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欧州議会のダブルスタンダード――ベネズエラ情勢

‘Moral disgrace’: EU Parliament lectures world on rule of law, then destroys legality in Venezuela

RT Op-ed 2019年2月1日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年2月12日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/op-ed/450348-eu-parliament-venezuela-legal/


ジョン・ラフランドは、オクスフォード大学から哲学博士号授与され、パリやローマの大学で教えている。彼は歴史家であり、国際問題の専門家

Juan Guaido © Reuters / Rayner Pena

ジョン・ラフランドが暴く欧州議会の嘘! フアン・グアイドの「ベネズエラ暫定大統領」宣言は憲法違反!

フランスからの衝撃的ニュース! マリン・ル・ペン氏がフランスの新大統領に! マクロン体制がフランスの政治状況を危機的状態に落ち込ませた後、ル・ペン氏が、金曜日、コンコルド宮殿で、正式なフランス大統領に就任した。 この就任式には少数の「黄色いベスト」の群衆が特別に招集され、テレビカメラの報道もあった。

ル・ペン氏は、フランス第五共和政の憲法第7条を根拠に、エマヌエル・マクロンがもはや大統領職にはないことを宣言した。 もちろん、政府と民間の業務、警察や軍隊はすべて平常通り機能しており、マクロン氏のエリゼ宮殿での執務もいつも通り。 ル・ペン氏は資金面でも疑惑があり、調査の対象となっている。 しかし、彼女はロシアと中国から公式の承認を得ているので、フランスの合法的な大統領に就任した。 

もちろん、こんな架空の話は馬鹿げている。 しかし、同じように馬鹿げているのは、1月31日欧州議会が投票でフアン・グアイドをベネズエラの大統領として承認したことであり、それはドナルド・トランプ米大統領が彼を大統領として承認した1週間後のことだった。 


EU parliament urges member states to recognize Guaido as Venezuela’s interim president

実際、欧州議会がグアイドを大統領として承認する賛成投票をすることは、マリン・ル・ペンをフランス大統領として承認すること以上に常軌を逸している。 マリン・ル・ペンと違って、フアン・グアイドはベネズエラ大統領選で候補者になったこともない。 大統領に選出されるどころか、数週間前まで誰一人彼のことを耳にした人はいなかった。 ベネズエラ国内ですらそうだったのだ。  

欧州議会の決議は、トランプ大統領の1月23日のグアイド「承認」より、実際、劣悪なものだ。 欧州議会の4つのグループが、まずはそれぞれ別個に動き、後で共同決議に同意する段取りだった。 法律用語で書かれた文案の策定に取りかかり、それには、フアン・グアイドは「ベネズエラ憲法第233条により」合法的な大統領である、と述べられている。 

欧州議会のこのグアイド承認の動き、そして共同決議が100人あまり以外の欧州議会議員によって投票されたこと、この二つのことは集団思考の持つ力の驚くべき事例だ。 いや、誠実さの完全な欠如と言うべきか。 ベネズエラ憲法第233条を読んだことがあれば、その条項にそんなことが書いてあるなどと結論することは誰一人できないはずだ。 

真逆なのだ。 第233条に依れば、フアン・グアイドが、1月23日カラカスの公衆広場で自分を大統領と宣言する猿芝居を演じたことは、憲法違反であることははっきりしている。

ベネズエラ憲法第233条のような条項はだいたいどの国の憲法にもある。 この条項は大統領が自分の責務を果たしていない、果たすことができない場合のことを扱っている。

次の6つの場合において、大統領は任期途中で職を解かれることがある。
① 大統領が死亡した場合
② 大統領が辞職した場合
③ 最高裁の判決で大統領が職を解かれる場合
④ 大統領が身体的あるいは精神的に大統領職を遂行できない場合。 ただし、国民議会と最高裁が有効と認める正式な医学的措置が事前に必要。
⑤ 大統領が自ら職務を放棄した場合
⑥ 大統領が国民投票によって弾劾された場合

Venezuelan opposition leader Juan Guaido (L) and President Nicolas Maduro (R) © (L/R) REUTERS / Carlos Garcia Rawlins We must avoid mistake of Libya: Italian deputy FM speaks out against Venezuela regime change

どれ一つとして合致するものはない。 マドゥロ大統領は辞職もしていなければ、死んでもいないし、職務遂行に不具合があると判断されたわけでもない。 裁判所あるいは国民によって弾劾されてもいない。 もっとある。 第233条はさらに続き、大統領職が空位になった時その権限を誰が引き継ぐのかが書かれている。 誰が権限を引き継ぐのか? 第233条の規定ではそれは副大統領ということになっている。 今回にあてはめれば、 デルシー・ロドリゲス女史ということになる。 国民議会議長(グアイド)ではない。

国民議会議長が権限を引き継ぐ唯一のケースは大統領が就任していない場合だけだ。 マドゥロは2013年以来ずっと大統領職にある。 だから、そうでないと言うことは土台無理がある。 2期目の就任も1月10日、最高裁判事立ち会いの下、行われている。

欧州議会の中のマドゥロ反対派、例えば、スペイン国民党保守派から派遣された議員団代表のエステバン・ゴンザレス・ポンズなどは、1月10日に行われた大統領就任式は無効だった、と主張している。 その根拠として挙げているのが、1月24日に欧州議会議長に送付された公開書簡だ。 その中でポンズ氏はベネズエラ憲法第231条を引用している:「選出された候補者は、国民議会で宣誓することによって、憲法が定める任期の最初の年の1月10日に大統領の職務権限を付与される。」

