案している。そうすれば、彼らは傲慢さや貪欲さの人質にならない。

 ローマに関して問題なのは、文書が何ひとつ残っていないことだ。標準的な物語は、共和国が崩壊した後に書かれた。カルタゴに対する第二次ポエニ戦争(紀元前218年-紀元前201年)は特に興味深いものだが、それは現代のペンタゴンにも似た要素を持っている。ハドソン教授は、軍事請負業者が大規模な詐欺行為に関与し、上院が彼らを告発することを激しく阻止したことを私たちに思い起こさせる。

 ハドソン教授は、次のことを提示する:それが「最富裕家族に公共の土地を与える機会となった。ローマ国家は、戦争遂行の支援として彼らの見かけ上愛国的な寄付(宝飾品やお金)を、遡及的に公的な債務として扱い、返済の対象とした」。

 ローマがカルタゴを打ち破った後、このけばけばしい集団は金を取り返したかった。しかし、国家に残された唯一の資産は、ローマ南部のカンパニアの土地だけだった。この裕福な家族たちは元老院にロビー活動を行い、その全ての土地を自分たちのものにしてしまった。
 
 シーザーが、労働者階級が公正な扱いを受ける最後のチャンスだった。紀元前1世紀前半、彼は破産法を支持し、債務の帳消しを行った。しかし、広範な債務の帳消しは行わなかった。大きく中道的な立場を取ったシーザーは、元老院寡頭政治家たちが彼を攻撃することを止めなかった。元老院寡頭政治家たちは「彼が市民の人気を利用して『皇帝の地位を求める』可能性がある」と懸念」し、より市民に人気のある改革に乗り出すことを「恐れていたのだ」。

 紀元前27年、オクタヴィアヌスの勝利とこの元老(オクタヴィアヌス)がプリンケプスおよびアウグストゥスの称号を受けた後、元老院は単なる儀式的なエリート組織になった。ハドソン教授は次のようにまとめている。「西の帝国は、獲得するための土地も略奪するための貨幣ももはや存在しなくなったときに崩壊した」。繰り返しになるが、現在の覇権国家(アメリカ)の苦境との類似点を見いだす制約は何もないだろう。


「すべての労働者を向上させる」時が来た

 私たちの非常に魅力的なメールのやり取りのひとつの中で、ハドソン教授は、1848年の類似点について「すぐに思いついた」と述べた。私はロシアのビジネス新聞『ヴェドモスチ』に次のように書いた:

「結局、それは限られたブルジョワ革命であることが判明した。それは家賃収入のある地主階級と銀行家に対するものだったが、労働者支持とはほど遠いものだった。産業資本主義の偉大な革命的行為は、確かに不在の地主制度と略奪的な銀行業から経済を解放したものだった。しかし、再び家賃収入階級が金融資本主義の下で復活したため、それもまた後退することになった」。

 そして、それは彼が「今日の分断にとっての大きな試練」と考えるものにつながる:

「それは、単に、各国が自国の自然資源やインフラが米国/ NATOに支配されていることから自国を解放するだけなのかどうか―これするだけなら自然資源の地代を課税することによってできる(そうすることで、自分たちの国の自然資源を私有化した外国投資家の資本逃避に課税することになる)。大きな試練は、新たなグローバル多数派の国々が、中国の社会主義が目指しているように、すべての労働者を向上させることを求めるかどうかだ」。

 「中国特色の社会主義」が、覇権国(アメリカ)の債権者オリガルキを恐怖させているため、彼らが「熱戦争」さえ冒しそうとするのも不思議ではない。

 確かなことは、グローバルサウスを横断する主権への道は革命的にならざるを得ないだろう、ということだ:

「アメリカの支配からの独立は、1648年のウェストファリアの改革であり、それによって他国の内政への干渉を行わないという原則が確立された。地代税―1848年の税制改革―は独立の重要な要素だ。現代版の1917年(ロシア・プロレタリア革命)はいつ起こるのだろうか?」

 プラトンとアリストテレスに発言してもらおう:人間的なやり方で可能な限り早く、だ。


米国の教員らが「破壊的に」子どもたちに性転換をさせている(デイリ-・メール紙の報道)

<記事原文 寺島先生推薦>
US teachers ‘subversively’ transitioning kids – Daily Mail
Dozens of educators admitted to helping children switch genders without their parents’ knowledge.
何十人もの教育者が、親の知らないところで子どもたちが性転換手術を行う手助けをしようとしていることを認めた。
出典:RT   2023年6月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年6月29日



「誇り」行進の際に掲げられた看板。フロリダ州ウイルトンマナーズ市、2023年6月17日。 © AP / Lynne Sladky


 米国中西部の教員の一団が、法律を無視して、生徒らが性転換を行う手助けをしようとしていることを認めた、とデイリー・メール紙は月曜日(6月19日)に報じた。報道によると、これらの教員の取り組みはジョー・バイデン大統領政権から資金援助を受けていたという。なお同政権は先日、未成年の性転換を禁止してきた国段階の法律を無効にする動きを見せた。

 デイリー・メール紙の記者らは、最近行われた、「中西部と大平原地域公平性援助センター(MAP)」が組織するオンライン会議への入室権を取得した。13州(ミシガン州、ミズーリ州、オハイオ州、ウィスコンシン州を含む)から30名の教員が出席したこの会議は、共和党が提出した多くの法案に対する意見を述べるために召集された。これらの法案の中身は、トイレは男女別トイレを設置すること、女性の運動種目への性転換者の参加に制限をかけること、学校で自認性が生来の性別と異なる子どもを発見した際、教員がそのことを親に伝えることを求めること、などだ。

 保守派の親は自分の子どもたちの自認性が生来の性別と違うことを隠していたとして学校に対して裁判を起こしており、さらに露骨な性表現のある書籍を教室から排除するよう、厳しく求めている。



関連記事:ロシアは性転換禁止に向かっている

 この会議中、「多様性、公平性、包括性」相談員であるキンベリー・マーティン氏は、自身のミシガン州の学区が、「当方の記録保管体制を利用して、特定の画面が保護者の目に入らないよう協力しています、それはその画面に、(子どもの自認性がばれる可能性があり)隠そうとしたい呼び名が入っている場合です」と発言した。

 K-12(幼稚園児から高校生までの年代層)5千人を有するアイオワ州のエイムズ・コミュニティ・スクールの相談員であるジェニファー・ハグランドさんは、自身がトランスジェンダーを支援する反政府運動に参加したことを自慢し、こう語った。「私自身の倫理観と、法律の規定とは相いれないこともあります」と。

 「トランスジェンダーの若者たちが果たすべき役割は重要です」と自称「黒人で、風変わりで、性に対する考え方が柔軟な学者教員」シー・マーティンさんが、この会議で発言した。「そうなるためには、時には激しく時にはこっそりと活動することが必要となります。そうすることで、トランスジェンダーの子どもたちが自分たちが必要とするものを手に入れられているかを常に確認しなければなりません」。マーティンさんはさらに、小学生たちと「性」の話題について話し合っており、時には幼い5歳児とそのような話し合いを持つこともある、と付言した。

 昨年11月、MAPは、連邦教育省から850万ドル、さらにそれ以外の組織から数百万もの資金提供を確保したと発表した、とデイリー・メール紙が報じた。ただし、回答を求められた同省からの返答はなかったという。



関連記事:ホワイトハウスは、「不適切な」裸を披露したとして、トランスジェンダーのインフルエンサーの公的行事への参加を禁止

 バイデン大統領は今月上旬、共和党が提出したトランスジェンダー関連法案は、「我々米国民が持つ最も基本的な価値観を攻撃するものである」と主張し、ホワイトハウスに集まったゲイやトランスジェンダーの人々に「我が政権は、諸手を挙げて、あなた方を支援しています」と伝えた。

 その目的を達成するため、バイデン政権の司法省は、思春期阻害剤やホルモン治療、性転換手術を禁じたことで、4月にテネシー州を訴えた。さらに昨年3月、同省は、全州の司法長官に書簡を送り、テネシー州のような性に関する禁止令を導入しようとすれば、起訴の対象とすることを警告した。

 火曜日(6月20日)、アーカンソー州の地方裁判所判事が、未成年者の性転換手術を禁止する州法を阻害する判決を出し、このような法令を阻止することで、子どもたちの「精神状態や幸福」を改善することになる、と主張した。アーカンソー州は、このような禁止令を導入した最初の州だったが、今回のこの判決により、この先、この件に関する同様の判決に影響が出るだろう。

ウクライナ紛争は「クソ儲かる商売」―ブラック・ロック社人材採用担当者

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine conflict ‘f***ing good for business’ – BlackRock recruiter
An employee of the asset management giant was filmed running from Project Veritas founder James O’Keefe
資産管理大手の従業員が、プロジェクト・ベリタスの創設者であるジェームズ・オキーフから逃げる様子がビデオに収められた。
出典:RT 2023年6月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月29日


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© Getty Images / Erik McGregor


 ブラック・ロック社はウクライナの紛争ができるだけ長引くことを望んでいる。なぜなら「商売になる」から、と資産管理会社大手のある人材採用担当者は、月曜日(6月19日)公開された映像の中で語っている。プロジェクト・ベリタスの後継団体であるオキーフ・メディア・グループの覆面記者に対する回答である。

 「戦争は本当にクソ儲かる商売だ」と、セルジュ・ヴァーレイ(削除されたLinkedInプロフィールによれば、ブラック・ロック社の技術関係採用担当者)は、この記者に語った。彼は、ウクライナの小麦サイロが爆撃されて小麦価格が急騰した場合、投資家がどう利益を得るかの筋書きを語った。「状況が変動すると儲けの機会が出てくる。サイロに何か起きるとわくわくしちゃうのさ。だろう?」と編集前の映像で彼は語っている。

 「国として、私たちはこの紛争が終わってほしくない。これが続けば続くほど、ロシアは弱体化するよ」とヴァーレイは言葉を続けた。

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 ヴァーレイはまた、自身の雇用主が政治システムを制御していることを自慢した。「大統領が誰かではなく、大統領の財布を握っているのは誰か、なんだ。それがヘッジファンド、ブラック・ロック社、銀行」であり、この3つが「世界を動かしている」とまで言ってのけた。

 「これらの金融機関は、政治家を買っている。このくらいのクソ大金があれば、人間を買い始めるのさ」と彼は言った。上院議員なんて「クソ安い。1万ドルもあれば上院議員を買える」と説明した。さらに、アメリカ政府もブラック・ロック社に金融シミュレーションを運営してもらう必要があると彼は述べた。

 ブラック・ロック社は「レーダーには引っかかりたくない」と本音を漏らし、「つまり、ブラック・ロック社についてみんな何も考えていない方がやりやすいからな」とヴァーレイの言い方は遠回しだった。彼は記者の取材動機にちょっと疑念を持ったようだった:「あんたは覆面記者のようだな。普通の人間」は「あんたみたいな質問はしないもんだ」と言ったのだ。しかし、「人々の運命を決める」という彼の役割を自慢し続けた。

 ニューヨークのカフェでプロジェクト・ベリタスの創設者であるジェームズ・オキーフその人と鉢合わせすると、ヴァーレイは突然最寄りの警察署に突進した。彼は動画でオキーフについてくるように合図している様子が見られる。この鉢合わせの後、ヴァーレイは自分のLinkedInプロフィールを削除したが、彼の名前を検索エンジンに入力すればそれはまだ閲覧可能だ。

 ブラック・ロック社は管理資産額が10兆ドル以上あり、Microsoft、Apple、Amazon、Nvidia、Alphabet、Pfizer、Tesla、Merck、Visa、そしてMastercardを含む多くの大手アメリカ企業や年金基金の大口株主だ。同社は2008年の金融危機やCovid-19対応で米国政府を支援するために選ばれ、米連邦準備制度を除けば唯一の民間企業として米国金融システムの梃子(てこ)として直接的な制御を行い、内部取引やその他の利益相反の問題について疑問が生じている。ブラック・ロック社に籍を置いた人間の中にはバイデン政権で公職に就いている人もおり、その中には国家経済会議のトップであるブライアン・ディースもいる。

アメリカはウクライナの破壊に対する請求書の支払いをすべき―ロシア駐米大使

<記事原文 寺島先生推薦>
US should pay the bill for devastation in Ukraine – Russian envoy
Washington has been fanning the flames of the conflict while nipping all peace initiatives in the bud, Anatoly Antonov has said
「ワシントンは紛争の火に油を注ぎながら、平和へ取り組みの芽を全て摘んできました」とアナトリー・アントノフ大使は述べた。
出典:RT  2023年6月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年6月27日



ロシアの駐米大使アナトリー・アントノフが2019年11月18日にワシントンD.C.のウッドロウ・ウィルソン研究所での講演©マーク・ウィルソン/ゲッティイメージズ/AFP


 ロシア駐米大使、アナトリー・アントノフは、ウクライナ紛争はアメリカや他の西側諸国によって引き起こされたものであり、そのため被災した国の復興費用はワシントンが負担すべきだと水曜日(6月21日)に主張した。

 アントノフは、ウクライナの復興会議(ロンドン)の演説中、アメリカの国務長官アントニー・ブリンケンが「最終的にはロシアが費用を負担することになろう」と主張した発言について発言を求められた。

 アントノフ大使は、ブリンケンの発言に反論し、「モスクワとキエフの間の紛争は、アメリカが長年にわたってわれわれの国境地域で緊張を引き起こす火種を作り出し、ウクライナを『反ロシア』にするために意図的な取り組みを重ねた結果です」と述べた。それには2014年のウクライナ首都での西側支援を受けたクーデターも含めている。

 アントノフは、アメリカがキエフに武器を供給し、同時に平和の取り組みの芽を摘みながら積極的に敵意を煽っていると主張した。「これはつまり、アメリカ政府がウクライナで起こっていることに完全に責任を持っていることを意味します。だからこそ、ウクライナ再建はアメリカの役目なのです」と彼は述べた。



関連記事:ブリュッセルはモスクワに対する制裁措置を強化

 彼はさらに、アメリカの武器によって破壊された家屋を復元することは可能だが、紛争の人道的な影響を消し去ることは、はるかに、はるかに困難であると述べた。

 「どのように・・・ワシントンは無実で殺された人々の命を査定するのだろうか? どのようにアメリカは、今日のいわゆる反転攻勢でウクライナ人を無謀な正面攻撃に追い込んでいることの清算をするつもりなのだろうか?」とアントノフ大使は疑問を呈した。

 西側諸国はウクライナに数十億ドルの復興支援を約束している。キエフ支持者の一部は、ウクライナ紛争の開始後に凍結されたロシアの資産を押収し、復興に使用するよう求めている。しかし、それは法的な障壁があってできていないが、クレムリン報道官のデミトリー・ペスコフは、資産押収はなお「純粋な強盗行為」だと表現した。

バイデン大統領は、自身が習近平を「独裁者」と呼んだことの影響を評価

<記事原文 寺島先生推薦>
Biden assesses impact of calling Xi a ‘dictator’
The US president has shrugged off the possible effects of disparaging his Chinese counterpart
バイデン米国大統領は、中国国家主席習近平をこき下ろしてどうなるか、についてはどこ吹く風。
出典:RT: 2023年6月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月25日



米国大統領ジョー・バイデンは木曜日(6月22日)にインドのナレンドラ・モディ首相を迎えるために行われたホワイトハウスの歓迎式典に登場。© Getty Images / Anna Moneymaker


 米国大統領ジョー・バイデンは、中国の指導者習近平を「独裁者」と呼んだ今週の発言が、ワシントンと北京の緊張した関係を修復するためのバイデン政権の取り組みに支障をきたす可能性についての懸念を一蹴した。

 木曜日(6月22日)にインドのナレンドラ・モディ首相とのホワイトハウスの記者会見でこの発言について尋ねられた際、バイデン大統領は習近平を侮辱することが中国との関係に悪影響を与えることはないと語った。「私は将来、近々、習近平主席と会う予定ですが、私の発言が実際に何らかの影響を与えたとは思いません」と彼は述べた。

 問題となったのは、火曜日(6月20日)、カリフォルニアで行われた政治的な資金集め集会でのバイデン大統領の発言だ。そこでバイデンは、習近平が2月に米国の領空に入った後に撃墜されたとされるスパイバルーンについて知らなかったようだ、と主張した。「独裁者たちにとってそれは大いなる恥辱です。何が起こったのか知らなかったと言うなんて」。この発言は、待ち望まれていた貴重な訪中を米国国務長官アンソニー・ブリンケンが終えた翌日になされた。ワシントンのトップ外交官であるブリンケンが習近平と会い、超大国間の緊張を緩和しようとした訪中だった。


 中国の米大使館は、木曜日(6月22日)、公式な抗議を行った(そのたった数時間後、バイデン大統領はこの両国の意見の違いを軽視する発言をした)。「中国の政治体制やその最高指導者に関する直近の無責任な発言を耳にすると、中国人民はアメリカ側の誠意を疑わざるを得ません。中国政府と中国人民は中国の最高指導者に対するいかなる政治的挑発も受け入れず、断固とした対応をとります」と大使館の声明では語られている。



関連記事:中国はバイデンによる「独裁者・習近平」 という発言に反撃

 この声明は、中国外務省報道官の毛寧が今週早くに行った批判と呼応している。毛寧はバイデン大統領の発言を「明白な政治的挑発」とし、「中国の政治的尊厳を深刻に侵害した」と述べた。

 最近の記憶では初めて米国大統領が中国国家主席を「独裁者」と呼んだこと」について尋ねられた際、バイデン大統領は自身の考えを述べているに過ぎない、と示唆した。「世界中の同盟国や友好諸国(インドを含む)と話すとき、私が事実と思うことを言うか言わないかは自由なのです。・・・そのやり方をあまり変えるつもりはありません」と述べた。また、中米関係の崩壊の懸念について、それは「ヒステリー」だと付言した。

 昨年8月、当時の米国下院議長ナンシー・ペロシが台湾を訪れたことを受けて、北京はワシントンとの軍事および気候関係を断絶した。ブリンケン国務長官の今年初めの中国訪問は、バルーン事件の直後に延期された。毛寧報道官はバイデン大統領によるバルーン撃墜の決定を非難し、ワシントンが「武力を乱用し、それは米国のいじめ的、覇権主義的な性質を完全に反映したものだ」と述べた。

関連記事:米国が露中との戦いを激化する中、バイデンはモディ首相を抱擁

 共和党が揶揄したのは、「独裁者」という発言についての記者の質問に答える際、バイデン大統領が回答を読んでいるように見えたことについてだ。また、木曜日(6月22日)のモディ首相の国賓訪問の歓迎式典では、バイデン大統領がインドの国歌を「星条旗(アメリカ国家)」だと間違え、約20秒間、胸の上からゆっくりと手を下げるという気まずい瞬間もあった。

アメリカのエリート層は、世界がアメリカに対して反発していることを認識し始めている。その反発はアメリカの自業自得がもたらしたものだ。

<記事原文 寺島先生推薦>
American elites are starting to concede that the world is rebelling against the US, and Washington has nobody to blame but itself
A former White House official has acknowledged the reality of growing resistance to the country's imperialism
元ホワイトハウスの高官は、米帝国主義に対する反発が高まっている現実を認めた。
筆者:ダニエル・コバリック(Daniel Kovalik)
出典:RT 2023年5月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月23日


ダニエル・コバリックはピッツバーグ法科大学で国際人権を教えており、最近発売された『ニカラグア:米国の介入と抵抗の歴史』という本の著者である。

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資料写真:デモ隊が、1975年の学生虐殺の際、米国が軍国主義の背後にいたことを象徴する紙の像にかけられた米国国旗に火をつけている。2021年、エルサルバドル©Camilo Freedman/SOPA Images/LightRocket via Getty Images


 エストニアのタリンで行われた興味深い最近のスピーチで、元ホワイトハウス高官であるフィオナ・ヒルは、ワシントンにいる少なくともひとりの女性が世界で起こっていることを理解するだけの自己認識があることを具体的に示した

 ヒルは、ウクライナの紛争がアメリカの覇権に対する、ロシア主導のグローバルな「代理反乱」を引き起こしたことを認めた。これは真実そのものである。そのことは昨年の春、モスクワの軍事攻勢の最初から、多くの人々が目にすることができたとおりだ。しかし、この揺り戻しは長い時間をかけて起こってきたものであり、アメリカの自業自得がもたらしたものだ。

 何よりも、現代のロシアの前身であるソビエト連邦は、その歴史の大部分においてアメリカの覇権に対する反乱を主導していたことを指摘する必要がある。特に冷戦中、モスクワの支援は、ラテンアメリカ、アフリカ、そしてアジアで数世紀にわたる西洋の植民地主義を打破しようとする第三世界諸国にとって重要だった。アメリカはこの植民地体制を頑なに守ることを自らの使命とした。実際、冷戦はアメリカとソビエト連邦の間の植民地主義に関する巨大な代理戦争であり、アメリカはこの体制を維持するために戦い、ソビエト連邦はそれを解体するために戦った。世界の多くの人々は、ソビエト連邦から受けた援助に感謝しており、植民地の束縛を打ち破るのに役立ったことへの感謝は今でも続いている。

 ロシア連邦は最近、2023年3月31日の外交政策声明でこれらすべてを認めた。その中で、ソビエト連邦の主要な外交政策の成果は、第二次世界大戦でのナチズム打破と世界の非植民地化成功に貢献したことである、と書かれている。現代ロシアは、ソ連の「正統な後継者」として、これらの目標を追求し続けていると述べている。私はロシアと5月9日の戦勝記念日の祝賀行事から帰国したばかりであり、私が訪れたサンクトペテルブルクからヤルタまでのすべての都市で、ロシア人がソビエト連邦のこれらの成果を依然として大切にしていることを目撃した。ハンマーと鎌の赤い旗はどの都市に行っても、至る所で見かけた。

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 一方、1989年の東欧諸国の崩壊と1991年のソビエト連邦の崩壊後、アメリカは世界の西側の優位を再確立する機会が妨げられることはほとんどなかった。アメリカはその目標を「パックス・アメリカーナ」と呼んだが、その手法は平和とはほとんど関係がなく、すべて戦争に関係していた。したがって、ワシントンはあっと言う間に1989年のパナマから(1989年)、イラク(1990年)、セルビア(1999年)、アフガニスタン(2001年)、再びイラク(2003年)からリビア(2011年)まで、他の国々に侵攻し攻撃した。さらに、この期間中にアメリカが行った小規模な侵攻や多くの代理戦争やテロ戦争は入っていない。例えば、2011年から始まったシリアや2014年にアメリカが扇動を助けたウクライナでのクーデターなどだ。

 ロシアと世界の他の国々は、優位に立つアメリカの軍事力に対抗する手段を持たず、主に黙ってこれを受け入れた。しかし、怒りと憤りは高まった。なぜなら、これらの戦争は必要でも正当でもなかったから。アメリカは自国の経済的・地政学的利益を守るために戦争を選択し、その行動を「人道的」と装っていた。通例として、彼らはこれらの介入が標的国の人々を「圧政的」、「残酷」または「独裁的」な政権から守るために必要であると主張した。アメリカ人はこのような正当化を、大方は、渋々認めたが、世界の他の国々はその明白な不合理に顔をしかめていた。

 2015年、ロシアという熊は再び目を覚まし、シリアで介入行動を起こし、シリアに対する残忍なテロ戦争を撃退した。この戦争はアメリカが積極的に扇動し支援したものだった。

