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1500人の科学者が「気候変動はCO2によるものではない」と発言―真の環境運動は乗っ取られた!

<記事原文 寺島先生推薦>

1500 Scientists Say “Climate Change Not Due to CO2” – The Real Environment Movement Was Hijacked

筆者:マーク・キーナン(Mark Keenan)

出典:グローバル・リサーチ

2023年3月6日

<翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月2日



この記事の初出は、2023年2月24日付けのグローバル・リサーチ。

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 世界中の多くの人々が気候変動を懸念し、気候の緊急事態が発生していると考えています。何十年もの間、私たちは国連から、人間活動による二酸化炭素(CO2)排出が悲惨な気候変動を引き起こしていると聞かされてきました。2018年には、国連のIPCC(気候変動に関する政府間集団討議会)報告書が『地球を救えるのにはあと12年しかない』とまで警告し、こうして世界中の何百万人もの人々を熱狂の渦に巻き込んだのです。

 35年前、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)は、気候変動という複雑なテーマについて科学的な勧告をするために、気候変動に関する政府間集団討議会(IPCC)を設立しました。この討議会(IPCC)は、利用可能な科学的情報に基づき、気候変動とその影響に関連するすべての側面に関する報告書を作成し、現実的な対応策を策定するよう要請されました。IPCCの第1次評価報告書は、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の交渉の基礎となるものでした。世界中の政府がこの条約に署名したことで、世界の人々の生活に大きな影響を与えることになりました。

 しかし、国連が推進する気候変動は人為なものであるという説には多くの科学者が異論を唱えており、世界中の多くの人々がこの説に戸惑い、あるいは事実の全容を知らないでいます。ここでは、皆さんがご存知でないであろう情報を提供させていただきます。

1. 実際にデータを調べる人はほとんどおらず、国連IPCCの報告書がそのまま受け入れられています。しかし、多くの高名な科学者たちが、正確にデータを調べてみると、国連が推進する人為的な気候変動理論に重大な欠陥があることを発見しています。30カ国以上、1500人の世界的な気候科学者や専門家が、気候の緊急事態は存在しないという宣言に署名し、人工気候変動に関連する国連の主張に反論していることをご存知でしょうか?こちらをご覧ください。


2. 私もこの宣言書に署名しています。なぜ、このような主張ができるのか? 私は、英国政府エネルギー気候変動省の元科学者であり、国連環境部の元一員として、世界中の陸・空・水への汚染物質の監視を含む多国間環境協定である「汚染物質放出・移動登録協定」の編集を担当した経験があります。汚染は実際存在しますが、問題はCO2ではありません。問題は、産業のグローバル化によって、汚染物質として登録される多くの物質が生み出されたことです。その中には、科学的な予防原則に反する何千もの新しい人工の化学物質、毒素、ナノ粒子、遺伝子組み換え生物(GMO)などがあります。

 私が最近出版した本も、著名な科学者たちによる気候の緊急事態は存在しないという十分な証拠と証言を示しています。「気候変動という欺瞞を超え、真の持続可能性へ」と題されたこの本は、amazon.COMで購入することができます。


3. 次に、ジム・オブライエン氏が設立した貴重な情報源であるアイルランド気候科学フォーラム(ICSF)のウェブサイトを紹介します。私は、ICSFが国連の気候に関する説明の科学的欠陥を浮き彫りにするために素晴らしい活動をしてくれていることに感謝しています。ICSFは、著名な国際的科学者による包括的な一連の講演を提供し、国連の主張と矛盾する多くの証拠、分析、データを提供しています。講義の内容は、こちら でご覧いただけます。

 ICSFの科学的見解は、気候変動と気候政策の分野で活動するClimate Intelligence(気候情報:CLINTEL)財団の見解と一致します。CLINTELは、地球物理学のグウス・ベルクハウト名誉教授と科学記者のマルセル・クロク氏によって2019年に設立されました。この共通の信念に基づき、アイルランドの科学者20名とICSF所属員数名がCLINTEL世界気候宣言「There is No Climate Emergency(気候における緊急事態は存在しない)」に共同署名しています。(こちらをご覧ください)。


4.現実には、気候は独自の周期で自然にゆっくりと変化しており、気候の支配的な要因は太陽活動であり、CO2ではありません。炭素の排出や牛などの家畜からのメタンの排出は、気候変動の支配的な要因ではないという結論になります。要するに、国連、政府、企業、報道機関が絶え間なく騒ぎ立てているのは、炭素排出と牛からのメタンに関連したことですが、科学的根拠はないのです。

 私には、気候変動がCO2によって引き起こされていないことを表明することに商業的な関心はないことに注意してください。実際、私は「本当の」公害に反対していますが、CO2は実際のところ公害ではありません。残念ながら、誤った知識を持った多くの環境保護主義者が電気自動車を乗り回しています。電気自動車のバッテリー生産は、レアアース(希土類元素)の採掘と加工による膨大な量の「本物の」汚染を引き起こし、その結果、土地、空気、水系を汚染しています。国連は、企業による産業のグローバリゼーションが生み出す何千もの実際の汚染物質には目を向けていないことに注意してください。


5. クライメート・インテリジェンス財団の結論は以下の通りです。

 気候の緊急事態は存在しません。したがって、混乱や警告の根拠もありません。

 人為的な要因だけでなく、自然的な要因も温暖化の原因です。地質学上の記録を見ると、地球が存在する限り、地球の気候には寒冷期と温暖期があり、変化してきたことがわかります。小氷河期が終わったのは1850年と最近です。したがって、現在、温暖化の時期を迎えていることは、何ら不思議なことではありません。

 温暖化は予測よりはるかにゆっくり進行しています。人類が気候に対して与える影響をもとにIPCCがコンピュータ上での演算で弾き出した予測よりも、世界の温暖化はかなり遅れています。現実の世界と演算上の世界との間の差異は、私たちが気候変動をほとんど理解できていないことを物語っています。

 気候政策は、不適切な演算に依拠しています。気候の演算化には多くの欠点があり、世界的な政策手段としては到底妥当とは言えません。気候の演算化は、CO2のような温室効果ガスの影響を誇張しています。さらに、CO2が大気を豊かにし、有益であるという事実も無視されています。

 CO2は植物の餌であり、地球上のすべての生命の基礎です。CO2は汚染物質ではありません。地球上のすべての生命にとって必要不可欠なものです。光合成は恵みです。CO2が増えることは、地球を緑化することになり、自然にとって有益です。つまり、大気中のCO2が増えることで、世界の植物有機物質の成長が促進されます。また、農業にも良い影響を与え、世界中の作物の収穫量を増加させています。

 地球温暖化によって自然災害が増えることはありません。地球温暖化がハリケーン、洪水、干ばつなどの自然災害を激化させたり、頻発させたりしているという統計的な証拠はありません。


6. 上記の書籍の中で、私は世界有数の気候科学者の関連する研究と科学的発表を参照しました。これらの科学者の業績と証言のいくつかを検証してみましょう

 「巧妙で容赦のない宣伝扇動によって隠された深い欠陥のある論理は、実際に強力な特別利益団体が連合し、人間の産業から出された二酸化炭素は危険な植物破壊毒素であると世界中のほぼすべての人に納得させることに成功しました。植物の生命である二酸化炭素が一時期猛毒とみなされたことは、世界史上最大の集団錯誤として記憶されるでしょう。」― リチャード・リンゼン教授、マサチューセッツ工科大学大気科学名誉教授。

 ニルス・アクセル・メルナー(Nils-Axel Mörner)博士は、国連気候変動に関する国際集団討議会(IPCC)の元委員長。IPCCの最初の文書の査読に携わった専門家でもあります。彼は、国連IPCCは気候変動について人類を間違った方向に導いていると言います。 彼は、IPCCが嘘と偽りの情報を公表しており、必然的に信用を失うことになると警告しようとしました。インタビューの中で、彼はこう述べています。「これが最も危険で恐ろしい部分です。IPCCのような政治的圧力団体が、いかにして全世界を欺くことができたか。こうした組織的で欺瞞に満ちた勢力は危険です」と述べ、「国連や各国政府が、国連気候サミットで子どもを宣伝扇動の小道具としてあちこちで行進させるとは」という落胆の気持ちを表明しています。以下は、彼の証言の詳細です。

