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「狂気の沙汰」― ルーラ・ブラジル大統領がアサンジの投獄を批判

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Crazy thing’ – Lula criticizes imprisonment of Assange
The Brazilian president described the prolonged detention of the WikiLeaks founder as an affront to freedom of expression
ブラジル大統領は、ウィキリークス創設者の長期勾留を表現の自由への冒涜と評した。
出典:RT 2023年5月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月15日



ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領。© Mauro Pimentel / AFP


 ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、ジュリアン・アサンジに対する英国の扱いを批判した。ウィキリークス創設者がジャーナリストとしての職業的な活動のために投獄されたとし、政府に釈放を求めた。

 「ある国家による別の国家に対する策略を告発したジャーナリストが逮捕され、刑務所で死を宣告され、彼を解放するために何もしないのは恥ずべきことである。狂気の沙汰だ」とルーラは、土曜日(5月6日)にロンドンで行われた国王チャールズ3世の戴冠式に出席した後、記者団に述べた。

 また、記者団に対し、アサンジの事例は表現の自由の事例であり、オーストラリア人である彼が獄中にあるのは、単に「不正行為を糾弾したから」であると付け加えた。ルーラはまた、同僚を支持しない報道機関を非難した。

 一方、同国のアンソニー・アルバネーゼ首相は4日、ロンドンからオーストラリアのABC放送の取材に応じ、アサンジを獄中に置いて「服役させる理由が何もない」と主張した。



関連記事:バイデン氏のライバル(R.F.ケネディJr.)はアサンジ恩赦を公約

 「これは結論を出す必要がある」と彼は述べ、オーストラリア政府は「外交ルートを通じて動いており、我々はアサンジ氏の件に関して我々の立場を一点の曇りもない状態にしている 」と付言した。

 以前から何度かアサンジの投獄を非難していたアルバネーゼは、この手続きが「苛立たしい」ものであることを認めている。

 金曜日(5月5日)、2019年からロンドンのベルマーシュ最高警備刑務所に収容されているウィキリークス創設者アサンジは、国王チャールズ3世に手紙を書いた。特に、国王に同施設を訪問するよう呼びかけた。

 「困惑している外国の主権者に代わって、陛下のご意向で拘束されている政治犯である私は、この世界的な施設の壁の中に住めることを光栄に思います」と、このジャーナリストは書いている。

 アサンジは、エクアドルが亡命資格を取り消し、英国警察がロンドンにある同国大使館から彼を連れ出すことを許可したため、英国当局に逮捕された。ウィキリークス創設者は2012年以来、大使館の敷地内に身を寄せていた。

 逮捕当日、米国司法省はアサンジにスパイ活動法に基づく17件の告発を行い、175年の獄中生活を強いられる可能性がある。彼の弁護団は現在、米国の身柄引き渡し要求と戦っている。

 この告発は、イラクとアフガニスタンにおける米国の戦争犯罪を主張する機密文書を含む、内部告発者によって入手された機密資料を彼が公表したことに起因している。アサンジはこれらの資料を個人的にハッキングしたわけではなくても、それを公表した役割で起訴されたのだ。
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民主党議員、バイデンにジュリアン・アサンジの訴追は取り下げるよう強く要請

<記事原文 寺島先生推薦>

Democrats urge Biden to drop Julian Assange charges
The case against Assange poses a “grave and unprecedented threat” to press freedoms, the lawmakers argued

アサンジに対する裁判は報道の自由に対して「重大かつ前例のない脅威」をもたらすと、(民主党)議員たちは主張した。

出典:RT

2023年4月12日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年5月2日


資料写真© Dan Kitwood / Getty Images


 ウィキリークスの共同創設者であるジュリアン・アサンジの即時釈放を求める書簡を下院の複数の民主党議員が作成した。その書簡では、司法省がアサンジに対する告訴を取り下げ、第一次世界大戦時代のスパイ防止法に基づく訴追を受けさせるために、彼を米国に移送するための引渡し手続きを停止することが求められている。

 「スクワッド」と呼ばれる進歩的なこの議員団は、アサンジの2019年の逮捕から4周年を記念して、火曜日(4月11日)にメリック・ガーランド司法長官に宛てた書簡で、彼に対する容疑は報道の自由に対する深刻な脅威であると述べている。

 「私たちが本日書簡を書いたのは、オーストラリアの情報発行者ジュリアン・アサンジに対する刑事告訴を取り下げ、現在英国政府に要請中の米国の身柄引き渡し要求を撤回することで、報道の自由に対する憲法修正第1条の保護を維持することを求めるためです」と議員たちは述べている。

 さらに、ACLU(米国自由人権協会)、アムネスティ・インターナショナル、国境なき記者団、ジャーナリスト保護委員会、権利と異論を守る会、ヒューマン・ライツ・ウォッチなど、人権、市民的自由、報道の自由を守る団体からの警告を引用し、アサンジの事例は「日常、憲法上保護されているジャーナリスト活動に対する重大かつ前例のない脅威」であると主張している。



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 アサンジは、2019年に英国当局に逮捕された。それは、身を寄せていたロンドンのエクアドル大使館での政治亡命資格を失った後のことだった。彼は、ウィキリークスによる大量の機密資料を公開したため、米国から訴追されることを恐れて7年以上この大使館に身を潜めることを余儀なくされていたのだ。ドナルド・トランプ大統領(当時)の下、米司法省はアサンジに対する複数項目の起訴状を2019年4月11日(逮捕と同じ日)に公開し、死刑になる可能性があるスパイ活動法に基づく17件の罪を宣告している。

 ワシントンが、アサンジを米国に呼び寄せて罪状に直面させるための身柄引き渡し要求を迫る中、彼はそれ以来、英国の最大警備のベルマーシュ刑務所に拘束されている。アサンジの弁護団は、彼の健康状態が悪化していることを理由に、引き渡しを支持する判決を不服としており、この手続きは英国の裁判所で継続されている。

 この民主党の議員たちは、アサンジの起訴は、世界中の人権の擁護者としてのアメリカの信用を「大きく(低下させ)」、「ジャーナリストや出版社が訴追される可能性があるという危険な法的先例を作る」と主張した。



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 「将来、ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙が機密情報に基づく重要な記事を掲載した場合、訴追される可能性があります。あるいは、民主主義にとって危険なことに、訴追を恐れてそのような記事の掲載を控えるかもしれません」と、彼らは続けた。

 アサンジの告発は、2010年に米軍の情報分析官チェルシー・マニングが入手した大量の機密文書群を公表したことに端を発し、その中には米軍がイラクやその他の地域で犯した戦争犯罪を示唆する資料も含まれている。マニングは起訴され、懲役35年の判決を受けたが、バラク・オバマ大統領がマニングの刑を減刑したため、その後釈放された。

「巻き添え殺人」から13年。ジュリアン・アサンジは真実を語ったことで訴追されている。

<記事原文 寺島先生推薦>

Collateral Murder 13 Years On… Julian Assange Persecuted for Truth-Telling


出典:Strategic Culture

2023年4月14日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年5月2日

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世界は彼ら(エルズバーグとアサンジ)に、真実を教えてくれた計り知れない恩義がある。なぜなら、真実を知ることによってのみ、私たちは世界をより良い方向に変えることができるから。


 今月は、世界的に有名な映像「巻き添え殺人」が公開されてから13年目にあたる年だ。この約39分の短い映像は、バグダッド上空でヘリコプター「アパッチ」を操縦するアメリカ軍によって、イラクの市民18人が冷酷に殺害される様子を映したもの。

 この殺害事件は、2003年に米英による違法なイラク戦争が開始され、米軍が占領していた2007年7月12日の朝(先月、戦争から20周年を迎えた)に発生した。大量破壊兵器という大嘘の上に成り立つ米英のイラク戦争は、100万人以上の死者を出し、中東全体、いやそれを越える地域に恐ろしい影響を連鎖的にもたらした。

 2010年4月5日、「巻き添え殺人」が公表された時、それは世界を変える出来事であった。というのも、それは米国とその共犯者である英国によるイラクでの組織的な戦争犯罪を独自に暴露する、真実の稲妻だったからだ。その衝撃は、広範囲に及んだ。ワシントンとロンドンが掲げていた欺瞞と嘘のベールは、引き裂かれた。英米の帝国主義的大国の虚像は、永遠にズタズタにされたのである。

 しかし、その真実を公表したジュリアン・アサンジは、今日、英国の拷問牢獄に収容されている。これ以上、米英の国家腐敗を生々しく糾弾する図柄はありえるだろうか?

 オーストラリア出身のアサンジ(51)は、戦争のプロパガンダを暴くための内部告発者専用の出版サイトとして、2006年にウィキリークスを設立した。他の主流メディアとは異なり、ウィキリークスは「巻き添え殺人」として知られるようになったビデオ映像を公開する勇気と誠実さを持っていた。

 その後、ウィキリークスは、米国とそのNATO同盟国によるアフガニスタンやイラクでのその他の戦争犯罪や、無数の不正な対外陰謀、外交上の不正行為、米国の国家機関による同盟国や米国人を含む世界中の市民に対する大量犯罪スパイ行為を暴露する画期的な秘密文書を多数公開し、世界中から尊敬と賞を得た。

 主要な報道機関は、ウィキリークスによって推進された、この画期的な暴露をすぐには報じなかったが、それで利益を上げることになった。忘れてならないのは、先にイラクでの戦争犯罪を公表したのはウィキリークスだ、ということだ。

 米国と英国は、ジュリアン・アサンジが真実を語り、自分らの威信に致命的な傷を与えたことを決して許さない。アサンジは、ジョージ・W・ブッシュ元大統領やトニー・ブレア首相のような、恥ずべきことに、現在も逃亡中の政府高官詐欺師や犯罪者を摘発した。彼らの戦争犯罪の訴追が今のところ行われていないのは残念だが、ウィキリークスの公表がもたらした少なくとも一つの慰めは、英米が侵略戦争を正当化するためにしばしば乱用してきたモラルの権威を、痛烈に打ち砕いたことである。

 ジュリアン・アサンジは、英国で約11年間も恣意的に拘束されている。彼は2012年、でっち上げられた性犯罪事件(その後、根拠がないとして取り下げられた)のために、ロンドンのエクアドル大使館に避難することを強いられた。その後、2019年4月に英国警察によって大使館から強制的に連れ出され、ベルマーシュ厳重警備刑務所に収監された。この4年間、アサンジは国連の特別報告者ニルス・メルツァーが「拷問」と表現する条件のもと、独房に入れられた。米国と英国の国家当局は、特大の猫がネズミを捕まえるように、アサンジを弄んできた。差し迫った米国への身柄引き渡しをめぐる法的手続きは茶番である。米国では、アサンジはスパイとして裁かれ、最高で175年の刑務所行きとなる。

 ジュリアン・アサンジが勾留中にこれだけの迫害を受けていることは、衝撃的で恐ろしい事実である。彼は何の罪にも問われていないのだから。

 アサンジの基本的人権である正当な法的手続きは、法の支配と人道主義の模範であると宣言している西側諸国によって破壊された。米国と英国は醜悪な詐欺師であり、欧州連合(EU)とオーストラリアは、だんまりの共犯者であることが明らかになった。西側主流メディアは、アサンジがウィキリークスで不祥事を公表することで巨額の利益を得ていた時期もあったが、今では冷淡で卑怯な無関心さを持って無視し、その正体を暴かれている。皮肉なことに、アサンジの運命は、独立したジャーナリズムと言論の自由、つまり欧米のメディアが神聖視する原則を破壊しかねないのである。

 弁護士との個人的な会話をCIAが違法に盗聴していたことや、アメリカ政府関係者がアサンジの暗殺を呼びかけていたことなど、アサンジの基本的権利が組織的に侵害されていることは、彼の身柄引き渡し事件が却下されるべき確固たる根拠である。ダニエル・エルズバーグは、1971年に「ペンタゴン・ペーパーズ」として知られる機密情報を公開し、米国をベトナム戦争(数十年後のイラク戦争と同じ)に駆り立てた組織的な嘘を暴いたという前例がある。エルズバーグの起訴は、彼の弁護団が米国の情報機関にスパイされていたことが明らかになったため、1973年に取り下げられた。

 アサンジ弁護の事例は、間違いなくさらに強烈だ。彼は発行人として「巻き添え殺人」をはじめとする機密文書を公開した。ダニエル・エルズバーグは当時、機密保持を誓わされたペンタゴンの職員であった。アサンジの役割を「ペンタゴン・ペーパーズ」を発行した新聞社と比較するのが、適切な例えと言える。当時、ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙の報道に対して訴追がなかったのに、なぜ今、アサンジが犠牲にならなければならないのか?

 ダニエル・エルズバーグの永遠の功績は、ウィキリークスとジュリアン・アサンジの率直な支持者でいることだ。92歳で死期が迫っているエルズバーグが勇気ある真実を語ったことで賞賛される一方で、アサンジが報復的な投獄を受けるのは、残酷で気まぐれな運命のいたずらである。

 ダニエル・エルズバーグが自由を許されたのなら、ジュリアン・アサンジも自由を許されるべきだ。多くの人々が、アサンジが、あれから13年後の今、不正な司法手段による巻き添え殺人とならないよう祈っている。彼は直ちに釈放されるべきなのだ。

 二人とも、アメリカの帝国主義的なベトナム戦争とイラク戦争の背後にある嘘を暴いた。世界は彼らに、真実を教えてくれた計り知れない恩義を感じている。なぜなら、真実を知ることによってのみ、私たちは世界をより良い方向に変えることが可能だからだ。

 しかし、いずれにせよ、帝国の武将たちに運命の日はやってくる。

CIAが密かに行っていたアサンジに対する監視方法が明らかに

<記事原文 寺島先生推薦>

CIA's surveillance methods on Assange revealed
A private contractor installed microphones inside the Ecuadorian Embassy in London where the WikiLeaks co-founder lived, an El Pais investigation has found

ウィキリークス共同創設者(アサンジ)が住んでいたロンドンのエクアドル大使館内に、民間業者がマイクを設置していたことが、El Paisの調査で判明した。

出典:RT

2023年4月2日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月25日

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© Oscar del Pozo / AFP

 CIAはスペインの民間警備会社UCグローバル社を使い、ウィキリークスの共同創設者ジュリアン・アサンジを監視するためにロンドンのエクアドル大使館内にマイクを密かに設置していた、とスペインの通信社エル・パイス社が同社の内部通信を引用して水曜日(3月29日)に報じた。

 UCグローバル社は、大使館の警備のために雇われていた。当時エクアドルから亡命を認められていたアサンジは、2012年から2019年まで外交施設に居住していたが、その後、英国警察によって強制移動させられた。スペインの会社(UC グローバル社)が米国の情報機関とつながっていることは、2019年にエル・パイス社によって初めて報道された。

 同紙によると、UCグローバルの創業者で代表のデイヴィッド・モラレスが、CIAと初めて接触したのは2017年のこと。その頃、モラレスは従業員に、同社が「X」という名のアメリカの新しい顧客に、「ホテル」と呼ばれるロンドンのエクアドル大使館からデータを収集するサーバーへの遠隔操作を提供する必要があると伝えていた。

 「「ホテル」の仕事に関しては、私たちの情報収集と分析能力をアメリカの顧客に提供したいと思う」と、モラレスは2017年9月の電子メールに書いている。「私たちは・・・それを魅力的で解釈しやすいものにするよう努めなければならない」。

 共有された情報には、弁護士や外交官などアサンジの訪問者のプロフィールや、携帯電話のデータなどが含まれていたとされる。モラレスはチャットメッセージで、「我々の管理者は米国の友人たちだ」と述べたとされる。


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関連記事:ピンク・フロイドのレジェンドが「英国のプードル」にアサンジの解放を促す


 モラレスの一団が大使館内に密かに仕掛けたマイクの一つは、アサンジが監視を防ぐためにホワイトノイズマシンを使う習慣があるにもかかわらず、盗聴するために消火器の下に隠されたとエル・パイス社は述べている。振動を避け、レーザーマイクで音を録音できるように、窓の角にステッカーが貼られていた。「私は、それが最大の関心事であり、米国がそれを望んでいることを知っている」とモラレスは、社員に書き送ったと伝えられている。

 エル・パイス社によると、UC Globalの仕事は、2017年12月にアサンジを大使館からこっそり連れ出す計画をワシントンが阻止するのに役立ったという。当時のエクアドル大統領であるレニン・モレノは、アサンジにエクアドル市民権を与え、外交用の車でイギリスから脱出させようとしたと言われている。

 モラレスの一団は、アサンジとエクアドル政府関係者の会話を録音し、それをすぐに米国に送ったとされる。ワシントンはこれに対し、アサンジの逮捕状を英国に発行した。これにより、アサンジを英国から退去させる計画は頓挫したようだ。

 2019年、スペイン当局がモラレスの会社(UC グローバル社)に対する調査を開始し、一時的にモラレスを拘束した。その後、彼は保釈された。

英国、国境なき記者団代表のアサンジ訪問を遮る

<記事原文 寺島先生推薦>

British prevent NGO from visiting Assange
Reporters Without Borders representatives were turned away for “spurious reasons,” its director has claimed

「国境なき記者団」の代表者が「不当な理由」で追い返されたと、同団体の代表が主張した。

出典:RT

2023年4月4日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月24日


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2022年12月16日、ベルリンのパライヤープラッツにある米国大使館前で、「Free Assange」と書かれた横断幕を掲げる活動家。© John MACDOUGALL / AFP Japan


 国境なき記者団(RSF)の幹部2名が、ロンドンの刑務所でウィキリークスの共同創設者ジュリアン・アサンジとの面会を、事前に承認されていたにもかかわらず、禁じられた、と主張した。

 火曜日(4月4日)、RSFは声明の中で、クリストフ・デロワール本部長とレベッカ・ヴィンセント運営部長が、「事前に審査を受け、確認も取っているにもかかわらず」ベルマーシュ刑務所に入ることを許可されなかったと述べた。

 情報の自由を守るための国際的な非営利団体であるRSFは、活動家たちが望んでいたのは、次の二つだと述べた。①アサンジが拘束されている状況を把握し、②彼と彼の事例について話をすること。ただし、アサンジの妻であるステラには、夫との面会が許されていた、と付け加えている。

 RSFによると、活動家たちは実際にはジャーナリストであるという「情報を受け取った」、だから、彼らは刑務所に入ることを許されなかった、と刑務所の職員は主張した、とのことだ。ドロワールは、この「恣意的な」決定は、直前になって「根拠のない理由」でなされたものであると批判した。

 同団体は、2人がジャーナリストとしてではなく、NGOの一員としてウィキリークスの共同創設者(アサンジ)を訪問しようとしていたと主張した。

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関連記事:CIAによるアサンジへの監視方法が明らかに


 ヴィンセントは、「あらゆる段階において、英国当局はこの事件に関する通常の関与を認めるのではなく、秘密主義と排除を既定路線としている・・・彼らは何を隠す必要があるのだろうか? とはいえ、私たちは「アサンジを解放せよ(#FreeAssange)を目指す運動を引き続き継続する」と述べた。

 オーストラリア出身の発行人であるアサンジは、2010年にウィキリークスがイラクとアフガニスタンの紛争で、米軍が犯した戦争犯罪の疑いを明らかにする機密文書の数々を公開して以来、米国の標的となっている。彼は、ペンタゴンのコンピュータへの乗っ取り行為を共謀したとして告発され、機密文書の公開をめぐってアメリカの1917年のスパイ活動法の下で起訴されている。

 2012年から2019年まで、アサンジはロンドンのエクアドル大使館に避難していた。エクアドル政府によって亡命資格が取り消された後、アサンジは保安体制が最強段階であるベルマーシュ刑務所に移送された。英国から米国への身柄引き渡しの可能性をめぐる法廷闘争が続いている。もし米国へ引き渡されれば、最大175年の刑の言い渡しに直面することになる。

アサンジを中傷し、国民の知る権利を否定するカナダの旧来の報道機関

<記事原文 寺島先生推薦>

Canada’s Legacy Press Smears Assange to Deny the Public’s Right to Know

筆者:ピーター・ビースターフェルト (Peter Biesterfeld)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2023年4月6日

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月23日

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映画「イタカ」(@IthakaMovie)。オンタリオ州トロントでの「イタカ」上映後カメラに納まる、「ジュリアン・アサンジを解放しろ!」の唱道者たちとシプトン夫妻。


 「死の連鎖」は今日のカナダの既成ジャーナリズムの状況を適切に表現している。今日のカナダの既成ジャーナリズムは、国際情勢についてカナダのニュース消費者に誤った情報を与え、グローバルな主体としてのカナダの真の役割について信頼できる洞察と理解をもたらすことができていないのだから。


伝達者の殺害

 「もし嘘が戦争を始めることができるのなら、真実は平和を始めることができる」。 ジュリアン・アサンジ

 ウィキリークス発行人のジュリアン・アサンジは、2011年にロンドンのトラファルガー広場で行われた戦争阻止連合のデモで演説し、イラク戦争とアフガン戦争における報道の共謀について辛らつな発言をした。

 「戦争犯罪者は誰なのか?」とアサンジは問いかけた。「指導者だけでなく、メディアもそうだ。加担しているメディアに問おう、各ジャーナリストの平均死者数は?」

 それから10年以上が経ち、既存のジャーナリストたちは、ウクライナでの戦争の激化を助長することに、足並みを揃えて、加担している。

 カナダの報道機関が、ジャーナリズムの危機に瀕していることを示す唾棄すべき証拠は、現代の報道の自由に関する事例についての報道がほとんどないことだ。

 ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジは、「強欲な権力」について、不都合で気持ちを落ち着かせない真実を公表した。そのために迫害されたことは、カナダの報道機関ではほとんど注目されなかった。

 これまで報道されたわずかな記事から、明らかになったことは、「最も信頼できる」有名通信社で働くカナダのジャーナリストや編集者が、きわめてお粗末な情報しか持たず、アサンジとウィキリークスに対して、梃子でも動かない偏見を抱いていること、だ。

 2019年秋のアサンジの身柄引き渡しの予備審問の後、本記事の筆者(私)はカナダメディアの報道の少なさについて、注目に値するある報道機関に論説を送った。編集者は、私の原稿に変更を加えるよう指示を出した。それは、この編集者(女性)の偏見だけでなく、無知も裏付けるものだった:

「アサンジは多くの点で共感できる人物ではない 」と彼女は電子メールで書いている。「彼は(スウェーデンで)性的暴行とレイプの容疑を受けている。米国の選挙へのロシアの干渉への関与や民主主義との関連、それはこの論説の中で取り上げられる必要があると思う。 カナダ(や他の国)の主要ニュースが引き渡し公聴会を、記事として取り上げないのは、それ(アサンジの「不祥事」)が有力な理由として考えられるのは確かだ」。

 国際人権弁護士ニルス・メルツァーは、350ページにわたる調査報告書『ジュリアン・アサンジの裁判:迫害物語』(2022)の中で、スウェーデンと英国がアサンジに対して仕掛けた法制度の詳細を明らかにしている:

「スウェーデン当局は、無罪となる証拠となるものを意図的に隠すことで、スウェーデンの司法手続法に定められた、アサンジの手続上の権利を侵害しただけでなく、レイプ疑惑を積極的に広めたことと合わせて、冤罪という犯罪行為さえ行ったかもしれない」。

 レイプの容疑はなかったし、アサンジが「ロシアの干渉」に関与しているという証拠もなかった。後者は、独立した報道機関によって論破された主流メディアの作り話である。

 筆者(私)が編集者に、このことを説明すると、彼女は「でも、アサンジはジャーナリストではありませんよ。彼はハッカーなんです」。ウィキリークスとアサンジが長年にわたって受賞したジャーナリズム賞の長いリストを彼女に説明すると、どうやら彼女の懐疑は払拭されたようで、私の投稿は論説から編集者への手紙に格下げされたものの、掲載された。

 ニルス・メルツァーは、拷問に関する国連報告者としての立場にあったとき、2018年にアサンジの弁護士から、英国当局の手によるアサンジの扱いを調査するよう、初めて依頼された。メルツァーは、アサンジに関する公式の説明を耳にして、窮地に立たされたウィキリークスに関していい意見は持てなかった。そのため、依頼は拒否した。

 「ここ数年、ほとんど無意識に吸収していた主流メディアの見出しの数々に、私はまだ影響を受けていました: スウェーデン当局への出頭を拒む臆病な強姦魔アサンジ。ハッカーでありスパイであるアサンジは、エクアドル大使館で司法から逃れている。冷酷なナルシストであり、裏切り者であり、ろくでなしであるアサンジ。などなど」。

 『ジュリアン・アサンジの裁判』でメルツァーが書いていること:

「私は、偏見によって自分の認識がいかに歪んでいたかに、後になって気づいた。多くの人がそうであるように、私も彼についての真実を知っていると確信していた。しかし、その知識がどこから来たのかよく覚えていなかった。公式見解は、私を含む世論を、いいように振り回したのだ」。

 「アサンジ-ウィキリークス」ファイルについての、公式見解やメディアの繰り返し報道に何年もさらされた後、カナダの主流メディアの記者たちは、クリス・ヘッジスが「死の連鎖」と呼ぶジャーナリズムを生み出している。主要な報道の多くが虚偽、誤導、あるいは証拠なしであることが公の記録で示されているにもかかわらず、そのどれもが撤回されたり訂正されたりしていない。

 故クリスティー・ブラッチフォードが2019年4月16日にナショナルポスト紙に発表した「ジュリアン・アサンジはジャーナリストではない、そして彼は適正な法的手続きを受けている。それは十分すぎるほどだ」というタイトルの、事実無根のアサンジ中傷は、今もポストの意見欄で読める。 ブラッチフォードは、あるガーディアンのジャーナリストを引用して、まるで「あの世から」のように、アサンジをめぐって不気味に宣告している:「アサンジはサイコパス(反社会性パーソナリティ障害者)たちに喜んで死のリストを送った」。

 ブラッチフォードを取り上げた理由は、3年後、トロント・スター紙のコラムニスト、ロージー・ディマンノが、ジュリアン・アサンジについて、ブラッチ(彼女の同僚は彼女をこう呼んでいた)からインスピレーションを得て、同様に正気を失った意見を書いたようだからだ。

 見出しは「ジュリアン・アサンジは、データにきちんとした配慮をしないだけで、英雄ではない」となっており、ディマンノの意見はジャーナリズムというより中傷に近い:

「ひどいナルシスト・・・人の命を軽んじ、友人をひどく失望させ、かつての仲間を遠ざけている。自己顕示欲が強く、道徳心がない」。

 ディマンノは、お決まりのアサンジの中傷を繰り返し、国が承認した、しかし全く誤った主張を鸚鵡返しにして、我々の世代で最も重大な報道の自由の事例について、彼女の無知を暴露するだけでなく、スター編集委員会の無知もさらけ出している。どうやら、「どうしてこれが真実だとわかるのか」と問うことを考えた論説委員はいなかったようだ。

 ディマンノは書いている:

「戦闘戦略を暴露したデータに対する彼の不見識は、米国とその同盟国に命がけで情報を提供した何千人もの軍隊と何百人もの脆弱な外国人の命を危険にさらした・・・彼らの名前は暴露した資料から決して削除されることはなかったのだ」。

 8年前のガーディアン紙は、イラク戦争のファイルをウィキリークスに流した内部告発者ブラッドリー・マニング(当時)の軍法会議について、まったく逆の報道をした:

「国防総省を代表して、ウィキリークスの情報公開の影響を調査する情報審査特別部隊を率いる防諜上級将校のロバート・カー准将は、メリーランド州フォートミードの法廷で、インターネットでの情報公開後の報復で、命を落とした人の具体例を発見していないことを明らかにした」。

 ウィキリークスの発表に取り組んだジャーナリストを含む専門家証人は、2020年秋のアサンジの身柄引き渡し公聴会で、実際にアサンジは「データに関して無思慮な扱い」はしていなかった、と証言している。

 2010年にウィキリークスが公開した文書のメディア内協力者であるデア・シュピーゲル誌で働くアメリカ人ジャーナリストのジョン・ゲッツは、ウィキリークスが先頭に立って 「非常に厳格な編集作業」を行った、と証言している。ゲッツは、アサンジが「この膨大な文書の中から(特定の)名前を見つけようとする技術的な側面に無関心ではなかった」と法廷で語り、「私たちがその名前を修正して、公表されないようにし、彼らが傷つくことがないようにした」と述べた。

 アサンジの身柄引き渡しの公聴会について、カナダの主要報道番組でバランスの取れた報道を見つけるのは困難だった。見つかったとしても、中傷が含まれ、米国政府の国家安全保障部門CIA、FBI、司法省、国務長官、国土安全保障省といった、一連の組織が提示する話から逸脱する内容はほとんどなかった。

 ジョン・ピルジャーは、アサンジの公聴会に対するメディアの無関心は世界的なものだという:

「アサンジ裁判が世紀の政治裁判であるならば(私はそうだと思う)、その結果は、自分の仕事をしたジャーナリスト(アサンジ)の運命を封じるだけでなく、自由なジャーナリズムと言論の自由の原則そのものを脅かすことになるだろう。この裁判について主流メディアが真剣な報道をしないことは、どう少なく見積もっても、自滅的である」。

 日刊紙「イル ファット クオティディアーノ(日々の事実)」のイタリア人ジャーナリストであるステファニア・マウリツィは、メディア内協力者として、ウィキリークスのすべての公表に取り組んだ。マウリツィはアサンジの公聴会で、イラク戦争記録について、ウィキリークスは米国政府よりも多くの編集を行い、被害を最小限に抑えるために15000の文書を差し控えていたと証言している。

 13年にわたるアサンジ事件の調査研究の末、マウリツィは、彼の著書 『秘密の権力:ウィキリークスとその敵対勢力』 (2022年)において、情報の自由への、彼女なりの取り組みの結果をまとめた。これは「アサンジの迫害に関する最も詳細な記述」である。

 マウリツィは、また、スウェーデン、英国、米国、そしてオーストラリアとの間で、情報の個人的自由の戦争を戦ってきた。アサンジに対する性的暴行疑惑がなぜ予備段階で長く引き延ばされたのか、その真相に迫ろうとしたのだ。彼は同書で、4カ国の検察当局間の捜査資料や書簡に基づき、英国検察庁(CPS)とスウェーデン検察が結託してアサンジの迫害と投獄を長引かせたことを明らかにしている。

 このマウリツィの著書は、非の打ち所がないほど研究された資料であり、主流メディアで働く記者によって報道されることのなかった現代の法廷闘争を政治的に告発するものである。マウリツィは、アサンジとウィキリークスに対する既存の報道について、あまり良いことは言っていない。

 マウリツィはベルリンの月刊誌「エクスバーライナー」に、「アサンジの件を取材する記者たちは、当局の申告を鵜呑みにすることしか考えていなかった。どのメディアも、彼に関する文書一式に接触しようとはしていない。これはジャーナリズムの信じられない失敗である」と語った。

 証明されていない主張を無批判に報道し、アサンジについて公式情報源が行った中傷を反復することは、ジャーナリズムがよくやる詐欺行為だ。カナダのジャーナリストの一部は、それを後悔し始めている。

 ポッドキャスト「Short Cuts」のエピソード#291で、CANADALANDの出版社ジェシー・ブラウンが、共同ホストのジェン・ガーソンとアサンジの件について議論していた。「技術ジャーナリストとしてMacleansに書いていた時や、Search Engineという番組で、私はアサンジを壮大なロバと呼んだ。彼がロシアの国営放送スプートニクの番組に出ていたとき、私は彼を名声娼婦と呼んだ。衛生状態の悪いアルビノ*の遊牧民と呼んだよ。クリスティー・ブラッチフォードと一緒にね」。
* 先天性白皮症

 ガーソンは、資料の不透明な理解とともに、自分の偏った考えを漏らしている。「彼がロシアの宣伝機関を運営していたことも認識しよう。そのことは、当時彼が受けた個人的な攻撃よりも、今日の問題により適切であると私には思える」。

 Googleで2回クリックするだけで、アサンジがロシア・トゥデイ(RT)のインタビュー番組「The World Tomorrow」を独自に制作し、RTから放送の許諾を得ていることがわかる。

 ブラウンとガーソンの最後のやりとりは、言わば茶番劇のようなものだ。

ジェシー・ブラウン:では、我々は彼を仲間だと言うのか? 彼が本質的に政治犯であれば、我々は彼のために立ち上がるのだろうか? チェルシー・マニングのような情報源があれば、どんな主流メディアの記者でもしたであろうことに対して、政府は彼を追いかけているのです。彼が引き起こした困惑と、同じことをする可能性のある人への警告として、彼を追いかけているのです。私はここで、自分自身の後悔の念から自分を掘り起こそうとしています。彼を個人的に非難する動きがあったことは知っていますし、それが私に影響を与え、私の取材に影響を与えたのだと思います。

ジェン・ガーソン:彼の人格に焦点を当てたキャンペーンは不適切だったと思います。しかし、彼を自分たちの仲間だと主張するかどうかという質問については、おそらく枠組みが違っているのでしょう。政府はスパイ防止法の下で身柄を引き渡そうとしている、と言うのが妥当でしょう。ジャーナリストとしての我々の義務は権力に真実を語ることだ、と言うのも一つの考え方ですが、権力に真実を語ることで、別の権力に奉仕しているに過ぎないのであれば、それは空虚なものになり始めます。アサンジは、ここからが本当に複雑なんです。個人攻撃ではなく、アメリカの国家安全保障を脅かすという明確な意図のもと、ロシアと協調して行動していた度合いについてです。それは、ほとんどのジャーナリストが自分たちと関わりを持とうとする範囲をはるかに超えています。

 アサンジと他のウィキリークス・ジャーナリストが、自分たちの問題としてやったのは、権力者の腐敗した人々がどのように秘密のビジネスを行い、なぜそうなるのかを一般に知らしめた、真実の情報を開示する驚くべき完璧な記録の作成だった。

 ガーソンやブラウンのようなジャーナリストが、真実とかけ離れた言説をまき散らしているのに、誰がプロパガンダなど必要とするのだろうか? アサンジ/ウィキリークスの件でカナダのニュース消費者がもっと必要としているのは、緑の党の指導者候補(2020年)ディミトリ・ラスカリスのような独立した著名なジャーナリストの声だ:

「ジュリアン・アサンジのケースは、正義と民主主義の目的にとって本物のジャーナリズムが根源的に重要であることを思い起こさせます。ジュリアン・アサンジが世界で最も強力な資本家と帝国主義者によって迫害されているのは、まさに、彼が彼らの犯罪を、恐れずに暴露したからです」。

 アサンジとウィキリークスに関するプロパガンダや誤報を払拭することが、24日にトロントの Hot Docs Cinemaで上映された2021年のドキュメンタリー映画「Ithaka」の目的である。ベン・ローレンスが監督し、アサンジの弟ジュリアン・シプトンが製作したこの作品は、「マスメディアによって形成されたアサンジの描写を正すために、たゆまぬ努力を続けている」とPOV誌のレビューでパット・マレンが書いている。