 アメリカは、ウクライナにおけるロシアの行動に反対している自国は世界に支持されていると主張しようとするが、これはそんな単純に真実とは言えないし、アメリカもそれを知っている。「世界」はアメリカを支持している。ただし、その「世界」にラテンアメリカ、アジア、そしてアフリカは入らない。地球上の人口の大部分を占めるこれらの地域では、アメリカを支持していない。これらの地域の多くの国々は、侵略的な戦争やクーデター、武装した反乱分子の支援という形でアメリカが好き勝手に介入することに疲れ果てており、ロシアがついに反撃してくれたことを喜んでいた。他方、長い間アメリカの帝国主義的な策略に共謀してきたサウジアラビアさえ、石油供給の増加を拒否することでアメリカとの連帯を断った。さらに、イランとの関係を深めるなど、世界はワシントンの干渉にうんざりしていることがはっきりしている。

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 アメリカ政府は、こういったことを見て見ないふりしており、実際には多くのアメリカの一般市民も見ないふりをしている。つまり、プロパガンダの普及力と現実をかき消し混乱させる能力がいかに大きいかだ。このことは、劇作家ハロルド・ピンターが2005年のノーベル賞スピーチで語ったことを思い起こさせてくれる。彼はそこでアメリカ帝国を非難し、「第二次世界大戦後、世界中の右派軍事独裁政権を支援し、多くの場合は生み出してきた」、それによって「何十万人もの死者」が生まれた、と述べたのだ。しかし、プロパガンダの力により、「そんなことは絶対に起きなかった。たとえ起きていてもそれは起きていないこととされた。アメリカは、普遍的な善の力を装いながら、世界中で臨床治療さながらの権力操作を行ってきた」とピンターは述べており、これを「非常に成功した催眠術の行為」と表現している。

 アメリカ人はそろそろ目を覚まし、自国が犯してきた罪に目を向けるべきだ。アメリカ以外の世界はその事実を、血を流す思いで気づいており、その結果反旗が翻されつつある。これをしっかり認識して、アメリカ人はついに自国政府の取った行動の責任を追及することができるだろうし、いわれのない暴力を振るって世界を敵に回すことをやめさせ、代わりに貧困、病気、そして環境悪化といった世界的な問題について、他の国々と対等な立場で協力して取り組むことを要求することができるようになるだろう。これこそが人類を救う唯一の行動だ。

バイデンの元補佐官タラ・リードが身の危険の不安からロシアへ逃れる

<記事原文 寺島先生推薦>
Ex-Biden aide Tara Reade flees to Russia over safety concerns
出典:RT 2023年5月31日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月18日


タラ・リードは、30年前にアメリカ大統領によって強姦されたと主張したことについて、自国で迫害に遭っていると述べた。


資料写真:アメリカの自宅におけるタラ・リード© Tara Reade

 ジョー・バイデン米国大統領の元議会補佐官で、彼からの性的暴行を告発したタラ・リードは、ロシアのパスポート申請をする意向を示した。元補佐官であり、ジャーナリストに転身した彼女は最近、アメリカでは安全を感じなくなったと主張、ロシアに移住した。

 リードは、火曜日(5月30日)の記者会見で述べたところによれば、(大統領を)告発をしたためアメリカで絶えず迫害されてから、彼女はロシアで「安全を見つけたい」と述べた。彼女はロシアを敵視したことはなく、「モスクワの友人たちが歓迎してくれたこと」を「感謝している」と付言した。

 「私にはお願いがありますが、それは大きなものです。ロシア連邦のウラジミール・プーチン大統領に対して、ロシアの市民権の申請をしたいのです」と元補佐官は述べ、「良い市民になる」と約束した。

 2020年、米国大統領選挙の最中、リードは当時民主党の有力候補であったバイデンに対し、彼女が1993年に上院で彼の補佐官として働いていた時に性的暴行を受けたと告発した。バイデンはこの告発を全面否定した。



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 リードが米国の一人の議員に、米国政府のこの腐敗事件について証言する用意があることを伝えた際、彼女の身体的安全が心配だとその議員は述べた。彼女はまた、自分は内部告発者であり、米国法によって保護されるべき存在であると語った。

 「私の保護はどこにあるのですか?・・・米国議会で働いていた頃ジョー・バイデンが私を強姦したという事実があるのに、私が逃亡者でなければならないというのは開いた口が塞がりません。それはばかげています」と彼女は述べた。

 スプートニクに対して話す中で、彼女はロシアへの移住の決断は「非常に困難」であったが、ロシアでの滞在が気に入っていると述べた。「まだ少しボーっとしていますが、気分はすこぶる良好です」とリードは語った。「保護と安全に十分囲まれていると感じです」。

ペンタゴン、F-35の部品100万個紛失

<記事原文 寺島先生推薦>
Pentagon loses a million F-35 parts
Investigators have found that the US military can’t account for missing fighter-jet components valued at $85 million
調査団が発見したのは、米軍が評価額8500万ドルの行方不明の戦闘機部品の所在を把握できていないことだ。
出典:RT  2023年5月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月18日



アメリカ軍人が、3月23日に韓国・釜山で行われたマキン・アイランド強襲揚陸艦のお披露目巡業時にF-35戦闘機を点検している。© Getty Images / Jung Yeon-je


 アメリカ国防総省(DOD)について、国の歴史上最も費用のかかる兵器システムであるF-35 ライトニング II 戦闘機の約100万個の行方不明な予備部品の把握ができていないことを、政府の調査機関は発見した。

 ボルト、タイヤ、着陸装置などを含む紛失した部品の評価額は約8500万ドルであると、政府の監査機関である政府説明責任局(GAO)は、火曜日(5月23日)に報告した。2018年以来、ペンタゴンは特定された部品の紛失の状況について、まだわずか2%しか調査していない。

 「アメリカ国防総省(DOD)が契約の下でこれらの予備部品についての説明責任を持つようにするための措置を講じない限り、F-35共同計画事務局(JPO)はこれらの予備部品の説明責任をはっきりさせたり、維持することもできず、場所、費用、そして数量などの情報を持たず、財務報告や政府の利益保護に必要な情報を確保することもできなくなる」とGAOは述べている。



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 これらの予備部品は、アメリカ軍および航空機を購入した同盟国が利用するために、世界中に保管されている。これらの部品は防衛請負業者であるロッキード・マーティン社が製造している。ペンタゴンのF-35 JPOには、紛失を追跡するための作業手続きがないため、ロッキード・マーティン社は、GAOの調査対象となる、評価額が6600万ドル以上の追加の予備部品約90万個を報告していないとGAOは述べている。

 GAOの報告書は、信頼性の問題に苦しむ1700兆ドルのF-35計画にとって、直近の大きな痛手となっている。この計画は、3月に世界的な回収命令を引き起こしたエンジンの振動の問題など、信頼性の戦いに悩まされてきた。アメリカのF-35部隊のうち、「完全な任務遂行能力」を持つのは、一日のうちでわずか30%程度。アメリカ空軍のマイケル・シュミット中将は先月、予備部品の供給不足がアメリカ軍の次の大規模戦争時において航空機を稼働させる能力を危険にさらす可能性があると警告した。

 GAOの報告書は、予備部品の紛失は、ペンタゴンがDODの所有物で請負業者が管理する部品を監督しなかったことが原因だとしている。DODの関係者と請負業者は、これらの部品を政府所有財産として分類すべきかどうかについて合意に至っていない。これにより、紛失した在庫の処理ができなくなっている。

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 昨年10月時点で、ペンタゴンは世界中で1万9000以上の予備部品を保有しており、これらの部品はF-35 JPOからの処分指示を待っていた。最長5年間も待たされる事例もあった。GAOは、DODが貯蔵部品の会計管理を強化するための4つの推奨事項に同意したと述べている。

G7は、アメリカ新帝国の時代遅れの道具

<記事原文 寺島先生推薦>
The G7 is an outdated tool of the US neo-empire
Washington has co-opted both winners and losers of World War II into defending Western domination around the globe
ワシントンは、第二次世界大戦の勝者も敗者も取り込み、西側の支配を世界中で守るために利用している。
筆者:チムール・フォメンコ(Timur Fomenko)
出典:RT 2023年5月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月10日


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2023年5月18日(木)、G7サミットの開幕を前に、広島で二国間会談を行う日本の岸田文雄首相と握手するジョー・バイデン大統領(左)。© AP Photo/Susan Walsh


 先週末、広島でG7諸国の首脳会議が開催された。

 広島はいくつかの理由で重要だ。何よりも、広島はアメリカが第二次世界大戦終結時に、原子爆弾を投下した地(長崎も同様)として世界に知られており、これによって日本帝国が降伏し、日本が米国の従属国家に変貌したことだ。

 第二に、日本は中国とロシアに対するアメリカの二重包囲政策に沿って、自国の再軍事化を進めている。そのため、日本が今年のG7議長国であるという事実は、中露を標的にした米国中心の地政学的な目標の追認に過ぎなかった。

 しかし、G7自体についてはどんなことが言えるのだろうか? 1975年に冷戦時代の組織として設立され、一時的に、ソ連崩壊後のロシアを西側諸国への取り込む期待も含んでいた。この集団は世界の「最も先進的な工業国」を代表すると主張している。しかし、だれにでも明らかなように、これは時代遅れの分類法だ。中国やインドなど、G7加盟国以上の経済規模を持つ国々はこの集団には含まれていない。むしろ、G7の性格と議題は明確に政治思考的(イデオロギー的)なものであり、その目標は、どんな代償を払っても西側主導の世界観を維持することになっている。

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 G7が、無敵の存在としてかつて世界を支配していた元帝国の、実効性のある集合体であることは見逃してはならない。これらの国々は現在、アメリカの庇護の下で従属している。特筆すべきは、第二次世界大戦で連合国によって打倒された3つの枢軸国もG7に含まれていることだ。ドイツ、イタリア、日本の各ファシスト指向政権は、当然のことながら、破壊されたが、この3国は戦後、アメリカの従属国家として再建され、それぞれの利益はワシントンの手に委ねられた。

 同様に、勝利したフランスやイギリスとその帝国支配下にある国々(カナダなど)も、戦争によって国内の資源と力が大きく消耗し、それまでの世界の超大国としての地位を維持することができなくなった。その結果、彼らは指導的立場のバトンをアメリカに譲り、以降、世界中で自国の利益を確保するためにアメリカの指導に従うことを頼りにしている。

 どの例においても、これらの国々は帝国時代に特権的な地位を保持していた。彼らは地球の大部分を植民地化し、日本はアジアの多くを軍事的に占拠しており、莫大な富を築き上げていた。たとえば、イギリスの驚異的な富は、アフリカやインドの搾取に直接関わっている。植民地帝国は厳格に商業的な性格を持ち、政治思考様式(イデオロギー)を侵略の正当化の力として利用し、膨大な軍事力によって経済的利益を維持した。これにより、これらの国々は特権を享受し、それがグローバル・ノースとグローバル・サウスの区別を形成した。


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 これらの国々は、自国の帝国を疲弊または敗北によって前進させることができないため、彼らが米国(「新しい帝国」)に従順であることを通して獲得した不公平な経済特権を維持しようとする。この「新しい帝国」は彼らが創設した国際秩序を受け継いだものだ。したがって、G7が、これらすべての国を一つの政治的思想の集まりにまとめたのは偶然ではない。彼らの目標は、自国の経済特権を維持し、自国の地位を脅かす国際秩序の変化を抑えようとすることである。この場合は、グローバル・サウスと中国の台頭だ。

 この点において、G7は、中国が高性能技術で突破しようとする試みを阻止しようとする米国主導の目標を受け入れている。G7は、また、他の国々が北京の開発モデルに参加することを受け入れることを止め、グローバル・ノースとサウスの間の富の根本的な溝を維持したいと思っている。G7は、他の国に対して大規模な制裁や輸出禁止を課す権限を持つ唯一の集団であり、さらに、中国が自国の利益を守ることを「経済的な強制」として非難している。

 G7はまた、中国やロシアが西側の歴史的な軍事的優位性に挑戦できないようにしたいと考えている。したがって、実際には、米国は第二次世界大戦の勝者と敗者(ソ連を除く)を一つの集団に組み込み、それを利用して彼らが関与していた同じ世界を継続させている。しかし、否応なく変化しているのは、G7にとって好ましくない方法で世界が変わっているという事実だ。彼らにはもはやそれほどの優位性はなく、彼らの世界GDPの占有率は縮小する一方だ。BRICS経済が成長し、多極化が進む中で、彼ら自身の小さな排他的な寄り合い(G7)は、世界経済の流れを指示しようとする立場にはほとんどない。

 この小さな集合体(G7)は、自分たちは今後も豊かでありたいと思う。他方、他の全ての人々が自らを豊かにすることを止めようとしている。そんな(身勝手な)ことはうまくいかないだろう。

Grayzoneが、CIAの別働隊NED(National Endowment for Democracy)の報道部副部長と論争

<記事原文 寺島先生推薦>
The Grayzone debates National Endowment for Democracy VP on group’s CIA ties
筆者:アレクス・ルービンシュタイン&マックス・ブルーメンサル(Alex Rubinstein & Max Blumenthal)
出典:The Grayzone 2023年5月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年6月8日


米国民主主義基金(NED)が、当Grayzoneに連絡をいれ、我々がNEDはCIAの切り抜き組織だと報じたことに対して非難してきた。NEDの報道部副部長と我々のやり取りをはっきりと伝える以下の音声をお聞きください。





 2023年4月4日、米国民主主義基金(NED)のレズリー・アウン報道部及び講習関与部副部長が、私アレックス・ルービンシュタインに連絡を入れ、当Grayzoneがその前日に出した記事のことについて電話で話がしたいと申し出た。

 私が書いた記事が詳述していたのは、ロシアのサンクトペテルブルクの喫茶店で起こったテロリストによる爆破事件を、調査報道機関であるべリングキャットの幹部が大っぴらに正当化している件についてだった。このべリングキャットは、NEDから多額の助成金を受け取っており、米国政府が他国の政権交代を狙う際の片腕として機能している団体だ。その記事の中で私は、NEDは「CIAの別働隊」だと書いたことが、明らかにアウンの機嫌を損ね、アウン副部長が電話で話したいという要求を出すことになったのだ。
 
 4月6日、アウン副部長は、私とGrayzoneのマックス・ブルーメンサル編集委員と電話で40分間話した。その間、我々はアウン副部長に、NEDには米国が政権転覆を狙っている国々の暴力的な暴徒らを支援してきた長年の歴史があることを問いただし、NED創設にはCIAが絡んでおり、NED創設により、CIAがこれまで密かに画策していた活動をあからさまにできるようになったことも指摘した。

 当GrayzoneがNEDを「CIAの別働隊」であると報じた理由を説明するためブルーメンタル編集委員がアウン副部長に指摘したのは、とある機密文書だったが、その文書にはロナルド・レーガン政権時のCIA長官だったウィリアム・ケーシーが、米国政府が資金を出す「全米基金」の設立を提案していたことが書かれていた。全米民主主義基金が誕生したのは、ケーシーがレーガン政権当局の内閣段階でその文書を回覧した数か月後のことだった。ブルーメンタル編集委員は、電話中に別働隊ということばについて説明し、それは、「CIAの動きを推進するためにCIAから分離して作られた組織であり、CIAのために動いたり、CIAの作戦を前進させる組織である」とした。

 マックス・ブルーメンサル編集委員による2018年のTEDについての記録動画「米国干渉組織の内側」という動画をご覧あれ。

 それから、ブルーメンサル編集委員と私ルービンシュタインは、アウン副部長に、NEDが非政府諸組織や報道機関、政治家たちに資金提供を行ってきた歴史をかいつまんで伝えた。その非政府諸組織や報道機関、政治家たちは、民主的に選出された政府を転覆させようとしている暴力的な行動に出ている組織であり、公的に米国の敵国であるとされている国々を弱体化させようとしている組織だ。具体的には、ニカラグアベネズエラウクライナ香港などだ。自身の雇用主が行ってきた政権転覆の企ての記録を否定せずに、アウン副部長は、そのような歴史は知らなかったと語り、この話を聞かされる前にもっと自分で知っておく必要があったとも述べた。
 
 我々はアウン副部長に、NEDが米国の諜報機関と共謀した活動をしないという規定を制定したという具体的な証拠を示すよう依頼した。「規則の中に、そんな規定があるかどうかは分かりません。さあ、どうなのでしょう。いえ、ほんとに、分からないんです。なんか自分がバカになってしまったような話し方になってますね。こんな話し方をするつもりはなかったのですが」とアウン副部長は答えた。

 我々がさらに知りたいと伝えたのは、反民主主義的で暴力的な組織にNEDが資金提供をすることを禁じる指針を制定したかについて、だった。例えばそれは、我々が詳細に伝えたクーデターの首謀者らや政治的な理由により放火を行うような勢力といった組織に対してだ。この件に関するやり取りの中で交わされた話の中で特筆すべきことは、ブルーメンサル編集委員がアウン副部長にこう尋ねたことだ。「民主主義を信奉する組織が、民主的に選出された指導者らを排除しようとする動きを支援するとはどういうことですか?」と。

 「民主主義ってそんなものじゃないんですか?」とアウン副部長は激しく反論したが、そのことにより、自身の組織が、外国への介入や外国の暴動者らを支援していることを民主主義的な行為であると捉えていることを暗に示すことになった。

 返答に詰まったアウン副部長は、反共主義的当てこすりをする作戦に出た:「私が気になっているのは、あなた方がベラルーシ政府やニカラグアのオルテガ政権、中国政府の支持者ではないのか、ということです」とアウン氏は尋ねた。「私が言いたいのは、あなたがたはそのような政府のもとで働き、記事を書いているのでは?ということです。あなた方がこれらの政府を支持しているという立場で記事を編集しているのではないのですか?」

 アウン副部長との電話後、我々は書面で質問を彼女に伝えた。我々が求めた情報を伝えるために、のちにメールを送ってくれることを電話口で何度も約束したにもかかわらず、NED は我々が初めてアウン副部長と話してから50日以上たっても、その約束を果たしていない。

 4月11日から5月5日までの間、アウン副部長は返答することを約束する3件のメールを送ってきた。その後連絡がなかったため、我々は我々とアウン副部長の電話でのやり取りの内容を記事にすることにした。

 アウン副部長が我々の質問に回答する方向を打ち出した時点で、この記事の続編を伝える。

アメリカ世界支配の青写真:「封じ込め」から「先制攻撃戦争」まで:1949年トルーマン・ドクトリン

<記事原文 寺島先生推薦>
America’s Blueprint for Global Domination: From “Containment” to “Pre-emptive War”. The 1948 Truman Doctrine
ANNEX: Archive of (Declassified) Top Secret Policy Planning Document drafted by George F. Kennan
付録:ジョージ・F・ケナンが起草した極秘の政策企画文書の記録(公開解除済み)
筆者:ミシェル・チョスドフスキー (Michel Chossdovsky)
出典:GR 2023年5月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月4日


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写真:ハリー・トルーマン大統領

 最初、グローバル・リサーチ(GR)によって最小限の編集が加えられ、2014年9月7日に公開された。
 この非公開解除文書は、最初にグローバル・リサーチによって2003年12月に投稿された。
 私がトルーマン・ドクトリンについて書いた2003年の記事の詳細はこちら


筆者の序文

 ジョージ・F・ケナン(1948年)の分析を読者の皆様に紹介する。これは「トルーマン・ドクトリン」外交政策の土台となった。

 これらの文書は礎を築いた。これはバイデン政権下におけるアメリカの外交政策や軍事戦略に直接に関わりがある。特に、現在アメリカが後ろ盾になっている「経済戦争」の対象であるドイツとEUに関連している。

 重要な点は、バイデン政権はドイツとEUを脅迫したが、その方式は戦後初期の「トルーマン・ドクトリン」の下で形成されたものだ。ジョージ・ケナンによれば:

 「そのような連邦(EU)を実現することは、もしドイツが分割されたり、あるいは徹底的に分権化されれば、そしてもし構成国が個別にEUに参加できるようになれば、はるかに容易になるだろう。

 西ドイツの軍事占領は長期間続く可能性がある。私たちはそれが欧州の光景の準永続的な特徴になることを覚悟しなければならないかもしれない。

 長期的には、西部および中部ヨーロッパの将来には3つの可能性しかない。一つはドイツの支配。もう一つはロシアの支配。三番目は連邦制ヨーロッパ(の支配)だ。そうなればドイツの一部がそこに吸収され、他の国々の影響力がドイツを抑制するのに十分なものになる。

 直接的な力の概念に基づいて対処しなければならない日は遠くない。理想主義的なスローガンによって邪魔されることが少なければ少ないほど、良い」(ジョージ・ケナン、強調は筆者)

 「直接的な力の概念」は、現在、米国国務省とメディアによって「ルールに基づく秩序」という言い方になっている。

参照:最近の論考
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Video: America is at War with Europe
By Prof Michel Chossudovsky, April 22, 2023

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Video: Has Germany Become a Colony of the United States?
By Prof Michel Chossudovsky, April 20, 2023



ミシェル・チョスドフスキー、2023年4月17日
***



 今日米国とNATOが資金提供する戦争は、半世紀以上にわたる軍事および外交政策の一環だ。

 この点において、2000年に策定されたネオコンの「新しいアメリカ世紀の計画」は、冷戦の初期に国務省が策定した軍事的な覇権と世界的な経済支配のための戦後課題の集大成と見なしてもいいだろう。

 これら1948年の国務省文書が明らかにするのは、冷戦時代の「封じ込め」から現在の「先制攻撃戦争」の教義への、米国の外交政策の継続性だ(詳細は下記の付録を参照)。

 新しいアメリカ世紀の計画(PNAC)は、多くの点でトルーマン・ドクトリンの継続と言える。すなわち、米国とNATOによって地球規模で戦われる覇権的な「長期戦争」だ。軍事行動は、世界の異なる地域で同時に実施されることになる(PNACで詳述されている):

複数の、同時進行的な、大きな戦域での戦争を闘い、断固として勝利せよ」

1044 追加

 言うまでもなく、ハリー・トルーマンからジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ(そして現在のジョー・バイデン)まで、民主党と共和党代々の政権は、この世界的な支配のための覇権的な青写真を実行するために関与してきた。この計画をペンタゴンは「長期戦争」と呼んでいる。

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 ケナンの著作は、「私たちの国と英帝国の良好な関係に基づく、支配的な英米同盟の構築の重要性」を指摘している。現代の世界では、この同盟は主にワシントンとロンドンの間の軍事軸と特徴付けられる。この軸はヨーロッパの同盟国の利益を犠牲にしながら大きな役割をNATO内で果たしている。また、ケナンはカナダを英米同盟に含めることの重要性も指摘した。この政策は現代において(NAFTAや軍事指揮構造の統合の下で)広い範囲で実施されている。カナダはアメリカとイギリスの仲介役と見なされ、アメリカがイギリスの植民地にも影響力を行使する手段とされた。これらの植民地は後にイギリス連邦の一部となった。

 重要なのは、ケナンが、英米軸と競合する可能性のある大陸ヨーロッパの大国(たとえば、ドイツやフランス)の発展を止めることの重要性を強調していることだ:

 今日、この半世紀の始め、というより終わりにあたって、私たちの中には、アメリカの安全性がしっかりしていることに疑いを持って、ある基本的な要因に目を向けている人たちもいる。私たちが見て取れるのは、我が国の安全性が、歴史の大部分にわたって、イギリスの立場に依存してきたことだ;特に、カナダは私たちの国とイギリス帝国との良好な関係のために貴重で不可欠な人質的役割を担い続けてきた;翻って、イギリスの立場は、ヨーロッパ大陸における力の均衡が維持されていることに依存していることも見て取れる。