ポンズ氏の言葉をそのまま受け止めれば、マドゥロの大統領就任はほんとうに無効だったと信じてしまうかもしれない。 しかし、ポンズ氏のウソを示すことは簡単だ。彼は同じ第231条には次の文が続くのだが、それを引用していない。 それはこうだ。「何らか前後の理由があり、大統領に選出された者が国民議会で宣誓できない場合は最高裁判所で就任の宣誓をするものとする。」

だから、欧州議会のスペイン議員団が憲法違反だと主張するマドゥロ大統領就任の形式は、実際は、ベネズエラ憲法で明確に規定されたものなのである。

US Secretary of State Mike Pompeo (R) shakes hands with Britain's Foreign Secretary Jeremy Hunt before their meeting at the State Department in Washington. REUTERS / Yuri Gripas Deadline for Venezuela, extension for Brexit: Jeremy Hunt’s odd concept of democracy

本人も知らない訳はないのだが、マドゥロが国民議会で宣誓できなかったのには十分すぎる「前後の理由」があり、ポンズ氏はそのことも含め読み手に隠そうとした。 つまり、2017年には国民議会の選挙不正があり、議会は解散になった。 最高裁が無効と宣言した選挙で選出された議員が国民議会のメンバーとなっていたからだ。 蛇足ながら、こと選挙に関して議論が起これば、最高裁が憲法の守り手ということになる。

他の場合はすべて、例えばポーランドやハンガリーなどのように、欧州議会のメンバーは、その判断に完全な自立性を求められるべきで、もし憲法違反と見なせば、会議の決定であってもそれを覆す権利を要求することが通常である。

対照的に、ベネズエラについて、欧州議会議員は全く反対の議論を展開する。つまり、欧州議会は、その決議において、(解散した)国民議会がベネズエラにおける唯一の合法的機関だと宣告したのだ。 つまりそれは最高裁判所に合法性は全くないと宣告したことになる。

はっきりしているのは、ベネズエラに深刻な政治危機があり、それは普通選挙によって選出された大統領と、彼に反対する議会内政治支配階級との間で展開しているということだ。 ベネズエラにとっては国外に位置する強国がそのような問題に干渉することは、政治的に愚かしいことであり、 ちなみに、国際法上は完全に違法だ。 そればかりではない。 欧州議会のような機関が法の支配を尊重する必要性を世界にレクチャーしながら、法的言語を使って他国のケースの合法性云々についてウソ八百を並べ立て、法遵守の基本を破壊することになれば、モラルから言っても恥知らずな行為だ。



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緊迫するベネズエラ情勢―――アメリカはどう動くか?

Make Latin America Great Again? On the REAL chances of a US invasion of Venezuela

ミハイル・コーダ・レノックはRTの軍事コメンテーター。彼は退役大佐で、ロシア軍作戦参謀本部長でもあった。

RT Op-ed 2019年2月3日

(翻訳: 寺島メソッド翻訳グループ 2019年2月 10日)

<記事原文>(寺島先生推薦)https://www.rt.com/op-ed/450511-usa-venezuela-invasion-khodarenok/


© Reuters / Carlos Barria

ベネズエラの危機に関して、アメリカのトランプ大統領は、「軍事的選択」も可能性の中にあると語った。 だが、アメリカは本当に攻撃の準備を進めているのであろうか?

確かに、これくらいの規模の軍事侵略作戦を計画し、実行することはアメリカ軍にとって困難なことではない。 別にホンデュラスのソト・カノ空軍基地、キューバのグアンタナモ湾海軍基地、そしてサン・ホワン(プエルトリコ)のフォート・ブキャナン基地を使うまでもないかもしれない。

フロリダからベネズエラの首都カラカスまでたった2、000kmの距離しかないのだ。 こんな距離は現在のアメリカ軍にとって何の問題にもならない。 カリブ海に点在する上記の基地のどこかに一時着陸の必要性があったとしても。

アメリカ軍は、陸軍、海兵隊、海軍、空軍、そして沿岸警備隊から成る。 選択はどれでもかまわない。 何なら、いくつかの選択を組み合わせてもいい。 装備も、必要な機具、そして十分訓練された、経験豊富な兵士が揃っているのだから、作戦に何の支障もないだろう。 
米海軍輸送司令部は、必要な資財と兵站を目的地に輸送する十分すぎる能力を備えている。

だから、机上の話としても、きわめて現実的な話としても、アメリカ軍は一日もかけずにこの作戦を計画し、さらに数日もあれば、兵力を現地で待機、あるいは臨戦態勢に置くことは可能だろう。 結局、アメリカはベネズエラ軍を一週間以内に壊滅させることができると思う。

兵士一人ひとりの勇敢さはこの場合役に立たない。 ベネズエラの兵士たちが自分の祖国にどんな熱い思いを持っていても、だ。戦争の基本的な法則は間違いなく貫徹し、兵力を上回った方が勝利を収めるだけだ。 

言い換えれば、ベネズエラ軍がアメリカの侵略にほんとうに抵抗できる可能性はきわめて小さい。 それに、アメリカ政府はそういった侵略作戦をカリブ海域で何回か経験していることもある。
 

Reagan meeting with Congress on the invasion of Grenada in the Cabinet Room, 25 October 1983 © Wikipedia
レーガン、グレナダ侵攻で議会と会合、1983年10月25日、閣議室にて。

例を挙げよう。 1983年のグレナダ侵略だ。 コードネームは「押さえ切れない憤怒作戦」。 まず、東カリブ海諸国機構の声明があった。 グレナダで血のクーデターがあり、革命的指導者だったモーリス・ビショップが処刑されたことに対して出されたものだ。 レーガン政権は、すかさず軍事介入に乗り出した。 グレナダに在住するアメリカ人の安全確保のための軍事介入だと、その動機の一部を説明した。 侵略軍の構成は、①アメリカレインジャー部隊、②第82空挺師団パラシュート部隊、③アメリカ海兵隊、④陸軍デルタ・フォース、⑤アメリカ海軍特殊部隊、だった。 この作戦はアメリカが、ものの四日で勝利を収めた。