 このドキュメンタリーの徹底した上映予定と、映画上映後の地元の観客との討論や情報交換は、キャンペーンの成功に不可欠なものである。『Ithaka』の25回の上映を終え、後半25回の上映を控えたジョン、ガブリエル・シプトン夫妻は、HotDocsでの講演の前日、カナダ・ファイルズの取材に応じ、このドキュメンタリー・ツアーが、アサンジの苦境だけでなく、公共の利益のためのジャーナリズムに対する差し迫った脅威に対する認識を高めるための大きなキャンペーンの一部であることについて話した。イギリス、フランス、ドイツ、そしてオーストラリアに続き、シプトン夫妻は北米で 『Ithaka』 を上映する。カナダはトロントだけになる。

 「昨夜はマサチューセッツで上映会を行いましたが、100人以上の観客が集まり、前夜は200人以上でした」とガブリエルは語る。「今、観客が集まっているのを見ると、勢いを感じるし、この問題やジュリアンの事件で、実際に何が問題になっているのかについてもっと聞きたい、という人々の真の渇望を見ることができます。そして、その認知度は高まっていると思います」。

 ジョン・シプトンは、ヨーロッパの聴衆がアサンジの身柄引き渡し事件における人権侵害や適正手続きの欠如、法律違反に最も関心を寄せているのに対し、アメリカ人はアサンジがスパイ防止法に基づき有罪判決を受けることで、修正第1条の終焉と権利の喪失を意味すること懸念している、と述べた。

 ジュリアン・アサンジと米国の安全保障国家との長年にわたる戦いの結果をカナダ人が懸念すべき理由を尋ねられたジョン・シプトンは、次のように答えた:

「私たちが若かった頃、世界を安全に回るには、リュックにメイプルリーフ*を縫い付けておくことだったんです。でも、それはもうない。アメリカとは違うカナダという国の良さを感じていただけに、残念でなりません。ワシントンが不機嫌な夜に作った考えの奴隷になるのは、カナダにとって本当に良くないことです。ワシントンはそれをカナダに送りつけてきます。私たちはそれを防御することはできません。
* カナダの国旗のこと。その中央にサトウカエデの葉があしらわれている。

 私たちは、家族が一緒になってメンバーを守る能力、そして地域社会や家族、国家がまともな理解を持つ能力を、原則として、擁護します。そして、私たちはアサンジについても、国家の知性の集合体が、その国家の独立のため、その欲求を満たすための戦略的資産であることを理解しています。例えば、トラック運転手の支援とその感性、トラック運転手に共感すること、カナダで現在行われている調査によって、政府の弾圧のために緊急事態法が歪められたことが明らかになったこと、そういった事情を理解している人々が、アサンジの件に影響していくのだろうと、私は想像しています」。

 ガブリエル・シプトンは、カナダの聴衆に次のことを思い起こさせている:

「本当に危機に瀕しているのは、米国から発信される機密情報を使って国家安全保障を報道するジャーナリストの能力です。また、米国の同盟国やどの国のジャーナリストも、前例のないスパイ防止法の訴追により無期限で刑務所に入れられるという、地域的な要素もあるのです。カナダのジャーナリストや出版社がこのようなことから安全であることはなく、ジュリアンについて言われていることは、世界中の誰にでも適用できる、ということです」。

 「Ithaka」を巡回上映することは、啓発活動に弾みをつけることだと、彼は言っている:

「この映画は、ジュリアンの迫害をめぐる事実にあまり関わってこなかった人々にとって、本当に良い入り口だと思う。ほとんどの人は、ジュリアンの迫害について理解していないのです。このような中傷を広めることに取り組んでいるジャーナリストたちがいるのですから。一般的に、ほとんどの人は、この問題に関心を持ち、事実とこの事件で何が問題になっているのかを理解し、私たちの側につくと思うんです。そのためには、重要な情報を人々に伝える必要があるのです。この映画とツアーは、そのための一つの方法なのです」。

 2023年3月24日、映画上映後の質疑応答の後、100人を超えるHotDocsの観客は散会し、シプトン夫妻は、質問者や地元の「アサンジを解放せよ」擁護者と気軽に交流した。CBCや米国領事館の歩道に、何年も前から「報道の自由」と「アサンジを解放せよ」のメッセージをチョークで書いているシャーロット・シースビー=コールマンは、この夜を振り返った:

「ジュリアン擁護を支持しつつも、この事件の概要しか知らない、私の3人の友人を招待したのですが、事実を知った彼らの、信じられない!という反応は、この映画が一般の人々を教育し、意識を高めるための重要な武器であることを物語っています。できれば、より多くのメディア関係者にも広めたい」。

 シースビー・コールマンのアサンジ支援グループは、アサンジがロンドンのベルマーシュ厳重警備刑務所に収監されてから4周年を迎える4月11日に開催される世界的な行動日に参加する予定だ。


ジャーナリズムの指標

 「ウィキリークスは、世界で最も迫害されている文書を集めた巨大な図書館です。私たちはこれらの文書に保護を与え、分析し、宣伝し、もっと資料を入手するのです。」 ―ジュリアン・アサンジ、シュピーゲル誌のインタビュー

 ウィキリークスは、2007年以来、公益報道を大量に提供してきた。そのほとんどは、政府の嘘、そして、政府、機関、国際企業などによって行われた虐待や犯罪に関するものである。CBCのアーカイブからの一例だ:

「カナダが2003年の米国主導のイラク侵攻への参加を公式に拒否した同じ日、カナダの高官は、激しく物議を醸したこの作戦への秘密軍事支援を米国に密約していた」と、ウィキリークスが公開した外交メモに基づき、CBCのある記事で 2011年、グレッグ・ウェストンが報告している。

 グレッグ・ウェストンの情報源は、マニングがウィキリークスに流出させた1966年から2010年までの外交公電251,287件のウィキリークス・ライブラリーである。独立系ニュースのactivismMunichは最近、The Public Library of US Diplomacy(米国外交の公的図書館)に収められた一連の電報を掲載し、米国とヨーロッパの同盟国が10年以上前にウクライナでの紛争の可能性をどの程度知っていたかを示している。

 ジョージ・ブッシュの駐ロシア大使、現CIA長官のウィリアム・バーンズは、2008年2月1日付でこんな予言的な要約を書いている:

「ブカレスト・サミット(参考A)でウクライナがNATO加盟行動計画(MAP)を求める意向を示したことに対し、最初の反応は穏やかだったが、ラブロフ外相と他の高官は強い反対を繰り返し、ロシアはさらなる東方拡大を潜在的軍事脅威とみなすと強調した。NATOの拡大、特にウクライナへの拡大は、ロシアにとって「感情を揺さぶる、神経を逆なでする」問題であるが、ウクライナとジョージアのNATO加盟に強く反対する背景には、戦略的な政策的配慮がある。ウクライナでは、この問題が国を二分し、暴力や内戦に発展する可能性があり、そうなればロシアは介入するかどうかを決めなければならなくなるとの懸念がある」。

 ブッシュ政権下の米国国連大使で、後にドナルド・トランプのウクライナ担当特別代表となったカート・フォルカーは、「フォルカー、NATOについてカナダ人と相談」と題した外交メモ(2008年6月9日)に、オタワ訪問の概要を書いている。一部抜粋して紹介する:

・ オタワは、ロシアのさまざまな「挑戦」に立ち向かう努力において米国と協力し、ウクライナとジョージアにMAPを提供し、NATOの政策を「役に立たない」方向に誘導しようとするドイツの努力に対抗することを望んでいる。
・ (カナダ首相)ハーパーは、イタリア、ドイツ、フランス、そしてイギリスの担当者に、ウクライナとジョージアへのMAP(NATO加盟行動計画)の早期延長を迫ったと、(外交・防衛政策顧問代理)シンクレアが述べた。カナダの結論は、MAPは「ウクライナにとって必須であるが、ジョージアも同様である」ということである。
• 2008年6月6日付の別の電報では、ドイツの外交官ノーマン・ヴァルターとロルフ・ニケルが、米国のデイヴィッド・メルケルに「NATO加盟の問題で世論が激しく分かれているウクライナでMAPがあまりにも早く進めば、国が不安定になり『分裂』する恐れがある」という懸念を示した。

 ウィキリークスの公開資料は、一次資料の宝庫であり、記者や学者が今後何年も採掘することになる公共情報サービスである。

 「ウィキリークスは、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといった名だたる新聞社が成し遂げたことをはるかに凌駕している」とジョン・ピルジャーは書いている。「アサンジと(NSA*の内部告発者)スノーデンが開示した権力の秘密と嘘に迫る新聞は存在しない。二人が国外に逃亡していることは、自由民主主義国が自由と正義の原則から後退していることを示している。なぜウィキリークスがジャーナリズムの画期的な存在なのか? その暴露情報は、世界の多くがどのように、そしてなぜ分断され、運営されているかを100%の正確さで教えてくれたからだ。」―ジョン・ピルジャー:『新冷戦&迫り来る脅威』、インド「フロントライン」(2018年12月21日)
* 米国国家安全保障局


死の連鎖

 「ひとたび事実が意見と交換可能になり、ひとたび真実がどうでもよくなり、ひとたび人々が聞きたいことだけを聞かされるようになれば、ジャーナリズムはジャーナリズムでなくなり、プロパガンダになる」。 クリス・ヘッジス

 元ニューヨーク・タイムズ記者のクリス・ヘッジスは、ドナルド・トランプの当選を助ける目的でロシアとウィキリークスが2016年の米国選挙に干渉したとされるスキャンダル、いわゆる「ロシアゲート」報道の分析において、「米国ジャーナリズムの死の連鎖」に言及している。

 ヘッジスは、TwitterのCEOであるイーロン・マスクが、2022年10月にTwitterを440億ドルで買収した後、公開した内部文書「Twitter Files」に基づいて、不気味な主張をしている。ジャーナリストのマット・タイビとバリ・ワイスが、Twitterの一連のスレッドとして文書の詳細の公開を共同で調整している、というのだ。

 2019年にアーロン・メイトによって初めて論破されたロシアゲートは、「タイタニック詐欺」であることが確認された。Fox Newsの司会者タッカー・カールソンのような影響力のある保守的なジャーナリストたちでさえ、ロシアゲートの「報道」が、ウクライナ紛争に至ったロシア嫌いの風潮に少なからず関連があることを報告している。

 タイビなどが、これまでツイッターファイルでさらけ出したのは、「説明責任を果たさない情報当局や 政党系の工作員が、ソーシャルメディア上で一般の人々が見たり閲覧したりすることができるものに影響を与える上で、きわめて大きな役割を果たしている」ことだ。

 タイビは9日に行われた下院司法委員会での証言で、次のように述べている:

「インターネットの最初の期待は、世界的な情報交換を民主化することでした。自由なインターネットは、情報の流れを管理しようとするあらゆる試みを圧倒し、その存在そのものが、どこでも反民主的な形態の政府にとって脅威となるのです。

 私たちが『ファイル』で見つけたのは、その期待を覆し、機械学習やその他の手段を使って、インターネットを検閲や社会統制の道具に変えようとする徹底した取り組みでした。残念ながら、我々の政府はその主役を演じているように見えます」。

 カナダのマスコミは、外交問題やジュリアン・アサンジに関する報道の多くで、ロシアゲートのシナリオに大きく依存し続けているため、今日までツイッターファイルの事後の分析は行われていない。実際、カナダの主流メディアを利用するニュース消費者は、ツイッターファイルやロシアゲートについて触れることは難しく、ましてや「不確かなゴシップを事実として報道されてきた4年間」に対する悔恨の念を抱くことはないだろう。

 ヘッジスは、「何千もの虚偽の記事や報道を作り出した主要な報道機関は、真剣な事後調査を拒否している」と書いている」。

 「死の連鎖」は、今日のカナダの既成ジャーナリズムの状況を適切に表現するものである。それは、国際情勢についてカナダのニュース消費者に誤った情報を与え、世界的な行動者としてのカナダの真の役割について信頼できる洞察と理解をもたらすことができないジャーナリズムである。

 ジョン・ピルジャーは、半世紀にわたる経歴の中で、自らの軌跡を振り返り、公的機関としてのジャーナリズムの衰退を説明しようとした:

「私がジャーナリストとして、特に海外特派員として活動を始めた頃、英国の報道は現在と同様、保守的で強力な体制勢力に所有されていた。しかし、今と違うのは、権威ある既成の「知恵」に異を唱える独立したジャーナリズムの余地があったということだ。その余地は今やすべて閉ざされ、独立したジャーナリストはインターネットや、いわば地下に潜るようになった。」 ジョン・ピルジャー「真のジャーナリストは権力ではなく人々の代理人として行動する」 デイリー・スター紙(バングラデシュ) (2019/1/16)

 世界の平和は、カナダを含む好戦的な米国と連携する「集団的西側」に包囲されつつある。カナダの外交政策は、米国と同じ命題、すなわち無限の資本成長とグローバリゼーションによって導かれている。そして、カナダの報道機関は、資本主義-帝国主義のレンズを通して、それに従って報道している。

 I.F.ストーンの反戦ジャーナリズムの原則は、カナダのジャーナリストによって放棄されている。かつては支持されることがあったにしても。その原則は、次のような形で、何回でも繰り返し語られている: 「見たままの真実を書くこと、強者から弱者を守ること、正義のために戦うこと、人間の恐ろしい憎しみや恐怖に癒しの視点をもたらすこと、そしていつの日か、人間がそのために殺し合うのではなく、人間の庭の違いを楽しむ世界を実現することを願っている」。

 ストーンの今日のヘッドラインにおける問題の予見は、不気味なほどであり、国家の問題について、真実を知る国民の権利のためのジャーナリズムと、国家権力3権との間の闘いにあまり変化がないことを示すものである。

 ストーンは1966年にこう書いている: 「国家安全保障の名の下に真実を抑圧することは、我々が守ろうとしているものを損なう最も確実な方法である。ラテン語の法格言に「Justitia fiat, ruat coelum」というのがある: 天が降ってきても正義が行われるように。私はこれを新聞記者のために言い換えて、こう言いたい:我々が見るままに、真実に語らせよう。政府高官たちが、そんなことをすれば、天が我々の頭上に落ちてくるぞ、と言ったとしても。

 カナダの国家安全保障が約50年後にどのように脅かされているのかを知るには、CSIS*が主導する中国系カナダ人政治家に対する最新のメディアによる中傷は必見だ。
* 戦略国際問題研究所。Center for Strategic and International Studies。米国ワシントンD.C.に本部を置くシンクタンク。

 カナダのグローバル問題や外交政策の記者によるジャーナリズムの不正行為に関するこのシリーズの次回は、中国系カナダ人の政治家が中国から指示を受けてカナダの選挙に介入しているというCSISの疑惑を、カナダの既成メディアがどのように報道しているかを分析する。

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 ピーター・ビースターフェルドがThe Canada Filesに寄稿したシリーズの第3弾:事実には破壊的な力がある。反戦・反帝国主義ジャーナリズムの事例。カナダの主要メディアが、外交政策報道で、いかにカナダ人を失望させているか、に焦点を当てている。

ジュリアン・アサンジの父親のインタビュー


<記事原文 寺島先生推薦>
People around the world need to add their voices to the call for Julian’s release from the dungeon in Britain.

世界の人々は声を上げてジュリアン・アサンジをイギリス地下牢から解放する必要がある

Strategic Culture 2022年12月16日
フィニアン・カニンガム(Finian Cunningham)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年1月15日



 ジュリアン・アサンジの父親であるジョン・シプトンが今週、クリスマスの数日前にインタビューに応じてくれた。ジュリアンが受けたひどい仕打ちを考えると、私は困難で苦悩に満ちた出会いになることを覚悟していた。

 その日は12月21日。北半球で最も短い(暗い)日である。ジョンはメルボルンにいた。南半球で最も長く明るい日である。冬至と夏至という対極的な表現が、今はぴったりくる感じだ。

 そして、ジョンが希望を抱かせるメッセージを持っていたことに驚いた...ジュリアンを刑務所から解放せよという、世界中の人々からの支援の声が高まっているのだ。この支持の声の高まりは、バイデン政権にアサンジへの迫害をやめさせるための臨界点に達してきているのかもしれない。

 疲れを知らぬかのように、ジョン・シプトンは、世界中を回り、議会、政治家、市民団体、そして一般市民などに息子の解放を訴えています。ジョンは、ジュリアンの解放を求める声がいかに大きくなっているかを語っている。例えば、ヨーロッパのすべての議会で、自由を求める議員が明確に発言している。オーストラリア政府もようやく目を覚まし、この野蛮な虐待の中止を要求するようになった。中南米や北米などでも、正義を求める声は高まっている。

 わずか2週間前には、欧米の主要紙が共同社説を掲載し、「出版は犯罪ではない」として、バイデン政権にアサンジの投獄をやめさせるよう求めた。この自由を求める新たな訴えは、ジュリアン・アサンジに対する世界中の人々の支持が大きく変化していることを反映している。

 ジョン・シプトンは、言葉の表面的な意味で「希望の光」と言っているわけではない。そんなことを言えば、ある種の安っぽい希望、軽薄な楽観主義、あるいは陽気で口先だけの無知を意味することになってしまう。移ろいやすい「消費主義的な希望」というのは、ちょっとした障害で消えてしまうものだ。

 しかし、彼が粘り強く、たくましく、勇気をもって息子を支える姿は、もっとずっと深い希望に満ちている。逆境に直面したときの信念と献身。その強さが、深い希望を呼び起こす。大胆な希望。冷たい野蛮さに直面しても、反抗的に微笑むことができる。鎖を断ち切ることができるような希望だ。

 ジュリアン・アサンジは「自分の子供たちのもとに帰ることができる」ために釈放されるべきだ、という言い方は、もう古くなっている。

 世界中の人々は、声を合わせ、ジュリアンをイギリスの地下牢から解放するよう要求する必要がある。彼はそこに4年近く、インチキの「スパイ容疑」で米国への送還を眼前に突きつけられながら、拘束されていたのだ。アサンジは、12年前にウィキリークスで、アメリカ主導の帝国主義戦争の犯罪を暴露した。彼がウィキリークスを通し広めた真実は、邪悪な帝国主義犯罪とはどんなものかを知らしめ、世界を力づけた。多くの点で、ジュリアンの出版活動が契機となって、「際限のない戦争を終わらせ」、「平和」を!という正義の要求が生まれたのである。世界の人々はこのことに感謝しなければならない。私たちは、彼の自由を求める要求を支持することで、その感謝を形にすることができる。今こそ自由を!

 インタビューの最後に、ジュリアンの父ジョン・シプトンは穏やかで心のこもった言い方で「メリー・クリスマス」と私に言ってくれた。その揺るぎない勇気と深い希望、そして信念が、本当の意味でクリスマスの精神なのだ。

#Julian Assange # John Shipton # Finian Cunningham #Free Julian Assange
Thanks to my friend and comrade Randy Martin for Video Production and for getting the word out.

誤解と偽情報がアサンジ事件の真相を踏み潰した。月曜日(12月5日)の夜、ワシントンで行われたヘイデン・センター主催の公開討論会をジョー・ローリアが報告

<記事原文 寺島先生推薦>

Misperception and disinformation overrode the facts of the Assange case at an event organized by the Hayden Center on Monday night in Washington, reports Joe Lauria.

筆者:ジョー・ローリア(Joe LAURIA)

出典:Strategic Culture

2022年12月11日

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年1月2日

 主要5紙がバイデン政権にジュリアン・アサンジに対する告訴を取り下げるよう求めた1週間後、マイケル・V・ヘイデン情報・政策・国際安全保障センターは、その対抗策として、月曜日(12月5日)に、アサンジ事件に関する「情報機関」の偽情報を意図的に前面に押し出した。

 Twitterで叩かれた後、番組の当初のタイトル「ジュリアン・アサンジ: ジャーナリストなのかテクノスパイなのか?」は、「ジュリアン・アサンジ事件」という平凡なものに変更された。この公開討論会は、ワシントンのナショナル・プレス・クラブの大宴会場において討論会として行われたが、アサンジの弁護士バリー・ポラック(Barry Pollack)には不利になるように仕組まれていたらしい。

 ヘイデン・センター所長で元中央情報局参謀のラリー・ファイファー(Larry Pfeiffer)がパネリストを紹介し、「ジャーナリズムとスパイ活動の境界線と、その境界線を越えるのはいつか?」について質問した。タイトルは変えられたものの、目的は同じで、アサンジをスパイとして紹介し、アサンジの米国弁護士バリー・ポラックに反応させる機会を与えることだった。

 ファイファーは、「ヘイデン・センターが目指すのは、機密情報について、そして機密情報が我々の社会、政府において果たす役割について、どのように政策に反映させるか、時には政策を台無しにするか、そしてそれを修正する必要がある場合、我々はどうすればよいか、そんなことを議論することである」と述べた。

 言い換えると、情報機関の真意はただ善意があるだけで、「間違い」は修正するのだから、とにかく情報機関を信じろ、ということだ。その「間違い」たるやイラクなどで何十万人もの命を奪った「間違い」であるし、アサンジの命を奪おうと企てた「間違い」なのだ。

 この公開討論会のパネラーは以下の通り:

① 元F.B.I.の捜査官でトランプ政権時の国家安全保障会議の防諜担当主任だったホールデン・トリプレット(Holden Triplett)、
報道の自由のための記者委員会のテクノロジーと報道の自由プロジェクトの主任、ゲイブ・ロットマン(Gabe Rottman)、
③ 国家安全保障法、言論の自由の憲法申し立て、政府の説明責任を扱う弁護士と言われるマーク・ザイド(Mark Zaid)、そして
④ ポラック。


トリプレットとポラック(ジョー・ローリア撮影)

「明白な犯罪」

 司会は企業メディア記者のサッシャ・イングバー(Sasha Ingber)。元National Public Radio、そして今はNewsy(「話題の豊富な」という意味)社に属している。Newsy社は、今はScripps Newsに社名変更しているが何とも虫唾が走る社名だ。

 元C.I.A.および国家安全保障局長官であるヘイデンは、元情報機関高官の面々とともに最前列に座った。ヘイデンは1999年から2005年までNSAを、2006年から2009年までC.I.A.を率いた。CIAの内部告発者であるジョン・キリアコウ(John Kiriakou)が今日のConsortium Newsコラムで指摘しているように、彼は一時期ブッシュ政権の拷問プログラムを監督していたのである。ヘイデンは、現在ケーブル・ネットワークでこのニュースについてコメントしている元高官たちの一人である。

 ヘイデンがアサンジを敵視しているのは間違いない。2010年、彼はアサンジを「明白な犯罪者」であり、「傲慢と無能の危険な組み合わせ」であるとんだ。

それは問題ない。それでも我々は待っている。遅かれ早かれ。 https://t.co/kGML40sC9A
ー将軍マイケル・ヘイデン(@GenMhayden) July 1, 2022

ハッキングで訴追されているわけではない

 アサンジの弁護士ポラックは、この夜の最初の質問に対して、ウィキリークスの発行人アサンジに対する起訴の事実を冷静に説明した。彼は、アサンジは政府のコンピュータをハッキングした罪には問われておらず、自分の情報源を守るためにチェルシー・マニングの身分を隠す手助けをした(その試みは失敗したが)ことだけが告発されている、と説明した。

 ポラックは、マニングは自分がリークしたすべての文書にアクセスする権限を持っており、したがって、コンピュータをハッキングしたり、アサンジの助けを求めたりする必要はなかったと説明した。「ジュリアン・アサンジを告発する文書には103個の段落がある。そのうち厳密に3つの段落が、もし関係あるとすれば、パスワードを破るためと想定された事柄に関係する」と、ポラックは言った。「そして、そのパスワードは、機密情報にアクセスすることとは何の関係もない。」

 それは、アサンジの起訴状の印刷された文面をみればわかることだ。マニングは、リークしたすべての資料に対して機密情報へのアクセス権を持っており、アサンジはそれを入手するためのハッキングには荷担していない、と書かれている。

 ところが、元F.B.I.のトリプレットはそれを無視し、まるでポラックがステージで隣に座っていないかのように、話を進めたのだ。彼はアサンジを「ハッキング実行者であ」り、「米国の法律で保護される人物ではない」と繰り返し語った。

 「私たちが問題にしているのは、本質的に自分たちは情報機関を称し、世界中の人々に情報を提供しようとしている組織で、その情報を引き出すためにハッキングすることも吝かではないと言っているのです」とトリプレットは述べている。ここで一旦止めよう。

 まず、ジャーナリズムとスパイ活動は、情報収集の段階では共通点がある。しかし、類似点はそこまで。ジャーナリストは集めた情報を世間に知らしめるが、スパイは国家に仕えるために組織内で情報を秘匿する。だから、ウィキリークスは 「世界の人々に情報を提供しようとする諜報機関 」にはなり得ない。それは諜報機関のやることではない。

 第二に、米国政府はアサンジが情報を引き出すためにハッキングしていると訴追してはいないと、ポラックはこの出来事を踏まえて相当網羅的に説明したばかりだった。それなのにトリプレットは、情報を引き出すために「ハッキングすることも吝かではない」とウィキリークスが言っているかのような引用の仕方をしている。

 自分のメッセージを損なうような事実を無視し、そのような事実が存在しないかのように装うのは、偽情報の戦術である。トリプレットやその他の偽情報の提供者は、国民は49ページに及ぶアサンジの起訴状を読んでいない方が多いことを当てにしているが、トリプレットは、読んでいると後で私に語った。

 つまり、トリプレットはポラックが真実を語っていたことを知っているのだ。しかし、標的となる視聴者、つまりアメリカ国民は事実を知らず、むしろアサンジの件について、政府筋から企業メディアを通じて、アサンジは政府のコンピュータをハッキングして機密を盗んだというような偽情報を組織的かつ繰り返し植えつけられていること、そのことが彼の知識の中にある。

 トリプレットはポラックの発言内容からすぐに離れ、「ここで私たちがやりたいのが、この事件の詳細を訴訟に持ち込むことなのか、はよくわからない」と言った。しかし、それこそが、スパイ活動法により起訴された人物に関して、事件の詳細を検証しながら議論すべきことなのだ。

 彼は、国家安全保障の記者が日常的に行っているように、機密資料を盗んだ情報源から機密資料を受け取って公表したジャーナリストなのか、それとも彼自身が盗んだのか?

ロシア(のイメージの)固定化

 トリプレットは、アサンジとロシアとは関係あるとされている件についても、証明された事実には明らかに無関心である。私はこの公開討論会の後、トリプレットの意見に揺さぶりをかけた。正当な反対意見、この場合は正当なジャーナリズムを敵対する外国勢力の道具だと中傷するのは、ほとんどどの政府の文書に書き込まれた最も古い手口である、と彼に言った。

 パネルでトリプレットは陰険な質問をした。「ロシアの諜報機関が出版社を作りたいと思ったら、それはどのようなものになるだろうか?」

 その後、トリプレットと話したが、彼や彼の同僚の頭にはロシアがこびりついていることは疑いない。ロシア(を巡る問題)は彼らに過剰なほどの説明を与えすぎている。公開討論会で彼はWikiLeaksについてこう言った:

  「詳しいことはわからないが、どんな臭いがするかはわかる。諜報活動の臭いがする。これはロシアの諜報活動の典型的な手口だ。彼らは代理人を使う... [アサンジは]GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)と実質的な交流関係を持っていた。...こんな人間(彼はアメリカ人ではない)にそんな力を与えて良いのだろうか?」


ヘイデン・センター公開討論会におけるトリプレットとポラック(Joe Lauria/Cathy Vogan撮影)

‘情報提供者に害を与える’

 この討論会の、そしてアサンジの訴追の大きなテーマは、彼が公開した文書の中で名前をリークすることによって情報提供者を傷つけたというもの。ポラックは、アサンジが公開したものの中で、確かに名前を編集していた(つまり実名は出さなかった)こと、そして、ガーディアン紙の二人の記者が編集されていないファイルのパスワードを公開し、Cryptome.orgが編集されていない電報そのものを公開してから、ウィキリークスも情報提供者を逃がすためにそれを公開したという話を冷静に整理した。 (アサンジの身柄引き渡し審問での証言によれば、アサンジは強要されてガーディアン紙のデビッド・リー(David Leigh)にだけパスワードを教えた)。

 トリプレットはまたもやポラックを無視し、ウィキリークスが編集前のファイルを喜んで公開したため、情報提供者や潜入中の米国諜報員が「相当な危険」にさらされていると話した。彼にとって、編集されていない電報がどのようにして公開されるようになったかというポラックの説明は何の役にも立たなかったのだ。

 公開討論会の後、ある退役海軍情報将校は、アサンジが名前の編集に努めたことを認めても、また、編集されていないファイルはガーディアン紙の記者がパスワードを公開することで可能になったとしても、アサンジがこれらの文書を全く公開しなければ、このようなことは起こらなかっただろうと私に伝えようとした。

 アメリカ社会で最も強力な集団である情報機関が、せっかくゲームがうまく進行しているのに、良心のある「傲慢」で「無能」なオーストラリア人に、それを台無しにされたくないと考えていることは明らかだった。




「犯罪を暴く」

 質問の中で、私はトリプレットに、ロバート・カー元帥がマニングの軍法会議で(ウィキリークスに防衛情報をリークした罪で)、そのリークが米国の情報提供者を傷つけたという証拠はゼロだと証言したことを知っているか、と尋ねた。

 また、ロバート・ミューラー特別顧問が、ロシアゲート報告書のある項目(これは情報公開請求の結果、編集されていない)に、彼はアサンジを告訴できない、なぜならロシアのGRU情報員と取引していたことをアサンジが認識していたと証明できないから、と書いていることを知っているか、と私はトリプレットに尋ねた。このGRU情報員がGufficer 2.0のハンドルネームで「ハッキングした」DNCメールを、WikiLeaksに売りつけたとミュラーは言っているが、そのことは法廷では立証されていない。

 つまり、(アメリカ)政府は、アサンジがロシア情報機関と知りながら協力したことに罪はなく、ロシアが関与していることはまだ証明されていないことを認めたのである。トリプレットは、私の2つの質問に対して、驚くべきことに「イエス、イエス」と答えたのだ。

 そのことは聴衆とパネラーからの笑いを誘った。しかし、ウィキリークスが情報提供者に危害を加えることはなかったと米陸軍大将が宣誓証言したことを知っていること、政府がアサンジをロシアのスパイだと証明できないことを認めることで、彼は公開討論会での自分の議論が本質的に崩壊したことを認めたことになる。

 トリプレットは、公開討論会の最初に、なぜ米国政府はアサンジを不安視しているのか、と質問した。そこで私は、質問タイムに、アサンジが米国政府の犯罪や腐敗を暴露したからではないか、と自分の意見を述べた。

 トリプレットの答えは、政府の不正は暴露する必要があるが、ジュリアン・アサンジがその適任者かどうかと質問をした。私が「そうだ、主要メディアは政府に近すぎるからだ」と答える前に、司会者が討論を打ち切った。

 討論会の間、私は最前列に座っていたが、トリプレットが 「なぜ米国はアサンジを不安視するのか」と尋ねたとき、私は「彼が政府の犯罪を明らかにしたからだ」と小声で言った。

 情報機関の退役上級幹部が座る席で、隣に座っていた男性が私の方を向き、「余計なことを言うな!」と怒ったような唸り声をあげたので私は仰天した。その後、席に戻り、彼の名前を確認しようとしたが、彼の名札は取り外されていた。


ポラック、ロットマン、そしてザイド(ジョー・ローリア撮影)

救助者を殺すことは問題ない

 ザイドは、CIAの内部告発者であるキリアコウによって2019年にConsortium Newsで「ザイド(Zaid)は文字通り、国家安全保障における内部告発者として最悪の選択だ」と書かれたいわゆる内部告発弁護士。ザイドは、パネラーとして2つの途轍もなく誤った発言をした。

 まず彼は、米政府高官が機密情報をマスコミにリークすることは「合法」だと述べた。これは米国の課題を押し進めるために日常的に行われていることであり、米国の高官がこれによって罰せられることはほとんどないが、それはそれが 「合法」だからではない。
 ザイドの口から出た2つ目の驚くべき点。マニングによってリークされたCollateral Murderのビデオ*において、非武装の一般人の家族が立ち止まって負傷したイラク人を助けていた。救助者を「敵」と見なすことは当然なのだから、戦闘中に彼らを殺害することに何の問題もない、とザイドが言ったことだ。
Collateral Murderのビデオ*・・・2007年7月12日、イラク侵攻に続くイラクの反乱の最中に、ニューバグダッドのアルアミンアルタニヤで2機の米国AH-64アパッチヘリコプターが、地上の民間人(2名のロイター記者を含む)多数を射殺する様子を伝える映像をウィキリークスが公開した。

 1949 年ジュネーブ条約第 3 条は、「生命及び身体に対する暴力、特にあらゆる種類の殺人」から、「武器を捨てた軍隊の構成員及び疾病、傷害、抑留その他の事由により戦闘能力を失った者」を保護するものである。

 この条約の1977年議定書は、「民間人は『敵対行為に直接参加しない限り』、軍事行動から生じる危険に対する保護を享受するものとする」と規定している。非武装の民間人家族が、負傷者を収容するために、銃撃が止んだ後、小型トラックを停めたことは、「敵対行為に直接参加」しているとは言い難い。

 Collateral Murderのビデオに登場する米軍パイロットは戦争のルールを熟知していた。そのことは、パイロットが負傷した男性に、路上で自分の近くにある武器を拾って戦闘員になるようにしきりに促す声が映像で聞き取れたことでもわかる。 その男は武器を取らない。それでも彼に対して発砲されるのだ。
ヘイデン・センターの公開討論会の様子は次の映像で:



写真:月曜日(12月5日)に行われた「ジュリアン・アサンジ問題を考える公開討論集会」における前CIAとNSA長官マイケル・ヘイデン(左)(ジョー・ローリア撮影)

ニューヨーク・タイムズが、メディアの先頭に立ち、バイデンにアサンジ訴追の取り下げを求める

<記事原文 寺島先生推薦>

New York Times leads media call for Biden to drop Assange charges
Prosecuting the WikiLeaks founder sets a “dangerous precedent,” according to a group of prominent Western newspapers

ウィキリークス創設者を起訴することは「危険な前例」となる、と西側の著名新聞社グループが指摘

出典:RT

2022年11月28日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年12月13日


2022年10月8日、ロンドンでジュリアン・アサンジの釈放を求める抗議者たち© AP / Alberto

 ニューヨーク・タイムズなど主要な報道機関5社は、バイデン政権に対し、ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジに対する告訴を取り下げるよう要請した。要請文には「機密情報」の入手と公開は、「ジャーナリストの日常業務の中核をなすものである」となっている。

 ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、ル・モンド、デア・シュピーゲル、 エル・パイスの各紙は揃って、2010年にウィキリークスが入手した外交文書から詳しい記事を発表した。この外交文書には、米国が同盟国をスパイし、イラクとアフガニスタンにおける民間人の犠牲者を過少に計上し、イエメンで秘密の戦争を行っていたことがはっきり書かれていた。

アサンジは2019年から英国で拘束され、現在は最大警備の刑務所に収容されており、米国への送還を待っている。送還されると、彼はこれらの公電、並びにイラクやアフガニスタンにおける米国の戦争犯罪を主張する膨大な文書を公開したことに関連したスパイ容疑で訴追されることになっている。