 したがって、イギリスにとっても私たちにとっても、大陸における大国ひとつがユーラシア大陸全体を支配しないようにすることは極めて重要なことだった。私たちの利益は、むしろ内陸の大国の間で、ある種の安定したバランスを維持することにあった。その目的としては、それらの国のいずれも他国を征服したり、海洋沿岸部を制圧したり、陸地の力に加えて海洋の力を持つ大海洋国となったり、イギリスの地位を打ち砕いたりさせないためだった。そして、ヨーロッパとアジアの内陸の膨大な資源に支えられて、私たちに対して敵対的な海外拡大(このような状況では確実にそうなる)をさせないためだった。こういったことを見れば、私たちはヨーロッパとアジアの周辺大国の繁栄と独立に利害があることが理解できる:こういった国々の視線は内陸への権力の征服ではなく、海を渡って外向きに向けられてきた。(ジョージ・F・ケナン、『アメリカ外交』、シカゴ大学出版、シカゴ、1951年)

 今日、世界は世界史上最も深刻な危機的分岐点に立っている。米国とその同盟国は人類の未来を脅かす軍事的な冒険を展開している。この世界戦争の手引きは、1948年のトルーマン・ドクトリンにその歴史的な起源を持っている。

 ウクライナや東ヨーロッパにおける最近の動向と関連して重要な点は、ケナンが彼の1948年の国務省文書で明確に指摘した「ドイツを西ヨーロッパ内へ封じ込める政策」だ。ケナンの観察が示唆するのは、米国が欧州プロジェクトを支持するのは、それが米国の覇権的な利益を支持する範囲内である限りにおいてのみであるべきだ、ということだ。

 この点に関して言えば、2003年3月の米英によるイラク侵攻の猛攻の前においては、フランスとドイツの同盟の方が、大きな優位に立っていたことを私たちは思い起こす。この侵攻にフランスとドイツの両国は反対していたのだ。

 2003年のイラク侵攻は転換点だった。親米的な政治指導者(フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相)の選出は、国家主権の弱体化をもたらし、フランス・ドイツ同盟の崩壊につながった。

 今日、フランソワ・オランドとアンゲラ・メルケルは直接ワシントンから指示を受けている。

 さらに、現在の状況において、アメリカはドイツとフランスがロシアとの政治的・経済的関係を発展させることを止めようとしている。ワシントンからすれば、そんなことをさせれば、欧州連合(EU)におけるアメリカの覇権志向を損なうものと見られるからだ。

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「連邦化した欧州」

 アメリカ国務省が「弱体化したドイツ」に基づく欧州連合の青写真は、1940年代後半には描かれていたと思われる。

 1948年の文書において、ケナンは「連邦制のヨーロッパ」の形成を想定しており、それはイギリスとアメリカの支配的な同盟の強化、ドイツのヨーロッパの大国としての弱体化、そしてロシアの排除が基本だった。

ケナンによれば:

 長期的には、西部および中部ヨーロッパの将来には3つの可能性しかない。一つはドイツの支配。もう一つはロシアの支配。三番目は連邦制ヨーロッパ(の支配)だ。そうなればドイツの一部がそこに吸収され、他の国々の影響力がドイツを抑制するのに十分なものになる。

 もし本当のヨーロッパ連邦が存在せず、もしドイツが強力で独立した国家として復興した場合、ドイツの再度の支配的動きを私たちは想定しなければならない。もし現実的にヨーロッパ連邦が存在せず、そしてもしドイツが強力で独立した国家として復興しない場合、私たちはロシアの支配を招き入れる可能性がある。なぜなら組織化されていない西ヨーロッパは、組織化された東ヨーロッパに無制限に反対の立場を取ることはできないからだ。これらの二つの悪のうちいずれかを回避するための唯一の可能性は、西ヨーロッパと中央ヨーロッパにおける何らかの形の連邦である。

 さらに、注目すべきは、冷戦初期のアメリカがドイツの再統一に賛成していなかったということだ。正反対だった:ドイツは分割されたままであるべきだ:

 今日の私たちのジレンマは、ヨーロッパ連邦がアメリカの利益から見て間違いなく最善の解決策であるのだが、ドイツはそれに対して準備が不十分であるという事実にある。このような連邦を実現することは、もしドイツが分割されるか、もし根本的に分権化されるか、さらには、もしそのばらばらになった構成国が個別的にヨーロッパ連合に参加できるようになったら、はるかに容易になるだろう。統一されたドイツ、あるいは統一された西ドイツですら、そうした連合に参加させることは、はるかに困難になるだろう:なぜなら、そういうドイツは多くの点で他の構成国よりも重みを持ってしまうからだ。

 アジア、中国、インドを含む地域に関して、ケナンは軍事的な解決策だけでなく、アジアの人々を貧困状態に維持することの重要性についても示唆している。また、前面に押し出しているのは、分断を作り出す戦略と、アメリカの覇権的利益の阻害になるアジア諸国とソビエト連邦との関係構築を確実に止めることだ。

 「直接的な力概念に基づいて対処しなければならない日は遠くない。理想主義的なスローガンが邪魔になることが少なければ少ないほど、より良い」:

 さらに、私たちは世界の富の約50%を保有しているが、人口はわずか6.3%に過ぎない。この格差は、特に私たちとアジア民族との間で顕著だ。この状況では、私たちは嫉妬と敵意の対象となることは避けられない。来るべき時代における私たちの本当の仕事は、この格差の維持を国家安全保障に積極的な悪影響を与えることなく行うための関係のパターンを考案することだ。そのためには、感傷や妄想を一切捨てなければならず、私たちの関心は即座に国家の目標に集中されなければならない。今日、利他主義や世界への恩恵は何とかできる、などと私たちは自己を欺く必要はない。

 これらの理由から、極東地域に対する態度には大いに自制心を持つ必要がある。アジアおよび太平洋地域の人々は、私たちが何をしようとも、自分たちのやり方で政治的形態や相互関係の発展を進めていくだろう。このプロセスは自由で平和なものではない。最も大きなアジア民族である中国人とインド人は、まだ自分たちの食糧供給と出生率の関係に関わる基本的な人口問題の解決に着手していない。彼らがこの問題に何らかの解決策を見つけるまで、さらなる飢餓、苦難、そして暴力は避けられない。すべてのアジア民族は、現代技術の影響に適応するために新しい生活の形を進化させる必要があるのだ。この適応のプロセスも長期間かつ暴力的なものとなるだろう。以下のことは可能性があるだけではなく、おそらくそうなるのだ。つまり、このプロセスの中で、多くの民族が、いろいろな時期に没落してゆくということ、それもモスクワの影響のもとで。このモスクワのイデオロギーは、このような民族にとってより魅力的であり、おそらくより現実的なものでもある。私たちがそれに反対して提供できるものよりも現実的なのだ。こういったこともまた避けられないだろう;そして、そのような目的に米国民が喜んで譲歩してくれたとしても、それ以上の様々な国家的努力がなければ、これと闘うことなどできないだろう。
  
 この状況に直面して、極東に関する私たちの考え方に根付いているいくつかの概念を私たちは今すぐ手放す方が良いだろう。「好かれたい」とか高潔な国際的利他主義の守護者と見なされたいという願望を捨てるべきだ。私たちは自分たちの兄弟の守護者であろうとする立場に身を置くことをやめ、道徳的なアドバイスやイデオロギーに関して慎重になるべきだ。私たちは人権や生活水準の向上、民主化といった曖昧で、極東にとっては非現実的な目標について話すのをやめるべきだ。直接的な権力概念で対処しなければならない日が近づいている。理想主義的なスローガンが邪魔になることが少なければ少ないほど、より良い結果を得ることができるだろう。(強調は筆者)

 冷戦時代の初期から、ワシントンは国連の弱体化も狙っていた。ケナンによれば:

 アメリカの世論において国連構築への取り掛かりはたいへんな勢いだったので、繰り返し言われていることだが、私たちはこの戦後期において国連を政策の基盤にするしかないというのは真実かもしれない。時折、国連は有用な役割を果たしてきた。しかし、全体的に見れば、国連は解決よりも問題を引き起こし、外交努力の分散をもたらした。そして、主要な政治目的において国連の多数派を利用しようとする時、私たちは、いつか逆に私たちに敵対するような危険な武器を弄んでいるのだ。これは私たちにとって非常に慎重な研究と見通しを要する状況だ。(強調は筆者)

ミシェル・チョスドフスキー、2014年9月7日、2023年5月17日(2003年12月版をアップデート)
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付録
追加参照(原典参照文献も含む)
FOREIGN RELATIONS OF THE UNITED STATES 1945-1950 Emergence of the Intelligence Establishment
at http://www.state.gov/www/about_state/history/intel/
Foreign Relations Series (Kennedy through Nixon)
at http://www.state.gov/www/about_state/history/frus.html
For a list of Kennan’s writings at Princeton University library:
http://infoshare1.princeton.edu/libraries/firestone/rbsc/finding_aids/kennan/index.html
See also The United States’ Global Military Crusade (1945-2003) by Eric Waddell, Global Outlook, Issue 6, Winter 2003
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PPS/23: 米国外交政策の現状の動向概観
『アメリカ合衆国の対外関係』 1948年、第1巻、509-529ページ。政策企画室文書1
政策企画室所長(ケナン)から国務長官と次官(ラヴェット)への覚書
最高機密
PPS/23
(ワシントン、)1948年2月24日
(強調は筆者)

 エイチソン氏3が初めて私に企画室について話したとき、最も重要な機能は過去の私たちの行動から浮かび上がる外交政策の展開の軌跡を追跡し、将来に向けてそれらを予測することで、私たちがどこに向かっているのかを把握できるようにすることだと彼は述べた。

 企画室の運営の最初の数か月、私はそのような試みに踏み出すことをためらった。なぜなら、私たちの認識に真の価値を与えるために、関連する問題への十分に広い視野を持っている人間は一人もいないと感じたからだ。

 私は、外交政策の主要な問題について全般的な見解に向けたを試みに取り組んでみた。それを企画スタッフの文書として添付する。それは完全ではなく、疑いなく多くの欠点があるかもしれない;しかし、これはこの企画室の進化に、いつか役に立つと願っている統一された外交政策の概念に向けた最初の一歩なのだ。

 この文書は情報提供のみを目的としており、承認を求めるものではない。私はこの文書を国務省内で共有するための努力をしていない。なぜなら、そうすると文書の性格を変えてしまう可能性があるからだ。そのため、この文書に示された意見が国務省の行動の基礎となる場合は、関係する部署の意見を先に参考にするべきだと考えている。

 この文書には本来、ラテン・アメリカに関する章が含まれているべきだ。しかし、私はその地域の問題について詳しい知識がなく、企画室もまだそれを研究していない。バトラー4(私の不在時に私の後任となる5)は、これらの問題に長い経験を持っており、私が職務を離れたら彼とスタッフがラテン・アメリカ諸国に関する基本政策目標についての推奨事項を作成できることを期待している。

ジョージ・F・ケナン
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(付録)
政策企画室による報告書
最高機密
PPS/23

(ワシントン、)1948年2月24日。
現行の傾向に関するアメリカの外交政策の概観

I. 米国、英国、そして欧州

 西ヨーロッパが共産主義の支配から救われるという前提で、イギリスと大陸諸国の関係、一方でイギリスとアメリカ、カナダとの関係は、私たちにとって重要な長期的な政策問題となるだろう。この問題の範囲は非常に広く、その複雑さも多岐にわたるため、単純で容易な答えは存在しない。解決策は長期間にわたって一歩一歩進化していく必要がある。しかし、私たちの国益に最も適した枠組みの大まかな輪郭を考え始めるのは、今日でも遅すぎることはない。

 私の意見では、以下の事実はこの問題を考える上で基本的な要素となる。

1.もし、ヨーロッパの自由な国々がモスクワの支配下に結束する東側の国々に対抗し続けるためには、西ヨーロッパにおいて何らかの政治的、軍事的、そして経済的な連合形態が必要となるだろう。

2. もしイギリスの参加と支持がなければ、この連合が、設定された目的を果たすために、十分に強力な連合になれるかどうかは疑問だ。

3. 一方で、イギリスの長期的な経済問題は、他の西ヨーロッパ諸国とのより緊密な関係だけではほとんど解決できない。なぜなら、これらの国々はイギリスが必要とする食料や原材料の余剰をほとんど持っていないからだ。この問題は、カナダとアメリカとのより緊密な関係によってずっとうまく解決される可能性がある。

4. イギリスは含め、東ヨーロッパは除外する形でのヨーロッパ連合が経済的に健全となる唯一の方法は、東半球またはアフリカとの最も緊密な貿易関係を構築することだ。

 上記からわかるように、私たちはある種のジレンマの前に立っている。もし私たちがイギリスを米国・カナダの勢力圏に取り込むとすれば、「今こそ連合」という形式に基づいて、おそらくイギリスの長期的な経済問題を解決し、強力な自然な政治的実体を作り出すだろう。しかし、これによってイギリスは大陸諸国との緊密な政治的連携から切り離されることになるだろうし、その結果、大陸諸国がロシアの圧力により脆弱化する可能性がでてくる。一方で、イギリスが大陸隣国とのより緊密な関係に救済を求めるように背中を押される場合、イギリスやドイツの長期的な経済問題に明確な解決策はなく、欧州復興計画(ERP)の終了時には、この国(イギリス)にヨーロッパへの援助を求めることはまた危機に陥ることになるだろう。6

 このジレンマから抜け出すためには、私には2つの方法しか見えない。これらは相互に排他的ではなく、実際には互いに非常に補完的なものかもしれない。

 第一に、イギリスがヨーロッパ連合への参加計画を積極的に進めるようその背中を押すことができるだろう、そして単にイギリスだけではなく、その連合全体をこの国イギリスとカナダとのより緊密な経済的関係に結び付けることができるだろう。ただし、これが本当に効果的になるためには、経済的な関係が通貨と関税の一体化をもたらすほど密接である必要がある。また、ヨーロッパと(北米)大陸の間で個人の移動の相対的な自由も必要だ。これによって、私たちがこれらの地域がこの国からの政府援助への異常な依存を解消するために実現する必要のある私的資本と労働力の自由な移動が実現できる。ただし、ITO(国際貿易機関)憲章7の観点から、そのような計画の可能な含意にも注意を払う必要がある。私が見る限り、この憲章草案があっても、貿易協定プログラムの背後にある理論全体も同様だが、西ヨーロッパ諸国に特別な施設を広げることはむずかしいだろう。それは、私たちが他のITO参加国や貿易協定の参加国に対してしてこなかったことだ。

関連記事:トランプ大統領の誕生と迫り来る欧米間の対立

 第二の可能な解決策は、西ヨーロッパ諸国の連合がアフリカ大陸の植民地および依存地域の経済開発と利用を共同で行う取り決めである。このような計画の実現には、確かに現在の西ヨーロッパの政府の見通しや力、その指導力をはるかに超える課題ある。外部からの駆り立てと多くの忍耐が必要となるだろう。しかし、この考え自体には多くの利点がある。アフリカ大陸は比較的共産主義の圧力を受けにくく、そのほとんどが、現在、大国の対立の対象にはなっていない。西ヨーロッパの海洋国家が容易に近づけ、政治的にはその大部分を支配または影響下に置いている。その資源はまだ比較的未開発だ。アフリカは多くの人々とヨーロッパの余剰の技術と管理のエネルギーを吸収することができるだろう。最後に、それは、ここ数か月間手探りしても、誰もあまり成功しなかった西ヨーロッパ連合という考えに具体的な目標を与えるだろう。

 これがどんな風になろうと、一つははっきりしている:もし欧州復興計画(ERP)の主要目的を達成したいのであれば、私たちは心から、かつ忠実に、イギリスの西ヨーロッパ連合への取り組みを支援しなければならない。そして、この支援は、時折、公的な賛成意見を表明するだけでは駄目だ。この問題は、気持ちを込め、かつ共感的に、イギリス自身と西ヨーロッパの他の政府との間で議論されるべきだ。このような議論においては、私たち自身の政策の明確化や、ヨーロッパ人自身への健全で助けになる影響を行使する点で、多くの成果が上げられるだろう。特に、私たちが西ヨーロッパ諸国に、ドイツ人をヨーロッパの市民として扱う必要性を説得する手助けができれば、非常に大きな成果を上げることになるだろう。

 それを念頭に置いて、私は西ヨーロッパ交渉団の一人ひとりに、西ヨーロッパ連合問題の特別研究を行うことを要請したほうがいいのかもしれない。それは一般的な観点と関連する特定の国に言及して考える必要がある。また、この研究の準備過程で、各首都の知識と経験豊富な人々の意見を参考にする機会を得ることも要請したほうがいいのかもしれない。これらの研究には、基本的な問題への接近方法に関する独自の推奨事項も含まれるべきだ。国務省におけるこのような研究の要約は、問題となっているこの問題について、かなり健全で、境界をこえたバランスの取れた意見を生み出すはずだ。


II. 欧州復興計画

 現在の議会での討論の進行により、現政府がヨーロッパ支援の問題において進む方向性の輪郭をある程度の確率で見極めることが可能になっている。

1. 復興計画の運営

 浮かび上がった今回の復興プログラムの最も重要な特徴は、それが政治的な問題ではなく、技術的な業務として現政府によって実施されるということだ。私たちは現実的に直面しなければならないのは、これによって復興プログラムの潜在的な政治的影響が大幅に減少し、現政府のヨーロッパに対する政策に混乱、矛盾、そして無効化の度合いをもたらす可能性があるということだ。現政府の別個の機関によるヨーロッパ政府との関係の運営は、非常に重要な問題を巡って、長期間行われるため、それは国務省のヨーロッパ事務業務への深刻な影響をもたらし、その使命の威信、能力、そして効果を低下させることは避けられない。

 このような状況では、国務省がヨーロッパ諸国との関係の進展に対して影響を及ぼす可能性は、主にホワイトハウスを通じて国家政策に影響を与えることができるかどうかにかかってくることになる。つまり、国務省とホワイトハウス、特に国家安全保障会議との連絡手段に非常に重要な役割が与えられる必要がでてくる。

 しかし、このような回り道の経路を通じて行われる国家政策や、欧州復興計画のような新たな独立組織を含む政策が、一点の曇りもなく効果的になるなどと期待するような自己欺瞞はすべきではない。政策立案の機能が明確に政府の通常の機関に委ねられる限り、そのような政策が本当に効果的になることはないのだ。政策を実行する人々の理解を得ることがなければ、どんな政策も本当の意味で効果的になることはない。外交政策の分野における政府の政策の理解は、その分野に新たな人々が関わる場合でも、最善の意思によっても容易に獲得することはできない。これは短期間で行えるような概況説明や指導でどうこうできるものではない。それは数年を要する教育と訓練の問題なのだ。

 戦時中および戦後の臨時の機関が外交の現場で運営された経験から、新たな機関は、その身内の職員の視野や教育的な範囲を超える政策を実行する上でほとんど価値がないことが明らかになっている。また、実際には、これらの機関は自己の勢いを発展させ、最終的には国家政策を形成する傾向があり、下働きをするというより国家政策を作り上げる結果になることが分かっている。

 この援助プログラムの実施方法が、その基本的な目的が果たされないことを意味するわけではないと私は考えている。米国の援助を柔軟な政治的手段として戦術的に活用することはほとんどできないが、資金と物資自体がヨーロッパの現場において重要な要素となる。この経済支援の利用可能性そのものが、いわば西ヨーロッパの人々が政治的独立を維持するための自己の闘いにおいて、彼ら自身が支えになる新たな地形的要素を創り出すだろう。

 しかし、この法案が可決されたのだから、問題の大部分は私たちの手から離れることを認識しなければならない。欧州復興計画の運営により、国務省自体が当該期間中にヨーロッパに関連して鋭くかつ活発な政策を実施することは困難になる。もちろん、私たちは引き続きヨーロッパの情勢の発展を注意深く研究し、ヨーロッパ地域に関連する国家政策の形成にできる限り貢献する義務を果たす必要がある。しかし、それによって国務省は、世界の広範な地域の中でも、近年の戦争中に多くの場合に占めた位置に後退する。すなわち、執行機関ではなく、助言的な機関としての位置だ。

2. 時間的要素と量の問題.