 「太陽活動が気候の支配的な要因であり、CO2ではない...CO2のせいにする仮説は基本的に何か病んでいます...それは100年以上前に立ち上がりましたが、そのほぼ直後に優れた物理学者たちはその仮説が機能しないことを証明しました。

 私は海面変動に関する唯一の国際委員会の委員長を務めていたため、そのような人間として、(国連IPCC)海面部門の論文の専門家審査委員に選ばれました。その論文は38人が書いたものなのに、海面の専門家は一人もいませんでした。まるで学生の論文のような質の低さに驚愕しました。

 科学的真実は懐疑論者の側にあるのです...世界中に何千人もの高位の科学者がいますが、彼らはCO2が気候変動を駆動しているのではなく、すべてが誇張されていることに同意しています。物理学の分野では、80~90%の物理学者がCO2仮説が誤りであることを知っています...もちろん、計量学者たちがそう信じているのは、そうすることが、彼らの仕事だからです。背後の推進者たちには・・・隠された動機があると私は思うのです。・・・(彼らにとっては)税金で人々を支配するのは素晴らしい方法です」、と元国連IPCC委員長で、ストックホルムにあるパレオ地球物理学、地球力学部門の元部長のニルス・アクセル・メルナー博士は言っています。

 もう一人、非の打ちどころがない気候科学者、中村元孝博士も、その立場を批判しています。彼は、「いま取られている演算は現実世界をミッキー・マウスのような模造品にするものです」と断言します中村博士はMITで理学博士号を取得し、MIT(マサチューセッツ工科大学)、ジョージア工科大学、NASA、ジェット推進研究所、カリフォルニア工科大学、JAMSTEC(海洋研究開発機構)、デューク大学などの一流機関で約25年間、異常気象と気候変動を専門としてきました。中村氏は、地球温暖化科学を支えるデータ基盤がなぜ「信頼できない」のかについて、「1980年以前の世界の平均気温は信頼できないデータに基づいているからです」と説明しています。

 アラバマ大学大気地球科学部長のジョン・R・クリスティ教授は、気候データの詳細な分析を行っています(巻末資料[i]を参照)。以下、彼の分析の要点を要約します。

 「確立された地球温暖化理論は、余分な温室効果ガスの影響を著しく誤って表現しています。人々に最も影響を与える天候の変化については、より極端になったり、より危険になったりしていません。1930年代は現在よりも気温が高かったのです。1895年から2015年の間に、最も暑さを記録した上位15年のうち14年は1960年以前に起こりました。2021年に我々が現在経験している気温は120年前と同じです...。

 1954年から1986年の間の主要な竜巻の数は平均56回/年でしたが、1987年から2020年の間は平均34回/年に過ぎません。1895年から2015年の間、1ヶ月あたりの非常に雨の多い日の平均日数に変化はなく、1ヶ月あたりの非常に乾いた日の数にも変化はなく、最も乾燥した20ヶ月は全て1988年より前でした。1950年から2019年にかけて、干ばつを経験した陸地面積の割合は世界的に増加しておらず、傾向は横ばい、1600年から2000年の北米における山火事の発生率は大幅に減少しています。海面は8000年間、10年ごとに12.5cm上昇し、その後横ばいになり、現在は10年ごとに2.5cmしか上昇していません。10年で30cmの海面上昇を心配するのは馬鹿げています。ハリケーンでアメリカ東海岸の海面は6時間で20フィート(約6メートル)上昇するので30cmの上昇なら簡単に対処できるでしょう!」

 「架空の気候危機 --- 私達はどのようにそのメッセージを変えることができるか。気候の危機は架空のものである」と題された講演の中で、(「アイルランド気候科学フォーラムのウェブサイトにて公開、巻末資料[ii]を参照)、MITの大気科学名誉教授であるリチャード・L・リンゼン氏(R ichard L Lindzen)は、気候騒ぎとの戦いを次のようにまとめています。

 「地球の長い歴史の中で、気候と二酸化炭素の間にはほとんど相関関係がない...古気候の記録は、二酸化炭素が調整弁ではないことを明確に示しています...この仮説は馬鹿げています...それは政府にエネルギー分野を支配する力を与えます...約33年間、我々の多くは気候騒ぎと闘ってきました... それに異議を唱える重要な指導者たちは今よりも多くいましたが、残念ながら彼らは高齢で今はほとんど亡くなっています...。

 指導者層は常に自分の価値を宣伝し、権威を誇示する方法を探しています。彼らは、科学は手順ではなく権威の源泉であるとみなす資格を自分たちが有していると考え、科学に間違った単純化を都合よく施し、自分たちの動きの基礎として利用しようとします。

 「CO2...それは汚染物質ではありません...すべての植物の呼吸の産物であり、植物の生命と光合成に不可欠です...もし呼気から運転まですべてを支配できる解決策を望むなら、CO2を利用するのは夢のような話です。だから、官僚的な考え方をするものたちにとって、ある種の根本的な誘惑があるのです。」 ― リチャード・リンゼン教授(マサチューセッツ工科大学 大気科学名誉教授

 グリーンピースの共同創設者であり、7年間カナダでグリーンピースの代表を務めたパトリック・ムーアは、次のように述べています。

 「もちろん、気候変動は現実であり、有史以来ずっと起こっていることです。何も恐れることはないのに、彼らがしているのは恐怖を植え付けることだけです。危機だと言っている科学者のほとんどは、政府から永続的な補助金をもらっています。

 私はグリーンピースの創設者の一人ですが、80年代半ばには極左に乗っ取られ、グリーンピースは科学に基づく組織から、扇情主義、誤報、恐怖に基づく組織になりました。化石燃料なしで80億人を養うことは(口先だけで)無計画だし、食料を都市で生産する計画もそうでしょう。」― グリーンピース共同創設者 パトリック・ムーア

 プリンストン大学のウィリアム・ハッパー教授(元米国エネルギー省科学部長)も、地球温暖化が人為的理由によるものという神話に反対する強い声を上げています。彼はこう言っています。「より多くのCO2が地球に利益をもたらす」、と。


7. 国連IPCCは、データを選別し、欠陥のある数理的演算と、現実世界とは全く関係のない筋書きを使用している。

 国連の気候危機予測は、物理的な証拠に基づくものではなく、むしろ複雑な数理的演算に基づくものです。演算が有効で正確かどうか、あるいは明らかな欠陥があるかどうかを確認するためには、演算を行う過程を解読し分析する必要があります。大多数の科学者、経済学者、政治家、一般市民は、国連の「気候変動に関する政府間集団討議会(IPCC)」の演算が正確であると単純に思い込んでいます。これらの演算を分析する時間や技術を持つ人はごくわずかで、ましてやこの件について実際に論争する人もほとんど皆無です。それにもかかわらず、多くの著名な科学者たちが、まさにその通りのことを行った上で、国連の見解は間違っており、気候の緊急事態は存在しないと主張しました。彼らの声は、グローバル化した「体制」の巨大な金権政治と報道機関によってかき消されました。これらの著名な科学者たちの極めて重要な研究は、上記の本の中で言及されています。

 「コンピューターによる演算は体系的で劇的な誤りを犯しています...それらはすべて媒介変数(関連する変数同士の関係を他の変数を用いて表すこと)化されており、ごまかされています...演算は本当に機能していません。」
― パトリック・J・マイケルズ、ケイトー研究所科学研究センター所長

 コロラド大学のロジャー・ピールケ・ジュニア(Roger Pielke Jr)博士は、国連IPCC AR6報告書の詳細な科学的解釈と分析を行っています(注[iii]を参照)。 彼は、気候演算に関して、IPCCは社会経済的な妥当性から気候演算を切り離したと述べています。つまり、この演算を作成する際、最初に統合評価モデル*(IAM)を完成させずに、IPCCはこの重要な手順を飛ばして放射強制力**の演算に直行したのです。したがってこれらの演算は適応するIAMに基づくものではありません。このため、気候演算は間違った方向に進んでしまったのです。ピールケ博士の分析から、以下の点を引用します。
*社会、経済活動から排出される温室効果ガスの予測や、その蓄積、気温上昇など環境の変化や気候変動による影響を分析するためのコンピュータシミュレーションモデルの総称
**平衡状態にある大気と地表とのエネルギーのバランスが、さまざまな要因により変化した際、その変化量を圏界面(対流圏と成層圏の境界面)における単位面積あたりの放射量の変化であらわす指標。この値がプラスになると温暖化が進んでいることになる。