1989年にはパナマ侵略もあった。 この時も、グレナダ侵略の場合と同じように、アメリカは35、000人の在住アメリカ市民安全確保を理由に行動した。 さらに、「民主主義の回復」させることも理由に加えた。 1965年のドミニカ内戦への介入を挙げてもいい。 これは最初はアメリカ市民の救助活動として始まったが、次にそれは大規模な「パワー・パック作戦」に転じ、フランシスコ・カーマニョ政府放逐を目指した。 明らかにアメリカはラテンアメリカの国々の「民主主義回復」の豊富な経験を有している。

<アメリカは同じことは繰り返さない>
今回、アメリカがベネズエラで、直接的軍事介入に乗り出さないことは、ほぼ確実だ。 ベネズエラの上空が、ある日、第82空挺部隊のパラシュートや、第101空挺部隊のヘリコプターの白い斑点で覆われることはないだろうし、ベネズエラの砂浜が、アメリカ海外遠征軍兵士の軍靴で踏み潰されることも恐らくないだろう。 繰り返しになるが、軍事行動のきっかけとしてグレナダ侵略のような古典的シナリオが採用されることはまずあり得ない。

何よりも、そんなことをすればアメリカにとって最も望ましくない結果になる可能性がでてくる。 ベネズエラの民衆が結束して外国の介入に正面から対決することもあり得るからだ。

、その影響が世界に広がることはアメリカがどうしても避けたいことだ。 

さらに、ベネズエラ国土の複雑な地形だ。 軍事行動には実際向かない。 ジャングルを占領することは不可能だ。 アメリカ人はベトナム戦争でそのことは熟知している。 アメリカは絶対にあらゆる権謀術数をベネズエラに仕掛けることはあっても、爆撃や空対地ミサイル攻撃をすることは、まずない。

US Marine Corps LAV-25 in Panama © Wikipedia

しかし、ユーゴスラビアで重要なインフラを破壊するために、ミサイル攻撃をしたような作戦を、ベネズエラで繰り返す可能性はある。 

どう考えてもあり得るのは、アメリカがマドゥロ大統領を追い落とすために、種々の情報作戦を含んだ最新テクノロジーを駆使することだ。 その目的達成のために、アメリカはサイバー司令部と心理作戦グループの力を使える。 

これに関して、アメリカが二つの主要目的を目指して動く、と仮定することはあながち的外れでもない。 まず、マドゥロ体制の行政的、軍事的指揮系統を完全に寸断し、現政権の信頼性に致命的な損傷を与える。 同時に、反マドゥロ勢力に、情報、組織増強、そして資金などを含んだ必要な支援を行う。 この二つのことをアメリカは行おうとするだろう。

アメリカがベネズエラで真っ先にやろうとするのは、軍隊の高官たちを反対勢力の側に就かせ、その脅威を中和化することだ。 これは、もちろん、イラクでの経験が役に立つだろう。 その経験の一部をアメリカは現在の情勢に適用することになるだろう。

ベネズエラの将軍や将官たちは、恐らくすでにアメリカからの接触を受け、マドゥロを見捨てることと引き換えに、誘惑に富んだ申し出を呈示されているはずだ。

今後非常事態が起こった場合、アメリカは、レインジャー部隊、グリーン ベレー、海軍特殊部隊、特殊戦航空団などの特別部隊をベネズエラに派遣することは疑いない。それらは多くの任務を遂行するために使われ、協力しないベネズエラ・ボリバル共和国の指導者を抹殺する。


© Reuters / Miraflores Palace / Handout

アメリカが、ニコラス・マドゥロ大統領と対峙する怪しげなラテンアメリカ諸国と連携する可能性がある。 さしあたっての候補はコロンビアとブラジルだ。 この二国は共同して国境検問所を押さえることができるし、人道的支援船が近づけないよう、ベネズエラの一部を海上封鎖することができる。 

結局のところ、アメリカ軍がこれからやろうとすることは、言うことを聞かないマドゥロ大統領の基盤を弱体化させるために大規模なミサイル攻撃や爆撃をただやればいい、というのとは大分様相を異にしている。

ベネズエラにおけるアメリカの体制転覆:証拠文書

US Regime Change in Venezuela: The Documented Evidence

トニー・カタルッチ

グローバル・リサーチ 2019年1月25日

(翻訳:新見 明 2019年2月7日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/us-regime-change-venezuela-documented-evidence/5666500

ラテンアメリカ国家ベネズエラは、アメリカとその同盟国によって危険な不安定化工作に直面している。彼らは反対派ホアン・グアイドを「大統領」と認め、現在のベネズエラ大統領ニコラス・マドゥーロをもはや認めないと宣言した。


それに対してマドゥーロ大統領は、アメリカ外交要員に国外退去するよう求めた。

抗議側と反抗議側双方が街頭行動を行い、心理的政治的主導権を握ろうとしていると報じられた。

なぜベネズエラなのか

アメリカ国務長官マイク・ポンペオによれば、ワシントンが突然ベネズエラに関心を抱くのは、ベネズエラ人民の苦しみのためであるという。

「ポンペオはベネズエラのマドゥーロに退陣を迫り、軍隊の支援を促す」というロイターの記事で次のように主張している。

   声明でポンペオは「ワシントンは、野党指導者ホアン・グアイドを支援する。彼は
   臨時政府を樹立し、選挙を準備している」と述べた。

   「ベネズエラの人々は、ニコラス・マドゥーロの悲惨な独裁政治の下で長く苦し
   んできた。」我々はマドゥーロに退陣を求め、ベネズエラ人民の意思を反映
   する正当な指導者をもとめる」とポンペオは述べた。