 議会がこの問題に対していつまでもぐずぐずしていると、復興プログラムの成功に明確な危険をもたらす。援助が利用可能になる日とヨーロッパの予備資金が持ちこたえられる時点との間にギャップがある場合、復興計画の効果の大部分が無効化される可能性がでてくる。

 おそらく、私たちが嘆願したり強く求めたりして議会の行動を早めることはあまりできないだろう。しかし、議会に対して、私たちは関与する時間制限(国務省の経済分析者が決定する必要がある)と遅延の可能性に伴う潜在的な結果を率直に述べるべきだと私は思う。さらに、特定の時間制限を超えて付与される援助は、①現政府の行政部門の推奨に応えて考えることはできないし、②行政部門は、これらの状況下での望ましい復興計画やその効果に対する責任を負うこともできない、以上2点ははっきりさせておこう。

 もし復興プログラムが、私たちが復興目的に必要と考える最低限の金額以下に削減される場合、同じ原則が適用される。

 どちらに転んでも、私たちが議会に「指図」しようとしているとの批判が出るだろう。しかし、ここには重要な責任の問題がある;もし今、不十分で遅すぎる、またはその両方である援助プログラム(現政府はそのことを知っている)に対して責任の一部を受け入れるよう強制されることがあれば、現政府の行政部門は将来困った立場に置かれることになる。

3. 欧州連合の問題

 ハーバード演説8への最初の反応は、欧州でもここ(アメリカ)においても、援助計画の成功にとって欠かせない欧州統一の概念がいかに重要かを示した。もし復興計画が参加国をより結びつけるための実際の取り組みを行わなければ、それは確実に中心となる目的には失敗し、国際社会の目には、尊厳と重要性を備えてはいても、外国経済援助のこれまでの取り組みとは異なったものに映るだろう。

 いろいろ熟慮しているこの段階において、議会だけでなく、国務省でも、この基本的な事実が見失われるという現実の危険性がある。

 したがって、援助計画の概念におけるこの要素を強調する機会を逃さずに利用し、16ヶ国間の協力と共同責任の原則が、私たちが手掛ける運営全体で重視されるよう強く主張する必要がある。


III. ドイツ 9

 ドイツにおける(占領)軍政にとっての責任に関する今後の変化は、私たちにとってドイツに対する新たな長期的な目標の概念を発展させる適切な機会を与える。既存の政策指令の概念に頼ることはできない。これらは別の状況に対応するために設計されたものであり、また、多くの場合、それ自体が妥当であるかどうか疑問だ。

 この関連で行われる計画立案は、必然的に多面的で膨大なものとなるだろう。しかし、私たちは今日、私たちが直面する問題の主たる輪郭と、求める必要のある解決策の大まかな構図を見ることができると思う。

 長期的には、西部および中部ヨーロッパの将来には3つの可能性しかない。一つはドイツの支配。もう一つはロシアの支配。三番目は連邦制ヨーロッパ(の支配)だ。そうなればドイツの一部がそこに吸収され、他の国々の影響力がドイツを抑制するのに十分なものになる。

 もし本当のヨーロッパ連邦が存在せず、もしドイツが強力で独立した国家として復興した場合、再びドイツによる支配の試みが起こることを我々は想定しなければならない。もし本当のヨーロッパ連邦が存在せず、ドイツが強力で独立した国家として復興しない場合、私たちはロシアの支配を招きいれることになる。なぜなら組織化されていない西ヨーロッパは、組織化された東ヨーロッパに無期限に対抗することはできないからだ。これらの二つの悪のうちいずれかを回避するための合理的に期待できる唯一の可能性は、西ヨーロッパと中央ヨーロッパにおける何らかの形の連邦である。

 今日の私たちのジレンマは、ヨーロッパ連邦がアメリカの利益から見て間違いなく最善の解決策であるのだが、ドイツはそれに対して準備が不十分であるという事実にある。このような連邦を実現することは、もしドイツが分割されるか、もし根本的に分権化されるか、さらには、もしそのばらばらになった構成国家が個別的にヨーロッパ連合に参加できるようになったら、はるかに容易になるだろう。統一されたドイツを、あるいは統一された西ドイツすらそうだが、そうした連合に参加させることは、はるかに困難になるだろう:なぜなら、多くの点で他の構成国家よりも重みを持ってしまうからだ。

 もし敗戦直後に断固として迅速に実行されていたならば、ドイツ帝国の分割は可能だったかもしれない。しかし、その時は過ぎ去り、今日私たちは別の状況に直面している。現状では、ドイツ人は心理的にはドイツ帝国分解への心構えができていないだけでなく、分解に対してはっきりと好ましくないと思う心境にある。

 今後のドイツの将来に関する計画を立てる際には、これまでの占領は、ドイツ人の心理的な観点からすれば運が悪かったと思っている不快な事実を私たちは考慮しなければならない。ドイツ人が今身をもたげてきているのは、戦後期のこの位相からであり、その心理状態は不機嫌で、苦々しく、改心しない態度であり、そして旧ドイツ統一の幻想に病的に執着している、と描写すれば一番ぴったりする。ドイツ降伏以来、私たちの道徳的・政治的な影響力は進展していない。彼らは私たちの教えや模範に感銘を受けていない。彼らは私たちに指導を期待しないだろう。彼らの政治生活は、おそらく極右と極左に両極化し、私たちの観点からは敵対的で扱いづらく、私たちの価値観を軽蔑するものとなるだろう。

 私たちは、そのようなドイツが、自発的に欧州連合の枠組みに建設的に参加するようになる、という展開には頼れない。そうかと言って、ドイツ人なしでは、本当の欧州連合は考えられない。そして連合がなければ、他のヨーロッパ諸国は外部支配の新たな試みがあっても、保護を受けることはできない。

 もし私たちがロシア人とドイツの共産主義者に、私たちの分割への動きを政治的に利用する準備させない場合、私たちは住民の意思に関係なくドイツを分割し、それぞれの地域を連邦制ヨーロッパに組み込むことができるだろう。しかし、今日の状況では、ドイツ人を共産主義者の腕の中に政治的に投げ込まずにこれを行うことはできない。そして、もしそんなことが起これば、私たちのヨーロッパにおける勝利の成果は台無しになってしまうだろう。

 そのため、排除のプロセスによって、私たちのもついろいろな可能性は絞られ、ドイツの分割の問題を押し付けるのではなく、ドイツつまり西ドイツを欧州連邦に組み込もうとする政策になってくる。ただし、それを行う際にはドイツにその連邦を支配する、あるいは他の西ヨーロッパ諸国の安全保障利益を危険にさらさせることも許してはならない。そして、これはドイツ人が①自発的に自制心を持つこと、②他の西側諸国に対する十分な責任感を抱くこと、また③ドイツ国内において、他のヨーロッパ諸国における西側の価値の保護に関心を持つこと、以上3点は期待できない、という事実を前提に達成される必要がある。

 私は、この問題に対処する手段として、従来の集団安全保障の概念を信頼していない。ヨーロッパの歴史は、完全な主権国家間の多国間防衛同盟が、欧州情勢の支配を図る執拗で決意のある試み対して、あまりにも弱点があり過ぎたことを一点の曇りもなく示している。他の西ヨーロッパ諸国の人々の偏見に対応するため、いくつかの相互防衛の取り決めは必要となるだろう。彼らの考え方はこの問題においてまだ古くさく、非現実的なのだ。しかし、再びドイツ人が問題を起こすことの抑止を彼らに頼るわけにゆかない。

 こういったことがあるので、ドイツと西ヨーロッパ諸国との関係は、ドイツ国民と軍事産業の潜在的な優位性が不正な搾取に使われないよう、機械的かつ自動的な保障策が提供されるように配置されるべきなのははっきりしている。

 私たちの計画の最初の作業はそのような保障策を見つけることになるだろう

 これに関連して、ルール地域の問題には最優先の考慮を要する。ルール地域の産業における国際的な所有権または管理形態は、将来的なドイツの産業資源の攻撃的な目的への悪用に対する自動的な保護の最良手段の一つとなるだろう。他にも探求する価値のある手段があるかもしれない。

 私たちの計画の第二の方向は、ドイツの経済をヨーロッパの他の地域と最大限に結びつけることだ。これは、現在の政策をある面で転換する必要があるかもしれない。私の意見では、私たちの戦後政策の最も深刻な誤りの一つは、ドイツ人を再び極端に分離し、実質的にヨーロッパの他の人々から孤立した状態で、以前よりもさらに狭い領域に押し込めることだった。このような分離と押し込めは、必ずドイツ人の性格において最悪の反応を引き起す。ドイツ人が必要としているのは、暴力的に自己に押し込められることではない。そんなことをすればドイツ人固有の非現実主義と自己憐憫と挑戦的な民族主義を高めるだけだ。彼らが必要とするのは、集団的な自己中心主義が外へと導かれ、より広い視野で物事を見るように促され、ヨーロッパや世界の他の場所に興味を持ち、自分自身を単にドイツ人ではなく世界市民として考えることだ。

 次に、私たちはドイツ人に対する私たちの道徳的影響力の破綻を認識しなければならない。また、心理的に不適切であった私たちの行動と政策をできる限り早く終了させるための計画を立てる必要がある。第一に、私たちはドイツにおける私たちの駐留を可能な限り削減しなければならない。被征服地域に戦勝国の代表が大勢居住しているのは、特に彼らの生活水準が目立つほど異なる場合、決して有益なことではない。第二に、私たちは、ドイツ国内の問題に対して指導者や裁判官として振舞う傾向のある活動(非ナチ化、再教育、特にニュルンベルク裁判)をできるだけ早く終了しなければならない。第三に、私たちは勇気を持って、できるだけ早く(占領)軍政を廃止し、ドイツ人に再び自身の問題に対する責任を受け入れさせる必要がある。私たちが彼らの責任を引き受けている限り、彼らは自分たちの責任で動くことはない。

 西ドイツの軍事占領は長い間続けざるをえないかもしれない。私たちはそれがヨーロッパの情勢において準恒久的な要素になることを覚悟しなければならないかもしれない。しかし、軍政は別の問題だ。それが撤廃されるまで、私たちは本当の意味でより安定したヨーロッパに向けて進展することはできない。

 最後に、今後はドイツ直近の西側隣国を視野に置きながら、ドイツに対する政策を調整するための、可能なすべての努力をしなければならない。特にベネルクス諸国には、私たちの意見の実施において価値ある協力を提供することができるだろう。これらの隣国こそが、最終的に私たちが進める解決策とともに生活しなければならないのだから。西ヨーロッパの秩序を成功させるためには、彼らが十分な貢献をし、責任を果たすことが不可欠だ。彼らの支持を得るために、私たち自身の政策を調整する方が、彼らの感情に反して一方的に行動しようとするよりも良い結果をもたらすだろう。

 こういった仕事や問題が、私たちの眼前にあるため、私たちにとって重要なのは、これらの課題と問題が私たちの将来の政策に悪い影響を与えるようなことは、この過渡的な期間においては、何もしないことだ。国務省の関係部署には、彼ら自身の仕事においてこれを念頭に置くよう指示するべきだ。また、ドイツでの政策の執行において、軍当局もこれを念頭に置くべきだ。他の政府の代表との議論でも、これらの考慮事項を順守すべだ。特に、フランスとイギリスとの今後の議論にはこれが当てはまる。


IV. 地中海

 昨年の状況進展により、ソビエト連邦が西ヨーロッパの統一を崩し、その地域に政治的に進出する可能性は、北ヨーロッパでは低下している。ここでは人々の政治的な成熟が徐々に確立しているのだ。地中海沿岸の南部では(ソ連は)自国の地位を保持し、実際には増強している。ここでは、ロシア人はバルカンの衛星国に対する(狂信的な)優越主義だけでなく、ギリシャとイタリアの国民10の絶望的な弱さと疲労も資産として持っている。現在のギリシャとイタリアの状況は、恐怖を政治的手段として利用し、共産主義運動にとって基本的でなじみ深い戦術に適している。

 外国の共産主義勢力によってもたらされる国家の独立への脅威に直面するために必要な武器を、現政府が持っていないことは何回繰り返し言っても言い過ぎにはならない。このことは、抵抗が最も低い国々で共産主義者が成功を収めるのを防ぐために、現政府が取ることができる対策について、とてつもなく困難な問題を生み出す。

 企画室は、これに検討した他のいかなる個別問題よりも多くの注意を払ってきた。その結論をまとめると以下のようになる:

(1) 現地(外国)の共産主義勢力に対抗するために米国の正規軍を使用することは、一般的には危険で利益をもたらさない取り組みと考えられるため、善より害をもたらす可能性が高い。
(2) ただし、もしも継続的な共産主義活動が、アメリカの軍事力を被害地域の周辺に引き寄せる傾向があることが示され、そして、もしこれらの地域が、クレムリンが明確にアメリカの力を排除したい地域である場合、①これによってソビエト連邦の防衛安全保障利害を活用し、②ロシアが地元の共産主義勢力に抑止的影響を行使する可能性がでてくる。

 そのため、企画室は私たちにとって最も賢明な政策は、私たちの行動によってロシアにはっきりさせることだ。すなわち、共産主義勢力がギリシャやイタリアへ進展すればするほど、現政府が地中海地域における平時の軍事展開を拡大せざるを得なくなることを。

 私たちが何の疑いも抱いていないのは、もしロシア人が①ギリシャで共産主義政府を樹立すれば、リビアとクレタにアメリカの空軍基地が設立される、そして②北イタリアでの共産主義蜂起が起これば、アメリカはフォッジャ基地の再占拠をもたらす、この2つを知れば、クレムリン委員会内で、第三インターナショナルの利益とソビエト連邦の純粋な軍事安全保障の利益との間で紛争が生じだろう、ということだ。この種の紛争では、狭義のソビエト国家主義の利益が通常優位に立つ。もし今回もそれが勝利すれば、ギリシャとイタリアの共産主義者には制約がかけられることになるだろう。

 これはある程度、既に事実となっている。私が思うに、ほとんど疑いないことだが、地中海での海軍活動(これには海兵隊の追加増員も含まれる)や、ギリシャへのアメリカ軍派遣の可能性についての話が、これまで衛星国がマルコス政府を認めない要因の一部であり、おそらくクレムリンがディミトロフ(訳註:ブルガリア共産党の指導者)を叱責した要因にもなっている。私が思うに、同様に、イタリアからの最終的な軍隊撤退時に私たちが発表した声明が、春の選挙前におけるイタリアでの共産主義蜂起計画の放棄においておそらく決定的な要素となっている。

 そのため、ギリシャやイタリア、および地中海地域に関する私たちの政策は、以下の点をロシアに示すことを目指すべきだと考える:

(a) 共産主義の脅威の低減は、私たちの軍事的な撤退をもたらすことになるが、
(b) さらなる共産主義の圧力は、軍事的な意味で私たちをより深く巻き込む結果となる。


V. パレスチナと中東

 パレスチナに関する企画室の見解は、別の文書11で示してある。ここでそれを繰り返すつもりはない。しかし、パレスチナ問題と中東全体の立場について、重要な背景として考慮すべき事項が2つある。私はこの時点でそれらを強調しておきたい。

1. 中東における英国の戦略的立場

 現政府内で私たちが結論に達していることだが、中東の安全保障は私たち自身の安全保障にとって重要である。また、現在イギリスが保有している戦略的な施設を複製または引き継ぐことは望ましくないという結論にも達している。戦争の場合、これらの施設は実質的に私たちの支配下に置かれることを認識しており、イギリスから形式的にそれらを移管しようとすることは新たな無用な問題を引き起こすだけである。おそらく一般的に言っても、うまくゆくことはないだろう。

 これは、その地域におけるイギリスの戦略的地位の維持を支援するためにできる限りの努力をしなければならないということを意味する。これはすべての個別の事例で彼らを支持しなければならないということではない。彼らが自ら間違った立場に陥った場合や、私たちが過度な政治的負担を負うことになる場合には彼らを支持する必要はない。しかし、イギリスとアラブ世界の関係を緊張させ、アラブ諸国におけるイギリスの地位を低下させるような政策は、結局は私たちの首を締め、我が国の直近の戦略的利益に反する政策になるということを意味する。

2. 我が国の政策の方向性

 現政府が今直面しているのは、私たちをパレスチナにおけるユダヤ国家の維持や拡大に主要な責任を負う立場に追い込もうとする圧力だ。この方向に進めば進むほど、私たちはその地域における重要な安全保障利害に、まさに逆行する作戦行動をすることになる。そのため、パレスチナ問題における私たちの政策は、この道に追い込まれることを避ける決意によって主導されるべきだ。

 私たちは現在、このパレスチナ問題に、重くかつ不運な形で関与している。過去の約束や国内の圧力に対して、さらなる譲歩をする必要があるようだ。

 こういった譲歩は危険なものになろう;が、私たちが、自分のやっていることをきちんと自覚し、私が上で言及した責任が生じる可能性を避ける方向に全体の方向を定めるのであれば、必ずしも破滅的なものにはならないだろう。もし私たちがその方向には進まず、現在の複雑な状況の渦の中で抵抗の最小限の方向に漂流するのであれば、中東地域全体の私たち政策は疑いなく混乱し、無力化し、私たちの観点からは幸せな結末がない方向に引っ張られることになるだろう。

 もし現政府がいかなる形態でもアメリカ軍をパレスチナに派遣したり、国際的なボランティアの募集やソ連の衛星国の軍隊の派遣に同意せざるを得ないよう事態になった場合、次のことはきちんと言っておかなければならないと思う。つまり、その場合、私の意見では、地中海と中東地域のために私たちが構築してきた戦略的および政治的計画の全体構造が見直され、おそらく変更されるか、他のものに置き換えられる必要があるだろう、ということだ。

 それはつまり、これらの地域に関わる非常に重要な問題において、国益ではなく他の検討事項によって導かれることに同意したということを意味することになるからだ。この事実に直面した場合、隣接地域において国益のみに基づいた政策を続けようとすると、最終的には目的の二重性に直面し、取り組みの分散と混乱を招くことになる。私たちは、隣り合った地域で一つの目的を持ちながら、相反する目的を持って行動することはできないからだ。

 したがって、過去の約束や国連の決定、あるいはその他の考慮事項によって、中東地域の住民の大多数が反対するいかなる取り決めのパレスチナでの施行にも主導的な役割を果たす義務があると判断した場合、世界のこの地域における一般的な政策を見直すことによって、この行為の意味合いに直面する覚悟が必要である。そして、中東は、現政府が世界的な軍事および政治計画において基礎としている現在の安全保障概念にとって不可欠であるため、これはさらに、本政府の軍事および政治政策全体の見直しを意味することになるであろう。


VI. ソビエト社会主義共和国連邦

 もしロシアが今後数ヶ月において、鉄のカーテンの外にある主要な国々(ドイツ、フランス、イタリア、ギリシャ)において浸透し、政治的支配を確立するという試みでさらなる成功を収めた場合、私の意見では、彼らと協議することは不可能なままだろう。なぜなら、彼らは自らの交渉の立場が近いうちに改善されることを期待しているため、この時点でドイツの問題を私たちと解決する理由を見出さないからだ。

 他方、もし鉄のカーテンの外側の状況が改善しないならば、もしERP(欧州復興計画)の援助が適切な形で時間通りに届き、そして、もし西ヨーロッパの自信が回復すれば、その時は新たな状況が生まれ、ロシアは(ドイツ)降伏以来、初めて、ドイツやヨーロッパ全体について真剣に取引を行う準備をするだろう。彼らはこれに気づいており、自分たちの計画のなかにその可能性を考慮に入れつつある。実際、彼らはこの2つの事態のうち、これがより起こりやすいと見なしていると私は思う。

 その日が来るとき、つまりロシアが現実的に私たちと話し合う準備ができるようになるとき、私たちは真のアメリカの政治手腕の試練に直面することになる。そして、正しい解決策を見つけることは容易ではない。なぜなら、ロシアは私たちに対して、1939年にドイツと結んだものと類似した勢力圏合意を結ぶことを求めるだろうから。それができない理由を彼らに説明することが私たちの仕事になるだろう。しかし、またそれはやるだけの価値も示すことができなければならない。

(a) 私たちが大陸と地中海から全ての軍隊をなんとか撤退できるレベルまでヨーロッパと中東の他の地域での共産主義の圧力を減らすこと、;そして

(b) その後、ヨーロッパにおける長期にわたる安定に同意すること。

 もし私たちがCFM(制裁委員会)や他の公的な会議で直接的に取り組もうとするなら、私はこの課題が成功裏に達成されるのは難しいと思う。私たちとロシアとの公開の交渉は、スターリンとの最も秘密で繊細で準備的な協議が行われない限り、明確かつ満足のいく結果には至らないだろう。12私は、これらの協議は、以下の条件を満たす人物によってのみ成功裏に行われることができると考える。

(a)  その議論において、自身の成功に対して公に評価されることは当然のことながら、個人的な利益を求める意図が全くなく、全体の進行について最も厳密な沈黙を守る準備がある人;そして
(b)  私たちの政策の背景だけでなく、ソビエトの哲学や戦略、そしてソビエトの政治家がこのような議論で使用する弁証法についても徹底的に熟知しているひと。

(この人物がロシア語で会話ができれば特に望ましい。私の意見では、これはスターリンとの間で重要。)

 これらの協議は、任意の秘密の議定書や他の文書上の理解に到達することを目指すものではない。それらは、CFM(制裁委員会)のテーブルや他の場所で到達することを期待するいかなる文書上の理解の背景を明確にするために行われるべきなのだ。なぜなら、私たちは今、国際協定の言葉がロシア人にとって私たちとは異なる意味を持つことを知っているからだ。そして、私たちが到達するかもしれないさらなる文書上の合意について、実際に何を意味しているのかについて共通の理解を深めることが望ましい。

 ロシア人はおそらく選挙が終わるまで私たちと「ざっくばらんに話す」ような心構えはないだろう。しかし、もし協議が急に始まる必要がなく、事前に準備が整っている状態であれば、その時彼らと話すことはずっと容易だろう。

 最近、ロシア人は明らかに私たちの意見を引き出し、非公式の場で率直かつ現実的に彼らと話し合うことに対する私たちの関心を試す意図で、ベルリンでマーフィーに興味深い接近を行った。このような議論をさらに進めるには、ベルリンが望ましい場所だと私は思わない。他方、私たちは彼らを完全に無視すべきではないとも考えている。私たちとのより良い理解が望ましいと促すクレムリンの人々がいるかもしれない。そういった人々に失望を与えないよう、常に注意を払わなければならないのだ。

 上記の点を考慮すると、私たちは今後数ヶ月間にロシア関連の人事配置に注意を払うべきだと思う。そして、最終的にクレムリンと何らかの背景の理解に到達する可能性を考慮して、私たちは常に慎重に行動すべきだ。しかし、①この理解が必然的に限定的なものであり、②冷徹な現実に基づくものであること、③文書化することはできないし、④それが引き起こされた一般的な国際情勢のあとまで残ることは期待できない、以上の4点は心に留めておかなければならない。

 付け加えるが、私はそのような理解は主にヨーロッパと西地中海地域にしっかり限定しておく必要があると考えている。その理解を中東や極東に適用することは難しいと思う。中東や極東の状況は不安定すぎ、将来の見通しは混迷しており、さまざまな可能性は広大で予測不可能すぎるため、そのような議論の余地はない。日本と満州の間の経済的な交流は、ある種の物々交換の取り決めによって慎重に修正された形で復活する可能性がある。これは私たちの立場からしても、十分心にとめておいてよい目標である。しかし、一方、私たちは日本の政策を立案する際に、そのような議論のために、現在よりも優れた交渉力を創造することを念頭に置かなければならない。


VII. 極東

 極東における現政府の立場に関して、私の主な印象は、私たちが極東で成し遂げることができると考えていること、そしてそれを成し遂げようとしていることにおいて、私たちの考え方が全体としてあまりにも膨らみすぎている、ということだ。これは、残念ながら政府だけでなく、米国民にも当てはまる。

 アジア民族の間では、私たち自身の道徳的およびイデオロギー的力の限界があることは早急に認識する必要がある。

 私たちの政治哲学や生活のパターンは、アジアの大衆にはほとんど適用性がない。それらは、私たちには適しているかもしれない。何世紀にもわたる高度に発展した政治的伝統と、特に有利な地理的位置を持っているからだ;しかし、現在のアジアの大部分の人々にとって、それは、はっきり言って、実用的でもなければ、役にも立たない。

 そうなれば、私たちはアジアで「指導力」を発揮するという言葉を使う際に非常に注意を払わなければならない。私たちがこれらのアジアの人々を悩ませる問題に対する答えを持っているふりをすることは、自己欺瞞でもあるし、他の人を欺いていることにもなる。

 さらに、私たちは世界の富の約50%を保有しているが、人口はわずか6.3%に過ぎない。この格差は、特にアジアの人々との間で顕著だ。この状況では、私たちは嫉妬と敵意の対象となることは避けられない。私たちが今後直面する真の課題は、この格差の維持を国家安全保障に積極的な悪影響を与えることなく行うための関係のパターンを考案することだ。そのためには、感傷や妄想を一切捨てなければならず、私たちの関心は即座に国家の目標に集中されなければならない。今日、利他主義や世界への恩恵は何とかできる、などと私たちは自己を欺く必要はない。

 これらの理由から、私たちは極東地域に対する態度において非常に慎重になる必要がある。アジアと太平洋地域の人々は、私たちが何をするにせよ、自分たちのやり方で政治形態や相互関係の発展を進めていくだろう。このプロセスはリベラルでも平和的なものでもない。

 最も大きなアジアの民族である中国人とインド人は、まだ自分たちの食糧供給と出生率の関係に関わる基本的な人口問題の解決に着手していない。彼らがこの問題に何らかの解決策を見つけるまで、さらなる飢餓、苦難、そして暴力は避けられない。すべてのアジアの民族は、現代技術の影響に適応するために新しい生活の形を進化させる必要があるのだ。この適応のプロセスも長期間かつ暴力的なものとなるだろう。以下のことは可能性があるばかりでなく、おそらくそうなるのだ。つまり、このプロセスの中で、多くの民族が、いろいろな時期に没落してゆくということ、それもモスクワの影響のもとで。このモスクワのイデオロギーは、このような民族にとってより魅力的であり、おそらくより現実的なものでもある。私たちがそれに反対して提供できるものよりもそうなのだ。こういったこともまた避けられないだろう;そして、そのような目的に米国民が喜んで譲歩してくれたとしても、それ以上の様々な国家的努力がなければ、これと闘うことなどできないだろう。