 「IPCCの4つの仮説*は、大規模な演算群から生まれたものなので、社会経済的な仮定から演算を導き出すのではなく、その演算は、その演算に合うようなあらかじめ捏造された仮定のもとで行われたのです。なぜなら、それらは必要となる放射強制力(つまり気候危機説の筋書きを生みだす仮定のこと)が必要だったからです。
*IPCCは、この先地球の温暖化がどの程度進むかの見通しを4段階に分けて仮定している。

 もう一つの致命的な決定には、4つの代表的濃度経路(RCP:温室効果ガス濃度の軌跡のこと)は4つの異なる統合評価モデル(IAM)から得られたものであるという点がありますが、これは大きな間違いです。 これらの演算は互いに全く無関係なのに、放射強制力の違いだけで、共通の演算であるかのような印象が与えられていますが、これは大きな間違いです。さらに、これらの仮説が妥当かどうかを判断する責任は誰も持っていません。この気候変動陰謀団は、どの仮説を優先させるかを決める際に、最もあり得ない2つの仮説を選んだのです! 気候の仮説は何千もありますが、現在気候研究に利用できるのはそのうちの8~12個だけです。IPCCの報告書では、「この報告書で述べられた4仮説にはそうなる可能性はない」とまで書かれています。そうなる可能性は低いと考えられていると彼らは認めています ― これはIPCCによる信じられないような告白です。

 このような極端に可能性の低い仮説が文献やIPCC報告書を支配しています。したがって、IPCC報告書は偏っています。要するに、大混乱が起きているということです。IPCCのリチャード・モス氏は、RCP8.5を他のRCPの参考資料として使用しないよう警告しましたが、世界中の5,800の科学論文が誤用して使用しています... 仮説全体に重大な欠陥があります... 現実世界に近い仮説は、IPCCの仮説では表現されていません。気候科学には大きな問題があります! IPCCは現在、RCP8.5を「通常」の仮説として使用していますが、RCP8.5という仮説は荒唐無稽な空想のような世界で、現在の現実とは全く関係がありません...気候科学は科学的誠実さの危機を迎えているのです。」― ロジャー・ピールケ・ジュニア博士、コロラド大学


8. 世界経済全体の金融は、今や生命を奪う温室効果ガス「ネット・ゼロ(実質ゼロ)」排出戦略に基づいて動いている。

 国連のアジェンダ2030計画と、2030年までCO2排出量を年率7%削減するというパリ協定の目標は、事実上、人間の生命と生存を可能にする食料、エネルギー、財のための産業経済の現在の資源の枠組みを無効化する計画です。この計画の導入が、汚染を産み出す原因となる国境を越えた産業経済という問題の多いものから、自給自足の地域・地方経済へと人類が移行する前に行われようとしているのです。

 炭素排出量ゼロは、要するに、現在の工業的農業、輸送、商品生産、電力生産などの体系の栓を抜くことを意味し、これらの体系に依存している世界中の何百万人もの人々が、電気、食料、商品などの不足に直面する可能性があります。特に、現在多くの食料を生産できない場所や国では、ひどい結果を招く可能性があります。

 何十年もの間、これらの政治、政府、企業の権力者たちは、企業経済のグローバル化と化石燃料依存を強力に推進してきたことに注目すべきです。その一方で、より自給自足的な地域・地方や地域協同組合への資金提供、創設、政府支援を積極的に妨げてきました。こうして、世界人口のほとんどが、グローバル化した化石燃料依存体系に依存するようになったのです。


9. 中央銀行は、世界的な気候変動「計画」の進展に完全に資金を提供し、管理している。

 すべての生命を維持するために最も必要な化合物の一つであるCO2を大幅に削減するという決定は、決して偶然の産物ではありません。この決定の背後にあるのは、世界の中央銀行であり、彼らが、人為的な気候変動と闘う世界的な計画の進展に完全に資金を提供し、管理していることに注目すべきです。

 この計画には、世界の全人口の活動を脱炭化する試みが含まれています。2015年12月、国際決済銀行(BIS)は、世界の118兆ドルの資産を代表する「気候関連財務情報開示対策委員会(TCFD)」を創設しました(巻末資料[iv]参照)。要するにこれは、世界経済全体の金融界の動きがが、「温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする」といった無意味な目的を達成することに基づいていることを意味します。TCFDには、JPモルガン・チェース、ブラックロック、バークレイズ銀行、HSBC、中国のICBC銀行、タタ・スチール、ENI石油、ダウ・ケミカルなど、世界の巨大銀行や資産運用会社の主要業者が参加しています。

 ブラックロック、ゴールドマン・サックスを含む世界最大の銀行や資産運用会社、国連、世界銀行、イングランド銀行、その他のBIS加盟中央銀行が、曖昧で数学的に無意味な「グリーン」経済を推進するために連携しているという事実は、決して偶然ではありません。環境保護主義とは無関係な別の意図が働いています。グリーン経済は、国連アジェンダ2030とともに、世界支配のアジェンダ(企画)であり、背後にいる巨大銀行に何兆ドルもの利益をもたらすでしょう。世界最大の銀行、企業、機関がそろって、根拠もない気候変動に関する企画を推進するとき、裏では別の大きな計画が進行していることがわかります。この企画は、「地球を救う」という感情的な名目で、世界の一般人に多大な犠牲を払うよう説得しようとするものです。その一方で、企業や銀行は莫大な利益を上げ、政治機関は、いわゆる人為的な気候変動と闘い、それに適応するという旗印のもと、世界規模の技術的な管理体制を導入しているのです。

 「世界最大の金融グループ、中央銀行、グローバル企業が、化石燃料経済を捨てて、曖昧で説明のつかないグリーン経済に移行するという急進的な気候変動戦略を推進しているのは、私たちの地球を清潔で健康な生活環境にしたいという純粋な関心からではないようです。むしろそれは、国連の『持続可能な』経済に関するアジェンダ2030と密接に結びついたものであり、真の権力者を構成するグローバル銀行や金融大手のために文字通り何兆ドルもの新たな富を開発するための企てなのです...」 ― F・ウイリアム・エングダール( F. William Engdahl), 戦略的危機相談員・講師

 2010年、国連IPCCの第3作業部会の責任者であるオトマール・エデンホーファー(Otmar Edenhofer)博士は、あるインタビューにこう答えています。

 「...気候政策によって世界の富を事実上再分配している、とはっきり言わなければなりません。国際的な気候政策が環境政策であるかのような錯覚から解放されなければなりません。これはもう環境政策とはほとんど何の関係もありません。」

 気候変動デマと国連・WEFのアジェンダの「カーテンの向こう側」にあるものをよりよく理解するためには、その前の数十年間に何が起こったかを検証することも役に立ちます。世界的な部分準備銀行債務詐欺と、何十年も前から存在する債務奴隷という分かりくい体系の意味を理解することが重要です。世界銀行のウェブサイトを見れば、地球上のほぼすべての国が莫大な借金を抱えていることがわかります。誰に借金があるのか、と聞かれるかもしれません。その答えは、私企業が所有する巨大銀行への借金です。何十年もの間、いわゆる銀行や企業の重役たちは、債務貨幣体系を通じて、貨幣の創造源とその配分を完全に制御してきました。したがって、債務不履行を利用し、産業、報道機関、政府、教育、思想的優位性、戦争など、世界のあらゆる分野を自分たちの設計、議題、利益のために資金提供し、ますます制御・操作できるようになってきました。メイヤー・アムシェル・ロスチャイルド氏(銀行家)は、次のように言ったと広く伝えられています。

 「ある国の通貨供給量を私に支配させれば、その国の法律を誰が作ろうが構わない。」


10. 各国中央銀行は1992年、本物の環境保護運動を乗っ取り、偽の気候変動アジェンダを作り上げた。

 精神病質者である彼らは、どんな考え方でも利用することができ、最終的には本来の目的とは全く異なるものに内部から変化させることができます。一方、当初の信奉者や支持者は、当初の考え方だと信じて追求し続けますが、次第に利己的な指導者層の思惑の単なる手先になってしまいます。残念ながら、過去数十年間、環境保護運動ではまさにこのようなことが起きてきました。

