FC2ブログ

ジレ・ジョーヌ(イエロー・ベスト) 2019年:
フランスの民主主義は死んだのか、それとも生きているのか?

Gilets Jaunes in 2019: French Democracy Dead or Alive?

ダイアナ・ジョンストン

グルーバル・リサーチ 2019年1月12日

(翻訳:新見明 2019年1月18日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/gilets-jaunes-2019-french-democracy-dead-alive/5665302



もしくは、埋もれたのか、それとも生き返ったのか?というべきか。なぜならパリの政治、金融、メディアの権力中枢とは無縁の多くの庶民にとって、民主主義は既に死にかけていて、彼らの運動はそれを救うための試みだからだ。かつてマーガレット・サッチャーが「他に代わるものがない」と宣告して以来、欧米経済政策は、金融市場の利益になるようにテクノクラートによって作られている。そしてその利益は庶民にトリクル・ダウンするだろうと主張する。おこぼれは大部分干上がっていて、人々は必要や願いが満たされるかどうかなどと考えるのにうんざりしている。そして願いは「わけありの」エリートによって全く無視されてきた。

エマニュエル・マクロンの新年の国民向け演説は、次のことを完璧に明らかにした。マクロンは、ジレ・ジョーヌ(イエロー・ベスト)抗議運動にわずかなパン粉を投げつけ、説得力がない中傷をした後、強行策をとる決意をしたのだ。

フランスは動乱期に入っている。状況はきわめて複雑だが、これが一体何であるのか把握するのに役立つ点がいくつかある。

方法

イエロー・ベストは、人目を引く目立った場所に集まる。例えばパリのシャンゼリゼや、他の都市の中心街や、小さな町外れの交通量の多い環状交差路などである。伝統的なデモとは違って、パリの行進は非常に緩やかで、自然発生的である。人々はただ歩き、お互いに話している。指導者もいなければ演説もない。

リーダの不在は、この運動につきものである。あらゆる政治家やデモに好意的な政治家でさえ信頼されておらず、だれも新しいリーダーを求めていない。

人々は自分たち自身で集会を組織し、苦情や要求のリストを明らかにする。

ドムレミーから車で30分行ったロレーヌ地方のコメルシ村は、ジャンヌ・ダルクが生まれたところであるが、そこで住民が集まって、彼らの宣言を6人が代わる代わる、節ごとに読んでいる。そんなところから彼らが指導者や特別なスポークスマンを求めていないことがはっきりする。彼らは時々言葉に詰まるが、テレビの語り手のように公衆の前で話すのに慣れていないのだ。コメルシでジレ・ジョーヌの第2アピールは、1月26日、27日の「集会の中の集会」に他の人もコメルシに来るように呼びかけている。



要求

去年の11月17日、イエロー・ベストを着て街頭に最初に出た人々は、表面的にはガソリンやディーゼル税値上げが、フランスの田舎の生活を直撃するものとして反対していた。「世界的都市」を大切にする余り、フランス政府は小さな街や村、そこに住む人々を犠牲にして次々に政策を行ってきた。もう我慢がならない状態だった。運動は急速に根本的問題に移った。つまり生活に関わる問題での人々の発言権だ。一言で言えば民主主義である。

何十年もの間、左派政党も右派政党も、選挙期間のスピーチがどんなものであれ、いったん権力の座につくと「市場」によって命令された政策を追求する。このため人々は全ての党や政治家を信用しなくなり、彼らの要求を聞いてもらえる新しい方法を求めている。

燃料税の問題は、要求項目が多くなるとすぐに忘れられた。運動の評論家は、非常に多くの要求を達成することはきわめて難しいと言う。人々の要求に注意を払っても無駄である。なぜなら愚かな人々は、あらゆる事を求めるからである。そして全くその反対のことを求めることもある。

その異議申し立ては、最も重要な唯一の要求「市民イニシアティブ国民投票(CIR)」として素早く表明された。

国民投票

この要求は運動の良い面を表している。「ねばならない」リストをつくるより、GJ(ジレ・ジョーヌ)は単に人々が選択できるように求めていて、国民投票は選ぶための手段だ。その要求には一定数の署名がいる。選択する国民投票の権利を得るには、多分70万人、あるいはもっと多くの署名者を必要とする。「市民イニシアティブ国民投票(CIR)」の権利はスイス、イタリア、カリフォルニアで存在する。その考えは、よくわかっている専門家はみな恐れる。もし人々が投票するなら、人々はあらゆる種類の愚かな事に投票するだろうと、知識人は身震いして見ている。