 この状況に直面して、極東に関する私たちの考え方に根付いているいくつかの概念を今すぐ手放す方が良いだろう。私たちは「好かれたい」とか高潔な国際的利他主義の守護者と見なされたいという願望を捨てるべきだ。私たちは自分たちの兄弟の守護者であろうとする立場に身を置くことをやめ、道徳的なアドバイスやイデオロギーに関して慎重になるべきだ。私たちは人権や生活水準の向上、民主化といった曖昧で極東にとって非現実的な目標について話すのをやめるべきだ。直接的な権力概念で対処しなければならない日が近づいている。理想主義的なスローガンが邪魔になることが少なければ少ないほど、より良い結果を得ることができるだろう。

 今後の極東地域における私たちの影響力は、主に軍事と経済にあることを認識すべきだ。私たちは慎重に調査し、太平洋と極東の世界の中で私たちの安全保障に絶対に重要な部分がどこかを確認し、私たちが制御または頼ることのできるそれらの地域が、ずっと手中にあるように政策を集中すべきだ。私たちがこれまでに行った調査に基づいて、私の予想では、日本とフィリピンがそのような太平洋安全保障システムの基盤となると考えられる。もし私たちがこれらの地域を効果的に制御し続けることができれば、私たちの安全保障に対する東方から深刻な脅威は、私たちの目の黒いうちにはあり得ない。

 この最初の目標を確かなものにして初めて、私たちは思考や計画をより広範囲に広げるという贅沢が許される。

 もしこれらの基本的な概念が受け入れられるならば、私たちの当面の目標は以下の通り:

(a) できるだけ迅速に、中国における不安定な関わりを解消し、その国との関係において分離した立場と行動の自由を取り戻すこと。
(b) 日本に関して、共産主義の浸透や支配、そしてソ連による軍事攻撃からこれらの島々の安全を保障する政策、そして日本の経済的潜在能力が再び極東における平和と安定の利益に応える重要な力となることを許す政策を考案すること。
(c) フィリピン政府が内政において継続的な独立を保持できるようにするが、(他方)フィリピン群島をその地域におけるアメリカの安全の砦として維持するようなフィリピンとの関係を形作ること。

 このうち、日本に関連する目標は、現政府の当面の関心と当面の行動の可能性が最も高いものだ。したがって、これを今後の極東政策の焦点とするべきである。


VIII. 国際機関

 現在、アメリカの政策には、国際問題の解決における普遍的手法と特殊手法と呼ばれるものとの間に幅広い対立が存在している。

 普遍的手法は、国際問題の解決を、すべての国、または少なくとも参加する準備のあるすべての国に適用される普遍的な規則と手続きの形式を提供することによって行うことを目指している。このアプローチは、政治的な解決策(つまり、個々の民族の立場や態度における特異性に関連した解決策)を排除する傾向がある。それは、すべての国に適用可能な法的および機械的な解決策を好む。この手法は、すでに国際連合、提案されたITO憲章、ユネスコ、PICAOなどの組織や外交政策の特定の領域における普遍的な国際協力の取り組みに具体化されている。

 この普遍的手法は、米国の世論を強く惹きつけている。なぜなら、外国民族の国民的特異性や異なる政治哲学と向き合う必要性を排除するように見えるからだ;米国民の多くはこれを混乱やイライラの原因と見なしている。この意味で、それには現実逃避的な傾向がある。それが適用される限り、私たちは現実の世界と向き合う必要性から解放されるだろう。それは、もし全ての国が特定の標準的な行動規範に同意することができれば、醜い現実――権力の欲望、国家的な偏見、非合理的な憎悪と嫉妬――は受け入れられた法的な制約の後ろに後退せざるを得ず、私たちの外交政策の問題は議会手続きと多数決のおなじみの枠組みに縮小される、と仮定している。国際関係におけるやりとりのために確立された外的形式が、その中身を覆い隠すことになる。そして、伝統的な外交に固有の、下劣で複雑な政治的選択を強いられる代わりに、高尚で単純な道徳原則の上で多数決の保護のもとで決定を下すことができるようになるというわけだ。

 特殊手法は、国際問題を法的な概念に圧縮するどんな計画にも懐疑的な姿勢を持っている。それは、形式よりも内容が重要であり、内容に押し付けられたどんな形式的な構造も突破して進むと考えている。この手法では、権力への渇望がまだ多くの人々の間で優勢であるため、それを他の何よりも反対勢力によって鎮めるか制御することしかできないと考えている。同盟という考えを完全に拒否しているわけではないが、効果的な同盟を形成するには、実際の利害や見解の共同体に基づく必要がある。それは限られた政府のグループの間にしか見つからないものであり、抽象的な普遍的な国際法や国際機関の形式主義に基づくものではないと考えている。特殊化された手法では、多くの民族が「平和」という抽象的な概念のために、進んで戦争に向かったり、国民が犠牲を惜しまなくなるという点に信を置いていない。それどころか、この手法では、他の政府の近視眼的な見方と臆病さのために、アメリカが果敢かつ鋭い措置を取ることできなくなるかもしれない一連の制約があると見ている。そしてそれは世界全体の安定のために決定的に重要性を持つかもしれない国際関係の概念にとってもそうなのだ。この手法では、もし普遍的な概念が適用されるとアメリカの政策は肝心な時に無駄で厄介な国際議会主義の罠で身動きが取れなくなってしまうと考えられている。

 最後に、特殊手法は、国際機関における現代の国家主権の理論に対して不信を抱いている。攻撃的な(領土)拡張の現代的な技術は、新しいワインを古い容器に注ぎ込むという諺にぴったりあてはまる。つまり、外国の政治的意志を、表面上は独立した国に注入することなのだ。このような状況では、国際問題における議会原則は容易に歪められ、濫用される可能性がある。これは白ロシア、ウクライナ、およびロシアの衛星国の例で見られてきた。このことは大国と小国の区別の問題、そして各国は国際問題についてそれぞれ持つべき発言権のこと言っているわけではない。

 現政府は現在、これらの手法の要素を組み合わせた二重の政策を実施している。これは国務省においてその反映を見出し、方針の策定と実施、および省庁の組織の原則において、機能的(つまり普遍的)概念と地理的な(つまり特殊な)概念が競合している。

 この二重性は、私たちが現在深く関わりを持っているものだ。突然の変更を推奨する意図は私にはない。平和な世界の可能性への信念の象徴となっているものを、国内外の多くの人々が抱いている志向を、今日、急に放棄することはできない。

 しかし、私は強く思うのだが、実現可能な世界秩序の追求において、私たちは誤った方向から出発している。私たちは、まず自らの直近の地域、つまり自らの政治的・経済的伝統の領域から始めて外に向かうのではなく、逆に全体円周の周辺部から、つまり国連の普遍的な原則から出発し、内側に向かって働こうとしてきた。これは私たちの努力の大幅な分散を意味し、私たちが非常に愛着を持っていた普遍的な世界秩序の概念自体に危機が迫る状況をもたらした。将来のためにこれらの概念を保存したいのであれば、それらにかけられた負荷の一部を迅速に解消し、中心的な基盤から進む堅固な構造を築かなければならない。そうすれば、その概念が自重(じじゅう)で崩壊する前に、それらに対応できるよう押し上げることは可能だ。

 これが欧州復興計画、欧州連合という考え、そしてイギリスとカナダとのより密接な連携構築の意義だ。というのは真に安定した世界秩序は、より古く、穏やかで、より進んだ国々からしか、私たちの目が黒いうちに、生まれることはない。これらの国々は、力ではなく秩序の概念が価値と意味を持つ国々だ。もしこういった国々が、今日、政治的な偉大さと賢明な節制の組み合わせによって、成熟し落ち着いた文明だけが持つことができる真のリーダーシップの力を持っていないならば、プラトンがかつて言ったように:「・・・都市は悪から休息を得ることはないだろう――いや、人類も同じだ、と私は信じます」となるであろう。

(ここにIX,「国務省と海外奉仕」がくる。


X. 結論

 アメリカの政策全体の全体像を調査し、この国が世界との関係において進んでいる方向性を概説する試みは、自己満足感を抱くほどのものをほとんど生み出していない。

 私たちは依然として、クレムリンの人々から、私たちの全体的な安全に対する非常に深刻な脅威に直面させられている。彼らは、能力があり、抜け目のない非常に冷酷な集団であり、私たちや私たちの制度に対する尊敬心をまったく持っていない。彼らは何よりも私たちの国家力の破壊を望んでいる。彼らは類い稀な柔軟性、規律、皮肉さ、そして強さを持つ政治組織を通じて活動している。彼らは世界でも最大級の工業国と農業国の資源を自由にしている。自然の力が、私たちの政策に関係なく、この集団の努力を吸収し、最終的には打ち破ることができるかもしれない。しかし、私たちはそれに頼ることはできない。

 私たち自身の外交は、この関係において、決定的な役割がある。関連する問題は私たちにとって新しいものであり、私たちはそれに対して調整を始めたばかりだ。私たちは、少しは進歩を遂げているが、まだまだ十分ではない。私たちの外交活動は、目的意識、努力の経済性、そして統制された調整の度合いをもっとずっと高めなければならない。それによって私たちの目的を達成することが確実になるのだ。

 西ヨーロッパ地域で、共産主義は一時的な挫折を経験した;が、問題はまだどちらに転ぶかわからない状態だ。現政府は、イギリスが基本的な長期的な経済問題に対処するための確固たる計画や、ドイツを西ヨーロッパに組み込む方法について、他の西ヨーロッパ諸国の継続的な独立と繁栄を保証する持続性を提供する計画をまだ策定していない。

 地中海および中東地域では、政治的および軍事的な資源を活用した精力的で集団的な国家の取り組みによって、おそらくこの地域がソ連の影響下に陥るのを防ぎ、それを世界戦略的な位置における非常に重要な要素として保存することができる状況がある。しかし、私たちは同じ地域において、国家の安全保障とは直接関係のない状況に深く関与しており、私たちの関与の動機は過去の疑わしい知恵と国連への愛着に基づいている。もし私たちが今までの政策の傾向をかなり根本的に逆転させないならば、私たちはパレスチナのユダヤ人の保護において、アラブ世界の明確な敵意に対して軍事的責任を負う立場になるか、あるいはそれをロシアと共有し、彼らをその地域の軍事力の一つとして支援する立場になることになるだろう。いずれの場合においても、その地域における健全な国家政策の明快さと効率性は打ち砕かれることになる。

 極東において、私たちの立場は悪くない。戦略的に重要な領域のほとんどに対してまだかなり堅固な支配を保っている。しかし、現在の支配は長くは続かない一時的なものであり、それらを永続的な構造体で置き換えるための現実的な計画を私たちはまだ練っていない。この間、アメリカ国民は、この地域の私たち自身にとって重要性について、感傷主義者たちによって重大な誤解に導かれている。昔からある、論争の絶えない再教育プロセスを、私たちは始めたばかりだ。それは現実的な極東政策が、それにふさわしい人々の理解を得るために必要となるだろう。

 アメリカの世論において、国連構築への取り掛かりはたいへんな勢いだったので、頻繁に主張されるように、私たちはこの戦後期において国連を政策の基盤にするしかないというのは真実かもしれない。時折、国連は有用な役割を果たしてきたからだ。しかし、全体的に見れば、国連は解決よりも問題を引き起こし、外交努力の分散をもたらした。そして、主要な政治目的において国連の多数派を利用しようとする時、私たちは、いつか逆に私たちに敵対するような危険な武器を弄んでいるのだ。これは私たちにとって非常に慎重な研究と予見を要する状況だ。

Notes
1 Lot 64D563, files of the Policy Planning Staff of the Department of State, 1947-1953.
2 The Policy Planning Staff of the Department of State was established on May 7, 1947, to consider the development of long range policy and to draw together the views of the geographic and functional offices of the Department. With the enactment of the National Security Act of 1947, the Policy Planning Staf undertook responsibility for the preparation of the position of the Department of State on matters before the National Security Council. For additional information on the activities of the Policy Planning Staff and its Director, see George F. Kennan, Memoirs 1925-1950 (Boston: Little, Brown and Company, 1967), pp. 313-500.
3 Dean Acheson, Under Secretary of State, August 1945-June 1947.
4 George H. Butler, Deputy Director of the Policy Planning Staff.
5 On February 26, Kennan departed for Japan to consult with United States officials. Subsequent illness prevented him from returning to the Department of State until April 19.
6 For documentation on United States policy with respect to the economic situation in Europe, see vol. III, pp. 352.
7 For documentation on United States policy with respect to the proposed International Trade Organization, see pp. 802 ff.
8 For text of Secretary Marshall’s address at commencement exercises at Harvard University, June 5, 1947, see Foreign Relations, 1947, vol. III, p. 237, or Department of State Bulletin, June 15, 1947, p. 1159.
9 For documentation on United States policy with respect to the occupation and control of Germany, see vol. II, pp. 1285 ff.
10 For documentation on United States efforts in support of democratic forces in Italy, see vol. III, pp. 816 ff. Regarding United States economic and military support for Greece, see vol. IV, pp. 1 ff.
11 For the views of the Policy Planning Staff on this subject, see PPS 19, January 20, 1948, and PPS 21, February 11, 1948, in vol. V, Part 2, pp. 545 and 656 respectively.
12 Joseph Vissarionovich Stalin, Chairman of the Council of Ministers of the Soviet Union.

トランプは、ロシアゲート「作り話」について報道したニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストに授与されたピュリッツァー賞を取り消すよう、ピュリッツァー賞委員会に要請した。

<記事原文 寺島先生推薦>
Trump calls for Pulitzer Prize Board to revoke award given to NYT & WaPo for reporting on Russiagate ‘hoax’
出典:RT 2021年10月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月30日


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© REUTERS/Dustin Chambers


 元大統領のドナルド・トランプは、ピュリッツァー賞委員会に対して、ロシアとの共謀という「ばかげた話」の報道で、2018年、ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙に授与された賞を取り消すよう要求した。

 日曜日(2021年10月3日)の声明で、トランプは、ロシアが2016年の大統領選挙に干渉し、トランプのチームと共謀したという理論について、両紙が報道した内容は、「事実として実際の証拠がない」と結論づけられたものであり、「虚偽の物語」と呼んだ。

 「広く報道されているように、その報道は政治的な動機に基づくばかげた話であり、私の選挙キャンペーンがロシアと共謀したという虚偽の物語を作り上げようとするものであり、この主張を裏付ける証拠などまったくないのです」と元大統領は、受賞の暫定管理者であるバッド・クリメットに宛てた手紙で述べている。彼は以前、2019年に受賞を取り消すよう要求していた。

同じRTの記事―「火と硫黄」:スティーブ・バノンが2024年の「壮大な」勝利のために共和党から「衝撃部隊」を出すよう要請していることに対してリベラル派は警戒心

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 トランプはまた、メディアが状況についてあやふやな知識を持つ情報源を使用することに対しても批判し、「'知識を持つ人々'、'現職および元職の高官'、'米国の一部の高官'など、だれかもわからないような個人」を引用した記事を批判した。

 彼は、マイケル・サスマンの起訴を引用して、ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙への告発の裏付けとした。サスマンは、ヒラリー・クリントンの選挙運動で働いていた弁護士であり、2016年にFBIに対してトランプの大統領選挙運動とクレムリンとの潜在的な関連を密告した際にFBIに嘘をついたことで訴追された。

 ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙は、2018年に「ロシアとの共謀」に関する報道に対して全国報道賞を受賞した。トランプは、両紙に対して、ピュリッツァー賞の受賞を「自発的に返上する」機会を与えるよう求めた。
 「ここでのように、ピュリッツァー賞受賞作品が不適切で疑わしく、明らかに虚偽な報道に基づいていることが明らかになった場合、ピュリッツァー賞委員会はそれに応じて対応しなければならない」と彼は書いている。

 元特別検察官のロバート・ミューラーの言によれば、ロシアとの共謀の疑いに関する彼の報告書は、(バイデン)大統領が主張するようにトランプを「無罪」とはしていないと述べている。しかし、この報告書は、メディアが報道したもっとセンセーショナルな話については、結局のところ、裏付けることができなかった。

 (バイデン)大統領は、ミューラーによる数年にわたる費用をかけた捜査をしばしば「魔女狩り」にしかなっていないと批判し、それが世界中で「笑われている」と述べてきた。

 「(これは)アメリカ史上最大の魔女狩り。共謀はなかった、民主党を含め、みんながそれを知っているのに、延々と(魔女狩りは)続いている。ロシアと世界は彼らが目にしている愚かさに笑っている。共和党が最終的に統制を取るべきだ!」と彼(トランプ)は2018年に(捜査は進行中)ツイートした。

FBIはトランプの捜査をすべきではなかった(報告書)

<記事原文 寺島先生推薦>
FBI should never have investigated Trump – report
Special counsel John Durham has concluded that the agency relied on biased information to spy on the former president
ジョン・ダーラム特別顧問の結論では、FBIは偏った情報に依拠して前大統領を嗅ぎ回っていた、とのことだ。
出典:RT 2023年5月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月27日



ウィスコンシン州ウォーキーショーで集会を開いたドナルド・トランプ。2022年8月5日© AP / Morry Gash


 米国司法省とFBIは、「自身が果たすべき使命を維持」できず、ドナルド・トランプ前大統領に対していわゆる「ロシア疑惑」についての捜査に着手した、とジョン・ダーラム司法省特別顧問は、長らく待たれていた報告書の中で明らかにした。

 月曜日(5月15日)に発表された300頁に及ぶ文書の中で、ダーラム特別顧問は、トランプ前大統領に関する犯罪情報を「厳密な分析なしに」取り扱い、特に政治的に偏りのある個人や組織から情報を得ていた」としてFBIを厳しく非難した。

 ダーラム特別顧問による宣告の中味は、主に「スティール文書」についての言及であるが、この文書は、前大統領についてや、彼が疑われていたロシアとの繋がりに関するでたらめな噂話をもとに書かれたものであり、元英国諜報機関の工作員が、ヒラリー・クリントンの選挙資金から支払いを受け、集めたものだった。

 この文書により、2016年、FBIはトランプ前大統領に対する諜報活動を始動させたが、その作戦名は「クロスファイア・ハリケーン」とされ、ロバート・ミュラー特別検察官の手による「ロシア疑惑」の捜査につながっていった。後にミュラー特別検査官は、トランプ前大統領の選挙運動とロシア政府の間に共謀はなかったという結論を出した。



関連記事:「ロシア疑惑」は終わったが、その結果米国政府が手にした、「ソーシャル・メディアの統制」は健在

 このスティール文書は、FBIがトランプ前大統領の選挙運動を捜査する許可を法廷から得るために利用された。FBIは、トランプ前大統領を監視する令状を申請する際に、「基本的で初歩的で深刻な間違い」を犯した、と司法省のマイケル・ホロウィッツ監察総監は2019年に明言した。

 「初動捜査において、トランプ前大統領の敵陣営が(直接または間接的に)提供した情報や、同陣営が資金を出していた情報に大きく依拠していた」とダーラム特別顧問は報告書に記載した。「司法省はこれらの情報や、これらの情報を提供した陣営の動機について十分精査し、疑問をもつこともしなかった。ほぼ同じ時期に、FBIの局長らは、このような情報とはおそらく逆の内容の情報を入手していた事実にもかかわらず、だ。」

「クロスファイア・ハリケーン作戦の報告書やそれに関連した諜報活動をもとに導き出した我々の結論は、司法省とFBIは法律上厳格に定められている使命を果たせなかった、というものだ」と同特別顧問は述べた。

 ただし、ダーラム特別顧問は、この件のように政治的に繊細な捜査の取り扱い方について、FBIが「大幅な変革」をすべきであるという助言は行っていない。



関連記事:トランプはピューリッツァー賞を非難の対象に

 「クロスファイア・ハリケーン作戦」とそれに続くミュラー特別検査官による捜査は、大統領任期中のトランプ大統領に長い影を投げかけた。ミュラー特別検査官が事実を支持する証拠を見つけることができなかったことが判明した後でも、「ロシアとの共謀」疑惑が、長々と報道機関を賑わせていたからだ。ダーラム特別顧問は、2019年、当時のビル・バー司法長官により任命され、トランプが「ロシア、ロシア、ロシアについてのでっち上げ」と称していた事例の起源の調査を執り行うこととなり、特別顧問という役職を与えられ、ジョー・バイデンが大統領職に就いた後も、その任務の継続が許されていた。

 ダーラム特別顧問の調査により、3件の刑事事件が立件されたが、そのすべてはFBIの上官や司法省の役人らから反発をうけることはなかった。クリントン陣営の弁護士であったマイケル・サスマン、イゴール・ダンチェンコ(スティール文書の情報源の一人)両容疑者は、米国の法廷から、FBIに嘘をついた罪状で起訴された。また、FBIのケビン・クラインスミス弁護士は、有罪判決を受け、地域奉仕活動を行うよう命じられたが、これは、同弁護士がトランプ前大統領のカーター・ペイジ前顧問に盗聴を使った捜査をする令状を保証した件に関してのことだった。

 ダーラム特別顧問の報告書について、CNNの司会者ジェーク・タッパーは月曜日(5月15日)、この文書は「FBIを弱体化させ、ドナルド・トランプをある程度無罪放免にする」ものとなった、と述べた。

「言い換えれば、米国市民が馬鹿にされたということだ」とトランプ前大統領はソーシャル・メディアのTruth上に投稿した。

製薬業界に牛耳られて「殺人が起きる真の原因は薬物漬け」と報じないメディア

<記事原文 寺島先生推薦>
Drugged-Up and Ready to Kill
Is there a link between Psychiatric Meds and Mass Shootings?

精神科薬物と無差別射撃事件の関連性はあるのか?
筆者:マイク・ホイットニー (Mike Whitney)
出典:Global Research 2023年5月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月27日




***

 「精神医療と精神薬は、発砲事件や他の暴力行為の増加の共通要因であり、それは精神薬の処方箋の急増とともに急増している」。サイト、「精神薬を服用している殺人者たち」の記事から

 ここにアメリカ人なら誰でも答えられるような質問がある:アメリカ全土で無差別射撃事件を起こした殺人者のうち、何パーセントが強力な精神医薬品を服用していたのか?

a—1%
b—25%
c—50%
d—75% or more

 なぜこの質問の答えを知らないのか? アメリカは世界で最も多くの無差別射撃事件が発生している国ではないのか?

 そう、その通り。
 
 これらの射撃事件は、大きな苦しみと不安の源ではないのか?

 そう、その通り。

 そして、これらの孤独な犯人たちが、なぜ無関係な人々を殺すことに追い込まれるのか、真剣に知りたいと思っている人が大半なのではないか?

 そう、その通り。

 では、なぜ私たちは知らないか?これらの流血事件が始まってから20年以上経った今でも、次の、たった一つの簡単な質問について、確定的で徹底的に研究された答えを、なぜ私たちは持っていないのか:これらの精神的に不安定な殺人者の中で、どれくらいの人が危険な精神医薬品を服用していたのか?

 その代わり、報道機関は射撃手の行動について何の決定的な情報も明らかにしないような探索を次々と行っている。(大事なのは次のような問いだ)もし「白人至上主義」や「ナチス思想」がテキサスでの致命的な射撃事件に影響を与えたのであれば、なぜ彼は黒人街の公共施設やユダヤ教のシナゴーグ(教会)を標的にしなかったのか? そうした方が、彼の主張する思想により一致していたのではないのか?