 内部告発者のジョージ・ハント氏は、1987年にコロラド州デンバーで開催された重要な環境会議で公式司会を務めました。この会議には、デビッド・ロックフェラー氏、エドモンド・デ・ロートシルト男爵、ベーカー米国務長官、国連職員でロックフェラーとロスチャイルド信託の職員であるモーリス・ストロング氏、EPAのウィリアム・ルクレスハウス長官、マクニール国連ジュネーブ事務局長、そして世界銀行とIMF職員らが出席したと言われます。ハント氏は、この会合に金持ちの特権階級にいる銀行家たちがいることに驚き、彼らが環境会議で何をしているのかと質問しました。

 その後、ハント氏はビデオ録画で、1992年6月3日から14日にかけてブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED)の資料から重要な証拠を提示しました。この会議は、よく知られているUN'92地球サミットであり、UNCEDによって運営されていました。ハント氏によれば、地球サミットを介して、国連は地球とその民衆に対する権力を自分たちの手に委ねるための網となる計画を設定していたのです。世界の民間銀行企業連合は、第2次世界大戦後、世界銀行や国連、その他の国際機関の設立に尽力した超富裕層の銀行家です。彼らの政治的な仲間には、スターリン(何百万人もの人々を大量虐殺したソ連の残忍な共産主義政権の指導者)、チャーチル英国首相、ルーズベルト米国大統領も含まれています。ハント氏は、これらの銀行一族とその金融・国際機関の繋がりについて、次のように言及しています。

 「第三世界の国々を騙して資金を借りさせ、莫大な負債を負わせ...意図的に戦争と負債を作り出し、社会を自分たちの支配下に置くようにしたのと同じ世界秩序です。世界秩序を目論む集団はいい人たちではありません...」― 1992年の国連地球サミットについて語る内部告発者、ジョージ・ハント氏

 国連地球サミットの結果、土地、空気、水に対する現実の汚染を心底懸念していた誠実で本物の環境運動は、異なる意図を持つ強力な政治的・金融的利害関係者によって政治的に乗っ取られてしまいました。

 国連職員でロックフェラーとロスチャイルド信託の社員であったモーリス・ストロング氏は、1972年にスウェーデンのストックホルムで最初のUNCED会議を招集しました。そして20年後、彼はUNCEDの招集者であり事務局長となりました。ハント氏はまた、1987年の第4回UNCED世界会議の会議で、ひとりの国際投資銀行家が次のように語っているビデオ証拠を提供しています。

 「残念ながら、この件を人々に納得してもらうには民主主義に則ったやり方では無理です。時間がかかり過ぎるし、お金もかかるからです。残念ながら、大砲の餌食となっている地球在住の人々を教育するにはそれほど労力がかかります。ですので、私たちは、上層階級の独断と言われるようなやり方を取らざるを得ないのです...」。

 このように、1992年の国連地球サミットにつながる法令は、議論や反対意見を交わす機会なしに押しつけられ、国内法に優先することになりました。この法令は、銀行家のエドモンド・ド・ロスチャイルド氏によって独断で作られたものであり、議論や異議が交わされることなく、彼はこれらの主要な法令を92年の国連決議に取り込みました。ハント氏は、ロスチャイルド氏の発言に率直に異議を唱える機会を、会議の議長から拒否されたと主張しています。

 ジュネーブのロスチャイルド銀行が世界自然保護銀行の中核であることや、裕福な上層階級がロスチャイルドの私的な株式公開を通じてこの銀行に組み込まれていることは、驚くことではありません。世界の諸銀行は世界自然保護の支配権を持ち、これらの資源がどのように配分され、利用されるかを決定し、管理するのです。


11. 国連という巨大な組織体は、欺瞞的で偽りの環境保護を装っているにもかかわらず、過去70年間、環境破壊的な産業グローバリゼーションを完全に支持してきました。過去30年間の国連の気候変動、持続可能な開発、グリーン経済政策は、世界規模のまやかしの市場に過ぎず、国連が実際には何であり、誰のために作られたものなのかを理解しない2世代の若者を悲劇的に洗脳してきたのです。

 現在のグローバル化された体系では、信念や偽の科学が推進されています。この信念や偽の科学は、議論の余地のない真実であると主張されていますが、実際には、「支配的な考え」を証明するために証拠が操作され、ねじれ、歪曲されており、その結果、世界的に広まることを促進させる基底概念となっています。彼らは、自分たちが望む結論から出発し、その結論に合うように、わずかな証拠を捻じ曲げ、操作するのです。炭素排出にもとづく人為的気候変動説は、その主要な例です。

 国連、世界経済フォーラム(WEF)、世界保健機関(WHO)などの機関は、私的な動機に基づき、選挙で選ばれない、説明責任のない組織で、債務貨幣の創造源、つまり世界の民間銀行の企業連合によって支配されています。これらの機関は巧妙な市場手段や政治機構でしかなく、腐敗した世界の体制を実施・維持するために、「世界の問題を解決する」という巧妙な口実を利用しています。

 これらの強力な特別利益団体は、企業や政治の目的を達成するために、何十年にもわたって特定の「基底概念」を推進してきました。「持続可能性」という言葉は数十年前に乗っ取られ、今では環境などどうでもいいという世界規模で展開している大企業の企画を推進するために欺瞞的に使われています。その目的は、国連アジェンダ2030とWEFの「リセット」計画に人類を引き込むことです。この計画は、WEFダボス会議一団であるいわゆる特権階級的大企業の利益によって完全に設計された巧妙な市場計画です。


12. さらに、国連とWEFが推進する現在のグリーンエネルギー/再生可能技術は、世界のエネルギー供給にとって実行可能な解決策ではありません。これらの技術は、ある特定の場所や仮説では限定的に実現可能ですが、投資したエネルギーに対するエネルギー回収率があまりにも低いという事実があります。― 要するに、この過程全体に数学的な欠陥があるのです。このことは、ケンブリッジ大学工学部の元欽定講座担当教授で、英国エネルギー・気候変動省の元化学部門顧問長デイビッド・マッケイ教授を含む科学者の研究によって証明されています。


まとめ

 まとめると、CO2削減は、国連が推進する気候変動騒ぎの主役であり、世界の人々の間に蔓延しています。しかし、宣言された気候危機は、コンピューター演算の中にしか存在しません。「人工的な気候変動」というカルト(信仰)は、報道機関と国連が政治的に推進する「基底概念」であり、より広い政治的・企業的予定計画に利用されています。気候変動は人為的に起こっているという仮説は事実に基づいておらず、真の環境問題を乗っ取ったのです。

 世界各国の中央銀行が、世界的な気候変動「計画」にしっかりと出資しています。真実は、「お金の流れに従う」という事実が思い浮かびます。そうすれば、誰が企業、政治、報道機関の世界を牛耳っているのかがすぐにわかるのです。

 国連、政府、企業が絶え間なく宣伝する気候変動宣伝扇動のために、多くの人々は報道機関によって混乱状態に陥り、その結果、この「言葉の独裁」の下で社会における自分の決められた役割を、意識することなく盲目的に引き受けています。例えば、私たちは今、気候変動が実際には炭素排出によって引き起こされていないという事実に目が向けられない何百万人ものいわゆる気候変動戦士を擁しています。これはすべて、人々を脅して全体主義的な権威を受け入れさせ、自由と個人の幸福を制限するためです。

 エネルギーや資源の入手方法が、偽りの気候変動政策、高インフレ、進行中の地政学的舞台、意図的に引き起こされた戦争によって、意図的に減少しているという不愉快な現実があります。

 私たちが暮らす現在の社会とその成り立ちを正しく認識しない限り、真に弾力性のある社会を創造する方法を理解することはできません。では、現在の枠組みの設計者は誰なのか。上記の本は、その一助となるような内容になっています。たとえそれが「政治的に正しく」ないとしても、現在の枠組みの虚偽を認識しない限り、現在の共同体や地域・地方の繋がりを正しく調整することはできないし、アイルランドに真に弾力性のある繁栄社会を創り出すことはできないでしょう。このような真理の精神に基づき、世界中で新しい繋がりが生まれつつあります。

*マーク・キーナンは、英国エネルギー気候変動省、国連環境部の元科学者であり、著書「Transcending the Climate Change Deception - Toward Real Sustainability(気候変動詐欺を越えて―真の持続性にむけて)」はamazon.COMおよびウェブサイト(www.mkeenan.ie)で入手できます。