関連記事:トランプ大統領の元国務長官がウィキリークス訴訟に出頭   

 11月28日(月)に発表された主要メディア5社の要請文には、「この起訴は危険な前例となり、米国の憲法修正第1条と報道の自由を損なう恐れがあります。公益のために必要な場合に機密情報を入手し開示することは、ジャーナリストの日常業務の中核をなすものです。その仕事が犯罪となれば、我々の公論と民主主義は著しく弱体化することになります」とある。

 そして次のように結ばれている。「『ケーブルゲート*』の公表から12年、米国政府は機密を公開したジュリアン・アサンジの訴追をそろそろ終わらせる時です」。
* 2010年11月28日よりウィキリークスでアメリカ合衆国の外国機密文書が公開された事件。(ウィキペディア)

 オバマ政権は、そうすればすべての新聞社が同様の罪に問われることになるとして、アサンジを起訴しないことを選択した。しかし、ドナルド・トランプ前大統領のCIA長官マイク・ポンペオは2017年、ウィキリークスを「非国家の敵対的情報機関」と宣言し、アサンジはその1年後にトランプ政権時の司法省に起訴された。

 アサンジは、2016年末、民主党からの受けが悪くなった。それは、ウィキリークスが、当時の大統領候補ヒラリー・クリントンの国務長官時代における機密通信の間違った取り扱いを明らかにするメールを公開し、人気候補のバーニー・サンダースをおとしめる党全体の陰謀に彼女も関与していることを暗示したからだった。クリントンは、アサンジがロシアのために働いている、と何の証拠もなくずっと非難し続けた。


関連記事:ハリウッド俳優、ジュリアン・アサンジの身柄引き渡しを行わないよう英国に要請

 ジョー・バイデン大統領は、アサンジ氏に対する訴訟を取り下げる意向は示していない。昨年、英国の判事がウィキリークス創設者アサンジの米国への移送を認めない判決を下した後、司法省のマーク・ライモンディ(Marc Raimondi)報道官は、「我々は、引き続き彼の身柄引き渡し手続きを探る」と述べている。イギリスのプリティ・パテル(Priti Patel)内務大臣は、アメリカ当局がアサンジをアメリカ国内で人道的に扱うと約束した後、6月に身柄引き渡しを承認するに至った。アサンジは現在、この決定を不服として控訴している。

ハリウッド俳優ジョン・マルコヴィッチ(John Malkovich)語る:「ジュリアン・アサンジはアメリカで公正な裁判を受けられるとは思わない。」

<記事原文 寺島先生推薦>
Hollywood actor asks Britain not to extradite Julian Assange
ハリウッド俳優がイギリスの、ジュリアン・アサンジのアメリカへの移送中止を要請

ハリウッド俳優ジョン・マルコヴィッチ(John Malkovich)語る:「ジュリアン・アサンジはアメリカで公正な裁判を受けられるとは思わない。」

出典:RT

2022年10月22日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年11月1日



ジョン・マルコヴィッチ、2022年8月© Getty Images / Europa Press News / Contributor

 オスカーの候補者に選考されたアメリカの俳優ジョン・マルコヴィッチは、ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)を米国に送還するという決定を「再検討」するようイギリス政府に要請した。マルコヴィッチは、ウィキリークスが金曜日(10月22日)に公開した自作の演説動画で、機密資料の公開をめぐって最高175年の禁固刑に直面しているアサンジの事例について、米国で公正な審理が行われるとは思っていないことを明らかにした。



 「ジュリアン・アサンジの場合、英国政府がアメリカへの身柄引き渡しについて再考することを強く希望する。なぜなら、彼がアメリカで公正な裁判を受けられるとは到底思えないからだ」とマルコヴィッチは述べた。

 彼は、もし欧米の政府が「自分たちの行動や活動についてもっと正直で、もっと積極的であれば」、アサンジのようなジャーナリストはおそらく必要ないだろうと強調した。しかし、この俳優の意見では、事実はそうなっていない。また、各国政府は 「多くの、多くのことについて」正直になっていない。

 「そして、私にとっては、自分の名前で何が行われているかを知ることは非常に重要であり、だからこそ、英国政府にその決定を再検討するよう強く求めたい」と、映画『マルコヴィッチの穴』のスター俳優であるマコヴィッチが語った。

 アサンジへの支持を表明したことで、マルコヴィッチは、ピンクフロイドの共同創設者ロジャー・ウォーターズ(Pink Floyd)、女優パメラ・アンダーソン(Pamela Anderson)、そしてファッションデザイナーヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)など他の著名人たちの列に加わることになった。


READ MORE: ‘Disgusting joke’ & mockery of the law: Julian Assange has ZERO chance of fair trial if extradited to US, Roger Waters tells RT

 アサンジは、2010年にウィキリークスがイラクとアフガニスタンで米軍が犯したとされる戦争犯罪を描いた機密文書を公開したときから、米国の標的になっている。それ以来、彼は国防総省のコンピュータをハッキングした共謀罪で告発され、アメリカのスパイ活動法により起訴されている。

 英国の裁判所は当初、非人道的な扱いを受ける恐れがあるとして、アサンジを米国に引き渡すことを拒否していた。しかしその後、ワシントンは、アサンジのジャーナリストとしての権利が尊重される、と英国の裁判官を何とか説得することに成功した。6月には、当時のプリティ・パテル内務大臣がアサンジの引き渡しを承認した。アサンジはこの決定を不服としている。

英国国会を取り囲むアサンジ支持者たち

<記事原文 寺島先生推薦>

Assange supporters surround UK Parliament

活動家たちは、ウィキリークス共同創始者アサンジの、差し迫った米国への引き渡しに反対して声をあげた。

出典:RT

2022年10月9日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年10月17日


ジュリアン・アサンジの支持者たちは「アサンジを解放しろ」のプラカードを掲げて抗議している。© Vuk Valcic / SOPA Images / LightRocket via Getty Images

 ウィキリークスの共同創設者であるジュリアン・アサンジの支持者たちは土曜日(10月8日)、ロンドンの英国議会の外に集まり、彼が米国への引き渡されることが目前に迫っていることに抗議した。米国に引き渡されれば、彼には、スパイ容疑で最大175年の実刑判決が待ち受けている。

 ソーシャルメディアの動画には、ジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)前英国労働党党首を含む数百人の人々が、国会周辺を取り囲み、近くのウェストミンスター橋を渡ってテムズ川の対岸にまで及ぶ人間の鎖を形成したことが投稿されている。

 デモ参加者は「アサンジを解放せよ、引き渡しはだめだ」「ジャーナリズムは犯罪ではない」「アサンジではなく、戦争犯罪を訴追せよ」と書かれた看板を掲げた。


 アサンジの妻であるステラ・アサンジ(Stella Assange)もデモに参加した。彼女は、英国政府は米国当局と連絡を取り合い、2019年に提出された身柄引き渡し要求に終止符を打つべきだと述べた。

 「すでに3年半も続いている。イギリスの汚点であり、バイデン政権の汚点でもある」と、彼女は強調した。


 現在、無所属議員となったコービンも、アサンジが引き渡されれば、真実を知ろうとする「他のジャーナリストの間に恐怖を植え付けることになる」とデモの輪に入って発言した。

 「そうなれば、世界中のジャーナリストが自己検閲を始める。ジュリアン・アサンジがどうなったかを見れば、『ちょっと待て、俺はそのことには触れないぞ』と言うだろう」とも述べた。

 ワシントンDCでも同様のデモが行われた。活動家たちは司法省の建物の前に集まり、アサンジが司法によって公平に扱われないとして、政府に身柄引き渡しの取り下げを求めた。

 アサンジは、性的暴行容疑(後に取り下げられた)で起訴されていたスウェーデンへの送還を回避するために、ロンドンのエクアドル大使館に亡命を求めた2012年以来、事実上の監禁状態にある。2019年、エクアドルはアサンジの亡命資格を取り消し、その後、彼は監視体制が最も厳重なベルマーシュ(Belmarsh)刑務所に移送され、それ以来、ここに拘留されている。

関連記事: Assange files appeal against US extradition

 英国の裁判所は当初、アサンジが非人道的な扱いを受ける恐れがあるとして、米国への引き渡しを拒否していた。その後、ワシントンが、アサンジの権利は尊重されると英国の裁判官を説得することに成功し、その結果、英国は6月中旬に引き渡しを許可した。その後、報道によると、アサンジ氏の弁護団は、この決定を不服として2度にわたって控訴している。

 アサンジは、2010年にウィキリークスがイラクとアフガニスタンでの米軍によって犯されたと思われる戦争犯罪の数々を描いた機密文書を公開したときから、米国の標的になっている。それ以来、彼は国防総省のコンピュータをハッキングした陰謀で告発され、機密資料の公開に関する米国のスパイ活動法により起訴されている。

ジュリアン・アサンジは、選挙目当ての政治家たちによる見世物裁判のためにアメリカへ


<記事原文 寺島先生推薦>
Julian Assange has no prayer against the ‘Empire of Lies’
ジュリアン・アサンジ、相手が「ウソの帝国」では勝ち目はゼロ
RT 2022年6月19日
ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年6月30日

@Robert_Bridge

Robert Bridge is an American writer and journalist. He is the author of 'Midnight in the American Empire,' How Corporations and Their Political Servants are Destroying the American Dream.


                        © Daniel LEAL / AFP
 ウィキリークスの編集者ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)は、いろいろな政府から何年も逃亡を続けた後、米国に向かうようだ。米国では、メディアに後押しされたウソの山の上に築き上げられた選挙期間中の見世物裁判に晒されることになるだろう。

 今週、英国内務省は、何千もの政府機密文書のリークに関与したとして指名手配されているアサンジを米国に引き渡すことは、彼の「公正な裁判を受ける権利と・・・表現の自由」を損なわないと、発表した。言葉が、半端でなく、上滑りしている。

 厚かましいとはこのことだ。オーストラリア生まれの編集者であり活動家である彼が、そもそも世界最重要指名手配者である事実は、まさに『表現の自由』の問題であることを考えたらいい。アサンジの身柄引き渡しが実現した場合、世界中の報道の自由にどのような影響を与えるか、計算するのは難しい。「背筋がさむくなる(chilling)」という言葉が思い浮かぶ。

 ジュリアン・アサンジは、2010年にウィキリークスが米陸軍情報分析官チェルシー・マニング(Chelsea Manning)から提供された約75万件の軍事・外交機密文書を公開し、世界の舞台へと大きく進出した。

 ほぼ間違いなく言えることだが、一番破壊力があったのは、米国史上最大の軍事機密漏洩となった「イラク戦争記録」だろう。この記録は、アメリカとイギリスの当局者が、イラク戦争における民間人の死について公式な集計は行われていないと主張し、世界を欺いていたことに対して反論の余地のない証拠を提供したものである。ウィキリークスは誰でも簡単にアクセスできるダッシュボード*で、2004年1月1日から2009年12月1日までの死者総数10万9000人のうち、6万6081人の民間人の死亡を数百万人の人が確認できるようにしたのだ。こんな風に情報がスケスケになってしまうことを喜ぶ軍関係者は少ない。
ダッシュボード*・・・必要最低限の指標をPCなどの画面上に整理して標示したもの(英辞郎)



 イラクの民間人の死に関する暴露は衝撃的だったが、必ずしも驚くべきことではなかった。結局のところ、このころまでに、アメリカ国民は身の毛もよだつグアンタナモ湾やアブグレイブのことは知らされていたからだ。この人道的な立ち入り禁止区域では、収容者に対する拷問や虐待が行われ、軍人の病的で歪んだ心の側面が誰の目にも明らかになっていた。それを想像できた人間はほとんどいなかったのだ。しかも、アメリカには、甘言を弄してこのような申し立てから逃れられる道はまったくない。この申し立ては、だれが見ても白黒がはっきりしている。

 では、ジュリアン・アサンジをアメリカの最重要指名手配人物にしたのは何なのだろうか。メッセンジャー役を務めただけで、最大175年の禁固刑に直面しているのだ。『ガーディアン』『ニューヨーク・タイムズ』『シュピーゲル』など、他のニュースメディアも有害な情報を掲載したが、米国でスパイ容疑に直面しているのはアサンジであることを忘れてはならない。


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 ジュリアン・アサンジが2012年6月、スウェーデンが性犯罪の疑惑で逮捕状を出した後、ロンドンのエクアドル大使館に避難せざるを得なかった本当の理由は何だろうか?おそらくそれは、イラクやアフガニスタンの戦場での過剰な死や残虐行為よりも、民主党内部の違法な活動を明らかにしたことと関係があるのだろうか?

 ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの間で行われた2016年の大統領選挙に向けて、WikiLeaksはクリントンの選挙運動用メールアカウントからハッキングされたか流出した、壊滅的なメールの数々を公開した。民主党全国委員会(DNC)は、「ロシアのハッカー」が組織のコンピューターに侵入したという話を宣伝して、被害を隠蔽しようとした。一方、より「陰謀論的」な説明としては、DNC内部のスタッフを通じてWikiLeaksに届けられたというものである。詳しくは後述する。

 クリントンの大統領候補に深刻なダメージを与えた以外に、この漏洩事件の結果の1つは、DNC議長のデビー・ワッサーマンシュルツ(Debbie Wasserman Schultz)が辞任に追い込まれたことだ。恥ずべき自業自得だが、電子メールには、民主党がクリントンを後押しするために、同じ民主党候補であるバーニー・サンダース(Bernie Sanders)の選挙運動を弱体化させようと働いていたことが記されていたのだ。

 しかし、少なくとも民主党にとっては、この話はさらに悪い。

 選挙まで1週間を切ったところで、ウィキリークスはDNCの電子メールをまた公開した。今回は、暫定DNC議長のドナ・ブラジル(Donna Brazile)(失脚したワッサーマンシュルツに代わったCNNの寄稿者)が、トランプに対するCNNタウンホール討論で問われるであろう質問をクリントン陣営に与えていたことを示すものだ。「米国の民主主義を危険にさらす」という点では、ロシアは何もしていなかった。実際、多くの激怒した有権者は、選挙が行われる前に、クリントンがトランプに大統領職を譲ることを要求していた。

 この話の重要な付随事項は、ジュリアン・アサンジとウィキリークスがそもそもどうやってDNCの電子メールを入手したかということだ。一方では、「ロシアのハッカー」がDNCのコンピューターを不正利用したという話があり、他方では、DNCの内部情報源が資料を流したという話もある。2つ目の可能性については、DNCのメールスキャンダルが発覚する数日前に、セス・リッチ(Seth Rich)という名前のDNCマネージャーがワシントンDCの路上で射殺された。このため、陰謀論者たちは、この若者が情報漏洩の張本人だったのではないかと推測するようになった。リッチは7月10日に殺害され、WikiLeaksは7月22日にDNCの資料の第一弾を発行した。

 アサンジはDNCの電子メールの送信元を挙げることを拒否したが、WikiLeaksがリッチ氏の殺人犯または殺害犯の逮捕につながる情報に対して2万ドルの報酬を掲示したことが人々の注視を逃れることはなかった。

 最後に、緊迫した選挙の年、しかも民主党が、主に経済面で蓄積された悪いニュースからの良い気晴らしを切実に必要としている時に、ジュリアン・アサンジがペンシルバニア通りを鎖につながれてパレードするかもしれないということは、確かに最大の偶然である。



 そして誰もが知っているように、そしてドナルド・J・トランプ以上に、民主党ほどこの見世物裁判を開催することに熱中している者はいない。アサンジの上訴手続きが失敗し、彼がアメリカに引き渡された場合、民主党に忠実な主流メディアは、目の前の囚人が政府の不正を訴える義務のある仲間のジャーナリストであることを忘れ、むしろ彼を、2016年に憎むべきオレンジ色の男(トランプのこと)に対してヒラリー・クリントンを犠牲にしたかもしれない人物と見なして、誰も驚くべきではないだろう。

 ジュリアン・アサンジはアメリカでは正義は期待できないし、同情もされない。だからこそ、ロンドンはそもそもウソの帝国への身柄引き渡しに同意すべきではなかったのだ。

元CIA長官、アサンジ殺害陰謀の証人として裁判所に召喚される

<記事原文 寺島先生推薦>

Ex-CIA director called to testify on plot to kill Assange
( 元CIA長官、アサンジ殺害陰謀を証言するために裁判所へ召喚_ABC)

出典:RT

2022年6月3日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年6月22日


Former U.S. Secretary of State Mike Pompeo. © Getty Images / Joe Raedle

 スペインの裁判所は、元CIA長官のマイク・ポンペオ (Mike Pompeo) を証人として召喚し、米国政府がWikiLeaks創設者のジュリアン・アサンジ (Julian Assange) の誘拐、あるいは暗殺することさえ計画していたかどうかについて証言させると、ABCは情報源を引用して6月3日(金)に報じた。

 「国家裁判所サンティアゴ・ペドラズ (Santiago Pedraz) 判事は、前米国務長官で前CIA長官のマイク・ポンペオを証人として召喚し、CIAとドナルド・トランプが指揮していた米国政府が2017年にウィキリークス創設者の誘拐と暗殺の計画を立案したかどうかを説明させることに同意した。」とABCは報じている。

 ABCの情報筋によると、ポンペオは証人として召喚され6月に出頭することになっている。ただし、ビデオを通じて証言をする可能性もあるという。ペドラズは、カルロス・バウティスタ (Carlos Bautista) 検察官がアサンジの弁護士アイトール・マルティネス (Aitor Martinez.) の要請を支持したことを受けて、この決定を下した。

 2021年9月、Yahoo Newsは、CIAがWikiLeaks創設者の誘拐を画策したとする記事を掲載した。この計画については、トランプ政権内でその作戦の合法性や現実性をめぐって激しい議論が交わされていた。さらに、米国高官はアサンジを暗殺する方法について「sketches(概要)」 や「options(選択肢)」 を要求することまでした、と報じられている。


Read more: Assange extradition order issued by UK court

 この報道を受けてポンペオは、ヤフーニュースに記事を提供した情報源について、「CIAの機密活動について話したとして、全員が起訴されるべきだ」 と刑事訴追を求めた。

 ジュリアン・アサンジは、ウィキリークスの透明性を求める活動や、アフガニスタンとイラクで米軍が犯した戦争犯罪の疑いなど、多くの政府の暗い秘密を暴露した膨大な量の機密文書の公開により、有名になった。ウィキリークス創設者であるアサンジは、米国への身柄引き渡しの可能性を保留したまま、2019年4月からロンドンのベルマーシュ最高警備刑務所に収監されている。

 4月、ロンドンの裁判所はアサンジの正式な引き渡し命令を出し、現在、英国内務大臣の承認が必要となっている。*しかし、アサンジにはまだ異議申し立てという法的手段がある。米国に引き渡された場合、米国の利益を損なうような国防に関する情報の入手を禁じたスパイ活動法の下で裁かれることになる。
   *訳註:6月17日、パテル内相は米国に身柄引き渡す方針を決めた。

 アサンジはすべての容疑を否認しており、弁護団は被告が米国の司法権の下にいたわけではなく*、完全に合法的なジャーナリズムに従事していたと主張している。
   *訳註:アサンジはオーストラリア人であり、欧州を中心に活動していた。

「アサンジ米国引き渡し」を決めた主席判事は「闇の政府」の代理人だった。

<記事原文 寺島先生推薦>
Lady Emma Arbuthnot: Who Is Behind the Chief Judge Who Was Trying Julian Assange?

エマ・アーバスノット卿夫人:ジュリアン・アサンジを裁いていた主席判事の背後には誰がいるのか?

著者:マンリオ・ディヌッチ(Manlio Dinucci)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)

2022年4月25日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年5月16日


 このマンリオ・ディヌッチの鋭い記事は、グローバル・リサーチが2020年9月18日に最初に発表したもので、ジュリアン・アサンジの引き渡しの裁判を行ったエマ・アーバスノット裁判長の「利益相反」を指摘している。

 アーバスノット判事はジェームズ・アーバスノット卿と結婚している。彼は有名なトーリー党(訳註:英国保守党の前身)の「タカ派」で元・国防調達担当大臣である。軍産複合体や英米情報機関とのつながりもある。

 エマ・アーバスノット判事は利益相反状態にあったのか?2020年、彼女は忌避を受け入れなかった。アサンジの弁護団は、彼女を忌避する要求を出したのだろうか?
(訳註:彼女は夫とアサンジが利益相反関係にあったため「司法行動指針」により自動的に退任しなくてはならなかったが、そうしなかった。)

*** 
 エマ・アーバスノットは、ロンドンにいるジュリアン・アサンジを米国へ引き渡すための裁判を行った主任判事である。米国では、彼は「スパイ行為」の罪により175年の実刑判決を受けることになっている。彼の「罪」はイラクとアフガニスタンでの民間人殺害のビデオを含む米国の戦争犯罪の証拠を調査ジャーナリストとして公表したことである。ヴァネッサ・バライツァー判事に割り当てられた米国での裁判では、弁護側の要求はことごとく却下された。

2018年、スウェーデンでアサンジに性的暴行の容疑をかける企みが失敗した後、アーバスノット判事は逮捕状の取り消しを拒否し、アサンジはエクアドルに亡命することができなくなった。アーバスノットは、アサンジの恣意的な拘束に関する国連ワーキンググループの調査結果を拒否した。また国連職員の拷問に対する発言にも耳を貸さなかった。

 「アサンジは不当な隔離という極限状態で拘束されており、心理的拷問に長期間さらされた典型的な症状を示している」

 2020年、コロナウイルス対策として数千人の被拘束者が軟禁状態に移される中、アサンジは刑務所に留め置かれ、体調を崩した状態で感染の危険に晒されていた。

 法廷では、アサンジは弁護士に相談することもできず、装甲ガラスの檻の中に隔離され、口を開けば追放されると脅されている。この執念深さの背景には何があるのだろうか。

 ジェームズ・アーバスノット卿はトーリー党の「タカ派」として有名である。また元・国防調達大臣であり、軍産複合体と諜報機関につながる人物でもある。アーバスノット判事はその彼と結婚したので「卿夫人」という肩書きをもっているのだ。アーバスノット卿は、とりわけ、航空宇宙軍事システムを専門とするフランスの多国籍企業タレスの英国諮問委員会の会長であり、戦略的諜報活動を専門とするモントローズ・アソシエーツのメンバーである(高給取りの役職)。

 アーバスノット卿は、米国政府・情報機関とつながりのある大西洋横断の有力シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン協会(HJS)にも所属している。昨年7月、マイク・ポンペオ米国務長官はロンドンで開かれたHJSのラウンドテーブルで講演した:2017年にCIA長官を務めて以来、アサンジが創設したウィキリークスを「敵のスパイ活動」と非難していた

 ヘンリージャクソン・ソサエティも同様のキャンペーンを主導し、アサンジは「独裁政権の支援を受け、西側民主主義政府の道徳的立場に疑問を投げかけている」と非難した。現職の英国内務省長官プリティ・パテル女史は、アサンジの引き渡し命令の責任者であるが、最近までアーバスノット卿と並んでHJSの政治委員を務めていた。  

 アーバスノット卿夫人は、アーバスノット卿をはじめとする有力者からの指令を受けて、アサンジの引き渡しに向けて活発なキャンペーンを行っているこの圧力団体と、本質的につながっている。

 彼女は2016年9月に女王によって主席判事に任命されたが、それはウィキリークスが3月に米国にとって最も危険な文書を公開した後のことだった。これらの文書には、ヒラリー・クリントン国務長官のメールが含まれており、そこにはNATOによるリビア戦争の真の目的、すなわちリビアが所有している金準備を利用して、ドルやCFAフラン(フランスが14の旧植民地に課した通貨)に代わる汎アフリカ通貨を創設するのを阻止することなどが書かれていた。

 アサンジが裁かれている本当の「罪」は、政治とメディアの沈黙の壁に亀裂を入れたことである。その壁は「ディープ・ステート(闇の政府)」で活動し、戦争というカードを使う強力なエリートの真の利益を覆うものだった。この闇に潜む力によってジュリアン・アサンジは裁判にかけられるのだ。そしてその裁判はアーバスノット卿夫人によって指示される。被告人がそこでどう扱われるかを考えると聖なる異端審問の犠牲者のことを思い起こさざるを得ない。

 もしアサンジが米国に引き渡されたら、彼は英国よりもはるかに厳しい「特別行政措置」を受けることになる。狭い独房に隔離され、家族との連絡もできなくなり、彼のメッセージを伝えたら起訴されるであろう弁護士を通じてさえも、話すことができなくなるのである。つまり、それは死刑を意味する。

アサンジが、米国ではなく中国の犯罪を暴いていたらどうだったか?

アサンジが、米国ではなく中国の犯罪を暴いていたらどうだったか?
<記事原文 寺島先生推薦>
Imagine if Assange had exposed Chinese crimes, not US ones

2021年12月10日
ジョージ・ギャロウエイ(George Galloway)

George Galloway
was a member of the British Parliament for nearly 30 years. He presents TV and radio shows (including on RT). He is a film-maker, writer and a renowned orator. Follow him on Twitter @georgegalloway

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月28日



 もしジュリアン・アサンジが中国のジャーナリストや出版人だったら、ノーベル賞を受賞し、人権デーの目玉となり、今週はジョー・バイデン大統領の民主化サミットの頂点を飾るものとして彼の肖像画が置かれただろう。

 アサンジの名前は、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官が発表した、脅威に晒されているジャーナリスト350人のリストの筆頭に挙げられていただろう。このリストは、皮肉でもなんでもない 、彼の管轄部署がアサンジをスーパーマックス刑務所に175年間収監するために引き渡そうとした日に発表されることになっただろう。

 もし、アメリカの犯罪ではなく、中国の犯罪がアサンジによって明らかにされていたら、彼は今頃、冬季オリンピックのボイコットキャンペーンの広告塔になっていただろう。

 今日のニュース速報のリードはすべて彼の運命で埋まり、まだ稼働中のすべてのマスコミは、この「車輪の上の蝶」(訳注:処刑具に繋がれた受刑者を表す慣用句)を押しつぶすことへの怒りを大々的に公表することになるだろう。

 かわいそうなジュリアン、中国人に生まれていればよかったのに。

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Julian Assange’s extradition battle: What you need to know

 しかし、彼の「罪」は、特に挙げれば以下の5点である:
 ①暗殺や報告されていない1万5000人以上の民間人の死を含むイラクでのアメリカの戦争犯罪を暴露したこと、
 ②グアンタナモでの14歳から89歳までの男性や少年の拷問を暴露したこと、
 ③アメリカが国連事務総長や他の外交官を違法にスパイしていることを暴露したこと、
 ④2009年のホンジュラスのCIAが扇動した軍事クーデターを暴露したこと、
 ⑤何千人もの犠牲者が出たイエメンでのアメリカの秘密戦争を暴露したこと。

 ロンドンの高等法院は、かつらと絢爛たる法衣を身に着け、今やボロボロの断片と化した英国司法ばかりか、ジャーナリズムそのものに致命的な打撃を与えた。そして、理論上、第四の機関(=ジャーナリズム)が民主主義そのものの見張り番であることを考えると、英国がいやしくも民主主義国家であるという建前を打ち消したことになる。この一週間ですべてを台無しにした。自分たちが選び取った「民主主義的な制度」は他の国よりはましだ、という自慰的な自己満足にふけっていたのだ。

 アサンジの事例は最初のハードルを越えられるはずもなかった。その後いくつもハードルはあったが、どうでもいいものだ。英米間の犯罪人引き渡し条約は、政治的訴追を受けることになる人間を相手国に引き渡すことを明確に除外することを明記している。

 皮肉なことに、これは米国にいるアイルランド共和国の逃亡者が、英国で政治的な訴追を受けるため英国に引き渡される可能性を、米国が遮断するためであった。アメリカの大統領はすべて、(オバマすらそうだが)、その系統がきちんと辿れないにしても、祖先はアイルランド人だ。3000万票のアイルランド系アメリカ人の票がかかっている以上、政治的な動機で犯罪者とされる人物については万全の態勢をとることになる。

 この条約を密かに締結した当時の内務大臣デービッド・ブランケット(David Blunkett)に、ネルソン・マンデラのような人物が政治犯として送り込まれる可能性について私は直接質問した。それに対して「そんなことは絶対にありえない」と保証してくれたのだった。

 そんな保証も、中世貴族院のタペストリーのように、今や糸のほつれたぼろきれ。

 適正な法手続きについて数え切れないほどひどい違反があった。そのことを取り上げても、限りなくゼロに近いアサンジの身柄引き渡しの可能性は消滅しただろう。3つだけ挙げてみよう。


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Assange verdict branded as ‘travesty of justice’

 ①米国政府が、ジュリアン・アサンジと彼の有能で高名な弁護士との数年にわたる法的会合をすべてビデオで密かに記録していたことが明らかになった時点で、どの民主主義国家でも、自尊心のある裁判官ならこの訴訟を破棄するはずだった。

 ②アサンジに対する重要な証人が、アイスランド人の泥棒、詐欺師、幼児性愛で有罪判決を受けた嘘つきであり、しかも告発の根拠となった彼の証言が嘘の塊であることを今は自分から認めていることが明らかになった時点で、ほんとうの裁判官ならアメリカ政府に不利な判決を下しただろう。

 そして、③米政府がロンドンでアサンジを誘拐し、必要ならハロッズ百貨店の外、エクアドル大使館周辺の路上で殺害するという周到な計画を立てていたことが明らかになった時点で、アサンジに身辺について米国が約束する「保証」の価値はどん底に落ちた。それは当てにならない。まして、米国へ引き渡すことなど、到底認められないだろう。

 しかし、メディアの輪転機はアサンジのために稼働していない。彼はベルマーシュ刑務所でひっそりと死につつある。

 プロンプターを読む技術で高額な報酬を得ている航空機添乗員風の欧米の「ジャーナリスト」たちは、アサンジの運命と自分たちの「職業」の運命について何も語らない。彼らは、もしこれがアサンジに起こっているのなら、自分たちにも起こりうることだと知っている。しかし、「夜に飛ぶ矢」(訳注:新共同訳「旧約聖書 詩篇」:91-5では「昼飛んで来る矢」。すなわち目に見える恐怖のこと)のように、彼らはそうなる可能性を、とうの昔に自ら断ち切ってしまっている。彼らにとって、喜ばしい確信に満ちた朝が巡ってくることは絶対ないだろう。隷属とその報酬としての銀貨だけが手元に残る。

 そして、アメリカの圧倒的破壊力を持つマスメディアは、再び、事実上何も語らず正義を打ち砕く。それは、車輪の上で蝶を壊すということだ。誰もその悲鳴を聞くことはできない。

ジュリアン・アサンジを裏切ったオーストラリアと、彼を収監するベルマーシュ刑務所の拷問的待遇の詳細を暴露した新たなファイル

ジュリアン・アサンジを裏切ったオーストラリアと、彼を収監するベルマーシュ刑務所の拷問的待遇の詳細を暴露した新たなファイル

<記事原文 寺島先生推薦>

New files expose Australian govt’s betrayal of Julian Assange and detail his prison torment

キット・クラーレンバーグ(KIT KLARENBERG)

2021年11月17日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳「グループ>

2022年1月19日

 The Grayzoneが独占的に入手した文書には、オーストラリア政府が自国民であるジュリアン・アサンジを見捨てたこと、そして彼の苦痛に満ちた獄中生活の詳細が衝撃的に記述されている。

 オーストラリア政府は、オーストラリア国民であるジャーナリストのジュリアン・アサンジを暗殺するというアメリカ中央情報局(CIA)の計画を知っていたのだろうか?アサンジは逮捕され、現在英国で、過酷な、先行きの見えない厳しい条件の下で投獄されている。

 なぜオーストラリアの指導者たちは、選挙によって選出されているにもかかわらず、自国民のひとりを公に擁護することを拒否したのか?拷問に関する国連特別報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)によれば、アサンジは根拠薄弱な容疑で拘束され、ある外国の強国によって拷問にさらされている。オーストラリア政府はジュリアンの運命について何を知っているのか、そしてそれをいつ知ったのか?