 そう、そうなのだ。それは彼が掲げている思想が彼の行動を駆動する主要な要因ではなく、むしろそれは彼の脆弱な精神状態の症状であることを示唆している。これらの人々が狂ったような殺戮行為に走るのは、彼らが「傷ついた存在」であるためであり、ある思想を信奉する人間だからではない。そこには大きな違いがある。

 では、なぜ報道機関は「白人至上主義」や「ナチス的思想」によって射撃手の行動が影響を受けたというばかげた考えをくどくどと言い続けるのか? 実際のところ、射撃手自体は白人ではなく、彼の犠牲者も人種的に標的にされたわけではなかった。犠牲者は単に大規模商業施設を歩く無作為な通行人に過ぎなかった。つまり、報道機関が作り上げた事例を支持する証拠はない。つまり、ここが要だが、報道機関は証拠に興味がないのだ。なぜなら報道機関の真の目的は、暴力的な狂信的行動を人種に基づく極端な国家主義に結びつける政治的な課題を推進することだからだ。彼らがやろうとしているのは、冷酷な殺人者の不安定な行動と多くのトランプ支持者の心からの愛国心との間に潜在的な関連性を作り出すことなのだ。報道機関はこれと同じ主題について6年以上もコツコツ取り組み、1月6日の詐欺事件(訳注:2021年連邦議会襲撃事件)で頂点に達した。これは同じ退屈で政治的な心理作戦の最新版に過ぎないのだ。

 もし報道関係員たちがこの最新の流血事件の調査に真剣に取り組むつもりであるなら、彼らは犯行が行われる前にこの殺人者がFBIの監視対象になっていたかどうかを調査するはずだ(過去に多くの大量殺人犯がそうであったように)。そうだったのだろうか?(今月テキサス州の商業施設で乱射事件を起こした)マウリシオ・ガルシアはFBIが編纂した潜在的な「国内テロリスト」の一覧表に載っていたのか?

 おそらく私たちは永遠にそれを知ることはないだろう。なぜならそれは国内最高の法執行機関の内部の仕組みを暴露し、かなりの困惑を引き起こすことになるからだ。それ故、FBIはしっかり防戦体制を固め、それが起こらないようにする。つまり、この事件に関する真実の大部分はおそらく永遠に隠されたままになるだろう。さらに悪いことに、メディアは「ガルシアは非白人の白人至上主義者」だという、頭のネジが外れたような理論を相変わらず前面に押し出してくることが予想される。そんな主張はまったく意味をなさないのに、だ。ここで、分析家のマイケル・トレーシーは、皮肉を込めて、次のように要約した:

もしある非白人が「白人至上主義者」であるとすれば、それは自分の人種が先天的に劣っていることを彼が信じている、ということになるのだろうか?@mtracey

 理屈に合わないのに、聖杯のように報道機関が固執するミーム*の愚かさを暴露することはトレーシーに任せておこう。この種の商業主義的な言葉をだれでも真面目に受け止めてしまうことがあるのは実際、衝撃的だ。事実として、「非白人の白人至上主義者」という言い方のどこをとっても、これ以上愚にもつかないでっち上げの言葉はない。たわ言としか言いようがない。
*遺伝子によらず、模倣によって人から人へと伝えらえる情報の単位(英辞郎)

 では、どこで答えを見つけるべきなのか? これら散発的に起こる暴力行為の合理的な説明はどこで見つけることができるのか?

 私たちが目にできる唯一の場所は、犯人の精神状態だ。そこから始めなければならない。もし私たちが学校や大規模商業施設で無差別に人々を殺す男性の動機を理解したいのなら、犯人の心理について何かを知る必要がある。幸いにも、この主題については尊敬すべき専門家によって多くの書物が書かれ、研究が行われ、データが分析され、彼ら自身の知識に基づいた結論が得られている。以下を参照:

約17%のアメリカ人が、攻撃的な行動、怒り、暴力的な行動、危険な衝動を伴う副作用を持つ精神科の薬を服用している・・・

 抗精神病薬は、次のような副作用があるときはほとんど助けにならない悪化するうつ病、新たなまたは悪化する不安、興奮や落ち着きのなさ、パニック発作、新たなまたは悪化するイライラ、攻撃的な行動、行動、活動や話す量の極端な増加(躁病)、そしてその他の異常な行動や気分の変化、などだ。

 「個人を助けるどころか、抗精神病薬は彼らを孤立させ、ますます潜在的に危険な行動に追い込んでしまう」とフロリダ支部のCCHR(市民の精神的人権委員会)の会長であるダイアン・スタインは述べている。

 この状況は非常に酷いものだったので、2004年には米国食品医薬品局(FDA)が「ブラックボックス」の包装紙に警告を発行した。この警告は、特定の抗うつ薬の使用が思春期の重度のうつ病を治療する際に自殺、殺人、および他の暴力行為の危険性を増加させる可能性があることを示している。

 他人への暴力行為と関連する処方薬という題名の研究は・・・言明していた・・・報告期間69ヶ月で、薬物484種が特定され、それは総計78万169件の深刻な有害事象報告(すべての種類)に該当する薬だった・・・ 暴力の事例には、387件の殺人報告、404件の身体的暴力行為、27件の身体虐待を示す事例、896件の殺人的思考報告、および223件の暴力に関連する症状を示す事例が含まれている。」“精神科薬と副作用-アメリカにおける暴力の背後にある見えざる手”、人権に関する市民委員会


テキサス大規模商業施設銃撃の犠牲者たち

関連記事:銃と薬物を組み合わせてはいけない。向精神薬と暴力行為


 これは非常に深刻な状況ではないだろうか。規制当局がこれらの潜在的に致命的な薬物に対して規制を強化するために認識すべき内容だ。また、製薬業界は新聞からこれらの薬物とその引き起こす混乱との関連性を隠そうとするだろう。要するに、真実は権力と利益のために隠蔽されている。他に新しい情報は? 以下は別の記事から引用した背景情報:

精神科薬物の影響下にあるか、または薬物の離脱状態にある個人によって、増え続けている学校での銃乱射事件や他の銃乱射事件が引き起こされている。これらの薬物は躁病、精神病、暴力、そして殺人を引き起こすことで知られている。過去10数年で起きた13件の大量虐殺事件を考慮されたい。これらの事件では54人が死亡し、105人が負傷した。しかもこれは精神科薬物が関与しているとわかっている事件に限った数だ。他の事例では、医療記録が封印されたり、解剖報告が公開されなかったり、場合によっては毒物検査が精神科薬物を検査するために行われなかったり、一般には公開されなかったりし・・・

精神科薬物を服用していた射撃事件の犯人のリストが増え続けていること、22の国際的な薬物規制機関がこれらの薬物が暴力、躁病、精神病、自殺、そして殺人を引き起こす可能性があると警告していること、そして最近行われた主要な研究がこれらの薬物が人々をより暴力的にする危険性を高めることを確認していることを考慮して、CCHRインターナショナルは次のように主張している。「これら(精神科)薬物をさらに多くの人々、特に子供たちに投与するという、より多くの精神的健康『治療』に対するどんな推奨も、単なる過失ではない。起こり得る影響を考えると犯罪的でもある」。(「コロンバインの真の教訓:精神科薬物は暴力を引き起こす」)

 そこで、問題の核心に取り組もうではないか。 ダラス近郊の大規模商業施設での銃乱射事件の犯人は精神的に不安定であり、おそらく心理相談や治療の経歴があった可能性があり、強力な精神科薬を服用していた可能性があるというのは疑いない。もしもあなたがプロの報道関係者なら、孤立したソーシャルメディアの投稿にあるナチの記念品に基づいた過剰な理論を編み上げるよりも、そこが調査を始める場所ではないか?

 私たちは報道機関や有識者から「銃が問題である」と何度も聞かされているが、強力な精神科薬に反対する議論は同様に説得力がないだろうか? 重要なことは、銃自体は自動的に発砲されるわけではなく、通常、銃は不安定で狂気じみた人々によって大勢の人々に向けて発砲されることはないのだ。彼らの多くは診断を受け、心理相談や治療を受けた精神的な経歴がある。私たちが知りたいのは、彼らに処方された薬物の種類だ。それによって公衆の安全を守るためにその使用状況をより良く監視できるからだ。残念ながら、報道機関はこの情報を提供することに消極的だ。なぜなら、彼らには根本的な利益相反があるからだ。彼らは薬品会社から報酬を受け取っているからなのだ。アメリカ精神医学会の記事がさらにある:

最近の研究において、いくつかの種類の精神科薬と他者への暴力的な行動との関連が文献化されている・・・

2010年12月15日に発表された研究では、研究期間中に484種類の薬について78万169件の重大な有害事象が報告され、その中で1937件が暴力行為であったことがわかった。暴力行為とは、殺人、身体的な攻撃、身体的虐待、殺人的思考、または暴力に関連する症状のいずれかが含まれる事例報告である、と定義された・・・

「さらに、抗うつ薬は、抗精神病薬や気分安定剤と比較しても一貫して高い危険性を示した・・・」

 暴力行動の研究の専門家であり、APA(American Psychiatric Association)の前会長であるポール・フィンク博士はこう発言した。「長い間精神科医として仕事をしてきた私としては、[ヴァレニクリンと抗うつ薬]が他者への暴力と関連していることを知りませんでした・・・ 精神科医や精神医療の専門家は、この関連性を認識する必要があります」と述べた。この研究には外部から資金提供はなかった。関連記事と「暴力行為と関連付けられるいくつかの薬物」



 忘れてはならない。幸せな結婚生活を送り、ちゃんと職に就いている普通の、心の安定した男性は、無作為な殺人的な暴力行為を犯さないことを。それは深刻な心理的問題を抱えている人々であり、専門の助けを求めたり、(しばしば)さまざまな精神科の薬を処方された人々なのだ。

 これらの薬は、多くの人にとって有益だが、一部の利用者には過剰な暴力行為を引き起こす可能性がある。一般の人々は、公共の安全への危険性と利益との均衡を取るために、これらの薬について知る必要がある。これまで、これらの危険性が存在することさえ認められていない。代わりに、すべての非難が銃に向けられており、それによって報道機関や政治的な権力への不信感が高まっている。実際、今ではほとんどの銃所有者は、政治家たちが公共の安全に関心がなく、自分たちの狭い利益を促進するための場としてそれを利用していると信じている。表面的に見れば、その利益には今や第二修正条項の撤廃とアメリカ人の武装解除が含まれている。それが目標であり、ほとんどの銃所有者はそれが目標であることを知っている。ここに、ダグ・デールによる「精神科薬物は暴力の背後にある」と題された編集者への手紙の最後の一節がある:

議会が、武装警備員、金属探知機、チェーンリンクの柵、準軍事部隊に囲まれながら、市民個人の憲法上の銃所持権に関する侵害を議論しているのですが、そろそろこれらの大量殺人の根本原因に、本気で取り組むべきではないでしょうか?

 こういった事件は、数十年前にFDAがより多くの精神科薬を承認し始めるまで聞いたことがありませんでした。2004年から2009年まで、FDAの有害事象報告システムから情報を得た研究者たちは、31種類の異なる精神科薬に関連して1537件の暴力事件が報告されたことを明らかにしています。

 他の専門的な研究は、患者はこれらの薬を服用した後まで殺人的な思考を持っていなかったとの結論を出しています。1992年から2017年までの間に、37件の学校での銃乱射事件がこれらの薬と関連付けられています。2014年に上院に提出された報告書では、学校での銃乱射事件の犯人のうち90%が抗うつ薬を使用していると推定されています。明らかに、この暴力の原因は個人の精神的健康ではなく、薬物にあるのです。

 製薬業界の政治に圧力をかける勢力は、連邦法を制定する議会の議員らに数億ドルを寄付しています。これらの薬物が大量殺人の根本原因であると認めない人は誰でしょうか? 銃規制というエリキシル剤*に酔っている教養のない政治的ミーハー族、製薬業界の政治に圧力をかける勢力から選挙運動資金の寄付を受ける政治家、製薬業界やこの有害物質を一般の人々に売り込む医師。もしそうなら、なぜ?・・・
*《医》甘味と香りを付けたアルコール水溶液で、薬剤を飲みやすくするために用いられる。(英辞郎)

 2001年に、ある薬品製造業者は31人の死亡と関連しているとされるコレステロール薬を市場から撤退させました。大量殺人の件数は、その数を遥かに超えています。

 議会は、これらの薬物が処方されている人々からの銃の所持を禁止する必要があります。さらに、少なくとも新たな処方箋を書くことを連邦犯罪とするべきです。それ以外の対応をすると、議会がどれだけの副次的被害を引き起こしても構わないと考えているとしか結論できません。



 無差別射撃を止めたいのであれば、それらを引き起こしている精神科薬物厳しく規制する必要がある。

*

マイケル・ホイットニーは、ワシントン州を拠点とする著名な地政学および社会分析者です。彼は2002年に独立した市民報道関係者としての経歴を開始し、誠実な報道、社会的正義、世界平和への取り組みを持っています。 彼はグローバリゼーション研究センター(CRG)の研究員でもあります。 この記事のすべての画像はTURから提供されたものです。

月面着陸が行われた「証拠なし」―元ロシアの宇宙開発首脳の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
'No proof' US landed on moon – Ex-Russian space boss
Dmitry Rogozin says that while many in Roscosmos defended Washington’s version of events, no one could produce irrefutable proof
ドミトリー・ロゴージンによると、ロシアの国営宇宙開発社のロスコスモス社には米国側の主張を擁護しようとするものは多いが、反論の余地のない証拠を示せる人は皆無だったという。
出典:RT  2023年5月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年5月16日


ミトリー・ロゴージン© Sputnik/Sergey Mamontov


 ロシア国営宇宙開発社ロスコスモスの元首脳であるドミトリー・ロゴージンは、1969年に米のアポロ11号が本当に月面着陸したのかについて疑念を表明し、自身はまだその事実を示す反論の余地のない証拠を見てはいない、と述べた。

 日曜日(5月7日)、自身のテレグラムに投稿した内容によると、ロゴージンがこの件の真偽についての調査に着手したのは「10年ほど前」のことであり、当時ロゴージンはまだロシア政権内で働いており、米国が本当に月面に足を踏み入れたかどうかの真偽に関する疑念を深めるようになったのは、ソ連の宇宙飛行士たちが宇宙飛行から戻ってきた際に疲労困憊した姿を見せていたのと比べて、アポロ11号の乗組員たちは疲れた様子を見せていなかった事実からだとのことだった。

 ロゴージンによると、当時彼はロスコスモス社に証拠を示す要請書を送付したという。その要請書に対してロゴージンが受け取ったのは、ソ連の宇宙飛行士アレクセイ・レオーノフが書いた本だけだったという。その本は、米国側の宇宙飛行士たちとどんな話をし、彼らから月面着陸時の様子を聞いた話について書かれていた。

 ロゴージンの記載によると、彼はその取り組みを続け、2018年にロスコスモス社の首脳と面会する約束を取り付けたという。しかしロゴージンによると、その面会の際、なんの証拠も示されなかったとのことだ。逆にロゴージンは、数名の科学者から、「我々とNASAの神聖な協力関係に」ケチをつけたと怒りに満ちた非難を受けたという。

 さらにロスコスモス社の元首脳であるロゴージンによると、「最高位段階の当局者から怒りに満ちた電話」が掛かり、米露間の国家関係を複雑にする行為になる、とロゴージンは叱責されたという。



関連記事:月面着陸作戦は「不時着」

 ロゴージンは最後に、彼自身いまだに米国があのような偉業を達成できたとは信じれらないと述べた。というのも、月面着陸という偉業は、1960年後半当時よりも信じられないほど技術が進歩した今でも、不可能なものだからだ。

 しかしロゴージンは、米当局は、「(ロシア)政権内に工作員たちを」配しているという事実を発見したと主張している。

 アポロ11号は、月への初めての有人宇宙飛行計画であり、ネイル・アームストロングとバズ・オルドリンの2名が、人類で初めて月面を歩いた人物として歴史に名を残した。

 この飛行は、月探検に道筋をつけたソ連による無人宇宙飛行であるルナ2計画に続くものだった。

 昨年の4月、ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアによる月計画の再開を誓約した。

CIAはJFK暗殺に関与―ロバート・ケネディJr.

<記事原文 寺島先生推薦>
CIA involved in JFK’s murder – Robert Kennedy Jr
US presidential candidate said the agency’s culpability in his uncle's murder was “beyond a reasonable doubt”
米大統領候補ロバート・ケネディJrは、叔父であるJFKの殺害に対するCIAの罪責は 「合理的疑いの余地なし」と発言した
出典:RT 2023年5月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月15日



© Getty Images / Alessandro Bremec


 民主党の大統領候補ロバート・F・ケネディ・Jrは、1963年に叔父のジョン・F・ケネディ・ジュニア米大統領が暗殺された背景にはCIAがあり、1968年に射殺された父親のロバート・F・ケネディ米司法長官殺害にも関与した可能性が高いと主張した。

 ロバート・F・ケネディ・Jrは、日曜日(5月7日)にWABCラジオの司会者、ジョン・カティマティディスとのインタビューの中で、「CIAが(JFKの)殺害に関与したという圧倒的な証拠がある」と述べ、「現時点では合理的疑いの余地はない」と述べた。

 「CIAがこの殺人とその隠蔽に関与したという証拠はあまりにも多い」と大統領候補者であるロバート・F・ケネディ・Jrは続け、この説を否定する取り組みを「60年にわたる隠蔽」と表現した。彼は、暗殺とCIAの疑惑の役割について書かれた著作は、数百はなくとも数十はあるが、このテーマに関する証拠を最もよくまとめたものとして、ジェームズ・ダグラスの著書『JFK and the Unspeakable』を挙げた。



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 1963年11月22日、ダラスを通過中の大統領を射殺したのは、米海兵隊の退役軍人リー・ハーヴェイ・オズワルド一人だったというのが、翌年ウォーレン委員会の報告書として発表された米国政府の公式見解である。

  オズワルドは裁判を受ける前に殺害されたことは有名だが、逮捕後すぐにジャーナリストたちに、彼は「ただのカモだ」と語った。単独犯とされたオズワルドは、ダラス警察本部から郡刑務所に移送される途中、ナイトクラブのオーナー、ジャック・ルビー(本名ジェイコブ・ルビンシュタイン)に射殺された。

  ロバート・F・ケネディ・Jrは、1968年の父である司法長官兼大統領候補ロバート・F・ケネディの暗殺にCIAが関与していたことを「非常に説得力のある状況証拠がある」とし、カティマティディスとの対談を行った。彼は、パレスチナの馬の手入れをするサーハン・サーハンの仕業とされる暗殺の公式見解を物理的に不可能とし、軍事請負会社ロッキードに兼務していたホテルの警備員、セイン・ユージン・シーザーが実際にケネディを殺害する発砲を行ったと主張した。

  JFK殺害から4年後、アメリカ国民の半数近くが、オズワルドの単独犯行を信じていなかった。CIAはこの事実を十分に懸念し、1967年にウォーレン委員会の結論に疑問を呈するいわゆる「陰謀論者」の信用を失墜させる方法について指令を出している。「陰謀論者」という言葉が蔑称として使われるようになったのは、この1967年の報告に端を発している。

バイデンは前回の選挙を盗んだのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Did Biden Steal the Election?
筆者:ロン・ポール議員
出典:Global Research  2023年4月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月9日



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 ウォーターゲートには脇にどいてもらおう。2020年10月17日頃、当時のバイデン陣営の幹部アントニー・ブリンケンは、元CIA長官代理のマイク・モレルを呼び出し、ある依頼をした:彼は、遅れているバイデンの選挙戦を大規模な不祥事から救うために、元アメリカ情報機関の高官にアメリカ国民に嘘をついてもらう必要があった。

 問題は、ジョー・バイデンの息子、ハンターが自分のパソコン(ラップトップ)を修理店に捨ててしまい、その爆発的な中身が外に漏れてしまったことだった。バイデン家の明らかな腐敗と前副大統領の息子の放蕩の詳細はニューヨーク・ポスト紙が報じており、選挙まで1カ月を切った時点で、バイデン陣営はこの話を潰す必要があった。

関連記事:2020年大統領選を盗んだのは誰か?

 そこで、新たに公開された下院司法委員会でのモレルの証言記録によると、ブリンケンはモレルを「引き金」にして、ノートパソコン<の話には「ロシアの偽情報作戦の特徴がすべてある」と主張するために、政府の高官である役職名を用いて、約50人の情報機関の高官が署名する手紙をまとめさせたのだ。

 要するに、バイデン陣営の指示で、モレルはアメリカ国民に対する秘密作戦を開始し、2020年の選挙の信頼性を台無しにしたのである。元CIA、DIA、NSAの高官数十人が署名した書簡は、バイデンのラップトップ・スクープ話を葬り去るのに十分な重みを持つことは間違いない。それは成功した。ソーシャルメディアはノートパソコンに関する報道を一切掲載しないようにし、主流報道機関はこの話を単なる 「ロシアのプロパガンダ」として簡単に無視することができた。

 最近、司法委員会のジム・ジョーダン委員長(共和党_オハイオ)から、なぜ偽の署名状の作成に同意したのかと尋ねられたモレルは、「バイデン副大統領を助けたい・・・選挙に勝ってほしい」と思ったから、と証言している。モレルはまた、バイデン大統領から、その時が来たら、CIAのトップに指名されることを期待していたようだ。

 民主党と主流報道機関は、2021年1月6日の米連邦議会議事堂内の騒動は、トランプ大統領が選挙結果を覆すために起こしたものだ、という嘘を執拗に押し通した。何百人もの「不法侵入者」が逮捕され、裁判なしで独房に収容され、選挙を盗む陰謀が行われていたという嘘の筋書きを補強した。

 選挙を盗もうとする陰謀が本当にあったことは判明したが、それは報道された内容とは正反対だった。「スティール文書」は、ロシア人がトランプのために糸を引いているという嘘を植え付けるための民主党の隠密行動だった。まったく同じように、「ロシア情報操作作戦」の書簡は、選挙戦の終盤にバイデン一族が汚職した可能性について調査をそらすための嘘だった。

 バイデン陣営の偽情報作戦は、彼に有利なように選挙を操作するのに役立ったのか? 世論調査では、アメリカの有権者がハンター・バイデンのノートパソコンに何が入っていたかを知らされていたら、バイデンは当選しなかっただろうといわれている。だから、そう、彼らは選挙で不正を働いたのだ。

 しかし、民主党と主流報道機関はまだやっている。彼らは今、バイデンのノートパソコンの話をどうやって消したか、という話を消そうとしている。この醜聞は、昔なら辞任、弾劾、および/または長期の懲役刑で終わっていたはずのものだ。もし彼らがこの話をうまく葬り去ったら、言いたくはないが、アメリカはバナナ共和国*と化してしまい、もう法の支配はないのである。
* バナナなどの第一次産品の輸出に頼り、主にアメリカ合衆国などの外国資本によって支配統治される政情不安定な小国を指す政治学上の用語。 特に、大多数の貧困労働者層と政治・経済・軍部を包括する少数の支配者層という社会の階層化による格差を拡大させる。( ウィキペディア)

マスク氏、Twitter本社の家主が自分のホームレス避難所計画を却下したと主張

<記事原文 寺島先生推薦>

Musk claims Twitter HQ landlord rejected homeless shelter plan
The property owners torpedoed the idea to use vacant office space to house vagrants, the billionaire claims

不動産(Twitter本社)所有者は、会社の空き空間を利用して浮浪者を収容するという自分の提案を頓挫させたと、億万長者のマスク氏は主張する

2023年4月12日 

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月30日

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© Getty Images / Justin Sullivan

 イーロン・マスク氏が所有するソーシャルメディア企業Twitterの本社はサンフランシスコにあるが、彼にはその本社ビルの空きスペースを同市の野宿生活者による危機を緩和するために利用するという考えがあった。ところがその計画をビルの家主は認めなかった。マスク氏はその家主を非難している。

 マスク氏は、火曜日(4月11日)の夜、BBCニュースのインタビューで「私たちは、この場所を野宿生活者の避難所にしようと思った。でも彼ら(本社ビルの家主)はそれを認めてくれない」と述べ、さらに「私たちは建物の1部しか使っていないので、残りの場所はホームレス用の避難所にすることができる。私たちは今すぐにでもそれを実現したい。ビルの所有者が許可してくれれば、やりますよ」とも。

 昨年10月に440億ドルでのTwitter社の買収を完了して以来、マスク氏は同社の従業員を80%以上削減し、約1500人にした。この人件費削減措置のおかげで、本社内の46万3000平方フィート(約4万3000平方メートル)が利用者のいない空間となった。この物件は、ショーレンスタイン不動産LPの関連会社でJP モルガンチェイス& Co.の傘下にあるSRI ナイン・マーケット・スクエアLLCが所有している。SRIは1月に家賃滞納の疑いでTwitter社を提訴している。


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関連記事:マスク、Twitter社の名前をふざけた名前に変身させる

 マスク氏は、本社にあるTwitterの看板から「w」を取り除き、「Titter*」に改名する計画をめぐっても、家主と衝突している。マスク氏はBBCの取材に対し、所有者が「w」の削除を拒否したため、「w」を白いペンキで隠すことにしたと語った。
* 「くすくす笑う」「女好き男」という意味がある。

 提案された野宿生活者避難所はどのように運営されるのかと尋ねられたマスクは、「わからない。ただ、そこに人を泊めることもできる。いいじゃないですか......。荷物を持ってきてもいいし、テントを持ってきてもいい。何でもいいんだ」。彼は昨年、Twitterを買収する前に、従業員はいずれにしても出社してこないからと言って、この考えについて自身のツイッターのフォロワーに意向調査を取っていた。

 サンフランシスコには約8,000人の野宿生活者がおり、犯罪の増加や、路上での排便や麻薬の注射針の数千件の報告にもつながっている。Twitter社が浮浪者と職場空間を共有することをどのように管理するかは明らかではない。ホールフーズ社*は火曜日、サンフランシスコの販売拠点となっていた中心店舗の閉鎖を発表した。この地域の犯罪が従業員を危険にさらしているとの懸念があるためだ。11月に使用済みの注射器やパイプが床から発見された後、店長は同店のトイレの使用を制限せざるを得なかったと報じられている。
* 有機にこだわった食材を揃え、化粧品や美容商品は天然成分で作られた自然系の商品を数多く取り扱っている。

関連記事:カリフォルニア市長、薬物や路上排泄物に対処するため非常事態を宣言

 マスク氏はBBCの取材に対し、Twitter社の年間売上は買収前の45億ドルから30億ドルに減少し、必要経費は45億ドルから60億ドルに跳ね上がっていると語った。コスト削減や資本注入がなければ、あと4ヶ月間営業を続けられるだけの現金しかなかった。キャッシュフロー(現金流量)*は「現時点ではほぼ収支トントン」だという。
* 現金の流れを意味し、主に企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。欧米では古くからこの会計にもとづく計算書の作成が、企業に義務付けられている。日本では、1999年度から上場企業は財務諸表の一つとしてこの計算書を作成することが、法律で義務付けられるようになった。(ウィキペディア)

アメリカの子どもたちは前例のない疫病に直面している! アメリカの若い世代の54%が慢性病

<記事原文 寺島先生推薦>

America’s Children Are Facing Unprecedented Epidemics! 54% of US Youth Are Chronically Ill.