*
備考

[i] ソースはこちら。アイルランド気候科学フォーラム講演会「Testing Climate Claims 2021 Update」は www.icsf.ie でご覧いただけます。
[ii] アイルランド気候科学フォーラムのウェブサイトURLは、www.icsf.ie。
[iii] 出典はこちら。出典:Irish Climate Science Forum lecture titled IPCC AR6 say on scenarios and extreme weather? www/icsf.ie にて入手可能。
[iv] 出典: https://data.parliament.uk/DepositedPapers/Files/DEP2019-0718/Green_Finance_Strategy.pdf
特集画像はWikimedia Commonsより
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「グレート・ゼロ・カーボン(炭素)」の陰謀



ウィリアム・エングダール著

グローバルリサーチ、2021年02月08日

<記事原文 寺島先生推薦>
The “Great Zero Carbon” Conspiracy
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年2月23日


 グローバリストのダボス世界経済フォーラムは、2050年までに「ネット・ゼロ・カーボン(炭素の実質ゼロ)」という世界的な目標を達成する必要性を宣言している。ほとんどの人にとっては、これ
は遠い未来のことのように聞こえるので、ほとんど無視されている。しかし、変化はドイツから米国へ、そして無数の他の経済へと、進行中なのであり、1970年代のいわゆる新国際経済秩序を作りあげるお膳立てをしている。


 実際には、それは世界的なテクノクラティックの、全体主義的な株式会社主義の青写真であり、巨大な失業、脱工業化、経済崩壊を意図的に約束するものである。その背景を考えてみよう。


 クラウス・シュワブの世界経済フォーラム(WEF)は現在、彼のお気に入りのテーマである世界経済の「グレート・リセット」を推進している。その鍵を握るのは、グローバリストの言う2050年までの「ネット・ゼロ・カーボン(炭素の実質ゼロ)」とは何を意味するのかを理解することである。

 EUは、2050年までに世界初の「カーボン・ニュートラル」な大陸となり、2030年までにCO2排出量を少なくとも55%削減するという大胆な計画を掲げ、レースをリードしている。
 カーボン・ニュートラルは環境化学の用語の一つ。何かを生産したり、一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量である、という概念。

 自称世界的ワクチン王のビル・ゲイツは、2020年8月のブログ投稿で、来るべき気候の危機について次のように書いた。
「このパンデミックと同じくらい、気候変動はもっとひどくなるかもしれない・・・今年の排出量の減少が比較的少なかったことからも明らかなように、われわれは単純に排出量をゼロにすることはできない。ほとんどの場合、飛行機や車の運転を減らしただけではね」

 主流メディアやソーシャルメディアを事実上独占している地球温暖化ロビーは、2050年までに石油、天然ガス、石炭、さらには「カーボン・フリー」の原子力発電などの炭化水素(HC)を排除することが人類にとって最善であり、うまくいけば世界の平均気温が1.5~2度上昇するのを避けることができるかもしれないと仮定して、世界の多くのひとびとをリードすることができた。しかしこれには一つだけ問題がある。それが極悪非道な下心の計画のための偽装だということだ。

炭化水素(HC)とは、炭素原子(C)と水素原子(H)、あるいはこれらと他の原子から成り立っている化合物の総称。塗料やプラスチック製品などの原料として使用されている。

括弧付きの「地球温暖化」の起源とは

 多くの人は、エネルギー源の抜本的なシフトを正当化するために提唱された、元々の科学的仮説を忘れている。それは「気候変動」ではなかった。地球の気候はつねに変化しており、地球の気候に影響を与える太陽フレアや黒点の周期の変化に相関している。

 2000年への変わり目の頃、以前の太陽主導の温暖化サイクルがもはや明白ではなくなったので、アル・ゴアその他は、言語学的な巧妙なる誤魔化しを使って、「地球温暖化」から「気候変動」へと物語をシフトさせた。今では、恐怖の物語はあまりにもバカバカしく、あらゆる異常気象が「気候危機」として扱われている。ハリケーンや冬の嵐はすべて、気候の神々が罪深いCO2を排出する人間を罰している証拠だと主張している。

 しかし、待たれよ。彼らの主張は、太陽光や風力などの代替エネルギー源への移行や、炭素エネルギー源を放棄するあらゆる理由は、CO2(二酸化炭素)が温室効果ガスであり、大気中に上昇して毛布を形成し、地球を下から暖めるとされる地球温暖化の原因になる、というものである。米国環境保護庁によると、温室効果ガスの排出量はほとんどがCO2によるものであるという。そこで注目されているのが「カーボン・フットプリント」である。

カーボン・フットプリントとは、直訳すると「炭素の足跡」。 個人や団体、企業などが生活・活動していく上で排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの出所を調べて把握すること。

  しかし、ほとんど語られていないのは、CO2が自動車の排気ガスや石炭プラントその他の人為的な原因で大気中に舞い上がることはないということである。CO2は炭素でも煤(すす)でもない。目に見えない無臭のガスであり、植物の光合成や地球上のすべての生命体に欠かせないものである、われわれ人間を含めてだ。CO2の分子量は44強であり、それに対して空気(主に酸素と窒素)の分子量は29である。

 CO2の比重は空気の約1.5倍である。これは、自動車や発電所から排出されるCO2の排気ガスが地球の上空12マイル以上の大気中に上昇して、恐れられている温室効果を形成しているわけではないことを示唆している。

モーリス・ストロング

READ MORE: Huge Carbon Debt and Intergenerational Injustice: CO2 Drawdown Necessity

巨大な炭素負債と世代間の不公平。CO2削減の必要性

 ゲイツ、シュワブ、そして「持続可能な」世界経済の主張を支持する人々の周りで、今日どのような犯罪行為が展開されているかを見てみよう。そのためには、デビッド・ロックフェラーとその友人たちが、人間の消費と人口増加が世界の大きな問題である、という考えのもとに運動を起こした1968年までさかのぼらなければならない。石油をベースに富を築いていたロックフェラーは、イタリアのベラージオにあるロックフェラーの別荘で、新マルサス派ローマクラブを設立した。彼らの最初のプロジェクトは、1972年にマサチューセッツ工科大学(MIT)でおこなわれた「成長の限界」というナンセンスな研究に資金を提供することだった。

 マルサス主義とはトマス・ロバート・マルサスによって述べられた政治・経済に関する思想であり、産業革命期に展開された。1798年の『人口論』では、抑制されない人口増加が指数関数的になる一方で、食料供給の増加は算術的になることが予測されており、いかにしてマルサスのカタストロフィーに至るかが述べられている。

 ローマクラブは、スイスのヴィンタートゥールに本部を置く民間のシンクタンク。1972年発表の第1回報告書「成長の限界」は世界的に注目された。初代会長アウレリオ・ペッチェイは、世界人口が幾何級数的に増加するのに対して、食糧・資源は増やせるにしても直線的でしかなく、近い将来に地球社会が破綻することは明らかであり、世界的な運動を起こすべきだと考えていた。それに対して、アレキサンダー・キングが賛同し、資源・人口・軍備拡張・経済・環境破壊などの全地球的な「人類の根源的大問題」に対処するために設立した。

 1970年代初頭のロックフェラーの「ゼロ成長」アジェンダの重要な主催者は、彼の長年の友人であるカナダの石油業者モーリス・ストロングであり、同じくローマクラブのメンバーであった。1971年、ストロングは国連の次官に任命され、1972年6月に開催されたストックホルムのアース・デイ(地球の日)会議の事務局長に任命された。また、ロックフェラー財団の理事も務めた。

 モーリス・ストロングは、輸送車や石炭プラント、農業からの人為的な排出物が、文明を脅かす劇的で加速的な地球温度の上昇を引き起こした、いわゆる地球温暖化という科学的に根拠のない理論を初期に広めた重要人物である。彼は「持続可能な開発」という融通の利く、使い勝手のいい言葉を発明した。

 1972年のアース・デイ国連ストックホルム会議の議長として、ストロングは「環境を救う」ために世界中で人口削減と生活水準の低下を推進した。数年後、同じストロングは次のように述べている。

 「工業化された文明が崩壊することが地球の唯一の希望ではないのか? それを実現するのが、われわれの責任ではないのか?