実のところ、ワシントンの介入の動機は、石油輸出国機構(OPEC)によれば、ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量が証明されており、サウジアラビアよりも多く、全OPEC生産のほぼ4分の1になるからだ。

アメリカは必ずしもエネルギー分野でこの石油を必要としていない。しかしアメリカ主導の一極支配体制を維持するために、大量の炭化水素がある国を支配するか、無力化することが、発展途上国が求める世界の多極化を阻止することになる。つまり再登場した世界的勢力ロシアとか、新たに登場した世界的勢力中国に導かれる多極世界を阻止することである。



ベネズエラは、巨大な石油埋蔵量から生み出される富によって安定した政治秩序を維持し、ワシントンの現在の国際秩序に対抗する多極的な世界に依拠しているので、ウォールストリートやワシントンにとっては我慢ならないのだ。そしてアメリカは莫大な時間やエネルギーやお金や資源を使って、まずユーゴ・チャベス大統領を2002年のクーデターで倒そうとし、そして今はマドゥーロ大統領を倒そうとしている。

アメリカのベネズエラへの介入

欧米メディアでさえ、アメリカがベネズエラの反対派に資金援助することによって内政に長く介入してきたことを認めている。



イギリスのインディペンダント紙の最近の記事「ベネズエラ将軍はマデゥーロへの忠誠を誓い、アメリカに介入しないように警告する」でも認めている。(強調あり)

   アメリカは、ラテンアメリカやベネズエラで民主的に選ばれた政府に介入し、
   マドゥーロ氏やチャベス氏の選ばれた政府を弱体化しようとしてきた長い
   歴史がある。

   その試みのいくつかは、NED(米国民主主義基金)のような組織を通じて反対
   派グループに資金を流すことであった。また単なるプロパガンダであること
   もあった。

   ワシントンの経済・政策研究センターの共同代表マーク・ワイズブロットは、
   過去20年間、カラカスの政権を変えることがアメリカが追求する政策で
   あった、と述べた。トランプ氏によるグアイド氏の承認は、政府を葬り去ろ
   うとする最も明確な試みであった。

米国民主主義基金(NED)の現在のウェブページでは、ベネズエラ政治のあらゆる面で、介入のための膨大な資金援助が認められる。

◾地民主派の戦略的能力の構築
◾ 結束力ある戦略的コミュニケーション
◾ 人権活動犠牲者の擁護
◾ 機敏なコミュニケーション手段の開発
◾ 地元と国家の政策対話を通して市民の啓発
◾ 人道的援助救済の促進
◾ 包括的公共政策改革パッケージの策定
◾ シナリオ立案、戦略分析の促進
◾ 民主主義と自由市場を守るため小企業の促進
◾ ベネズエラにおける民主的統治の改善
◾ 地方の民主的統治の改善
◾ 指導者の強化と社会政治参加
◾ 人権条件の監視
◾ 人権状態の監視
◾ 司法と公共サービスへのアクセス促進
◾ チェック・アンド・バランス制度の促進
◾ 市民ジャーナリズムの促進
◾ 市民参加と表現の自由の促進
◾ 民主的統治の促進
◾ 民主的価値の促進
◾ 対話と和解の促進
◾ 結社の自由の促進
◾ 表現の自由と情報へのアクセスの促進
◾ 人権の改善
◾ 独立メディアの促進
◾ 政治的関与と主張の促進
◾ 法による統治の推進

確かにアメリカは実質的にあらゆる反対派作戦に資金援助している。メディアや司法関係から洗脳や政治計画まで、そして経済の妨害や「人権」活動まで援助していて、アメリカが資金援助する扇動者を逮捕から守るために支援が行われている。

READ MORE:US Regime Change in Venezuela: The Truth Is Easy if You Follow the Money Trail. The Opposition is Pro-Washington, Not “Pro-Democracy”
さらに読む:ベネズエラにおける体制転覆:お金の移動を追跡すれば、真実は簡単にわかる。反対派は親ワシントンで、「親民主主義」ではない。


アメリカの体制転覆の試みのある時点で、NED資金前線のスマテ(参加という意味)は、チャベス大統領に対して国民投票を組織さえしたが、チャベスが勝利した。2006年ワシントンポストの記事「チャベス政府はアメリカの資金援助を調査する」でそれを認めている。

   [スマテ]は2004年チャベスが勝利したリコール国民投票を組織して、政府
   や選挙制度を声高々に批判した。

記事はまた次のことも認めている。

   USAIDは 補助金を管理するメリーランドの「開発代替株式会社」を雇って
   いたが、多くのベネズエラ受益者を好評することを拒否した。それらは、彼
   らが脅迫されたり迫害されたりする恐れがあるからと言って。 

アメリカ政府の膨大なベネズエラ介入が、意図的に秘密にされている。スマテの活動は、全国民投票でさえアメリカ資金を使用し、アメリカの指示で動かされていることを認めている。

マリア・コリナ・マチャドは、ベネズエラ選挙監視グループといわれるスマテの創設者で、アメリカNEDに資金援助されている。2002年にクーデターでユーゴ・チャベス大統領追放を試みたが失敗した。その時、マリア・コリナ・マチャドは大統領ジョージ・ブッシュと会っている。

全米民主主義基金(NED)と他の組織は平行して活動していて、その中には金融犯罪者ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ基金も含まれている。ソロスはベネズエラの制度、統治、法律を書き直し、それをアメリカが支援する傀儡体制と行政システムに置き換えようとしている。