 The Grayzoneが入手した文書によると、オーストラリア政府はロンドンのベルマーシュ刑務所でのジュリアンの残酷な扱いを、その最初の日からよく知っていて、それに対してほとんど何もしていないことが明らかになった。実際、「精神が停止するほどひどい状況」という彼の証言を聞いたにもかかわらず、オーストラリア政府は投獄中のジャーナリスト、ジュリアン・アサンジを冷たくあしらった。

 オーストラリア政府は、アサンジの投獄と告発を統括する米国と英国政府に効果的な対抗手段を取らなかっただけではない。これらの文書が詳細に暴露しているように、どうやら米国、英国と共謀して、自国民の人権を侵害するという言語道断の所業があったようだ。そのくせ、アサンジが置かれた現状については、国民の目には曖昧なままにしておこうと、やっきになっている。

 アサンジに対するCIAの陰謀を知るやいなや、オーストラリア外務省は知っているとも知らないとも判然としない、腹に一物ある言い方をしている。

 Yahoo Newsは、CIAがジュリアン・アサンジを監視、誘拐、さらには殺害する計画まであるという驚くべきニュースを9月にすっぱ抜いた。これは、The Grayzoneのマックス・ブルーメンタール(Max Blumenthal)が2020年5月に暴露した内容がほんとうであることを示し、さらに、このニュース記事はそれを基に書かれたものだ。Yahoo Newsの記事が発表された後、NATO指向の「ファイブ・アイズ」という世界スパイネットワークの高官たちは必死に口裏を合わせようとした。

  2021年初頭に引退するまでワシントンの最高防諜責任者だったウィリアム・エヴァニナ(WilliaEvanina)は、ファイブ・アイズ同盟はCIA本部の卑劣な計画にとって「非常に重要」であり、ロンドンのエクアドル大使館からジュリアンが逃亡する可能性は、何としてでも潰せることに「われわれは十分な確信を持っていた」とYahooに語っている。

 しかし、米国がジュリアンの母国であるオーストラリア政府に、この作戦について説明や相談をしたかどうかという質問に対しては、オーストラリア外務省(DFAT[Australian Department of Foreign Affairs and Trade])はその質問をかわした。一方、この、命に係わる審議が行われた当時のオーストラリア首相マルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)は、「私がこのことを耳にしたのは、今日メディアで報道されたのが最初です」と主張した。

 選挙で選出されたオーストラリア政府の高官たちが、CIAの提案について知らされていなかった可能性は確かにある。オーストラリアのゴフ・ウィットラム(Gough Whitlam)首相は、ファイブ・アイズの存在そのものを、自国がUKUSA協定*に署名してから17年後の1973年まで知らなかった。国内スパイ機関であるオーストラリア安全情報機構が、政府に情報を知らせなかったことを理由に警察の手入れがあって初めて知ったのだ。

UKUSA協定*・・・(ユークーサきょうてい、英:United Kingdom – United States of America Agreement)とは、アメリカ合衆国 (USA) の国家安全保障局 (NSA) やイギリス (UK) の政府通信本部 (GCHQ) など5カ国の諜報機関が世界中に張り巡らせたシギント (SIGINT) の設備や盗聴情報を、相互利用・共同利用する為に結んだ協定のことである。(ウイキペディア)

 ターンブルがこの作戦を知っていたかどうかは問わない。ジュリアンの家族が豪外務省に連絡を取り、マリゼ・ペイン(Marise Payne)豪外相がバイデン政権にアサンジへの告訴を取り下げるよう要求すること、そしてヤフーの記事についてコメントを求めたときの豪外務省の反応は「ふざけるのもいい加減にしろ!」と言いたくなるほどのものだった。 

 「新聞に書かれたからといって、それが真実とは限りません...CIAはこれまでいろいろなことで非難されています。月面着陸の捏造なんかもそうです」と、豪外務省の担当者は昔ながらののらりくらり官僚答弁で応じた。

 このがさつな発言は、ジュリアンの父親であるジョン・シプトン(John Shipton)が豪外相ペインに送った手紙に記されていた。この文書は、ジュリアンのオーストラリアでの法的権限者であるケリー・トランター(Kellie Tranter)がGrayzoneに独占的に提供した多くの文書のうちのひとつに過ぎない。

 トランターは何年も前から、オーストラリア政府に対して情報公開請求を行い、ジュリアンに対する政府の真の立場を明らかにしようと努めてきた。また、オーストラリア政府と米国との密接な同盟関係が、彼の自由を求める能力や意欲をどの程度制限しているのかを明らかにしようとしてきた。

 トランターが入手した文書は、オーストラリア政府が自国民であるアサンジをまったく守っていないことをあからさまにしている。それどころか、ジュリアンがエクアドル大使館にいる間、そして「英国版ガンタナモ刑務所」と呼ばれるベルマーシュ高セキュリティ刑務所に収監されている間、オーストラリア政府は、彼の心身の健康が劇的に損なわれ、拷問的な監禁状態にあるという明確な証拠を持っていながら、「見ざる、聞かざる、言わざる」の態度をまったく変えようとはしなかった。

アサンジは豪政府に、米国が彼の種々の権利を侵害していることを伝えている:「自分が受けている行為は違法だ」

 特に、アサンジが大使館から、劇でも見ているような形で追放された1カ月後の2019年5月17日に、オーストラリア領事館員がベルマーシュ刑務所を短期訪問した際の記録は、豪政府の姿勢をよく表している。その面会の中で、アサンジは刑務所の状況や1日23時間の独房生活について詳しく語っている。

 「彼は1日の大半を独房で過ごし、毎日40分間は 『交友関係』 のために割り当てられている」と、複数のオーストラリア領事官は指摘する。「彼は毎日30分間、外に出ることが許されているが、そうならないこともあると言っている。」しかし、その理由は明らかにされていない。「長い間」全く食べられなかった彼は、現在「少量」を摂取し、台所から食事を取って独房に戻っていた。



 アサンジは毎月たった2回、個人的な面会と法律相談を許可されているが、最近、ニルス・メルツァー、ならびに拷問などの不正な扱いを受けながら表には出ない被害者をチェックする医学専門家2人と最近会ったこと、そしてこれまで自分の家族と話すことができていないことを彼は語った。

 この文書を書いたオーストラリア領事官員によれば、アサンジは、「奴隷労働」に従事することを拒否し、法的裁判の準備のために時間を必要とするという理由で、「独房から頻繁に出る機会を与えてくれる」労働プログラムを敬遠したとのことである。英国の刑務所の囚人たちは、大企業のために、過酷で報われない労働に従事し、週平均13ドルの収入だ。翻って大企業は囚人たちを搾取することで莫大な利益を得ている。

 感染が広がると命にかかわる歯根管治療のため、刑務所の医師から抗生物質とコデインを処方されたのは幸いだった。が、アサンジは老眼鏡に頼っている状態で、検眼士にもまだかかっていない。アサンジは、さらにある年配の刑務員が「私を目の敵にしている」ことを綿々と述べた。そして彼の独房検査で剃刀が発見され、検査後にそれを片付けなかったことを明記した始末書を訪問者に見せている。

 3回目の違反があれば、「運動する特権が取り消されるだろう」と文書に書かれている。報復を恐れたのか、アサンジは職員に刑務官たちにこの問題を刑務所上層部に報告しないよう求めている。明らかに、通常なら自殺の意思を明確に示すものと考えられるものが、単なる懲戒事項として記録されていたのだ。

 こういった心理的なダメージのほかに、アサンジが報告しているのは、血液検査を受けたら、HIV陽性と診断されたことだ。ショッキングな診断だ。しかし、その後の検査で検査結果は偽陽性であることが確認され、アサンジは誤診が単なるミスなのか、それとも 「別の何か」なのかと考えざるを得なくなった。これはグロテスクなまでに趣味の悪い心理ゲームと言ってもいいかもしれない。スウェーデンで彼が直面し、彼を狂気に追いやろうとしたでっち上げの性的暴行申し立てを思い浮かべても見当外れではないだろう。



 アサンジはまた、ベルマーシュ刑務所を訪れたオーストラリア領事官(複数)が、最近発行された英国内務省の国外退去通知書を持参して、当時のサジッド・ジャビット(Sajid Javid)国務長官が1971年の英国移民法に基づき、彼の英国での存在が「公共の利益に資さないため、遅滞なく英国から退去させる」と決定し、この決定に対して控訴する余地はまったくないことを告げた、と報告した。

 オーストラリア領事官員(複数)の文書には次のように書かれている:

 「アサンジ氏は、現在のプロセスを乗り切れるかどうかを懸念し、米国に連れて行かれたら死んでしまうのではないかと恐れています。アサンジ氏は、彼がエクアドル大使館に残しておいた彼の所持品を米国が調べていると主張しました。彼は、この行為は違法だと言っています。彼の所持品には、弁護資金を調達するために売却する予定の貴重な美術品2点、書籍2冊の原稿、法的文書が含まれていると述べています。彼は、自分の法的資料が米国によって自分に不利に利用されることの懸念を表明しました。」



 アサンジの危惧は的中して、機密文書は米国当局によって盗まれた。逮捕直後、彼の弁護士ガレス・ペアース(Gareth Peirce)は、この特権的な資料についてエクアドル大使館に連絡し、緊急に引き渡すよう要求した。ようやく彼の財産が回収されたときには、2冊の最高裁のファイルと「数ページのそれほど重要性をもたない通信文」を除いて、すべての法的書類がなくなっており、彼の身柄引き渡しの弁護は、これまで以上に困難なものとなってしまった。

 2020年初頭に行われたジュリアンの身柄引き渡し審理の過程で、バージニア州東部地区のゴードン・クロンバーグ(Gordon Kromberg)連邦検事補佐は、「汚染チーム」がこれらのファイルから資料を削除し、結果として裁判に使われないようにすると、できもしない約束をした。最近の控訴審でも、大同小異の口先だけの「保証」を連発した。

 逆に、CIAの請負業者であるUCグローバルが大使館を徹底的に監視して不正に入手した情報を悪用しないという疑問だらけの確約を公にすることすら、今のところ、していない。このスペインの民間警備会社は、あろうことか、大使館の女性用トイレを盗聴することまでやっていた。このトイレは、アサンジが詮索好きな耳や目から遠ざかり(それが彼の願望だった)、彼の顧問弁護士(女性)と議論をしていた場所だ。
                                        
 そんな状況にもかかわらず、ジュリアンはオーストラリア領事官(複数)との話し合いの中で、将来について漠然とした楽観主義を何とか失わず、まさに翌日行われたオーストラリアの連邦選挙の結果を受けて、「新政府が自分のために何か支援をしてくれるかもしれない」と示唆し、マリーズ・ペイン豪外相にその動向を報告するように頼んだ。

 結局、スコット・モリソン(Scott  Morrison)自由国民党は政権を維持し、オーストラリア領事官のアサンジ訪問の過程で判明したことについて、公には何の警鐘も鳴らすことはなかった。実際、ジュリアンの苦悩がいかに凄まじいものであったとしても、それについて口をつぐむことに何の変更もなかった。

オーストラリア外務省(DFAT)はアサンジへの「虐待が酷くなっている」ことについて何の関わりも持っていない、と言明。

 2019年5月30日、WikiLeaksはジュリアンがベルマーシュの医療病棟に移されたという衝撃的な発表を行い、彼の健康状態について「重大な懸念」を表明した。その直後、豪外務省グローバル・ウォッチ・オフィス(Global Watch Office)は、この投稿に注意を喚起する内部メールを発した。

 翌日、国連の拷問等に関する特別報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)は、「ジュリアン・アサンジに対する集団的迫害を今ここで終わらせるべきだ!」と宣言した。この国際的なベテランの法律家は、「戦争、暴力、政治的迫害の被害者と20年間関わってきて」、「これほど長い間、人間の尊厳と法の支配を無視し、一個人を、寄ってたかって、意図的に孤立させ、悪者扱いし、虐待する民主国家のグループを見たことがない」とも述べた。

 次にメルツァーは、米国、英国、スウェーデン、エクアドルによる「執拗で無制限の大衆動員、脅迫、中傷のキャンペーン」を声高に非難した。この4ケ国は、彼を「組織的な司法迫害や、エクアドル大使館での任意監禁から、恣意的な隔離、嫌がらせ、さらには監視に至る持続的でますます厳しくなる虐待」にさらしたことを根拠にしている。

 これに対し、豪外務省は声明を発表し、オーストラリア政府がアサンジに関して「精神的拷問に加担した、あるいはオーストラリア領事館が何の支援もしていない」との見方を否定し、「人権の確固たる擁護者、司法手続きの過程における人道的扱いの強い支持者」であると主張、アサンジは「適切に扱われている」との自信を示した。

 領事館が関与するすべての人に適用されるとされる「プライバシーへの配慮」のため、同省は彼の身体的・精神的状態に関するこれ以上の詳細を明かすことはしなかった。

 また、ロンドンのオーストラリア高等弁務団は、「ベルマーシュ刑務所当局に確認された健康上の懸念について「以前当局に報告し、対処してもらっている」とし、ジュリアンが保健室に移された後さらなる問い合わせをしたことを付け加えた。

 The Grayzoneに提供された文書によれば、オーストラリア政府はウィキリークスの発表を受けて、ベルマーシュに電話や郵便で何度も問い合わせを行ったが、いずれも6日間連続で回答がなかったという。では、なぜオーストラリアの高等弁務官は、文字通り生死にかかわる緊急の問題に介入して、直ちに事態を明らかにするよう要求しなかったのか?

 オーストラリア政府が足踏みしている理由が何であれ、2019年年8月8日付の領事ファイルには、ジュリアンがベルマーシュの病室に再入所したことを知らせる父親シプトンの手紙が記録されている。さらには弁護士が、豪外務省に対して「外交筋を使って独立した医療診断(つまり刑務所外の)を求める」ように要請するマリーズ・ペイン宛ての手紙を作成していたことが記されている。

 そして11日後、シプトンは、アサンジの兄のガブリエル(Gabriel)が最近刑務所を訪れ、アサンジの「状態の悪化」に心を痛めていることに触れ、オーストラリア総督のデビッド・ハーリー(David Hurley)とモリソン(Morrison)の両氏に不安を訴える手紙を書くことになったという。

 10月21日、アサンジは身柄引き渡し事件の公判前審問のため裁判所に出廷した。主要メディアで大きく報じられたように、彼は虚弱で混乱した様子で、裁判官の質問に対して必死に自分の名前と生年月日を思い出そうとした。裁判長が、「今どんな状況かわかりますか?」と尋ねると、アサンジは「よくわかっていません」と答えた。このことは、ベルマーシュ刑務所で収監生活を送ってきたせいで、「適切に考える」ことができなくなってしまったこととも考えられる。


10月21日の公聴会を獄中から見守るアサンジ(左上)の法廷スケッチ画

 
 アサンジは、「どうしてこれが公平なのか理解できない。何も調べることができないし、自分の書いたものにもアクセスできない。この状況を何とかしてもらいたい」とはっきり述べた。

 アサンジの弁護士マーク・サマーズ(Mark Summers)は、2020年2月に予定されている最初の身柄引き渡し審問を、事件の複雑さを理由に3カ月遅らせるべきだと主張した。「この事件の証拠を揃えることは...どんな弁護士が取り組んでもほぼ無茶だ」とサマーズは述べた。さらに、コンピュータへのアクセスがないことから、拘置所にいる依頼人のアサンジと連絡を取ることが非常に困難であることを問題視した。

 裁判官はこの要求を拒否した。その結果、ジュリアンは審問のわずか数週間前まで、「適切な意見陳述をするための必要な最低限のアクセス」を奪われることになるだろう。

アサンジの弁護人、オーストラリア外務省に「差し迫った危機」を警告

 3日後、アサンジの弁護士ガレス・ペアース(Gareth Peirce)は高等弁務官事務所に手紙を出し、領事官の体表者が法廷に出席していれば、「法廷にいた全員が観察して明らかだったことを間違いなく指摘したでしょう」、つまり彼女の依頼人アサンジは「衝撃的なほど状態が悪く...精一杯だったのはその状況に対処することだけではなかったのです。自分が言いたいことをはっきり言語化することにも苦労していました」と強く主張した。

 信じがたいことに、トランターが発見した豪外務省の報告書には、ジュリアンのみすぼらしい姿や、明らかに精神状態がおかしくなっていることについては、まったく触れられていない

 さらにピアースは、このような状況下では、アサンジがオーストラリア政府に彼の医療に関する情報を提供することを刑務所職員に許可しなかったのは当然であると主張した。「(この医療に関する情報は)法を甚だしく無視した形で、一定期間洩らされていました。あろうことか、ベルマーシュ刑務所にいる間ですら、少なくとも1回は誤った情報が、刑務所内の情報源から、報道機関に流されているのです。」

ピアースの手紙の続き:

 「私たちがこうして口にできていることを、独立した専門の臨床医を含む人の綿密な観察に基づいたものとして、高等弁務官が受け入れることを望みます。ベルマーシュ刑務所が呼んだ少なくとも1人の独立した医師を含む、刑務所に提供されたあらゆる専門家の警告は無視されてきました。差し迫った危機(強調は筆者)に介入することで、事態の改善と危機回避に貢献してくださるのであれば、いつでも喜んでお会いしたいと思います。」

 そして、11月1日、領事関係者がベルマーシュを訪れたのである。そのやり取りの中で、アサンジは、豪外務省がメディアに対して行った、彼が支援の申し出を拒否したとする虚偽の発言を批判した。

 次に、刑務所の医師がアサンジの状態を「心配している」ことを明らかにした。実際、アサンジは自分の心理状態が「精神活動が停止するほど悪い」と言っており、ほぼ常時隔離されているため、「考えることも、弁護活動の準備をすることもできない」と言っている。

 筆記用具すらなく、調べ物もできず、弁護士との面会でも書類を受け取ることができず、郵便物はすべて刑務官に読まれてから渡された。

 ロンドン大学のマイケル・コペルマン(Michael Kopelman)名誉教授(神経精神医学専攻)は、ジュリアンがベルマーシュで過ごした最初の6カ月間の面会、両親、友人、同僚、彼のパートナーで、彼との間に2人の子どもを儲けたステラ・モリス(Stella Morris)との会話に基づいて、ジュリアンの精神状態についての報告書を作成した。

 ヴァネッサ・バライツアー(Vanessa Baritser)判事が1月に下した米国の身柄引き渡し請求に関する判決で明らかにしたように、コペルマンはジュリアンを重度の再発性うつ病性障害と診断し、時には幻覚などの精神病的特徴を伴い、頻繁に自殺願望を抱くこともあると述べた。

 さらに、睡眠不足や体重減少、集中力の低下、泣き出しそうな状態が続き、疲れ果てるまで独房内を歩き回り、頭を殴ったり、壁にぶつけるなど、激しい興奮状態に陥った。

 アサンジはコペルマンに、自分の人生は生きるに値しないと考えており、「1日に何百回も」自殺について考え、自傷行為や自殺をしたいという「絶え間ない欲求」があると教授に語った。さらに自殺の仕方についても事細かに説明しているが、「それは十分実行可能だ」と教授は考えた。

 「サマリタンズ」(精神的苦痛や対処に苦しんでいる人、自殺の危険がある人に精神的支援を提供する英国の慈善ヘルプライン)への電話は「事実上」毎晩のようにかけ、連絡が取れない時には、アサンジは孤独感を紛らわすために自分の太ももや腹部を切りつけていた。

 コペルマンは、アサンジが米国で長期間独房に拘束された場合、彼の精神衛生は「実質的に悪化し、持続的な重度の臨床うつ病と不安障害、PTSD、自殺願望の深刻な悪化が生じる」と結論付けており、特に英国で得られるさまざまな「保護要因」が米国にはないためであるとしている。

バライツァ判事の判決文から:

 「例えば、彼はほぼ毎日パートナーと電話で話し、監禁前には彼女と子供たち、様々な友人、父親、その他の親族が訪ねてきていた...[コペルマンは]、非常に高い自殺のリスクを示すことが分かっている危険要因が山のようにあると考えた。彼は「米国への引き渡しが迫れば、アサンジ氏は自殺する方法を見つけると、精神科医としてこれ以上ないほど確信している」と述べている。」

 この教授の報告は、引き渡し命令が却下される根拠となった。これまでバライツァ判事が判決を下した事件の96%引き渡しを認めていることを考えると、驚くべき結果である。

 それにもかかわらず、彼女は司法省が提出した他のすべての議論と告発を受け入れた。事実上、多くのまったく正当なジャーナリズム活動を犯罪とし、どの国の国民も、米国の法律に違反の疑いがあれば米国に送還されることができるという冷酷な前例を作り、したがってワシントンの法的管轄が世界規模で行われていることを暗に示したことになる。



アサンジに関するオーストラリア外務省と米国務長官との話し合いが全面的に編集される

 この判決を受けて、オーストラリアのシャドー司法長官マーク・ドレフュス(Mark Dreyfus)は力強い声明を発表し、特にジュリアンの「不健康」を考えると「この問題は十分に長く引きずっている」と野党労働党は考えていると宣言し、モリソン政権に対して「この問題にけじめをつけて、米国政府にこの問題を終わらせるよう促すためにできることをする」よう要求している。

 これに対して豪外務省は、役所独特の簡潔で魂を欠いたメモを発表した。オーストラリアは「この事件の当事者ではなく、現在進行中の法的手続きを尊重し続ける」とだけ述べ、ジュリアンがオーストラリア領事館からの援助の申し出を何度も拒否したという以前の誤った主張を蒸し返した。
 
 オーストラリア政府は、6月にアイスランドの出版社Stundinが、2020年9月にアサンジに対して起こされた「上乗せ起訴」が、シッギ・ソーンダーソン(Siggi Thordarson)という男の、虚偽とわかっている証言を基になされた詳しい経緯を明らかにしても、ただ無言だった。アサンジとウィキリークスの他の人間が「ハッカーを募集してコンピュータ侵入を行うことに同意した」との起訴内容だ。シッギは 詐欺師、社会病質者、そして小児愛で有罪判決を受けたことがある。彼は以前ウィキリークスから巨額の資金を横領し、創設者を内部から弱体化させるためにFBIに採用された人物である。

 オーストラリア政府がアサンジの起訴を知っていたと考えるには十分な理由がある。2020年7月、ペイン外相は「二国間協議の主要な場」である豪米閣僚協議大会でマイク・ポンペオCIA長官と会談している。

 トランターは二人が同じ場所に居合わせることになった詳細について情報の自由を要求したが、彼女が受け取った文書は完全に編集されたものだった。2021年5月のペイン外務大臣とアントニー・ブリンケン(Anthony Blinken)国務長官のトップ会談に関するファイルも同様である。

  この会談でアサンジが話題になったことはほぼ確実だ。豪外務省の言い分

 ①ペイン外務大臣が9月にブリンケンに再会した際に「この状況について提起した」、

 ②ペイン外務大臣自ら、2020年2月にキャンベラを訪れたドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相とアサンジの処遇に関するオーストラリアの「期待」を具体的に議論した。

 トランターはこの会談に関する記録も要求したが、何も存在しないと言われている。

 ジュリアンが逮捕されたとき、モリソン首相は「他のオーストラリア人と同じ待遇を受ける」と断言した。

 「オーストラリア人が海外に渡航し、法律上の問題に直面した場合、その人は当該国司法制度に向き合うことになります。犯したとされる犯罪がどのようなものであるかは関係ありません。そんな風に現在の制度は動いています」とモリソン首相は語った。

 しかし、トランターがオーストラリア司法長官事務所から入手した2019年4月5日付の内部メールは、徹頭徹尾アサンジに対する侮蔑の念で貫かれたものだった。メモには「参考までに:アサンジは立ち退きを迫られるかもしれません。彼の弁護士団が彼に対するオーストラリアの責任について(あまり説得力のない)[強調は筆者]主張をするかどうかはわかりませんが、注意する価値はあると思いました」とはっきり書かれている。

 例によって、オーストラリア当局はアサンジの引き渡しが迫っていることについて公の場で何も語っていない。

 アサンジの扱い、そして彼の投獄、刑務所の状況、彼を執拗に追跡するためにワシントンが行ったあからさまな手続き上の虐待、ウィキリークス創設者であるアサンジを誘拐and/or殺害するCIAの計画に対する怒りが全くないことは、2018年9月にスパイ容疑の疑いで10年間イランに投獄されたオーストラリア系英国人の学者、カイリー・ムーア-ギルバート(Kylie Moore-Gilbert)に対するオーストラリアの対応と大きく乖離している。

 秘密裏に、オーストラリア外交団がほぼ2年間必死に動き、カイリー・ムーア・ギルバートは解放された。結果的に、彼女はタイにいる3人のイラン人受刑者(うち2人は2012年にバンコクで起きた爆破テロ事件に関連して有罪判決を受けた)と交換されたことになる。ペイン外相は声明の中で、ムーア・ギルバートが「(外交団の)プロフェッショナルで断固とした働き」の結果、ようやく解放されたことに安堵感を示し、オーストラリア政府は彼女が拘束された理由を「一貫して認めなかった」と述べている。

 一方、オーストラリア政府は、アサンジに対するアメリカ政府の立場を一貫して強化してきた。実際、オーストラリア政府関係者は時として、米国政府よりもさらに先に進んで、アサンジと彼の行動を公に非難してきた。

 2010年12月、当時のジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相は、ウィキリークスが米国の外交文書を公開したことは、アサンジが「違法行為を行っている」ことを意味すると宣言し、連邦警察が「関係者の犯罪行為の可能性について助言する」ために捜査を行っていると発表した。しかし、オーストラリア政府に対して公平であろうとすれば、そこで選ばれた代表者は事実上、この問題に対して選択の余地がないのかもしれない。

 調査ジャーナリストのダンカン・キャンベル(Duncan Campbell)によると、ファイブ・アイズの各メンバー国は理論上、諜報機関が収集した個人、グループ、組織に関する情報提示の要求に対して別のメンバー国が拒否する権利を有している。しかし、キャンベルの説明では、「オーストラリアやニュージーランドのような後輩挌のメンバー国であれば、決して拒否することはない。」たとえ、表向きのメンバー国となっている国がその機密情報をどう扱うか懸念されるような状況であっても、である。

 トランターが入手し、The Grayzoneに提供した文書には、オーストラリアというファイブ・アイズの後輩挌メンバー国の国民の一人が、長年にわたって彼を追ってきた帝国権力を裏切ったことが、あからさまに示されている。ジュリアン・アサンジの権利がことごとく侵害される中、オーストラリア政府もその加害者の側にいたようだ。

アサンジの支援者たちはロンドンで集会。米国はアサンジの引き渡しを諦めてはいない。

アサンジの支援者たちはロンドンで集会。米国はアサンジの引き渡しを諦めてはいない。

<記事原文 寺島先生推薦>
Assange supporters rally in London, as US prepares new extradition attempt

Russia Today
2021年10月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月10日
 
 ジュリアン・アサンジの支援者たちがロンドンに集まり、獄中のWikiLeaks創設者ジュリアン・アサンジの自由を要求した。一方、米国はアサンジ氏を引き渡し、スパイ容疑で裁判にかけるべく、新たな法廷闘争の準備に入った。



 2021年10月23日、英国・ロンドンで行われたアサンジの身柄引き渡しを巡る控訴審を前に、抗議行動に参加するウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジのパートナー、ステラ・モリス(Stella Morris)とウィキリークス編集長クリスティン・フラフンソン(Kristinn Hrafnsson) © Reuters / Tom Nicholson

 アサンジ支持者のグループは、土曜日(10月23日)にロンドンの高等裁判所まで行進し、米国政府のジュリアン・アサンジ対する起訴を取り下げるよう要求した。




 横断幕を掲げたデモの隊列が続く中、アサンジの写真と「ジャーナリズムは犯罪ではない」というメッセージを掲げたトラックがデモのコースを走った。






 来週から、アメリカの検察当局は、アサンジの米国への引き渡しを却下した1月の英国下級裁判所判決を不服として控訴する。その判決の根拠とされたのが、アサンジの精神状態は悪化しており、アメリカの刑務所の厳しい環境にさらされれば、アサンジは自殺する危険があるという点だ。アメリカ側は、8月、控訴する許可を得た。高等法院の判決が、アサンジの引き渡しを認めない理由として使われたアサンジの精神医学報告書は誤解を招くものであった、と判断したからだ。

 10月27日(水)に控訴審が開始される際には、高等裁判所の外でさらなる抗議行動が予想される。10月23日(土)にはアサンジの支援者たちがロンドンを行進し、英国とアイルランド各地で小規模の抗議行動が行われた。

 米国への引き渡しは阻止されたものの、アサンジはロンドンのベルマーシュ刑務所に収監されたままだ。引き渡され、米国の裁判所で有罪が確定すれば、最長で175年の刑期が待っている。

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 しかし、アサンジはスパイ容疑に問われてはいるが、機密文書の窃盗や漏洩の罪には問われておらず、それを公開した罪にのみ問われている。アサンジを告発する側の証人の1人で、ウィキリークスのボランティアとして活動していながら、FBIの情報提供者となったアイルランド人シグルール・インギ・ソルダーソン(Sigurdur Ingi Thordarson)は、アサンジがコンピューターハッキングを行うよう指示したことはないと、この夏、認めている。以前は反対の証言をしていた。

 このような容疑が法廷で問われたことはこれまで一度もない。さらに、アサンジの弁護団は、彼のやったことは、イラクやアフガニスタンでの米国の戦争犯罪の疑いについて同様の記事を掲載した新聞社がやったことと何ら変わらないと主張している。この法的なグレーゾーンが、オバマ政権がアサンジを告訴しないことにした理由である。告訴すれば、他の新聞社も同じように告訴されることになるからだ。

 オバマ大統領がアサンジの告訴に消極的だったにもかかわらず、トランプ政権下で彼を告発する裁判が開かれ、ジョー・バイデン政権下でも続いている。この間、ピンクフロイドの代表、ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)を含む著名なアサンジ支援者たちは、アメリカ当局に訴追を取り下げるよう嘆願してきた。

 アサンジの身柄引き渡しには、言論の自由を守ろうとするほぼすべての大物活動家や人権活動家が反対している。報道機関も例外ではない。

クリス・ヘッジズ:アサンジ裁判は、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ

クリス・ヘッジズ:アサンジ裁判は、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ

<記事原文 寺島先生推薦>
Chris Hedges: The Assange case is the most important battle for press freedom in our time




RT

2021年10月29日

クリス・ヘッジズ(Chris Hedges)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月1日

ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジの支持者が、プラカードや横断幕を持って、英国ロンドンの王立裁判所前で抗議行動(2021年10月28日撮影)


Chris Hedges is a Pulitzer Prize-winning journalist and host of RT’s On Contact, a weekly interview series on US foreign policy, economic realities and civil liberties in American society. He’s the author of 14 books, including several New York Times best-sellers.

 もしジュリアン・アサンジ(Julian Assange)が送還され、機密資料の公開で有罪となれば、国家安全保障関係の報道は実質的にできなくなる法的前例を作ることになるだろう。

  この2日間、ジュリアン・アサンジの引き渡し審問をロンドンからのビデオリンクで見ていた。米国は、アサンジの引き渡し要求を却下した下級審判決を不服として控訴している。却下した理由は、残念ながら、裁判所の目から見て彼が無実だからではなく、1月のヴァネッサ・バライツァー(Vanessa Baraitser)判事判決の結論にあったように、非人道的な米国の刑務所システムの「過酷な条件」からアサンジの不安定な心理状態が悪化して「自殺に至る」可能性があるためなのだ。米国は、アサンジをスパイ活動法に基づく17の訴因と、政府のコンピューターに侵入しようとした1つの訴因で起訴し、彼は175年間の刑期を言い渡される可能性がある。

 白髪の長髪のアサンジは、初日、ベルマーシュ刑務所のビデオ会議室からスクリーンに登場した。白いシャツを着て、首のネクタイはほどけていた。やせ細り、疲れているようだった。裁判官たちは、彼が法廷に現れなかったのは、「高用量の薬物投与」を受けていたからだと説明した。2日目、どうやら刑務所のビデオ会議室には姿を見せていない。

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 アサンジがアメリカに引き渡されようとしているのは、ウィキリークスが2010年10月に「イラク戦争日誌」を公開したからだ。この記録には、数多くの米国の戦争犯罪が記録されていた:

①2人のロイター通信記者と10人の非武装市民が銃殺された「巻き添え殺人」ビデオの映像、
②イラク人捕虜に対する日常的な拷問、
③数千人の民間人の死の隠蔽、
④米国の検問所に近づきすぎた700人近い民間人の殺害、
などだ。

 彼はまた、他のリーク、特にCIAが使用しているVault 7と呼ばれるハッキングツールを暴露したことで、米国当局の標的になっている。このツールにより、CIAは自動車、スマートテレビ、ウェブブラウザ、ほとんどのスマートフォンのOS、およびMicrosoft Windows、macOS、LinuxなどのOSに不正アクセスできてしまう。

 もしアサンジが引き渡され、機密資料の公開が理由で有罪となれば、アメリカ政府はスパイ活動法を用いて機密文書を所持する記者や機密情報を漏らした内部告発者を告発できるようになり、国家安全保障の報道が事実上終了する法例となる。

 米国による控訴が認められれば、アサンジはロンドンで再審されることになる。(しかし)控訴審の判決は少なくとも1月まで出ない見通しだ。

 2020年9月のアサンジ裁判に、アサンジは、ロンドンのエクアドル大使館での7年間を含む12年間の拘束を経て、いかにも痛々しい、弱りきった姿を晒した。彼は過去に手首を切って自殺未遂をしたことがある。幻覚やうつ病を患い、抗うつ薬や抗精神病薬のクエチアピンを服用している。彼が倒れるまで独房を歩き回り、自分の顔を殴り、壁に頭を打ち付ける様子が観察された後、彼は数ヶ月間ベルマーシュ刑務所の医療棟に移送された。刑務所当局は、彼の靴下の下に隠された「剃刀の刃の半分」を発見した。彼は 「1日に何百回も」自殺を考え、サマリタンズが運営する自殺ホットラインに何度も電話をかけている。

 米国側弁護士のジェームズ・ルイス(James Lewis)は、2020年9月に裁判所に提出されたアサンジに関する詳細かつ自分たちに都合の悪い医療・心理報告書を信用せず、代わりに彼を嘘つきで仮病をつかっている人物として描き出そうとした。彼は、引き渡しを禁止したバライツァー判事の決定を非難し、彼女の能力を疑問視した。そしてアサンジと同じように米国で特別管理措置(SAM)を受け、スーパーマックス刑務所で事実上隔離されている高セキュリティ囚が心理的苦痛を受けているという証拠の山をルイスはあっさりとはねつけた。彼は、アサンジを診察し弁護側の証言をしたキングス・カレッジ・ロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所のマイケル・コペルマン(Michael Kopelman)名誉教授を、ロンドンのエクアドル大使館に避難している間にアサンジが婚約者のステラ・モリス(Stella Moris)と2人の子供をもうけたことを「隠蔽」したとして、詐欺罪で告発した。ルイスは、もしオーストラリア政府からアサンジ引き渡しの要請があった場合、控訴案件がすべて出尽くした後であれば、母国であるオーストラリアで刑に服することができると語った。しかし、アサンジが隔離されたり特別管理措置(SAM)を受けたりすることはない、と約束するまでには至らなかった。

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 ルイスが繰り返し引用した、アサンジが米国で拘束され裁判にかけられる条件を説明する権威者とは、バージニア州東部地区の米国弁護士補ゴードン・クロンバーグ(Gordon Kromberg)である。クロンバーグは、テロと国家安全保障に関する事件ではアメリカ政府の「大審問官」である。彼はイスラム教徒とイスラム教を公然と軽蔑し、彼が言う「アメリカの司法制度のイスラム化」を批判している。彼はパレスチナの活動家で学者のサミ・アル=アリアン(Sami Al-Arian)博士に対する9年間の迫害を監督し、ラマダンという宗教的祝日には裁判の期日を延期するよう求めた申し出を拒否したこともある。「ラマダン中に殺し合いをすることも、大陪審に出廷することもできる。日没前に食事をすることだけは許されない」と、2006年の会話でクロンバーグは言ったと、アリアンの弁護士の一人であるジャック・フェルナンデス(Jack Fernandez)が提出した宣誓供述書に書かれている。

 クロンバーグは、最近、無人偵察機による民間人の無差別殺戮に関する情報をリークしてスーパーマックス(超厳重警備)刑務所での45ヶ月の刑を受けた元空軍分析官ダニエル・ヘイル(Daniel Hale)を批判し、ヘイルは公共の議論に貢献したのではなく、「戦いをする人々を危険にさらした」のだと述べている。クロンバーグはウィキリークスを調査する大陪審の前での証言を拒否したチェルシー・マニング(Chelsea Manning)を収監するよう命じた。マニングは2020年3月、バージニア州の刑務所に収容されている間に自殺を図っている。

 2006年にロンドンで逮捕されたサイード・ファハド・ハシュミ(Syed Fahad Hashmi)の事件を取材した経験から、もしアサンジが送還されたら何が待っているのか、私はよく分かっている。ハシュミもベルマーシュに収容され、2007年に米国に送還され、SAM(特別管理措置)のもと、3年間独房で過ごした。彼の「罪」は、ロンドンの大学院生時代に彼のアパートに一緒に滞在した知人が、アパートの荷物の中にレインコート、ポンチョ、防水靴下などを入れていたことだ。その知人は、それらの品々をアルカイダに届けるつもりだったのだ。しかし、防水靴下がパキスタンに送られることをアメリカ政府が気にしていたとは思えない。ハシュミが標的にされた理由は、パレスチナの活動家サミ・アル=アリアン博士やアサンジのように、ブルックリン大学の学生だったころ、イスラム圏で爆撃、銃撃、テロ、殺害されている人たちを大胆不敵にも熱心に弁護していたからではないか、と私は考えている。

 ハシュミは深い信仰心を持ち、アフガニスタンのレジスタンスを賞賛するなど、その意見には賛否両論があったが、彼にはこうした感情を表明する権利があった。もっと重要なことは、当然の権利として、自分の意見を表明しても迫害や投獄をされることはない、と期待する自由を彼が持っていたことだ。それはちょうどアサンジが他の出版人と同様に、権力の内部構造について大衆に情報を提供する自由を当然持っていることとまったく同じだ。70年の実刑判決の可能性に直面し、すでに4年間を刑務所で過ごし、その大半を独房で過ごしたハシュミは、テロリズムへの物質的支援共謀という1件については司法取引に応じた。ハッカーのジェレミー・ハモンド(Jeremy Hammond)と人権弁護士のスティーブン・ドンジガー(Steven Donziger)に判決を下したロレッタ・プレスカ(Loretta Preska)判事は、彼に最高刑の15年を言い渡した。ハシュミは、コロラド州フローレンスにあるADXフローレンス刑務所(連邦刑務所)に、グアンタナモ刑務所と似た条件で9年間拘束された。アメリカの裁判所でアサンジが有罪となれば、ここに収監されることはほぼ確実である。ハシュミは2019年に釈放された。

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 ハシュミが何とか持ちこたえた未決拘留条件は、彼を破滅させるような建付けになっていた。彼は1日24時間、電子的に監視されていた。メールの送受信は肉親との間でしかできなかった。壁越しに他の囚人と話すことは禁止。集団礼拝に参加することも禁止。運動は1日1時間だけ。それも新鮮な空気のない独房の中で。彼は、自分が起訴された証拠品のほとんどは、「機密情報手続き法」に基づいて機密扱いにされたため見ることができなかった。これは、米国の諜報員が起訴された場合、その諜報員が法的手続きを自分の都合のいいようにするために「国家機密を明らかにする」、と脅すのを防ぐために制定されたものである。その過酷な環境は、彼の肉体的、精神的な健康をむしばんだ。有罪を認める最後の法廷に現れたとき、彼はほとんど緊張性状態にあり、自分についての法的手順が進行しているにも関わらず、明らかにそれが分かっていない状態であった。

 もしアメリカ政府が、アルカイダに防水靴下を送ることに関与したとされる人物をここまで迫害するなら、アメリカ政府はアサンジに対し、何をしでかすことになるのだろうか?