 これが今日のグレート・リセットまたは国連アジェンダ2030として知られているアジェンダである。ストロングは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)を設立した。この政治団体は、人為的なCO2排出が、われわれの世界を不可逆的な生態学的大惨事に陥れようとしている、という証明されていない主張を推進している。

 ローマクラブの共同創立者であるアレクサンダー・キング博士は、数年後に著書『第一次世界革命』の中で、彼らの環境アジェンダの本質的な詐欺行為を認めた。彼は次のように述べている。

  われわれを団結させるための新たな敵を探して、公害、地球温暖化の脅威、水不足、飢饉などが当てはまるという考えを思いついたのです・・・これらの危険はすべて人間の介入によって引き起こされたものであり、それらを克服できるのは、態度や行動を変えることによってのみです。真の敵は人類そのものなのです。

 キングは、「地球温暖化の脅威」は、「人類そのもの」への攻撃を正当化するための策略に過ぎないと認めた。これが今、「グレート・リセット」と「ネット・ゼロ・カーボン」の策略として展開されているのだ。

代替エネルギー災害


 2011年、アンゲラ・メルケル首相とドイツ政府は、ポツダム気候影響研究所(PIK)の大気物理学者・気候学者、ヨアヒム・シェルンフーバーの助言を得て、2001年の政府戦略「Energiewende(エネルギー革命)すなわちエネルギー・ターン」の一環として、太陽光や風力などの「自然エネルギー」に依存するため、2022年までに原子力発電を全面的に禁止することを決定した。その目的は、ドイツを初の「カーボン・ニュートラル」な工業国にすることであった。

 この戦略は経済的に大惨事となった。工業国の中でも最も安定した低コストで信頼性の高い発電網を持っていたドイツは、今日では世界で最も高価な発電機になってしまった。ドイツのエネルギー産業団体BDEWによると、遅くとも2023年には最後の原発が閉鎖され、ドイツは電力不足に直面することになる。

 同時に、最大の電力源である石炭は、「ネット・ゼロ・カーボン」に向けて段階的に廃止されつつある。鉄鋼、ガラス製造、基礎化学品、製紙、セメント製造などの伝統的なエネルギー集約型産業は、高騰するコストに直面しており、操業停止や海外への外注がおこなわれ、何百万人もの熟練した雇用が失われている。エネルギー効率の悪い風力発電や太陽光発電は、今日ではガスの約7~9倍のコストがかかっている。

 ドイツは熱帯の国に比べて太陽が少ないため、風力がグリーン電力の主要な供給源と考えられている。太陽電池や風力発電所を作るためには、コンクリートやアルミの大量投入が必要だ。そのためには、ガスや石炭、原子力などの安価なエネルギーが必要となる。それが段階的に廃止されていくと、「炭素税」が追加されなくても、コストは法外なものになる。

 ドイツにはすでに約3万基の風力発電所があり、これはEUのどの国よりも多い。巨大な風力タービンは、巨大な構造物の近くに住む住民にとって騒音や低周波の健康被害、天候や鳥の被害などの深刻な問題を抱えている。2025年までに、ドイツの既存の風車の25%が買い替えを必要とすると推定され、廃棄物処理は巨大な問題となっている。市民はこの災難は何が原因が認識しているため、企業は訴えられている。ドイツ銀行は最近、2030年までに目標を達成するためには、国家が「エコ独裁政権」を創設する必要があると認めた。

 同時に、2035年までにガソリンやディーゼル車の輸送を廃止し、電気自動車を導入しようとするドイツの動きは、ドイツ最大かつ最も収益性の高い産業である自動車産業を破壊し、何百万人もの雇用を奪おうとしている。リチウムイオン電池を搭載した自動車は、リチウムを採掘し、すべての部品を生産することによる影響を含めると、総排出量が「カーボン・フットプリント」となり、ディーゼル自動車よりも悪い。
 
 そして、2050年までにゼロ・カーボン・ドイツを実現するために必要とされる追加電力量は、現在よりもはるかに多くなるだろう。今、ドイツとEUは、ゼロ・カーボンへの移行のための資金調達のために、新たな「炭素税」を課し始めている。この税は電力やエネルギーをさらに高価にし、ドイツの産業の崩壊を早めることになるだろう。

人口削減

 ゼロ・カーボン・アジェンダを推進しているひとたちによれば、それはまさに彼らが望んでいることだ。先進国の脱工業化、モーリス・ストロングが言ったように、工業化された文明の崩壊をもたらすための数十年に渡る計算された戦略である。

 現在の世界の産業経済を、現在のカリフォルニア州のように停電が当たり前になるような、薪を燃やし風車を回す暗黒郷に後退させるためには、アジェンダ2030の下で「グレート・リセット」に転換することが不可欠な部分である。それこそが持続可能性のための国連グローバル協定なのだ。

 メルケル首相の気候アドバイザーであるヨアヒム・シェルンフーバーは、2015年に教皇フランシスの急進的なグリーン・アジェンダであるカトリック教会の公文書「回勅」を発表した。教皇フランシスはシェルンフーバーを教皇庁科学アカデミーに任命していた。そして、彼はそのグリーン・アジェンダに関してEUに助言を与えたのだ。2015年のインタビューで、シェルンフーバーは、今や「科学」は「持続可能な」人口の最大許容量は60億人未満かそこらであると決定した、と宣言した。

 「非常にシニカルな言い方をすれば、それは科学のための勝利である。なぜなら最終的にわれわれは安定させたからだ。すなわち、地球の収容力の推定値だが、はっきり言えば10億人以下だ

 それをおこなうには、工業化された世界を解体しなければならない。世界経済フォーラムのアジェンダ寄稿者であり、国連気候変動枠組条約の元事務局長でもあるクリストファー・フィゲレスは、2015年2月のブリュッセルでの記者会見で、国連気候アジェンダの真の狙いを明らかにし、「産業革命以来、君臨してきた経済発展モデルを意図的に変えるという課題を自分たちに課しているのは、人類史上初めてのことだ」と述べた。

 フィゲレスの2015年の発言は、今日、2021年1月の世界経済フォーラムの「ダボス会議アジェンダ」でフランスのマクロン大統領が「現在の状況下では、資本主義モデルと開放経済はもはや実現可能ではない」と主張していることと呼応する。元ロスチャイルド銀行員のマクロンは、「この疫病から抜け出す唯一の方法は、富裕層と貧困層の格差をなくすことに重点を置いた経済を作ることだ」と主張した。メルケル、マクロン、ゲイツ、シュワブとその友人たちは、ドイツとOECDの生活水準をエチオピアやスーダンのレベルまで下げることで、そうするだろう。これが彼らのゼロ・カーボン・ディストピアだ。空の旅、車の旅、人の移動を厳しく制限し、「汚染」産業を閉鎖し、すべてのCO2を削減する。コロナウイルスの大流行が、グレート・リセットと国連アジェンダ2030「ネット・ゼロ・カーボン」のための舞台をいかに都合よく設定しているか不思議でならない。

ソロスとリンクがある政治的圧力グループAvaaz*は、主流メディアと力を合わせてYouTubeから気候変動懐疑論者を一掃しようとしている

ソロスとリンクがある政治的圧力グループAvaaz*は、主流メディアと力を合わせてYouTubeから気候変動懐疑論者を一掃しようとしている
<記事原文 寺島先生推薦>Soros-linked political pressure group Avaaz joins forces with MSM to purge climate skeptics from YouTube

*(訳注:Avaazは世界の人々の観点または価値観によってグローバルな意思決定がなされるようにすることを目的とし、世界中のさまざまな問題に対して積極的に活動を行うグローバル オンライン コミュニティです。https://secure.avaaz.org/page/jp/about/)
RT Op-ed 2020年1月17日
Sophia Narwitz
<翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2020年2月7日

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主流メディアは、YouTubeに対して、政治的な動機から、気候変動を否定するすべての動画を無効化し、隠そうとするキャンペーンに精を出している。

左派の非営利グループAvaazが、ウェブサイトで、1月16日に発表したレポートは、「You tubeは、気候変動を否定する動画を目立たせ、何百万人もの人々に誤報を配信することで利益を上げている」と主張していた。 このレポートは、あからさまな脅迫キャンペーンであり、気候変動が人類にもたらす脅威の正当性に疑問を投げかける動画に広告を掲載している主要な広告主をリストアップしているだけでなく、いわゆる「偽情報を流すこと」をやめるよう、You Tubeにあからさまな圧力をかけている。