アメリカの支援は、反対派をつくる広範な試みに限定されず、反対派幹部指導者を援助する特別な試みも含まれている。

2004年、漏洩したアメリカ国務省資料「カプリレスの地位とスマテ事件」が明らかにしていることは、NEDの資金援助はそのときでさえ進行中で、アメリカ国務省は、NEDの資金前線スマテが関わった明白な反逆罪で起訴されていて、支援を求められていることだ。それはまた、アメリカ国務省が反対派幹部指導者エンリケ・カプリレス・ラドンスキーを支援していることを証明している。

カプリレスは、レオポルド・ロペスと共に、ホアン・グアイドの助言者として仕えている。ホアン・グアイドは今アメリカ国務省の約2000万ドルの支援を与えられていることは明かだ。

ベネズエラ経済を麻痺させるアメリカの試み

ロイターの記事「ポンペオは、ベネズエラのグアイドを支援する地域ブロック形成を促す」で次のように主張している。

   ポンペオはベネズエラへの人道的支援として2000万ドルを約束した。そこで
   は経済崩壊、ハイパーインフレーション、食料・医薬品不足のため何百万人
   の人々が国外へ逃れている。

この支援の逆説的性質は、アメリカが意図的に経済崩壊やハイパーインフレーションや食料・医薬品不足を引き起こすことであった。とりわけまずチャベス大統領政府を、次に今マドゥーロ政権を傷つけ、不安定化することだった。

アメリカ国務省は、特にベネズエラ中央銀行(PDF)やベネズエラ石油S.A.(PdVSA)への制裁を狙った。ベネズエラ国有石油・ガス会社は金融を制限され、送金を阻止されている。一方、アメリカとOPEC同盟国は、世界石油価格を一致して下げる行動をとった。それはベネズエラ石油基盤の経済を麻痺させるためだけでなく、イランやロシアを含む他の反米勢力を狙ったものだ。



欧米メディアは繰り返し、アメリカの制裁はベネズエラ当局だけを狙ったものであると主張するが、ワシントンポスト自体「ベネズエラの石油は、マドゥーロにアメリカに対抗する力を与えない」という記事で次のように認めている。(強調あり)

   「現金を生む石油輸出の75%はアメリカ向けである」と元ラテンアメリカの
   CIA要員であるスコット・モデルは言った。ベネズエラはかなりの原油量を
   主要な外交同盟国であるロシアや中国に輸出していが、それらの利益
   のほとんどは、過去の負債を支払うために使われている。彼らはそこか
   ら現金を得られない。「彼らは資金難で絶望的だ。」とモデルは述べた。

その記事はまたこう述べている。

   Citgo(シットゴー)の所有権は、長くアメリカとベネズエラ間の緊張の源
   であった。2017年8月トランプ政権は配当の本国送還を阻止する行政命
   令に署名した。そしてベネズエラ当局への制裁がCitgoをますます困難
   な立場に置くこととなった。
     [訳注:Citgo(シットゴー )は、アメリカ合衆国内で営業する石油関連企業。
     ベネズエラ国営石油会社の傘下にある。ガソリン、潤滑油、その他石油
    製品を製造販売している。(ウィキペディア)


   ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)のほぼ半分の株が、ベネズエラ政府が
   ロシア・エネルギー巨大企業ロスネフチから2016年に借りた15億ドルの負
   債の担保として使われた。外国債権者はそれら負債を埋め合わせるため
   Citgoの一部を取得する可能性もある。
     [訳注:PDVSA(ベネズエラ国営石油会社)
     ペトロレオスは、ベネズエラの石油会社である。ベネズエラ政府の100%
     出資会社であるため、日本
     ではベネズエラ国営石油公社、またはベネズエラ石油公団とも表記さ
     れる。] (ウィキペディア)


   モデルは、アメリカ政府が会社自体を差し押さえるべきかどうかという議論
   がアメリカにあると言った。これに反対する者もいて、Citgoはマドゥーロ後
   のベネズエラに有効な資産で、病んだ国の「石油経済の回復」を助けるも
   のだと言う。

明らかに、ベネズエラ石油から収益能力を麻痺させるために、かなりの努力が払われてきたが、アメリカメディアやインタビューした人々でさえ、アメリカはどこまでやっていいかわからないという。一旦、厳しい制裁がなくなった時、残っている、損なわれていないインフラが、病んだ国の「石油経済回復」をベネズエラに与えることも認めている。

経済戦争の他の例では、ベネズエラの大量の金がイギリスで押さえられていて、イギリスは金をベネズエラ政府に戻すことを拒否している、とニューヨークタイムズは報道した。

ベネズエラ国内で、アメリカ支援の反対派グループを通じて行われる企ては、人為的に欠乏を引き起こす一定の必需品に焦点を当てている。一方、富裕層や地主に雇われた武装ギャングは、国家に保護された農民や産業の価格や供給や需要をさらに悪化させるように破壊活動をしている。

ワシントンポストの記事「ベネズエラの逆説:人々は飢えているが、農民は人々を食わせることができない」で、武装ギャングは単なる「犯罪者」だと述べている。それは情報は豊富だが、矛盾したベネズエラ分析になっている。

「ベネズエラ分析」の記事「紛争地のベネズエラの農民は立ち退く気はない」は、富裕層の地主から返還を求められた土地を使って、農産物を生産する農民達の努力を描いている。しかし、彼らは傭兵から狙われ、攻撃され追い払われている。別の場合には富裕層のオリガルヒは、食物生産に使われる農地の支配を強固にするため裁判所から利権を確約してもらうことも可能だ。

ベネズエラ政府はとてつもない経済戦争に直面していて、それを埋め合わせるためにますます価格統制や緊急手段に訴えているが、さほどうまくいっていない。

経済不安定化は、アメリカの体制転覆の主要な要素である。それはイラク、リビア、シリア、イラン、北朝鮮、ロシアに対するワシントンの過去・現在の紛争のあらゆる面で見られる。それらの国は、一連の「人権」犯罪に集中したり、アメリカの安全保障に対する脅威をねつ造されて攻撃された。