 真実を語ることを禁じた社会は、正義の中で生きる力を消滅させる。アサンジの解放を求める戦いが、一人の出版人への迫害などというレベルをはるかに超えたものであることははっきりしている。それは、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ。この戦いに敗れれば、アサンジとその家族だけでなく、私たちも壊滅的な打撃を受けることになるだろう。

 専制君主は法の支配を逆転させる。彼らは法を不正の道具に変えてしまう。 彼らは自分たちの犯罪を虚偽の合法性で覆い隠す。裁判所や裁判の礼儀正しさを利用して、自分たちの犯罪性を覆い隠す。アサンジのように、その犯罪性を人々に暴露する輩は危険なのだ。というのも、合法性という口実がなければ、専制政治は信用を失い、恐怖、強制、暴力以外何も彼らには残らないからだ。アサンジとウィキリークスを敵視する長期間に亘る運動は、法の支配の崩壊、つまり政治哲学者シェルドン・ウォリン(Sheldon Wolin)が「逆全体主義」と呼ぶシステムの台頭を見ることのできる窓となっている。この全体主義は、制度や図像、愛国的シンボル、レトリックなど、古い資本主義民主主義の虚構を維持しながら、内部ではグローバル企業や安全保障・監視国家の命令に完全支配を明け渡している。

 アサンジを刑務所に拘束する法的根拠はゼロだ。オーストラリア市民の彼を、米国のスパイ活動法の下で裁く法的根拠はゼロだ。CIAは、大使館の警備を請け負ったスペインの会社UCグローバルを通して、エクアドル大使館にいるアサンジをスパイしていた。このスパイ行為には、アサンジと彼の弁護団が弁護について話し合う際の特権的な会話の録音も含まれていた。この事実だけでも、この裁判は無効になる。国連拷問特別報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)が証言しているように、アサンジが厳重警備の刑務所に収容されているのは、アメリカという国家が卑劣な虐待と拷問を続けられるからであり、肉体的にはともかく精神的には崩壊させることを望んでいるからだ。帝国主義の立役者、戦争の支配者、企業に支配された立法府、司法府、行政府、そしてマスコミの卑屈な廷臣たちは、重罪を犯している。この単純な真実をいったん口にすると、多くの人がそうであったように、みんなメディア界の片隅に追いやられる。それが真実であることを証明すれば、アサンジ、チェルシー・マニング、ジェレミー・ハモンド(Jeremy Hammond)、エドワード・スノーデンのように、みんな追い詰められ迫害される。彼らが権力の内部を私たちに垣間見させてくれたのだ。

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 アサンジの「罪」とは、報道されていない1万5000人以上のイラク市民の死を暴露したことである。彼は、グアンタナモ刑務所で14歳から89歳までの約800人の男性や少年が拷問・虐待を受けていることを暴露した。ヒラリー・クリントンが2009年に米国の外交官に命じて、潘基文国連事務総長や中国、フランス、ロシア、英国の国連代表に対するスパイ活動をさせたことを暴露した。DNA、虹彩スキャン、指紋、個人パスワードの入手を含むスパイ行為、2003年の米国主導のイラク侵攻前の数週間にコフィ・アナン(Kofi  Annan)国連事務総長への盗聴を含む、昔から行われている違法監視方式の一端を暴露した。彼は、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、そしてCIAが、2009年6月にホンジュラスで起きた軍事クーデターを画策し、民主的に選出されたマヌエル・セラヤ大統領を失脚させ、腐敗した人殺し軍事政権に取って代わらせたことを暴露した。

 彼は、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そしてデビッド・ペトレイアス(David Petraeus)将軍が、ニュルンベルク裁判後の法律では犯罪的な侵略戦争と定義されるイラク戦争を遂行し、イエメンの、米国市民を含む、何百人もの標的暗殺を認可したことを暴露した。彼は、米国がイエメンに対して密かにミサイル、爆弾、ドローンによる攻撃を行い、多数の民間人を殺害したことを暴露した。ゴールドマン・サックスがヒラリー・クリントンに65万7000ドル(賄賂としか思えないほどの大金)を支払って講演させたこと、彼女が金融規制と改革を国民に約束しながら、企業のリーダーたちには内々に彼らの言いなりになると確約したことを暴露した。英国労働党のジェレミー・コービン党首の信用を失墜させ、その政治生命を絶つための党内運動があったことを暴露した。CIAと国家安全保障局が使用するハッキングツールが、私たちのテレビ、パソコン、スマートフォン、アンチウイルスソフトを政府が全面的に監視し、暗号化されたアプリからでも私たちの会話、画像、プライベートなテキストメッセージを記録・保存することを可能にしていることを暴露した。

 彼が暴露したのは真実だ。真実を繰り返し、徹底的に、飽くことなく暴露し続け、ついにはグローバルな支配エリートならではの法律無視、腐敗、そしてうそについて、疑問の余地がまったくないところまで暴き出した。そして、これらの真実だけを理由として、彼は罪ありとされている。

もしアサンジが英国の刑務所で死ぬことになれば、それは「拷問死」・・・拷問に関する国連特別報告者がRTに語る

もしアサンジが英国の刑務所で死ぬことになれば、それは「拷問死」・・・拷問に関する国連特別報告者がRTに語る

<記事原文 寺島先生推薦>

If Assange dies in UK prison it would mean he’d been ‘tortured to death,’ UN special rapporteur on torture tells RT
Russia Today

2021年10月31日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年12月21日



 ウィキリークスの共同創設者であるジュリアン・アサンジ(Julian Assange)は精神の病ではなく、彼が抱えている心の問題は、ただ人に会わせないという虐待の結果だ、と国連の拷問に関する特別報告者であるニルス・メルツァー(Nils Melzer)がRTの番組Going Undergroundで語っている。

 アサンジが体調不良でロンドンのベルマーシュ(Belmarsh)最大警備刑務所で死んだら「悲劇だ」と、司会のアフシン・ラッタンシ(Afshin Rattansi)からそんな不穏なシナリオについて聞かれてメルツァーは答えた。

 もし彼が刑務所で死ぬようなことがあれば、彼は事実上拷問で死んだようなものです。それが事の真相です。誇張なんかではありません。

 国連の拷問に関する特別報告者であるニルス・メルツァーは、2019年5月に医療専門家チームとともに獄中のアサンジを訪れ、「私たちは全員、互いに相談することなく、彼の命が危険にさらされているという結論に、その時点で到達しました」と述べた。アサンジの精神的・身体的状態はそれ以来、「下降スパイラル」に入った、と付け加えた。

 アサンジは、保釈条件に違反したことを理由に2019年4月からベルマーシュ刑務所に拘束されている。それ以前、彼(現在50歳)は、ロンドンにあるエクアドル大使館に7年間立てこもっていた。性的暴行の申し立てで逮捕状が出されたあと、この大使館で避難生活を送っていたのだ。ただし、その申し立てについて、彼は常に否定していた。彼に対する捜査は、最終的に証拠不十分で取り下げられた。彼は合法的なジャーナリスト活動によって迫害されているというのが実際だ、とアサンジの支持者たちは主張している。

 彼が米国で指名手配されているのは、ウィキリークスによるイラク、アフガニスタン、グアンタナモ湾収容キャンプなどに関する機密文書の公開をめぐるスパイ容疑だ。この事件の重要参考人が主張を捏造したことが明らかになったにもかかわらず、アメリカに引き渡されれば、最高で175年の禁固刑に処される可能性がある。

 

 2021年初め、英国の判事はアサンジの健康状態の悪さと自殺の危険性を理由に、アメリカ政府の身柄引き渡し要求を却下した。この判決に対する米国の控訴は今週初めに英国高等法院で審理されたが、判決の検討に少し時間がかかるとの発表があった。

 「ジュリアン・アサンジは精神を病んでいるわけではありません・・・彼は非常に回復力のある、知的な男だ 彼は精神病院に入院しているわけではないですからね。だから、もし彼が今精神的な問題を抱えているとしたら、それは彼がこれまで受けた虐待のせいです」とメルツァーは主張した。

 「医学的な観点からの深刻な損傷が彼にもたらされたのは、ここ10年間ずっと周囲から隔絶されていたからです」と彼は述べている。さらに、アサンジが現在苦しんでいるのは「恒常的な不安」だ、とも。

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US appeal hearing to extradite Julian Assange concludes in UK High Court with no immediate ruling
  
 メルツァーは、英国の刑務当局のアサンジに対するこれまでの処遇を非難した。「拷問を続けても、拷問から立ち直らせることはできないのです。まさにそれが彼らのやり方です。彼らは彼を周囲から隔絶させています。宙ぶらりんな状態にしたままです」と主張した。

 メルツァーが繰り返し述べたのは、アサンジを最大警備刑務所に拘束する根拠は皆無だということ。現在、刑に服しているわけでもなく、実際の刑事責任を問われているわけでもない。「引渡しが合法であり、彼の身柄を何らかの形で確保しなければならないという議論に百歩譲るとしても、自宅軟禁でいいのです」とメルツァーは主張し、さらに、アサンジは「何の必要性もない、したがって違法な隔離状態に」置かれていると述べた。

「CIAは、アサンジを殺害するか拉致する目的で、ロシア工作員たちとロンドンの街頭で銃撃戦をする用意ができていた」との爆弾記事

「CIAは、アサンジを殺害するか拉致する目的で、ロシア工作員たちとロンドンの街頭で銃撃戦をする用意ができていた」との爆弾記事

<記事原文 寺島先生推薦>

CIA was ready to wage gun battle in London streets against Russian operatives to kill or snatch Assange, bombshell report claims



2021年9月26日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年10月18日



 オバマ政権下のCIAは、ジュリアン・アサンジをはじめとするジャーナリストを「情報ブローカー」と定義して、彼らへのスパイ活動を強化しようとしていた。そして、トランプ時代には、ジュリアン・アサンジを拉致・殺害する計画を準備していた。

 マイク・ポンペオ長官率いるCIAが、アサンジを捕まえるために途轍もない時間をかけて準備をしていたという見解は、30人以上の元米政府高官へのインタビューを基にしたYahoo News(9月26日)の記事に載せられた。この記事は、米国の国家安全保障組織が、オバマとトランプの2つの政権下で、ウィキリークスとの戦争をどのようにエスカレートさせていたかについて洞察している。

 2017年、さまざまな敵対行為に対応する準備作業が最高潮の時には、CIAはロシアの工作員がアサンジの滞在先であるロンドンのエクアドル大使館からの逃亡を手助けする可能性を考えていたと言われている。そのような有事の際には、アメリカ人はイギリス人とともに、ロシア工作員たちに対して市街戦をする計画があった。可能性としては銃撃戦を起こしたり、ロシアの外交車両に突っ込んだり、ロシアの飛行機のタイヤを撃って離陸させないようにしたりすることなどだった。アサンジを解放しようとする試みは、クリスマスイブを考えていたとのことだ。

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George Galloway: Do Britain and the US secretly want Julian Assange to commit suicide?

  「漫画にもならない。半径三区画以内の人間はだれでも、どこかの国の諜報機関に所属しているという状態だった。道路清掃員だったり、警察官だったり、警備員の格好はしていたが。」と当時の大使館周辺の状況について、元高官は語っている。

  また、CIAは、アサンジやウィキリークスの他のメンバーを殺害する計画を検討していた、とこの記事は伝えている。あるいは、CIAは大使館からアサンジを拉致して米国に連れてくるか、英国当局に引き渡すことも検討していたという。当時、英国は、スウェーデンからの要請で引き渡し裁判の保釈中に逃亡したとしてアサンジを指名手配していた。もっとも、この件はその後取り下げられている。

 また、ある情報機関関係者は、強制連行や暗殺をうまく実行させようとすることなど「馬鹿げている」と述べている。場所が場所だからだ。「ここはパキスタンやエジプトではなく、ロンドンなのだ」というのが同じ情報提供者の言だ。また、このような作戦は米国の法律では違法とみなされる可能性があるため、トランプ政権内でも抵抗があったという。ある関係者は、スパイ対スパイの活動のためだけにCIAの権限を使うことは、「対テロ戦争の時と同じ噴飯物」になるだろうと述べている。

 CIAに関して言えば、ウィキリークスがこのような極端な措置に拍車をかけたのは、米国の諜報機関が使用していたサイバー攻撃ツールキットを暴露した、いわゆる「Vault 7」の出版の後だった。このツールの流出は、米国の諜報機関にとって大きな屈辱であり、「ポンペオと(当時のCIA副長官ジーナ(Gina))ハスペル(Haspel)は、アサンジへの復讐を望んだ」との話がYahoo Newsに語られた。

ALSO ON RT.COM

Beyond the pale’: Americans horrified by report that CIA under Trump discussed assassinating Julian Assange

 ポンペオは、当時のドナルド・トランプ大統領が署名しなくても、CIAがアサンジやウィキリークスをより積極的に追跡できるように、法的な工作をせざるを得なかった。トランプ大統領は就任直後の演説で、ウィキリークスを「非国家的な敵対的諜報機関」と呼んだことで不評を買ったが、これは単なるレトリックではなかった、とYahoo Newsは書いている。ウィキリークスをこのように呼ぶことで、CIAは「攻撃的防諜活動」の名目下で詮索活動できるようになった。それも思いのままに。

 ある元政府関係者は、「CIAが攻撃的(防諜)の名目下にどれだけのことができるのか、そしてそれに対する最小限の監視しかないことを、一般の人は理解していないと思います」と語っている。

 ポンペオ指揮下のCIAは「対ウィキリークス戦争」を第11段階に引き上げたが、当時のオバマ大統領の下でも、CIAは、同様に、何の秘密性もないウィキリークスを標的にする方法を模索していた。CIAはホワイトハウスに働きかけて、ウィキリークスや、グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)、ローラ・ポイトラス(Laura Poitras)などの著名なジャーナリストを「情報ブローカー」と呼び変え、彼らに対する監視権限を強化していた、と記事は伝えている。

 「ウィキリークスはジャーナリズム発信局なのか?ローラ・ポイトラスやグレン・グリーンウォルドは本当にジャーナリストなのか?我々はその呼び方を変えようとし、ホワイトハウスにもそれを提言したが却下された」とある情報筋はYahoo Newsとのインタビューで首をひねっていた。

ALSO ON RT.COM

Assange extradition: US allowed to challenge key psychiatric evidence in bid to reverse UK refusal to hand him over

 結局アサンジはエクアドル大使館から引きずり出され、現在はイギリスの警戒厳重な刑務所に身柄を拘束されている。米国は、ハッキングに関連した容疑での身柄引き渡し要請を却下した裁判所の決定を不服とし、控訴している。審理は来月再開される予定だ。

 
 Yahoo Newsによると、アサンジに対する米国の訴訟が台無しになってしまうことへの懸念が、CIAの計画がこれ以上進まない要因のひとつなのだという。アサンジの弁護団は、これが事実であることに期待をかけている。
 
 弁護士のバリー・ポラック(Barry Pollack)は、CIAがアサンジを標的にした計画を立てているという疑惑について質問された際、「私の希望と期待は、英国の裁判所がこの情報を検討し、彼を米国に引き渡さないという決定をさらに強化することです」と述べた。

 アサンジへの恨みは、米国支配層の超党派的な動きとなっている。2016年の選挙でトランプの対抗馬だったヒラリー・クリントン氏は、2010年にオーストラリア人のアサンジを「ドローン攻撃する」と冗談を言ったと報じられたが、後にそんなことを言った覚えはないと述べた。

 Yahoo Newsによると、2016年の大統領選挙とウィキリークスによる民主党の電子メール公開が、CIAが反アサンジ・キャンペーンを行う上で、極めて重要な出来事だったという。秘密漏洩がロシアの情報機関と協力して行われたと主張できるようになったからだ。ウィキリークスはそれを否定し、ロシア政府は、選挙干渉の非難は根拠がなく、クリントンの敗北を軽く見ようとする民主党の悪あがきでしかないと主張している。

「常軌を逸している」:トランプ政権下のCIAがジュリアン・アサンジの暗殺について議論していたとの報道に驚愕するアメリカ人

「常軌を逸している」:トランプ政権下のCIAがジュリアン・アサンジの暗殺について議論していたとの報道に驚愕するアメリカ人

<記事原文 寺島先生>
Beyond the pale’: Americans horrified by report that CIA under Trump discussed assassinating Julian Assange


Russia Today

2021年9月6日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年10月16日


 ジャーナリスト、政治アナリスト、そして複数の報道機関は9月5日(日)、ドナルド・トランプ前大統領の政権のメンバーがウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジの暗殺を企てたとする報道に衝撃を受けた。

 トランプ政権下CIA長官マイク・ポンペオが率いる米国中央情報局(CIA)が、ロンドンのエクアドル大使館に避難していたアサンジ氏の暗殺や誘拐について話し合っていたことを明らかにする記事のためにYahoo Newsは、30人以上のトランプ政権の元幹部にインタビューを行った。

 また、同じYahoo Newsはトランプ政権は英国政府と連携して、ロシアの工作員がアサンジの逃亡を手助けしようとした場合、彼らとの危険な衝突を起こす可能性を想定した準備していた、とも報道している。

ALSO ON RT.COM

CIA was ready to wage gun battle in London streets against Russian operatives to kill or snatch Assange, bombshell report claims

 この報道の後、報道の自由財団(Freedom of the Press Foundation)は、CIAを「恥さらし」とする声明を発表し、さらに「ウィキリークスやその関係者、さらには他の受賞歴のあるジャーナリストに対して、これほど多くの違法行為を企て、それに実際携わったいう事実は、議会と司法省が調査すべき明白なスキャンダルである」と述べた。

 同財団はまた、ジョー・バイデン大統領とその政権に対し、アサンジに対するすべての告発を直ちに取り下げるよう要請し、CIAが画策したとされる計画は 「常軌を逸している」と述べた。



 また、世界中のジャーナリスト、政治評論家、アナリストからも、報道の内容に衝撃を受けたとの声が聞かれた。






 インターネットメディアであるThe InterceptのワシントンDC支局長ライアン・グリム(Ryan Grim)は、「CIAが暗殺を企てた人間を、その当事者であるCIAが送還することはできない」と語り、ジャーナリストのグレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)は、「CIAと、そして今回のバイデン政権司法省のこのような行動は、<報道の自由に対する本当の攻撃>がどんなものかを示している」とツイートした。



 オバマ大統領の元スポークスマンであるトミー・ビエター(Tommy Vietor)は、下院情報委員会のアダム・シフ(Adam Schiff)委員長と上院情報委員会のマーク・ワーナー(Mark Warner)委員長に対し、CIAの謀略疑惑に関する公聴会の開催を呼びかけた。


 また、CIAがアサンジの暗殺を検討していたときに、ジュリアン・アサンジはエクアドル大使館を離れれば安全であり、「米国で起訴される可能性は低い」と主張していたBureau of Investigative Journalism(調査ジャーナリズム事務局)の編集者、ジェームズ・ボール(James Ball)などの公人の信用を落とすために、この報道を利用する人もいた。


 アサンジは、2019年にロンドンの警視庁によって大使館から強制的に連れ出され、警備が厳重なベルマーシュ刑務所に収監され、現在もそこにいる。アメリカ政府は、オーストラリア国籍であるにもかかわらず、スパイ活動法違反などの容疑でアサンジの身柄をアメリカに送還しようとしている。

ALSO ON RT.COM

British taxpayers footed £300,000 bill SO FAR for court costs in Julian Assange’s extradition saga – reports

 

 

ウィキリークス主任編集者の発言:「ポンペオ前CIA長官は、アサンジを標的にした策謀があるらしいと外部に漏らした情報提供者を訴追することを求めている」

ウィキリークス主任編集者の発言:「ポンペオ前CIA長官は、アサンジを標的にした策謀があるらしいと外部に漏らした情報提供者を訴追することを求めている」

<記事原文 寺島先生推薦>
Ex-CIA chief’s call to prosecute sources who outed alleged plot to target Assange ‘CONFIRMS’ story, WikiLeaks editor-in-chief says


Russia Today

2021年9月30日

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年10月15日



 ウィキリークスの編集長であるクリスティン・フラフンソン(Kristinn Hrafnsson)は、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)前CIA長官が、ジュリアン・アサンジを「誘拐または殺害」するためにCIAが計画したとされることについて暴いた爆弾記事を、その情報提供者の訴追を求めることで、「(自ら)認める」ことになったと述べた。
 
 ポンペオは、水曜日に放送されたジャーナリストのメギン・ケリー(Megyn Kelly)のポッドキャストに出演した際、Yahoo Newsのこの爆弾記事への回答を求められた。この記事は、ウィキリークスに対するCIAの取り組みを知る、約30人の元米国情報機関および国家安全保障担当者からの情報をもとにしている。

 「この件については、あまり多くのことを語ることはできません。ただ、Yahoo Newsの記者の1人に話をしたとされる30人は別です。この30人は、CIA内部の機密活動について口外したことで、全員起訴されるべきでしょう」とポンペオは述べた。日曜日発行のこの記事は「フィクションとしてはよくできている」との発言もあった。

 しかし、CIAのハッキングツールや手法の一部を垣間見ることができる「Vault 7」というCIAの機密文書をウィキリークスが公開した後、CIAがウィキリークスを標的にしたキャンペーンを展開していたことなど、「(記事の)一部は真実である」ことは認めた。

 「これは、ポンペオがアサンジの「誘拐か殺害」の話を(自ら)認めたことだと考えられる。そうでなければ、どうして彼は 「機密活動について話した」情報提供者を訴追しようとするのだろうか?」とフラフンソンはこれに応えてこのようにツイートした。

ALSO ON RT.COM

CIA was ready to wage gun battle in London streets against Russian operatives to kill or snatch Assange, bombshell report claims

 この番組の中でポンペオは、ウィキリークスが 「アメリカの機密情報を積極的に盗もう」としている「非国家的な敵対的諜報機関」であるとの悪名高い主張を繰り返した。Yahoo Newsによると、CIAはアサンジをはじめとするジャーナリストを「情報ブローカー」と定義することで、CIAがウィキリークスに対して「攻撃的防諜」活動ができるようになったとのことだ。

 「悪者が機密を盗んだ場合、我々には彼らを追いかけ、(そのような行為を)未然に防ぐ責任がある」とポンペオは述べ、さらにCIAには「それに対して切り返す責任」があると語った。

 私たちは、米国の法律に違反し、情報を保護するための要件に違反し、情報を盗もうとした者の責任をどうしても追及したかったのです。そのための深い法的枠組みがあります。私たちは、そのために米国の法律に沿った行動をとりました。

 2017年の敵対行為準備の最高潮期には、CIAは、ロシアの諜報機関がアサンジがいたロンドンのエクアドル大使館から彼が逃亡することを手助けするだろうと想定していたと言われている。そのような有事の際、アメリカとイギリスは、路上での銃撃戦、ロシアの外交車両への突入、あるいはロシア機のタイヤを撃ち抜いて離陸を阻止するなどの可能性を想定した計画を立案していた。

 しかしポンペオの主張では、CIAが彼の監視下で「(米国の法律と)矛盾するような行動をとったことは一度もない」とのことであり、さらにCIAは「暗殺を行うことは米国の法律では認められていない」とも。逆に、司法省(DOJ)はアサンジを米国での裁判にかけるために身柄の引き渡しを求めることは「当然の主張」であるとの信念を持っていると述べた。

ALSO ON RT.COM

CIA’s purported plans to abduct & kill Assange shows lengths US will go to attack press freedom – WikiLeaks editor-in-chief to RT

 来月には、司法省による彼の引き渡しを求める控訴が、ロンドンの高等裁判所に届くと見られる。しかし、フラフンソンは今週、RTの番組「Going Underground」でアフシン・ラタンシ(Afshin Rattanshi)に、アサンジを誘拐・殺害するという計画は、「引き渡しの聴聞会にとって...強い意味合いを」持っていると語った。

 そのことが示しているのは、米国の政府機関が、国の「秘密」を曝露するジャーナリストたちを「弾圧」することに何のためらいも持たないということだと述べた上で、フラフンソンはまた、CIAがウィキリークスの「新しい定義を作」ろうとしているのは、ウィキリークスが「敵対的な工作機関」とみなされることを意味しており、それは「基本的に殺害許可証」であると語った。

 一方、アサンジ氏の米国弁護士であるバリー・ポラック(Barry Pollack)が、「到底見過ごせないこと」として、ポンペオの「やろうとしているのは、不祥事に関する情報を米国民に知らせまいとすること」だ、と述べている。

ジョージ・ギャロウエイ:英国と米国はひそかにジュリアン・アサンジの自殺を望んでいるのか?

ジョージ・ギャロウエイ:英国と米国はひそかにジュリアン・アサンジの自殺を望んでいるのか?

<記事原文 寺島先生推薦>

George Galloway: Do Britain and the US secretly want Julian Assange to commit suicide?

Russia Today

2021年8月12日

ジョージ・ギャロウエイ(George Galloway)

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>

2121年9月2日

George Galloway

was a member of the British Parliament for nearly 30 years. He presents TV and radio shows (including on RT). He is a film-maker, writer and a renowned orator. Follow him on Twitter @georgegalloway



 最近、ロンドンの高等裁判所で下された恥ずべき判決によると、英国で最も著名な政治犯が自殺の危険性があることを証明するには、実際に自分の命を絶つしかないということだ。当局はそれを望んでいるのだろうか?

 21世紀は英国にとって恥ずかしい日が多かったが、昨日もまさにその一つだった。

 ロンドンの高等裁判所は、英国で最も著名な政治犯であるジュリアン・アサンジが米国の不法制度に引き渡された場合、自殺する可能性があるという証拠をすべて聞いた上で出した(昨年10月の)一人の判事の判断をあっさりと無効にした。

ALSO ON RT.COM


George Galloway: I’m happy my friend Julian isn’t being sent to a US gulag. But this shameful episode is a huge stain on Britain

 
 控訴裁判所は、2人の身柄引き渡しを拒否した昨年10月の判決を主要な論点とした米国が起こした控訴審において、事実上10年間服役しているアサンジの真の精神的健康状態について、第一審判事が誤解していたことを主張してもよいと決定した。こうなれば、米国の弁護士が、米国の超大型刑務所が実際には完全に人道的な場所であることを主張する必要はなくなる。

 バイデン政府の英国人弁護士の奇妙な主張は、他ではお目にかかれない非論理的なものだろう。ジュリアンは、婚約者のステラ・モリスとの間に「密かに子供を作っていた」ため、自殺の危険性はないとこの(女性)弁護士は主張したのである。これが一体何を意味するのか、私には到底理解できない。30年近く国会議員をしていて、こんな馬鹿げた話は聞いたことがない。

 すべての男性が子供がいることを隠しているわけではなく、子供がいることを公表している男性もいるということを言いたいのだろうか?

 アサンジには婚外子がいたということを言いたいのだろうか?何とも古風な話だ。結婚している父親は自殺の危険性が高い?

 それとも、アサンジはいやしくも父親だと言いたいのか?子供のいない男性は、自殺のリスクが高いということか?

 あまりにも心を欠いた主張だ。不思議なのはこんな主張をして料金を取る人がいることだ。もっと不思議なのはそれを支持する裁判官がいることだ。何よりも不思議なのは、マーサズ・ヴィニヤード(アメリカ合衆国マサチューセッツ州デュークス郡に属する、面積231.75 km2の島_ウィキペディア)出身のジョー・バイデンという、大の動物好き(訳注:ジャーマンシェパードが彼の愛犬)民主党大統領が、こんなことを依頼したことだ。

 つまり、アサンジがアメリカに送還される可能性は、一昨日よりも今日のほうが高くなっているということだ。そして彼が悪魔の島、ベルマーシュ刑務所に留まることは確実で、その間にも氷河期のような出来事は続いていく。

 アサンジに自殺のリスクがあることを証明するには、たぶん彼が自殺するしかないのだ。つらつら思うに、それがジョー・バイデンの狙いかもしれない...。

英国高裁判決によってアサンジの米国への送還脅威高まる

英国高裁判決によってアサンジの米国への送還脅威高まる

<記事原文 寺島先生推薦>

Threat of Extradition for Assange Grows Following British High Court Ruling

Global Research

2021年8月17日

マジョーリ・コーン(Marjorie Cohn)教授

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年9月7日



***

 8月11日、英国高等裁判所のティモシー・ホロイド(Timothy Holroyde)卿判事とジュディス・ファービー(Dame Judith Farbey)デイム(大英勲章第1位および2位を授与された女性_英辞郎)判事は、ジョナサン・スウィフト(Jonathan Swift)判事の7月5日の判決を覆し、トランプ政権がスパイ活動法に基づいて提起した容疑で拘束されているジュリアン・アサンジに対するバイデン政権の控訴理由を2つ追加することを認めるという異例の事態となった。アサンジは、チェルシー・マニングが彼とウィキリークスに提供した、イラク、アフガニスタン、グアンタナモにおける米国の戦争犯罪の証拠を明らかにしたことで起訴された。英国から引き渡され、米国で裁かれ、有罪となった場合、175年の懲役刑が科せられる。

 スウィフト判事は、米国が要求した5つの理由のうち、3つの理由に基づいて控訴できるとの判決を下した。8月11日の判決では、米国はさらに2つの理由を主張することができるようになった。米国の控訴内容の拡大は、アサンジにとって、そして調査報道の将来にとって安穏としているわけにはゆかない兆候だ。

 2020年9月、アサンジの件で3週間にわたる引き渡し審理が行われた。1月4日、英国地方裁判所のヴァネッサ・バライツァー(Vanessa Baraitser)判事は、裁判を受けるためにアサンジを米国に送還するというトランプ政権の要請を否定する判決を下した。バライツァー判事の判決は、アサンジの精神状態と米国の刑務所での拘束条件に照らして、自殺の危険性が高いという内容だった。ドナルド・トランプ大統領が退任する際、彼の政権はバライツァー判事の判決に控訴する許可を高等裁判所に首尾よく請願した。

 ジョー・バイデンはトランプの訴えを取り下げるべきだった。これは、オバマ・バイデン政権がジャーナリストを起訴すると修正第1条の報道の自由の保証が損なわれることを恐れてアサンジを起訴しなかった流れに沿うものだ。真実の情報を発表したことでスパイ活動法に基づいて起訴されたジャーナリストやメディアはこれまでのところゼロだ。憲法修正第1条は、公共の関心事であれば、たとえ不法に入手した資料でもそれを公表するジャーナリストを保護している。戦争犯罪の証拠はその中に入る。米国政府が、機密情報を公開したジャーナリストやメディアを起訴したことはない。それはジャーナリズムを正常に機能させるための極めて大事な手段となっているからだ。

 しかしバイデンは、倍返しでトランプの控訴を引き継いでいる。

 10月27日・28日、米国の控訴を審理する時、高等裁判所は、引き渡し審理で証言した証人の信憑性を判断する独自の立場にあった地方裁判所判事の事実認定の重みを変える可能性がある。

米国の控訴根拠

 英国地裁が(アサンジの)身柄引き渡しを認めなかったことに対してバイデン政権が、控訴した5つの根拠は次の通り:

 §  バライツァー判事は、2003年の犯罪人引き渡し法第91条に基づき、アサンジの精神的・肉体的な状態を理由に引き渡しが不当または厳しすぎると結論づけたが、それは法的に誤り。

 §   バライツァー判事は、アサンジが健康や生命を脅かすような状況に置かれないことを裁判所に確約する機会を米国に与えるために、(そういったことは事前に)米国に通知すべきだった。

 §  バライツァー判事は、アサンジの精神状態の深刻さに関する弁護側の精神医学専門家マイケル・コペルマン(Michael Kopelman)教授の証拠を除外するか、あるいはあまり重視しないようにすべきだった。

 §  バライツァー判事は自殺リスクの全般的エビデンス評価において誤りを犯している:さらに

 §  引き渡し審理の後、米国は英国に対し、米国に引き渡された場合のアサンジの拘束条件に関する「確約」パッケージを提供した。また、米国は、アサンジが有罪となった場合、オーストラリアに移送して身柄拘束の刑に服させることに同意する確約を与えた。

 7月5日、高等裁判所は、米国が三番目、四番目の理由を除くすべての理由で控訴することを認めた。8月11日の判決以降、米国は5つの理由すべてで控訴することが認められた。

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Letter from London: Worrying Turn in Assange Case

精神科医コペルマンの証言

 バライツァー判事は、精神医学の専門家であるマイケル・コペルマン(Michael Kopelman)が提出した証拠に大きく依存していたが、全面的ではない。1月4日の判決で、バライツァー判事は次のように書いている:

 [コペルマン]は、2019年5月から12月の期間にアサンジ氏を評価し、彼の症状を直接検討するのに最適な立場にあった。彼は、細心の注意を払って、アサンジ氏の背景や精神科受診履歴について情報を提供した。彼は刑務所の医療記録に注意深く目を通し、12月の報告書に添付された詳細な要約を提出した。彼は経験豊富な臨床医であり、誇張や仮病の可能性を見逃すことはなかった。私には彼の臨床的所見を疑う理由はまったくなかった。

 神経精神医学の世界的権威であるコペルマンは、アサンジを獄中で評価し、米国で収監された場合には自殺の危険性が高いと結論づけました。バライツァー判事は、「米国への引き渡しが差し迫った場合、アサンジ氏が自殺の方法を見つけることは、精神科医として確信している」というコペルマンの発言を引用している。彼女は、他の専門家もコペルマンの自殺の予測を支持していると述べた。

 米国は控訴についての主張で、バライツァー判事が2019年12月の報告書で、アサンジにはステラ・モリスというパートナーがいて、二人の間には幼い子どもたちがいることを省略したため、コペルマンの証拠を除外すべきだった(または、あまり力点を置くべきではなかった)と言っている。コペルマンは彼らのことを知っていたが、モリスが子どものプライバシーを心配していたことを配慮してのことだった。その後の2020年8月のコペルマンの報告書も、2020年9月の身柄引き渡し聴聞会での証言も、モリスのこと、二人の子どもたちに言及している。それまでに、衆知の事実となっていた。

 バライツァー判事は、1月4日の判決を下す前に、コペルマンの2つの報告書と彼の証言を検討している。そして、最初の隠し事を認めた上での弁明の言葉が以下:
 
 私は、コペルマン教授が、モリスさんとアサンジ氏の関係を開示しなかったことで、裁判所に対する義務を怠ったとは思いませんでした.... 私の判断では、二人の関係を隠すというコペルマン教授の決断は、裁判所に対する義務の観点からは誤解を招く不適切なものであったが、モリスさんの苦境に対する人間として理解できる反応でした.... 要するに、コペルマン教授の意見は公平で冷静なものであり、彼の動機や証拠の信頼性を疑う理由は何もなかったのです。

 英国の裁判所では、控訴裁判所は一般的に、一審が行った事実認定(信頼性の決定を含む)の見直しはしないことが確立されている。

 ホロイド卿判事は、「控訴裁判所が、誤解を招くような証拠が書かれていることが判明したが、それにもかかわらず下級裁判所がその意見を受け入れた専門家証人の立場を考慮しなければならないのは非常に珍しいことである」と認めている。また、控訴裁判所が「下級審の(バライツァー)判事が証拠の評価を誤った」と判断することを「完全に妨げる」ものではないと付け加えた。私の結論は、今回のケースは少なくともそのような力が働く可能性があるということになる。

米国の「確約」

 米国は、アサンジが米国に送還され、裁判を受け、有罪判決を受け、収監された場合、事実上の隔離状態に置かれる過酷な条件である特別行政措置(SAM)を受けたり、コロラド州フローレンスのADX極秘刑務所に収容されたりすることはないという「確約」を提示している。また、米国は、アサンジがオーストラリアで懲役刑を受けることにも反対しないとのことだ。

 しかし、ここで「確約」と言われているものはいずれも条件付きだ。米国は、(アサンジの)将来の行動によっては、SAMを課したり、アサンジをADXに収容したりする権利を有している。また、オーストラリアがアサンジの監禁を受け入れることに同意することを米国が保証できるわけではない。

 米国は、バライツァー判事が引き渡し審問の際に、米国で収監された場合のアサンジの生活や健康状態を考慮して引き渡しを拒否するつもりであることを伝えるべきだったと主張している。そうすれば、米国はその時点で確約を提示することができただろう。しかし、米国の今回の提案は、本来は引き渡し審理で提出すべきだった新証拠となる。

 10月に行われる控訴審で高等裁判所は、米国が控訴している理由を検討し、引き渡しを拒否したバライツアァー判事の判決を維持するか、覆すかを決定する。高等裁判所が地方裁判所の判決を支持した場合、米国は英国の最高裁判所に再審理を求めることができる。高等裁判所が地方裁判所の判決を覆した場合、アサンジは最高裁判所に上訴し、最高裁判所の判決がアサンジに不利なものであれば、欧州人権裁判所に上訴することができる。

 もし米国がアサンジの身柄を引き渡し、スパイ活動法に基づいて裁判を行うことが最終的に認められれば、調査ジャーナリストたちに、米国政府に批判的な内容を発表することは危険であるという不吉なメッセージを送ることになる。そんなことにでもなれば、憲法修正第1条に基づく報道の自由を脅かし、米国民から政府の責任を追及するための重要な情報を奪うことになるだろう。

*
Marjorie Cohn is professor emerita at Thomas Jefferson School of Law, former president of the National Lawyers Guild, and a member of the bureau of the International Association of Democratic Lawyers and the advisory board of Veterans for Peace. Her books include Drones and Targeted Killing: Legal, Moral, and Geopolitical Issues. 