調査結果が発表されたのは、つい昨日なのに、多くの主流メディアのサイトは、すぐに長い記事を掲載し、そのレポートを書いた人たちからの引用を特集した。特定のウェブサイトが早く情報をキャッチできたことを示唆するこのタイミングから、どんな狙いがあるかはあきらかだ。 Vice、Time、Gizmodo、The Verge、および他無数のニュースは、YouTubeが「正しい」考え方を持っていないクリエイターを罰することを望んでいる。 その目的は、彼らが利益を得ることのできないようなコンテンツに取り組む個人を否定して、検閲することだ。

ALSO ON RT.COMIs Soros-linked Avaaz group a credible source on fake news? Mainstream media seems to think so


Avaazのキャンペーン・ディレクターであるネル・グリーンバーグは、このレポートはコンテンツの削除に関するものではないと主張しているが、それはレポート自体のメッセージとは矛盾している。このレポートが、「意に沿わない動画を非表示にしろ」と企てていることは明らかだ。 You tubeの「次の動画」ボックスを使って、そのような動画を広げようとすることに疑問を投げかけているからだ。(訳注:「次の動画」ボックスとは、ある動画を見終わった後に表示される、クリックすれば関連した別の動画へ移動できるボックスのこと)。 Avaazは、はっきりと言葉で、「削除しろ」とは、言っていない。しかし、彼らの意に沿わない動画を非表示にすることで、動画を作った人が傷つき、自分の考えを人と共有しようとすることを思いとどまらせることができる。 これは、「間違った考え」を取り除く間接的なやり方だ。

YouTubeはすでにレポートに書かれたやり方に疑問を投げかけているが、メディアや強力な活動家グループが、任天堂、レッドブル、ユーバー、ワーナーブラザーズなどの広告主をターゲットにしていることを考えると、収益の影響を考え、巨大システムであるYou Tube は、Avaazからの要求に答えると考えていいだろう。 Vox MediaがGoogleにケンカをしかけ、その結果You tube が、「広告規制」をかけたという事件から、まだ1年も経っていないからだ。

サムスンはすでに「現在の問題を解決し、二度と繰り返さない」旨をYou tubeに連絡している。「広告規制」の2回目は、おそらく起こるだろう。 ただし、今回は、規模が変わる可能性がある。ターゲットにされているのは、単なる独立したクリエイターだけでない。Fox Newsやその他の右寄りメディアも、気候変動の妥当性を疑問視するコンテンツをYouTube上に持っているからだ。

主流メディアがAvaazの考え方に、全面的に同意していることは、おかしな話だ。ウエブサイトは、自ら偽情報と見なしたコンテンツを制限することを進める立場にはない。偏った情報を流して、何回も失敗してきたことを考えると。 2019年が偽情報の発信を制限しようとする兆候の始まりであったのなら、次に向かう矛先は決まってくる。 コビントンの高校で起きた事件での生徒たちの反応から、どこにも行かずに消えていくトランプとロシアの物語まで、偽ニュースを最も露骨に提供しているのは、主流メディアだ。

ALSO ON RT.COM‘Doctor, help me, I have ecological grief’: Climate scientists should stop depressing themselves (and us!) with made-up disorders

ジョージ・ソロスとAvaazとの関係については、Avaazの主張によれは、資金の大部分は会費でまかなわれているそうであるが、出資金は億万長者の不透明なグループのネットワークによって割り振られたと伝えられている。さらに、ソロスのオープンソサエティ財団出身の著名な人物たち(たとえば、元民主党国会議員のトム・ペリエロ)がAvaazを引っ張っている。2010年に漏洩した文書には、「気候変動運動を進めることが、Avaazが果たすべき主要な役割であると定められている」と記載されていた

この状況は、人が何を作ることができるのかについて命令する力を、いかなる人であれ機関であれ、持つべきかどうかについて疑問を投げかけている。 この問題に対する個人の見解に関係なく、「気候変動論は反証された」という大胆な主張を否定することはできない。明らかに正しいと証明されたものはほとんどなく、どちらの立場からの議論も自由に論じられるべきなのである。 クリエイターが人々の見る動画を作成しようとするならば、世界で最も裕福な人々の1人と関係がある活動家グループと代理人がそう言っているからといって、彼らの力作を投げ捨てるべきではない。 サイトの子守役をするのは億万長者と彼らが飼っている活動プロジェクトの役割ではない。

気候と金の流れ

記事原文 Climate and the Money Trail 

NEO 2019年9月25日

F. William Engdahl

翻訳<寺島メソッド翻訳グループ n.o>



気候。 そのことを考えてきたのは誰か。 ここ数十年の世界経済のグローバル化の背後にある非常に巨大な企業と億万長者だ。株主の利益とコスト削減を追求し、産業界とアフリカ、アジア、ラテンアメリカなどの開発途上国の両方の環境に多大な損害を与えてきた彼らが、スウェーデンから始まりドイツ、アメリカ、その他の地域にも波及した「草の根」脱炭素化運動の主要な後援者なのだ。
それは良心の呵責から来るのか、それとも私たちが呼吸する空気そのものにまで値札をつけようとするより深い魂胆、さらにはそれ以上のものなのだろうか?
CO2の危険性と今後約12年間で平均気温が1.5から2度上昇する世界的な大災害を引き起こす地球温暖化についてどんな信念を持つにせよ、誰が洪水のようにプロパガンダをまき散らし、気候変動活動を促進しているのかに注目することは、意味のあることだ。

グリーンファイナンス
アル・ゴアや他の人々は「気候問題」運動に緊急性を持たせるため、スウェーデンの女子校生をマスコットとして使用し、米国では「グリーンニューディール」政策と関わる経済の完全な再編成を求めるアレクサンドリア・オカシオ・コルテスを前面に押し出すことを決定していた。 そういった動きの数年前から、巨大金融機関は、ほとんど誰も見向きもしない「気候」企業への投資に数千億の資金を導入する計画を描き始めていた。

スウェーデンの不動産会社であるVasakronanが長年の入念な準備を経て2013年に最初の企業「グリーンボンド」を発行した。その後、Apple、SNCF、フランスの大手銀行Credit Agricoleなどが続いた。 2013年11月、イーロン・マスク氏の問題だらけの会社「テスラエナジー」は、最初のソーラー資産担保証券を発行した。 今日、Climate Bonds Initiativeと呼ばれる団体によると、そのようなグリーンボンドは、5000億ドル以上の市場になっている。グリーンボンドというアイデアの考案者は、その目的は、 「気候にやさしい」プロジェクトへの投資に名目上参加し、世界中で展開し45兆ドルという大きなシェアを獲得することだと述べている。

将来の英国君主である親愛なるチャールズ王子は、イングランド銀行とロンドン市金融機関とともに、グリーンボンドを筆頭にした「グリーン金融商品」を促進し、年金計画と投資信託をグリーンプロジェクトに変えるよう表明している。 世界の金融機関とグリーン計画を結びつける重要なプレーヤーは、イングランド銀行総裁を退任するマーク・カーニーだ。 2015年12月、カーニーが議長を務めた国際決済銀行の金融安定委員会(FSB)は、「気候関連リスクに関する投資家、貸し手および保険」を助言するために、気候関連金融開示に関するタスクフォース(TCFD)を設立した。それは確かに世界の中央銀行にとっては、奇妙に写った。

2016年、タスクフォース(TCFD)はロンドン市および英国政府とともに、グリーンファイナンスイニシアチブを開始し、数兆ドルを「グリーン」投資に振り向けることを目指した。金融安定委員会( FSB)の中央銀行は、31人を指名してTCFDを設立した 。 金融界とのつながりの深い億万長者マイケル・ブルームバーグが議長を務め、JP モルガンチェース銀行の主要人物が含まれている。ほかのメンバーは次の通り:
a.ブラックロック(ほぼ7兆ドルの世界最大の資産運用会社の1つ)
b. バークレイズ銀行
c.ロンドンに本店を置くHSBC(香港上海銀行)( 麻薬やその他の黒い資金のロ-ンダリングで繰り返し罰金を科されている)
d. スイスリー(世界第2位の再保険会社)
e. 中国のICBC銀行
f. タタ・スティール
g.ENI
h.ダウ・ケミカル
i.鉱業大手のBHP ビリトン
j.デイビッド・ブラッド(アル・ゴアのジェネレーションインベストメントLLC所属)