マルセーユ短期大学の温厚なエティエンヌ・シュアール先生は、何十年も国民投票を中心に、直接民主主義をどのように組み立てるか考察してきた。イエロー・ベストによってそのときが来た。国民投票は、感情的で即席の決定を避けるために、長い討論と考察の時を持たなければならない。そのような国民投票は、特定の利権によって左右されない、誠実で、独立したメディアを必要とする。法律を作る政治家は国民投票によって表明された国民の意思を尊重することが求められる。このことは全て、人民の憲法制定会議を必要とする。

国民投票はフランスの痛いところで、全てのジレ・ジョーヌ運動の力強い静かに横たわる大義である。2005年シラク大統領は(彼の観点からは愚かにも)、きっと承認されるだろうとEU憲法の批准を国民投票に求めた。政治家階級は、2・3の例外を除いて、全力で訴えた。新憲法の下で、新たな世界権力として繁栄する未来を求めよう。さもなければヨーロッパは第一次、第二次世界大戦に逆戻りしてしまうと。しかし普通の市民は、自主的に勉強する大きな運動を組織した。グループごとに膨大な法律資料に目を通し、それらがどんな意味で、何を意味しているかを解明しようとした。2005年5月29日、フランス人は68%の投票率で、55%が憲法に反対投票をしたのだ。パリだけがかなり賛成投票が上まった。

READ MORE:Revolution Returns to Europe. How and Why
    革命がヨーロッパに戻ってくる。いかに、そしてなぜ?


3年後国会は、つまり全政党の政治家たちは、同じ内容の条文を実質的に採用することに賛成投票をした。それは2009年にリスボン条約となった。

明確に表明された人民の意思は打撃を受け、多くの者が力を落として政治から離れていくという幻滅を味わった。しかし今、それらが戻ってきたのだ。

暴力
">


最初から政府は暴力で対応してきた。運動を暴力的だと非難するため、明らかに暴力行為を誘発するように意図されていた。

警察隊は、ロボットのような装備で、平和的なイエロー・ベストのグループを取り囲み、阻止した。催涙弾の煙で覆われ、フラッシュ・ボールのゴム弾をデモ隊に直接撃ち込み、何百人も怪我をした(公式の数字はない)。大勢が視力を失うか手が動かなくなった。政府はこれについて何も述べていない。

抗議行動の三日目の土曜日、この警察隊はデモを止めることが出来なかった。そして許可された命令のもとでか、大勢の暴力団やブラック・ブロック(不明の黒衣の集団)が運動に侵入して、器物を壊し、店を破壊し、ゴミ箱や駐車した車に火をつけ、世界のメディアにイエロー・ベストは暴力的で危険であるイメージを与えた。

これらのあらゆる挑発にもかかわらず、ジレ・ジョーヌはきわめて冷静で、確固としていた。しかし感情を害し、やり返そうとする人もいないわけではなかった。

ボクサー

8回目の土曜日、1月5日にプレキシガラスで保護された警官が、セーヌ川の橋のジレ・ジョーヌを暴力的に攻撃した。そのとき大柄な男が怒って群衆の中から出てきて、反撃した。彼はげんこつを握り、一人の警官を殴り倒し、他の者を退却させた。この驚くべき場面は撮影されていた。イエロー・ベストは彼を止めようとしたが、「ランボー」は止まらなかった。

これはクリストフ・デティンガーで、フランス系ジプシー、ボクシング元ライト・ヘビー級フランスチャンピオンであることがわかった。彼のニックネームは「マッシーのジプシー」である。彼は現場から消えたが、登場する前にビデオをセットしておいた。彼は警官が女性や他の無防備な人々を攻撃しているのを見て私がとった、「対応はまずかった」と彼は述べた。彼は運動が平和的に進められるように願っていた。


デティンガーは7年の拘留が迫っている。1日以内に彼の弁護資金は116,433ユーロ集まった。政府は拒否した。どんな法的理由かわわからないが。いま彼のための嘆願が回っている。

中傷

マクロンは大晦日のスピーチで、人々を叱った。「あなた方は、少し働いて、たくさん儲けることはできない」。まるで彼らがみな、ヨットでのんびり過ごし、株価が上がったり下がったりするのを眺めて過ごすのにあこがれているかのように言う。