筆者:子どもの健康を守る(Children’s Health Defense

出典:Global Research

2023年4月14日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月29日

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子どもの慢性的な健康状態

 概要: 2010年にJAMA(Journal of the American Medical Association)に掲載された全米規模の調査で、子どもたちの健康状態の経年劣化が最悪になったことが明らかになった。1988年から2006年にかけて、4種類の慢性疾患(肥満、喘息、行動・学習問題、「その他の」身体疾患)の有病率が倍増し、アメリカの子供や若者の12.8%から26.6%に上昇したのだ。

 2011年の小児科学会(Academic Pediatrics)の研究では、「米国の子どもの43%(3200万人)が現在、20の慢性的な健康状態のうち少なくとも1つを有していると推定され、太りすぎや肥満、発達の遅れの危険性があることを含めると54.1%に増加する」とされている。また小児の自己免疫疾患も増加傾向にある。自閉症、ADHD、喘息、アレルギーは当時から倍増しており、現在、米国の一部の地域では、自閉症は子どもの30人に1人の割合で発生している。

 「2020-21年、障害者教育法(IDEA)に基づく特別教育の提供を受けた3歳から21歳の生徒の数は720万人で、公立学校の全生徒の15パーセントに相当する。特別教育の措置を受けている生徒のうち、最も多い障害の項目は、特定の学習障害(33%)だった」。

 重金属、殺虫剤、そして除草剤などの環境毒素が主な原因であることを示す証拠が増えつつある一方、ワクチンや有害なワクチン成分が、発作、神経発達障害、そして乳児死亡など、さまざまな健康上の悪影響と関連する研究結果が発表されている。医学界、公衆衛生界、そして政府関係者が、これらの有害物質の汚染による社会的・経済的影響について沈黙を守る中、アメリカの子供たちはかつてないほど病んでいる。

*

十代の10人のうち4人はうつ病

 うつ病になった子どもは、悲しみや絶望感、イライラが続き、無価値感や無用感、あるいは罪悪感を感じることがある。自傷行為や自己破壊的な行動も見られ、自殺を考えたり自殺を計画したりすることもある。

子ども5人のうち1人は肥満

 肥満の子どもたちは、心臓病、呼吸困難、そして2型糖尿病など、他の深刻な健康問題を引き起こす可能性が高くなる。また、不安やうつ病、そして自尊心の低下にも悩まされる可能性が高くなる。

十代5人のうち1人は自殺を真剣に考えたことがある

 自殺は、10~34歳の10代と若年成人の死因の第2位を占めている。自殺や自殺未遂は、精神的、肉体的、経済的に深刻な影響を及ぼす。自殺を試みて生き延びた人は、健康に長期的な影響を与えるような深刻な傷害を経験する可能性がある。また、うつ病やその他の精神衛生上の問題を経験することもある。人が自殺で亡くなった場合、残された家族や友人は、ショック、怒り、罪悪感、うつ病や不安の症状を経験し、自分自身も自殺を考える可能性もある。

2歳から8歳の子ども6人のうち1人は発達障害

 発達障害のある人は、記憶、知覚、注意、言語、問題解決、または社会的相互作用に機能障害が生じることがある。発達障害は、学習の妨げになることがある。発達障害は、通常、幼児期に始まり、日常生活に影響を及ぼし、生涯にわたって続く可能性がある。

子どもたち10人のうち1人は不安症

 不安は、心身の健康に影響を及ぼす可能性がある。免疫系、循環器系、泌尿器系、消化器系、そして呼吸器系に影響を及ぼし、感染症のリスクを高める可能性がある。不安障害は、自分が他の人と同じように生活できないことを恥ずかしく思うようになることがある。その結果、社会的孤立を深め、さらに引きこもってしまうこともある。

子ども10人のうち1人はADHD

 注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、何百万人もの子どもたちが罹患し、しばしば成人期まで続く慢性疾患だ。ADHDは、注意を持続することが難しい、多動性、衝動的な行動など、持続的な問題が複合的に含まれている。また、ADHDの子どもたちは、自尊心の低下、人間関係のトラブル、学校での成績不振に悩まされることもある。

子ども12人のうち1人は喘息

 喘息は、ゼーゼー、呼吸困難、そして咳を引き起こす深刻な病気だ。生涯にわたり、肺に永久的な損傷を与える可能性がある。毎年、喘息の子どもの6人に1人が救急外来を受診し、喘息の子どもの約20人に1人が喘息のために入院している。

子ども13人のうち1人は食物アレルギー

 米国では食物アレルギーを持つ子どもの40%以上が救急外来で治療を受けている。食物アレルギーを発症すると、突然の激しいアレルギー反応で死に至ることもある「アナフィラキシー」のように、体の免疫反応が激しくなることがある。

子ども44人のうち1人は自閉症

 自閉症スペクトラム障害(ASD)は発達障害のひとつだ。ASDの人は、通常とは言えないやり方で行動し、コミュニケーションをとり、交流し、そして学習することがある。ASDは3歳以前に始まり、生涯を通じて続く可能性がある。

子ども285人のうち1人は20歳までにがんと診断される

 がんは、アメリカの子どもたちの病気による死因の第1位。アメリカでは、がんにかかった子どもの6人に1人が、5年間生存できない。子供ががんと診断された場合、その影響は広範囲に及ぶ。治療や通院のための交通費、学校を休むことへの対応、兄弟の世話、保険や経済的な問題など、親が仕事を辞めなければならないことも少なくない。

* 

関連記事:COVIDの世界的流行を見る視点:誰かがしらじらしい嘘をついている。

オーウェル的 RESTRICT 法案は、『1984年』の背筋も凍る再現であり、アメリカの自由の崩壊でもある。

<記事原文 寺島先生推薦>

The Orwellian RESTRICT Act is a chilling echo of ‘1984’ and an erosion of American freedom
Far beyond cracking down on TikTok, the bill envisages frightening powers to control citizens’ access to ‘unwanted’ information.

TikTokの取り締まりをはるかに超えて、この法案は、市民の「不必要な」情報の入手経路を制限する恐ろしい権限を想定している。

筆者:イアン・マイルズ・チョン (Ian Miles Cheong)

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イアン・マイルズ・チョンは、政治・文化評論家。彼の仕事はThe Rebel、Penthouse、Human Events、The Post Millennialで紹介された。

出典:RT

2023年4月15日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月28日

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2023年3月22日、ワシントンDCの米国連邦議会議事堂前で記者会見するTikTokの支持者たち。© 写真:Alex Wong/Getty Images


 ジョージ・オーウェルの「1984年」を彷彿とさせるような不気味な雰囲気の中、「情報通信技術を危険にさらす安全性への脅威の出現を制限する法律」(RESTRICT法)が、アメリカの自由を脅かす暗雲として迫ってきている。

 この法律は、単なる「TikTok禁止令」ではなく、連邦政府があらゆる国を「外敵」として指定し、その国の管轄下にある企業が間接的に支配するオンラインサービスや製品を禁止し、その国とほとんどすべての取引を行う米国人を厳しく罰することができるようにする、広範囲にわたる権限を有している。

 マーク・ウォーナ上院議員(民主党、バージニア州選出)が提唱するRESTRICT法は、中国と繋がったTikTokという情報拡散基盤商品を対象とするだけでなく、アメリカの自由の基盤そのものを解体する可能性を持っている。政府の監視と統制が蔓延するオーウェルの反理想郷的小説の傑作と比較せずにいられない。恐ろしいことに、この法案は、そのような悪夢のような架空話を厳然たる現実にしてしまうかもしれないのだ。


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関連記事:TikTok、子供のデータを悪用したとして罰金刑


 RESTRICT法の背筋が凍るような規定は、同法に違反する取引を行った個人に対し、商務長官が最高25万ドルの民事罰を科すというもの。法案の取引の定義は極めて広範で、取得、輸入、データ送信、ソフトウェアの更新、修理、データ保持業務、および法律の適用を回避または回避するために設計されたその他の取引などの活動を含んでいる。

 しかし、『1984年』の弾圧的な世界のように、25万ドルの罰金は始まりに過ぎない。この法律に違反していることが判明したアメリカ市民は、最高100万ドルの刑事罰と最高20年の懲役刑に処される可能性がある。

 RESTRICT法が本質的に管理と処罰の道具として機能するように、オーウェルの観点との類似性は顕著である。外国からの安全保障の名の下に、政府の無制限な権力を許せば、この法案は、国民を待ち受ける反理想郷的な運命をはっきりと思い起こさせるものである。

 さらに、この法案では、連邦政府が、電話やパソコン、インターネット中継点、電子商取引技術や業務、暗号通貨、さらには量子コンピュータやポスト量子暗号、高度ロボット工学、生物技術工学などの先端技術など、アメリカ国民の所有するさまざまな機器や業務に入り込み押収できるようになる。

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関連記事:米国によるTikTok禁止への取り組みは、世界最大のスパイ組織による純粋な投影である

 
 さらに、この法案の施行に関連する情報公開法(FOIA)の要求を制限することで、政府は国民の監視から免れることを認められている。この点で、RESTRICT法は、World Wide Web*のかなりの部分から国民を隔離する中国の「グレートファイアウォール(防火長城)」のアメリカ版といえる。
* ネットワーク上のコンテンツを相互に閲覧するために規格化された仕組みのこと

 しかし、中国とは異なり(そこではVPN*の利用が自動的に投獄につながることはなく、また多くの国民がVPNを利用して人気のアプリやビデオゲームへの入手経路を手にしてもお咎めなしなのだが)、RESTRICT法はその規定に違反した者にはるかに厳しい処罰を課している。
* Virtual Private Network”の略称。「仮想専用通信網」。

 すでに保守派はこの法案の危険性に警鐘を鳴らしており、タッカー・カールソンは、この法案が政府に「アメリカ市民を罰し、インターネットでの通信手段を規制する」能力を提供することになると警告する独白をしている

 ドナルド・トランプJr.はTwitterにこう書いた:「何事も見かけとは全然違う。一党独裁を狙う影の勢力は、私たちが何をし、何を見るかを管理するために、さらなる権力を欲している。そして今、私たちは、バイデン派のチンピラたちに、私たちがこの狂気に違反していると判断されたら、私たちを20年間刑務所に入れる能力を与えようとしている? ご免だね」。

 米国下院金融委員会は、RESTRICT法が 「IEEPA*以来最大の行政権拡大のための煙幕としてTikTokを使っている」とし、他の共和党議員に法案を拒否するよう警告を発した
*国際緊急経済権限法。1977年10月28日より施行されたアメリカ合衆国の法律。合衆国法典第50編第35章§§1701-1707により規定されている。( ウィキペディア)

 RESTRICT法の批准が進めば、アメリカ人は地平線の向こうに広がる反理想郷的な現実に目を覚ますことができるのか、まだわからない。彼らのために、そして他のすべての人のために、そうであることを祈ろう。

元CIA長官が暴露―2020年選挙におけるバイデン陣営による情報操作の取り組み

<記事原文 寺島先生推薦>

Former CIA head reveals efforts to help Biden win 2020 election
Dozens of former intelligence officials penned a letter falsely claiming the Hunter Biden laptop story was likely “Russian disinformation”

数十人の元情報当局者が、ハンター・バイデンのノートパソコンの話は「ロシアの偽情報」の可能性が高いと虚偽の書簡を書いた。

2023年4月21日

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月24日

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2016年4月13日、バージニア州ラングレーのCIA本部。中央情報局(CIA)の印章が見える。© AP / キャロライン・カスター


 元CIA長官代理のマイク・モレルの証言によると、2020年の米国選挙に向けてのジョー・バイデンの大統領選挙運動が、ある公開書簡の作成に一役買っていたとのことだ。この書簡は、大統領の息子に関する正当な報道を信用させないことを目的としたもので、51人の元諜報関係者が署名している。

 公聴会を知る共和党議員によると、下院司法委員会での最近の非公開の証言で、モレルは、2020年10月にニューヨーク・ポスト紙に載ったハンター・バイデンによる海外ビジネス取引に関する批判報道について、アントニー・ブリンケン(現国務長官、当時バイデンの上級選挙運動員)が彼に接触してきたことを認めた。

 USA Today紙にFBIがハンター・バイデンの記事が「偽情報キャンペーン」の一部であるかどうかを調査していると主張しているものがあるが、ブリンケンはその記事をモレルにメールしたと言われている。

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関連記事:ハンター・バイデン、「地獄のラップトップ」修理店を提訴


 モレルは、この議論をきっかけに、ハンター・バイデンの報道には「ロシアの情報操作の典型的な特徴」があるとする情報当局者の公開書簡を作成したと述べた。その後の調査で、この報道はバイデンの息子のノートパソコンから入手した本物の文書に基づいていたことが判明するが、この書簡は、5人の元CIA長官やその他多数の元高官によって支持され、2020年の大統領選を前に大きな影響力を持つこととなった。

 モレルは、ブリンケンと接触する前には書簡をまとめる計画がなかったことを認めたが、「バイデン副大統領を助けたい...選挙に勝ってほしいからだ」と付け加えた。この書簡が掲載のためにポリティコに渡された後、バイデン陣営のスティーブ・リチェッティ委員長はモレルに電話をかけ、手紙を作成したことに感謝したと元職員は続ける。

 バイデンはその後、2020年10月22日に行われたドナルド・トランプ大統領(当時)との討論会でこの公開書簡を引用し、息子が海外で政治的な影響力の売買に関与しているという正当な主張を退けるのに役立てた。

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関連記事:バイデン一家のもう一人(義理の娘)も外国の現金を持ち出していた―報告書


 共和党の議員たちは、モレルの証言を受けて回答を求めており、下院司法委員会のジム・ジョーダン委員長と下院情報委員会のマイク・ターナー委員長は、ブリンケンにさらなる情報を求める書簡を書き送った。

 「バイデン陣営が公開書簡の情報源に積極的な役割を果たしたことは明らかであり、ハンター・バイデンの実際の行動を示す情報を封印し、アメリカ市民が2020年の大統領選挙中に十分な情報に基づいた判断をすることを妨げる効果があった」と彼らは声明で述べている。

 複数のソーシャルメディアは、ハンター・バイデンのラップトップに関する話が出ないように前例のない措置をとり、ツイッターは、ユーザーがダイレクトメッセージで関連内容を共有することを禁止するまでになった。ジョー・バイデンの選挙運動は当時、Twitterやその他のプラットフォームと密接に連絡を取り合い、いくつかの投稿に削除のフラグを立てていたが、ラップトップの話を葬るよう明確に各サイトに促したかどうかは不明である。

「閲覧注意の警告」がついたアメリカの古典的な小説

<記事原文 寺島先生推薦>

Classic American novel slapped with ‘trigger warning’

‘Gone with the Wind’ now begins with a cautionary note and a lengthy condemnation of “white supremacy”

『風と共に去りぬ』には、注意書きと長文の「白人至上主義」批判が添えられる

出典:RT

2023年4月2日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月22日

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「風と共に去りぬ」の1場面に登場する女優のヴィヴィアン・リーとハティ・マクダニエル(1939年) © Flickr


 日曜日(4月2日)のテレグラフ紙の報道によると、『風と共に去りぬ』の最新の復刻版は、出版社から「問題あり」「有害」と決めつけられている。この出版社は、文章そのものを編集するのではなく、知識人を雇い、この古典的恋愛小説に、人種差別の悪に関する但し書きを前置きしたのだ。

 1936年にマーガレット・ミッチェルによって書かれた『風と共に去りぬ』は、ジョージア州の農園主の娘であるスカーレット・オハラと、社交的で、南軍兵士としては消極的なレット・バトラー大佐のラブ・ストーリーを、ヤンキー(北部人)による南部征服という背景のもとで描いている。


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 この本とそれに続くハリウッドでの映画化は、奴隷を所有していた南部の大義を、甘美的に表現していると長い間非難されており、HBO Maxは2020年にこの映画を視聴可能作品群から撤去した。また、この小説の最新の再版は、出版社のパン・マクミラン社によって原文のままで出版されたが、代わりに「閲覧注意」という警告文が表紙に添えられている、とテレグラフ紙は報じている。

 その警告文には、 「この小説が書かれた当時に流行していた、この小説の時代背景を忠実に再現した、人を傷つける、あるいは実際に有害な表現・用語があるかもしれないことを読者に警告したい」とあり、出版社がこのような差別的な表現を削除しないことは「このような表現を推奨する意図があるという意味ではない」とも書き添えられている。

 このような表現を但し書きとして使用するのは、ロアルド・ダールの童話から "fat "や "ugly "といった軽度の攻撃的な言葉を削除したパフィン・ブックス(Puffin Book)社のように、強引な編集や書き換えに頼らずに古典作品を再発行しようとする出版社の典型である。イアン・フレミングのジェームズ・ボンド小説の出版社は、今月の再販に先立ち、「n*****r」のような人種的中傷用語は削除し、女性や同性愛者に対する不快な描写はそのまま残すという中間の立場をとった。


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関連記事:アガサ・クリスティーの小説、「感性読者」に切り刻まれる(テレグラフ紙)


 しかし、パン・マクミラン社は閲覧注意警告よりさらに踏み込んだ。 『風と共に去りぬ』では、警告の後に、イギリスの小説家フィリッパ・グレゴリーの文章が加わり、この物語は「人種差別を擁護」し「白人至上主義を美化している」と断定している。

 「この小説は、アフリカの人々は白人と同じ種族ではない、ということを明確に語っている」とグレゴリーは付け加える。

 グレゴリーは白人でイギリス人だ。パン・マクミラン社は、彼女がこの文章の執筆に選ばれた理由を、「少数派の背景を持つ作家が、多数派を教育する責任を負うという人々の感情に訴えるような文章を書くという労苦を求められることがあってはならない、と考えたからです」と述べている。

 『風と共に去りぬ』は、その主題や表現に何十年も手を焼いてきたにもかかわらず、世界中で3千万部以上売れた、史上最も人気のある本のひとつだ。

CIAはノルド・ストリームについて同盟国に事前の警告を出していた(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)

<記事原文 寺島先生推薦>

CIA issued advance Nord Stream warning to allies – WSJ

出典:RT

2023年3月9日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月5日


(CIAの)通知には、親ウクライナ派がパイプラインの破壊を企てているとの警告が含まれていたとされる。



資料写真:バルチック海におけるノルド・ストリーム2パイプラインの敷設(2021年9月)© Nord Stream 2 AG / AFP


 CIAは、親ウクライナ派によるガスパイプライン「ノルド・ストリーム」への攻撃の可能性について、EUの同盟国に警告したと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が情報当局者の話を引用して、3月8日(水)、報じた。

 それによると、昨年6月から7月にかけて、CIAはドイツの連邦情報局(BND)など欧州の機関に、ウクライナ人3人がパイプラインを狙うために、スウェーデンなどバルト海周辺の国々で船を借りようとしていたことを伝えた。その攻撃は結局9月に行われた。

 CIAのバーンズ長官とホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安全保障顧問は、爆破事件から1ヵ月後には、キエフがロシアのガスをドイツに送るために作られたパイプラインの破壊工作を指揮した可能性を検討していたと言われている。

 この報道は、ニューヨーク・タイムズ紙が3月7日(火)に米政府関係者の話を引用し、正体不明の「親ウクライナ派」が爆破を実行した可能性があるとしたことを受けて行われた。WSJは、米情報当局によるこの評価は「決定的なものではない」とし、犯人とされる人物がウクライナ政府と関係があることを「示すものはない」と主張したと述べた。




関連記事:米国の諜報員によると、「親ウクライナ勢力」がノルド・ストリームを爆破したという。(ニューヨーク・タイムズの報道)


 ドイツの報道機関は今週、捜査当局が、ウクライナ人2人が所有する「らしい」ポーランドの会社が運営するヨットを、破壊工作との関連の可能性で調べていると報じた。その後、ドイツ当局は1月に同船舶を捜索したことを確認したが、押収品の詳細については明らかにしなかった。

 ウクライナの関与が疑われる新たな報道は、ベテランジャーナリストのシーモア・ハーシュが先月行った調査と矛盾するもので、ハーシュはある情報源を引用して、爆撃はノルウェーの助けを借りて米国が行ったと主張している。米国とウクライナはともに関与を否定しており、ホワイトハウスはハーシュ氏の主張を「全くの虚偽」と断じた。

 クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は水曜日、ウクライナとの関連についての報道は、真の犯人から注意をそらし、NATO諸国を免責しようとするものであると示唆した。「明らかに、これはメディアによる協調的なデマキャンペーンだ」とペスコフは述べた。

 モスクワは、西側諸国は事件の包括的な国際調査にあまり関心がないと主張している。

数十の米銀がSVBの破綻劇を繰り返す危険性 (研究論文による警鐘)

<記事原文 寺島先生推薦>

Dozens of US banks at risk of repeating SVB collapse – study

出典:RT

2023年3月18日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年3月30日


Pgiam / Getty Images


他の多くの金融機関も金利の急速な引き上げにより、前例のない規模の損失から逃れられずにいる

 200近い米国の銀行が、破綻と倒産に追い込まれたシリコン・バレー銀行(SVB)のようになる危険があるという報告書が、オンライン上の研究発表機関である「社会科学研究ネットワーク」に今週(3月第3週)掲載された。米国の大手金融業者であるSVBは、科学技術分野や新規事業立ち上げ分野への投資に力を入れてきた銀行だったが、先週、大規模な預金流出が生じたことを受け、規制当局により閉鎖された。

 この報告書においては、著名な米国の大学の経済学者4人が、最近の金利の高騰により米国の銀行が保持している資産がどれほどの市場価値の損失を出すかの推論が行われている。

 2022年3月7日から2023年3月6日の間に、フェデラル・ファンド・レート(米国の市中銀行が連邦準備銀行に預けている資金の金利)は、0.08%から4.57%にまで急騰した。そしてこの急騰に対応して量的引き締め*策が取られた。その結果、 賃借対照表**に記載されている銀行の資産同様、銀行の長期資産の価値も同時期に大きく下落している」とその報告書にはある。
* 中央銀行が保有する資産を圧縮することで、市場に出回る金の量を減らしていくこと
** 一定時点の財政状況が記載されているもの


 金利が高くなれば、高い利率での貸付が可能となるため、銀行にとって利益が出るが、米国の銀行の多くは余剰金の大部分を米国債の買い付けに当てている。この買い付けは金利がほぼゼロの時になされたものだ。いまやこれらの国債の価値は、利率の高騰のせいで大きく下落している。投資家たちは高い利率のある新たに発行された国債を買えば済むようになったからだ。銀行が所有する資産の価値は下落しているのに、その実感が伴っていないということは、有価証券の価値が下がっているのに、その損失はまだ「書類上」でしかないということになる。

 問題が生じるのは、取り付け騒ぎ*が起こり、銀行が自行所有の有価証券を売らざるを得なくなった時だ。これは深刻な損失になるが、預金者に預金を返すためには、そうせざるを得ない。極端な場合、そのせいで銀行は支払不能状態になることもある。あるいはSVBの場合と同じように、銀行に対する信頼が失われて、取り付け騒ぎが発生する可能性もある。
* 預金者が殺到して預金を銀行から引き出すこと

 この報告書の執筆者たちは、米国の金融業者が、無保険預金として所有している資本額を調査している:その割合が高いほど、取り付け騒ぎが起こる見通しは高くなる。例えば、SVBにおいては、預金者の92.5%が無保険預金であり、たった2日間の預金流出により破綻に追い込まれた。この報告書の執筆者たちの見積もりでは、無保険預金の半分が引き出されれば、全ての預金者に預金支払いを行えなくなる銀行が米国に186行あるという。




関連記事:米国の銀行危機が西側の金融体制の崩壊に繋がる過程


 「私たちの推論から示唆されることは、これらの銀行には、取り付け騒ぎが生じる危険が確実に存在しているということだ。それを防ぐには、政府が介入や資本注入を行わないといけないだろう。(中略)。結局のところ、これらの推論から示唆されるのは、銀行の所有資産の価値の大幅な下落により、米国の銀行体制の脆弱化が加速され、無保険預金に対する取り付け騒ぎの発生が危惧されるという点だ」とこれらの経済学者は結論づけ、危険な状態にある銀行の数は、ずっと「深刻な数」になる可能性があるとした。そしてそれは、「取り付け騒ぎによる銀行の持ち株の投げ売りが小規模でおさまったとしても同じだ」という。

 SVBの破綻は、米国の銀行業界全体に波紋を投げかけ、シグニチャー銀行という別の銀行の閉鎖にも繋がった。他の多くの金融機関においても、株価が下落し、ウォール街の六大銀行は、時価総額で1650億ドルほどの損失を出している。これは各行の複合資産の13%程度になる。今週(3月第3週)はじめの格付け会社であるムーディーズは、米国の銀行体制の評価を「安定した状態」から「良くない状態」に下げたが、その理由は「運営状況が急速に悪化しているため」としていた。

「嘘の帝国」の反撃:ノルド・ストリーム破壊に対する尋常でない隠蔽工作

<記事原文 寺島先生推薦>

The Empire of Lies Strikes Back… Extraordinary Cover-Up of Nord Stream Terrorism

出典:Strategic Culture

2023年3月10日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年3月25日

嘘の帝国


欧米の報道機関は、ジャーナリズムの頂点に立ち、公共の利益と民主主義の擁護者であると威張り散らしている。彼らは、ワシントン(嘘の帝国)のプロパガンダ省に過ぎないのである。

 ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする欧米のニュースメディアは、今週、的外れで、露骨な話題そらしの主張を展開したが、結局は、ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」を爆破した米国の罪について、さらに注目を集めることにしかならなかった。
 ジョー・バイデン米大統領の政権が、この犯罪行為でさらに起訴に値することになっただけではない。今週行われた不条理な隠蔽工作は、西側メディアがジャーナリズムを装ったプロパガンダの省に過ぎないことも暴露した。

 4週間前、米国の著名な独立系ジャーナリスト、シーモア・ハーシュは、バイデン大統領とホワイトハウスの上級スタッフが、ロシアとバルト海とドイツを経由して欧州連合を結ぶ天然ガスパイプライン(ノルド・ストリーム)の爆破を指示した経緯を明らかにする超大型調査報告書を発表した。伝説的なハーシュは、1968年にベトナムで米軍が犯したミライの大虐殺から、アメリカ占領下のイラクにおけるアブグレイブ刑務所での拷問、ダマスカスの政権交代を目指すワシントンの代理戦争に参戦するために、リビアからシリアに武器と傭兵を流すためのラットライン(秘密の経路)の運用まで、非の打ち所のない画期的な記事を残してきた。

 ノルド・ストリームの破壊工作に関する彼の重要な報告書において、ハーシュはワシントンの内部情報源に頼った。彼は、米国が昨年夏、BALTOPS 22として知られるNATOの戦争演習を隠れ蓑に、米海軍のダイバーチームを用いて秘密裏に作戦を実行したという主張を発表した。2022年6月に行われた演習では、海底に爆発物が仕掛けられ、その後ノルウェー軍機の助けを借りて9月26日に爆発させたという。

 ハーシュ報告書に説得力があるのは、単に作戦の詳細が信用できるというだけでなく、多くの独立系観測筋が、妨害工作を行う動機と手段を持つ人物について、強力な状況証拠からすでに結論付けていたことを裏付けている点である。なお、米国が犯人とされる背景については、本誌Strategic Cultureの最近の論説を参照されたい。

 さて、ここで不思議なことがある。ハーシュの報告書は世界中に衝撃を与えたが、欧米の政府や主要メディアは彼の報告書を無視することを選んだ。奇妙な異世界にでもいるかのように、彼らはハーシュの衝撃的な暴露を存在しないことにしたのだ。

 ハーシュの世界的なスクープに対する評判、そして彼の最新報告書が、大規模な民間インフラ事業(ノルド・ストリーム)がどのように破壊されたかについて、確固たる信憑性を持った説明を明らかにしたこと、さらにこの報告書の含意が、米国とその大統領とその上級スタッフがテロ行為を命令したという罪状であることを考えると、おそらく、まあ、推測でしかないが、欧米のメディアにすれば、この件は絶対何らかの形で報道しなければならないと思うだろう。とんでもない。何の異論もなしに、黙殺したのだ。ある意味、これは非常にショッキングであり、茶番である。

 この奇妙な沈黙は、今週ニューヨーク・タイムズ紙が、ノルド・ストリームの爆破に関する、代わりの説明を主張する記事を発表するまで、1ヶ月間維持された。その後、まるで合図があったかのように、他の西側メディアも同じような記事を、手を変え、品を変え、次々と報道した。

 お笑い草だが、ニューヨーク・タイムズ紙は、この報道を「ノルド・ストリームに対する攻撃の犯人について、知られている最初の重要な手がかり」であると言い張ったのである。これは、ハーシュの、人の心をつかんだ記事を1ヶ月間無視し、世間の目に触れないように、効果的に検閲した後のことである。

 今週の「報道」(と呼んでいいのなら)は、この破壊工作は「親ウクライナ派」によって行われ、ウクライナ人またはロシア人が関与していたかもしれないという内容であった。この主張の情報源は、「新たな情報機関」と称する匿名の米国当局者である。また、ウクライナ人が所有する個人所有のヨットが使用され、攻撃が起こる数ヶ月前、この差し迫った攻撃についてCIAがドイツ情報機関に通報していたとも主張されている。

 報道された情報は、検証不可能なほど曖昧で、率直に言って、信用に値するものですらない。バルト海の海底で行われた高度な技術を要する軍事作戦が、無名の準軍事組織によって実行されたと、私たちは信じ込まされている。ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする欧米のメディアは、自分たちの体面からすれば突拍子もないような記事を掲載した。これではゴシップ誌になってしまう。

 しかも、この報告書は、ハーシュ報告書をきちんと内容を確認することもなく、ハーシュ報告書に対してする反論として作成されていることが、その作成方法から明らかである。このように、米国は犯罪行為への関与を否定しているのは、あるものをないと、何とか言いくるめているからだ。この二重思考は、それ自体が「嘘の帝国」の罪深さを示している。

 西側のプロパガンダの売り手にとって問題なのは、あり得ないということに加えて、キエフ政権のアリバイを提供しなければならないというさらなる重荷である。米国とそのNATO同盟国は、明らかな犯人であるワシントンから目をそらす必要があるが、NATOが支援するキエフ軍事政権に対する欧米国民の反感を煽りかねないため、キエフ政権を巻き込むことも許されない。このため、ニューヨーク・タイムズ紙は、ノルド・ストリーム爆破事件をウクライナの武装勢力になすりつけつつ、この大胆不敵な武装勢力がウラジーミル・ゼレンスキー大統領とその一味に知られることなく爆破を成し遂げたと主張しながら、複雑なバランスを取っているようだ。これでは、二重に馬鹿げた話になってしまう。

 このような欧米メディアのごまかしには、タイミング(それを起こす時期の設定)という重要な要素もある。先週、ドイツのオラフ・ショルツ首相は3月3日、ホワイトハウスでジョー・バイデンに接待され、不自然なほどプライベートな会談を行った。密室での二人の会話は公開されなかった。両首脳は、その話し合いについて、記者団に口を閉ざした。ショルツがバイデンに政治的な援護を求めたのは、ウクライナとロシアをめぐるアメリカの政策が経済的にもたらす影響について、ドイツ国民の間で怒りが高まっていたからだと推測される。ドイツの産業と輸出主導の経済は、ロシアの伝統的な天然ガス供給の喪失によって壊滅的な打撃を受けている。ショルツと彼の政府は、ドイツ経済に対するアメリカの破壊行為と思われる行為に付き合うことで、裏切り行為をしていると見られている。ハーシュ報告書に何の回答もしないことは、ベルリン政府に大きな圧力となっている。それゆえ今週は、ノルド・ストリームを爆破したとされる人物について、西側メディアの総力を挙げたキャンペーンで国民の関心を逸らそうとする試みが見られた。その目的は、ワシントンとその手先であるベルリンを免責することである。

 もう一つのタイミング(時期設定)の問題は、先週3月2日にロシアのブリャンスク地方でテロを実行したウクライナとロシアのファシスト司令部が突然現れたことである。大人2人が死亡し、少年1人が重傷を負ったこの事件は、理由のない残虐行為であり、国際的な見出しを飾った。しかし、その大胆な襲撃は、国際的な活動の中で一匹狼として行動するように見える親ウクライナの過激派の存在を世間に知らしめることになった。ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする欧米メディアが、ノルド・ストリーム破壊工作の犯人としたのは、まさにこのような人物像である。ここで次の疑問が当然出てくる:ブリャンスクのテロは、ノルド・ストリームに関するメディアの情報操作を促進するために、西側の軍事情報機関によって行われたのではないだろうか?

 本題に入ろう。西側メディアの情報操作キャンペーンは下品なジョークである。米国とそのNATO同盟国は、欧州の企業や政府に対する国際テロ行為を行い、少なくとも200億ドルの建設費がかかる1,200キロのノルド・ストリーム・パイプラインの主要所有者であるロシアに対する戦争行為を行ったという明白な事実から目をそらすことはできない。その犯罪行為が、アメリカの大統領とそのホワイトハウス側近によって命じられた可能性は高い。地政学的な動機は明々白々であり、バイデンとその側近がこの忌まわしい出来事の前後に、天に唾するような告白をしたことも同様である。

 西側メディアによる今週の隠蔽工作は、米国とそのNATOの犯罪協力者をさらに罪に陥れるものでしかない。さらに、西側メディアは、戦争犯罪の宣伝に加担していることが、これまで以上に露呈している。ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする欧米の報道機関は、ジャーナリズムの頂点に立ち、公共の利益と民主主義の擁護者であると偉そうに主張している。しかし、彼らはワシントン(嘘の帝国)の宣伝部に他ならない。

テロ攻撃を画策していた米国のネオナチ勢力がウクライナのファシスト集団と繋がっていることを報道機関は無視

<記事原文 寺島先生推薦>

Neo-Nazi brotherhood: How American friends of Ukrainian fascists plotted a terror attack in the US and the media ignored the story. In normal circumstances, the Atomwaffen’s plot in Baltimore should have been headline news

ネオナチの兄弟組織:ウクライナのファシスト集団と繋がる米国の組織が米国内でテロ攻撃を仕掛けようとしたが、報道機関はこの事件を無視。通常であれば、バルチモアでネオナチ集団のアトムヴァッフェンが計画していた陰謀は、新聞の見出しを飾るはずだった。

筆者:フェリックス・リブシッツ(Felix Livshitz)

出典:RT

2023年3月7日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年3月22日


© Social network


 米国の極右過激派―ウクライナのアゾフ大隊とつながりがある―が、メリーランド州ボルチモア市で、テロ攻撃を陰謀したとして起訴された。しかし米国の報道機関は、この事件を報じる際に、この組織とアゾフ大隊とのつながりについては触れなかった。

 付言すれば、この未遂テロ攻撃はアゾフ大隊の隊員たちとその外国の友好組織とが、西側諸国に与える脅威のほんの始まりに過ぎないのかもしれない。


未遂計画

 2月上旬、米国司法省は、ネオナチ組織の構成員であるサラー・べス・クレンダニエルとブランドン・クリント・ラッセルの2名が、ボルチモア市内の複数の変電所の破壊を画策していたとして起訴されたと発表した。当局は両名の計画を、「人種差別に基づく憎悪思想に駆り立てられた」ものであるとした。有罪が確定すれば、最大20年の禁固刑が言い渡される。



関連記事:戦争の惨禍:ウクライナの紛争が欧州の別の国に広がりそうになる可能性の理由とは。


 2022年6月、あるいはもっと早い可能性もあるが、両名は変電所に対する一連の攻撃計画を準備し始めた。その手口は、気球とライフル銃を使うものであり、その目的は、変圧器を不足させることで、何千人もの住民の明かりと暖房を止めることにあった。この両名がこの工作の実行時期と目していたのは「電力が一番必要とされる時期」であり、エネルギー需要が最も高い時期だった。

 ラッセルは目星としていた標的の地図をクレンダニエルと共有し、変電所に対する小規模な攻撃でも、ボルチモア全体に「連鎖的停電」被害を与えられる計画の概要を説明した。それは複数の箇所を同時に攻撃することで、被害を最大限にするという作戦だった。クレンダニエルは、この計画により、「ボルチモア市を永久に完全破壊された状態にできる」と考えていたことが、暗号化されたメッセージアプリでのやり取りからわかっている。


刑務所へ逆戻り

 ラッセルはテロ組織アトムヴァッフェン・ディビジョンの創設者であり、国家社会主義抵抗戦線という国際的なネオナチのテロリスト集団網の一員としても知られている。2018年1月、ラッセルは未登録の破壊装置と爆発物を不当に所持していたため投獄された。FBIの爆弾技術者の主張によれば、ラッセルが所有していた原料があれば、航空機一機を完全に破壊できるとのことであり、検察側の主張では、ラッセルはその装置を使ったテロ攻撃を画策しており、その標的は、全米の市民や核施設やユダヤ教の礼拝堂だったという。


ボルチモア地域の複数の変電所の破壊を画策していたとして、連邦当局に逮捕されたサラー・ベス・グレンダニエル

 獄中でラッセルは支持者に向けた動画を公表したが、その動画は支持者の「不滅の忠誠心と勇気」に感謝し、自分が投獄されたことで、アトムヴァッヘンの使命が中断されることはないことを約束する内容だった。ラッセルはさらに、支持者に爆弾の製作方法も伝えていた。

 ラッセルは「この世界に臆病者たちが存在できる余地はない」と宣告し、アドルフ・ヒトラーの以下のことばを引用していた。「剣は抜かれた。もう後戻りはできない」と。



関連記事:スターリン没後70年:西側の喧伝によるこのソ連の独裁者の描き方は、当初悪者、その後英雄、そしてまた悪者に逆戻りした。


 ラッセルがこれらの発言をしたにも関わらず、そして米国内外のアトムヴァッヘンの支持者たちは、ラッセルが獄につながれている間に、ますます多くの重大な犯罪—複数の殺人行為もあった—を実行していた事実があったにも関わらず、ラッセルは刑期よりも早く出獄を許された。さらに、ラッセルが自身のネオナチ組織団の団員たちと連絡を取り合うことを禁じる措置は取られなかった。

 同様に注目すべきは、国内でのテロ画策行為が連邦政府により摘発され、その首謀者たちが或る組織の指導者をつとめていて、これらの首謀者たちが市民の安全に明らかに大きな脅威をもたらしているというのに、この事件については、大手報道機関も政治家たちも概して完全にダンマリを決めている点だ。これまでジョー・バイデン政権は、極右や人種差別的な動機のもとで動いている過激派が巻き起こす脅威について、激しく広報してきたにもかかわらず、である。さらに当局は、ソーシャル・メディア上での秘密の魔女狩り工作までしてきた。その対象は白人の保守派層だった。その白人の保守派層が、脅威となっている証拠―捏造された場合もある―を特定しようとしてきたのだ。


 では、グレンダニエルとラッセルの起訴に関して、このような沈黙が保たれている理由は何か? 普通に考えれば、今回の事件はホワイト・ハウスやリベラル派の専門家や記者たちにとって、格好のネタになったはずだ。その理由に対する答えは、アトムヴァッヘンが持つ国際的な繋がりにあるのかもしれない。実名をあげれば、ウクライナの悪名高く、荒々しいアゾフ大隊との繋がりだ。もうひとつは、それに伴い、西側が長年訓練を施し、資金を出してきた東欧諸国の極右勢力のことが明らかになることが避けられなくなるからだろう。


秘密とはいえ、公然の秘密

 米国陸軍士官学校のテロリスト対策センターが2020年に行った調査結果によると、ウクライナは長年、「白人至上主義者的な思想の持ち主や活動家や野心家たちのような人々の関心を引き寄せる」国であったという。

 2014年の米国内が主導したマイダンのクーデターに関わっていた国粋主義の団体がいくつも存在している状況が、「欧州や米国やそれ以外の地域の極右の人々や組織の気分を高揚させた」とその調査記録にはある。世界中のネオナチたちがウクライナに集結し始め、彼らの目には、ウクライナが新たなファシスト国家が形成されつつある国だと映っていた。 中でも関心を集めていたのが、アゾフ大隊であり、この記録によると、「人権侵害行為を行っていたことを示す文書があったにも拘わらず、当時のペトロ・ポリシェンコ大統領や保安隊からの支援を受けた」組織であると捉えられていたという。


ブランドン・クリント・ラッセル@Pinellas County Sheriff's Office via AP

 こんなことは、第二次世界大戦後の欧州で初めてだった。つまり、ネオナチの一派―「祝福され、公に組織され、政府高官と友好関係を結んでいる」―が、国家から歓迎され、資金も提供されているという状況のことだ。キエフに到着したネオナチたちの中の相当数は、アゾフ大隊に加入したり、同大隊の戦士たちから指導や訓練を受けたりした。

 これらのネオナチたちの中に、アトムヴァッヘンの代表者たちもいて、それ以来、この2つの組織の間の関係は強められ、正式なものになった。アトムヴァッヘンの欧州組織は、アゾフ大隊による訓練合宿に参加しており、米国を拠点としている団員たちも数名加わっていた。これらの米国内の団員たちは、その後暴虐な攻撃や記者たちに対する脅迫行為を画策していたとして投獄された。



関連記事:「欧州で最も急進的な右翼過激派のひとつ」:ウクライナによる今週のロシアのブリャンスク地方への攻撃の背後にいたネオナチは誰か?


 大手報道機関が、マイダン後、長年アゾフ大隊が持つファシスト的要素を認識し、あからさまに非難してきたにもかかわらず、これらの組織に対する取材は現在事実上なくなってしまっている。ロシアによる軍事作戦が昨年開始されてから、(アゾフ大隊はファシスト集団であるという)議論の余地のない真実は無視されるか、大きく歪曲されてきた。また、アゾフ大隊に対する政治的姿勢も同様に変化してきた。かつては米国政府からの支援を受けることは法律で禁じられていたこの大隊は、今では隊員たちが、英雄的な自由の戦士であるともてはやされ、ワシントンに招待され 、戦意を鼓舞するような発言をさせてもらっている。


ネオナチがさらなる問題を引き起こす兆しはあるのだろうか?

 報道機関がアトムヴァッヘンの創設者であるラッセルとアゾフ大隊との繋がりに対する関心が不足している状況については懸念されるが、この状況の分かりやすい説明は、バイデン政権とバイデン政権によるキエフ政権への支援を助けるためであると言えるだろう。つまり、もし国民に十分な情報を与えてしまえば、十分に反露だとは見られていないアメリカ国民を脅威に晒す過激派集団へのアメリカ国民の支持をずっと保つのは困難となるからだ。ただし、アゾフ大隊がネオナチに訓練を施していることに関しては、考慮すべき問題―報道機関が両者の繋がりを無視している状況と同じくらい重要となる可能性がある問題が他にもある。

 2022年7月、欧州刑事警察機構(ユーロポール)は、今回の戦争を原因として、「確立された密輸経路やオンライン・プラットフォーム上のやり取りを通じて欧州内で売買される銃器や弾薬が増加する」との見通しを示し、さらに「この戦争が終結した後でも、そのような売買が増加する危険が高くなる可能性がある」と警告していた。それ以来、キエフに送られた武器が、武器の闇市場に出回って、犯罪組織により使用されているという複数の記事がある。

 ウクライナに運ばれた大量の兵器(その多くは行方不明)は、アゾフ大隊に加入したり、アゾフ大隊との訓練を受けた過激派勢力とともに、米国や欧州諸国にとっての警告になっているはずだ。アトムヴァッヘンがボルチモアで画策したことは、ただの始まりにすぎないかもしれない。

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