ウクライナのメディアは、ロシアの作家の暗殺をねらった自動車爆破のあと、「次に狙うべき人物」を視聴者に「人気投票」実施。それにBBCなども協力。
Ukrainian media asks ‘who should be next’ after car bombing of Russian writer
筆者:アレクサンダー・ルビンシュタイン(Alex Rubinstein)
出典:グレー・ゾーン(The Grayzone) 2023年5月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月4日

BBCやディア・シュピーゲルなどの西側の報道機関と提携しているウクライナのある報道機関が、読者に対する調査を実施したのだが、その中身は、自動車爆破事故の被害にあった作家のザハール・プリレーピンの次に暗殺されるべきロシアの知識人は誰か?というものであった。 バイデン政権は、ウクライナ政府によるこのようなテロ行為を承認している。
ロシアの作家であり活動家でもあるザハール・プリレーピンが狙われた自動車爆破によりあわや命を落としそうになった事故の数時間後、ウクライナで人気のあるニュース社が読者に対してあることを問う調査を出したのだか、その中身は、「次に神殿に捧げられるべき、ロシアのクズのような扇動家は誰がふさわしいか?」というものであった。
ロシア政府による戦争行為を支持しているロシアの知識層の人々を攻撃することが解禁された、とウクライナの通信社UNIANUは報じた。ロシアの小説家であるザハール・プリレーピンの殺害を狙ったロシアのニジニ・ノヴゴロド州での自動車爆破事故の後で、同通信社は、テレグラム上で聴衆に調査を呼びかけ、暗殺されてもよいと思われる著名なロシア人の一覧表を載せていた。
ロシアのウラジミール・プーチン大統領に対する暗殺未遂行為が二度あったことが報じられているが、それ以外で、プリレーピンはウクライナの工作員らから狙われた三人目の著名な人物だった。プリレーピンに対する傷害事件は、ダリヤ・ドゥギナが殺害された自動車爆破事件(その爆破はダリヤの父であるロシアの哲学者アレクサンドル・ドゥギンを狙ったものだった)、公的な催しに主賓として招かれていた、テレグラム上で人気のある番組を主催しているウラドレン・タタルスキーが爆破された事件に続く事件だった。UNIAN社がテレグラム上に出した投稿には、ドゥギン、タタルスキー、プリレーピンのことがはっきりと明言されていた。
#DefendOurValues
— Michael Kobs (@MichaKobs) May 8, 2023
UNIAN, part of the 1+1 media group majority-owned by Kolomoysky, generates polls on its Telegram channel about which Russian journalist should be murdered next.
Clients of UNIAN are among others AP, BBC, Reuters, VoA and DeutscheWelle. pic.twitter.com/dGmqRJALgU
この先に標的となる可能性のある人物一覧の中には、別のテレグラム上のチャンネルの制作者であり、RTの編集長のマルガリータ・シモニャン(この投稿においては、不遜にも「beaver eater(レズビアン)」と称されている)やロシアのTV番組の司会者のドミトリー・キセリョフとセルゲイ・マルダンらも含まれている。この記事が出された際、5万人程度のテレグラム利用者がこの調査に投票した。
UNIAN社のホームページの会社紹介欄によれば、同社は、米国の通信社であるロイター社やブルームバーグ社と「情報の普及や交換面で提携している」とある。さらに同社の顧客には、BBCやディア・シュピーゲルなどの海外の著名な報道機関も名を連ねている。

UNIAN社の所有者は、ウクライナの財閥イーホル・コロモイスキーが所有するテレビ局「1+1メディア・グループ」 である。コロモイスキーは、ウクライナのウォロデミル・ゼレンスキー大統領やネオナチのアゾフ大隊を長年支えてきた人物だ。このテレビ局は、TSN局の親会社でもあるが、このTSN局とは、最近、赤の広場で毎年5月9日に行われるロシアでのナチス敗北記念式典の際に、赤の広場でドローンによるテロ攻撃を起こすための賞金を出していたテレビ局だ。
Ukrainian banker offers cash for drone terror in Russia
— The Grayzone (@TheGrayzoneNews) May 2, 2023
Oligarch Volodymyr Yatsenko offered a $500,000 bounty to any weapons maker able to land a drone in Red Square during Moscow’s upcoming Victory Day parade
Read the full report by @realalexrubi here https://t.co/tUg3KT1wp1 pic.twitter.com/Tgn45S8zMM
ロシアの小説家ザハール・プリレーピンの暗殺計画は、ウクライナ国内の襲撃事件と同日に行われた。その襲撃事件では、この戦争の批評家である11人が逮捕されたが、その中には米国の国籍を持つゴンザーラ・リラもいた。ウクライナの諜報機関であるSBU(保安庁) の5月4日の発表によると、「敵側のインターネットを用いた扇動者らの網状組織を新たに」逮捕したとのことだった。
Ukrainian secret police announce they have arrested 11 "internet agitators." A sign of whats to come to the Western world if the elites are to be believed when they say this is a war for the future of Democracy pic.twitter.com/h4v8jbEGw4
— Alex Rubinstein (@RealAlexRubi) May 6, 2023
米国諜報機関と繋がる米国の報道関係者らは、オンライン上で影響力を持つ人々を標的にすることを正当化することを求めている。米国政府が資金を出している報道機関であるべリングキャットでロシア調査の代表を務めるクリスト・グローゼフは、サンクトペテルブルクのカフェで開かれた催しで実行された爆破事件を正当化し、その理由を標的が「扇動者」だったからとしていた。
同様にサラ・アシュトン・シリロという、米国の報道関係者であり、民主党の元工作員で、ウクライナ軍に入隊し、ウクライナの諜報機関の工作員らが米国民のゴンザーラ・リラを逮捕した行為を擁護するような映像を撮影した人物もいる。SBUが公表したリラの複数の画像では、リラの顔にぼかしが入っていたが、アシュトン・シリロは、なぜかぼかしなしの検閲前の映像の撮影に成功している。
現在バイデン政権は、ウクライナがロシア国内でテロ行為を行うことを承認している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対する2度目の暗殺計画の後、アントニー・ブリンケン国務大臣は、ロシア国内でのテロ攻撃について問われた。その質問に対して、「このような行為を行うかどうかは、自国を防衛する方法の一つとしてウクライナが決めることです」とブリンケン国務大臣は答えた。
ジャック・テシェイラ州兵が漏洩し、米国の複数の最有力報道機関が、書類整理棚からゆっくりと明らかにしつつある最高機密文書というお宝情報の中には、米国がウクライナによる反撃攻勢は良くない結果に終わると予想していることを詳しく示す内容も含まれていた。 2014年以前の領土を全て取り返すという妄想を抱いているウクライナは、ロシアで最も声高にウクライナを批判している人々を標的にした暗殺作戦に躍起になっていて、ウクライナ国内に残っているそのような人々も消そうとしている。
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