それからマクロンは戦いを宣言した。

「最近、私は考えられないことを見て、受け入れがたいことを聞いた」。明らかに、デモ隊と共鳴しようとする2・3の反対派政治家を指して、「人民のために話している」振りをしていると激しく非難した。「しかし、憎むべき暴徒のスポークスマンは、選ばれた代表、警察、ジャーナリスト、ユダヤ人、外人、そしてホモを追いかけているだけなのだ。それは単なるフランスの否定だ。」

「ジレ・ジョーヌは誰も追いかけない。警察が彼らを追いかけているのだ」と、人々は組織的に運動を歪曲するチャンネルの撮影隊に対して、実に誇らかに声を上げたのだ。

運動からは一言も外国人やホモに反対する声は聞こえてこなかった。

キーワードはユダヤ人

飼い犬をおぼれさせたい人は、その犬が狂犬病だと言って非難する。(フランスの諺)

フランスの諺では「犬をおぼれさせたい人は誰も、犬が狂犬病だと言う」。今日、成功を台無しにしたい人、ライバルに対して仕返しをしたい人、個人の面目を失わせたい人、もしくは運動を破壊したい人は誰でも、彼らは反ユダヤ主義だと言って責めてくる。

だから、民主的運動の高まりに直面し、「反ユダヤ主義」カードを切ることは不可避だった。それはほとんど統計的に確かなことだった。何十万人の不特定多数の中で、ユダヤ人を否定的に言う者が一人や二人いるかもしれない。それはかまわない。タカ派メディアは見張っている。わずかな出来事も、運動の本当の動機がホロコーストの復活にある事を示すために使われる。

この穏やかな反語的な小歌が、フランスのある交差点で演じられ、「よい」体制が「悪い」普通の人と対比されていた。それはYouTubeで大ヒットだった。それは運動の雰囲気をよく醸し出している。「優しい人、意地悪な人---ジレ・ジョーヌ」。



この陽気な人々が、反ユダヤ主義だと責められるのに時間はかからなかった。なぜか。批判が皮肉にも二人の最も有害なジレ・ジョーヌ批判者に向けられたからである。それは68年5月革命世代のダニエル・コーン・ベンディットと、古い「新哲学者」ベルナール=アンリ・レヴィである。新たな世代は、彼らに我慢ならない。しかし待て、彼らはたまたまユダヤ人だ。ああ!反ユダヤ主義だ!

抑圧

政府スポークスマン、ベンジャミン・グリボーが、「政府転覆」を望む者たちを「扇動者」とか「暴徒」と描いたが、そのデモに対決するため、エドアルド・フリップ首相は、デモの権利をうまく「保護する」新たな法律を公表した。その主要な方策とは、時間や場所の公式許可を得ないデモの組織者を厳しく罰することである。

事実警察は既に、33歳のトラック運転手エリック・ドルエを、運動の被害者を弔う小さなキャンドルセレモニーを開いたことで逮捕した。その他に情報が得られない逮捕がたくさんいる(ついでながら、祝日にわたって、いくつかの都市の周辺のチンピラたちが、駐車した車を燃やす儀式を行った。特別な公表とか弾圧があったわけではなく。それらは労働者階級の人々が仕事に行くために必要な車だった。パリの富裕層の高価な車が破壊されて反感のタネをまいたわけではなかった。)

1月7日、「哲学者」で元青年・教育・研究大臣のリュック・フェリーは、とても上品ぶったラジオ・クラシックでインタビューをされた。彼は宣言した。「警察はこの暴力を終わらせる事が出来ない。それは耐えがたいことだ。聞いてくれ。奴らがかわいそうな倒れた警官を蹴っているのを見るなんて、もうたくさんだ!今回だけでも警察に武器を使わせてくれ。もうたくさんだ!・・・思い起こせば、我々は世界第4位の軍隊をもっている。このくだらないことを終わらせることが出来るんだ」と。

フェリーは、「改革」を推し進めるためにマクロンに共和党と連立を組むように呼びかけた。

先月、「市民イニシアティブ国民投票」に反対するコラムで、フェリーは書いた。「現在の専門家に対する非難やエリート主義に対する批判は、この時代の最悪の惨事である」と。

アンティファ

アンティファ・グループは、人々が集まるところはどこでも、「ファシスト」を根絶するために無差別の捜索するかもしれない。先週の土曜日ボルドーで、イエロー・ベストはアンティファによる攻撃と闘わなければならなかった。

今はっきりしたことは(実にいつもそうだが)、自称「反ファシスト」が現状の番犬である事だ。彼らのたゆみない「ファシスト」探しで、アンティファは動く者は何でも攻撃する。結局、彼らは不況を守っているのだ。そして奇妙なことに、アンティファの暴力は、黙認されているのだ。より平和的なデモ隊を侮辱し、攻撃し、逮捕する国家や警察によって。