She is a frequent contributor to Global Research.小さい文字

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Assange’s Indictment Treats Journalism as a Crime

14 April 2019


US Imperialism Defeated: UK Court Blocks Extradition of Julian Assange

4 January 2021


Free Press Advocates Call on Biden to Dismiss Trump’s Appeal Against Assange

7 July 2021

The original source of this article is Global Research

Copyright © Prof. Marjorie Cohn, Global Research, 2021

 

無期限に「引き回される」アサンジ

無期限に「引き回される」アサンジ

<記事原文 寺島先生推薦>

Assange to be ‘Moved Around’ Sine Die

グローバルリサーチ

2021年7月15日

レイ・マクガバーン(Ray McGovern)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年8月5日



 報道の自由や、ジュリアン・アサンジの運命が240年前に米国憲法に追加された修正第1条の意味するところに関心を持つ人々にとって、非常に悪いニュース。英国高等裁判所が発表したばかりなのだが、当該裁判所はジュリアン・アサンジの引き渡しを拒否した下級裁判所の判決に対する米国の控訴を審理するとのことだ。

 ゴドーは、米英がアサンジの自由を否定する法的パントマイムを終える前に到着するだろう。
(ゴドー・・・サムエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』を踏まえたもの(訳者))

 高裁の判決は、イギリスがアメリカの属国であることを動かし難いものにすることであり、マグナカルタ800年の遺産など糞くらえ!という代物だ。卑屈な偽善の恥を上塗りするように、高等裁判所の発表は、アサンジに対する最新の起訴の第一証人が証言を撤回してから1週間半後に行われた。

 英国の「司法」関係者が、2012年2月に他ならぬウィキリークスが暴露した詳細な「ワシントン・プレイブック」の手法に従っていることは驚くべきことではない。

 読者の中には、ウィキリークスが暴露した米国の民間諜報会社ストラトフォーの機密メールで、米国がすでにウィキリークス創設者を秘密裏に起訴していることに言及していたことを思い出す人もいるだろう。(秘密裏に起訴するだけでも)十分ひどい。


ジャベール刑事

 ストラトフォーの電子メールには、ストラトフォーのテロ対策・企業セキュリティ担当副社長であるフレッド・バートン(Fred Burton)という、ジャベール刑事のような執拗な追跡者も現れていた。(バートンは、国務省の外交安全保障局のテロ対策部門の次長を務めていた人物である)
 ジャベール刑事・・・もちろんジャンバル・ジャンの天敵。蛇足ながらジャベールは自分の罪に耐えかねて、最後は橋の上から投身自殺をする。(訳者)

 以下はジャベール、いやフレッド・バートンの言葉:
 「彼(アサンジ)を国から国へと移動させ、今後25年間、彼にいろいろな嫌疑を与えよ。特に、彼と彼の家族が所有するすべてのものを押収しろ。ウィキリークスに関わりのある人物はもちろん」。[私見:「国から国へ」は、「裁判所から裁判所へ」と言っても同義]

 「陰謀と政治的テロリズムの容疑を追求し、情報源、つまりウィキリークスにつながりそうな人物の死亡は機密扱いにするな。」

 「アサンジは平和主義者だ。彼はグアンタナモ収容所の水満杯の便器の中に頭を沈めてしまう必要  がある。」

 「彼の金を奪え。彼のインフラを追いかけろ。ウィキリークスを釘付けにして解体するために使っているツールは、アルカイダを解体してその後を辿るために使ったツールと同じだ。」

 「まずこのクソ野郎を破産させ、人生を台無しにしてやれ。共謀罪で7~12年の刑期を食らわせろ。」

 「アサンジを刑務所のきれいな花嫁に。テロリストはくたばれ。彼は永遠にキャットフードを食べることになるだろう・・・アメリカへの引き渡しの可能性がますます高まっている。」

 (バートンの言葉はここまで)

 善良な人々。かつては「内外のすべての敵に対して合衆国憲法を支え、守る」という宣誓をしている。比べるのはおこがましいので、「ジャベール」とヴィクトル・ユゴーには謝罪。

ところでベルマール刑務所に戻ると
 フレッド・バートンのような人物が、ジュリアン・アサンジの処遇のメニューに指図する力があったのかどうか定かではない。(しかし、そうだったからと言って誰が驚くだろうか?)。はっきりしているのは、大規模な草の根運動がもっと盛り上がらない限り、やがて、ジュリアンは法廷から法廷へ、刑務所から刑務所へと、すべて法を口実にして移動させられ、彼に辛うじて残されているものも粉々にされてしまう。これは悲しいパントマイムであり、正義の冒涜劇だ。まさに『レ・ミゼラブル!』。

 拷問に関する国連報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)が指摘したように、ジュリアン・アサンジは世界中の人々が見ている中で心理的な拷問を受けている。そしてこの犯罪が非難に値するのであれば、---いや、それに劣らず危機に瀕しているのは世界各国の民主主義国家だ。自由なメディアがなくして民主主義国家は存立できようはずもない。

 

Last Saturday Julian Assange “celebrated” his 50th birthday in London’s high-security Belmarsh Prison. I was asked to record a message to be loud-speakered at the demonstration in support of Julian before the prison that day. Here is the recording. For those lacking appreciation for my singing, the 8-minute talk is transcribed here.

先週の土曜日、ジュリアン・アサンジは、ロンドンの厳重なベルマーシュ刑務所で50歳の誕生日の「祝い」をした。その日、刑務所の前で行われたジュリアンを支援するデモで、拡声器で流す録音を依頼された。これがその録音。私の歌のよさが分からない人のために、8分間のトークの書き起こしはここに

関連記事

UK High Court Grants Limited Permission for US to Appeal Assange Extradition Ruling

8 July 2021


End Torture and Medical Neglect of Julian Assange

11 August 2020



The Prosecution of Julian Assange Is a Threat to Journalists Everywhere

15 April 2019

いつまで続けるのか。ジュリアン・アサンジへの拷問と医療怠慢ー「アサンジを守る医師団」が世界に呼びかけ

<記事原文 寺島先生推薦>

The Ongoing Torture and Medical Neglect of Julian Assange


Global Research

2021年5月1日

William Hogan, Dr.C.Stephen Frost, and et al.

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年6月1日

 

 「アサンジを守る医師団」を牽引したのはスティーブン・フロスト博士と彼の同僚たちだった

 次のレポートは最初「ザ・ランセット(The Lancet)」(2020年6月25日)に発表されたもの。

 フロスト博士は現在「Covid倫理学のための医師団」という新たな取り組みの先頭に立っている。

***

 ジュリアン・アサンジは、バイデン政権の要請により、英国の最厳戒刑務所(ベルマーシュ刑務所)に強制収監の日々を送っています

 アメリカとNATOの犯罪を暴くのに尽力のあったこの男は、現在、殺人や武装強盗で有罪判決を受けた人々でいっぱいのイギリス最厳戒刑務所(ベルマーシュ刑務所)の住人です。

 ジュリアン・アサンジは、信じられないほど制限の多い過酷な環境の中で独房に入れられています。半年以上前から家族との面会も許されていません。この冬は、家族から送られてきた防寒着も与えられず、独房の中で寒さに震え上がっているのです。彼の背後には致死性パンデミックの世界的な大流行があります。

****

 2020年2月17日、「アサンジを守る医師団」は、ジュリアン・アサンジ(1)に対する拷問と医療怠慢の解消を要求しました。しかし、責任ある当局の動きは何もありません。ニルス・メルツァー(拷問及びその他の残酷な、非人道的な又は品位を傷つける取扱いや刑罰に関する国連特別報告者)と2人の医療専門家は、2019年5月に刑務所のアサンジ氏を訪問しました。そして、彼の処遇は、個人の人格を破壊することを目的とした拷問の一形態である心理的拷問に該当するとの結論に達しました(2)。その後も状況は悪化しており、アサンジ氏の基本的人権は侵され続け、COVID-19による医学的なリスクにも曝されています。

 2020年2月以降、アサンジ氏の米国引き渡し裁判に関連した公聴会が相次いで開催されています。その予定については下にある補遺を参照してください。この間のアサンジ氏の処遇について、国際法曹協会の人権研究所(IBAHRI(3))は「衝撃的で、度を超したもの」と評しています。彼は防弾仕様の囲いの中に拘束され、審理を十分に聞くことができず、弁護士との面会も拒否されています。全裸検査を受け、11回も手錠をかけられ、5つの異なる監房を移動し、依頼人と弁護士が通常持つ意思疎通の権利も奪われているのです(3)

 アサンジ氏は、体調不良のためにビデオを使って出席した審問は1回のみで、その後の4回の審問はCOVID-19による制約や医療上のリスクのために欠席しました。

 英国の刑務所は(COVID-19感染拡大のため)閉鎖措置が取られているので、アサンジ氏は、今後の審理に備えて弁護士と会うこともできないでいます。このような変則的で過度な施設側の対応は、無力感、正当に扱われていないという思い、恐怖感、孤立感を引き起こします。これらはすべて心理的拷問の鍵となる要素です。

 アサンジ氏は、COVID-19に感染する重大な危機に瀕しています。アサンジ氏は非暴力主義者であり、再拘留され、国連の「恣意的抑留に関する作業部会(4)に準じた恣意的な拘束状態にあるので、COVID-19の期間、国際的に推奨されている囚人釈放基準を満たしています(5,6)。しかしながら、監視付きの自宅謹慎を計画に入れた保釈申請は却下され、アサンジ氏は毎日23時間、独房を出ることができません。

 孤立させたり、適切な刺激を与えないことは、深刻な絶望、方向感覚の喪失、不安定、重要な精神的機能の崩壊などを引き起こさせる心理的拷問のお決まりの手口です。最近いろいろなジャーナリストに対して与えられている攻撃を考えると、出版社とジャーナリストに対する心理的拷問は、国際的にも懸念される前例となっています。

 複数の人権団体は、アサンジ氏の釈放を求め、(現在進行中のアメリカへの)引き渡し手続きを非難しています。アムネスティ・インターナショナルは、アサンジ氏の保釈を提唱しています(5)。欧州評議会(7)は、7アサンジ氏の処遇を「メディアの自由に対する最も深刻な脅威」(8)のひとつとみなしています。

  私たちは何度でも繰り返しますが、ジュリアン・アサンジ(1)に対する拷問と医療怠慢はやめるべきです。IBAHRIは、アサンジ氏が心理的拷問の被害者であることを考慮すると、米国への引き渡しは国際人権法上違法(3)のであると述べています。世界精神医学会は、適切な医療行為を手控えること自体が拷問(9)に相当することを強調しています。拷問禁止条約の下では、公的な立場で行動する者は、拷問を実際に実行しなくとも、黙認や同意だけでも共謀と見なされ、責任を負うことになります。

 医師として、私たちには、拷問に対しては声を上げ、報告し、阻止するという職業上および倫理上の義務があります(10, 11)。アサンジ氏の拷問について沈黙することは、彼の死を早めることにつながります(12)。沈黙はだめです。さあ!私たちの輪に入ってください!

 私たちは「アサンジを守る医師団」です。この通信には世界33ヶ国、216名の署名があります。この通信の完全版と署名のリストは以下の補遺をご覧下さい。

*
補遺
1. Doctors for Assange
End torture and medical neglect of Julian Assange. Lancet. 2020; 395: e44-e45

2. Melzer N, State responsibility for the torture of Julian Assange—speech by UN Special Rapporteur on Torture, at the German Bundestag in Berlin, 27 November 2019. 
https://medium.com/@njmelzer/state-responsibility-for-the-torture-of-julian-assange-40935ea5d7c3

3. International Bar Association’s Human Rights Instititute

IBAHRI condemns UK treatment of Julian Assange in US extradition trial.

https://www.ibanet.org/Article/NewDetail.aspx?ArticleUid=C05C57EE-1FEE-47DC-99F9-26824208A750

4. United Nations Office of the High Commissioner for Human Rights
United Kingdom: Working Group on Arbitrary Detention expresses concern about Assange proceedings.
https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=24552.

5. Amnesty International

UK: Assange bail application highlights COVID-19 risk to many vulnerable detainees and prisoners.

https://www.amnesty.org/en/latest/news/2020/03/uk-assange-bail-application-highlights-covid19-risk-to-many-vulnerable-detainees-and-prisoners/

6. Reporters Without Borders. UK: Adjournment of Julian Assange’s US extradition hearing considered amidst coronavirus concerns.
https://rsf.org/en/news/uk-adjournment-julian-assanges-us-extradition-hearing-considered-amidst-coronavirus-concerns

7. Council of Europe
Continued detention of WikiLeaks founder and publisher Julian Assange.
https://go.coe.int/WIMX9

8. Council of Europe
Hands off press freedom: attacks on media in Europe must not become a new normal.
https://rm.coe.int/annual-report-en-final-23-april-2020/16809e39dd

9. Pérez-Sales P
WPA position statement on banning the participation of psychiatrists in the interrogation of detainees.
World Psychiatry. 2018; 17: 237-238

10. Keller AS
Human rights and advocacy: an integral part of medical education and practice.
Virtual Mentor. 2004; 6: 33-36

11. Rubenstein LS
The medical community’s response to torture.
Lancet. 2003; 3611556

12. Johnson L
Psychological torture, coronavirus, and Julian Assange.
https://concurrentdisorders.ca/2020/04/03/psychological-torture-coronavirus-and-julian-assange/



ジョージ・ギャロウェイ:「友人のジュリアンがアメリカの収容所に送られなくて良かった。しかし、この恥ずべきエピソードは、英国の大きな汚点になりました。」

ジョージ・ギャロウェイ

<記事原文 寺島先生推薦>


George Galloway: I’m happy my friend Julian isn’t being sent to a US gulag. But this shameful episode is a huge stain on Britain




RT 論説面
2021年1月4日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年1月30日


George Gallowaywas a member of the British Parliament for nearly 30 years. He presents TV and radio shows (including on RT). He is a film-maker, writer and a renowned orator. Follow him on Twitter @georgegalloway


 ジュリアン・アサンジは偉大で勇敢なジャーナリストとして 歴史に名を残すでしょう。そして彼が自分の崇高な仕事を継続する力を見失うことがありませんように。また、彼をこんな風に迫害することは、この国イギリス、そしてそんなイギリスと同一歩調を取った人々の恥となります。

 世界史的人物になったジュリアン・アサンジは、私たちの時代の最も偉大なジャーナリストであり、発行人でもありますが、アメリカの不正義制度の収容所に強制送還されることはもうないでしょう。ハレルヤ!

 でも ウェリントンがワーテルローの戦いの後に言ったように「危なかった!」のです。

 ドキドキものでした。何よりも、体力は衰えながら優しい気持ちを持ったアサンジ氏、彼の奥さん、彼の子供たち、そして彼のご両親のことを思うとそうです。

 虚偽申し立ての厳しい試練、エクアドル大使館での軟禁(実際は一階のアパート)、そして地獄のベルマーシュ刑務所。ここは万全の警備態勢が敷かれ、凍てつく寒さとCovidには無防備なコンクリートで囲まれています。「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」との銘文が入り口の上部の掲げられていてもおかしくありません。

ALSO ON RT.COM

Blocking Assange’s extradition to the US is the right decision… but it’s been made for the wrong reason

 たまたまですが、私は英国の刑務所職員の労働組合問題に長く関わってきたことで、英国の刑務所職員と最も良好な関係を築いていました。そして拘留中の彼の扱いを適正にするよう、機会があるごとに担当職員に申し入れをしていました。しかしうまくゆきませんでした。

 (私の申し入れがうまくゆかなかったのは)警備員が彼を意地悪に扱おうとしたからではなく、意地悪は上からの指示だったからです。イギリスはジュリアン・アサンジの件で、国がこれまで築き上げた多くの信用を軽率に火中に投じてしまいました。

 現在、野党のリーダーであるキール・スターマー卿は、検察長官でありながら、アサンジに対するセックス事件の告発(その妥当性についてはずっと疑惑が消えていません)の苦悩を長引かせるために、できることは何でもやってくれました。例えば、彼を告発しているスウェーデンの女性二人には、いつもスカスカとした内容しかない告訴のボロが出ても逃げ腰にならないよう説得していました。また、このスウェーデンの女性達には、アサンジを米国に引き渡さない、あるいはロンドンでアサンジと面会するために調査員を派遣するなどの動きには与しないよう説得しました。

 ガーディアン紙は、かつてリベラルな英国の王冠を飾る宝石のような存在でしたが、今は自社のスター記者だったアサンジの、おそらくは中心的な迫害者になってしまいました。ウィキリークスが暴き出した情報のお陰で何年にも亘って散々おいしい思いをしていたのに、です。

ALSO ON RT.COM

Slavoj Zizek: The treatment of Assange is an assault on everyone’s personal freedoms


 国営放送局のBBCは、世界で最も重要な政治犯(アサンジ)は存在しないふりを押し通しました。(アサンジの事案を扱っている中央刑事裁判所のある)オールドベイリーとBBC本社の間の距離はたった2マイルしかないのに、です。

 しかし、イギリスの司法制度のこの計算された底意地の悪さは、全く不要であり、一体どう理解すればよかったのでしょう。未決囚であれば当然与えられてしかるべき保温性のある下着も冬着も与えられていません。(そんな状態で)彼は今も刑務所の地下室に身を横たえています。

 (アサンジに対する)侮辱的な仕打ちには際限がありませんでした。法廷では毎回裸になって所持品検査が行われます。防弾ガラスのブースに入れられて自分の事件の審理経過を追うことができません。裁判官席からは無意味な(そして根拠のない)人身攻撃がありました。この間の審理経過は、公平であるはずの裁判官からも検察官が発するような金切り声が聞こえてくるバナナ共和国*の見せしめ裁判のように見えることもありました。

*バナナ共和国・・・「<侮蔑的な言い方>特に中南米において、バナナの輸出に経済を依存しているために貧しくて、政治的に不安定で、治安の悪い小国(英辞郎)」

 健康上の理由から引き渡しを拒否してはいますが、裁判官は米国の告発を事実上すべて受け入れ、ダモクレスの剣をアサンジや、衰退しつつあるとはいえまだ強力な米国帝国についての不都合な真実を公表する勇気のある他のジャーナリストの頭上にぶら下がったままにしておいたのです。

ALSO ON RT.COM

Only we can lock up journalists and get away with it, UK embassy warns China

 トランプ政権には、この拒否的判決に対して控訴するのであれば7日間の猶予があります。大統領は司法省に控訴はするな、とおっしゃったほうがいいでしょう。もしヴァネッサ・バライツァー判事を説得できなければ、米司法省は他の誰も説得できないということになるでしょう。そして、ここには、現在ホワイトハウスを占拠している男(トランプ)の心に訴えるかもしれないもう一つの理由があります。それは、アメリカの選挙で本当に実際何が起こったのかを知ることができる人間がいるとしたら、それはジュリアン・アサンジだということです。

 最初からジュリアンの運動に参加していた(なんなら私の負った傷をお見せしましょうか?)のでたとえ負けても参加したことの誇りは持ち続けるでしょう。

 今回の勝利を私が今どう感じているかをお伝えする言葉が見つかりません。

  アサンジ氏は力が回復したら、家族と一緒に、すぐにどこか別の場所に移住して、これまでの仕事をぜひ続けて欲しいのです。犯罪者達の犯罪をレポートすることを犯罪とした犯罪者達の手の届かない、どこか安全な場所に。

 

「英国政府は米国の『プードル犬』であり、ジュリアン・アサンジが獄死することを望んでいる」・・・ロジャー・ウォーターズ、RTに語る

<記事原文 寺島先生推薦>
UK govt are 'poodles' for US & want Julian Assange to die in prison – Roger Waters to RT — RT UK News


RT 英国ニュース
2020年12月7日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2020年12月28日



 ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジを罰したいというワシントンの欲求は、ジョー・バイデンが大統領に就任しても変わらないだろうし、英国政府は米国のこの目標達成に手を貸すためには何でもするだろう、とピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズはRTに語った。

 機密文書の漏洩をめぐるスパイ容疑で指名手配されているアサンジの米国送還に関する英国の裁判所の決定は、2021年1月4日に告知される予定だ。

  しかし、ロジャーズ氏は、RTのインタビュー番組「ゴーイング・アンダーグラウンド」で、目前に迫った判決がどうなるかは非常に簡単に予測できると、と語った。英国当局が、「プードル犬のようにワシントンDCの指示に従うことはこれまでと同じだろう。残念だが、大統領がドナルド・トランプからジョー・バイデンになってもその指示内容は変わらない」と彼は言った。

  今秋ロンドンで始まった身柄引き渡し裁判は「完全に仕組まれたもの」だったとロジャース氏は主張した。

 アサンジの弁護団はもちろん判決を不服として上告するだろう。その結果、法的措置は長引き、アサンジは警備が厳重なベルマーシュ刑務所に引き続き監禁されたままになる。「それが彼にとっては大変危機的な事態」とロジャース氏は指摘した。

ALSO ON RT.COM

'You alone can SAVE HIS LIFE': NSA whistleblower Edward Snowden urges Trump to grant clemency to WikiLeaks' Julian Assange

 ウィキリークス創始者アサンジの健康に関する深刻な懸念が繰り返し提起されており、国連の特別報告者は、彼が獄中で「心理的拷問」を受けた兆候があったと以前述べている。

  「権力者はジュリアンが刑務所で死ぬことを望んでいる」とロジャースは「ゴーイング・アンダーグラウンド」のホストであるアフシン・ラッタンシに語った。

  英国当局者は、アサンジを獄中にとどめておくことで、「人権に関する普遍的な宣言...あるいは法や正義に目もくれない」、アサンジは「軽微な保釈条件違反以外何の罪も犯してはいないのに」と彼は言葉を続けた。

  ロジャーズはトランプ氏を強く批判してきたが、民主党ジョ-・バイデンに大統領職が移行しようと

している現在、彼のトランプ批判は少し抑え気味になっている。というのもバイデンは昨年アサンジに「ハイテクテロリスト」のレッテルを貼っていたからだ。「バイデンは米国の寡頭政治の下僕だ。彼は信用できない」と警告した

大統領はその帽子あるいは名前が変わった。今の名前は「バイデン」。以前の名前は「トランプ」だ。政策が変わることはないだろう。

 実際、変化があるとしても、表面的な変化に限られるだろう。バイデンは「公の場ではドナルド・トランプのように下品にはならないだろう」とロジャーズ氏は示唆している。

  「どうなるのかね。4年後民主党全国委員会(DNC)が目を覚まし、普通に働いているアメリカ人のニーズと願望を代表する候補者を支持するようになるのかね」と彼は付け加えた。

 

 

ジュリアン・アサンジの即時釈放を求める声が各方面から上がる――現職国家元首、首相、国会議員、13名の大統領経験者などが英国政府に要求


<記事原文 寺島先生推薦>
They Call for Assange’s Immediate Release: Heads of state, prime ministers, parliamentarians, members of Congress, … demand Assange be set free
Thirteen Former Presidents Urge United Kingdom Government to Immediately Free Julian Assange
.


By Lawyers for Assange
Global Research, September 21, 2020
Consortiumnews 20 September 2020

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2020年10月15日


リストの最新版はこちらをクリック

 ジュリアン・アサンジ氏はロンドンの中央刑事裁判所で米国への身柄引き渡しと戦っているが、13人の元国家元首、現国家元首、多数の大臣、国会議員、外交官を含む100人以上の著名な政治家が本日、今回の手続きの違法性を非難し、アサンジの即時釈放を訴えた。

 27カ国の、あらゆる立場の政治家たちが、189人の独立した国際的な弁護士、裁判官、法学者、そして弁護士会と歩調を合わせ、米国の身柄引き渡し要求と身柄引き渡し手続きが国内法と国際法に違反し、公正な裁判権やその他の人権を侵害し、報道の自由と民主主義を脅かしていることを警告する英国政府への公開書簡を支持した。

 ジュリアン・アサンジの解放を求める呼びかけに賛同する政治家には、ジェレミー・コービン、ルイス・サパテロ元スペイン首相、欧州議会の数人の議員、ブラジルのルーラ・ダ・シルバ元大統領、同じくブラジルのディルマ・ルセフ元大統領、そしてアサンジを解放するための超党派議会グループのオーストラリア議員たちが含まれている。

 英国議会議員、スコットランドの元司法長官、弁護士のケネス・マカスキル氏は、「これは法的手続きではない政治的な磔刑であり、真実とそれを暴露する者を葬ろうとしている」とコメントしている。

 国際政治団体による英国政府への前例のない訴えは、アムネスティ・インターナショナル、欧州評議会、アメリカ市民自由連盟、国境なき記者団、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、その他多数の権利団体が、アサンジ氏の起訴が報道の自由に与える影響について懸念を表明したことを受けてのものだ。アムネスティ・インターナショナルがアサンジ氏への告発を取り下げるよう米国政府に求めた請願書は、40万人以上の署名を集めた。

 今日は、身柄引き渡し公聴会の第3週目の始まりである。この公聴会については、裁判公開の原則が守られていないとの批判が広がっている。というのは、アムネスティ・インターナショナルやPENノルウェーなどの独立したオブザーバーが裁判をネット中継で視聴できないようにされているからだ。

 トランプ政権は、英国からアサンジ氏の身柄引き渡しをするよう求めている。その理由は、アサンジ氏のジャーナリストとして、また出版者としての活動がスパイ活動法から見て起訴の対象となるためだとしている。米政府が起訴しようとしているのは、2010年にアサンジ氏が公開した情報についてだ。アサンジ氏がその情報を明らかにしてくれたおかげで、公衆に知らしめるべき大切な情報(イラクやアフガニスタンでの米国の戦争犯罪の証拠など)に光が当たったのだ。

 先週の公聴会で裁判所が聞き取ったことは、
①ジュリアン・アサンジ氏とウィキリークスが情報提供者を保護するために慎重な編集を行ったこと、
②彼らが情報公開することによって被害を受けた情報提供者は一人もいないこと、
③ジュリアン・アサンジ氏とウィキリークスは編集されていない電文を公開したとは認められないこと、
である。それにもかかわらず、起訴状には機密情報を公開するすべてのジャーナリストとすべてのメディアを起訴する権利が米国にはある、と書かれている。

主な意見表明から:


ルイス・イナシオ・ル・ダ・シルヴィア、ブラジル大統領(2003-2010)、パリ名誉市民(2020)、ノーベル賞候補(2018):

「全てのジャーナリスト、全ての弁護士、全ての組合員、全ての政治家を含む地球上の民主主義者たちが、アサンジ氏が強制送還されないように自分たちの意見を表明する勇気がないとすれば、それは嘘つきの民主主義者がたくさんいるということになるでしょう。アサンジ氏は民主主義の英雄だと認識すべきです。彼には処罰に値することなど何一つありません。願わくは、イギリス国民、フランス国民、アメリカ国民がこの暴虐を許しませんように。ある黒人が警官の膝で殺されました。今度は世界中の為政者たちの何百万という膝がアサンジ氏を窒息させて殺すのですか?私たちにそんなことを許す権利はありません。」

アンドリュー・ウィルキー、オーストラリア連邦議会議員、タスマニア州クラーク選挙区の無所属議員、そして「ジュリアン・アサンジを家に返そう!」議員グループの共同代表:

「ジュリアン・アサンジ氏は、米国の戦争犯罪の確固たる証拠を含む公益性の高い情報を公表したことで、政治的に迫害されています。これらの戦争犯罪の加害者であるアメリカが今、アサンジ氏の身柄引き渡しを求めていることは、不当極まりないものであり、イギリスの法律では違法であることはほぼ間違いありません。これが実行されれば、アサンジ氏は175年の懲役に直面するだけでなく、オーストラリアの全ての人々、特にジャーナリストは、自分の意見で神経が逆撫でられたどんな国にも犯罪者として送還される危険性の淵に立たされることになります。」

ミクラス・ペクサ、欧州議会議員、「産業、調査そしてエネルギー」委員会所属:
「言論の自由は、21世紀に入っても重要な価値観であることに変わりはありません。自由な言論が時に不都合な真実を明らかにすることもありますが、私たちは全力でそれを守ります。」

Open Letter: http://www.lawyersforassange.org/en/open-letter.html
Political endorsements: http://www.lawyersforassange.org/en/endorsements.html
Legal signatories: https://www.lawyersforassange.org/en/signatories-all.html
Contact: lawyers4assange@protonmail.com

賛同する政治家の一覧
国家元首

1. Alberto Fernández, President of Argentina (2019), lawyer, Professor of Criminal Law (University of Buenos Aires), former Chief of the Cabinet of Ministers, adviser to Deliberative Council of Buenos Aires and the Argentine Chamber of Deputies, deputy director of Legal Affairs of the Economy Ministry, Argentina

2. Cristina Fernández de Kirchner, Vice President of Argentina (2019), President of Argentina (2007-2015), lawyer, Argentina

3. Dilma Rousseff, President of Brazil (2011-2016),economist, former Minister of Energy and former Chief of Staff of the Presidency of the Republic, Brazil

4. Ernesto Samper, President of Colombia (1994-1998),lawyer, economist, former Secretary General of UNASUR, Senator of the Republic and Minister of Economic Development, Ambassador of Colombia in Spain, Colombia

5. Evo Morales Ayma, President of Bolivia (2006-2019), trade unionist, activist and Bolivian leader of Aymara descent, President of the Six Federations of the Tropic of Cochabamba, Former President pro tempore of UNASUR and CELAC, Bolivia

以下114までについては記事原文をご覧下さい。


ジュリアン・アサンジのアメリカへの身柄引き渡し公聴会:裁判はやればいい、だけではすまない。文字通りの「視覚化」が必要。


<記事原文 寺島先生推薦>

Julian Assange extradition hearing: Why justice must not only be done, but be ‘seen’ to be done – literally


RT 論説面
2020年9月7日
ニール・クラーク


Neil Clark is a journalist, writer, broadcaster and blogger. His award winning blog can be found at www.neilclark66.blogspot.com. He tweets on politics and world affairs @NeilClark66


<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2020年9月28日




 新たに再開されたアサンジの身柄引き渡し公聴会において、市民団体と政治監視団体あわせて40団体がオンライン上から見守ることを拒否された件は、今回の事案の重要性から強く批判されている。また、人々が不安な気持ちを持つ理由は容易に理解できる。 

 「単に重要だというばかりでなく、根本的に重要なことは、裁判はただやればいいというものではなく、それが人々の目にはっきりと疑いもなく見える形で行われなければならない、という点だ」というのは、ヒューワート主席裁判官の有名な宣言の中にある言葉だ。

 悲しいかな、今日ロンドンで再開されたジュリアン・アサンジの身柄引き渡し公聴会では、まさにその点がそうなっていない。アムネスティ・インターナショナルと国境なき記者団は、公聴会への遠隔アクセスを拒否された40の市民団体や政治監視団体のうちのほんの2例に過ぎない。 

 コロナウイルスの規制で、この時期イギリスには来られず、傍聴席には限られた空間しかない(アサンジの父親はその限られた空間で審理を見ていた)中で、オンライン上から裁判を見守れることはこれまで以上に重要だった。しかし、当局の考えは違うようだ。



 「Bridges4Media」というグループによると、英国司法省からの書簡には、バライツァー地方判事による「法廷の品位の維持」の懸念が引用されていたという。同判事は、2月の公聴会の画像がソーシャルメディアに掲載されたことを懸念していた。 

 法廷報道の規則は厳格であり、その規則に抵触して司法妨害の罪に問われた面々にはご愁傷様としか言い様がない。しかし、この事案の政治的な影響が桁外れであることを考えると、監視団体がオンラインで公聴会の様子を見ることができないのは疑問であることは確かだ。実際、この事案の重要性を考えると、誰もが見ることができるように、公聴会の様子をテレビの生中継で流すべきだという意見を議論の俎上に載せることは可能だろう。


ALSO ON RT.COM 

London court resumes Assange hearing amid worldwide protests against his extradition to US 

 人権保護団体アムネスティは、人権問題の事例においては通常外部からオンライン上で裁判を見守ることが許可されているが、今回の件では許可されていない。アサンジの支持者たちの言い分は、これもアサンジの裁判が特別扱いされている一例であり、しかもどの団体に対しても同じだ、という点だ。

 公正な社会の基本原則である「推定無罪」という点からも論じてみよう。 アサンジはレイプで告発されたが、起訴はされなかった(最終的には不起訴になった)。しかし、そのことは「体制側と同じ穴の狢(むじな)」である有象無象のコメンターたちが、アサンジを「レイプ魔」と中傷するのを止められなかった。皮肉なことに、アサンジを公に非難したコメンターの多くは、おそらく自分たちを「リベラル」だと思っているのだろう。しかし、今回彼らは、法的に確立された事実だとして、よりにもよって、ある大真面目な申し立てをしていた。アサンジは「起訴されなかったから無罪」なのではなくて、「告発されたから有罪」だと言うのだ。公正を信じる者であれば、誰がそんなことを支持するだろう。

ALSO ON RT.COM 

John Pilger: The Stalinist trial of Julian Assange 

(翻訳版はこちら )

 ロンドンでの月曜日の公聴会の前に、アサンジは6月にアメリカ政府が発令した新たな起訴状で再逮捕された。その起訴状には、コンピューターのハッキングを企て、国防情報の入手と公開を含む18の新しい罪状が含まれている。アサンジの勅選弁護人は、この最新の起訴は予告なしに「ぎりぎりの時間」に行われたと訴えたが、DJバライツァー地方判事はその異議申し立てを却下した。新たな告発に備えるための弁護側の更なる延期要請も却下された。バライツァー判事は以前にその提案をアサンジの弁護団に申し出たことがあったが、それは弁護団によって拒否された、とのことだ。 

 アサンジはすでに16ヶ月、重警備のベルマーシュ刑務所に収監されている。次のことを考えてほしい。ジュリアンと同じ時期にベルマーシュ刑務所にいたのは、スデッシュ・アマンという男だった。アマンは2018年11月、テロ情報を含む文書を所持し、テロリストの出版物を広めた罪で懲役3年半の判決を受けていた。アンマンはナイフ攻撃を実行することに執念を燃やしていたようだ。アサンジが刑務所内部でぐったりしている間に、「イスラム国(IS)」を支持するアマンは2020年1月23日にベルマーシュから釈放された。 そうして何が起こったか?完全に予想通り、自由を与えられた数日後に、アマンはストリータム・ハイストリート(ロンドン)で刺殺事件を起こした。彼は警察に射殺される前に2人を刺して負傷させた(1人は重体)。

 どちらが一般市民により大きな脅威を与えたのか。アマンかアサンジか?明らかにアマンの方だ。しかし、アマンは釈放され、アサンジの苦難は続いている。祈りに近いかもしれないが、みんなで期待したいのは正義が果たされることだ。そして同じくらい重要なのは、正義が果たされるところをこの目で見られることだ。

 

ジョン・ピルジャー:ジュリアン・アサンジに対するスターリニスト的裁判


<記事原文 寺島先生推薦>
John Pilger: The Stalinist trial of Julian Assange
RT 論説面

2020年9月7日

ジョン・ピルジャー

John Pilger
Journalist, film-maker and author, John Pilger is one of two to win British journalism’s highest award twice. For his documentary films, he has won an Emmy and a British Academy Award, a BAFTA. Among numerous other awards, he has won a Royal Television Society Best Documentary Award. His epic 1979 Cambodia Year Zero is ranked by the British Film Institute as one of the ten most important documentaries of the 20th century
.