要は、キツネたちが「『鶏』用温室」の新ルールを書いているようなものだ。

イングランド銀行のカーニーは、ロンドン市をグローバルなグリーンファイナンスの金融センターにしようとする取り組みの重要な担い手でもあった。英大蔵大臣を退任するフィリップハモンドは、2019年7月「グリーン資産運用戦略:よりグリーンな未来に向けた資金運用への移行」という白書を発表した。
「浮上する最も影響力のある戦略の1つは、金融安定理事会の民間部門の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)であり、マーク・カーニーの支援を受け、議長はマイケル・ブルームバーグがつとめている。 これは、世界的に 118兆ドルの資産をもつ機関によって支持されている。」 ここにはある計画が見える。それは、 「ネットゼロ温室効果ガス排出量」などの勝手な目標に到達するために、世界の終結というシナリオへの恐怖を利用し、世界経済全体を金融化することだ。

主役はゴールドマン=サックス

どこにでも顔を出すウォール街の銀行、ゴールドマン・サックスは、何はさておきECB(欧州中央銀行)を退任するマリオ・ドラギ総裁、およびイングランド銀行総裁のカーニーが籍を置いた銀行だが、世界初の一流の環境株指標を発表したばかりだ。前身が「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」であったロンドンに本拠を置くCDPと共に。注目すべき事だが、CDPは、HSBC、JPモルガンチェース、バンクオブアメリカ、メリルリンチ、ゴールドマンサックス、アメリカンインターナショナルグループ、ステートストリートコーポレーションなどの投資家によって資金提供されている。

State Teachers' Retirement System)などの州の年金制度、合わせて6兆ドルを集め、慎重に選択したターゲットに投資することを目的にしている。 指標の上位にランクされた企業には、グーグル、マイクロソフト、ING グループ、ディアジオ、フィリップス、ダノン、そして都合のいいことに、ゴールドマン・サックスを所有するアルファベット社が含まれている。

グレタ、AOCと仲間達の登場

この時点で、スウェーデンのグレタ・トゥンベルグ、ニューヨークの29歳のアレクサンドリア・オカシオ・コルテスやグリーン・ニューディール政策など、非常に人気があり、大いに宣伝された気候変動活動家の登場となった。これらの活動家がどれだけ誠実であったとしても、彼女たちを押し出す背後には、利を得ようと策を練っている金融機関がいる。

グレタ・トゥンベルクは、国連、EU委員会や、現在の気候問題計画の背後にいる投資関係者などの機関に冷笑的かつ職務的に売り出され、使用されているアル・ゴアの組織に結び付けられたネットワークの一部だ。 カナダの研究者であり気候活動家であるコリー・モーニングスターが、優れた一連の投稿で書いている通り、幼いグレタは、米国の気候投資家であり非常に裕福な気候収益者であるアル・ゴア(彼はジェネレーション・インベストメント・グループの会長だ)と結ばれた、しっかりしたネットワークのもとで活動しているのだ。

ゴアのパートナーである元ゴールドマン・サックスの役員デビッド・ブラッドは、BIS(国際決済銀行)が作り出したTCFDのメンバーだ。 グレタ・トゥンベルクと彼女の17歳の米国の気候友人であるジェーミー・マーゴリンは、二人ともNGO「We Don’t Have Time」の名簿に「特別青年顧問および理事」という肩書きで載せられた。We Don’t Have Time は、CEOのイングマ・レンズホッグによって設立されたスウェーデンのNGOだ。 レンズホッグは、アル・ゴアのクライメート・リアリティ・リーダーのメンバーであり、ヨーロッパ気候変動タスクフォースにも一枚かんでいる。彼は2017年3月にデンバーでアル・ゴアから教育され、2018年6月にベルリンで再び教えを受けた。 アル・ゴアのクライメート・リアリティー・プロジェクトは、 We Do n't Have Timeのパートナーだ。

おそらく100兆ドルの費用で米国経済を完全に再編成するために「グリーンニューディール政策」を発表したことで米国議会での最初の日に大きな衝撃を与えたアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(AOC)も熟練した指導なしではありえなかった。 AOCは、「ジャスティス・デモクラッツ」と呼ばれるグループの要請で議会に立候補したことを公然と認めている。 彼女はあるインタビュアーにこう言った。「ジャスティス・デモクラッツ(JD)とブランドニューコングレスの支援がなければ、私は出馬しなかった。 ええと、実は、これらの組織、JDそしてブランドニューコングレスの両方が、私に最初に出馬するように頼んだの。彼らが1年半前に、私に要請したのよ」と。下院議員としてのAOCの顧問の中には、JDの共同創設者であるザック・エクスリーがいる。彼は、かつて、オープン・ソサエティ・フェローであり、とりわけ、オープンソサエティ財団とフォード財団などから資金を得て、JDの前任者を選出し、選出された候補者に役職を与えた。

本当の狙いは経済

世界最大の金融グループ、中央銀行、グローバル企業の間のリンクは、漠然としてよくわからないグリーン経済を支持して化石燃料経済を放棄するという急進的な気候戦略を推進しているが、それは、地球を清潔で健康的で住みやすい環境にしようということではなさそうだ。 むしろ、それは「持続可能な」経済のための国連アジェンダ2030に密接に結び付けられたものであり、現在の権力者である世界規模の銀行や巨大金融に、文字通り数兆ドルの新しい富を提供するためのものだ。

2019年2月、ブリュッセルでのグレタ・トゥーンバーグによるEU委員会へのスピーチの後、当時の欧州委員会のジャン・クロード・ジャンカー会長は、グレタの手に優しくキスをした後、本当にやりたかった行動を起こしたようだ。 彼はグレタとマスコミに、EUは今後10年間に気候変動に対処するために数千億ユーロを費やすべきだと語った。 ジャンカーは、2021年から2027年の間に、「EU予算の4分の1は、気候変動の緩和に向けた行動に使われるべきだ」と提案した。ずる賢いジャンカーが口にしなかったことは、この決定は、グレタというスウェーデンの若い活動家の嘆願とは何の関係もないという点だ。 この提案は、まる1年前の2018年9月26日のOne Planet Summitで、世界銀行やブルームバーグ財団や世界経済フォーラムなどとともに行われたものだ。 ジャンカーは、メディアが、グレタに注目したのを巧みに使って、彼の気候計画を宣伝したのだ。

2018年10月17日、One Planet SummitでのEU合意の翌日、ジャンカーのEUはブレークスルー・エナジー・ヨーロッパと「ブレークスルー・エナジーのメンバー企業は、優先的にどの資金にもアクセスできる」という覚書に署名した。
ブレークスルー・エナジーのメンバーは、次の通り:
a.バージン・エアのリチャード・ブランソン、
b.ビル・ゲイツ、
c.アリババの馬雲、
d.Facebookのマーク・ザッカーバーグ、
e.アル=ワリード・ビン・タラール王子殿下、
f.ブリッジウォーターアソシエイツのレイ・ダリオ、
g.ヘッジファンドの巨人、タイガー・マネジメントのジュリアン・ロバートソン、
h. カーライルグループの創設者、デイビッド・ルーベンスタイン、
i. ソロス・ファンド・マネジメントの会長ジョージ・ソロス、
ソフトバンク創設者、孫正義。

間違えないで。 最も影響力のある多国籍企業、ブラックロックやゴールドマン・サックスなどの世界最大の機関投資家、国連、世界銀行、イングランド銀行、BISの他の中央銀行がいわゆるグリーン計画の資金調達の背後に並んでいるのであれば、名目が「グリーンニューディール」であれ何であれ、一般に広まってきた気候活動キャンペーンの表面の背後にある本当のねらいに目を向けないといけない。 浮かび上がるのは、気候を使用した世界経済の金融再編の試みだ。それは、人類が未だかつて手に入れたことのない巨額の太陽や太陽エネルギーに関するものだ。私たち一般人に「地球を救う」ためにとてつもない犠牲を強いようとしているのだ。

去る2010年、国連気候変動に関する政府間パネルのワーキンググループ3の責任者であるオットマール・エデンホーファー博士は、インタビュアーに次のように語った。「…気候政策の目的は、実のところは、世界の富の再分配だということを明確に認めなければならない。 国際的な気候政策は環境政策であるという幻想から解放しなければならない。 もはや森林破壊やオゾンホールなどについての環境政策とはほとんどは関係ない」 。当時から見て、経済政策戦略ははるかに発展してきた。

F. William Engdahl is strategic risk consultant and lecturer, he holds a degree in politics from Princeton University and is a best-selling author on oil and geopolitics, exclusively for the online magazine “New Eastern Outlook.”



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