メディア

疑ってかかれ。少なくともフランスでは、主流メディアはしっかりと「秩序」の側、つまりマクロン側にある。そして外国メディアは、国家メディアが書いたり言うことを反復しがちである。また一般的に、フランスの場合、英語メディアはしばしば正しく理解していない。

終わりに

まだよくわからない。これが革命ではないかもしれないが、運動は「体制」の本質を暴露した。権力は、「市場」に奉仕するテクノクラートの手にある。つまり金融資本の権力である。このテクノクラート社会は人間社会を再編することを願っている。それは我々自身の社会や全地球の人々を、資本主義の利益に奉仕させることを願っている。それは「グローバリゼイション」計画で、経済制裁や、圧倒的なプロパガンダや、軍隊(NATO)を使う。それは人々の同意なしで、人々の生活を方向づける。マクロンはこの体制の体現者である。彼は、有名なエリートによって選ばれて、EUに押しつけられた「市場経済」に指示された方策を実行する。マクロンは諦めることができない。しかし人々はいま進行していることに目覚めた。彼らはやめないだろう。どれほど学校システムが劣化しようと、フランス人は今日よく教育され、人々があるべき合理性を持っている。もし彼らが民主主義を勝ち得ないなら、民主主義は不可能である。

続く・・・

*

ダイアナ・ジョンストンは『愚か者の十字軍: ユーゴスラビア、NATO、西欧の幻想』の著者である。彼女の新著は『カオスの女王、ヒラリー・クリントンの不運』である。『ダイアナ・ジョンストンの父ポール・H・ジョンストンの思い出「MADから狂気まで」』は、彼女のコメント付きでクラリティ・プレスから出版された。彼女の連絡先はdiana.johnstone@wanadoo.fr.  ダイアナ・ジョンストンはグローバライゼイション研究センターの研究員である。
スポンサーサイト

フランスの「黄色いベスト運動」は全EU諸国労働者の勝利

France's Yellow Vest movement strikes a victory for working people across the EU

ジョン・ワイト

RT Op-ed 2018年12月5日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年1月11日)

<記事原文>(寺島先生推薦)
https://www.rt.com/op-ed/445661-yellow-vest-victory-working-class/



ジョン・ワイトは様々な新聞やウェブサイトに寄稿している。その中には、the Independent, Morning Star, Huffington Post, Counterpunch, London Progressive Journal, and Foreign Policy Journalなどがある。 
Get short URL


© AFP / Abdulmonam EASSA

フランスの「黄色いベスト運動」はどこからともなく噴出したように見えるかもしれないが、この成果に至るまでには時間がかかっている

カール・マルクスは言った。「人間は自分自身の歴史をつくる。 しかし、それは人間の自由意志からではない。 自分で選んだ環境のもとではなく、すぐ目の前にある、与えられ、維持されてきた環境の下でつくるのである。」  

そして、ここ数週間、「黄色いベスト」を着て抗議に立ち上がり、パリの中心部を占拠している数千人もの人たちが、更にはフランス国内の数百万もの普通の労働者も含めて、この間ずっと対決し続けているのは、破綻し、機能しなくなった新自由主義経済モデルがもたらしている深刻な現実に対してである。 それに輪を掛けて事態を悪化させているのが、フランス大統領エマヌエル・マクロンを中心とする新自由主義経済推進者たちの動きだ。 彼らは新自由主義の名で粉飾された、深刻で悲惨な現実(ディストピア)に人々が覚醒しないようにしているのだ。

フランス政府が燃料税の提案を保留する決定を下したことは、フランス国民の勝利だった。 人間の尊厳を保った生活の質を求める権利のために戦い、争うのはフランス国民の数世紀に及ぶ長い伝統なのだ。 

マクロンが、自分の信奉する新自由主義の神の言いなりに、国民を無視する態度は尋常ではなかった。 そんなマクロンを実力行使で譲歩させた黄色いベスト運動は、全EU諸国の労働者に大きな貢献をすることになった。 つまり、不正を前にされるがままというのは、更なる不正を招き寄せるということにしかならない、ということを思い起こさせたのである。  