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2020年9月25日



 ジュリアン・アサンジの長い壮絶な試練を報じたジョン・ピルジャーは、ウィキリークス編集者である彼の身柄引き渡し公聴会が最終段階に入った9月7日、ロンドンの中央刑事裁判所の建物の前で以下の演説を行った。

 10年以上前にジュリアン・アサンジに初めて会ったとき、私は彼になぜウィキリークスを始めたのかと尋ねました。彼はこう答えました:「透明性と説明責任は、道徳的問題であり、それは公共生活とジャーナリズムの本質でなければならないものだ

 私は、出版人や編集者が道徳をこんな風に唱えるのをこれまで耳にしたことは皆無でした。アサンジが強く思っているのは、ジャーナリストは人々の代理人ではあっても権力の代理人ではない、ということです。つまり、私たち国民は、国民の名で行動していると言い張る人々の最も暗い秘密を知る権利を持っているだ、と彼は言っているのです。

 もし権力者が嘘をつくなら、私たちは真相を知る権利があります。もし彼らが非公式にはこう言い、公の場ではそれと全く反対のことを言うなら、私たちは真相を知る権利があります。ブッシュやブレアがイラクでやったように、彼らが私たちに対して陰謀を企て、民主主義者のふりをするなら、私たちは真相を知る権利があります。

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 こういった目的を持った道徳性こそが権力者たちの結託を脅かすのです。彼らの願望は世界の多く地域を戦争に突入させ、トランプのファシストアメリカの中にジュリアンを生き埋めにすることです。

 2008年の米国国防総省の極秘報告書には、米国がこの新たな道徳的脅威に対抗する方法が詳細に記述されていました。ジュリアン・アサンジに対して個人的な中傷キャンペーンを秘密裏に指示すれば、それは「彼を表舞台に引きずり出し、[そして]刑事訴追へと」つなげることになるだろう、というのです。

 目的はウィキリークスとその創設者を黙らせ、犯罪人に仕立て上げることでした。どのページにも、たった一人の人間に対して、そして言論の自由、思想の自由、さらには民主主義の原則そのものに対する戦争が到来することがはっきり記述されていました。

 帝国の突撃隊とは、自称ジャーナリストたちのことなのでしょう。いわゆる主流派の大物たちのこと。特に意見の分かれる所に狙いを定め、そこを巡回して回る「リベラル派の人々」のことです。

 そして、それが今回起こったことなのです。私は50年以上も記者をしてきましたが、このような中傷キャンペーンは見たことがありませんでした。「記者クラブ」への入会を拒否した男がその人格暗殺を仕組まれました。彼の信念は、ジャーナリズムは人々に奉仕するものであって、人々の上に立つ人間たちに奉仕するものではない、ということです。

 アサンジは彼を迫害する者たちの面目を潰しました。彼は、スクープの上にスクープを次々と重ねました。彼はメディアが推進する戦争の不正を暴き、アメリカの戦争の殺人性、独裁者たちの腐敗、グアンタナモ刑務所の数々の邪悪な振る舞い、を暴露しました。

 彼は西側にいる私たちに鏡を見ることを強要したのです。彼は、メディアの世界で真実の公式の語り手とされている人たちが(帝国の)協力者であることを暴露したのです。彼らのことは、「ビシー」(訳注:第二次世界大戦時、ペタンによる対独協力政府が置かれたフランス・オーベルニュ・ローヌ・アルプス地方北西部の温泉都市)ジャーナリストと呼びたい。アサンジが自分の命が危ないと警告しても、この詐欺師たちはだれ一人信じなかった。スウェーデンでの「セックススキャンダル」は仕組まれたものであり、アメリカという地獄のような場所が彼の辿る究極的な運命になっていると警告しても彼らはだれ一人信じなかった。そして彼の言っていることが正しかったのです。何度も正しかったのです。

 今週行われるロンドンでの身柄引き渡し公聴会はジュリアン・アサンジを葬ろうとする英米の最後の作戦行動です。適正な法手続きはありません。あるのは復讐の手順です。アメリカの起訴は明らかに不正なものであり、まやかしであることは隠しようもありません。これまでの流れを見ると、公聴会は冷戦時代のスターリン主義者たちの動きを彷彿とさせるものです。

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 今日、「マグナ・カルタ」を私たちに与えてくれた国イギリスは、悪意のある外国権力に司法を操作することを許し、自国の主権を放棄したこと、そして、ジュリアンに悪質な心理的拷問を加えていることで以前のイギリスではなくなっています。ジュリアンに加えられている心理的拷問は、国連の専門家であるニルス・メルツァーが指摘したように、ナチスがその犠牲者たちの反抗心を打ち砕くのに最も効果的であるとして、洗練された拷問の一形態です。

 ベルマーシュ刑務所のアサンジを訪ねるたびに、この拷問の影響を目の当たりにしてきました。私が最後に彼と会った時、彼の体重は10キロ以上も落ちていました。腕の筋肉は完全になくなっていました。信じられないことですが、彼のしゃれたユーモアのセンスは昔通りでした。

 アサンジの祖国のオーストラリア政府は、国民的英雄として称賛されるべき自国民に対して密かに陰謀的な企てを図ってきたために、ただひたすら卑怯な態度を示すばかりです。何の見返りもなしに、ジョージ・W・ブッシュがオーストラリアの首相を「副保安官」に任命したわけではありません。

 今後3週間でジュリアン・アサンジに何が起こっても、欧米の報道の自由は、破壊されないにしても、衰退すると言われています。しかし、どの報道機関ですか?ガーディアン紙ですか?BBC、ニューヨーク・タイムズ、ジェフ・ベゾスのワシントン・ポスト紙ですか?

 ここに掲げたメディアのジャーナリストたちは自由に息ができます。ジュリアンと表向き歩調を合わせ、彼の画期的な仕事を利用し、金を稼ぎ、彼を裏切ったガーディアン紙のユダたちは何も恐れることはありません。彼らは権力に必要とされているから安全なのです

 報道の自由の行方は、今では誇り高き少数者にかかっています。つまり、主流メディアの枠外にいる人たち、インターネット上の反体制派で、「記者クラブ」には属しておらず、金持ちでもなければピューリッツァー賞を貰ったわけでもないのに、健全で、体制に反抗的で、道徳的なジャーナリズムを生み出している人々、つまりジュリアン・アサンジのような人たちです。

 他方、私たちの責任は真のジャーナリストの側に立つことです。彼の掛け値のない勇気は、自由が可能であると信じる私たちすべてにとって啓示となるはずです。彼に敬礼!

ドイツ政府はアサンジにも救いの手を!――あるドイツ国会議員の訴え

<記事原文 寺島先生推薦>
If Berlin can bring Russia’s Navalny to Charite hospital, why can’t it help Assange? German MP asks


RT ワールドニュース
2020年9月7日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年9月24日




 ひとりのドイツの国会議員が、「重病」状態にあるウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジに医療支援を提供するようドイツ政府に求めている。ドイツ政府は、ロシア反体制派のアレクセイ・ナバルニーの件では努力を惜しまなかったではないか、というのが彼女の言い分だ。

 ドイツ政府は、アメリカが音頭を取る「ジャーナリスト、報道の自由、そして民主主義に対する」攻撃への加担を止めるべきだと、ドイツ連邦議会の左派議員団の副団長であるハイケ・ヘンゼル氏は、イングランド・ウェールズ中央刑事裁判所の建物の前で、集まったアサンジ支持者への演説の中で述べた。

 ファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドやジャーナリスト、ドキュメンタリー映画監督ジョン・ピルジャーを含む何十人もの人々が、ウィキリークスの創始者であるアサンジを支持し、月曜日アメリカへの送還について再審問を行う前に彼を釈放せよとの要求のためにこの裁判所に集まってきた。アメリカに送還されれば、彼は最大175年の刑を言い渡される可能性がある。



 ヘンゼル議員はその演説で、彼女と同僚の議員は「この裁判で示された諸条件には二の句が継げませんでした。また、これは口が裂けても『公正』と呼べる代物ではありません」と述べた。ヘンゼル議員はイギリス政府にこの法的手続きを「終わりにするよう」呼びかけた。さらに、「今起こっていることには耳を疑ってしまいます・・・この法廷でのことですよ」と語った。

ヘンゼル議員は自国のドイツ政府にも疑問を持っていた。アレクセイ・ナワリヌイ氏の事件では、ドイツ政府が何のためらいもなく、自らを正義と人権の擁護者と見立てていたからだ。

私は自国のドイツ政府に尋ねる:ドイツ政府がロシアの[反体制派]アレクセイ・ナワリヌイ氏をベルリンのシャリテ病院に連れてくることができるならば、なぜ重病のジュリアン・アサンジ氏にも同じ申し入れをしないのか?

 政治家の汚職に反対するブロガーから反体制活動家に転身し、熱烈なクレムリン批判者となったナワリヌイ氏は、シベリア上空を飛ぶ飛行機の中で気分が悪くなった。彼はすぐにシベリアの都市オムスクにある病院に運ばれた。そこで医師が彼の状態を安定させ、医療行為を施す中で彼は昏睡状態になった。

 二日後ナワリヌイ氏は、民間のジェット機でドイツに運ばれた。彼の家族と支援者たちがオムスクの医師たちに圧力をかけ、彼の移送を認めさせたからだ。ドイツで彼は、ドイツ連邦軍(Bundeswehr)の集中治療用救急車で、ベルリンの有名なシャリテ病院に搬送された。正式に「首相(アンゲラ・メルケル)の賓客」となった。

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John Pilger: The Stalinist trial of Julian Assange

 しかし、ベルリンはこれまでのところ、ウィキリークスの創始者の運命へは、ナワリヌイ氏の場合よりはるかに低い関心しか示していない。彼は過去16ヶ月間、厳重に警備されたベルマーシュ刑務所で過ごし、1日最大限23時間独房に監禁され、面会も許されていないのだ。49歳のアサンジ氏は、健康状態の悪化を繰り返し訴え、拷問についての国連報道官ニルス・メルツァー氏が「長期にわたる心理的拷問」と呼んでいるものに科せられている。

 ヘンゼル氏はアサンジ氏の「ドイツ国内あるいは欧州連合内での政治亡命」を認めるようドイツ 政府に要求している。しかし、現状では、ウィキリークスの創始者アサンジ氏は、月曜日に米国の要請で開かれる身柄引き渡しの再審問を受けることになっている。

 ジャーナリストであるアサンジ氏に課せられた罪状には、共謀罪、支援のハッカーを雇ったという漠然とした告発、米国スパイ法違反、元米陸軍の内部告発者チェルシー・マニングを支援しようとしたとされる「コンピュータ侵入共謀」罪などが含まれている。

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Julian Assange extradition hearing: Why justice must not only be done, but be ‘seen’ to be done – literally

「だれも分からない」ベルマーシュ刑務所におけるCovid-19蔓延の実態――ウィキリークス編集者の懸念

<記事原文 寺島先生推薦>
‘No one knows’ how widespread Covid-19 may be in Belmarsh, WikiLeaks editor says as concerns over prison conditions raised

RT UK News 2020年4月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 
2020年4月15日
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  Covid-19の危機は、イギリスの刑務所の受刑者に「悲惨な状況」を作り出していると、ウィキリークスの編集者クリスティン・フラフンソンは警告している。その中には、ジュリアン・アサンジが緊急保釈を求めたにもかかわらず拘束されているベルマーシュ刑務所も含まれている。

  アサンジの米国への引き渡しを阻止するためにウィキリークスの公式キャンペーンが投稿した動画の中で、フラフンソンは、囚人はほとんどが独房に収容されており、「どんな活動にもアクセスできない」と述べている。

この刑務所の環境がCovid-19のような病気にとって最悪の環境であることを理解するのは専門家でなくてもできることです。

裁判官バネッサ・バライツァは先週、アサンジの弁護団が申請した保釈請求を却下した。今回のパンデミックはアサンジの釈放の「根拠にはならない」という判決内容だ。この判決は、彼が慢性的な肺不全に苦しんでおり、もし今回のウイルスに感染した場合、ハイリスクな事例になるかもしれないという事実を踏まえていない。



  バライツァーは、今回の申請却下について、ベルマーシュ刑務所ではコロナウイルス感染例がまだないことをその正当性の根拠とした。しかし、アサンジの弁護士エドワード・フィッツジェラルドQCは最近、新型コロナウイルスという伝染性の高い病気の蔓延を恐れ、100人の刑務所職員が自己隔離しているとの理由で、弁護団は同刑務所に立ち入ることを拒否された、と主張している。

  フラフンソンはまた、いくつかの刑務所では、定期的にインフルエンザのような症状を持つ受刑者が、新型コロナウイルスの陽性反応が出た他の受刑者と一緒に独房に入れられ、このより深刻な感染症に感染する可能性があるとの複数の報告を非難した。このような状況は「犯罪ではないにしても、とんでもないことだ」と彼は言った。

  「ベルマーシュ刑務所の中で新型コロナウイルスがどのくらい蔓延しているのか、誰も知らないし、検査もしていない。ジャーナリストがいくら質問しても、たとえその答えを引き出しても、ミスリーディングな答えしか返ってこない。」

  ウィキリークス編集者フラフンソンの警告は、英国の調査サイトDeclassified UKが、アサンジが保釈条件違反で拘束されているベルマーシュ刑務所の2人の囚人のうちの1人に過ぎないことを明らかにしたことを受けてのものだ。

ALSO ON RT.COM5e7b8e1d20302711cf1e4c44.jpg
‘Imprisonment should be last resort...in crisis’ – UN rights chief on prisoners’ fates amid Covid-19 outbreak

  英司法省(MOJ)がこの調査サイトに提供した数字によると、受刑者の約2割が殺人罪で拘束されており、全体の3分の2が凶悪犯罪で投獄されていた。囚人のうち20人が児童に対する性犯罪、16人がテロ関連の犯罪で拘束されていた。

  アサンジと同様のカテゴリーで拘束されているのは他に一人だけで、書類には「裁判所/警察へ保釈金を可及的速やかに納入し」なかったと記載されている。

  Declassified UKはまた、ベルマーシュ刑務所はアサンジのような健康状態にある収監者にとって「特に危険な」刑務所である可能性を明らかにした。というのも同刑務所は「適切な感染防止対策が取られていない」ために「2005年以来、刑務所監査官によって繰り返し批判されてきた」のだ。

  2007年、2009年、2013年に行われたこの調査サイトの公式チェックでは、適切な感染対策が実施されていないことが突き止められている。2018年の報告書には、同刑務所がやっと「適切な感染制御」ポリシーを取り入れたことが記載されている。 しかし、2019年の「the Independent Monitoring Boards(独立監視委員会)」による報告書では、ベルマーシュ刑務所のシャワーとトイレの状態は「最悪」との記述になっている。


ジョージ・ギャロウェイ:米国政府のチェルシー・マニング迫害は中世の刑罰:「舌切断の刑」「真実の謀殺」

<記事原文 寺島先生推薦>
George Galloway: US govt’s persecution of Chelsea Manning is medieval punishment, the cutting out of tongues, the murder of truth

RT Op-ed ジョージ・ギャロウェイ
George Galloway
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was a member of the British Parliament for nearly 30 years. He presents TV and radio shows (including on RT). He is a film-maker, writer and a renowned orator. Follow him on Twitter @georgegalloway
2020年3月12日

<記事翻訳>寺島メソッド翻訳グループ
2020年4月7日

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チェルシー・マニングのような真実の語り手を処罰しようと米国政府が躍起になっているのは、報復もあるが、究極の目的は恐怖感を与え、マニングやジュリアン・アサンジのような人物が絶対に出てこないようにすることである。

以前はブラッドリー・マニングという男性だったこの女性チェルシー・マニングは米国政府の重大犯罪や軽犯罪について赤裸々な真実を明らかにしたが、現在米国政府の迫害下にある。その彼女が自殺未遂事件を起こした。

彼女がウィキリークスに漏らした情報は、ウィキリークスに掲載された「戦争記録」の基礎となっており、翻って、それが米国政府によるウィキリークスの発行人ジュリアン・アサンジへの迫害の基礎となっている。

ALSO ON RT.COM5e6975b52030274846537824.jpg
Chelsea Manning attempted suicide while in jail for refusing to testify against WikiLeaks – lawyers

マニングは、戦争犯罪についての真実の情報を漏らした罪で、カンザス州の刑務所で35年の刑期を7年間服役した後、オバマ大統領の減刑措置で釈放された。事実上は現在終身仮釈放の身である。彼女は赦免された訳ではないが、その後の彼女の逮捕と投獄は事実上の「二重危険」であり、同じ罪で二重に処罰されないという刑法上の大原則に違反している。

大事なことは、マニングが大陪審(その存在は長年にわたって国家機密であった)に対してジュリアン・アサンジに不利となる証言を拒否していることだ。彼女は、この事案では何も新しい告発事由があるわけでもないし、判決も受けていない。しかし、恣意的、残酷、そして通常ではないことがはっきりしている罰(この3つともすべて米国憲法で禁じられている)として、彼女は1年近く拘束され、1日1,000ドルの罰金を科されている。この罰金は彼女の弁護団に依れば、現在50万ドルという途方もない額に達していると言う。アサンジがイギリス、そしてヨーロッパでの法廷闘争を続けている間ずっと彼に対する不利な証言を拒否し続ければ、マニングは米国政府に何百万ドルもの借財を背負うことになり、何年も獄中で過ごすことになるだろう。

真実の語り手であるマニングとアサンジを処罰しようと米国政府が躍起になっている剥き出しの執拗さは、もちろん、ひとつにはずばり報復だ。

ベトナム戦争でさえ、イラクやアフガニスタンで後先も考えないで引き起こした大惨事ほど、アメリカの評判を大きく傷つけてはいない。アメリカの歴史的なアイコンは自由の女神などではなく、アブ・グレイブ刑務所の床で性的虐待を受け、お互いにわいせつな行為をさせられている囚人の山であることを動かし難くした。

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Julian Assange is the victim of a power struggle in the US between Donald Trump and the deep state


確実となったのはハリウッドのどんな映像も、顔の見えない管制官がヘリコプターの機銃射手に「そいつらに点火しろ」と命令した映像ほど最終的に有名になるものはないだろう、ということだ。この映像にはロイターの複数の記者や子供を連れた複数の父親がイラクの地上で殺され、怪我を負わされているところが映っている。このような真実を、勇気を持ってリークし、公表した人々に対するディープ・ステートの怒りの規模は、ディープ・ステートそのものと同じくらいの深みに達している。アメリカにとって、もう二度と嬉しい自信に満ちた朝は訪れないだろう。

しかし、報復だけには終わらない。アサンジとマニングに対する無慈悲な迫害の究極の目的は、ジュリアン・アサンジやチェルシー・マニングのような人物が二度と現れないようにすることだ。世界の自由なジャーナリズム、自由な出版を脅かす効果があり、それが重要な目標となっている。誰が次のチェルシー・マニングになるのかな?という質問を彼らは投げかけている。皮肉なことに、これはイラク侵攻そのものの動機と似ている。

イラク戦争は「石油のため」ではなかった。もちろん石油は重要な動機ではあったが。「イスラエルのため」でもなかった。もちろんそれも重要な動機ではあったが。イラク侵攻、今もなおその影響を引きずっている戦争と占領の真の目的は、アメリカの力で世界を恐怖に陥れることだった。「アメリカの新しい世紀」を確実なものにするために。それがすべて失敗したことで、アメリカの怒りがますます殺人者の風貌を呈しているにすぎない。

拷問用の輪も釘もないが、これは中世の刑罰でしかない。ジュリアンとマニングは、車輪に押しつぶされている二匹の蝶だ。舌切断の刑に処せられているし、真実の謀殺が行われている。


もしイギリスが衰弱したジュリアン・アサンジをコロナウイルスで感染した監獄で死なせるようなことになれば、その血の責任はイギリス政府にある

<記事原文 寺島先生推薦>

WikiLeaks' founder Julian Assange leaves Westminster Magistrates Court in London

RT Open-ed 2020年3月24日
クリス・スイーニー

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

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イランのような国でさえ、何千人もの非暴力犯罪者を刑務所から出している時に、英国が一人のジャーナリストについてその頑なな態度を少しも変えようとしなければ、弁解の余地はなくなる。まず言えるのは、そんな頑なな態度を取ることで、英国はこれまでの歴史の中で経験したこともないような優位なモラルの立場を放棄することになる、ということだ。

ジュリアン・アサンジは過去10年間、ほとんどすべての重要な政治的出来事の中心にいたか、あるいはそれに何らかの関わりを持っていた。そして今彼は、いつの間にか、広まるコロナウイルスのパンデミック危機の舞台の中央に立たされている。

明日水曜日、彼の弁護団は、彼の拘束を解き、ロンドンのベルマーシュ刑務所から保釈するように申請する。弁護団の主張は、同刑務所の過密状態は、ジュリアン・アサンジをコロナウイルスに感染させる危険性が非常に高く、だから解放せよ、というものだ。

この主張は、100人以上の医師が医学雑誌「ランセット」ではっきり言い切っている内容でさらに重みが加わる。それは、コロナウイルスの脅威がなくても、今のジュリアンは「健康について極めて危機的な状態」にあるというもので、彼は二重の脅威に晒されている。

私にとってそんなに難しい理屈はいらない。もし私が責任者なら、私は鍵を独房の鉄格子越しに投げ入れ、あとのことはジュリアンに任せるだろう。だが悲しいかな、そうはならないようだ。今月の初め、刑務局の広報担当者は言った。「コロナウイルスの結果としていかなる囚人も釈放する予定はない」と。

イギリスはモラル論議の中で、再び、誤った側に身を置くことになった。

ALSO ON RT.COM 2020040113570507f.jpg
Assange extradition hearing is Damocles sword over journalists’ heads. But UK mainstream media participate in his crucifixion



アサンジは現行のイギリスの法律の下では何の罪も犯していない。昨年の9月には、スウェーデンに送られるのを避けるためにエクアドルのロンドン大使館に潜伏した後、50週間の刑期を終えている。

彼が今拘留されているのは、裁判所が彼を米国に引き渡すかどうかを決定する間だけのことだ。

ここで言う米国とは、19歳のハリー・ダンの悲しむ家族に、「あっちへ行け、送還の『そ』の字も言うな」と言った同じ米国のことだ。ハリー・ダンというイギリスのハイティーンがアン・サキュラスの運転で悲劇的な死を遂げている。アンはアメリカ諜報員の愚かな妻で、自分が英国にいることも忘れ、米国と同じ右側車線に車を走らせ、ハリーに真正面から突っ込んだのだ。そして大西洋を渡って家に逃げ帰った。

アサンジは誰も殺していない。彼の犯罪とされているのはスパイ活動と機密文書の公開だ。まあ、彼はよくやってくれた。これらの文書が、結局は、イラクとアフガニスタンでの米軍の軽率な行為や下劣な虐待行動の数々に光を当ててくれたからだ。

しかし、この事案で、アサンジが有罪になれば175年の懲役に値するとアメリカは考えている。
アサンジにとって悲しいのは、イギリス社会というピラミッドの頂点に立っているのがボリス・ジョンソンという姿をした小心者だということだ。
ジョンソンとトランプは親しい友人と言われていたが、報道によると、英国が中国のハイテク企業であるファーウェイからの技術供給に合意したことで、関係が冷え込んでいるという。いずれにせよ、ジョンソン-実際にはニューヨーク生まれ-は自分のモラルの規範をどこ吹く風と易々と曲げてしまうことで有名だ。

ALSO ON RT.COM20200401135541b93.jpeg
Julian Assange is the victim of a power struggle in the US between Donald Trump and the deep state


ジョンソンと彼の政府は、トランプやホワイトハウスとの対決を恐れて、アサンジ問題から目を逸らせ、この問題が消えてなくなることを願っている。

多分、ベルマーシュ刑務所の衝撃的なほど老朽化した状態は、彼らのために仕事をしてくれるかもしれない。同刑務所には毎月300人以上の新しい受刑者が入所しており、受刑者を代表する独立した慈善団体である「囚人の助言システム」は、リスクの低い受刑者をすべて釈放するよう呼びかけている。

衛生熱帯医学ロンドン校の感染症専門家であるリチャード・コーカー教授は、コロナウイルスの大発生が全囚人の60%に影響を与える可能性があると警告している。さらに、英国刑務所管理者協会のアンドレア・バット会長は、拘留者の中にも死者が出るだろうという意見を表明している。

ジョンソンの手を動かさせるにはそれではまだ足りないとでも言っているかのように、ここにナザニン・ザグハリ・ラトクリフの事例がある。

彼女はイギリスとイラン両方の国籍を持った人物で、政府転覆未遂の罪でテヘランの裁判所から5年の判決を受けたことがある。

外務大臣時代、ジョンソンは、彼女の事例について迂闊な声を上げ、彼女はイランでジャーナリズムの授業を教えていたという有罪を誘導するような信じられない主張をした。ナザニン自身は、そんな事実は何ひとつないと激しく否定し、家族訪問旅行以外の目的は何もなかった、と切に訴えた。

何はともあれ、ナザニンは保釈された

ALSO ON RT.COM 20200401135521ae7.jpg
Freedom for me but not for Assange (or thee): The breathtaking hypocrisy of CNN’s Christiane Amanpour


ああ、イランでは保釈された人が他にも84,999人いる。イランという国の体制は「思いやり」という点ではあまり芳しい評判を得ていない、にも拘わらず。
そんなイラン政府当局者でさえ、命を危険にさらすのであれば、法制度の正規の手続きなんかは変えても構わないことに気付いているということだ。

シカゴ、ルイビル、オースティン、バージニアビーチ、オマハのような場所を含む米国の地方刑務所もまた、コロナウイルス感染の恐れのために、非暴力犯罪者の釈放を開始している。カナダのサスカチュワン州は、2人の男性を同じ理由で保釈したが、二人はコカインを混ぜたフェンタニルに関連した過失致死罪で起訴されていた。

しかし、オックスフォードやケンブリッジなどの神聖な大学に在籍し、かつては秀才と呼ばれていた人物たちが率いる英国政府は、本腰を入れてそんな流れに逆行するようなことをしている。

どんな種類の国がジャーナリストを監禁し、同時にその命を危険にさらすというのだろうか?