逆に、元米国務長官ヒラリー・クリントンでさえ認めているが、サウジアラビアのような国々は、「その地域でISILや他の原理主義スンニ派に対して密かに財政的・兵站の支援を与えている」。そして彼らが地上で最悪の人権侵害を行っていることは疑うべくもないが、彼らは制裁を免れるばかりか、国際法や人権侵害への非難を免れているのだ。

この著しい対照は、狙われた国々に対するアメリカの制裁の真実の政治的動機の本質を実証するのに役立つが、それは大衆の支持を得るために、薄っぺらな論理的見せかけで粉飾されているのだ。

ロシアや中国のような強力な国でさえ、世界金融のドル支配体制に対する代替をつくり出すのに何年も必要とされるのに、ベネズエラのような国は、すでに何十年にもわたってアメリカによって扇動された混乱で不安定化され、制裁や経済戦争に直面し、ひどく堪え忍ばなければならなくなっているのだ。そして今は別のアメリカ支援の秘密クーデターの試みにも直面している。

「社会主義」ではなく、帝国主義

ベネズエラは巨大な石油埋蔵量が証明されている。ベネズエラは公然とアメリカによって政権転覆が予定されている。そして政権に対抗する現在の反対派が、ワシントンによってベネズエラの利益のためでなく、ワシントンの利益のために資金援助されていることを証明する証拠資料がある。

制裁と経済戦争はベネズエラを狙っている。ちょうどアメリカが、政権転覆し、侵略し、破壊した、もしくは政権転覆し破壊しようとしている多くの他の国々で行ったのと同じように。

アメリカ支援のさまざまな体制転覆に対して、ベネズエラも例外的な難しいパズルでは決してない。

ベネズエラ危機を訴える試みは「社会主義」によって急に引き起こされたものではない。たとえアメリカの政権転覆を証明するおびただしい証拠を無視するとしても 、「社会主義」のせいにするのは、なお合点がいかない。

中国も社会主義で、実際は共産主義だが、かなりの程度中央計画経済で、国有企業である。中国は地上で最も大規模な高速鉄道ネットワークを持っており、人間を軌道に乗せる能力がある宇宙計画があり、世界で2番目の大きな経済である。

逆に、アメリカはたった1マイルの高速鉄道ももっておらず、現在はロシア連邦に宇宙飛行士を軌道に打ち上げてもらっている。そして非現実的な世界支配に向けた野望で世界最大の経済をただ浪費している。

「社会主義」とか「資本主義」であることよりも、国の成功とか失敗の要因がたくさんあることは明白である。例えそれらの用語が実際どんなことを意味しようとも。ベネズエラにとって、その失敗はアメリカ帝国主義の直接的かつ明白な攻撃の結果である。そしてアメリカの介入を暴露し、跳ね返すことによってのみ、ベネズエラの未来は逆転できる。

*

この記事はもともと著者のブログ Land Destroyer Reportで発表されたものである。

トニー・カタルッチはバンコクを拠点に売る地政学研究者で作家である。特にオンライン・マガジン“New Eastern Outlook” に寄稿しこの記事もそこで書かれたものである。かれはグローバル・リサーチの常連寄稿者である。

アメリカ帝国の顔である故ジョージ・H・W・ブッシュ氏の素顔

Oil tycoon, CIA chief, President: George H.W. Bush was the epitome of American empire

RT Op-ed 2018年12月4日

(翻訳: 寺島メソッド翻訳グループ 2019年1月31日)

<記事原文>(寺島先生推薦)
https://www.rt.com/op-ed/445468-oil-tycoon-cia-chief-bush/

ロバート・ブリッジはアメリカ人作家でジャーナリストです。「モスクワ・ニュース」の元編集長。2013年刊行の『Midnight in the American Empire』の著者です。





元アメリカ大統領ジョージ・H.W・ブッシュが「大統領の”門番”」のインタビューを受ける。2011年10月24日, テキサス © Getty Images / David Hume Kennerly

先頃亡くなった元アメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュは、アメリカでも最高の権勢を持つ名士の家系であった。アメリカは、石油中毒で、秘密主義と戦争が頭から離れず、自分だけが傑出した資質を持っているという自信にあふれた国であるが、ブッシュはそういうアメリカの権化であった。 

彼の人生や彼が生きた時代を考えると、どうしてもガードの固い彼の大邸宅に足を踏み込まざるを得ない。その住まいは何層にも積み重なった富と権力と秘密主義に包まれているので、その表面を引っ掻こうとするだけでもツルハシやダイナマイトが必要なほどだ。というのもこの論考のテーマとなっている人物はありきたりの政治家ではなく、王家一族[女系の先祖がイギリス王室につながる家柄]の末裔だ。彼は今日のアメリカを形作るのに、傍からでは窺い知れない手腕を持っていた。 

ジョージ・H・W・ブッシュは、普通の職業政治家のように、初めから政治家の人生を決められていたわけではなかった。そこがJ・F・ケネディやビル・クリントンとは違った。まずは、世界にしっかりした独占的基盤を取得することが、ブッシュ家の優先課題だった。政治権力は食後のデザートのミント菓子のようなもので、どちらかと言えば取得した富の添え物みたいなものだった。いや、その政治権力は更なる富を獲得するひとつの方法だったかもしれない。 

彼の父親のプレスコット・シェルドン・ブッシュは、投資銀行A・ハリマン社の副社長になった。そこで相当な財産を作った後に、60歳で政界に進出し、コネチカット州の上院議員に選出された。