マクロンは当初、譲歩は認めない(つまり、彼は以前しっかり譲歩をしていたことになる)という「ケーキを食べさせておけばいい」的なトンチンカンな大言壮語を身の程知らずにも国民に対して言明していた。 つまり、「燃料の価格が上がることに不満を言う人間は、汚染や子どもたちが苦しむ現状に不満を言う人間と何ら変わらない」と。どう転んでも、マクロンは自ら大統領職を辞任するか、次の大統領選で国民の審判を仰ぐかのいずれかだ。 

明々白々なのは、上位100の会社や企業だけで世界の71%の排出に責任があるという事実に、現在のエリゼ宮(大統領府)の占
拠者たちは良心の咎めをあまり感じていないらしい、ということである。マクロンは、経営者や富裕層の減税、そして年金削減と所得最底辺層の福祉削減などの施策を最近続けざまに行い、そういった会社や企業の気まぐれな関心に熱心に奉仕している。

Read more

‘Out of touch’: Protesting French people want to be heard – but gov't does not listen


更に、そういった会社や企業に巨額な恩恵的資金が制度的に流れ込み、世界の一流銀行や金融機関が優遇されていると言われている。他でもない、2008年の世界的金融危機と世界規模の不況を引き起こした張本人は銀行だった。このことは、一転して、金融危機には責任のない庶民が、緊縮財政という形での経済的戦争に直面させられる事態となった。 

上に述べた汚点を明らかにすることでしか、体制側のメディアが執拗に吐き出す新自由主義的なプロパンガンダの霧の中を切り進む道はない。 メディアそのものが問題に取り込まれた存在と見られるようになってからだいぶ時間が経っている。 メディアの元々の役割は富裕権力層のお抱えではなく、労働者の顔に降りかかった塵を払うことだったはずだ。 

マクロンは、自分を世界の舞台で闊歩する巨像のように思っているかもしれない。しかし、彼以外の人間には安っぽいナポレオンにしか見えない。そんな人物が欧州軍を話題にする様子は、新自由主義が年月をかけてこしらえ、誕生させた政治家の典型の姿にすぎない。 現在の危機に至る前にも、彼の支持率は地を這うほど低かった。それでも、同じように贅沢な他の指導者たちと変わらず、現実世界には無頓着なだけなのだが、それを何故か強力な指導力と思ってしまうのだ。

そういったことは、実際のところ、問題のはぐらかしにしかなっていない。 つまり、他とは隔絶された西側の新自由主義支配層に寄生する輩が、自分たちに甚大な損害をもたらす経済的独裁の帰結に、一体、いつ目覚めるのかという問題だ。 もっとも、そんなことがあるとすれば、の話だが。

ここイギリスではトニー・ブレアが「反ブレグジット(=反EU離脱)」運動の事実上のリーダーとして担ぎ出されるという許しがたい光景が展開している。 中東に石油とマッチを持ち込んだ人間が、しかもこの国のブレグジット運動の中心ではハエほどの重さしか持たない人間が、金ぴかの豪邸とテレビ局を往復する車のお抱え運転手に指示を出す以上のことができる、と信じる人がいるということがびっくりだ。

アメリカに目を向けてみよう。 政治的には死んだはずのヒラリー・クリントンの棺桶の蓋がこじ開けられた。 犯人は現実を理解していないワシントンのリベラル派の体制である。 2016年の選挙でトランプが当選した後、地球を離れ、今でも宇宙のどこかで漂っているはずの連中だ。

トランプは、クリントンやオバマが長い年月アメリカ国民の食卓に提供してきたものを政治的受け継いでいる、という事実をアメリカのリベラル派が直視しないことは破局的な事態だ。 トランプが通常のビジネスをいやいや妨害するという話ではない。 自由の国アメリカで大麻の合法化に未だ反対する強力な議論が存在するのと同レベルの話だ。  

ドイツ西部の町トリーアが生んだ聖人カール・マルクスに話を戻す。 次の一節は19世紀の古典である『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』で、21世紀の各国政府が資本という神を祀る祭壇に額づく現実を詳細なテクニカラー版で描き出している。

「ボナパルト(=マクロン)はすべての階級に恩恵を施す長老として登場したいと思っている。 だが彼が一つの階級に恩恵を与えるには、もう一つの階級からむしり取ってこなければならない。」

黄色いベスト運動は、むしり取られるだけのフランスの労働者階級の時代が過ぎ去ったことを知らしめた。

一方、緊縮財政が大虐殺の大半を引き起こしてきたヨーロッパのこの国、つまりイギリスのことになると、フランスの運動に呼応して「黄色いベスト運動」に応えようとするものが何もない。 そんなところを見ると「フランスではエリートは人民を恐れるが、イギリスでは人民がエリートを恐れる」という古い諺が真実性を帯びてくる。 

2010年に保守党が権力を握って以来、イギリスの国中で、新自由主義支配層によってその腸(はらわた)がくり抜かれ、首には鉄環を巻き付けられたようになってしまった地域社会において、フランスの蜂起に呼応して聞こえてくるのは、今のところ飢えた子どもたちの腹鳴だけだ。 2018年には400万人以上の子どもたちが飢えているというデータがある。

さて、いくらイギリスが覚醒しにくいライオンだとしても、いつかは目を覚ます必要がある。 イギリスが覚醒したら、さて?