それと同じ種類の国が、何が正しいのかを他国民に説教したい気持ちを隠しもせず、あらゆることに首を突っ込む。自国は公平で公正で尊敬される国だと思われているから、という理由で。

さて、イギリスという国の手は水曜日に血まみれになる可能性があるし、たぶんそうなるだろう。そして分かっているだろうけど、その血は洗っても流せないのだよ。

見て!2007年のバグダッドでの恐ろしい映像を。アサンジの引き渡しに抗議するため英国国会議事堂の壁面に映された映像を。

<記事原文 寺島先生推薦>
WATCH harrowing footage of 2007 Baghdad killings projected onto UK parliament wall in protest against Assange's extradition

RT UK News 2020年2月20日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年3月12日



活動家たちは、イラクの民間人に対するアメリカの空爆の映像を投影した。その映像は、もともとウィキリークスによって暴露されたものである。彼らは、ジュリアン・アサンジの米国への身柄引き渡しに抗議するために、ロンドンの国会議事堂の壁面に投影した。


悪名高い2007年の映像からのクリップが、ウェストミンスター宮殿に投影された。ウェストミンスター宮殿には両院の議会がある。 同じビデオがロンドンのベルマーシュ刑務所の壁に投影された。その刑務所では、ウィキリークスの共同設立者が、米国への引き渡し裁判を待っている。

二つの建物の壁に写された映像には、アサンジの写真とともに、「アサンジを引き渡さすな」や「ジャーナリズムは犯罪ではない」などのスローガンも含まれていた。

離れ業をやってのけた引き渡しを許さない活動グループは、こう主張している。「アサンジを起訴することは、法律違反だ。アサンジは、ジャーナリストとしてすべき仕事をしただけだ。ウィキリークスによって公開されたすべての情報は公共の利益であった」と。


2010年にウィキリークスによって公開された機密映像は、米国AH-64アパッチ攻撃ヘリの乗組員が、バグダッドの民間人をずたずたにした様子を明らかにした。民間人の中には、ロイターに勤務する2人の記者も含まれていた。彼らは、反乱者であると誤解されたのだ。
アサンジは、最高禁固175年の刑を受ける可能性がある。米国が、彼に対して提起した18件の罪状すべてについて有罪と判断された場合だが。 アサンジを米国に引き渡すための審理は来週から始まる予定だ。
Also on RT. Com202003100624081cd.jpeg


Here we go again: Media report ‘Trump asked Assange to deny/cover up link with Russia’... quoting statement showing no such thing

「真実の報道は犯罪ではない」
:豪州国会議員、ベルマーシュ刑務所訪問後
「アサンジの起訴を取り下げよ!」と発言

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Journalism is not a crime’: Australian MP says charges against Assange must be dropped after visiting him in UK prison

RT World News 2020年2月20日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ 2020年2月27日>

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ウィキリークスの共同創設者ジュリアン・アサンジに対する継続的な迫害は「クレイジーな状況」だ、とオーストラリアの下院議員ジョージ・クリスチャンセンはRTに語り、米国のエリート層と衝突する以外、彼は何ら罪を犯していないと付け加えた。

クイーンズランド自由党のメンバーであるクリスチャンセンは、アサンジに対して取られている法的手続きの整合性に疑問を呈した。彼は今「国防関係の機密文書を不正に取得・公表したことで、アメリカへの引き渡しの可能性に直面している。ジャーナリスト・ジュリアン・アサンジは、2019年4月に亡命が取り消された後、ロンドンのエクアドル大使館から連行され、それ以来、最高警備のベルマーシュ刑務所に拘禁されている。

ロンドン南部にあるベルマーシュ刑務所にアサンジを訪れた後、「私たちの国オーストラリアの法律の適用を受けている一人のオーストラリア国民がある外国から、彼が足を踏み入れたこともない国の法律に基づいた罪で、別の国に送還されるのです。これはクレイジーな状況です」とクリスチャンセンは語った。

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もし英国市民が第三国から中国や西側諸国の別の「敵対国」への身柄引き渡しに直面した場合、英国政府は彼らの釈放を求める努力を惜しまないだろう、と彼は付け加えた。「アサンジにも同じことが言えるのです。」
「アサンジにも同じことが言えるのです。」

身柄引き渡しの審問は中止し、彼はオーストラリアに戻されるべきだ。

自身もジャーナリストであったクリスチャンセンは、アサンジの行為に犯罪性は絶対にない、と語った。彼のしたことは単なる「事実の報告」であり、「一点の曇りもなく公共の利益にかなった」情報を明らかにしただけなのだから。

そんな犯罪を理由に拘禁されていいはずがない。ジャーナリズムに手を染めるのは犯罪ではない。

クリスチャンセンは、拷問に関する国連特別報告者で、アサンジの健康について繰り返し警告を発しているニルス・メルツァー教授と話をした。メルツァー教授はベルマーシュでの独房監禁は本質的に精神的拷問に等しいとの意見を述べていた。ベルマーシュで彼が見たものは、メルツァー教授のこの評価は正しいとクリスチャンセンを納得させた。メルツァー教授は特にアサンジが「見当識障害の徴候を示している」ことを指摘し、彼の長期にわたる「過酷な」隔離状態についてクリスチャンセンに語った。

アサンジはオーストラリア当局に対し、自分に対する訴訟を取り下げるよう米国と英国を説得する「外交努力」を取るよう求めた。彼がオーストラリア国民であるにもかかわらず、オーストラリア政府はこれまでのところ彼の現在の苦境を打開する取り組みはほとんどしていない。

緑の党ピーター・ウィッシュウィルソン上院議員のような一部の政治家は、政府に介入を求めた。クリスチャンセンは、来週アサンジの身柄引き渡し審問が始まるとき、オーストラリアでは「何らかの動きが見られるようになるでしょう」と見ている。


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ほとんどすべての欧米メディアがアサンジの苦境を軽視し続けているのは、「職業的な俗物根性」だとクリスチャンセンはRTに語った。主流メディアはアサンジを自分たちと同類とは全く見ていない。「彼らは、アサンジはジャーナリストではないと言っています。まるで[そう言うことで]、アメリカが彼にしていること、そしてここイギリスで彼に起こっていることを、何とか正当化しているかのようです。」

クリスチャンセンは、アサンジは米国でも多くの強力な敵を作り、米国の政治領域のあらゆる方面の感情を逆なでしており、米国政府がアサンジに対する訴訟を取り下げる可能性は低いと考えている。

保守派は、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代に犯したイラク戦争の残虐行為を暴露したことでアサンジを「悪魔化」した。一方、左派は、2016年の民主党とヒラリー・クリントンの選挙運動のメールが暴露され、それがドナルド・トランプに負けた一因となったことで彼を憎んでいる。

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米司法省はアサンジを18件の罪状で起訴したが、その罪状では最高懲役175年の刑が課せられる。彼の身柄引き渡しに関する法廷審問は来週から始まり、5月いっぱい書類審理が予定されている。

百人以上の医療専門家が、アサンジはこの裁判プロセスが終わるまで生き残れないかもしれないとみていて、ベルマーシュ刑務所で文字通り「拷問死」する可能性があると警告している。医師団は英国政府に数通の公開書簡を送り、オーストラリア政府に介入するよう促したが、今のところ返答はない。

「悪い冗談」でもあるし、法の愚弄でもある
:「ジュリアン・アサンジがアメリカで公正な裁判を受けることは
100%ない」(ロジャー・ウォーターズ)

<記事原文 寺島先生推薦>‘Disgusting joke’ & mockery of the law: Julian Assange has ZERO chance of fair trial if extradited to US, Roger Waters tells RT

RT UK News 2020年2月22日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ 2020年2月26日>

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ピンク・フロイドの共同創設者ロジャー・ウォーターズは、ウィキリークスの発行人ジュリアン・アサンジを支持して組織されたデモ行進に先立ち、RTに対し、ジュリアン・アサンジの米国への引き渡しは、調査報道と法の支配の両方に対して弔鐘を鳴らすことになるだろうと述べた。

アサンジの身柄引き渡し手続きは月曜日に開始される予定で、アサンジはウィキリークス創設以来、米国の戦争犯罪の証拠を含む何千ページもの政府機密文書を公開してきたその仕事のため、スパイ防止法に基づき米国の独房に175年収容される事態に直面している。だが、英国政府の「彼をオオカミの餌にする」ことの意図に関して、アサンジのケースは法を愚弄するものだとウォーターズは述べた。

「もし彼らがアメリカへジュリアンを引き渡し、そこで彼を殺すことになるなら、それはこの国の法律学の弔鐘になる」と、彼は言った。「[アサンジのケース]は法律とは関係なく、法的手続きをまったく踏んでいない。これは冗談でしかなく、胸がむかつくほどだ..イギリス人であることが恥ずかしくなる。」


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アサンジは米国で公正な裁判と言えるようなものを受けることはないだろうと彼は付け加え、英国当局はすでに「法律を破って彼をアメリカに送ろう」としている、と指摘した。

「ジュリアン・アサンジはアメリカで公正な裁判を受けられるかって?その可能性はゼロ」と、彼は言った。「彼はスパイ活動なんかしていない。起きていることを報道し、それがたまたま戦争犯罪だっただけだ。」


米英間には犯罪人引渡条約があり、そこには多くの条項が書かれている。第4条は、政治的な動機があれば、犯罪人引渡手続を一切始めないこと、となっている。これは政治的なものではないかって?もちろん政治的なものだよ。

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ウォーターズは、土曜の午後ロンドンで予定されている抗議デモで演奏することになっている。このデモはアサンジへの支持を表明し、ベルマーシュ重警備刑務所からの解放を要求するために組織された。アサンジは四月にエクアドル大使館で逮捕されて以来ずっとここで幽閉されたままだ。彼の健康状態は確実に悪化している。

「彼の刑務所暮らしはこれで7年になる。最初はエクアドル大使館、そして今回のベルマーシュ重警備刑務所。」ここで「殺されかけているんだ」とウォーターズは語った。「彼は本当に病気だ...ジュリアンは自分の名前すら忘れかけているよ。」


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オーストラリアの議員らは今週初め、アサンジの身柄を引き渡さないよう英国のボリス・ジョンソン首相に呼びかけたが、ウォーターズは、同首相はワシントンに借りがありすぎて、そんな要請にきちんと応えることなど無理な相談だ、と述べた。


ボリス?ボリス・ジョンソンにブリティッシュ・ブルドッグの要素がほんの少しでも見つかったら素晴らしいと思わないか?でも残念ながら彼は100%アメリカン・プードルだよ。

「[ジョンソン]は自分のイヌ小屋で、大西洋の彼方にいる主人たちに言われたままのことをやるだけだと思うよ」と、彼は言った。

結局のところ、ジュリアン・アサンジの迫害は「権力を行使して、誰にも二度と権力に不都合なことを書かせないためだ」というのがウォーターズの結論だ。

世界のどこの国の軍隊であれ、不正行為があればそれを報道することは、[ジャーナリストの]道義的な縛りであり義務だと思う。政府の義務とは、何か手を尽くして、そういったジャーナリストを殺さないようにすることだ。

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ジュリアン・アサンジは、アメリカに引き渡されたら、
拷問される、と国連報道官は警告する

Julian Assange faces ‘TORTURE’ if extradited to US – UN rapporteur warns

RT Home/World News/ 2019年7月29日 

(翻訳:新見明 2019年8月17日)

<記事原文>
https://www.rt.com/news/465279-assange-belmarsh-prison-torture/


© Ruptly and @JULIANA42636234

ジュリアン・アサンジがもしアメリカに引き渡されたら、拷問される可能性が多いにある、と国連拷問特別報道官は警告し、アサンジの現在の生活状態を明らかにした。

国連拷問特別報道官ニルス・メルツァーは、ロンドンのベルマーシュ刑務所を二人の医療専門家と共に訪れ、ウィキリークスの創設者が長年被ってきた虐待の程度を調べた。調査の後、メルツァーは、アメリカ、イギリス、エクアドル、そしてウエーデン政府に手紙を書き、調査結果を説明した。

メルツァーは週末に公表した手紙で、イギリスやウエーデンにアサンジをアメリカの司法当局に引き渡さないように、引き渡されれば48歳のアサンジは拷問される可能性があると訴えた。


Also on rt.com Exclusive: First VIDEO of Julian Assange in Belmarsh prison
(さらに読む)「最初の独占ビデオ:ベルマーシュ刑務所におけるジュリアン・アサンジ」


「アメリカで、アサンジ氏に対する、かなり目立った大衆的かつ当局の偏見に出会うと、アサンジは人道法で求められている公正な裁判が受けられるか疑わしい」とメルツァーは書いた。

    「私が強い懸念を表明するのは、もしアサンジ氏がアメリカに移送され、
     引き渡されたら、彼は拷問とか、他の残虐で非人道的なひどい扱いと
     か処罰を受ける危険性があるだろう。」


メルツァーは手紙で、アサンジの収監状態に光を当てた。彼の観察によれば、そのジャーナリストは、2×3メートルの独房に、1日約20時間閉じ込められている。彼は外底で30~60分過ごす。その他の時間(3~4時間)は、他の収監者と交わることが許されている。

またアサンジは、刑務所図書館や体育館にも入れなかった。私達が接見したとき、コンピューターも使えないので、彼にたいして係争中の多くの複雑な法的手続きを適切に準備することができないでいる。

Also on rt.com ‘Rubbish!’: Correa blasts CNN for claim that Assange made embassy into ‘command post for meddling’
(さらに読む)「くだらない!コレアは、アサンジが大使館の指令所に侵入したというCNNの主張を激しく批判する」


国連調査官はまた、ジャーナリストが肉体的にも精神的にも健康状態を悪化させていることを確認した。彼は「長期間続いた厳しい心理的ストレスや心配事や関連する精神的、情緒的苦痛のため、大きな抑鬱状態の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす兆候を典型的に示していた。」

もしアサンジが精神科医にかからなかったら、彼の精神状態はさらに悪化するだろう、とメルツァーは警告した。「アサンジの健康状態と認識・知覚能力は、著しく損なわれてきたし、現在もそうである」とも強調した。

「市民巻き添え殺人」と大量監視を暴く:
世界がアサンジに感謝すべき理由

Exposing ‘collateral murder’ and mass surveillance: Why the world should be grateful to Assange

RT HomeWorld News   2019年4月11日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年4月28日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/456227-grateful-crimes-exposed-assange/


© Reuters / Daniel Tapia

ジュリアン・アサンジはデジタル時代における内部告発の先駆けだ。 彼以前に権力に対して、かくも大規模に、真実を言ってのけた者は皆無だ。 彼は、今、ロンドンの独房に腰を落ち着けている。 そんな時、彼がこれまで為し遂げた仕事に対して、私たちがなぜ感謝すべきなのか、少し述べてみよう。

国際的なNPO組織ウィキリークスをアイスランドに立ち上げたのが2006年。 アサンジは、ネット時代における権力のバランスを、決定的に変化させた。 

始めはあまりパッとしないマスター・コーダー(Web画面の作成者)やハッカーとして活動を開始した。 1995年にオーストラリア当局に検挙されたが、服役は免れた。 そして、一部の人の神経を逆なでしたり、戸惑わせたり、危険と感じられるような資料を公開する第一人者となった。 アサンジは、ウェブサイト発行人として、内部告発者としてのエピソードに事欠かないが、そんな彼の活動経歴は、大きなニュースとして何年も取り上げられ、世界中の人たちの関心を集めてきた。 



本紙(RT)は、アサンジのこれまでの活動の、特に重要な瞬間を振り返ってみる。 世界が彼にどれほどの恩義を被っているのか、忘れないためである。 

初期の年月

2007年、ウィキリークスはキューバのグアンタナモ湾にある、とかく物議を醸すことの多い収容所キャンプ・デルタのマニュアルを暴くメールを公開した。 この収容所は、アメリカの「テロとの戦争」で焦点となった施設であり、囚人特例引き渡し作戦*の一環として捕縛されて人たちの最終目的地となっている。
*[訳注:囚人を法律に背いて特例的に他国や他州に移送すること。しばしば
     拷問がおこなわれる恐れがある。(英辞郎より)] 



Julian Assange in 2010. © Reuters/Paul Hackett

翌年、ウィキリークスは副大統領候補サラ・ペイリンのヤフー・メール個人アカウントから送信されたメールを掲載した。 デジタル時代における政治支配層の新たな弱点が、またぞろ暴かれることになった。 

「一般市民の巻き添え殺人」

これは数年に亘って、ネット上で、世界中で、その反響が止むことはなかった。 2010年4月、米軍のアパッチ攻撃用ヘリコプターが、イラクで何のためらいもなく、18人の民間人を処刑する場面を映した映像をウィキリークスは公開したのだ。 現代戦において戦争の残虐さや、人間の命がいかに安っぽく扱われるかが、そんな風に表沙汰になることはほとんど前例のないことだった。 

外交電報

2010年はアサンジにとって、きわめて多忙な年となった。 7月ウィキリークスは90、000点の機密文書と外交電報を公開したのだ。 アフガン戦争に関するものだった。

3ヶ月後の2010年10月、ウィキリークスはイラク戦争に関する大量の機密文書を公開した。 これは「歴史上最大の機密文書漏洩」(米国防総省)である、とBBCは伝えた。 ウィキリークスはさらに11月、世界中のアメリカ大使館から発せられた外交電報を公開した。 

グアンタナモ・ファイルとスパイ・ファイル

2011年4月ウィキリークスは、グアンタナモ湾の収容所にいる収容者達の行動とその処遇を詳述した米軍の機密文書を公開した。 前回同様、今回も膨大な外交電報(2億5千万通)のリークがセットとなった。 


© Reuters/Gustau Nacarino

こういった一連の、多くの人々の賞賛を得た秘密文書リーク作業を通して、アサンジがしたことは、ウィキリークスを視聴する世界中の人々を、国際的な外交と戦争の舞台裏に招き入れたことだった。 そこでは地球規模の権力力学の隠された真実が、様々に暴露され、そのことは現在の権力構造やそのあり方を一変することになるだろう。 また、チェルシー・マニングのような分析官達に、米軍の、表には出されない野放し状態の戦争犯罪や悪行を暴露する場を提供することにもなった。

アサンジとウィキリークスは、また、エドワード・スノーデンのような同様の内部告発者達が、獲物を虎視眈々と狙う肉食獣としか形容しようがないアメリカ当局から、身を守る避難所を探すことに手を貸すことになろう。 真実の追求のためにすべてを犠牲にする人たちに援助と安らぎを提供し、世界が今まで全く知らなかったような、とてつもない大規模監視体制の内実を暴露しながら。 

DNC(民主党全国委員会)リーク

2016年、アメリカ大統領選が目前に迫っていた。 ウィキリークスは20、000通に及ぶDNCからのメールを公表した。 そのメールには、当時の大統領候補ヒラリー・クリントンには民主党予備選で後押し、対立候補のバーニー・サンダースは抑え込む、という内容が書かれていた。 アサンジが、大胆にも、CNNの記者アンダーソン・クーパーに「この公開は、実際、民主党大会にそのタイミングを合わせている」と告げていた。

同年10月、ウィキリークスは、クリントンの選挙参謀ジョン・ポデスタのメール公開を始めた。 そのメールは、民主党大統領指名候補が内部のどんな政治的な動きで決められるのか、に光を当てていた。 

このメールには次のような内容のものもあった。
    ① クリントンのウォールストリート向け講演会の抜粋
    ② 政治的動機を含んだクリントン財団への金銭支払い    
    ③ マイクロソフト共同創始者であるビル・ゲーツないしは彼の妻                
      を副大統領候補と考えていたこと
    ④ 密かにシリアへの介入を望んでいたこと                       
    ⑤ もし北朝鮮の核の野望を中国が抑制しないなら、中国を防衛ミ
       サイル砲台で囲い込む意図があったこと 

遺産

2019年4月11日の朝、アサンジは逮捕されたが、この後どうなるかははっきりしない。 たぶんアメリカに送還される。 アメリカの連邦裁判所で彼が密かに訴追されていたとの情報が、うかつにも明らかにされた。 以前アサンジの協力者だったチェルシー・マニングは、この件の裁判に協力することを拒否して収監された。

アサンジの法的闘いは、まだその緒に就いたばかりのようだ。 しかし、彼が築き上げた国際的な支持者の広がりは、真実を追求した歴史上の英雄達を祀る殿堂に、彼を間違いなく送り込むだろう。 

アサンジがデジタル時代の真の先駆者であることに変わりはない。 彼は、道を切り開き、多くの人が彼の足跡を辿れるようにしている。 また、政治家であれ、軍関係であれ、権力者達の無数の悪行を、多くの人が暴き出すことができるようにしている。 アサンジの挑戦ではっきりしたのは、①デジタルテクノロジーがどれほど強力なツールになり得るか、②権力のダイナミズムは、十分な勇気を持った人がいれば、21世紀においてはいかに簡単に変化させることができるか、ということだ。 不運だったのは、圧倒的な力を持つ国際的、政治的反対陣営の眼前でそういう力を行使するとどうなるかを、アサンジは同時に見せてしまったことだ。 

「ウィキリークスは不動だ」――
編集者と弁護人が報道への攻撃に対する反撃を宣言

‘Not going anywhere’: WikiLeaks editor & Assange lawyer promise to fight ‘chilling’ attack on press

RT Home / World News   (2019年4月12日)

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年4月24日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/456298-wikileaks-editor-lawyer-interview-assange/
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‘Not going anywhere’: WikiLeaks editor & Assange lawyer promise to fight ‘chilling’ attack on press
© Reuters / Hannah McKay

ジュリアン・アサンジを訴追、そして迫害することは、権力の乱用に反対の声を上げようとする他のジャーナリストを沈黙させることになる。 こう語るのはウィキリークスの編集者クリスティン・フラフンソンとアサンジの弁護人ジェニファー・ロビンソンだ。 きっと反撃する、とも。

これは前例になってしまいます。 こんなことが通れば、世界中のジャーナリストやマスメディアは、アメリカについて真実の情報を公開したという理由で、強制送還され、訴追される可能性が出てきます。 そんなことは、原則論から言っても、間違っていますし、抵抗すべきです。 私たちは闘います」とロビンソンはRTの記者に語った。



フラフンソンも同意見。「この攻撃のメッセージはジュリアン・アサンジ向けではありません。 世界中のジャーナリストに向けられています。 『すべての権力を手中に収めたいと思っている超大国の邪魔をするな!』というメッセージです」  彼が心配しているのは、ジャーナリスト達の「背筋を凍らせる」ことになりはしないか、ということだ。 つまり、「ジャーナリスト達は、今や、迫害され、アメリカでの裁判のために護送用飛行機に投げ込まれる可能性にだって目をつぶるわけにはいかなくなっています。」 とは言え、彼には確信もあって、「いつだって勇敢な人はいるもので、その人たちは足を一歩前に踏み出し、情報をオープンにすることの重要性を理解しています。」

“情報を隠してはいけません。 オープンにすべきです。 透明性が規範です。 そうあるべきです。 そういう努力に参画する個人が消滅することは、将来も、絶対にありません”

ウィキリークスがその先鞭をつけた、とフラフンソンは言う。 イラク、アフガン戦争のリークは「軍事史上最大のリーク」。 その後に手がけた「アメリカ外交公電リーク」は「外交史上最大のリーク」と言われている。 ウィリークスのこういったが活動がモデルとなって、後の「パナマ文書公開」(2016年)やエドワード・スノーデンの「国家安全保障局(NSA)の機密文書暴露」(2013年)があった、と彼は語った。 

アサンジに対してどんな攻撃がかけられようと、「ウィキリークスの活動は続きます。 ウィキリークスは不動です」とフラフンソンは語った。

アサンジはこの闘いを受けて立ちますし、勝利を目指して闘います。 そして私たちはそんな彼を支援します。

「アサンジ逮捕」の真相――モレノ政権腐敗隠蔽のためか

Assange is a scapegoat, distraction for scandal-ridden Ecuadorian government

RT Home/Op-ed/ 2019年4月11日

By Pablo Vivanco パブロ・ビバンコ

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年4月21日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.zerohedge.com/news/2019-04-14/assange-scapegoat-distraction-scandal-ridden-ecuadorian-government


写真:ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジのポスターをつけたドラックが、ロンドンのエクアドル大使館からアサンジを連れ去る。2019年4月5日© Reuters / Peter Nicholls

エクアドル大統領レニン・モレノは、自分が重大な汚職捜査に直面していることから、アメリカ政府の更なる要求に応じることになった。ウィキリークスのジャーナリスト、ジュリアン・アサンジをロンドンのエクアドル大使館から追い出すことである。 

2012年、ウィキリークスを立ち上げたアサンジがロンドンのエクアドル大使館足を踏み入れ、亡命を求めた時とは事態が一変している。

アサンジは、自分のアメリカ強制送還を母国のオーストラリアが阻止してくれないことを恐れた。 アメリカに行けば刑務所行き、あるいは極刑すらあり得る。 そこで、彼は当時のエクアドル大統領ラファエル・コレアに「政治的迫害」からの保護を訴えた。

エクアドルはアサンジの訴えに同意し、彼の「生命、安全あるいは人として品位」がいつ何時毀損されるか分からない、として亡命を認めた。

この南米の小国は、数年前アメリカ軍をエクアドル国外へ退去させていたこともあり、その振る舞いは多くの国から喝采を浴びた。エクアドル国内も同様の反応だった。

それから7年の歳月の流れはあっという間だった。 エクアドルはアサンジの保護責任を放棄し、彼がアメリカに強制送還されることはほぼ確実だ。

エクアドルの元駐英総領事が語るところでは、今回の措置は正当な根拠がないばかりか、国際法上違法だ。

  「これは亡命の権利と制度を破壊するものです」とエクアドル外交
    官のフィデル・ナルバエスは私に語った。

彼の言によれば、アサンジはイギリス当局に移送された後、恐らくはアメリカに強制送還される。アメリカで「数十年の刑期が下されることは確実です。最低でも」

2012年、アサンジを受け入れたエクアドル政府職員の一人だったナルバエスにとって、今回の動きは、エクアドルが以前の「従属」外交政策に戻ることにしかならない。 レニン・モレノ政権がその舵を取っている。 

    「エクアドル政府の外交政策は劇的に変化しました。今や外国
    の圧力に完璧に従属しています。 特にアメリカとIMFからの圧
    力です。『市民の革命』以前の状態に舞い戻りです
」とも、ナル
    バエスは語った。 

モレノは、前大統領ラファエル・コレアが掲げた「市民の革命」の左翼的、国民的諸政策を継続する、という政策で大統領に選出されていた。 だが、彼はコレアが築き上げた遺産に対してしきりに攻撃している。 「21世紀の社会主義」を標榜する各国政府に対しても攻撃の矛先を向けている。

ここ数ヶ月、モレノ政府は、異論の多い米軍との共同「エクアドル上空偵察飛行」を再開した。 また、右翼陣営主導の「プロスール連合」の創設に参画した。 「プロスール連合」は今年3月に結成されたもので、参加国はアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイ、ペルー、そしてエクアドルだ。 コレアと故ウゴ・チャベスのような同盟者達が、2008年に創設した「南部諸国連合」の基盤を突き崩すことを目的としている。

レニン・モレノ大統領は、IMFに対して42億ドルの借款契約に署名した。 署名に至るまでの数ヶ月、彼は、コレアがエクアドルを歴史的な負債に追いやっていた、と主張していた。 

こういった一連の方策を見ても、モレノのアサンジに対する今回の措置は驚くべきことではない。 ただ、そのタイミングは、彼の支持者の溜飲を下げさせるためだけ、とは言いがたい。

    「彼らはジュリアン・アサンジをスケープゴートにすることで、今年
    2月に発覚した『INAスキャンダル』から、人々の視線をそらさせた
    いのです
」とナルバエスは語る。彼は、モレノ、彼の家族そして他
    の取り巻き達が、自分達の名前が穢されないでは済まないような
    汚職事件への告発にも言及した。

エクアドル大統領は、パナマにあるオフショア口座とペーパーカンパニーを使ったマネーロンダリングで告発され、現在その政治的査察の只中にある。 彼の弟が社主として登録されている「INA投資会社」も関係している。 

反モレノ派の政治家が入手した文書や、明らかにモレノの電話からハッキングされた、言い逃れできない失墜したイメージと証拠資料が、ソーシャルメディアを駆け巡っている。 そのため、反汚職キャンペーンを展開してきたモレノとしては、自分のイメージと信用性に取り返しのつかない汚点を残してしまった。

それ以来モレノへの支持率は急落。大統領を信じるという国民はたった17%に過ぎない。

予想されたことだが、彼の率いる党は最近の地方選挙で大打撃を被った。 前回得た議席の2/3を失ったのだ。

弾劾のリスクも高まっている。

自分達の悪事から人々の目を逸らせる必死の足掻きとしか言いようがないが、モレノと配下の高官達は、アサンジとウィキリークスがこのスキャンダルを画策したと糾弾した。 

通信大臣のアンドレス・ミシェレーナに至っては、アサンジはコレア前エクアドル大統領とニコラス・マドゥロベネズエラ大統領の二人と共謀して、エクアドル政府に「揺さぶりをかけている」、とまで主張した。

エクアドル政府は、プライバシーに関する国連報告者に、ウィキリークスが今回のリーク事件に責任があることを告発する訴状を提出した。モレノ自身はアサンジを名指しで、彼は「亡命条件に違反した」と語った

ナルバエスは、アメリカ国家安全保障局(NSA)の文書をリークしたエドワード・スノーデンが、2013年政治亡命を求めてエクアドル国内を移動するための「通行証」を発行して、一躍有名になった人物だ。 その彼が語るには、アサンジはいかなるルール違反も犯しておらず、エクアドル政府の言い分は、彼の亡命を終わらせるための口実に過ぎない、とのことだ。 

    「政治亡命で権利が制限されることありません。反対に、権利
    は保護されなければなりません。 ジュリアン・アサンジの権利
    を組織的に侵害しているのはレニン・モレノ政府です」

モレノが亡命の「取り消し」を決定したとはいえ、それには何かうさん臭さが残り、今後たくさんの法的異議申し立てが、過去数年に亘って展開された数々の重要な案件に対してなされるかもしれない。 

アサンジは国連と米州人権委員会(IACHR)で、彼は自由だ、との有利な判決を受けている。 また、スエーデンでの審問の召喚はもはやない。

更に言えば、アサンジは、現在、エクアドルの国民であり、エクアドル憲法に依れば、国がエクアドル国民を国外へ強制送還することは許されていない。 モレノがアサンジの市民権を「停止」したことは、全く前例のないことだ。 それどころか法的根拠すらない。 法廷に提訴すれば、政府決定の取り消し判決の可能性もある。 

エクアドルの現状を考えれば、今述べたようなことはすべて形式的な議論にしかならないのかもしれない。

弾劾されるにせよ、そうでないにせよ、モレノの早期退陣の噂は以前からあった。 そして彼の右派の支持者達は、代わりに政権を担う準備態勢が整っているようだ。

そうは言っても、彼がコレアの「市民の革命」にずっと反対してきたのは、国の諸機関と法規制を廃絶するためだった。 加えて、緊縮政策で大量のレイオフを国民の間に産み出すことになった。 エクアドルは、現在、政治的な不安定と混乱状態に急速に向かっている。 この状態は、1990年代、2000年代初期のエクアドルに特徴的なものだった。 それ故、法も法的手続きもアサンジの強制送還を止めるには不十分なのかもしれない。 彼がロンドンのエクアドル大使館から強制退去させられた今となっては。 

アサンジは、今、カフカばりのシナリオの中の人物だ。 檻を転々とさせられ、彼の敵対者達が彼の運命を決定するのを待っている。 

編集者注:この記事はジュリアンアサンジ逮捕のニュースの後アップデートされた。

パブロ・ビバンコはジャーナリストであり、南北アメリカの政治・歴史の専門家である。そしてテレスールの編集長として働いている。最近の署名記事はジャコバン、アジア・タイムズ、プログレッシブ、トルースドッグで書かれている。彼のツイッターはTwitter@pvivancoguzmanである。

アサンジは、アメリカの残虐行為の証拠を明らかにすることを追求:
コービンはアサンジ引き渡しに反対する

Pursued for ‘exposing evidence of US atrocities’: Corbyn opposes extradition of Assange

RT Home/UK News/  2019年4月11日

(翻訳:新見明 2019年4月17日)

<記事原文>
https://www.rt.com/uk/456286-corbyn-opposes-assange-extradition/


ジェレミー・コービンは、ドナルド・トランプ大統領訪問に抗議するロンドン集会に参加。2018年7月 © AFP / Niklas Hallen

野党労働党の指導者ジェレミー・コービンは、ウィキリークス編集者ジュリアン・アサンジのアメリカへの引き渡しに公然と反対する。アサンジはイラクやアフガニスタンでの残虐行為の証拠を暴露したのだと、コービンは述べた。

ジュリアン・アサンジ逮捕の最近の展開(Home/ Trends/ Julian Assange news)
https://www.rt.com/trends/julian-assange-files/


木曜日、ロンドンでアサンジが逮捕されて数時間後、労働党下院議員ダイアン・アボットのビデオ声明をツイートした。アボットの国会での主張は、ウィキリークスはアメリカ軍事行動の様々な場面でベールをはがした。アメリカの軍事行動はどれも、被災国の人民に好ましい結果を生み出さなかった、というものであった。


「ジュリアン・アサンジは、アメリカの国家安全保障を守るために追われているのではなく、彼がアメリカ政府や米軍による犯罪を暴露したためだ」とアボットは述べた。

アメリカはアサンジを「コンピューター侵入の陰謀」で告訴した。つまり、米軍内部告発者チェルシー・マニングによってウィキリークスに提供された米軍秘密資料を2010年に公表したかどでだ。

スウェーデンで彼に対する偽の告発でアメリカに引き渡されるのを恐れて、アサンジは2012年ロンドンのエクアドル大使館に避難した。彼はほぼ7年間大使館内にとどまっていて、イギリスは移動を拒否していた。そして彼の避難生活は、エクアドル大統領レニン・モレノによって取り消されたのだ。

<さらに読む>Also on rt.com Bolivian president condemns ‘persecution of Assange over US’ murders & spying’
ボリビア大統領は、アメリカの殺人やスパイ活動に関するアサンジへの迫害を非難する
https://www.rt.com/news/456279-assange-arrest-reaction-evo-morales/


<訳注>
ウィキリークスの暴露映像全体が見つかりましたので、ここに貼り付けておきます。
18分ほどに編集されています。下記のしとの文章には異論がありますが、映像としては貴重なので利用さてもらいました。

   ハッカーの系譜⑥ジュリアン・アサンジ (6/8)
   米国震撼させた「イラク殺戮」映像
     牧野武文     June 23, 2016 11:30
https://the01.jp/p0002536/

「今や我々の資産が手に入った:
(ほとんどの)議員がアサンジ逮捕に大はしゃぎ」

'Our property now': (Most) US lawmakers rejoice over Assange arrest

RT  Home/USA News/ (2019年4月11日)

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年4月16日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/usa/456292-democrats-republicans-trump-assange-arrest/


UK police arresting WikiLeaks editor Julian Assange in London, April 11, 2019 © Global Look Press / Alberto Pezzali


ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジの逮捕に、民主党員も共和党員も喝采を送った。 一方ドナルド・トランプ大統領は、ウィキリークスについて自分は「何も知らない」と主張。 ただし、2016年の大統領選で、「私はウィキリークスが大好きだ」と語ったことは一
度や二度ではない。

アサンジは木曜日の朝イギリス警察によってロンドンのエクアドル大使館から引きずり出された。 「コンピュータ侵入共謀」というアメリカの罪逮捕状を執行したものだ。 

ジョー・マンチン上院議員(民主党-ウエストバージニア州)は、アサンジ逮捕のニュースが発表された時のCNN「ニューデイショー」に出演。 アサンジは今「我々の資産になった。 これで彼からいろいろな事実と真実が聞き出せる」と小躍りして語った。



アメリカのアサンジに対する告発は、今のところ、2010年にアメリカの機密文書を公開したことに関連したものだが、民主党、反トランプ共和党の議員達は手ぐすねを引いて待っていたかのように、「ロシアゲート」の陰謀理論を持ち出し、アサンジはロシア政府のエージェントだとの論陣を張った。

「願わくは、彼の身柄をすぐにでも国内で拘束し、プーチンやロシア政府の意向を受けて、アメリカの選挙に介入したことの釈明をしてもらうことです。」と ツィートしたのは上院少数党院内総務のチャック・シューマー(民主党-ニューヨーク州)だ。

ウィキリークスを立ち上げた時のアサンジの意図が何であれ、「現実の彼の行動はロシアのさまざまな企みに直接連座し、西側体制の基盤を破壊しようとしたことであり、アメリカの安全の土台を揺り動かす動きへの熱心な共犯者になったことである」との発言はマーク・ウォーナー上院議員(民主党-バージニア州)。 上院情報委員会の有力メンバーであり、「ロシアゲート」説を中心になって広めた人物のひとりである。 

情報委員会議長のリチャード・バー(共和党-ノースカロライナ州)は、ウォーナーの意見にいつものように同調して、アサンジとウィキリークスは「ロシア諜報機関の手先として、効果的な働きを長年してきた」と語った。

ベン・サス上院議員(共和党-ネブラスカ州)は、アサンジを「ウラジミール・プーチンとロシア諜報機関の邪悪な道具」と呼び、「余生は刑務所で暮らすのがふさわしい」と語った。

下院外交委員会議長のエリオット・エンゲル(民主党-ニューヨーク州)も、ロシアゲートを持ち出し、アサンジは「何度も何度もアメリカや同盟国の安全保障を危機に曝した。 政府の機密文書や2016年アメリカ大統領選に関連した極秘文書を公開したのだ。」

同様、エンゲルが議長を務める下院外交委員会では、RTのアメリカ人記者ダン・コーエンに狙いを定め、憲法修正条項第1条は「あなたの勤務するロシアの宣伝メディアRT」ですら保護するが、「盗難情報を武器にするような犯罪者」を保護するわけではない、との発言があった。

2016年、ウィキリークスは民主党全国委員会(DNC)の文書を公開した。 その文書には、民主党上層部が共謀して予備選挙ではヒラリー・クリントンを押す旨の記述があった。 このことは後にDNC議長ドナ・ブラジルの回顧録で確認されている。 ウィキリークスはまたクリントンの選挙対策部長だったジョン・ペデスタの個人アカウントを大統領選挙が行われる月に公開した。 

以上の流れに与しない例外的な発言者の一人はトゥルシイ・ギャバード下院議員(民主党-ハワイ州)。 彼女はCNNのインタビューに対して次のように語った。 ウィキリークスが公開した文書は「アメリカ国民が気づいてしかるべき政府の諸々の行動を周知したものであり」、さらには市民の自由に関わる事柄や「アメリカ軍が中東で行っている、やってはいけなかった行動」について「透明性を与えたものです。」

マイク・グラベル前上院議員(民主党-アラスカ州)はアサンジの特赦を公然と求めた。 彼は民主党大統領候補指名獲得を目指している。

トランプ政権は、と言えば、アサンジへの共感的発言はゼロであった。 大統領候補だったトランプは、2016年大統領選の準備期間中の集会で「私はウィキリークスが大好きだ!」と繰り返し語っていたにも拘わらず、である。

私はウィキリークスについて知ることは何もありません。 私の問題ではありません・・・ほんとうに意見なんかありません。

2017年9月、トランプ政権のCIA長官であるマイク・ポンペオはウィキリークスをアメリカの「敵」と呼び、「敵対的な外国諜報機関みたいなもの」と語った。 ポンペオも2016年のウィキリークスの文書公開には喝采を送っていたのだ。

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