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父親と同じようにジョージ・H・W・ブッシュは、その人生の初期、政治ではなく「とにかく金」の生活を送った。エール大学を卒業すると、彼は家族を引き連れ、石油業を手がけるためテキサスへと南下した。 1964年には、齢40歳にして「たたき上げ」の億万長者になっていた。 しかし、テキサスでどんなに埃と油にまみれても、彼の血管に濃く流れる「貴族の」高貴な血筋は隠しようがなく、如才のない「テキサスの石油男」というイメージの陰にある東海岸の血筋を露わにした。 

石油から無限の世界へ

ブッシュ家の、プレスコット・ブッシュ(1985-1972)からジョージ・’ダビャ’・ブッシュ(ジョージ・W・ブッシュ)に至る男性家系は、金儲けとゴルフよりさらに多くの共通点がある。その共通点はこの二つの「気晴らし」に劣らず重要なものだ。

3人共名門エール大学に学んだ。大学では、’ダビア’・ブッシュも父も祖父も「スカル・アンド・ボーンズ(頭蓋骨と骨)」として知られる秘密結社のメンバーだった。1832年に結成されたこの結社は数多くの陰謀理論の源泉となっている。その陰謀理論はあまりにも多いので、ここでそのすべてを論じ尽くすのは不可能だ。ただ、これだけは言っておこう。 結社の規模は小さいが、そのメンバーの多くは政府の高官になっている。  

同じ大学で、同じ結社のメンバーに三代続けてなったからといって、もちろん、何か厄介ななことがあったということの証明には必ずしもならない。しかし、はっきりしているのは、ブッシュ一族には何世紀にも亘る伝統があるから、世界最高の名士やその家族と親密な繋がりをつけることができた。言い換えれば、ブッシュ家の人も家柄も他に引けを取るようなものでは全くない、ということでもある。

密室で造り上げられるそのような親密な絆は、ケネディ大統領の有名な「秘密社会」スピーチを思い出させる。そのスピーチでケネディが警告したのは、オープンでない場所で結ばれる連帯は民主主義とは相容れない、というものだった。しかし、G・H・W・ブッシュにとって、その連帯はケネディが警告するようなものであっても、彼が実業界から政治、諜報の世界に身を移動する際、何の障害にもならなかった。 

力の政治

ブッシュ家の名前を最大限に活用して、1970年、上院への立候補こそできなかったが、翌1971年にはニクソン大統領によって国連大使に任命された。ここからブッシュの華やかな政治活動は始まった。共和党全国委員会代表を務めた後すぐ、1976年に、ブッシュはフォード大統領からCIA長官に指名された。

1年間の任期中のエピソードで絶対無視できないのが、「コンドル作戦」だ。「コンドル作戦」とはチリのアウグスト・ピノチェト将軍のような南米の右派軍事独裁者たちを支援する恥知らずな冷血作戦のことだ。目的達成のために暴力の使用を惜しまなかった。   

当時の国務長官キッシンジャーは、虐殺を止めようとする周囲の動きを阻止していたが、「コンドル作戦」では暗殺チームを組織し、少なくとも13、000人の反体制派が追い詰められ、殺害された。その他にも、何十万人もの人々が収容所に拘束された。そこで拷問され、最後は死に至った人も多かった。 
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ジョージ・H・W・ブッシュはCIA長官として、彼の息のかかった部局が指揮して、右派勢力の大虐殺が行われていたのだから、それを止められる地位にいた。しかし、彼は止めなかった。彼はその経歴に嘆かわしい記録を残した。これはその多くのうちのひとつだ。

ロナルド・レーガン政権の副大統領として比較的平穏な8年間(1981-1989)の後、ジョージ・H・.W.・ブッシュは41代アメリカ大統領としてホワイトハウスの住人となる。 

ブッシュの1期だけの大統領職を、アメリカの政治戦略家ズビグネフ・ブレジンスキーはその著書『セカンド・チャンス』でうまくまとめている:

「公平に見れば、第二次世界大戦以来、ブッシュほどに激しく世界的に広範囲に及び、厳しい混乱に直面しなければならなかった大統領は誰もいなかった。」

実際、1989年だけでも天安門事件があり、イランの精神的指導者アヤトラ・ホメイニの死があり、ベルリンの壁の解体があった。その後、同年12月3日、ブッシュとソ連指導者ミハイル・ゴルバチョフが冷戦の終結を宣言した。

しかし、イラクの侵略からクエートを解放するための軍事攻撃「砂漠の嵐作戦」は、何よりもブッシュ政権を特徴づける出来事となった。しかし、共和党政権は再び短命に終わった。 

「アメリカ人がリビングで快適に見られる最初の大戦争です」との触れ込みで、「砂漠の嵐」作戦は1991年1月16日、本格的に始まった。アメリカ主導軍は、イラクに42日間昼夜連続で、軍事史上最大の集中空爆のひとつとなる攻撃を加えた。無慈悲な攻撃で、軍事インフラも民間インフラも荒廃させられた。ふたたび、アメリカ軍の過剰殺傷が荒れ狂うこととなった。

フセインの好戦的な姿勢を罰するためにイラクを石器時代に戻す必要など全くなかった。しかし、その戦争こそジョージ・H・Wが認可した命令の内容だった。あのブレジンスキ-ですら、なぜブッシュはフセインに「政権の座を降りて亡命しなければ、遁走するイラク軍は一掃される」との最後通牒を与えなかったのか、との疑問を呈したほどだ。