フランスの反対派は、マクロンのイエロー・ベストへの譲歩を拒否する。「市民革命」を求める声も

French opposition rejects Macron’s concessions to Yellow Vests, some demand ‘citizen revolution’

RT Home/World News/  2018年12月11日

(翻訳: 新見 明 2018年12月16日)
<記事原文>
https://www.rt.com/news/446122-macron-concessions-yellow-vests-reactions/

© Reuters / Philippe Wojazer

マクロンのイエロー・ベストへの譲歩は、抗議運動や反対派政治家をなだめるのに失敗した。例えば、(左翼党共同党首の)ジャン・ルュック・メランションは、富の公平な分配が達成されるまで「市民革命」を継続するべきだと訴えた。

フランス大統領マクロンがイエロー・ベスト運動メンバーによる大規模な抗議行動に応えて、「社会・経済的非常事態」を宣言し、国民の苦境に取り組むため大幅な譲歩を約束したすぐ後に、左翼反対派政治家のメランションは、次の土曜日に革命を継続すべく草の根運動を呼びかけた。

我が国の市民革命の第5段階が大動員の要素となると思う。

最低賃金100ユーロ増加、時間外手当の非課税、年末手当のマクロンの約束はフランス国民の「かなりの部分」には何の影響ももたらさないだろう、とメランションは言った。
しかしLa France Insoumise(不服従のフランス)は強調した。立ち上がるかどうかの「決定」は、行動している人々次第である。

「私達は本当の富の再分配を求めている」と元大統領候補でMouvement Generation(青年社会主義者運動)の創設者であるブノワ・アモンはBFMテレビに語り、マクロンのお金持ちを利する一連の政策を非難した。


社会党第一書記のオリビエ・フォーレも、戦う労働者に対するマクロンの譲歩を、彼は全般的路線を変化させることはないと批判した。

国民連合(旧国民戦線)党首マリーヌ・ル・ペンは、一定の税制改革を歓迎しながらも、大統領の統治「モデル」が「野蛮なグローバリゼーション、金融経済化、不公平な競争主義」に基づいており、イエロー・ベスト運動の社会的・文化的影響に取り組むのに失敗したと批判した。

">

マクロンはフランスの「経済非常事態」を告げ、小さなサラリー増加を約束する(RT com ビデオ)


「立ち上がれフランス」議長ニコラ・デュポン=エニャンは、マクロンのスピーチは「大きな茶番」であったと、フランス大統領の「偽善」を非難した。

しかし多くの者は、「不合理な政府に対して立ち上がれ」というメランションの呼びかけが、67歳の反対派政治家が「楽天主義」とか「ポピュリスト」であると非難し、社会的抗議運動を自分のためにハイジャックしようとしていると見ていた。

さらに約54%のフランス人が、イエロー・ベスト運動は彼らの目標を達成し、そして運動をやめたいと思っている、とオピニオン・ウェイの調査は示している。調査回答者の半数がマクロンの反危機政策は疑問があると考えているが、別の49%は大統領は抗議参加者の要求に取り組むのに成功していると見ている。月曜日のマクロンのスピーチの後、回答者の約68%は特に最低賃金の増加を歓迎し、78%が減税を評価した。

先月の年金削減や燃料税増税に対するイエロー・ベスト運動は、ソーシャル・メディアを通して組織され拡大した。それはフランスの強力な労働組合や公式の政党の支援なしで広まった。そのような社会のあらゆるレベルからの大衆動員が、政府から予期せぬ譲歩を引き出した。それは組合が過去30年以上にわたって失敗してきたことだ、と述べる者もあった。

ジュリアン・アサンジ、近日中にエクアドル大使館から強制退去か?―グレン・グリーンウォルドの報告

Ecuador's president to hand Assange over to UK during London visit – Greenwald
Published time: 21 Jul, 2018 22:57
Edited time: 23 Jul, 2018 09:44
<記事原文>https://www.rt.com/news/433783-wikileaks-assange-ecuador-uk/
(翻訳:大手山茂 2018.7.24 編集:岩間龍男2018.7.30)    

FILE PHOTO © Pete Maclaine / Global Look Press

エクアドルのレーニン・モレノ大統領は、イギリス当局と近々合意をまとめて(すでに合意した可能性もある)、ウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジの亡命保護措置を解除することになると、グレン・グリーンウォルドが報告している。

モレノ大統領のイギリス訪問は、7月22日から28日にかけてのヨーロッパ歴訪の一環だ。彼の訪問は公式なものではないと言われており、イギリス政府高官と会うことはない。 その代わり、イギリス政府が共催する「世界障害者サミット」(7月24日)には参加することにはなるだろう。

しかし予測されていることは、モレノ大統領がこのイギリス訪問を利用して、「エクアドルがジュリアン・アサンジの亡命保護措置から手を引く合意をまとめること」だと、「インターセプト」の共同編集者であるグレン・グリーンワルドが報告している。グリーンウォルドは、エドワード・スノーデンがリークした機密文書を基に、アメリカの監視プログラムの詳細を真摯に報道し続けるジャーナリストとして世界中に知られている。グリーンウォルドは長年ウィキリークスに対しても、また彼のブログに情報を寄せてくれる数々の内部告発者たちにも支援と弁護活動をしてきた。                                                  

     Ecuador to hand over Assange to UK ‘in coming weeks or days,’ own sources tell RT's editor-in chief
モレノ大統領は「この合意をまとめるまで(その手続きが完了していないにしても)あと一歩の所にいる」とグリーンウォルドは書いている。そのニュースソースは匿名だが「エクアドル外務省と大統領官邸に近い情報提供者」からのものだとしている。さらに「この合意の下、ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジはロンドンのエクアドル大使館から退去を強制され、イギリス当局に身柄を引き渡される可能性がある、それも早ければ今週中にも」とグリーンウォルドのレポートは続く。

グリーンウォルドのレポートに先立って、RTの編集長であるマルガリータ・シモニャンは、彼女自身のニュースソースを引用、エクアドルがアサンジをイギリスに引き渡す準備が「ここ数週間、あるいは数日中」に整うと語っていた。グリーン・ウォルドによれば、そのような進展によって、アサンジは「最善のシナリオ」でも少なくともあと一年投獄されることになるだろう。これが意味していることは、「なんらかの罪で告訴されたり、まして有罪判決も受けていないのに」、アサンジが10年近く拘禁されてきたことになるということだ。

スウェーデン政府はアサンジのレイプ疑惑調査を2017年5月には取り下げていたので、アサンジがイギリス国内で現在直面している唯一の刑事訴訟案件は、「不出頭」に対して出されている2012年の逮捕状が未執行になっている件だけだ。それは、アサンジがイギリスでの保釈条件に従わず、エクアドルから亡命を認められ、ロンドンのエクアドル大使館に逃げ込んだことだ。

こういった違反にたいする刑期は3ヶ月だとグリーンウォルドは語っている。しかしイギリス当局がアサンジに対する罪名を「法定侮辱罪」に内々引き上げる可能性を心配している。そうなれば刑期は最大2年まで延びる。さらにイギリス当局がアサンジの身柄をアメリカに引き渡さないという保証を与えることはまず考えられない。アメリカはアサンジを秘密文書漏洩で刑務所送りにしようと待ち構えていることを隠そうともしていない。

機密文書の公表は専門的に見ればアメリカに在住する何人にも適用される犯罪である。しかし司法省の官僚達はこれまでその罪状で訴追することにあまり乗り気ではなかった。そのような事案は、逆に自分達が報道の自由、つまり憲法修正第1条「言論の自由」条項に違反していると告発される可能性を心配したからだ。

しかしトランプ政権はそのような心配はまったくないと表向き言明している。 マイク・ポンペオがCIA長官在任中に語った言葉:

    「(ウィキリークスは)憲法修正第1条が正義の盾になっているとみなしている
    ようだ。 ・・・・ 彼らはそう信じてきたが、どうやらそれは間違っている。」

ジュリアン・アサンジの迫害は、西欧的価値がもはや存在しないことの証明だ

The Persecution of Julian Assange Proves that Western Values No Longer Exist

ポール・クレーグ・ロバーツ博士
グローバル・リサーチ 2018年6月24日


西欧は、決して「民主的価値」について語ることをやめない。西欧の政治的論理では、民主主義が機能するのは、言論の自由と報道の自由によってである。市民とメディアは、しっかり発言することによって、政府に説明責任を果たさせることだ。