一方、ブッシュが首都バグダッドを攻撃しないことを決断したことを、他の多くの人々のように、賞賛することは難しい。首都バグダッドを攻撃していれば、間違いなく甚大な人道上の危機をもたらしたはずで、ブッシュは首都は攻撃しなかった。しかし、今度は彼の息子のジョージ・W・ブッシュが、約10年後のイラク侵略で、バグダッドを攻撃することになったから同じ事だ。どうして攻撃に及んだか?子ブッシュは、サダム・フセインが「あるとき父を殺そうとしたことがある」ことを理由のひとつとして説明している。

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現代戦(軍事衝突)が個人的な復讐心が引き金になったと考えるのは、控えめに言っても、不穏当なことだ。いずれにしても、ジョージ・H・Wは、現在のアメリカ外交政策を席巻しているアメリカ例外主義を信じて、熱望していた。例えば、1945年の広島・長崎への原爆投下にアメリカは謝罪しないのか、と尋ねられて彼は答えた。

「いかなる謝罪も必要ない。これからも大統領のこの私が謝罪を求められることはないだろう。そのことはきちんと申し上げておきます。」 

同じような答えがあったのは、イラン航空655便の撃墜について質問された時だ。 1988年7月イランの旅客機がアメリカ海軍によって撃墜され、290人(内子ども66人)が死亡した事件だ。

アメリカはイランに謝罪しないのか、と質問されると、ブッシュはすぐに言い返した:

 「私は合衆国がやったことで謝罪することは絶対にない。 事実はどうでもいいのです... アメリカがやったことを、私が謝罪する?私はそんな人間ではありません。」

結論として、公平に言うならば、ジョージ・H・W・ブッシュは、生まれた時から「エリート」階級に属しているアメリカの指導者の一人で、そのため国内でも、国外でも戦場でも、一般人の苦労を理解する能力に欠けているようだ。こういう言い方でアメリカ政府の外交政策への取り組みを説明してもあながち的外れではない。

第41代アメリカ大統領となったこのジョージ・H・W・ブッシュと同様、アメリカ政府は、世界に対する常軌を逸した振る舞いが増えても、それを説明する気持ちを全く持ち合わせていない。その結果、アメリカの利益のために、世界は大きな破壊に苦しんできた。それは、アメリカが、その歪んだ現実観で、自分の国はいかなる疑いもなく、いかなる説明、いかなる謝罪も必要ない、と信じ込んでいることがその理由だ。アメリカはこれからも外国の地で自国の利益を確保し、必要とあれば、軍事的衝突を続けるだろう。   

その意味で、ジョージ・H・W・ブッシュは、確かに典型的なアメリカのリーダーだった。 

体制転覆と立法府議長:
ナンシー・ペロシ 対 自称ベネズエラ大統領フアン・グアイド

Regime Change and Speakers of the Legislature: Nancy Pelosi vs. Juan Guaido, Self-Proclaimed President of Venezuela

ミシェル・チョスドフスキー教授

グローバル・リサーチ 2019年1月25日

(翻訳: 新見明 2019年1月29日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/regime-change-and-speakers-of-the-legislature-nancy-pelosi-vs-juan-guaido-self-proclaimed-president-of-venezuela/5666439


フアン・グアイド


ベネズエラ国会議長で多数派(民主統一会議)の指導者フアン・グアイドは、トランプ大統領によって民主主義の名の下に(自称)ベネズエラ暫定大統領に是認された。

今日、私(ドナルド・トランプ)は公式に、ベネズエラ国会議長フアン・グライドをベネズエラ暫定大統領と認める。ベネズエラ人民に選ばれた唯一の正当な政府機関である国会は、憲法に則りニコラス・マドゥーロを違法であると宣言する。そして大統領職は空席である。(ホワイトハウス、トランプ声明、2019年1月23日)

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ナンシー・ペロシ

 
トランプの決定は、軍事介の入脅しとアメリカにあるベネズエラ資産の凍結と相まって、アメリカ外交の犯罪的本質を裏付けている。言うまでもなく欧米メディアはトランプの決定を支持した。

危険な大統領だ。主権国家の大統領を好き勝手に決め手はいけない。誰かを置き換えて下院議長を暫定大統領に指名してはいけない。

しかし今まで検討されなかった事が他にもある。

ホワン・グアイドによる国会議長の地位は(憲法的な見地から)、アメリカ下院議長と多数派民主党の指導者ナンシー・ペロシの地位に幾分比較できる。

ナンシー・ペロシは、アメリカ大統領継承順位で、副大統領マイク・ペンスに次いで2番目に当たる。(憲法第25条修正条項、そして1947年大統領継承条例で制定された3USCコード)

対照的に、ベネズエラ国会議長ホアン・グアイドは(大統領継承に関して)暫定的に短期間ではあるが、ベネズエラ大統領職に就くだろう。ベネズエラ憲法233条で表明されるているように、30日以内に新たな大統領選挙をもつことは未決定である。

ホアン・グアイドをベネズエラの大統領にする手続きを承認することによって、トランプはパンドラの箱を開けたことになった。それは自分の大統領職に跳ね返ってくる可能性があるのだ。

トランプによるホアン・グアイド国会議長の承認は、ナンシー・ペロシが一夜にして合法的に暫定アメリカ大統領に置き換えられることと同じ事である。ドナルドにとっては、かなり恐ろしい話である。

ベネズエラにとってホワン・グアイドは、アメリカにとってナンシー・ペロシと同じことである。マドゥーロ大統領の反対派は国会を牛耳っている。トランプ大統領の反対派は下院を牛耳っている。

ばかげた話ではないか。もしアメリカの政治家とか外国の大統領が、下院議長であり、下院多数派の指導者であるナンシー・ペロシを、アメリカの暫定大統領に要求するなどということがことが起こったら、どんなことになるか想像願いたい。不可解ではないのか。

これまでのところ、ナンシー・ペロシを含むアメリカ議会は、トランプのホアン・グアイドを暫定大統領承認を自制している。