このリベラルな伝統とは、ある「犠牲者団体」と指定された者が、傷つけられたと訴えることができるからと言って、使えない言葉や用語がないことを意味する。政治的矯正と銘打ってなされる言論の自由への侵害は、今や大学や公立学校システムやグーグルのようなアメリカ企業やアメリカ人の文化適応習慣に制度化されていて、言論の自由の衰退を示している。政府も「テロ戦争」で、令状なしのスパイ活動や大量の監視や反対派への取り締まりを正当化して、言論の自由を侵害した。

報道の自由は、言論の自由よりもさらに劇的に衰退した。ペンタゴン・ペーパーのニューヨークタイムズが消え去ったのは第1期ジョージ・W・ブッシュ政権の時で、ブッシュ政権が令状なしのスパイ活動をしているという話を、新聞が握りつぶした時だった。ニューヨークタイムズは1年間その話を握りつぶし、ブッシュが難なく再選を果たし、政府にスパイ活動を既成事実として合法化する時間を与えた。

(さらに読む)「ウラジミール・プーチンは正直に語る。『世界を戦争へと導く』西欧の政治的嘘とは好対照」
https://www.globalresearch.ca/vladimir-putin-speaks-honestly-refreshing-contrast-to-western-political-liars-who-drive-the-world-to-war/5486141?utm_campaign=magnet&utm_source=article_page&utm_medium=related_articles
今日メディアはロシアやトランプを悪魔化し、ワシントンやその属国の戦争犯罪を正当化する宣伝省だ。

だから、ロンドンのエクアドル大使館にジュリアン・アサンジを6年間監禁していることにメディアは何の騒ぎも起こさないのだ。

ウィキリークスはニュース組織であり、他の自由報道となんら変わるところがない。ジュリアン・アサンジはオーストラリアとエクアドルの市民だ。彼はアメリカ人ではない。だから反逆罪は当たらない。しかし、ワシントンは彼に対してそのような事件をでっち上げるために、陪審を使ったと考えられる。

エクアドルの新大統領は、前任者ほど強力でも、善人でもない。モレノはワシントンの圧力でエクアドル大使館の生活をできるだけ耐えがたいものにしている。イギリス政府はアサンジを引き出して、イギリスの手に取り戻そうとしている。イギリス政府は、ワシントンの圧力に応えて、彼の保護施設を認めず、彼が大使館から離れることを阻止している。

この事件に「民主的価値」は存在しない。それはミンツェンティ枢機卿に対するソ連の扱いと同じである。自由を踏みにじっているのはモスクワではなくワシントンなのだ。

オーストラリア政府は他の全ての属国と同様、ワシントンに従ってアサンジ救出に何もしていない。ワシントンの利益を法や市民の利益より優先しているのだ。

今週オーストラリアでアサンジを支援して抗議行動が行われた。しかし西欧政府は今のところ市民の行動を無視している。革命とはほど遠いものが、西欧政府に説明責任を回復させることはあり得ないことを示している。

「西欧民主主義」は矛盾語法となった。マイクヘッドのこの記事は、西欧エリートが言論の自由や報道の自由や真実や市民的権利を軽蔑していることを示している。

*

この記事は元々ポール・クレイグ・ロバーツ政治経済研究所で発表されたもの。

ポール・クレイグ・ロバーツ博士はグローバル・リサーチの常連寄稿者である。
(翻訳:新見 明)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/the-persecution-of-julian-assange-proves-that-western-values-no-longer-exist/5645184
<新見コメント>--------------------------
ポール・クレイグ・ロバーツの「ジュリアン・アサンジの迫害は西欧的価値がもはや存在しないことの証明だ」をアップしました。

前回RT記事「ジュリアン・アサンジの救出に動く人気女優 」をブログに掲載しましたが、今回のPCRの記事はジュリアン・アサンジの状況をさらに詳しく論じたものとして重要なので翻訳しました。
    http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-47.html

エクアドル新大統領モレノがワシントンの圧力に屈していること、アサンジの出身国オーストラリは救出に何もしていないこと、そしてアメリカ人ではないのにアメリカで反逆罪が訴えられていることなど矛盾に満ちた状況が書かれています。

アサンジの窮状に対して西欧のメディアが何も伝えない。西欧の言論の自由や報道の自由が衰退していることを訴えている。